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2011年06月03日 [長年日記]

_ [webclip][net] ぐるぐる

ぐるぐる

_ 作家村山由佳さんインタビュー全文(2)誰も傷つけない大恋愛はない : こころ元気塾 : yomiDr./ヨミドクター(読売新聞)/↑B1470

 ――結婚後の恋愛の方が大恋愛になりますか?

 村山 燃え上がりますよね。他人の不幸は蜜の味といいますが、自分の不幸が蜜の味になる唯一のことが恋愛なんだと思います。

マゾ?(違

_ 君が代判決―司法の務め尽くしたか(朝日)/↑B1470

 最高裁の裁判官は、多数決で決まる法廷意見とは別に、個別意見を表明することができる。結論に反対する内容ではなくても、最大公約数である法廷意見の足りない点を補い、意のあるところを説くことで、判決をめぐる議論と理解は深まる。

 卒業式などの君が代斉唱の際、都立学校の校長が教員に起立斉唱を命じても、思想・良心の自由を保障する憲法に違反しない――。そう述べた判決にも長文の補足意見がついた。

 「不利益処分を伴う強制が、教育現場を疑心暗鬼とさせ萎縮させることがあれば、教育の生命が失われる」「強制や不利益処分は可能な限り謙抑的であるべきだ」(須藤正彦裁判長)、「国旗・国歌が強制的にではなく、自発的な敬愛の対象となるような環境を整えることが重要だ」(千葉勝美裁判官)。

 いずれも私たちが繰り返し主張してきたことと重なる。法廷意見も、職務命令が思想・良心の自由の間接的な制約になると認めた。そのうえで、長年の慣例や式典の意義、公務員の立場などを考えれば、そうした制約も許され得るとしている。

 手放し、無条件の合憲判断ではないことに留意しよう。教育行政に携わる人、そして起立条例案の採決が迫る大阪府議会の関係者は、判決の趣旨をしっかり理解してほしい。

 一方で、最高裁の姿勢には疑念と失望を禁じ得ない。

 原告の元教員は1度だけ起立を拒み、戒告処分を受けた。その後は現場を混乱させたくないとの思いで命令に従ったが、定年後の再雇用を認められなかった。ところが、別の理由で停職や減給などもっと重い処分を受けた教員は採用された。

 一審の東京地裁は扱いの不均衡を踏まえ、裁量権の乱用があったとしたが、最高裁は職務命令と憲法の関係のみを論じ、不採用の当否は判断しなかった。結果として、原告が逆転敗訴した二審判決が確定した。

 最高裁にその思いがあれば審理できるにもかかわらず、そしてそれに値する重要な問題であるのに、あえて避けたとしか思えない。このようなケースにすら救いの手を伸べず、ただ判決文の中で「慎重な配慮」を求めても説得力に欠けよう。

 多数者の意向や勢いに流されず、少数者を保護する。それが司法の大切な使命だ。とりわけ思想、良心、表現、信教など精神的自由に関する分野では、厳格なチェックが求められる。

 裁判所がその職務を放棄したとき、私たちの社会は多様性を失い、やがて色あせていく。

「行政に雇われた」教育者である事よりも、私事の感情を優先するような「人間」を「行政に雇え」と言うのは、行政側が誰を雇うかを決める権限を無視した発言だろ。

雇用人に職業選択の自由はあっても、雇用人を選ぶ権利が雇用者に無いとでも言うのか。

「思想・良心の問題である」とするなら「問題ある職場を選択する」と言うのは、どう考えても矛盾する。「咎める」なら「選択しない」を何故選ばないのか。「選択する」のであれば、ある程度の「自由」が無くなるのは当然だ。それは「労働条件」として「雇用者」と意見交換すべきものであって、「式典の場」で行うものではない。TPOもわきまえない人間は「教師」として適切か。

_ 【主張】国歌起立判決 「合憲」機に指導の徹底を ― MSN産経ニュース/↑B1470

 卒業式の国歌斉唱の際、東京都教育委員会の通達に基づき教職員に起立斉唱を命じた校長の職務命令について、最高裁が「思想、良心を直ちに制約するものではない」などとし、合憲の初判断を示した。

