あたし、朝日奈夕子。17歳、高〜2。性格は人よりちょろっとミーハーで、ちょろっと勉強嫌いってトコかな?
ある日変テコな担任に呼び出されちゃって、補習受けろ〜なんて言われて不安タラッタラ〜って感じ。でもま、なんとかなるっしょ。えへへっ。
美少女戦士セーラーヒーナス 第2XX話
「地球最大の危機!!
セーラー戦士集結」
「ゆっかりー、早く早く!」
「はい〜」
いつものように平和な日曜日。夕子とゆかりも何事もなく街を歩いていたのだが、異変は突然襲ってきた。
ビカアッ!
「わあっ何っ!?」
「あら〜」
晴れ渡っていた空が暗黒に染まり、変なUFOとサーカス団と鏡の破片が降ってくる。ぽかんと口を開ける大衆の前で、なにやら髪型がエジプシャンで威厳のありそうだが下はミニスカートというよくわからない人物が空中に現れた。
「ははははは!私は全銀河の支配者、セーラーときめきギャラクシア!この星の輝きを私の手に!」
「何あれ…」
「面白い方ですねぇ」
「む!」
どうやら今回の敵らしい謎の人物はふとゆかりに目をとめる。
「な、なんだこの輝きは!そういえばあの女は開発段階では星野翔子とかいう名前だったはず。まさかあれこそが真のスターシードの持ち主なのか!」
「なんかブツブツ言ってる…」
「ふふふ、とにかく私のもとへ来てもらおうか」
「あ〜〜〜れ〜〜〜〜」
「ゆ…ゆかりぃぃぃぃっ!!」
謎の人物が右手を上げると、不意にゆかりの体が浮き上がる。夕子が止める間もなく空を舞い、ギャラクシアの元に捕らえられてしまった。
「ゆ、夕子さぁ〜〜〜ん」
「ちょっとぉぉ!ゆかりを放しなさいよおばはん!!」
「(ひくっ) くくくっ、なかなか威勢のいい小娘だ。どうしてもというならその無限回廊を通り銀河Dポイントまでくるがいい。無駄なことではあるがなはははははっ!」
そのままセーラーときめきギャラクシアの姿はゆかりともども闇へと消える。呆然とする夕子の隣にどうやら無限回廊らしい階段が現れたが、それでいったいどうしろというのか。
「あーもう超わけわかんない!」
「やはりここは戦うしかないのだワン」
「あ、ムクじゃん」
「僕が喋っても驚かないのかワン?」
「これだけシリーズ続いてりゃ今さら誰も驚くわけないっしょ」
「‥‥‥‥‥‥‥」
「あに落胆してんのよ…」
気を取り直したムクは、例によって例のごとく変身アイテムを取り出す。今回は手のひらサイズのスティックにクリスタルがついて金星のマークがついているぞ!
「さあ、これで美少女戦士セーラーヒーナスに変身だワン!」
「そーゆーのってもう古くない?」
「ええい古式さんを助けたくないのかワン!」
「わ、わかったわよぉ…。ゆかり、今行くね!」
「さあ、この呪文を唱えるのだワン!」
「呪文なの?」
ヒーナスクリスタルパワー・メーイク・アーーーーップ!
ちゃーらーらちゃららーらーららー
(セーラーヒーナースー ちゃらららー セーラーヒーナースー)
「遊びと情報のセーラー服美少女戦士セーラーヒーナス!今日の授業も落とさせていただきます!」
とか言った姿はオレンジ色のセーラー服にミニスカートの例のコスチュームで、見たとたん夕子は悲鳴を上げた。
「あーっ何これ、だいぶ前に終わったアニメのじゃん!超流行遅れ!!」
本当はこのSSアニメの最終回記念に書くはずだったんですが延びまして…。
「いちいち文句の多い人だワン」
「超ムカー!もうサクッと行ってサクッと帰るよっ!」
「はいはいだワン」
「そういうわけにはいかん!」
決意もつかの間、さっそく第一の敵が現れる!
