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この作品は18禁ソフト「To Heart」(c)Leafとサンデーコミックス「究極超人あ〜る」
(c)ゆうきまさみの世界及びキャラクターを借りて創作されています。
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究極超人まるち




 相変わらず人の集まらない格闘技同好会。しかしそんな中でも、戦う後輩こと松原葵はめげずに元気だった。
「どぅわーいじゃうぶ!むわーかせて!今日はうちの学年の生徒を1名連れてきました」
「そ、そうなのか?葵ちゃん」
「もわ〜〜〜〜かして!」
 はたして葵が手招きしたのは、いかにもまぬけそうなロボットである。
「やあ、マルチ・HMX−12だよ。ごはんを食べなくてもおなかがすかないじゃないですか」
「そんなことを言う奴は関節技だ!」
「あうあう」
 呆然とする浩之の前でマルチに関節技を仕掛ける葵。その瞬間ベキッという音とともにマルチの首がもげた。
「うげげーーっ!なんだこいつ!」
 あわててあたふたと首を装着するマルチ。
「お…おまえ…。ロボットだったのかっ!」(気づけよ)
「う…。ち…違うよ」
「なーにがちがう?」
「ホームメイドだよ」
「同じだバカ者!」
「葵ちゃん、さすがにロボットを入部させるのはまずいんじゃ…」
 思わず止める浩之に葵がぎゅっと拳を握る。
「(こんなおもしろいものほかのクラブにやってたまるか!)
 うーむよしよし、今日から君はりっぱな我々の仲間だ!」
「葵ちゃんっ!?」
「格闘家というのはえらいのだ。自覚しろ自覚!」
 その言葉に不意に目つきの変わるマルチ。
「格闘家は…えらい。
 うむ、えらい!」(ポーン)
「わかってんのかな?やれるか?」
「まかせなさい。わたしが格闘家になったからには…、3年で来栖川電工を優勝の狙えるチームにしてみせます!」
「カン違いしてる!やっぱりなにかカン違いしてる!」


 さて3人に増えた格闘技同好会。早めに来た浩之が神社で後輩たちを待っていると、マルチが自転車に乗って坂道を登ってきた。
「おはやう」
「おはやう」
 ピースサインで挨拶を交わす2人。しかしマルチが轟天号を片づけている最中に、茂みをかきわけて教師が顔を出してくる。
「マルチ!今日は補習だと言っとろうが!」
「あああっ」
「ほ、補習!?マルチの頭っていわばコンピュータでしょ?」
「人並みなんだよそいつの頭は!」
「…よくできてるなぁ」
「よくできてますねぇ」
 さやうなら〜、と縄をつけられて引きずられていくマルチが消えて暫く後、葵がずかずかとやってくる。
「おや?マルチの姿が見えんようですが」
「今補習に連れてかれたよ」
「けしからんなー。今度出てきたら関節技だ!」
「(ここまで横暴な後輩がかつていただろうか…)」
「ところで午前中先輩が言っていた新外人というのは?」
「そろそろ来るころだけど…」
「ヘロウ」
 タイミング良く現れたのはいかにもうさんくさげなハーフである。
「なるほど…金髪なのは認める」
「イエースイエース。HAHAHAHAHA!」
「胸が大きいのも外国人キャラのお約束と認めよう」
「大きなお世話だ」
「なにか言いました?」
「ホワット?」
「ところでスワン・ホワイトさん」
「OH、そんないかがわしい名前じゃないヨ。私には宮内レミィという立派な名前があるノ!」

 み…宮内レミィ……!!

「もう少し気のきいたリングネームは思い浮かばなかったんですか?」
「リングネームじゃない、本名ネ!!」
「あっはっはっ」
 そこへいきなり旗持ったマルチが飛び出してくる。
「日米友好熱烈歓迎! うぇるかむアメリカ人!」

