○○(あ、あの後ろ姿は丘野さん…) ○○「丘野さ〜ん」 丘野「ああ、○○」 ○○「お、丘野さん…。 そ、その食べてるの…」 丘野「きゅうりだよ。見てわからない?」 ○○「そんなのわかってるよ。 なんだって、きゅうりなんか…」 丘野「母さんが送ってくれたんだ。 と〜ってもおいしいんだよ」 ○○「へえ〜、丘野さんの家から…。 ってそうじゃない! 普通、 休み時間にきゅうり丸かじりしないよ」 丘野「なんかおなか減っちゃって。 ほら、○○も食べてみなよ」 丘野「まだたくさんあるから、これあげる」 ○○「あ、ありがとう…」 丘野「じゃあね」 ○○(………) ○○(あっ、本当においしいや。 ……でもこれって、間接キス…)
○○(あ〜あ、 なんかおもしろいことないかな…) 女の子「だ〜れだ?」 ○○「うわっ!」 ○○「丘野さん、なんだよ?」 丘野「あれ? すぐにわかっちゃった?」 ○○「わかっちゃうもなにも、 普通、こういうのは 目を隠したりするもんだろっ」 丘野「こっちの方がおもしろいと思ってさっ!」 ○○「で? なんか用?」 丘野「べつになんでもないよ。 ちょっとからかっただけ〜」 丘野「じゃね」 ○○(……なんだったんだ?)
丘野「あれ? ○○。 もう帰っちゃうの?」 ○○「え?」 ○○「わっ!」 ○○「な、なんて格好をしてるんだよ」 丘野「ん? ごく普通の水着を着てるだけだよ」 ○○「それはわかってるよ」 ○○「おれが言いたいのは、 なんで、こんなところを 水着で歩いてるかってことだよ」 丘野「クラブで使うゴーグルを 教室に忘れたから、取りに来ただけ」 ○○「………。 普通、ジャージを着るとかしない?」 丘野「そんなの面倒くさいじゃん」 ○○「…ここへ来る途中、 変な目で見られなかった?」 丘野「う〜ん、よくわかんない」 ○○「とにかく、あんまり水着で校内を ウロチョロしない方がいいと思うよ」 丘野「なんで?」 ○○「いろいろだよ」 丘野「ふ〜ん、変なの」 丘野「ああっと、クラブが始まっちゃう。 じゃあね、○○っ!」 ○○(……やっぱり、変な女)
丘野「あれ? ○○」 ○○「ああ、丘野さん」 丘野「○○の家って、この辺なの?」 ○○「この辺もなにも目の前の団地だよ」 丘野「ほえ〜、こんなに近いんだぁ〜」 ○○「近い?」 丘野「あたしの家は、 この先にあるアパートなんだよ」 ○○「あっ、そうなんだ」 丘野「狭いアパートだけどね」 ○○「うちだって広いわけじゃないさ」 丘野「何人家族?」 ○○「両親とおれと妹の4人だよ。 だから、もう狭くて、狭くて」 丘野「へ〜、妹いるんだ」 ○○「そう。ひとつ年下で、 同じ高校に通ってるよ」 丘野「ふ〜ん、そっかぁ」 ○○「丘野さんのところは?」 丘野「うちは兄貴とふたり」 ○○「えっ、ふたりって…親は?」 丘野「父さんと母さんと他の兄弟は、 田舎で野菜作ってるんだ」 ○○「へぇ〜っ、 じゃあ、丘野さんとお兄さんだけで、 こっちに出てきてるんだ」 丘野「うん、そうだよ」 ○○「丘野さんの田舎って、遠いの?」 丘野「うん。ここから、 ずぅ〜と離れた山奥にあるんだ」 ○○「ふ〜ん…、丘野さん、いつから こっちに住んでるの?」 丘野「高校からだよ」 丘野「うちの農園のまわりって山ばっかりで、 高校がないんだ。だから、仕方なくね」 ○○「そうだったんだ、知らなかった…」 丘野「さ〜て、あたしも帰ろうっと。 じゃあね、○○」 ○○「さよなら、丘野さん」 ○○(お兄さんとふたりで暮らしてるのか…。 ちょうど、今のおれと君子みたいな もんなんだな…)
丘野「あれ? ○○。 もう帰っちゃうの?」 ○○「え?」 ○○「わっ!」 ○○「な、なんて格好をしてるんだよ」 丘野「ん? ごく普通の水着を着てるだけだよ」 ○○「それはわかってるよ」 ○○「おれが言いたいのは、 なんで、こんなところを 水着で歩いてるかってことだよ」 丘野「クラブで使うゴーグルを 教室に忘れたから、取りに来ただけ」 ○○「………。 普通、ジャージを着るとかしない?」 丘野「そんなの面倒くさいじゃん」 ○○「…ここへ来る途中、 変な目で見られなかった?」 丘野「う〜ん、よくわかんない」 ○○「とにかく、あんまり水着で校内を ウロチョロしない方がいいと思うよ」 丘野「なんで?」 ○○「いろいろだよ」 丘野「ふ〜ん、変なの」 丘野「ああっと、クラブが始まっちゃう。 じゃあね、○○っ!」 ○○(……やっぱり、変な女)