「誰っ!?」
「くっくっく愚かな人間どもよ。このダークキングダム四天王ジェダイトを倒せると思うか!」
「な・お・と・くん!」
「え゛」
横からの声に振り返ると、なぜだか詩織さんが怒っているところだった。
「もう、こんなところで何やってるのよ!」
「ま、待ってくれ詩織!確かに俺のCVは小野坂昌也だが断じて高見公人ではないんだ!」
「知らないっ!プン!」
「し…詩織ぃぃぃぃぃ!!」
すたすたと歩き去る詩織とそれを追う青年。第一の戦いは勝利した…らしい。
「さあ、無限回廊を登るのだワン!」
「なんか先が見えてきたね…」
ゆるやかな階段を登っていくと、途中で中学生と手を繋ぐロリ^H^H四天王とすれ違う。
「ネフライトさま、今日はチョコレートパフェを食べに行こうね」
「そうだな、そうしよう」
「何今の…」
「どうやら作者は『海野は納得いかん!』派らしいのだワン」
「…いいけどさ、楽だし…」
「ほほほほ、そうはいかなくってよ!」
突如響くオカマの声。いよいよ本格的なバトルの開始のようだ。しかも敵は2人!
「クンツァイトさま、あなたのためにこの勝利を捧げますわ」
「フフッ可愛いやつめ。やれ、ゾイサイト!」
「ゾイ!」
ドドーーン!
抱き合ってる2人からいきなり光弾が降り注ぎ、舞い上がる煙にせき込むムクとヒーナス。
「も、もしかしてあいつらホモ!?」
「そんなことに感心してる場合ではないのだワン!さあヒーナス、くれっ銭とビームで反撃だワン!」
「えーっ超面倒って感じ」
ビシッ
「泣いているばかりでは何も解決しないぞセーラーヒーナス!」
頭上からかけられる声。バラが1本地面に突き刺さっている。
「あ、あなたは…」
「もしかして助っ人!?」
ちゃらららちゃ〜らら〜ら〜らららら〜〜
テーマ曲と共に現れたのは黒いタキシード、黒いマント、黒いシルクハット、怪しいアイマスク、そして素敵なステッキ…の兄貴。
「タキシード外井!で、ございます」
(゜o゜) (←ひなちゃん)
(゜o゜) (←ムク)
「フッ…。私の美しさに声を失ったようですね」
「きいいっ、美しくありませんわ!」
「これはダークキングダムの誇りにかけても倒さねばならん!」
「黙りなさい!悪に荷担するなどホモの名折れ、このタキシード外井が相手です!タキシード・ラ・兄貴ング・ボンバーッ!」
ドドーーン! パワーとパワーが激突し激しい戦いが始まる中、ヒーナスはとっとと逃げ出した。
「い、一緒に戦わなくていいのかワン!?」
「あーいーのいーの、それより早くゆかりを…」
「そこまでだ!」
いきなり地面から紫色の巨大なおばさんが生えてくる。
「ここまで辿り着いたことは誉めてやろう。だがこのクインメタリアさまと合体したクインベリルが…」
「まだいるわけ…」
「まだまだいるワン…」
「人の話を聞け!」
「もーやだってば!ムク、助っ人呼びなさいよ!」
「ひどい正義の味方もいたもんだワン(T T)。かくなる上はセーラーマーズ、頼むのだワン!」
「ファイアー・ソウル!」
ボッ! 火の玉がベリルを襲いわずかながらダメージを与える。情熱の赤のセーラー服をまとって炎から現れたのは…
「…紫ノ崎ちゃん」
「うるっさい!なんで私まで駆り出されるのよ!」
「怒りっぽいから仕方ないのだワン。さああやめちゃん、この決めゼリフを読み上げるのだワン」
「なになに…」
『ハイヒールでおしおきよ』
「アンタ人をなんだと思ってるのよ!」
「ぐわぁっ!僕におしおきされても困るのだワン!」
「おい!」
ハイヒールでぐりぐりとムクを踏みつけるあやめにしびれを切らしたベリルが怒鳴る。しかし返ってきたのはあやめのにらんだ顔だった。
「やかましいわね!くらいなさい、マーズ・フレイム・ズナイパー乱れ打ち!!」
「ぐわあぁぁぁっ!」
ドンドンドーーン! 阿鼻叫喚の地獄の中無印最後の戦いが幕を開ける。ヒーナスはといえばムクを連れてすたこらと逃げ出した。
「この調子でいけばこの先も超らくしょーだね」
「無茶苦茶な展開だワン…」
「だがそれもここまでだ!さあアン、今回の作戦にふさわしいカーディアンを選んでくれ」
「ええエイル。魔界樹をエナジーで満たさなくてはなりませんものね」
「だいたい平日なら学校さぼれたのにわざわざ休日にくるしさー」
「って無視するな!」
「まあっ許せませんわ!」
「でもゆかり大丈夫かなぁ。ひどいことされてなきゃいいけど」
「くっそぉやっぱり地球人なんて嫌いだーーっ!」
「ああっエイルお待ちになって!」
「そういや伝説の樹の正体って魔界樹だったりして」
「聞こえてるなら相手してあげてもいいのだワン…」
しかし強引に魔界樹編を突破した2人の前に、今度は未来の世界から敵がやってくる。しかも5人の団体だ!
