タコの6.『兄弟ぇ』


わいはダッチや。
まむし組の構成員で、グッチの兄貴の下に付かしてもろてる。

ある日グッチの兄貴がトモッチの姐さんと、イッチたらちゅう新入りを連れて来はった。
住之江で行き倒れに成りかかっとったらしい。

なんでもあの、象アザラシのダシで作ったタコヤキ食うて、タマつなぎよったらしい。運のええヤツやで。

わいも半信半疑やったけど、姐さんの言うとおりやったわ。
あの象アザラシ、見かけのゴッツさからは想像でけへん上品なええダシが出る。

最初はちょいと気色悪ぅて食われへんかったけどな。(笑)

こないだグッチの兄貴に事ム所呼ばれたんで、早うに顔を出したんや。
ほたらイッチの野郎がおった。

何を言われるんやと思たら、
「ダッチ、ええか、これからお前このイッチと組め。兄弟分や。
五分と五分やで、ええな。・・・なんや不満そうやな。
お前、知らんやろうけど、ごっつい技持っとるねん、こいつ。
・・・イッチ、見せたれや。」

突然イッチが歌い出しよった。またこれがうまいんや。
・・・えらいええ気持ちになって来たなぁ思たら、イッチの奴、横の水槽に泳がしたったタコに手を伸ばしよった。

目にも止らん速さやった。ごっつぅビビったでぇ。
2分と経たんと、タコ一匹を賽の目切りや。

この仕込み、慣れとるやつでも5分はかかる。
しかも歌で酔わせとるさかいにその身の甘いこと。
あとでわかったけど時間が経っても固ぅなれへんねん。

わい、思わず拍手してしもたがな。

「納得したやろ?ほたら行って来いや。今日は天六やったな。
イッチ、ダッチや。段取り教えてもらえや。」
「へい、兄さん、よろしゅうおたの申します。」
「水くさいこと言うなや、兄弟。こっちこそよろしゅうにな。」

付き合ぉてみたら、ごっつええ奴や。仕事も楽しぃなったし、万々歳や。

「出会い」なんたらちゅうカッコのええもんちゃうけどな。
ま、顛末はこんなもんや。
慣れん事して頭使ぉたさかい、ボォ〜としとるわ。

もぉ、書けへんど。

・・・え、わいの必殺技か?へへ、そら秘密や。
なんちゅうても人に言うてしもたら必殺技になれへんさかいな。へへ。

今回の外伝は京都にお住まいのダッチさんの投稿によるものです。
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