丘野「あれ? ○○」 ○○「ああ、丘野さん」 丘野「○○の家って、この辺なの?」 ○○「この辺もなにも目の前の団地だよ」 丘野「ほえ〜、こんなに近いんだぁ〜」 ○○「近い?」 丘野「あたしの家は、 この先にあるアパートなんだよ」 ○○「あっ、そうなんだ」 丘野「狭いアパートだけどね」 ○○「うちだって広いわけじゃないさ」 丘野「何人家族?」 ○○「両親とおれと妹の4人だよ。 だから、もう狭くて、狭くて」 丘野「へ〜、妹いるんだ」 ○○「そう。ひとつ年下で、 同じ高校に通ってるよ」 丘野「ふ〜ん、そっかぁ」 ○○「丘野さんのところは?」 丘野「うちは兄貴とふたり」 ○○「えっ、ふたりって…親は?」 丘野「父さんと母さんと他の兄弟は、 田舎で野菜作ってるんだ」 ○○「へぇ〜っ、 じゃあ、丘野さんとお兄さんだけで、 こっちに出てきてるんだ」 丘野「うん、そうだよ」 ○○「丘野さんの田舎って、遠いの?」 丘野「うん。ここから、 ずぅ〜と離れた山奥にあるんだ」 ○○「ふ〜ん…、丘野さん、いつから こっちに住んでるの?」 丘野「高校からだよ」 丘野「うちの農園のまわりって山ばっかりで、 高校がないんだ。だから、仕方なくね」 ○○「そうだったんだ、知らなかった…」 丘野「さ〜て、あたしも帰ろうっと。 じゃあね、○○」 ○○「さよなら、丘野さん」 ○○(お兄さんとふたりで暮らしてるのか…。 ちょうど、今のおれと君子みたいな もんなんだな…)
○○(あれは、丘野さんか?) ○○「丘野さ〜ん」 丘野「ああ、○○」 ○○「なにしてんの? 水遊び?」 丘野「ううん、水まきだよ」 丘野「今日ってすっごく暑いでしょ? 水でもまけば少しは 涼しくなるかと思ってさ〜」 ○○「グラウンド中にまく気?」 丘野「そうなんだよね〜。 向こうの方までは届かないんだよね」 ○○「そういう問題じゃないと思うけど…」 丘野「○○にもかけてあげようか?」 ○○「よ、よせよ。わわわっ!」 丘野「それっ!」
○○(さすがにこの時間になると、 浜辺に人影は少ないな…) ○○(ん? あれはなんだ?」 <選択1> ○○(あ、あれはサメか?) ○○(あれ? あれは…丘野さんじゃ…?) ○○「丘野さ〜んっ!」 丘野「あっ、○○だっ。なにしてんの?」 ○○「丘野さんこそ、なにして…」 丘野「泳いでたんだよ」 ○○「それは見ればわかるけど…どうして…?」 丘野「クラブで泳ぎ足りなかったから、 ひと泳ぎしてたの」 ○○「おれはてっきり、 サメかと思ったよ」 丘野「キャハハ、食べられちゃうかと思った?」 ○○「さすがにそこまでは思わなかったよ」 丘野「そりゃそっか、あははっ」 丘野「さ〜て、 あたしはもうひと泳ぎしよっかな〜っ」 ○○「じゃあね、丘野さん」 丘野「うん、じゃあね」 ○○(クラブで泳いだ上に 海で泳ぐなんて、 よほど泳ぐのが好きなんだな…) <選択2> ○○(あ、あれはカッパか?) ○○(あれ? あれは…丘野さんじゃ…?) ○○「丘野さ〜んっ!」 丘野「あっ、○○だっ。なにしてんの?」 ○○「丘野さんこそ、なにして…」 丘野「泳いでたんだよ」 ○○「それは見ればわかるけど…どうして…?」 丘野「クラブで泳ぎ足りなかったから、 ひと泳ぎしてたの」 ○○「おれはてっきり、 カッパかと思ったよ」 丘野「カッパ? おっかし〜い。 本当にいるなら会ってみたいね」 ○○「ははは、そうだね」 丘野「さ〜て、 あたしはもうひと泳ぎしよっかな〜っ」 ○○「じゃあね、丘野さん」 丘野「うん、じゃあね」 ○○(クラブで泳いだ上に 海で泳ぐなんて、 よほど泳ぐのが好きなんだな…) <選択3> ○○(あ、あれは人魚か?) ○○(あれ? あれは…丘野さんじゃ…?) ○○「丘野さ〜んっ!」 丘野「あっ、○○だっ。なにしてんの?」 ○○「丘野さんこそ、なにして…」 丘野「泳いでたんだよ」 ○○「それは見ればわかるけど…どうして…?」 丘野「クラブで泳ぎ足りなかったから、 ひと泳ぎしてたの」 ○○「おれはてっきり、 人魚かと思ったよ」 丘野「ヘヘヘ、人魚か…」 ○○「でも、脚があるから、人魚じゃないね」 丘野「あはっ、そうだね」 丘野「さ〜て、 あたしはもうひと泳ぎしよっかな〜っ」 ○○「じゃあね、丘野さん」 丘野「うん、じゃあね」 ○○(クラブで泳いだ上に 海で泳ぐなんて、 よほど泳ぐのが好きなんだな…)
○○(ふぁ〜、なんか眠いなぁ…) 丘野「○○、おはよーっ!」 ○○「ああ、丘野さん、おはよ」 丘野「今日、バスで行くの?」 ○○「そうだよ」 丘野「ふ〜ん、そっかぁ…。 あっ、バスが来た」 ○○「じゃあね」 丘野「うん、向こうでまたね」 ○○(向こう? 向こうって学校のことか?) ・ ・ ・ ○○(ふ〜、 あいかわらずバスは混んでるな…) 丘野「○○、遅い、遅〜い」 ○○「えっ?」 丘野「お、丘野さん!? あれ? なんでもうここに?」 丘野「あたしの勝ちだね」 ○○「本当に自転車で走って来たの?」 丘野「そうだよ。いつも通りにね」 ○○「今日は渋滞してた わけじゃないのに…」 丘野「あたしの見つけた近道があるんだ。 そこを通るとすっごく早く来れるんだよ」 ○○「近道? そんなのがあんの?」 丘野「うん。ただ、ちょっとだけ疲れるけどね」 ○○「どういうこと?」 丘野「一ヶ所、自転車を担いで階段を 登らなきゃいけないんだ」 ○○「自転車を担いで…階段を?」 丘野「○○にも教えてあげようか?」 ○○「…え、遠慮しとくよ」 丘野「そう? じゃあ、学校でね」 ○○「あ、ああ…」 ○○(………。 どんな道を走ってんだろう…)