 ‥‥‥‥‥‥‥。
 しーん
「せっかく補習の合間をぬってきたんだからみなさんも乗ってくださいよ」
「なんて間の悪いやつだ」
「今話がこじれてる真っ最中なんだよ」
「それはいけません。薬を飲んで寝てしまうべきでしたね」
「カゼの話をしてるんじゃぁない!」
 てんやわんやの同好会。レミィは目を光らせると、不意に力強く断言した。
「ヨーシ、入部するヨ」
「はい?今なんと言いました片桐彩子」
「宮内レミィ!みんな武道の心得がわかってナイね。私はここに入部して…
 ユーの根性を…たたきなおしてやる!」ABESHI!(アメリカンコミックスのまねっ!)
 一瞬きょとんとした葵が、ポンポンとレミィの肩を叩いた。
「なんだ、やればできるじゃないですか」
「は?」
「葵さん葵さん、そういう技ならわたしも開発してきたんですよ。
 瞬間芸だからしっかりと見てくださいよ」
 そう言ってマルチは耳のセンサーを外すと手に装着した。
「ドライヤー」


「わーっ!読者がぼーぜんとしてる!」
「大バカ者ーーーっ!!」(スパァァン)
「いたいじゃないですか」
「(しまった…。早まったかもしれなイ…)」




「マルチさん、あなたは堕落しました」
 ビッ
 ビッ
 ビッ
 神社にたむろする浩之、レミィ、葵を次々指さす謎の美人ロボット。
「(たしかに堕落したかもしれない…)」
「(ダラク…ダラクは…あざなえる縄のごとし…。違うネ)」
「(堕落はいかん。まぬけは仕方ないが堕落だけはいかん!)」
「‥‥違う‥‥‥。あなたたちはマルチさんじゃないわ!」(ダッ!)
「あたりまえだ」
 涙ながらに走り去ったロボットと入れ違いに、マルチがモップ抱えて歩いてくる。
「ああ…。墜ちていく!」
「モップ抱えて墜ちていくんじゃない!」
 墜落
 レミィが地面に木の枝でそんな字を書いた。
「試験の結果にまったく自信が持てないんです。もうどうにでもしてください」
「それとモップになんの関係があるんだ?」
「ですからこれからヤケ掃除をするんです」
 そこへ美人ロボットが戻ってくる。
「マルチさん、あなたは堕落しました」
 ‥‥‥‥‥‥‥‥。
「ほら」
「なにが『ほら』だ」
「わははははは!どーだマルチ、美人の姉妹がいてうれしかろう!」
 いきなり大笑いしながら登場する白衣に眼鏡の変なおっさん。マルチはわなわなと震えながら、そのおっさんを指さした。
「そ…その人はお父さんだ!」
「は?」
「む!(ぺち) むむ!
 おーおーおーおーおーおー」
 ひとしきり歩き回った後白衣を直す。
「いかにもわたしが開発主任の長瀬である」
「マルチさん、あなたの作られた目的は世界征服のためだったはずです」
 セリオの言葉に目を丸くする同好会一同。
「せ、世界征服?」
「世界征服というと…。世界中すべての人が制服を着てるということではないでしょうか」
「おまえはしゃべるな」
「わたしには向いてないんですよ」
「そう、なまじ安逸な高校生活など体験したために腐りきってしまったマルチに代わり、セリオおまえが世界征服の指揮をとるのだ!」
「はい、お父様」
「わたしは社の上層部に復讐してやるんだぁぁぁっ!」
「(な…なにがあったんだろう?)」
「では失敬失敬」
「うぬ!なんということだ!」
 そそくさと立ち去る長瀬とセリオ。葵が無意味に力み、ほどなくして学校の方から爆音が聞こえ、志保が駆けてくるのが見えた。
「た、大変よぉ!学校が変なおっさんに占領されたぁっ!」
「なにぃっ!」

 学校へ向け走る格闘技同好会!しかしマルチだけはうかぬ顔だった。
「ああ…。わたしはどうしたらいいんだ」
「なにを悩むことがある?長瀬主任の野望はわれわれの手で叩きつぶすのだ」
「どーやって?」
「どーやって?」
「俺に聞くなよ!」
 校門に近づく一行。しかしロボット部隊を引き連れたセリオが立ちはだかった。
「マルチさん、格闘技同好会に味方するならあなたもお父様の敵とみなします」
「ああっ、わたしは親不孝者だったのか…」
 マルチの苦悩をよそにロボット部隊に突撃する同好会一同。炸裂する葵の崩拳、レミィがどこから取り出したのか弓矢を打ちまくる。しかし唯一素人の浩之はあっさり敵につかまった。
「うわあああ!」
「Oh!ヒロユキ!」
「マルチ、追え!」
「まてぇ」(ばたばたばた)

