【注】センチメンタルグラフティとセンチメンタルジャーニー両方のネタを含みます(^^;




センチメンタルメロディ 〜あの日のままの君でいて〜





「あなたに…あ・い・た・い」

 現実世界に戻って平和に暮らしていた俺のところへ飛び込んできた謎の手紙。自分の名を名乗るというこの世の常識を知らないあたり異世界人に違いない。そう判断した俺は再度鉄骨に飛び込んであちらへ旅立ったのだった。
「フッ、またこちらへ来たのですね。幻の主人公さん」(ポロロン)
「なんで幻なんだよ…」
「フッ、すべては星々の導いた運命なのです」(ポロロン)
「ええい勝手に言ってろ」
 相変わらず意味不明な言葉を吐きまくるロクサーヌを後に、俺は女の子を探し始めた。
「こんな手紙をよこしそうなのはやっぱりウェンディかな…」
 男嫌いで、魚が好きな女の子だったっけ…などと考えながらパーリアの街を歩いていると、当人が男に絡まれている。
「へっへっへっ、ちょっと観光案内を」
「ひどい、あんまりです。私こうなる運命なのね…」
「(これはまずい) ごめん遅れちゃって」
「ちぇっ、彼氏つきかよ」
 退散するナンパ男。なのにウェンディは礼も言わずにスタスタ歩き出す。
「おい、ウェンディ」
「私を助けてどうしようっていうんです!?」(キッ!)
「助けたのに損した気分だ…」
「男の人なんて信用できません。乱暴だし、すぐエッチな目で見るんだから。ちゃんと私の気持ちをわかってくれる人どこかにいないかな…」
 こ、この女ちっとも変わっちゃいねえッ!まさにあの日の君のまま。二度と会いに来るもんかぁぁぁっ!
 しかし手紙を出したのは誰なんだろう…。そうだ楊雲。他の人には見えないものが見えるばかりに、周りから仲間外れにされてた女の子だった。最近は少し明るくなったとフィリーが言ってたけど…
「あっ、ダーリン。お久しぶりだりゅ〜ん」
「変わりすぎーー!!(ガビーン) 何だ楊雲そのりゅんは!」
「やんりゅんって呼んでほしいんだりゅん! これは『影の民語』だりゅん。ちなみに『ダーリン』は影の民語の2人称なんだりゅん」
「やんりゅん様は影の民の文化を守っていくことに決めたんですりゅん」
「美月さんまで!」
「さっ、めいりゅぇん。せっかくだから占いでもしてあげようりゅん」
「わかりましたりゅん」
「い、いや俺はこれから寄るとこあるからそれじゃっ」
「バイバイりゅ〜〜ん」
 うわあーーっあんなん楊雲じゃないっ!やり直しを要求するーーっ!!その後もアルザにはバイトと間違われて食堂でこき使われるし、メイヤーは「着物は歴史的遺産なのです!」とか言って俺に着せようとするし、カイルにはブリティッシュ魔族ロックを数時間聞かされるし、勤労花屋バイト少女は友達扱いしかしてくれないし、ティナは妄想詩人になってるし、リラはレディになってるし(笑)、若葉の家に行けば厳格な兄が神姫艶と黒夜叉で斬りかかってくるし、結局ほうほうのていで現実世界に逃げ戻った。やはり思い出は美しいままそっとしておいた方が良かったらしい。さようなら異世界。EM2はどうせ出ないさ…
「もう、あいつったらちっとも来ないじゃない!」
「姫さま、やはり自分の名前は書きませんと…」
「だって恥ずかしいもん」
「(なら出さなきゃいいのに…)」



<END>




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