○○(今日はいい天気だな〜) ○○(ん? なんの音だ? 窓の外から…あっ!) ○○「お、丘野さんっ!」 丘野「ああ、○○」 ○○「な、なにしてんだよ」 丘野「ハネがね、木に引っかかっちゃったの」 ○○「ハネ?」 ○○「ああ、バドミントンのシャトルか」 丘野「もうちょっとで届くんだけど…」 ○○「お、おいっ、危ないぞ」 丘野「大丈夫、大丈夫」 丘野「わわっ」 ○○「あっ、危ないっ!」 丘野「おっとっと…」 ○○「ふう〜」 丘野「あれ? ハネが…」 ○○「今、落ちたよ」 丘野「そっか」 ○○「…丘野さんさぁ」 丘野「なに?」 ○○「木登り得意なの?」 丘野「うん、昔っからよく登ってたからね」 ○○「そ、そうなんだ…」 丘野「じゃあね」 ○○(…変な女)
○○「あっ、丘野さん、なにしてんの?」 丘野「あっ、○○。いいところにっ!」 ○○「えっ? なに?」 丘野「肩車してよ」 ○○「はあ? なんで?」 丘野「ほら、聞こえないの?」 ○○「え?」 ○○「ネコの鳴き声が聞こえる…どこからだ?」 丘野「上だよ、上」 ○○「上?」 ○○「あっ、ネコがいる。 降りられないのか?」 丘野「そうみたいなんだ。だから…」 ○○「この間みたいに、 ササッと木に登れば?」 丘野「この木に登るのは無理だよ。 この枝の太さじゃ折れちゃうもん」 ○○「そうか…困ったな…」 丘野「だから、肩車してって言ってるでしょ?」 ○○「ああ、そう言ってたっけ」 丘野「さあ、さあ、早く、早く」 ○○「早くって言われても…。 丘野さん、スカートじゃないか」 丘野「そんなのいいから、さっ」 ○○「………。 わかったよ」 ○○「よいしょっ」 丘野「今、行くからね〜」 丘野「あっ、○○、もうちょい右、右」 丘野「行き過ぎ、行き過ぎ」 丘野「ほ〜ら、もう大丈夫だからね〜」 丘野「わっ、わっ、暴れないのっ!」 ○○「お、丘野さん、動かないでっ」 丘野「そんなこと言ったって、わわわ」 ○○「わあっ!」 丘野「いたたたた…」 ○○「いてて…」 丘野「大丈夫?」 ○○「その前に、どいてよ」 丘野「あっ、ごめんごめん」 丘野「大丈夫だった?」 ○○「なんとか…あれ? ネコは?」 丘野「ほら、あそこ」 ○○「ちぇ、せっかく助けてやったのに…」 丘野「びっくりしちゃったんだよ、きっと」 丘野「ほら、こっち向いてる。 お礼を言ってるんだよ、きっと!」 ○○「どうだろうね」
○○(さ〜て、今日はなにを食べようかな…) 丘野「あっ、○○。今、ごはん?」 ○○「ああ、丘野さん…わっ」 ○○「そ、その格好は…?」 丘野「ん? 水着だよ」 ○○「それは見ればわかるけど…。 なんで…水着なの?」 丘野「うん?」 丘野「5時間目が体育だから、 先に着替えちゃったんだ」 ○○「なんて気が早い…」 丘野「今日はなにを食べよっかなぁ〜、ん〜」 ○○「なんか、上に羽織って来なよ」 丘野「なんで? 面倒くさいじゃん」 ○○「みんなが変な目で見てるだろ」 丘野「そう? いいじゃん、そんなの」 丘野「よしっ、今日はきつねうどんに決めたっ!」 ○○「あっ、丘野さん…」 ○○(マイペースだなぁ…)
○○「丘野さんっ」 丘野「………」 ○○「あれ? どうかしたの?」 丘野「髪の毛切れって言われた」 ○○「えっ、誰に?」 丘野「先生」 ○○「どうして…。 べつに校則違反じゃないだろうに…」 丘野「その方がタイムが伸びるって言うんだよ」 ○○「タイム? ああ、水泳部の先生に言われたのか」 丘野「ひっどいよね〜」 ○○「う〜ん…確かにその髪の毛は 水泳をやるにはちょっとジャマかなぁ」 丘野「○○もそういうこと言うのぉ?」 ○○「切れとは言わないよ…。 でも、タイムが伸びるなら考えても…」 丘野「タイムなんかどうだっていいよ」 ○○「え?」 丘野「あたし、記録とかには興味ないもん」 ○○「そうなの? どうして?」 丘野「泳ぐのが好きで水泳をやってるの。 楽しく泳げればそれでいいんだもん」 ○○「…そうなんだ」 丘野「よしっ、先生に切らないでいいように 交渉して来るっ!」 ○○「が、がんばってね…」 丘野「うんっ!」
君子「お兄ちゃん」 ○○「ん? なんか用か?」 君子「今日の夕ご飯なににする?」 ○○「なんだって、 そんなことを今聞くんだよ?」 君子「今日、帰りに買い物するから、 今のうちに聞いておこうと思って」 ○○「そういうことか…そうだな…」 丘野「ねえ、ねえ、○○の妹さん?」 ○○「ああ、丘野さん」 ○○「そうだよ。妹の君子」 君子「あっ、君子です」 丘野「あたしは丘野陽子。 よろしくね、君子ちゃん」 君子「こちらこそ、よろしく」 丘野「へぇ〜、さすが兄妹だね。 似てる、似てる」 ○○「そ、そうかな?」 丘野「うん、そっくりだよ」 君子「よく言われるよね、お兄ちゃん」 ○○「そ、そうだな」 ○○「そうだ、 丘野さんもお兄さんと似てるの?」 丘野「う〜ん…う〜んとね… 兄貴よりは弟と似てるかなぁ」 ○○「ああ、田舎にいる兄弟だね」 丘野「うん。でも、妹の方が似てるかな?」 ○○「妹もいるの?」 丘野「あ、それよりも上の兄貴かな…?」 ○○「上の兄貴? お兄さんってひとりじゃないのか?」 丘野「う〜ん、やっぱり、下の弟の方が…」 ○○「ちょ、ちょっと待ってよ。 いったい何人兄弟がいるんだ?」 丘野「え〜とね、あたしを入れて全部で7人」 ○○「7人っ! 大家族だな」 丘野「うんっ、にぎやかで楽しいよ」 君子「…すごいね」 君子「じゃあ、お兄ちゃん、わたしはこれで」 丘野「ばいばい、君子ちゃん」 君子「はい、失礼します」 ○○「君子っ!」 君子「え? なに?」 ○○「夕飯の話を忘れてるぞ」 君子「あっ、そうだった。どうする?」 ○○「…なんでもいいや」 君子「うん、わかった」 丘野「君子ちゃんがごはん作ってるの?」 ○○「えっ? あ、ああ…。 今、両親が旅行に行っててさ」 丘野「ふ〜ん」 ○○「丘野さんのところも 丘野さんが作ってるの?」 丘野「ううん。当番制になってるけど、 ほとんど兄貴が作ってるよ」 ○○「なんで?」 丘野「あたし、料理って苦手だし、 面倒くさくってさぁ。 兄貴は料理が得意だからね」 ○○「へえ、料理が得意なお兄さんか」 丘野「うん、と〜ってもおいしいんだよ。 うちの兄貴の料理ってさ」 ○○「へえ〜っ」
○○(あれ? 君子と丘野さんだ…) 丘野「じゃあね」 君子「うん、ありがとね」 ○○「君子、なにがありがとうなんだ?」 君子「ああ、お兄ちゃん、おかえり」 君子「丘野さんがこれをくれたんだ」 新鮮野菜 ○○「野菜かぁ」 君子「なんでも、丘野さんの田舎で 取れた野菜なんだって」 ○○「わざわざ、持って来てくれたのか」 君子「今日の夕ご飯、これでいいよね」 ○○「ああ、そうしてくれ」 君子「お兄ちゃんからも、 丘野さんにお礼言っといてね」 ○○「わかった、今度会ったら言っとくよ」
○○(さすがにこの時間になると、 浜辺に人影は少ないな…) ○○(ん? あれはなんだ?」 <選択1> ○○(あ、あれはサメか?) ○○(あれ? あれは…丘野さんじゃ…?) ○○「丘野さ〜んっ!」 丘野「あっ、○○だっ。なにしてんの?」 ○○「丘野さんこそ、なにして…」 丘野「泳いでたんだよ」 ○○「それは見ればわかるけど…どうして…?」 丘野「クラブで泳ぎ足りなかったから、 ひと泳ぎしてたの」 ○○「おれはてっきり、 サメかと思ったよ」 丘野「キャハハ、食べられちゃうかと思った?」 ○○「さすがにそこまでは思わなかったよ」 丘野「そりゃそっか、あははっ」 ○○「さっき、泳ぎ足りないって言ってたけど、 クラブでも泳いでるんじゃないの?」 丘野「そうだよ。 でも、ぜ〜んぜん物足りないの」 丘野「だって、田舎にいたころは、 日暮れまでず〜っと泳いでたもん」 ○○「あれ? 丘野さんの田舎って 山奥じゃなかった?」 丘野「そうだよ。でも、近くにおっきな川が あって、そこで毎日泳いでたんだ」 ○○「ああ、そうなんだ」 丘野「さ〜て、もうひと泳ぎ。 じゃあね、○○」 ○○「ああ」 ○○(クラブで泳いだ上に 海で泳ぐなんて、 よほど泳ぐのが好きなんだな…) <選択2> ○○(あ、あれはカッパか?) ○○(あれ? あれは…丘野さんじゃ…?) ○○「丘野さ〜んっ!」 丘野「あっ、○○だっ。なにしてんの?」 ○○「丘野さんこそ、なにして…」 丘野「泳いでたんだよ」 ○○「それは見ればわかるけど…どうして…?」 丘野「クラブで泳ぎ足りなかったから、 ひと泳ぎしてたの」 ○○「おれはてっきり、 カッパかと思ったよ」 丘野「カッパ? おっかし〜い。 本当にいるなら会ってみたいね」 ○○「ははは、そうだね」 ○○「さっき、泳ぎ足りないって言ってたけど、 クラブでも泳いでるんじゃないの?」 丘野「そうだよ。 でも、ぜ〜んぜん物足りないの」 丘野「だって、田舎にいたころは、 日暮れまでず〜っと泳いでたもん」 ○○「あれ? 丘野さんの田舎って 山奥じゃなかった?」 丘野「そうだよ。でも、近くにおっきな川が あって、そこで毎日泳いでたんだ」 ○○「ああ、そうなんだ」 丘野「さ〜て、もうひと泳ぎ。 じゃあね、○○」 ○○「ああ」 ○○(クラブで泳いだ上に 海で泳ぐなんて、 よほど泳ぐのが好きなんだな…) <選択3> ○○(あ、あれは人魚か?) ○○(あれ? あれは…丘野さんじゃ…?) ○○「丘野さ〜んっ!」 丘野「あっ、○○だっ。なにしてんの?」 ○○「丘野さんこそ、なにして…」 丘野「泳いでたんだよ」 ○○「それは見ればわかるけど…どうして…?」 丘野「クラブで泳ぎ足りなかったから、 ひと泳ぎしてたの」 ○○「おれはてっきり、 人魚かと思ったよ」 丘野「ヘヘヘ、人魚か…」 ○○「でも、脚があるから、人魚じゃないね」 丘野「あはっ、そうだね」 ○○「さっき、泳ぎ足りないって言ってたけど、 クラブでも泳いでるんじゃないの?」 丘野「そうだよ。 でも、ぜ〜んぜん物足りないの」 丘野「だって、田舎にいたころは、 日暮れまでず〜っと泳いでたもん」 ○○「あれ? 丘野さんの田舎って 山奥じゃなかった?」 丘野「そうだよ。でも、近くにおっきな川が あって、そこで毎日泳いでたんだ」 ○○「ああ、そうなんだ」 丘野「さ〜て、もうひと泳ぎ。 じゃあね、○○」 ○○「ああ」 ○○(クラブで泳いだ上に 海で泳ぐなんて、 よほど泳ぐのが好きなんだな…)
