この作品は「ONE〜輝く季節へ〜」(c)Tacticsの世界及びキャラクターを借りて創作されています。
瑞佳シナリオに関するネタバレをちょっと含みます。

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繭の乙女日記






○月×日

 ななせのおねえちゃんが”おとめ”になりたいらしい。
 いつもおせわになってるので、きょうりょくしようとおもう。みゅー。

「え、ほ、本気?」
「うんっ」
「ふ、ふーん、結構可愛いとこあるじゃない」
 おねえちゃんはうれしそうだ。繭もうれしい。みゅー♪
「…ってあんた、乙女が何だか知ってるんでしょうね」
「コシヒカリ」
「そりゃお米じゃぁぁぁっっ!!」
 かるいジョークだもぅん…。
「みゅー、せんせいをつれてきた」
「ち、ちょっと繭。わたしなんて無理だよ〜」
 みずかおねえちゃん。すくなくともななせおねえちゃんよりはおとめだとおもう。
「いらんお世話じゃっ! …ま、まあ確かにあたしも瑞佳は女の子らしいと思ってたけどね」
「そ、そんな〜」(てれてれ)
「ということで乙女の秘訣を教えなさい! さあ今すぐに!」
「え、えっと、そうだね。とりあえず彼氏に騙されて他の男に襲われて、ついでに笑って許したりするといいと思うよ」
「さよなら。あたしに乙女は無理だったわ」
「早っ」
 うくー、こんじょうなし…。
「常人にできるかぁぁっ! ボケぇっ!!」
「わたしが常人じゃないみたいな言い方だよ…」
「そう聞こえなかったとしたら、あたしの言い方が悪かったのね!」(銀英伝風)
「…七瀬さんのお弁当に雪印の牛乳入れてやるもん」
 みずかおねえちゃんは、ふきつなことばをのこしてさっていった。うくー。
「はぁぅっ…。やっぱこのゲームにまともな奴なんていないんだぁっ…」
「あんたもな」
「…繭、何か言った?」
「みゅ?」
「‥‥‥」
 とりあえず、つぎのせんせいをつれてくる。
「みゅ〜」
「…こんにちは」
「里村さん…。確かにあなたも常々乙女っぽいとは思ってたわ」
「…光栄です。ところで女の子といえば甘い物ですね」
「なんかいきなりオチが見えたわね…」
 どん
 あかねさんは『さんようどう』とかかれたはこをつくえにおいた。
「この劇甘ワッフルこそ乙女の証。ワッフル食べざる者乙女にあらず、いわば乙女とは大部分がワッフルで構成されているようなものです」
 すざざざざざざ
「…何で逃げるんですか?」
「そ、それ、前に折原が死ぬほど甘いって言ってたわよっ!」
「それは悪質なデマです。甘すぎるとか言う奴は全員反逆罪で死刑」
「ひ〜〜〜」
 ななせおねえちゃんがおびえているので、繭がたべてみる。みゅー。
 もぐもぐ。
「うぐっ…うわぁぁぁーーーん!!」
「分かりやすい反応ね…」
「泣くほどおいしいのでしょう」
「うぐぅっ…あますぎっ…!」
「…七瀬さんのお弁当にサッカリン入れてあげます」
 あかねさんはそういいのこしてさっていった。
 ななせおねえちゃんのおべんとうは、すごいことになりそうだ。
「ちょっとーっ! なんであたしなのよーっ!」
「みゅー、繭のおひるはハンバーガー」
「ぐっ…。
 はぁっ…もういいわ、繭。今までありがと…」
「うくー…」
 ぜんぜんやくにたたなかった。かなしい。
「うくー…うぐっ…ひっく…」
「だーーっ! 泣くなっ、わかったわかった。で、続きは?」
「みゅーっ♪」
「え、外?」

 ななせおねえちゃんのてをひいて、ろうかをあるきまわった。
「ったく、しょうがないわねっ…」
「みゅ、あのひとおとめっぽい」
「え、どこどこ?」
 くろいかみの3ねんせい。みためはおじょうさまみたい。
 あとをつける。みゅー。
「おなかすいたよ〜」
「(なんであたしこんなことしてんだろ…)」
「あっ」
 ごっつーーん!
「いてててて」
 ろうかのまがりかどで、だれかとぶつかっていた。
 みゅ、こーへいおにいちゃんだった。
「う〜、いたいよ〜。浩平君ひどいよ〜」
「悪い悪い。まあいつものことだ、気にするな」
「いつかお返しするよ〜」
 なみだめで、おでこをおさえている。
 かわいい。みゅー。
『ぐあっ』とかいってじめんにはいつくばるひととはおおちがい。
「ほっとけっ! …ま、まあ確かに、同じぶつかるでもああいう反応の方が可愛いかもね」
「うんっ」
 ということで、さくせんをかいしした。
「♪」
「ん、なんだ椎名」
「みゅーっ!」
「っておい、なぜ背中を押す!」
 おもいっきりろうかをはしる。まがりかどでとびだすおねえちゃん。
「きゃあっ!」
 ごっつーーん!
 おでこをおさえて、めをうるうるさせるおねえちゃん。
「いったぁ〜い。ひどいよ折原〜」

