タコの11.『新入り?』


ワイはグロッチや。
ダッチの兄ぃに危機一髪の所で救われて、気がついたらまむし組の一員になってもうた。
ワイの恩返しの年季は何時あけるんやろか?
遠い島に置いてきた妻子がちょっと気がかりや.......

いやぁ、最近は水曜日のたびに雨が降ってるカンジやなァ。
こんなに雨が降ったら、こんな露天のたこ焼き屋は客足が途絶えてまうわ。
買い込んでた、たこ焼き用の小麦粉が雨にぬれてメチャクチャやぁ。
も〜〜〜、ダッチの兄ィもイッチの兄ィも店をほったらかしにして、ドコいってるんやろ? ・・・おろ? なんや?
あっちから米俵載せた荷車ひいて来る、ちょいとぽちゃっとした色白のなんや弱そうな、、、ほんでもなんやメガネの奥の眼が鋭そうなヤツ。
ハラ減っとんか? あっ!! アイツ知っとうぞ!! 
なんでも病弱な包丁研ぎ師に夜中に無理やりドリンクバーおごらせるヤツや。

ほんでもどないしたんや? お〜〜〜い、そこのぉ!! どないしたんや?
えっ? ちょっと目を離したスキに米俵20俵盗まれた? で、荷台のは?
えっ? 摩り替えられた小麦粉? こ・む・ぎ・こ・・・。 (^ー^)にやり

ま、兄ぃちゃん兄ぃちゃん。こっちおいで。たこ焼きどないや? ん?
好きか? そーかそーか。食べたらえぇ、おぉん、かまへんかまへん。
ワイがおごるがなァ。 で、兄ぃちゃん名前はなんちゅうねん?
び・?びぃ? なんやヘンテコな名前やんか。
よっしゃ!! 兄ぃちゃんの呼び名は今日から「ビッチ」や。どや?
ええやろ?な?な? でなァ兄ぃちゃん。ちょっとの時間でえぇから、悪いんやけど、店番しといてくれへんか?な、な、頼むワな。

へっへっへ。。。
コレでワシも弟分ができたっちゅうワケや。
早速、ダッチの兄ぃやイッチの兄ぃ。そやそや、グッチの兄サンにも報告しとかんとアカンなァ。

あの「ビッチ」っちゅーのも、ワイと同じような体型やし...
もしかしたら、コイツを身代わりに大海原に帰れるかもしれん.....

楽しみやないの!! 早くあにぃたちを探しに行こっと....

残されたビッチ。

いやぁ。さっきは驚いたわ。
喋る象アザラシ初めてみた。
誘われるまま来たのはええが、このたこ焼き屋の屋台、誰もおらんけど?
お、残り物のたこ焼きあるやんか。ちょっと味見したろ....
モグモグモグ.....
しかしここのたこ焼き、美味いなぁ。家のタコヤキ機で焼いたやつとどこがちゃうんやろ?火力かなぁ?いやそうでも無さそうや。
ほなタコか?いや、タコも確かにええタコ使こうとるが、ちゃうなぁ。
ほななんでこんなに味がちゃうんや?
......................
わかった、出汁か!「秘伝の出汁」って書いてある!きっとこれや!

よっしゃ焼いてみよ。あんまりやったことないけど・・。
じゅわわわわ〜〜!んでタコ入れて、生姜、てんかす・・と。
ん?この小石は一体なんやろ?ていねいに洗ってあるけど・・。
まあええわ、ダシがわりに放り込め!

はふはふ。あ〜美味かった。作りおきの出汁全部使ったった。
代わりのやつ作っとかなあかんな。えーと小麦粉は・・・。
あれ、びちょびちょやん。どうすんねん、これ。
しゃあない、米と摩り替えられたあれ使おうか。

イッチ登場。たこ焼きを焼いているビッチを横目に見つつ.....