○○「丘野さんっ!」 丘野「あ、○○、おっはよーっ!」 ○○「昨日はありがとう」 丘野「昨日? なんだっけ?」 ○○「ほら、野菜をくれたじゃないか」 丘野「ああ、あれかぁ。食べた? おいしかった?」 ○○「ああ。とってもおいしかったよ」 丘野「そっかぁ、よかった〜」 丘野「また、なんか送って来たら、 分けてあげるね」 ○○「ありがと」
丘野「あっ、○○」 ○○「丘野さん。なにか用?」 丘野「ね、○○って 誰かに似てるって言われない?」 ○○「おれ?」 ○○「べつに、言われたことないけど…」 丘野「そっか…」 ○○「どうかしたの?」 丘野「○○がね、どことなく似てるんだよね」 ○○「誰に?」 丘野「わかんない」 ○○「なにそれ?」 丘野「思い出せないんだよね。 誰かに似てるんだけど…う〜ん」 ○○「………」
○○「丘野さんっ!」 丘野「………」 ○○「丘野さん?」 丘野「………」 ○○「丘野さんったらっ!」 丘野「わっ!」 丘野「○○っ! びっくりしたぁ。 突然現れるんだもん」 ○○「さっきから何度も呼んだのに」 ○○「どうしたの?」 丘野「う〜ん、どうしても思い出せない…」 ○○「なにが?」 丘野「○○が誰に似てるか」 ○○「…まだ、それを考えてんの?」 丘野「だって、気持ち悪いんだもん」 丘野「う〜ん…」 ○○(だめだこりゃ…)
○○(神社か…、ここは静かだな…) 丘野「それそれそれーっ」 ○○(な、なんだ?) 丘野「ほえっ、○○じゃん、なにしてんの?」 ○○「お、丘野さん…」 丘野「ん? なに?」 ○○「自転車で境内を走り回るのは ちょっとやめた方がいいと思うけど…」 丘野「大丈夫だよ、この自転車頑丈だから」 ○○「そういうことじゃないんだけど…」 丘野「石段をダーッと降りると楽しいよぉ」 ○○「石段も乗ってるの?」 丘野「うん。すっごいスリルあるんだよ。 ○○もやってみる?」 ○○「えっ、遠慮しとくよ…」 ○○「丘野さん、元気だね」 丘野「そっかな? 普通だよ」 丘野「さ〜て、あとひとっ走りっ! じゃあね」 ○○「ああ、また」
○○「あっ、丘野さん。これからクラブ?」 丘野「………」 丘野「ううん、帰るとこ…」 ○○「ああ、今日はクラブ休みなんだ」 丘野「ううん、やってるよ」 ○○「え?」 ○○「…もしかして、サボり?」 丘野「…だって、水泳部って つまんないんだもん」 丘野「先生は、 ああしろこうしろってうるさくて、 自由に泳がせてくれないし…」 丘野「昨日なんか、ビート板の 投げっこしただけで、怒られたんだよ」 ○○「それは普通起こられると思うけど…」 丘野「それに、それに、 水着だって好きなのを 着させてくれないんだよ」 丘野「『学校で決められてる水着を着ろ』 とか言うんだよ。 水泳部なんかつまんないっ」 ○○「丘野さん…」 丘野「そうだっ、これから海へ泳ぎに行こうよ。 ねっ、いいでしょ?」 ○○「いいよ」 丘野「やったっ!」 ○○「と、言いたいところだけど」 丘野「えっ?」 ○○「やっぱりさ、 クラブへちゃんと行った方がいいよ」 丘野「え〜、でもぉ〜」 ○○「行った方がいいって」 丘野「ぶ〜」 ○○「海へは、クラブの休み届けを ちゃんと出して来たら行くよ」 丘野「そんなの許してくれないよ〜」 ○○「じゃあ、行くしかないね」 丘野「○○のいじわるっ、イ〜だ」 ○○(う〜む、困った娘だなぁ…)
丘野「おっはよ〜、○○〜」 ○○「ん?」 ○○「あっ、おはよ。丘野さん」 丘野「昨日、ちゃんとクラブ行ったよ」 ○○「あっ、本当? えらいえらい」 丘野「ふふん、どんなもんだ」 丘野「じゃあね〜」 ○○(わざわざ報告に来たのか。 かわいいところあるなあ、うん)
○○(水泳部の練習はもう終わったのか。 丘野さんも帰っちゃったのかな) 丘野「ああ、○○」 ○○「丘野さん、まだいたんだ。 …あ、居残り練習?」 丘野「………」 ○○「ははは、泳ぎ足りないんだ。 本当に泳ぐの好きだね」 丘野「…ううん、今日は もう、じゅ〜ぶん泳いだ」 ○○「え?めずらしいね」 丘野「なんか、泳ぐの楽しくなくて…。 こんなの初めてだよ…」 ○○「え? …スランプ?」 丘野「わっかんな〜い」 ○○「じゃあ、 疲れが溜まってるんじゃないかな?」 丘野「あたしは、いくら泳いでも ぜ〜んぜんへ〜きだよ」 ○○「じゃあ、どこか悪いとか…」 丘野「そういうのじゃないと思うんだ。 たぶん…」 ○○「たぶん?」 丘野「……よく、わかんない」 ○○「ふ〜ん」 ○○「ま、とにかく、 2、3日ゆっくりすればいいと思うよ」 丘野「うん、そうだね」
