ここでは、メイドさんを描く上で避けて通れない(無理すれば避けて通れないこともないけど)、最大の難所とも言うべきフリルの描き方について解説します。
まずはフリルの構造を知ることから始めましょう。フリルとは、布の一方の端をギャザーもしくは襞にして反対側の端を波打たせた物を言います。つまり、一方の端が平面で、反対側の端が波打っているわけです。絵に描く場合もこの構造を利用します。
描く上でのポイントは、あくまで柔らかく描くことです。新品のときはフリルの波は柔らかいカーブなんですが、クリーニングした際にプレスがしっかりかかってしまうとこの柔らかさは失われ、やけにカクカクした波になってしまいます。カクカクした波でも正しいといえば正しいのですが、やはり波は柔らかい方がかわいいと思うのです。
さて、実際にどう描くかですが、2つの描き方を御紹介します。
一つは私が最初に考え出した方法で、こちらの方が描くのは簡単だと思います。
まず、フリルをつける布の端のラインを描きます(図7-1-(1))。
次に、ラインにそって台形を並べます(図7-1-(2))。
並べた台形と台形の間を線で繋げます(図7-1-(3))。台形と線との間に段差をつけるのがポイントです。
最後に、台形の部分にシワを描き込みます(図7-1-(4))。これで完成です。
図7-1 フリルの描き方1
この方法、簡単なのはいいんですが、フリルの波はカクカクしてしまうし、フリルの調子も単調になりがちです。台形を歪める、台形に曲線を用いる等、単調にならない工夫を怠りなく。
もう一つは私が現在使っている方法です。
まず、フリルをつける布の端のラインを描きます(図7-2-(1))。
次に、波打っている方のフリルの端のラインを描きます(図7-2-(2))。あくまで柔らかく、ときには少し戻りつつ、単調にならないよう緩急をつけて描きます。
最後に、2つのラインの間にシワを描き込みます(図7-2-(3))。シワの描き方は普段の観察が頼りです。基本は、フリルの波の変化が急なところに長いシワを、長いシワの間に短いシワをです。シワが平行にならないように注意して下さい。
図7-2 フリルの描き方2
この方法は、普段の観察によるところ大なのでちょっと難しいです。ですが、フリルの波を柔らかく描くことができ、フリルの調子も単調になりにくいです。
さらに、この方法はフリルを横から見た場合にも使用できます。「フリルの両端のラインを描き、その間を繋げる」という原則に沿って描けば、わりと迷うことなく自然なフリルを描くことができると思います。
まず、フリルをつける布の端のラインを描きます(図7-3-(1))。
次に、波打っている方のフリルの端のラインを描きます(図7-3-(2))。
2つのラインの間にシワを描き込みます(図7-3-(3))。
最後に、2つのラインが交差している部分に線を描き加え、不要な線を消します(図7-3-(3))。
図7-3 横から見たフリルの描き方