「この過激な末っ子におまかせですわルベウス様!」(コーアン)
「あら、相手はお子様ひとりですのん」(ベルチェ)
「これはもう勝ったも同然ね」(カラベラス)
「男なんてーーっ!」(ペッツ)
「フン!わが栄光あるブラック・ムーンに貴様などかなうはずもない!」(ルベウス)
うんざりしたヒーナスは問答無用でムクに顔を向ける。
「ムク、助っ人…」
「ああもうセーラジュピター、頼むのだワン!」
「あたしに任せとけよ!」
現れる緑のセーラー戦士。男っぽいが実は女の子らしいその正体は言うまでもない。
「で、あたしの必殺技は何だっけ?」
「うむ、シュープリームサンダーにスパークリングワイドプレッシャーだワン」
「そんなの使えるかーーーーっ!!!」
なんたる悲劇、セーラージュピターは雷が苦手だった!あやかしの四姉妹はすぐそこまで迫っているぞ!
「ダルク・ファイアー!」
「ダルク・ウォーター!」
「ダルク・サンダー!」
…カラベラスに必殺技ってあったっけ?
「ちょっとぉ!なんでもいいからサクッとやっつけちゃってよ!」
「くそっ、こうなったら最後の手段…。わが守護木星よ、嵐を起こせ!フラワー・ハリケーン!」
「うっ、目くらましか!?」
苦し紛れに原作版の技を繰り出す望。しかし風の技はウラヌスも使ってたはずですが。
「いいんだよ細かいことは!ジュピター・ココナッツ・サイクロン!!」
「うわああーーーっ!」
激しい戦いの中、頃合いを見て逃げ出すヒーナス。もはやムクも何も言わない。
「おーーっほっほっほっ!ようこそ貧弱な小娘ちゃん」(エスメロード)
「兄さん…」(サフィール)
「美しい…。愛している、セーラーヒーナス」(プリンス・デマンド)
「あにいきなり出てきて勝手なこと言ってんのよ!」
現れたブラックムーン幹部にムクの声が飛ぶ。
「セーラーマーキュリー、頼むのだワン!」
「…はい」
現れたのは勉強が趣味の心優しき秀才少女!
「未緒ちゃんじゃん」
名前を呼んだとたん眼鏡越しにキッ!とにらまれた。
「セーラーマーキュリーです」
「未緒キュリー?」
「マ・ー・キ・ュ・リ・ーですッ!そう思うことによってかろうじて自我を保ってるんですから邪魔しないでくださいッ!」
「は、はい…。どうもすいません…」
真面目な未緒にとってはこの格好は自我に関わるらしい。亜美ちゃんは平気だったようですが。
「そもそも我らブラックムーンはうんぬんかんぬん」
演説を始めるブラックムーンの長、デマンドに構わず、未緒は眼鏡を光らせるとびしっとサフィールを指さした。
「そこのあなた!実はブラコンでホモですね?」
「ええっ!い、いきなり何を言い出すんだ!」
「んまあ何てこと!」
「サフィール、気持ちは嬉しいが私たちは兄弟であって…」
「今よ!(キラリン) シャインアクアーーイリュージョンーーーー!」
ドーーン! 水煙が上がる中、未緒だけは敵に回すまいと誓いながらヒーナスは戦線を離脱した。
しかし今度はボロをまとった老人が空中に浮かんでいる。
『生命などという不浄なものはこの宇宙から消し去るのだ』
「なにあれっ!」
「よくわからなかった敵その1・ワイズマン=デスファントムだワン!セーラープルート、頼むのだワン!」
呼ばれて出てきたセーラー戦士は最初から怒っていた。
「なんでこの天才がこんな格好しなきゃならないのよ!」
「ぐぇっ苦しい」
「ほ、ほら紐ちゃん。あいつ倒さなきゃ世界征服できないって」
