王女と盗賊:後書き



「貴顕淑女という奴らを、おれが好きになれんのは、奴らは他人に奉仕してもらうことを当然だと思っているからだ。兵士が死ぬのも当然、農民が税を収めるのも当然、自分らが贅沢をするのも当然と思っていやがるんだ」
 メルレインは長靴の底で床を蹴りつけた。
「それに、世の中にはけっこうあほうがいやがる。奴隷や自由民が苦しい目にあうのは当然だが、王族や貴族が苦難にあうのは傷ましいと思っているのさ。奴隷が餓死するのを平然と見殺しにする奴が、国を追われて飢えている王子様には食物をめぐんでやったりするんだ。だけどな、民衆を置き去りにして、財宝だけはしっかり持って逃げ出すような奴らを、何だって無料で助けてやらなきゃならないんだよ!」

(田中芳樹「アルスラーン戦記」4巻、「汗血公路」より)


 物質的困窮と精神的困窮では前者の方が上ではないかと思ってます。いや不幸に量もなにもないのですが、寂しいとか自分が嫌いとか結局は自分の心の問題であるのに対し、食べ物がないとか生きていけないというのは自分じゃどうにもなりませんから。そんなわけで「周りに構ってもらえなくて寂しい」なんてレミットの不幸は(ウェンディもかなー)リラから見ればふざけんな^10くらいふざけた話でしょう。
 それでも私はレミット萌えなので敢えてこんな話になるのですが(笑)
 レミットも1人の人間だし幸せになる資格はある。というかアイリスさんがいる時点で幸せ者です。レミットは自分が不幸だと思ってるわけじゃないけど幸せだとも思ってないのは単に何かに焦って周りが見えないだけでしょう。それに気づいたときがレミットの旅の終わりと思います。
 「幸せ」というのはつくづく曖昧で、文中での「普通に泣いたり笑ったりして家族や友達がいる」ってのもリラから見ての幸せの状態だし、それが万人に幸せとも限らない。ただイベント「しあわせの意味」で現れるようにリラは「ほしいものは自分の力で手に入れろ」という考えです。その意味でレミットと同じ方向を向いてるのではと。いやレミットが魔宝求めるのは彼女なりの戦いだと考えてます。時々主人公の前で弱気が出ますけど(笑)。
 リラは強いし95%は自分に満足してるだろうけど、残り5%くらい欠片があるのではないかな?なんか読み返すと単なる貧乏人のひがみみたいな気もしますが(それは作者がそうだから(^^;)、16歳でそこまで悟るのは無理でしょうってことで。

# タイトルは「王子とこじき」のパクリです。←でもどんな話か忘れた(爆)

# 余談ですがリラが一番嫌いそうなのは若葉じゃないかとも思います(^^; リリトを逃がすあたりリラがいたらぶん殴ってたかも。

##なんつーか考察が先にあったからとはいえセリフとモノローグに頼り切りですねぇ。いつもいつも何とかしようとは思ってるんですが…。


(97/12/12)   



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