 同様の訴訟は各地の裁判所で争われているが、最高裁判決として決着した意義は大きい。教育現場の正常化の大きな一歩と評価したい。

 提訴したのは都立高校の元教諭で、平成16年春の卒業式に起立しなかったため戒告処分を受けた。これがもとで退職後の再雇用が認められず、都に損害賠償を求めていた。

 都教委は15年秋から、教職員に対し、卒業式や入学式の国歌斉唱で国旗に向かって起立して斉唱するよう通達し、校長が職務命令を出している。しかし従わずに懲戒処分などを受け、処分取り消しなどを求める訴訟が20件以上、係争中だという。

 不起立の教師側は「思想、良心の自由を保障した憲法19条に反する」などと主張している。これに対し19年、国歌斉唱のピアノ伴奏を命じた校長の職務命令を合憲とする最高裁判決が出ていた。今回は起立命令についても、合憲と判断された。

 節目となる行事の国歌斉唱で、教師が座ったままの光景は保護者や生徒にどう映るか。こうした教師の行為は個人の政治的主張や感情を生徒らに押しつけるもので、教育の場では許されない。

 今回の判決では、「国旗・国歌が強制的にではなく、自発的な敬愛の対象となるような環境を整えることが何よりも重要」という補足意見もあった。だが自然に敬うことを妨げる教師がいるからこそ、職務命令は出されている。補足意見を盾に「強制はいけない」と主張するなら筋違いだ。

 学校現場ではこれまでにも、国旗掲揚や国歌斉唱に反対する一部教師に対し、校長らが苦労を重ねてきた。11年には広島県の校長が自殺する痛ましい事件が起き、これを契機に「国旗国歌法」が制定された。

 大阪府では、国歌斉唱で教職員の起立を求める条例案も府議会で提案されている。国旗、国歌に敬意を払う国際的な礼儀を守らず、「憲法違反」だと言いつのる教師こそ問題なのである。教委は「合憲」判決を機に、改めて指導を徹底してもらいたい。

「敬意」で問題にするから、「思想・良心の自由」を持ち出される。

「儀礼の礼」として攻めるべき。礼儀には確かに敬意を表す意味も入ってしまうが、「行為」の問題に収めておかないと、今後もTPOを無視する馬鹿は現れ続けるだろうから。

_ 【産経抄】国難の今、わがままな教師たちを叱る ― MSN産経ニュース/↑B1470

2011.6.1 02:47

 早坂隆氏の『世界の日本人ジョーク集』に「スープに蠅が入っていたら?」というよくできた話がある。「問題なく蠅を食べる」という中国人など、各国の人々の反応をジョークとして取り上げている。中でも対比がおもしろいのが、米国人と日本人だ。

 ▼米国人は「ボーイを呼び、コックを呼び…あげくに裁判沙汰となる」。一方の日本人は「自分だけに蠅が入っているのを確認してから、そっとボーイを呼びつける」。訴訟大国の米国と、なるべくなら争いごとを避けたい日本との風土の違いを示しているように思える。

 ▼だが一昨日、最高裁で判決があった国歌斉唱時の起立をめぐる裁判を見ると、日本も訴訟大国になったのでは、と錯覚させる。東京だけでも国旗・国歌をめぐる同様の訴訟が24件も起きている。750人近い教職員がその当事者となっているというから、驚きである。

 ▼自分の思想信条と合わない職務命令には従いたくない。聞こえはいいかもしれないが、普通の企業や組織ではそれは「わがまま」という。「蠅一匹で」とはいわないが、処罰を受けたら裁判に持ち込むというのなら、世の中訴訟だらけになってしまう。

 ▼幸い、最高裁の判決では斉唱時の起立を求めた職務命令は思想、良心の自由を侵害せず、合憲と断じた。4年前、国歌のピアノ伴奏の命令も合憲となっている。司法としてこれ以上の判断はない。いいかげんに不毛な議論はやめ、命令に服したらいかがか。