 長瀬が学校を改造して作った科学要塞に浩之は連れ込まれた。
「ようこそ少年。なに、別にハーレムを作ろうというのではないから安心したまえ」
「変態かおのれは!」
「なまいきなやつだこうしてやる。ほれほれ変なカオだ」
「あががががが」
 口をびろ〜んと伸ばされる浩之最大のピンチ。しかしそこにマルチが乱入してくる!
「マルチ!」
「お父さんもうやめてくださいよ。さもないとわたしはお父さんの作ったものを片っ端から壊していきますよ」
「(ドキッ)」(←セリオ)
「ほほう、おまえの破壊速度とわたしの製造速度…どちらが速いかな?」
 突如長瀬の背後に長瀬と同じ姿の人影が現れる。
「この日のために開発したメカ長瀬だ。こいつの開発速度はすごいぞ!」
「にばーいにばーい」
「しかも頭脳はわたしと同等のものをもっている」
「なに!そうだったのか。では私が世界を征服してもかまわんわけだな」
 ガンッ! 行数節約のためいきなりメカ長瀬に殴り倒される長瀬主任。
「ああっ、お父さんをひどい目にあわせるおまえなんかお父さんじゃないぞ」
「あたりまえだ」
「えーとえーと…」
「なにが言いたいんだなにが?」
「お父さんを傷つけて世界制服をたくらむお前なんか…わたしが許さないぞ!」
「面白い!きさまは分解して都合のいいように作りかえてやるわ!」
 分解モードにチェンジするメカ長瀬に、マルチはしっかと浩之の手を握る。
「逃げましょう、地の果てまで」
「あいつを許さないんじゃなかったのか!?」
「そりゃもう、許しませんけどね」
「‥‥‥‥‥」
「許さなければどーするというのだっ!」
 バキャッ!
 そして始まる熾烈な戦い。もともと安普請の科学要塞はとばっちりを受けて崩れ始め、外でも芹香の命令で幽霊部員たちが要塞の解体を始めた。
「みなさん…ここでお別れです」
「どういうことだマルチ!」
 崩壊していく要塞の中でメカ長瀬に組み付かれてしまったマルチ。
「勝てばお父さんに会わせる顔がありません。負ければ…」
「うぬ!きさまネジ穴はどこにあるのだ」
「わたしはなんだかわからないものに改造されてしまうでしょう」
「そのとーり!頭の中までバラして、わたしの忠実な手下にしてやる」
「マルチを離…うわぁ!」
 ドドドドドドド
 一気に落ちてくる天井にマルチとメカ長瀬の姿は消える。浩之の叫びも轟音にかき消され、科学要塞はガレキの山と消えた。
「生みの親と同じ能力をもったロボットにはやはりかなわなかったか…」
「いやあ、それはわからんよ」
 苦渋の表情の葵に、いつの間にか脱出した長瀬(本物)がしみじみと答える。
「日本でもそら、2千年前の蓮の実が花を咲かせたことがあるじゃないか」
「なにを意味不明のこと口走ってるんだ!」
「だれのせいでこんなことになったと思ってる!」
「反省がないぞ反省が!」(げしっげしっ)
 こうして…マルチはガレキの下に消えてしまったのだ。
 すべての謎を残したまま…


<終>

<終>







「よーし、今日も格闘技の特訓をするぞ!セリオ、組み手の用意だ」
「なぜ私が格闘技をしなくてはならないのですか?」
「おまえの姉妹は立派な格闘家を目指していたぞ」
「(武器が使えないとつまらないネ…)」
 いつものように部活を続ける格闘技同好会。しかしふと見ると浩之が神社のお堂をじっと見つめている。
「藤田先輩!そろそろ練習を始め…。?」
 お堂の下からガサゴソと音が聞こえる。呆然としている浩之の前でひょっこりと頭を出したのは…
「あ、ああーーーっ!!」
「ガレキの下をはいずり回っているうちに道に迷ってしまったじゃないですか」

 そう。

 マルチはいつだって道に迷ってるんだ。
 俺たちはそんなマルチが大好きだ!

「お父さんには内緒ですよ」




とりあえず…<完>



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