「な、なんでカイルさんが…」
「貴様、若葉のファンだったのか?」
「そんなわけあるかっ!」
「ふふふ、それはこのパンを分解してみればわかるはずよ」
「なに!?オイ、ちょっと待て!待てというに貴様ーーっ!」
網の中でわめくカイルを無視してパンをバラしていくあたし。数秒後中から出てきたのは…ぐしゃぐしゃになった、一通の封筒だった。
「手紙…ですか?」
「何これ。『紅若葉へ』だって」
「やめろやめろ読むなーーっ!」
「若葉宛なら若葉が読んでもいいだろう」
「なるほど、それはそうだ」
「じゃなくて、お前らがいる所では駄目だ!読むなら一人で読まんか!」
「大丈夫ですっ!わたしが読み上げれば字の汚さはわかりませんからっ」
「そういう問題じゃねぇぇぇぇ!!」
「いいから、ちゃちゃーと読んじゃってよ」
「はいっ、えーと
『 紅若葉へ
あれだ、オレがいつもお前にパンの耳を分けてもらっている事についてだ。
オレへ貢ぎ物を捧げるとはいい心がけだな。ハッハッハーーッ!
…その、実を言えば結構助かってるんだ。大魔王様復活への道は険しく、腹が減っては戦もできん。だからオレにとってはパンの耳でも貴重な戦力というかだな…。
つまりなんだ、 いつもありがとよ。
カイル・イシュバーン』」
「…感謝状?」
「やめろぉぉやめてくれぇぇぇ…」
「カイルさん…(じーん) こんなに喜んでいただけて、わたしもとっても嬉しいですっ!」
「違うーオレは悪党なんだー。本当は感謝なんてしてないんだぁぁぁぁ…」
「と、とにかくこれが何で若葉のパンに入っていたのかを聞こうか」
「そうね、そんじゃ下ろすわよ」
ドサドサ
「もう駄目だ、魔族の恥…。オレは潔く死を選ぶ…」
「そんなっそんな悲しいことおっしゃらないでくださいっ」
「どうでもいいから事情を説明してよ」
「くっ、やむをえん。男らしく話してやる!」
聞く