 ▼国難といわれる今、日本人は心をひとつにすべきときだ。それなのに、何百人もの先生たちが国旗や国歌に背を向けて裁判闘争にうつつを抜かす。日本を応援している外国人たちの目にどう映っていることだろう。

教育の職に就きながら違法行為万歳は大量に居るからなぁ。

_ タイに滞在中の米国人男性、不敬罪で逮捕される ― スラッシュドット・ジャパン/↑B1470

不要な1文を入れてるおかげで、変な方向に進むだろうと思ったら、その通りに進んでた。

_ 東京新聞:テレビ画面の中に、菅内閣不信任案の採決を眺めながら、思い出…:社説・コラム(TOKYO Web)/↑B1470

2011年6月3日

 テレビ画面の中に、菅内閣不信任案の採決を眺めながら、思い出したことがある▼衆院の大震災復興特別委員会で過日、参考人として出席したJA岩手県中央会の会長が明かした釜石支店の金融課長の話だ。あの地震の直後、課長は「重要書類は自分が金庫にしまうから、逃げろ」と職員を逃がしたのだという▼すぐに大津波が襲う。その後、金庫は重要書類が入った状態でみつかった。だが、どこを捜しても鍵がない。それは、やがて遺体で発見された課長の手に、しっかりと握りしめられていた…▼あまりに哀切だけれど、岩手県選出の議員が後日の委員会で語ったように「それぞれの持ち場で使命、責任を果たす人」の好例だろう。思えば、原発事故の現場も被災者救援の現場も、そうした人々によって何とか支えられている▼それに引きかえ、と怒りがこみあげる。この国難への対応、なお真っ最中の今、政権を倒そうとした不信任騒動。一刻の猶予も許されぬ原発事故対応や復興対策に寄与するのが、国会議員の「持ち場の使命、責任」だ。政争で足を引っ張ってどうする▼否決はされたが、首相の“退陣表明”の解釈などめぐり、政争は続く気配だ。嗚呼(ああ)、こんな「名言」のふさわしい政治が情けない。「お偉方は、我々に迷惑をかけないことが、けっこう善行になる」(ボーマルシェ作『セビリアの理髪師』)

まさにその通りですな>迷惑かけないことが

政治しかり、東電上層部しかり

_ [news][opiniton] 各紙社説とか

てけとーに

_ 東京新聞:菅首相辞意表明 政治停滞脱する契機に:社説・コラム(TOKYO Web)/↑B1470

2011年6月3日

 菅直人首相が大震災・原発事故対応に一定のめどがついた段階で辞任する意向を表明した。この決断を「政治の停滞」から脱する契機にせねばならない。

 六月二日は「民主党首相辞意表明の日」と歴史に刻まれるかもしれない。一年前、鳩山由紀夫前首相が辞意を表明した同じ日に、後継の菅首相も辞意表明することになるとは、歴史の偶然なのか。

 安倍晋三元首相以来、一年で交代する首相が五代続くが、東日本大震災・原発事故では菅内閣の対応の不手際が指摘されており、被災者対応を前進させる契機になるのなら前向きに受け止めたい。

◆民主党の分裂回避

 菅首相が辞意表明に至る引き金を引いたのは、自民、公明両党とたちあがれ日本が共同提出した菅内閣不信任決議案だ。

 共産、社民両党を除く野党に加え、民主党内でも菅首相の政権運営に批判的な小沢一郎元代表に近い議員らが賛成する意向を表明。否決できても大量の造反で政権弱体化は避けられず、党分裂の可能性が指摘されていた。

 首相は採決に先立つ党代議士会で「震災の復旧・復興に最大限の努力をする」「民主党を壊さない」「自民党政権には戻さない」という三つの目標を掲げ、「震災対応に一定のめどがついた段階で、若い世代に責任を引き継ぐ」との表現で、辞意を表明した。

