○○(プールか…。もう夏だな…) ○○(でも、おれは夏本番を前に 引越さなきゃいけないんだよな…) ○○(今年の夏休みは さびしい夏休みになりそうだな…。 はあ…) ○○(あれ? プールから水の音が…) ○○(水泳部の練習は もう終わってるはずだけど…) ○○「わっ!」 ○○「み、水がっ! な、なんだぁ!?」 女の子「あれ? キミ誰?」 ○○「きみの仕業かっ!」 ○○「あ〜あ、ズボンまでビショビショだ…。 どうしてくれるんだよ?」 女の子「そんなのあたし知らないよ」 ○○「知らないってことないだろっ!? きみが飛び込んだから 水がかかったんだぞ」 女の子「そんなところに、つっ立ってるから いけないんだよ」 ○○「うっ…。それはそうだけど…」 女の子「あたしのせいじゃないも〜ん」 ○○「あ〜あ、まいったな…。 この服、どうしよう…」 女の子「脱いで乾かせば?」 ○○「パンツも濡れてるんだよ」 女の子「全部、脱げばいいじゃん」 ○○「そ、そんなことできるか」 女の子「べつにあたしは気にしないよ」 ○○「おれが気にするんだよ」 女の子「変な事気にするんだなぁ」 ○○「普通、気にするだろっ!」 女の子「そうかな〜」 ○○「きみは、水泳部の人? 練習ってもう終わってんじゃないの?」 女の子「もう終わってるよ。 あたしだけ残って泳いでんの」 ○○「ふ〜ん」 女の子「さってと、あたしもそろそろ帰ろっかな」 ○○「ちょ、ちょっと待てよ。名前くらい…」 ○○(行ってしまった…) ○○(あ〜あ、この服どうしよう…)
女の子「あっ!」 ○○「え?」 女の子「服、ちゃんと乾いた? 濡れたままにしとくと風邪ひくよ」 ○○「あっ、さっきのっ!」 女の子「ああ、ちゃんと乾いてるみたいだね」 ○○「まだ、ちょっと湿ってるけどな…」 ○○「って、乾けばいいってもんじゃ ないだろ?」 女の子「乾いたんだから、いいじゃん」 ○○「ったく…」 ○○「きみは水泳部員だよな?」 女の子「そうだよ。2年2組、丘野陽子」 ○○「これからは気をつけろよな」 丘野「なにを?」 ○○「なにをって、水をかけたことに 決まってるだろっ!」 丘野「ああ、そのことか。 気にしない、気にしない」 ○○「おいおい」 丘野「ね、キミの名前は?」 ○○「えっ? おれは、○○○○」 丘野「何年生?」 ○○「2年だよ」 丘野「なんだあたしと同じだ。何組?」 ○○「1組」 丘野「1組! じゃあ、隣のクラスだね。 そっか、ぜんぜん知らなかったよ」 丘野「それじゃあね、あたしは帰るから」 ○○「あっ、ちょっと…」 ○○(行ってしまった…。 丘野陽子か…。 2年2組っていってたな…あの娘)
○○(忘れ物したせいで、 遅刻スレスレになってしまった…) ○○(でも、なんとか間にあったな) 女の子「遅刻、遅刻〜っ!」 ○○「ん?」 女の子「わ〜、ジャマ、ジャマ!」 ○○「わっ!」 ○○「いてててて、な、なんだぁ?」 女の子「ごっめ〜ん。 大丈夫だった?」 ○○「な、なんとか…」 ○○「いきなり昇降口に 飛び込んでくるなんて、危ないなぁ」 女の子「ごめん、ごめん」 ○○「きみは?」 女の子「あたし? あたしは2年2組、丘野陽子」 ○○「丘野さんか…」 丘野「キミは?」 ○○「ああ、おれは2年1組、○○○○」 丘野「ふ〜ん」 丘野「あっ! 遅刻するぅ〜」 ○○「あっ、おいっ!」 ○○(…行ってしまった。 丘野陽子か…) ○○(っておれも遅刻じゃないか、急がないと!)
木地本「よお、○○。 今日はやけに早いじゃないか」 ○○「おはよう、木地本」 ○○「そういうおまえだって、 いつもより早いな」 木地本「なんかずいぶん早く目が覚めてな」 ○○「なんだ、おまえもか」 木地本「ま、『早起きは三文の得』って言うから、 悪いことは……お、おいっ、危ないぞ!」 ○○「えっ!?」 女の子「どいて、どいてーーっ!!」 女の子「わあっ!」 ○○「いっててて…、 いったいなにが起きたんだ?」 女の子「いたたた…」 ○○(あっ、スカートの中が……あれ?) ○○(あれは…水着…か?) ○○「なんなんだ?いったい?」 女の子「ごっめ〜ん、大丈夫だった?」 ○○「あ、ああ、なんとかね」 女の子「なんか、 今日はブレーキの調子が悪くてさぁ」 ○○「危ないな」 女の子「って、こんなこと話してる場合じゃ なかったんだっ! 急がないとっ!」 ○○「あっ! お、おいっ」 ○○(あっという間に行ってしまった…) 木地本「丘野陽子だよ、あの娘は」 ○○「あの娘のこと知ってるのか?」 木地本「ああ、同じクラスだからな」 ○○「…水泳部だろ?」 木地本「なんだ、知ってるじゃないか」 ○○「制服の下に水着を着てた…」 木地本「ははは、あいつがやりそうなことだな」 ○○「そういう子なのか?」 木地本「まあ、ちょっと変わってるっていうか、 なんていうかな…」 ○○「なんだ、はっきりしないんだな」 木地本「ま、詳しくは、 直接自分で感じた方がいいな」 ○○「ふ〜ん…」
丘野「ねえ、ねえ、そこのキミ、キミ」 ○○「え?」 丘野「やっぱり今朝の人だ」 ○○「え?」 丘野「あれ? 覚えてない? ほら、今朝、自転車で…」 ○○「あーっ、きみはっ」 丘野「今朝は悪かったね。 朝練に遅刻しそうであせってたんだ」 ○○「丘野陽子さん、だよね」 丘野「うん、そうだよ。 なんで知ってるのぉ?」 ○○「木地本から聞いたんだ」 丘野「ふ〜ん。 で、キミの名前は?」 ○○「ああ、おれは2年1組、○○。 よろしくね、丘野さん」 丘野「隣のクラスなんだ。よろしくね」 ○○「水泳部なんだよね? これから、クラブ?」 丘野「うん、そうだよ」 丘野「あたし、泳ぐの大好きなのっ!」 ○○「ふ〜ん、そうなんだ」 丘野「そうそう、この間もさ…」 ○○「…丘野さん、クラブの時間大丈夫なの?」 丘野「あーっ! そうだったっ!」 丘野「じゃあね、○○」 ○○「クラブ、がんばってね」 丘野「うんっ!」