○○「丘野さん」 丘野「ああ、○○」 ○○「水泳部の練習はもう終わったの?」 丘野「うん」 ○○「またひとりで泳いでたってわけか」 丘野「エヘヘ」 丘野「そうだっ! ○○にいいもの見せてあげるっ」 ○○「いいものって?」 丘野「いいから、いいから、そこで待っててよ」 ○○(…? いいもの? なんだろ?) ・ ・ ・ 丘野「じゃ〜んっ!」 ○○「わっ!」 ○○「丘野さん、その水着…」 丘野「いいでしょ? この間、買ったの」 ○○「す、すごい水着だね…」 丘野「カッコイイでしょ?」 ○○「そ、そうだね…」 丘野「それでね、それでね…」 ○○「ちょ、ちょっと待った。 着替えてきなよ」 丘野「…なんで?」 ○○「ちょっと、目のやり場に困る…」 丘野「なにそれ?」 ○○「とにかく、着替えて来なよ」 丘野「もう、面倒くさいなぁ〜」 ○○「いいから、いいから、さっ、早く」 丘野「もうっ」 ・ ・ ・ 丘野「これでいい?」 ○○「ああ…。 あの水着って露出度高すぎない?」 丘野「そんなことないよ、普通だよ」 ○○「そうかなぁ…」 丘野「ね、本当はないしょなんだけど、 ○○にだけ教えてあげる」 ○○「なにを?」 丘野「明日ね、水泳部の練習試合があるの。 でね、あの水着で泳ごうと思ってるんだ」 ○○「ええっ! ほ、本気?」 丘野「うん、きっと目立つよぉ〜」 ○○「目立つとは思うけど、 やめた方がいいんじゃ…」 丘野「どのくらい目立ったかは、 今度、報告するね。じゃあねっ!」 ○○「おっ、おいっ!」 ○○(…まさか、本気じゃないよな…)
○○(あっ、あれは丘野さん…) 丘野「お腹空いてるの?」 丘野「ごめんね。 今、食べられるもの持ってないんだ」 丘野「キミはどこから来たの?」 丘野「ちゃんと家に帰らないとだめだよ。 きっと家族が心配してるよ」 丘野「じゃね、ばいばい」 ○○「丘野さ〜ん」 丘野「あっ、○○」 ○○「犬と話してたの?」 丘野「ああ、見てたの」 丘野「さっきの犬、首輪ちぎって 家出して来たみたいなんだ。だから、 帰らなきゃだめだよって言ったの」 ○○「ふ〜ん」 ○○「自由になりたかったのかな」 丘野「そうかもね。 でも、ひとりじゃ生きていけないよ」 ○○「エサとか大変だろうしな」 丘野「そうじゃなくてさ、やっぱり 家族といっしょじゃなくちゃ」 ○○「家族といっしょか…。そうだね」
丘野「○○、○○っ! ついにわかったよ」 ○○「なにが?」 丘野「ほら、前に○○が誰かに似てるって 言ったでしょ?」 ○○「ああ、そのことか」 ○○「で、誰だったの?」 丘野「えっへんっ。 ズバリ、あたしの父さんでしたぁ」 ○○「おれって、そんなに老けて見える?」 丘野「あ〜ん、そういう意味じゃなくて〜」 丘野「見た感じじゃなく、ところどころの 話し方が似てるの!」 ○○「そんなもんかな」 ○○「丘野さんのお父さんってどんな人?」 丘野「毎日、家の畑で野菜作ってるよ。 腕とかすっごく太いんだよ〜」 丘野「それでね、髭モジャなんだよ。 だから、スリスリされると痛くって」 ○○「ふ、ふ〜ん…」 丘野「あー、謎が解けて満足〜」 ○○「よかったね」 丘野「うんっ!」
○○「丘野さんっ、昨日の試合どうだった?」 丘野「怒られた…」 ○○「えっ?」 ○○「ま、まさか…あの水着を本当に着たの?」 丘野「うん…」 丘野「みんな喜ぶと思ったのに…」 ○○「………」 ○○「先生は、なんて言ってた?」 丘野「不真面目なやつは水泳部にはいらないって」 ○○「先生、怒っちゃったのか…」 丘野「うん、すっごく怒ってた…」 ○○「困ったな…」 丘野「もういいの…」 ○○「もう、いいって、丘野さんっ!」 ○○(行ってしまった……困ったな。 放課後に様子を見に行くか…)
部員A「丘野さんやっぱり来ないね」 部員B「だって、彼女謹慎なんでしょ?」 部員A「えっ、そうなの?」 部員A[当然と言えば当然か…。 先生、すっごく怒ってたもんね」 部員B「あっちの先生からも 苦情があったんだってさ」 部員A「そうなんだ」 ○○(丘野さん、来ていないのか…) ○○(じゃあ、どこへ行ったんだろう…) ○○(あっ、屋上にいるのは…。 あれは…丘野さんか) ・ ・ ・ ○○(丘野さんはどこだ?) ○○「丘野さんっ、こんなところにいたんだ」 丘野「ああ、○○…」 ○○「謹慎になっちゃったんだって?」 丘野「……うん」 丘野「さっぱりとやめちゃおっかな〜。 最近つまんないって感じてたしなっ」 ○○「丘野さん…」 丘野「泳ぎたければ、いくらでも海で泳げるし、 そうすればどんな水着でも怒られないし…」 丘野「ねっ、○○もそう思うでしょ? うん、思い切ってやめちゃおうっ!」 ○○「………」 ○○「それで、いいの?」 丘野「え?」 ○○「丘野さんはそれで、本当にいいの?」 丘野「………」 ○○「やめるかやめないか、 それは丘野さんが決めることだから、 おれはなにも言わない。だけど…」 ○○「だけど…、そんな丘野さんは おれの知ってる丘野さんじゃないな」 丘野「○○…」 ○○「おれの知ってる丘野さんは、 いつも明るく笑ってて、ちょっとくらい のことじゃへこたれない女の子だよ」 ○○「ちょっと怒られたくらいで 投げ出しちゃうなんて…らしくないよ」 ○○「それに、ほら、続けていれば、 タイムが早くなるのが楽しみになったり、 試合とかでいろんな人に会えたりするし…」 ○○「だから…なんていうか…」 丘野「ごめん」 ○○「丘野さん…」 丘野「○○にも怒られちゃったな」 ○○「べつにおれは、怒ってるわけじゃ…」 丘野「○○に怒られちゃったから、 丘野陽子は水泳部に残ることにします」 ○○「えっ…」 丘野「○○に嫌われたくないもん」 ○○「そうか…、よかった…」 丘野「問題は…」 ○○「なに?」 丘野「先生が許してくれるかどうかだなぁ〜」 ○○「ちゃんと、謝れば大丈夫だよ」 丘野「うん、そうだよねっ」 ○○「そう、そう。がんばれよ」 丘野「うん、見ててっ!」 丘野「○○、あのさ…」 ○○「ん?」 丘野「ありがと」 ○○(よかった、思いとどまってくれて…)