 一定のめどとは、復興基本法を成立させ、夏前とされる二〇一一年度第二次補正予算案編成のめどがついた段階と、菅、鳩山両氏が合意したという。

 これを受け、不信任案に賛成する意向を固めていた鳩山氏は反対に転じ、小沢氏も「今までなかったことを引き出したから、自主的判断でいい」と採決を欠席した。

 菅、鳩山、小沢各氏が当面、民主党の結束維持を優先させることで折り合いをつけた形である。

◆変わらぬ「ねじれ」

 復興基本法案について、民主、自民、公明三党は、復興庁に実施権限を持たせる自民党案をほぼ丸のみした修正案で合意しており、今国会で成立する公算が大きい。

 首相は先送りの意向を示していた二次補正についても、一日の党首討論で、自民党の谷垣禎一総裁に協議入りを呼び掛けている。

 停滞していた震災復興策は、多少なりとも前進の兆しはある。依然苦しい避難生活を送る被災者の立場に立ち、対応を急ぐべきだ。

 ただ、民主党を取り巻く状況は厳しい。与党が参院で過半数に達しない「ねじれ状況」に変わりないからだ。

 自民党の石原伸晃幹事長は不信任案否決後、「子ども手当」「農家戸別所得補償」「高校授業料無償化」「高速道路無料化」のバラマキ4K政策を撤回しない限り、赤字国債を発行する特例公債法成立に協力しない考えを表明した。

 赤字国債は一次補正を含む一一年度予算の歳入の四割を占める。同法が成立しなければいずれ国庫は底をつき、社会保障など公共サービスへの影響も避けられない。

 民主党は引き続き、野党側の協力を得る努力を惜しむべきではない。真摯(しんし)な交渉態度に加え、復興基本法案の修正協議で自民党の主張をほぼ丸のみしたような柔軟さも時には必要だ。

 野党側も、不信任案が否決された以上、いたずらに国会を混乱させるべきではない。参院で菅首相問責決議案を提出、可決させ、法案審議に応じないようなことは厳に慎むべきだろう。

 谷垣氏は首相に辞任を迫る際、「あなたが辞めれば、与野党を超えて新しい体制をつくる工夫はいくらでもできる」と断言した。

 民主党代表選がいつ行われるかは確定していないが、後継内閣には協力を惜しんではならない。自民党が総裁発言に責任を持つか否か見届けたい。

 大連立でもない限り、ねじれ国会は続く。与野党がともに責任を負う政治に進化しなければ、日本政治の危機的な状況は脱せない。

 党利党略を優先させる政治に終止符を打ち、「国民の命と暮らしを守る」政治本来の目的達成のために勇気ある転換をしてほしい。

 首相が辞意表明した以上、レームダック(死に体)化は避けられない。その状態が続けば、外交上も損失は大きい。政権延命を図るようなことがあってはならない。

◆衆院解散が筋だが

 首相が「若い世代に責任を引き継ぐ」と語ったのは、小沢氏らベテラン議員には政権を任せたくないのだろうが、それが若手であろうと、選挙を経ない「政権たらい回し」は民主党が批判してきた。

 首相交代なら衆院を解散して信を問うのが筋である。東北地方が復興途上にあり、直ちに総選挙に踏み切るのは難しいだろう。国民ができるだけ早く政権選択の機会を得るためにも、全力を挙げて復興を急ぐのが政治の責務である。

_ そもそもの問題。

 首相は採決に先立つ党代議士会で「震災の復旧・復興に最大限の努力をする」「民主党を壊さない」「自民党政権には戻さない」という三つの目標を掲げ、「震災対応に一定のめどがついた段階で、若い世代に責任を引き継ぐ」との表現で、辞意を表明した。

後ろ二つは党利党略の話で、国民に関係無いんだよね。

_ 政争にかまけている時間はないはずだ :日本経済新聞

 自民、公明両党などが衆院に菅内閣への不信任決議案を提出した。民主党執行部は2日の本会議での否決を見込むが、党内には野党に同調する動きも広がっている。東日本大震災への対応を後回しにし、政争を優先するような展開に違和感を覚える有権者は多いのではないか。