 ‥‥‥‥‥。

「ぞわっ」
「‥‥‥‥。何が『ぞわっ』じゃぁぁぁっ!!」
「他にどう反応しろというんだ」
「うん、とうぜんのりあくしょん」
「繭ーーーッ!!」
 はっ、ついくちがすべったもぅん…。
「もういいっ! どうせあたしに乙女なんか似合わないわよっ!」(ダッ)
「みゅー!」
「結局オレは何だったんだ?」
 はしっていくおねえちゃんを、ひっしでおいかける。
「ついてこないでよっ! あんたになんて…」
「みゅー!」
「って、ぎゃーー!」
「あきらめちゃいけないんだもぅん…」
「わかった、わかったから髪引っ張るなーーっ!」
 どんがらがっしゃーーん!
 きゅうにきこえたすごいおと。
 かおをあげると、そっちはたいいくかんだ。
「な、何だろ。行ってみましょ」
「うんっ」
「そういえば今日って演劇部の公演があったのよね…」
 たいいくかんうらにいってみると、きれいなおんなのひとがたおれていた。
『ぶ、部長さんがたいへんなの〜!』
「だ、大丈夫よ上月さん。ちょっとひねっただけ…つっ!」
『その足じゃ無理なの! 安静にしてるの!』
「くっ、だ、だってあと10分で開幕なのよ!?」
『…澪が喋れたら代わりに出られたのに…くやしいの』
「上月さん…自分のことをそんな風に言うもんじゃないわ」
 なんだかしりあすなてんかい。でもちゃんす。
 くいくい
「ん、何よ繭」
「みゅー」
「あ、あたしに代わりに出ろって? 嫌よっ、どうせカバの役とかいう展開に決まってるわっ!」
「…うー」
「うっ…。そ、そうね。困っている人を見過ごせないか…。わしゃあ乙女じゃけんの!」
 いみもなくはかたべんになったおねえちゃんは、おんなのひとにこえをかけた。
「あの、あたしでよければ手伝いましょうか?」
「本当!? 助かるわ! それじゃこの衣装に着替えて。劇の名は『大正探偵』よ」
「またマイナーなネタを…」
『台詞はスケッチブックで教えるの』
「がんばるんだもぅん」
 きゃくせきからおうえんする。みゅー。
 まくがあいて、きものすがたのおねえちゃんがでてきた。がんばれ。
 ぶたいうらから、リボンのこがせりふをみせる。
『暫くの間、河豚を食べてないわね』
「しばらくのあいだ、…ふぐをたべてないわね」
『一寸待って、巻繊汁を飲んで吃逆が止まらないのよ』
「い、いっすん…え?」
『魚籠の虹鱒の背鰭には、湯湯婆の様な大蒜があるわ』
「読めるかーーー!!」
『読むの』
 ななせおねえちゃんだいぴんち。うくー…どうしよう。
 そんなとき、てんごくからみゅーのこえがきこえた。
『繭、きみの力を信じるんだ!』
 みゅー…
 うんっ…がんばるもぅん!
「とびいり!」
「こ、こらっ! 勝手に舞台に…」
「そういえば最近、長森さんの行動に不条理な点を感じるわ。自分の席が廊下側にも関わらず、いやに窓側の列をうろつくことが多いの。参考になったかしら?」
「繭っ!?」(ガビーン)
「そうね。やれるだけのことはやってあげる。でも、ひとつだけ忠告。この件には深入りしないことね」
「大事件だぁ!」
「す、すごいわ椎名さん。女優の鑑だわ!」
『十年に一度の演技の天才なの』
「結局声優ネタかいっ…」
 じょうないわれんばかりのだいかっさい。
 いろんなひとにありがとう。そしてさようなら。みゅー。
「あたしはどうなるんじゃいっ!」


「てりやきと…てりやきと…てりやき」
 ほうかごに、ハンバーガーやさんにやってきた。
 どかっとこしをおろすおねえちゃん。
「はぁっ…。今日は疲れたあっ…」
「…みゅー」
「あ、じ、冗談よ。まあ楽しかったわよ」
「みゅー♪」
「…ったくもう、しょうがないわねっ」
 おっきなハンバーガー。わらってたべるおねえちゃん。繭もたべる。
 おいしい。みゅー。
「繭、それおいしそうね。一口よこしなさいよ」
「みゅーっ」
「あ、このーっ!」
 いっしょにたべるハンバーガー。むかしとおなじ。
 すごくおいしいから、やっぱりおねえちゃんはおとめだとおもった。まる。





<END>




※繭とヒロインドリームの音夢はどちらも大谷育江さんが声を当ててまして…
って説明しなきゃわからんネタを使うなよ。

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