嘆きの塔

ルーファス:(俺の名はルーファス・クローウン。魔法研究部ウィザーズアカデミーの部
長などをやっている。今日は嘆きの塔と呼ばれる塔を発見したため、みんなで探検に来た
んだけど…)
ルーファス:やった!ついに最上階だ!
メリッサ :はー、やっとかぁ。
ジョルジュ:30階建てとは、えらいごーじゃすな塔やなぁ。
ルーファス:そりゃまあ、俺が見つけだしただけのことはあるさ。
ジャネット:つっても、宝箱の一つもないぜ。何しに来たんだか知らないけどさ。
メリッサ :なんか疲れただけーって感じー。
チェスター:で、最上階で何すんだよ。まさかあとは下りるだけって事はねぇよな。
ルーファス:‥‥‥‥‥。
(いじけて)
      なんだよ、人が苦労して古文書から『嘆きの塔』の場所を割り出したっての
に…。いまどき誰にも探検されてない塔なんて珍しいんだからな…。
チェスター:ああっぐだぐだ言ってんじゃねえよ!
レジー  :まあまあ、みんなそのくらいにしとけよ。
ルーファス:レジー…
レジー  :ルーファスの奴がハズすなんていつものことだろ。
ルーファス:悪かったなぁ!
レジー  :なんだよ、人が庇ってやってるのに。恩をあだで返すのは良くないなぁ。
ルーファス:おまえってそういう奴だよ…
ジョルジュ:せやけど『嘆きの塔』ゆう割にはホンマになんもない塔やなぁ。だからこそ
余計に嘆きの塔かもしれへんけど。
チェスター:ちっ、まったくくだらねぇ。俺は先に下りてるぜ!
ルーファス:チ、チェスター!…行っちゃったよ。しょうがない、俺たちも下りるか…
ジャネット:おい、待てよ。あの娘一体誰だ?
ルーファス:え?
(ボワーン…)
女の子  :しくしくしく…
ジョルジュ:こ、こんなところに女の子かぁ?
レジー  :これはクサいな…
ルーファス:ね、ねえ君どうしたの?
女の子  :しくしく…
ルーファス:泣いてちゃわかんないって。ねえ、こっち向いてよ。
女の子  :しくしく…私は呪いをかけられ、この塔から出ることができないのです…
ルーファス:な、なんて気の毒な…
メリッサ :ねぇ、あの子なんだかマスターより背が高くない?
(ひそひそ)
ジョルジュ:なーんかヤな予感してきたでぇ。
女の子  :お願い、私のことは放っておいて…あなたたちに迷惑はかけられないわ…
ルーファス:そ、そんなことはできない!俺が君を助け出してみせる!
女の子  :…どうして?見ず知らずの私なんかのために…
ルーファス:ど、どうって…そりゃ…に、人間として当然だよ。
レジー  :うわあ、よく真顔であんな事言えるもんだぜ。
ジャネット:で、でもそこがあいつのいいとこじゃないか?
メリッサ :あれー?
ジャネット:バ、バカ、そんなんじゃないよ。
女の子  :いくら今はそんなこと言っても…私の顔を見たら、すぐ考えを変えるに決ま
ってるわ。
ルーファス:何を言うんだ!俺は人を外見で判断したりしないぞ!
女の子  :だって私、サングラスかけてるもの。
ルーファス:目、目が弱いのか…?でもそんなことは気にしない!
メリッサ :サングラスだって。
ジョルジュ:まあ、大方そんなとこやろな。
女の子  :実は…バンダナもしてるの。
ルーファス:おしゃれじゃないか!そんなの気にすることないよ。
ジャネット:おい、誰か教えてやれよ。
レジー  :いやぁ、ここまで来たら暖かく見守ってやるのが筋ってもんだろう。
ルーファス:さあ、いつまでもそんなこと言ってないで。顔を上げてくれよ。
女の子  :…本当に、顔を見せていいの?
ルーファス:もちろんだ!君の呪いは俺たちが解く!
女の子  :そう?私が…
デイル  :こんな顔でも!?
ルーファス:…ぎ…

       ぎいいやぁぁぁぁぁぁ!!