「なんですって、まさかあいつも世界征服を!?」
『地球を滅ぼし世界を暗黒に』
結奈の手にガーネットロッドが現れ、デスファントムに突きつける。
「邪魔者は…消去します!」
「じゃ、あと頼むね」
「デッド・スクリーーーム!!」
よくわからない敵とよくわからない技が激突する。すでにヒーナスはとっとと走り去っている。
「そろそろ終わり?」
「まだ半分も来てないのだワン」
「だーーっ!もういい加減にしてよっ!」
「んふふふふ。歳月は重いということなのだよヒーナス君」
次に現れたのは悪の教授と悪のOL集団だ。
「君だけが頼りだよ」(教授=ダイモーン・ゲルマトイド)
「おまかせください教授」(カオリナイト君)
「捕獲!」(ユージアル君)
「教授ぅ〜感動ですぅ〜」(ミメット君)
以下略。
「っておい!」(テルル君、ビリユイ君、シプリン君、プチロル君)
「あーまたぞろぞろと…」
頭を抱えるヒーナスに、どこからか花びらが舞ってくる。
「お待ちなさい!」
「誰!?」
ちゃっちゃーららーららー、らららーらーららーららー
「新たな時代に誘われて、セーラーウラヌス華麗に活躍なのだよ!ははははは、はーっはっはっはっ!」
「同じく、新たな時代に誘われて、セーラーネプチューン優雅に活躍ですわ!おほほほ、ほーっほっほっほ!」
「はーっはっはっは!」
「ほーっほっほっほ!」
「だーーっうるさいっ!」
強力な助っ人がウイッチーズ5と対峙する。緊迫した空気が流れる中…
「熱いわバカモノーー!」
教授の意味不明な叫びにレイ魅羅の技が炸裂する!
「ワールドーーー・シェイキング!!」
「ディーーープ・サブマーーージ!!」
ドーーン!
「あーんど、スペースソード・ブラスターー!」
「サブマリン・リフレクションですわーーー!」
ドドーーン!
「さらにスペースタービュレンス!!」
「サブマリンヴィオロンタイド!!」
「あの…もうそのへんにしといた方がよいのでは…」
「ムク、とっとと行くよ!」
ムクをひっつかんで駆け出すヒーナス。しかし今度は妖艶な美女が立ちはだかる。
「くくくっ、この聖杯によってマスターファラオ90が復活する」(ミストレス9)
『ギャオーーー』
「あ、あれはよくわからなかった敵その2、ファラオ90だワン!」
「んなこと言われたって…。きゃあっ!」
ファラオ90のよくわからない攻撃がヒーナスを襲う。これまでサボってきた彼女に避けるすべはない、その時!
「サイレンスウォーール!!」
大鎌によって攻撃が遮られ、小柄な美少女戦士が現れる。
「あの…大丈夫?」
「めぐめぐ!?」
「愛ちゃん、危険だワン!」
明らかに他と違うムクの対応だが、愛はにっこりと微笑んだ。
「大丈夫よムク。私は滅びの戦士セーラーサターンで一番強いらしいの」
「し、しかし…」
「あーわかったわかった。それじゃ後よろしくぅ!」
「ギャワーン!愛ちゃんと一緒に戦うのだワーーン!」
ムクを抱えてすたこらと逃げるヒーナスの後ろでサイレンスグレイブサプライズとデスリボーンレボリューションが炸裂するがそれに関係なく目の前に変なサーカス団が出現する。
「あ〜ら、可愛い娘じゃない。ボク好みだわん」(タイガーズアイ)
「そうですかぁ?ボクはもっと年上がいいですねぇ」(ホークスアイ)
「えーっ、ボクは美少年がいいな」(フィッシュアイ)
「なんかやたらオカマとかホモとかレズとかが多いアニメだね…」