 自民党の谷垣禎一総裁と公明党の山口那津男代表は1日の党首討論で、菅直人首相に相次いで即時辞任を迫った。谷垣氏は「震災から80日間たったが、進んだのは本部や会議の乱立だけだ。あなたの下では対応は不可能だ」と強調した。

 首相は「国民は大震災の復旧・復興、原子力事故の早期収拾に国会が一丸となって当たってほしいと強く求めている」と述べ、退陣要求を突っぱねた。

 野党は22日の今国会の会期末をにらみ、震災復興や原発事故などで後手の対応を続ける菅内閣との対決姿勢を一気に強めた。報道各社の世論調査をみても、首相や閣僚の手腕への懐疑的な見方が広がっているのは確かだ。

 ただ「なぜ今、不信任案なのか」という疑問はぬぐい去れない。災害対応の理念や組織を定めた復興基本法案は与野党の修正協議が大詰めとなり、赤字国債発行法案の扱いや子ども手当の見直しを巡る調整も遅れている。一義的な責任は政府側にあるが、自民党も接点を見いだすため十分な努力をしたとは言い難い。

 さらに理解に苦しむのは、民主党の小沢一郎元代表が不信任案への同調を示唆し、「倒閣」に向けて造反議員の拡大に動くなど党内抗争を激化させていることだ。

 小沢元代表は昨年9月の党代表選に出馬し、衆院選マニフェスト(政権公約)の堅持などを訴えた末に菅氏に敗れた。大震災の発生後も政権を積極的に支えようとはせず、むしろ様々な党内調整の足を引っぱるような言動が目立った。

 小沢元代表や支持勢力が内閣不信任案に賛成するのであれば、まず民主党を離党するのが筋である。

 菅政権の大震災や原発事故を巡る対応はスピード感を欠き、重要政策を巡る調整も遅れがちだ。一方、不信任案の可決を目指す動きからは、首相を退陣に追い込んだ後の新たな政策の軸や後継政権のイメージがほとんど伝わってこない。

 まだ10万人を超える被災者が厳しい避難生活を強いられている。今の日本に貴重な時間を政争に費やしている余裕はない。与野党は混乱を早期に収拾し、国政上の課題に緊張感を持って取り組んでほしい。

_ 首相は懸案片づけ早期退陣の時期示せ :日本経済新聞

 自民党などが提出した内閣不信任決議案の採決に先立ち、菅直人首相は民主党代議士会で、東日本大震災への対応などに一定のめどがついた段階で退陣する意向を表明した。

 具体的な退陣時期は不透明だが、首相の求心力が一段と低下するのは避けられない。野党側が批判するように、菅内閣が「死に体」となり、外交分野などにも悪影響が及ぶ懸念がある。

混乱の拡大は避けよ

 自らの延命のために、いたずらに退陣を遅らせることは許されない。首相は2日夜の記者会見でも退陣時期を明示せず、原発事故の収束などに一定のめどがつくまで職にとどまる考えを示した。こうした首相の姿勢では混乱が拡大しかねない。

 首相は復興基本法案などの懸案処理を急ぎ、早期退陣の時期を明確にする責任がある。

 首相は代議士会で「若い世代の皆さんに色々な責任を引き継いでいただきたい」とも語った。しかし辞めていく首相が後継者に言及することには、違和感を持たざるを得ない。退陣後も影響力を残す思惑を込めた発言なら論外である。

 2日の衆院本会議での不信任案の採決結果は賛成152人、反対293人となり、大差で否決された。

 首相が退陣に言及したことで、不信任案に賛成する構えを示していた鳩山由紀夫前首相らは反対に回った。やはり賛成する意向だった小沢一郎元代表らは欠席した。民主党内からの賛成票は2票にとどまった。