丘野「お〜い、○○」 ○○「ああ、丘野さん」 丘野「ちゃんと先生に謝ったら、 謹慎、解いてくれるってさ」 ○○「そうか、よかったね」 丘野「うん、これも○○のおかげだね」 ○○「そんな、おれなんか…」 ○○「わざわざ、報告に来たの?」 丘野「そうだよ。○○には一番に 教えたかったから」 丘野「じゃあね〜」 ○○「ああ、気をつけてね」 ○○(良かったな、丘野さん)
○○(あれは…丘野さん…) ○○「丘野さ〜ん」 丘野「ああ、○○」 ○○「なに見てたの?」 丘野「家の畑が見えないかな〜と思ってさ」 ○○「え? ここから、見える?」 丘野「だめみたい…山がジャマで…」 丘野「方角は合ってるんだけどな〜」 ○○「山の向こうじゃ見えないよ」 丘野「そっか…」 ○○「…なんかあったの?」 丘野「今朝ね…」 丘野「今朝、夢を見たんだ」 ○○「どんな夢?」 丘野「家でね、 みんなといっしょにごはん食べてるの」 ○○「へえ〜」 ○○「7人兄弟なんだよね?」 丘野「うん、兄貴がふたり、弟と妹がふたりずつ」 ○○「そのうえ両親だから、全部で9人か」 丘野「違うよ、おじいちゃんとおばあちゃんが いるから、全部で11人」 ○○「それだけいるとすごい食卓だろうな…」 丘野「うん、おかずの取り合いで毎日戦争だよ」 ○○「ははは、にぎやかで楽しそうだ」 丘野「うん…楽しかった」 ○○「…そうか。 今はお兄さんとふたりだもんね」 丘野「前は、べつにさみしくなかったんだよ。 ただ…最近、気がつくと田舎のこと 考えてるんだよね」 丘野「ひとりでいるのがつらいんだ…」 ○○「丘野さん…」 丘野「だから、誰かといっしょにいると 安心するの」 ○○「おれなんかでも?」 丘野「うん。特に○○はね」 ○○「え? それって…」 丘野「父さんといっしょみたいな気がするから」 ○○「ああ、そういうことか」 丘野「じゃあね、○○」 ○○「ああ」 ○○(丘野さん、ホームシックかな…)
○○(あれ? 昼休みなのに プールから泳ぐ音がするな…) ○○「あっ」 ○○(あれは…丘野さんか) ○○「丘野さ〜んっ!」 丘野「あっ、○○」 ○○「なんで、昼休みに泳いでんの?」 丘野「なんとなく、泳ぎたくなっちゃったんだぁ」 ○○「ふ〜ん、そうか」 ○○「おれさ、丘野さんが泳いでるのを ちゃんと見たの初めてなんだけど、 カッコイイね、飛び魚みたいだったよ」 丘野「エッヘヘ、ありがと。 ○○にほめられるとうれしいな」 丘野「そうだ、○○もいっしょに泳ごうよ」 ○○「えっ!? おれは止めとくよ。 水着、持って来てないしね」 丘野「更衣室に誰かのがあるよ、きっと」 ○○「丘野さん… それは、ちょっと嫌だよ」 丘野「そっか…残念…」 ○○「おれは、ここで見てるから、 泳いで見せてよ」 丘野「うんっ! わかった。 はりきって泳ぐね」
丘野「あっ、○○」 ○○「丘野さん、なにしてんの?」 丘野「○○は妹いるよね」 ○○「あ、ああ、ひとりいるけど?」 丘野「妹と離れて暮らしたら、さみしい?」 ○○「え? そうだな… 今まで考えたこともなかったよ」 ○○「兄妹って、いっしょに暮らしてるのが 普通だったから…」 ○○「でも、きっとさみしいんだろうな」 丘野「そうだよね…」 ○○「どうしたの?」 丘野「なんかさ、急に弟たちの顔が 見たくなっちゃった」 ○○「家へは帰ってないの?」 丘野「うん。まだ一度も帰ってない」 ○○「帰らない理由でもあるの?」 丘野「うん…」 丘野「一度帰っちゃうと、 戻って来るのがつらくなっちゃうから」 ○○「そうかあ…そうだよなあ」 丘野「あっ、でも、今度は大丈夫かもしれない」 ○○「どうして?」 丘野「こっちに帰って来たい理由ができたから」 ○○「ふ〜ん、そうなんだ」 丘野「あたしね、こっちへ来たばかりの頃は、 早く高校を卒業して、 家へ戻りたかったんだ。けど…」 ○○「けど…?」 丘野「今は、高校を卒業してからも、 ず〜っとこっちで暮らしても いいかなぁ〜って」 ○○「その理由っていうのは、 きっと大事なことなんだな」 丘野「うん。とっても大事だよ」 ○○「教えてくれない?」 丘野「だめ」 ○○「どうして?」 丘野「エッヘッヘ〜、○○なら、 そのうちわかるよ」 ○○「? どういうこと?」 丘野「じゃあね、クラブあるから」 ○○(ん? どういうことだろ?)