デイル  :コスチュームチェンジ!
(ボワン)
デイル  :いやあ、引っかかった引っかかった。
ジャネット:つくづく悪趣味な男だね…
デイル  :おほめにあずかり極楽至極。
ジャネット:誉めてないよ!
メリッサ :マスター、しっかりしてよぉ。
ルーファス:もう嫌だこんな生活…。いいんだ、俺なんて…。
ジョルジュ:いつものことやんか、な?そんな気ぃ落とすなや。
レジー  :おい、もういい加減帰るぜ。このレジー・パッカードが足を鍛える羽目にな
るとは大した厄日だね。
メリッサ :はー、帰ろ帰ろ。
デイル  :俺はなかなか有意義だったぞ。
ルーファス:そうでしょうよ!
(すたすたすた)
チェスター:あ…。ったく、何やってたんだよ!
メリッサ :あっれー?待っててくれたんだぁ。
チェスター:そ、そんなんじゃねぇよッ。
レジー  :おいおい、世の中素直が一番だぜ。
チェスター:てめえに言われる筋合いはねぇ!
レジー  :俺は人間が複雑にできてるんだ。
ジョルジュ:あーもう暑っ苦しいからやめとけやー。
(すたすたすた)
ジャネット:…なあ、ルーファス。
ルーファス:ん?
ジャネット:なんかもうずいぶん下りてきてると思わないか?
メリッサ :メリッサもうくたくたー。
デイル  :なんだか面白くなりそうだなぁ。
ルーファス:縁起でもないこと言わないでくださいよ!
(すたすたすた)
ジョルジュ:…おい、やっぱ変やで。
レジー  :50階は確実に下りたな。
メリッサ :ちょっとぉ、この塔30階じゃなかったの!?
デイル  :(やたら明るく)そういえばここは嘆きの塔と呼ばれているそうだがぁ、や
っぱりそういう塔だったりしてな。はっはっはっ。
ルーファス:笑い事ですか!
チェスター:で、でもよ…。こんな高い塔が今まで誰にも探検されてなかったなんて、変
だと思わねぇか?
ジャネット:まさか探検はされたけど誰も出てこられなかったとか…。
チェスター:み、妙なこと言うんじゃねえよ!
ジャネット:最初に言ったのおまえだろ!
ルーファス:と、とにかくもう少しだけ下りてみよう、な?
(すたすたすた)
(がちゃがちゃがちゃ)
(ダダダダダダ…)
メリッサ :もう走れないよぉー。
ジョルジュ:えらいとこに来てしもうたな…。
レジー  :まあ、ここで連れてきた奴の責任を追及しても仕方ないが。
ルーファス:悪かったよ!
チェスター:おい、俺はこんなとこで一生終えるなんて御免だからな!
メリッサ :メリッサもやだよぉー。
ルーファス:デ、デイル先輩!
デイル  :うむ、これは『ラッコの頭』といってダンジョンから脱出できるアイテムな
のだが。
ルーファス:おおっ!
デイル  :実は俺専用なんだわ。じゃあなー。
(ぼひゅん!)
ルーファス:あんた人間じゃねぇ!
(ひゅぅぅぅぅ)
メリッサ :どうすんのよぉー。
ルーファス:あ、いや…。こういうときは落ち着いてさ…。
ジャネット:壁壊して外に出るしかないだろ。
ルーファス:そう、それだよそれ!
レジー  :頼りあるマスターを持って幸せだよ。
ルーファス:ほっとけ!一気に状況を打開するぞ!
チェスター:おっしゃぁ!
ルー&チェス:光と炎の矢よ、我が敵を滅ぼせ!
       フレイムアロー!
(ゴォォォッ!)
(バコォォム!)
ジョルジュ:おおー、さすがはお2人さん。
ルーファス:手伝えよ…
(すたたたっ)
メリッサ :出ーたっと…あれ?
ジャネット:塔の…中?
ジョルジュ:そ、そっち側は!?
ルーファス:…塔の中…。
(しーーーん)
レジー  :壁の向こうもやっぱり塔じゃ、まるっきりお手上げって奴だな。
チェスター:冗談じゃねけぞコラァ!
メリッサ :メリッサこんなとこでおばあさんになっちゃうの!?こんなに美少女なのに!
ジャネット:しかし下にも横にも終わりがないんじゃな…。
ルーファス:下にも横にも終わりがない…
      それだ!
(ダダダダダダダ)
ジャネット:お、おいルーファス、上に登ってどうするんだよ!
ルーファス:他に途はないだろう!?最上階は確かにあったんだから…
(ザザッ!)
ジョルジュ:おお!ここで上りの階段は終わりやで!
チェスター:って、ことは。
ルーファス:上だ!
      風よ来たらん。撃て、満ちたる大気!
(ゴォッ)
      エア・ブラスト!
(バゴォォォン!)
(パラパラパラ…(瓦礫が落ちる))
レジー  :空だ…
メリッサ :やったぁ!
ジョルジュ:はー、助かったぁ。
チェスター:め、珍しく役に立ったじゃねぇか。
ルーファス:ははは…。珍しくてもなんとかなって良かったよ。
ジャネット:とにかく上に出よう。
(ひゅううう…)
ジョルジュ:よっこらせ、と。
ルーファス:うーん、外の空気はうまいなぁ。
メリッサ :ねえねえ、見てよ!
レジー  :お、
(パァァァァ…)
ルーファス:見事な眺めだなぁ…
ジョルジュ:いやあ、絶景かな絶景かな。
メリッサ :きれいー…
レジー  :まあまあ、だな。
チェスター:…フン。
ジャネット:…もしかして塔のやつこの景色を見せたくて、わざと外に出さなかったのか
もな…。
ルーファス:え?
ジャネット:ななななんでもない!そろそろ下りようぜ!
ルーファス:…そうだな。
メリッサ :名残惜しいけど、ね。
一同   :フライ!
(ひゅううう…ん)
デイル  :おー、下りてきたかぁ。
チェスター:下りてきたかぁ、じゃねえよ!
ルーファス:先輩ねぇ!…もういいです。
ジャネット:そ、1人だけあれが見られないとはお気の毒だね。
レジー  :いやあ、あれは大したもんでしたよ。
デイル  :なぬぅ?お前らいったい何を見てきた。
メリッサ :ひ・み・つ。へっへーん。
ジョルジュ:さー帰ろ帰ろ。
デイル  :うぬぬ。ルーファス、吐け!
ルーファス:口じゃ言い表せませんよー。さ、みんな行こう。
デイル  :待ていお前らぁ!

 あはははは…


                         <END>

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