HumanTool:後書き


 マルチをパシリに使った連中など許せぬわーーー!というのが私がマルチシナリオを良いと思いつつも完全にはまれなかった理由の1つで、これがあったために彼女の「他人の喜ぶ顔が好き」という言葉にも素直に感動できませんでした。考えようによっては『パシリ』という単語を肯定するようなものだもんなぁ…。

 無論マルチを道具とみなす=自転車やパソコンと同じと思うなら別におかしくもなんともないし、そりゃ酷使すればぶっ壊れますがその時は買い換えるなりなんなりすれば済む。しかし『心を持った』メイドロボが商品として売られたら一体どうなるやら?本文中でも書いたとおりメイドロボを保護するものは何もないわけで、いたるところで無惨な光景が繰り広げられそうな気がしますね。(マルチシナリオの元ネタとも言われる(有)椎名百貨店1巻を持ってる人はP103参照) かつて一部の人間が他の人間を奴隷と呼び「奉仕するのが当然」として扱った時代がありましたが、相手に心があるならそれとどこが違うのか。

 なんか長瀬主任別人の上に大昔のSFのようなベタな夢オチですが(^^; でも心を持ったメイドロボ作るならこれくらいは苦悩してしかるべきな気がするなー。実際クローン人間並に問題があると思いますよ。といっても特に医療や介護の分野でマルチのような存在は確かにかなり有効だし、心(人格)と言ってもどこからそう呼べるのか…単に笑顔のシステムを付加したものは?あるいは酷い目に遭うのがまずいなら、悲しんだり苦しんだりする部分をすべて除去すれば大丈夫なのか?とか考えると私も答えは出ないのですが…。

 マルチだけに限定するなら、「尊敬する人物:ヤン・ウェンリー」「自由・自主・自立・自尊」の私には「ご主人様に可愛がられる奴隷の幸せなんてものに何の意味があるか」と思わざるを得ない。しかしこれまた本人が幸せならそれでいいだろと言われれば返す言葉はないんですけどね(^^;(でもご主人様発言がはまれなかった理由その2)

 そんなわけで心を持ったロボットはロボットの人権が認められてから作るべきだと思う私でした。


# マルチの耳事件では志保ちゃんを見直しました。本人は深い考えで動いたわけじゃないだろうけど、彼女みたいな人がマルチとは一番上手に付き合える気がしますねー。
# 春木さんちの話なんてするなよ浩之…。



(97/08/03)   



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