「それが良いのだと作者は言っているワン」
「相手するあたしの身にもなってよ!」
「全然相手してないじゃないかワン…」
「そうですよぉ、朝日奈先輩」
「優美っぺ?」
「セーラー優美ムーンでーす」
優美ムーンがお祈りし、天に向かってベルを鳴らす。
「お願いお兄ちゃん、みんなの夢を守って!トゥインクル・エール!」
ブヒヒヒーーン
「…ヨッシー何やってんのよ」
「だーっうっせぇ!こういう役なんだから仕方ねぇだろ!」
馬のぬいぐるみを着た好雄はそそくさとアマゾントリオに歩み寄る。
「どうだ?お兄さんたち。いいデータそろってるぜ」
「あら、この娘なんていいわね〜」
「へぇ、男の子のデータもあるんだ」
「ま、女の子からの相談も引き受けてるからな」
「年増のデータはないんですか?ガキはお金持ってないから嫌ですよ」
「う…、こ、これから調べようじゃないか」
なにやら意気投合した男たちはいずこかへと去ってしまった。好雄は馬の格好のままなのでかなり間抜けだ。
一方の女の子たちは、むかむかと怒りながら先へと進んでいた。
「まったくお兄ちゃんたら、またあんなメモ帳作って!」
「ほんっと、あれだから振られてばっかなんだよね!」
『ゆめゆめ疑うことなかれ、夢みる子供の夢の夢』
続いて現れたのは小学生くらいの女の子4人組。ヒーナスがつんつんと優美ムーンのひじをつつく。
「子供相手なら優美っぺにちょうどいいじゃん?」
「あーっ、朝日奈先輩って優美のことそういう目で見てたんですか!?」
「あーあー、年増同士がケンカしちゃってみっともない」(ベスベス)
ひくっ
「ほんっと、これだからオバサンは嫌だよなぁ」(ジュンジュン)
「そんな引きつった顔してるともとから悪い顔が台無しですわよ?」(セレセレ)
「パラパラこの人たち嫌いー」(パラパラ)
むっかー
「あんなこと言ってるわよ優美っぺ!」
「うん!優美ムーン許さないんだから!ピンク・シュガー・ハーーートアタック!」
「それじゃ後よろしく」
「おい!」
子供のケンカを後に残して走り続けるヒーナス。ゆかりはまだ先なのか…。
「ええい、まったく役立たずどもだね!」(ジルコニア)
今度出てきたのは婆さんである。まったく色々いるものだ。
「『枯れ木も山の握り飯』ってことわざもあるよね」
「ひなちゃん…少し勉強した方がいいワン…」
「で、次誰」
「うぅ…かくなる上は真打ちだワン」
「な…何じゃこれは!」
虹色の光が降り注ぎ、ついに主人公が現れる!
「わたし虹野う沙希。性格は人よりちょっとおっちょこちょいでちょっと料理好きってとこかな。ある日犬のムクちゃんに変身ブローチを渡されて…」
「解説はいいからとっとと変身しなさいよ!」
「わ、わかったわひなちゃん!ムーンクライシスメーーイクアーーップ!」
根性でスーパー化したセーラームーンがいつもの決めポーズを取る。
「愛と正義のセーラー服美少女戦士セーラームーン!日本料理協会にかわっておしおきよ!」
「おのれ、白き月の者め!」
ジルコニアの姿が鏡に消え、真の姿を現したのは…
暗黒の女王ネヘレニア!
「うわっ悪そうなヤツ!沙希、ちゃちゃーっとやっつけちゃえ!」
「沙希ちゃん、レインボームーンハートエイクだワン!」
「ううん、この人も可哀想な人なんだと思うな」
「わ…わらわはいつも独りだった」
「でもこれからは違うわ!根性よ!」
「…じゃ、後頼むわ」
沙希にネヘレニアの補完を任せ、ついに最終シリーズ突入だ!
