メイドさんの何がかくも我々を惹きつけて止まないのか?このテーマについては、数多くの人が考察を加えています。
メイドさんと主人という関係がメイドさんの魅力なのだ、と言った人もいます。メイドさんの「尽くす」という姿勢に惹かれるのだ、と言った人もいます。
へっ。
思わず鼻で笑っちゃいましたが、みなさんメイドさんの精神的・職業的側面を重視するあまり、最も重要なことをすっぽり見落としています。
そう、メイド服です。メイドさんの魅力とは突き詰めればメイド服であるということになるのです。
そんなことはない、メイドさんの精神的・職業的側面も重要だ、そうおっしゃる方は次の質問に答えてみて下さい。
「奉仕精神にあふれ家事労働をこなすメイド服を着ていないかわいい女の子と、奉仕精神は人並で家事労働をこなすわけでもないメイド服を着ているだけのかわいい女の子、あなたならどちらを選びますか?」
前者を選ぶという方には最早何も申し上げることはございません。こんな文章を読むのはやめて、他のことをなさった方が有意義かと思います。
そうなのです。「人を外見で判断してはいけない」という社会通念に惑わされることなく、自分の心を虚心に見つめるならば全ては自ずと明らかになります。我々はメイドさんの外見、メイド服にこそ惹かれるのです。
メイド服をほっぽりだして、メイドさんの精神的・職業的側面だけを論じてしまうのは、「自分は人を外見で判断するような人間ではない」と思いたいところからくる自己欺瞞であると言えましょう。
認めちゃえば楽になれますよ。ほれほれ。
メイド服の条件とは何なのでしょうか。
ここでは、衣装のメイドさんっぽさを表す尺度として「メイ度」を使用して話を進めます。このメイ度、個人の主観によって大きく左右される、客観性皆無のいーかげんな尺度なんですが、これ使った方が話がはやいので。
一般に、メイド服において最も重視されるのはカチューシャです。フリルやレースのカチューシャこそがメイド服の要、これがなければメイド服とは認めない、という人は多数に上ります。
しかし、ここに興味深い例があります。シャーリィ・テンプルです。この制服は、カチューシャがないにもかかわらず圧倒的なメイ度を誇っています。カチューシャこそがメイド服の要という人も、この制服のメイ度の高さを認めないわけにはいかないようです。
逆に、EARLの制服は、暗色のワンピース、白いエプロン、カチューシャとメイド服の条件を十分満たしているにもかかわらず、ワンピースが膝上丈でタイトスカートであるため、個人的にはさほどメイ度が高いとは思いません。
この事実は、メイ度はメイド服の特定のパーツの有無で決定されるものではない、ということを示していると思われます。個々のパーツのメイ度を総合した値がある一定値を超えていればメイドさん、ということになるのだと思います。
シャーリィ・テンプルの制服は、ワンピースとエプロンのメイ度の高さが、カチューシャがないことによるマイナスを補っているのだと考えられます。EARLの制服は、ワンピースのメイ度が低いため、総合的なメイ度も低くなってしまっていると思われます。
メイドさんの絵を描く場合、このことはとても重要です。ディテールへのこだわりはもちろん大事なのですが、一部のパーツにこだわるあまり、衣装の総合的なメイ度が低くなってしまっては意味がありません。誰もが「メイドさんだ」と思ってくれるような衣装を描くためには、衣装の総合的なメイ度への配慮を忘れてはならないのです。
メイドさんが身につけている物は、以下のようになります(図1-1)。
ヘッドドレス
ワンピース
エプロン
ホーズ
靴
下着
襟元のタイ、リボン等
アクセサリー
図1-1 メイド服の全体構成
以下、ヘッドドレス、ワンピース、エプロン、ホーズ、靴の描き方について解説します。
下着、襟元のタイ、リボン等、アクセサリーは、私の手には余るので割愛させて下さい。
場合によってはこれにブラウスが加わることもあるかと思いますが、ほとんどがワンピースで隠れてしまうので、本稿では扱いません。