 執行部が賛成票を投じた2人を除籍(除名)処分にしたのは当然である。ただ欠席者を党員資格停止とするかどうかは結論を持ち越した。党員資格停止中の元代表には新たな処分を科さない方針だが、これで納得を得られるか、疑問が残る。

 民主党内から大量の造反が出て、不信任案が可決される事態は回避されたものの、この状況を招いた首相の責任は極めて重い。

 東京電力福島第1原発の事故処理をめぐる混乱や被災地の復旧の遅れなどに対し、足元の民主党内からも首相の指導力への不満の声が出ている。未曽有の国難の中で、首相官邸が霞が関の官僚機構をうまく活用しているとも言い難い状況だ。

 首相は代議士会のあいさつで指導力不足を認めたが、これまでの言動を真摯に反省して、党内外に協力を求める姿勢が必要だ。

 菅内閣が信任された以上、自民党など野党側もこの結果を受け入れ、国会審議で震災復興などに協力するのが筋だろう。

 野党が多数を占める参院で首相問責決議案を可決し、審議拒否で政権を追い込む手法には問題がある。憲法で規定されている内閣不信任決議案とは異なり、問責決議案には法的拘束力はない。衆院で信任された首相が参院の問責決議案で引きずり降ろされるような事態になれば、議院内閣制の基本が揺らぐ。

 赤字国債発行法案などの重要法案を人質にとり、成立を阻み続けるようでは「責任野党」と言えない。民主党が子ども手当などのマニフェスト(政権公約)関連の政策を大胆に見直すことを前提に、野党側も審議を促進する道を探ってほしい。

 菅内閣の支持率低迷や与野党対立で、他の重要な政策課題も停滞していることは遺憾である。

 菅内閣は今月中に決める予定だった環太平洋経済連携協定(TPP)への参加問題の結論を先送りし、党内をまとめるめどは立っていない。

強力な新政権で出直せ

 菅首相が議長を務める社会保障改革集中検討会議は2日、改革案を決めた。消費税収の使い道を子育て支援を含めた社会保障給付に限り、税率を15年度までに段階的に5%引き上げる方針をうたっている。

 子ども手当などで社会保障給付は増大している。11年度は107兆円を超す見通しだ。高齢化で一段の膨張は避けられず、消費税増税はいずれ必要になる。ただしその前提は年金や医療制度を効率化し、給付膨張の勢いを小さくしておくことだ。

 例えば、改革案には年金の支給開始年齢を現行計画の原則65歳から「68~70歳への引き上げを視野に検討する」とある。世界有数の長寿国として推し進めるべきだが、多くの有権者や高齢者雇用の拡充を迫られる産業界を説得しなければ実現しない難題だ。それを成し遂げる強い意志を民主党政権は持てるだろうか。

 米格付け会社が日本国債を格下げ方向で見直すと表明したのも、大震災の復興財源の調達を含め、菅政権の財政再建への取り組みを懐疑的にみているためだった。

 指導者がいったん「退陣」を口にしたからには、できるだけ早く、後任に道を譲ることが国益にかなう。菅首相が早期に退陣の道筋をつけ、震災復興や、社会保障と税の一体改革などを強力に推進できる新政権をつくることが急務である。

_ 社説:不信任決議案提出 やはり大義は見えない ― 毎日jp(毎日新聞)/↑B1470

なお10万を超す避難者や、生活再建に取り組む人たちの目にこの攻防はどう映っているだろう。自民、公明など野党は1日、菅内閣に対する不信任決議案を提出した。

 衆院本会議で2日に行われる採決では民主党議員の大量造反が見込まれ、党の分裂含みで状況は緊迫している。東日本大震災の復旧のさなか、自民党はあえて倒閣へ勝負に出た。だが、納得するに足る大義名分が掲げられたとは言い難い。

 なぜ今、不信任決議案なのか。谷垣禎一自民党総裁が「おやめになってはいかがか」と退陣を促し、菅直人首相が「復興、原発事故収束の責任を果たしたい」と拒んだ党首討論の応酬を聞いても疑問は解消できなかった。

