「要するに夕理は、純粋なものや綺麗なものが好きで、そうでないものは許せへんのやな」

 少しの間を置いてから、夕理はこくりと頷き、目を合わせないままおずおずと聞いた。

「小学校の通知表でも、潔癖すぎるって何度も書かれた。つかさは、直した方がいいと思う?」
「別にええんやない? さっきだって、夕理のおかげでゴミ散らかされずに済んだんやろ」
「そ、そうかな」
「あ、でも」

 初めて肯定してもらえて、嬉しそうに顔を上げた夕理の前を、つかさの言葉が遮る。

「それならあたしは、そのうち夕理に嫌われちゃうかもね。あたしなんて純粋とは程遠いねんし」


<第5話「Paradise found & lost」 パート1「ふたりきりの世界」>