「やっと最終シリーズ…」
「あと一息だワン!」
そしてセーラーときめきギャラクシアに忠誠を誓った悪のセーラー戦士たちが次々と出現する。
「チュー!とうとうここまで来たのね!」(セーラーアイアンマウス)
「わたくし待ちくたびれておなかが空いてしまいましたわ」(セーラーアルーミナムセイレーン)
「ええい、そんな場合じゃないでしょーが!」(セーラーレッドクロウ)
「あなたのスターシードもいただくにゃん!」(セーラーティンにゃんこ)
これで歴代幹部も全員登場か?(最後がにゃんこってのがアレだが…)
「ムク、助っ人よ!」
「…いないワン」
「は?」
冗談ポイよ?というヒーナスの視線にムクは前足をついたままうなだれる。
「スターライツ3人をやってくれそうなキャラはもうときメモにはいないのだワン!」
「ちょっとぉぉ!んじゃこいつらどうすんのよ!」
「だいたいよく考えたら君はちっとも戦ってないのだワンーー!!」
「う゛…痛いトコ突いてくるし…」
ザコを従えつつじりじりと迫ってくるセーラーアニマメイツ。サクッと観念すると、ヒーナスは気持ちを切り替えて向き直った。
「わーったわよっ!やりゃいいんでしょやりゃあ!ヒーナス・ナイト&パレードショーーック!」
「リフレーッシュ!」
「クレンディングーー!」
「ラーブリィー!」
「ステージ・アウトーー!」
ヒーナスの最強技に敵はなし。次々と光の中へ消えていく。
「くっ、こうなったら私たちが!」
「クロウさん、なにか食べに行きません?」
「だーかーらーそういう場合じゃないって!」
「なんか親近感覚えるなぁ…」
「ヒーナス、2段変身だワン!」
ムクの取り出した三日月コンパクトを天にかざす。
「ムーンパワートランスフォーム!」
コンパクトの力が発動、よりセーラー服に近いコスチュームに変わり、赤のアイマスクが装着される!
「コードネームセーラーA!セーラー服美人戦士、セーラーヒーナス参上!」
「なにっ!」
「ヒーナスパワー。バイト代のクレジットシャワー、ふらせていただきますっ!」
ヒーナスの現実的なパワーで全員正気を取り戻す。皆ギャラクシアに操られていたのだ。
「あ、あれ?私たちは一体?」
「おなかが空いてしまいましたねぇ」
これですべての敵は消えた。残るは1人…
セーラーときめきギャラクシア!
「おのれ、虫けらの分際でここまで来ようとは!」
「ゆかり返しなさいよ!」
「夕子さ〜〜〜ん」
「ゆ、ゆかりぃぃ!」
銀河最強の戦士、セーラーときめきギャラクシア。なんかやたら強そうだ。
「さあ剣を取って戦え!」
「え、遠慮するあたしは」
「貴様に戦士としての誇りはないのか!」
「あるわけないのだワン…」
「うるっさい!」
ひたすらひいひいと逃げ回るヒーナス。これが彼女の戦い方なのか。
「夕子さんは力では何も解決しないとおっしゃりたいのですね〜」
「いや別にそーゆーわけでは…」
「おろかな!最強の力を持つこの私以外に誰が全銀河を守るというのだ!」
「そうやって1人で背負い込むことはないですよ〜。私たちもおりますし〜」
「ふざけるな!貴様らごとき虫けらとこの私を一緒にするなど…」
「私はこの世界が大好きです。みんなが守ろうとした、この世界を信じてますよ〜」
「う…うわぁぁぁ!」
パァァン!
ゆかりがギャラクシアと握手した瞬間彼女の中に巣くっていた邪悪なカオスが消し飛んだ。ヒーナスが呆然と見ている前で、本来の美しいセーラーときめきギャラクシアが現れる。
「ありがとうセーラー古式さん。あなたによって世界は救われました」
「いえいえ〜」
「なんでもセーラーつければいいってもんじゃないっしょ…」
「信じましょう、私の大好きなこの世界に住む人々を…」
スターシードを導いてギャラクシアは消える。長かった戦いもここに終結した。
「なんか5年くらい戦ってた気がするなぁ…」
「あの〜、ところで夕子さんのお仲間さんたちは?」
「え?あ、あははは。忘れよ忘れよ」
「ふざっけるんじゃないわよ!」
「あ、みなさんお揃いで…」
セーラーチーム総勢10名が大集結!これで地球の平和も安心だ。
「二度とやるわけないでしょ!」
「はっはっはっ、いい暇つぶしにはなったよ」
「あの…、やっぱり私キューティメグの方が…」
「あ、ちょっとっ!?」
即座に解散した。
あたし朝日奈夕子。17歳、高2。ごく普通の女の子だけど、実は地球を守る愛と正義のちょっと足りないセーラー服美少女戦士セーラーヒーナスなんよ。普段は変身ペンで遊んでるけど…。
「プロボーラーにへんしーん!それじゃボーリング場で遊んでこよっと」
「夕子さん、私たち来年は受験生ですよ〜」
「…だから何?」
「いいえ〜、なんでもないです〜」
「(もしかしてケンカ売られてるんだろーか…)」
<END>