グロッチが、来てみィっていうから、わざわざ東京から来てみたら・・・
あれ?・・・誰か店におるでぇ・・・ダッチの兄ィ、誰かいますでぇ。
あれ、ダッチの兄ぃいないんかいな。
それに、なんで荷車なんかここにあるんかいな。
もしかしたら、この白いハンペン兄ちゃんのやろか?
へっへっへっ・・・この隙に、この荷車どっかに売り飛ばしてしまおう!
グッチ兄ィに上納金せなあかんし・・・。勝手にウチのたこ焼き食べ取るしな。
よいしょっ!・・・ふっふっふ・・・気がつかんな・・・。
そぅ〜っと、そぅ〜っと、な!

再びビッチ。
ん・・・・あれ?荷車がない!

グッチの兄貴。遠目でたこ焼き屋の屋台を眺めつつ。
「あの出汁のアザラシが、なんかギャーすか言うもんやから、久しぶりに店の様子見にきたら、なんや見かけん顔がチョロチョロしとるやないか!?新入りかいな?・・・。
ワイの許可なしで誰が新入りいれたんや?ん?
それにしても、エエ出汁取れそうなカラしとるなぁ〜・・・。
いっちょうこいつで金儲けしたろかいな・・クックックッ・・・。」

そこへ、再びグロッチ登場。
「あっ!! グッチのあにぃ。いましたやろ? ガタイのえぇのが。
まだ今のところ行くところなさそうなんで、ここで預かってもらえまへんやろか?
エッ? 連れて来てもよろしぃか? ほな、行ってきまっさ。」

ビッチの元へ這っていくグロッチ。
いやぁ〜〜〜。グッチのあにぃがエェと言うてくれんかったら、他に使い道を考えんとアカンとこやったな。
どないや? あ、まだおるがな。

「にいちゃん待たしたな、ゴメンやで。
どや? ウチのアニキがしばらく面倒見てやるって。
どない? いっぺん行ってみようや。な!!
えっ? 荷車がなくなってるて?
そんなもん、また稼いでこうたらエェがな。な!!

ほら、そこがあにぃの自宅兼事務所兼スタジオ兼え〜〜〜と、、、ま、なんでもえぇやん!! ん?? よく似た荷車があるって?
(いっちのあにぃ!! なんでもそのへんにったらかしにしたらアカンがな!!)
あぁ、似てるだけやろ。ちゃうヤツやで。
ささ、中に入って。
おぉ、そこに座って待っといてくれるか? 寒かったやろ?
今、風呂沸かしたるからな!!
いやいや、遠慮せんでもえぇって!! ホンマなんでもあらへんがな。ほな、ちょっと待っといてな。
ダレか来たら、ちゃんと挨拶しときよ。」

さ、グッチの兄貴に身代わりってことで大海原に返してもらう算段させてもらうわ。
と事務所側に移動するグロッチ。

そこへ、風呂上がりのトモッチの姉御。
「やっぱり<北陸の温泉の元>入れてぬくもったら気持ち良かったわぁ。
後は、ビール飲んで・・あれ?あんた誰や?なに?ビッチビチ?え?ちゃうの
ん?あぁ、ビッチ・・かいな。オもろい名前やけんど、新入りか?
まぁ、ええわ。丁度良かった・・。昨日ちょっと、ブイブイいわしすぎて右の肩がえろう凝ってたんやわぁ・・。ちょっと、もんでんかぁ・・。
そうそう、あんた、うまいやんか。中々見込みあるで。商売何してたんや?
え?米屋?米屋が何でこんなとこにおるんや?ふんふん・・。ZZzzz・・・。
あ、ごめんごめん・・、あんまり気持ちええさかい、寝てしも・・ZZZzz・・・。」
あまりの気持ちよさに寝てしまうトモッチの姉御。

肩もみしながら喋るビッチ.....
「いや、それでね。お姉さん、ここって一体なんなんですか?
・・・・・・・・・・・・・・・・。
ん?あ、寝てる。しかも眼ぇあけたまま・・・。」
一体なんなんや?風呂入れ言われたから来たら、今度は肩揉め言うし。
俺はこれでもれっきとした越後屋の番頭やねんぞ。
くそー、まだ寝てる。ぎゅーーーーっ!こんなにツネッテも起きへん。
死んでるんちゃうか?