丘野「やっほー、○○!」 ○○「丘野さん、どうしたの?」 丘野「ちょっと、 教えて欲しいことがあるんだけど…」 ○○「いいよ、なに?」 丘野「あのさ、○○って、どんな女の子を お嫁さんにしたい?」 ○○「はあ?」 ○○「いきなりだなぁ。 そんなこと、考えたこともないよ」 丘野「だったら、今すぐ考えてっ」 ○○「…そんなこと言われてもなぁ」 丘野「ね、ね」 ○○「そうだな…」 <選択1> ○○「やっぱり、元気な娘だな」 丘野「本当に?」 ○○「いっしょにいて楽しいからね」 丘野「あたしねえ、みんなに、いっしょにいて 楽しいって言われるんだよぉ」 ○○「そ、そう…」 丘野「ありがと、○○。じゃあね」 ○○(………。 いったいなんだったんだ…) <選択2> ○○「頭のいい娘がいいな」 丘野「それって、どのくらいの成績?」 ○○「成績だけじゃないよ。 こう、よく気がつくっていうかさ」 丘野「あたし、よく気がつくよっ!」 丘野「この間もね、友だちのコンタクトレンズ 見つけてあげたの、すごいでしょ」 ○○「いや、そういう意味じゃなくて…」 丘野「ありがと、○○。じゃあね」 ○○(………。 いったいなんだったんだ…) <選択3> ○○「おとなしい娘だなやっぱり」 丘野「えーっ、どうしてぇ?」 ○○「どうしてって言われても… 好きなものは好きなんだよ」 丘野「もう一度選び直してよ」 ○○「選び直す?」 ○○「げ、元気な娘がいい…」 丘野「本当? やったー!」 ○○「本当って… 無理矢理言わせたようなもんじゃないか」 丘野「ありがと、○○。じゃあね」 ○○(………。 いったいなんだったんだ…)
○○(……あっ、あれはっ!) ○○「お、丘野さんっ! なにやってんのっ!」 あ、危ないよっ! 丘野「ああ、○○。やっほー」 ○○「ほ、ほら、よそ見なんかしないで、 危ないったらっ!」 丘野「大丈夫、大丈夫。 あたし、バランス感覚いいんだ」 ○○「とにかく早く降りなよっ!」 丘野「ほ〜い」 ○○「ふ〜、びっくりした…。 落ちたらどうするんだよ」 丘野「心配した?」 ○○「当たり前だろ! 寿命が縮んだよ!」 丘野「この上から見るとね、ここより、 ずっと遠くまで景色が見えるんだよ」 ○○「それはわかったから、 もう二度としちゃだめだっ!」 丘野「え〜、どうしてぇ〜」 ○○「どうしてって、危ないだろ!」 丘野「えっ!?」 丘野「わ、わかった。 もう絶対しない。約束するっ」 ○○「わかればよろしい」 丘野「あ〜、よかった」 ○○「それはおれのセリフだよ」
丘野「あ、○○っ!」 ○○「ん? 丘野さん。何やてんだ?」 丘野「太陽エネルギー充電してんの」 ○○「ははは、丘野さんって、 お日様の力で動いてるんだ」 ○○「わっ」 丘野「すごい風だったね〜」 ○○「…丘野さん。今みたいな時は スカートを押さえた方がいいよ」 丘野「どうして?」 ○○「風でスカートが 思いっきりめくれてたよ」 丘野「ああ、大丈夫だよ。 中は水着だから、ほら」 ○○「わっ、ちょ、ちょっとっ!」 丘野「なに照れてんの? プールでいつも見てるじゃん」 ○○「確かにそうだけど… とにかく、スカートおろして」 丘野「変なの〜」 ○○「丘野さんって、いつも水着着てるの?」 丘野「いつもじゃないよ。 たまには、普通のパンツもはいてるよ」 ○○「…それって逆じゃない?」 丘野「だって、着替えるの面倒くさいんだもん」 ○○「だからって…。 あれ? 泳いだ後はどうするの? まさか、濡れた水着の上に制服を…」 丘野「ん? そうすることもあるよ」 ○○「そ、そう…なんだ」