 谷垣氏は政権発足以来の民主党の選挙での敗北、米軍普天間飛行場移設の停滞などを挙げ「人徳も力量もない」と首相の指導力を批判した。だが、大震災を経た国会のさなかで決議案を出すからには震災、原発事故対応で「なぜ首相ではだめなのか」、さらに「誰ならいいのか」を十分説明する責任があったはずだ。

 被災者支援の遅れなどはもっともな指摘だったが「建設的な意見をいただいた」と首相に逆手に取られた。原発事故の初動対応に問題が生じているのも事実だ。しかし、首相が谷垣氏に反問したように、自民党の従来の原子力政策や安全対策も問われている。

 もちろん、この状況を招いた責任は民主党を掌握できない首相にもある。首相は討論で「通年国会」も含め国会の会期を大幅に延長し、2次補正予算案など震災対応に取り組む方針をようやく表明した。今国会でどこまで政権を懸けて復興に取り組む決意があるのか、谷垣氏が真に問うべきはこの点だ。

 内閣の命運を決する2日の採決で民主党議員の責任は野党以上に大きい。小沢一郎元代表の系列議員を中心に大量造反が予想されている。いろいろ理由はあろうが、本質は震災でいったん封印された内紛の蒸し返しである。不信任決議案への対応は政党人として極めて重い。野党の提案に同調するというのであれば最低限、離党の覚悟を固めるべきだ。

 不信任決議案が可決されても否決されても、もはや相当の混乱は避けられまい。可決の場合、被災地の事情を考えれば首相による衆院解散は難しい。一方で首相を退陣に追い込んだ場合の新政権の展望が谷垣氏から示されたわけでもない。

 否決されても民主党の分裂状況は政権の運営に大きな影響を与えることになろう。今、政治がなすべきことは何か。本会議場では議員一人一人が自問し採決にのぞんでほしい。

_ 社説:菅首相退陣の意向 もう混乱は許されない ― 毎日jp(毎日新聞)/↑B1470

 東日本大震災の復旧・復興がまだ緒に就かず、東京電力福島第1原発事故が一向に収束しない危機的状況が続く中で、内閣不信任決議案が可決され、首相交代や衆院解散・総選挙の事態に突入する--。そんな最悪のシナリオだけは回避されたことに、ともあれ安堵(あんど)する。

 菅直人首相が2日、震災や原発事故対応に一定のめどをつけた段階で退陣する考えを表明した。造反の動きを見せていた民主党議員も大半はこれを了承し、衆院本会議で採決された不信任案は否決された。

 ◇辞める時期を明確に

 具体的な退陣時期はあいまいなままの異例の表明である。新首相選びが始まれば再び民主党は分裂状態になる可能性がある。しかし、この非常時にこれ以上政治を混乱させてはいけない。野党も含め今回の政争を猛省し、国の危機をどう乗り切るのか真剣に考え直す時である。

 菅首相と鳩山由紀夫前首相との間で最終決着をつけた民主党の混乱収拾に対し、自民党の谷垣禎一総裁らは「茶番だ」と批判している。退陣を表明した首相はさらに求心力を失い、政策実行も外交交渉も難しくなる。「だから退陣するなら一日も早く」とも野党は主張している。

 この批判に応えるため、少なくとも菅首相はまず、退陣時期を明確にしなくてはならない。実際には原発事故は収束のめどが立たず、鳩山氏の言うように「第2次補正予算案の編成段階」といっても予算案に何を盛り込むかによって編成時期は変わってくる。だが、いつ退陣し、その間に何をしたいかを示し、それに全力を傾けるというのが辞めていく首相の最低限の責務である。

 それにしても、何と被災者そっちのけの不毛な政争だったことか。

 再三指摘してきたように、そもそも今回の不信任案提出に大義があったとは思えない。菅政権の一連の対応に不手際が多いのは確かだが、自民党は誰が首相になり、どんな体制にすれば原発事故が収まって、被災地復興がうまくいくのか、最後まで具体的に示さなかった。それは無責任であり、結局、政策的には縁遠い民主党の小沢一郎元代表らのグループの造反の動きをあてにして政権を揺さぶるのが目的ではなかったか。