あ、そうや!この人でこないだ覚えた膝十字固めの練習しよ!
ちょっと脚さわりまぁす。失礼します。えっと、こうやって、こうやって。
靭帯がきれるかどうかの瀬戸際での勝負がほんまのガチンコやって、
藤原組長もゆうとったな。ほらほらギブか?ギブか?
これで俺が腰をクイっと上げたら靭帯がプチッと・・「ブチ!」
うわ!「ブチッ」ってゆうた!やば!あ、口から泡出てきた。
どうしよ・・・・。あ、誰か来る!どうしよ!とりあえず風呂の中に潜ったろ。

「ん??なんか、ものすごい音がしたなぁ・・。」
ゆったりとチョッチ登場。が、現場を見た途端.....

「きゃ〜〜〜〜〜、トモッチ姐さん 大丈夫ですかぁ〜〜!!!!
うわっ、うわっ、うわっ・・・どうしよ〜!!!(T-T)」

とパニック状態で組事務所側に駆け込む。

チョッチが去った後......風呂に沈んで隠れていたビッチが顔を出し....

ああ、めっちゃ危なかった。とっさに風呂に飛び込んだから
たぶん見られてないはずや。確か入ってきたのは女の子やったな。
あの子のせいにしてやろ!

しかしこの風呂めちゃくちゃ熱いやんけ。沸騰してるんちゃうん?
しかも何このお湯の色・・・。そこの方になんか色々沈んでるけど・・。
うわ!鶏の頭やん。それにもう一つこれは・・牛のあばら?
風呂のお湯にこんなに油がういてるってことは・・・。
まさか!まさか!これって!あろまてらぴー?
健康によさそうやなぁ〜。じゅる。

実は物陰からそぉーっと見ていたグロッチ。
ただ、身体が大きいので隠れ切れてはいないが.....

「…なんや? 湯が減っていきよるんとちゃうか? ん?
あっ!! ビッチ…飲んでるがな…!!
やめ、ヤメ!! やめんかぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!
やば、ワイは逃げるで......」

そして、満足げなビッチ。
「げぷ! いつものくせで飲んでもうた。
家ではいっつもカルピス風呂やけど、ここのんも結構ええ味やな。
はぁ、苦しい。ちょっとそのへんで横になろ。ZZZZZ・・・。 」

そこへダッチ登場。
「あれ?グロ公またこんなとこで寝てもうとるやんけ。も〜またグッチの兄貴にどやされっどぉ。」
................
「あ〜〜〜〜っ!!!!姐さんっ!大丈夫でっ・・・・・・うわぁええ眺めや。(*^Q^*)ジュル
・・やてゆうてるバヤイとちゃうな、姐さんっ!
グロ公が何かしよりましたんかっ?

・・・ちゃう、ちゃうぞ。
グロ公に体型はよぉ似とるけど・・・誰やこいつ?」

ビッチの顔をのぞき込むダッチ。
「なんやコイツ。ハンペンみたいかと思っとったら、ホンマにハンペンみたいに出汁全部すってしもうたんかい。
オラ、起きんかい。ボケ。」

ビッチをドつくダッチ。
だが、起きないビッチ。キレるダッチ。

「お〜お〜、起きんけワレぇ〜〜!
ワレ何者んじゃい誰の許し得てここにおるんじゃ姐さんに何しよったんじゃ名乗らんかい!!はい住所氏名年齢電話番号生年月日ここに書いて提出して期限は今日いっぱいあのぉ〜ご趣味は何言うてんのやろ俺おらおらとりあえずこっから出ぇ向こうでゆっくり話聞かしてもらおやないか〜!!!」

即座にビッチはお縄になり、まむし組内引き回しの上、下働き決定!!!もちろん年季は無制限。
もちろん、変な新入りを連れてきて、出汁を無駄にしたグロッチの年季奉公があけるわけはなかった。

今回の作品は、グロッチさん・ビッチさん・イッチさん・グッチさん・トモッチさん・チョッチさん・ダッチさんの投稿を元に作成いたしました。

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