 もっと批判されるべきは小沢元代表のグループだ。小沢元代表は「危機の時にこそ強力な政権と指導者が必要だ」と語ったが、こちらもどんな政権を作りたいのか示すことなく造反に突き進んだ。矛の収め方を見ても、民主党内の主導権を奪い返したいというのが動機だったとみるほかない。

 仮に不信任案が可決され、菅首相が総辞職を選択した場合には新内閣作りは難航し、政治空白が生まれていたはずだ。一方、菅首相側からは「不信任案が可決されれば解散・総選挙」との声が出ていたが、被災地で今、選挙をするのは極めて困難だったと思われる。それでも首相が解散を選ぶとすれば被災者無視のそしりは免れなかったろう。いずれにしても戦後最悪といってもいい政治危機に陥っていた可能性は大きい。

 「民主党に政権担当能力があるのか」「政権与党の自覚はあるのか」という疑問をさらに増幅させた点も含め菅首相と民主党の責任は計り知れない。しかも今回の収拾は一種の弥縫(びほう)策であり、今後、政治の混乱が回避される保証もないのだ。

 ◇いずれ解散・総選挙を

 菅首相が次の代表は「若い世代に」というのは当然だ。しかし、民主党の病理というべき「反小沢対親小沢」の対立は解消されたわけではなく、新代表=新首相選びではまた抗争が始まるかもしれない。加えて誰が首相になっても国会の衆参ねじれ状況は変わらない。たちまち新首相は行き詰まり、何も決められない国会が続く可能性がある。

 私たちは震災後、与野党の協力体制を作るよう何度も求めてきた。やはり解決策はそれしかない。

 自民党の谷垣氏は1日の党首討論で「菅首相が辞めれば党派を超えて団結するのはいくらでもできる」と語った。即座に辞めなかったから発言は帳消しにするのだろうか。この際、民主党の誰が首相になれば協力するのか提案してはどうか。

 大震災の復興対策や原発事故の収束だけでない。税と社会保障の一体改革はじめ与野党で協議し、結論を出していかなくてはならない、待ったなしの課題は山積している。経過はともあれ不信任案は否決された。野党は今後、参院で首相に対する問責決議案を提出するなど対決を強めるのではなく、被災者本位、国民本位の対応を取ってもらいたい。

 昨年の6月2日、鳩山氏は首相退陣を表明した。それからちょうど1年。今度、首相が代われば3人目となり、かつて民主党が自民党を批判していたのと同じ首相のたらい回しとなる。本来は解散・総選挙で国民の信を問うのが筋だと改めて指摘しておく。新首相は東北3県などで選挙が可能になった段階で速やかに衆院を解散すべきだ。

 それまでの間は与野党が知恵を出し合い、この難局に立ち向かっていく。それが今回の騒動にあきれ果てていた多くの被災者たち、そして国民の望みだと信じる。

_ 【主張】首相「退陣」表明 「死に体」で復興はできぬ+(1/3ページ) ― MSN産経ニュース/↑B1470

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許されない政権のたらい回し

 遅きに失した菅直人首相の事実上の退陣表明は、不透明さがつきまとうが、東日本大震災などの対応の不手際を認めざるを得ず、政権運営は限界にきたと判断したためだろう。

 きわめて無責任な首相の対応が「人災」を拡大していただけに、震災復興などに一定のめどがついた段階ではなく、一刻も早く退陣することが国益と国民の利益にかなうと指摘したい。「退陣」を予告して「死に体」に陥った首相が政権の求心力を維持することは困難だからだ。

 看過できないのは、首相が「若い世代に責任を引き継いでほしい」と語ったことだ。これは民主党内で政権をたらい回しにすることではないか。

やはり総選挙が筋だ

 民主党が政権を担える能力に欠けていることは鳩山由紀夫前内閣と菅現内閣で明確になっている。今回の退陣表明も、基本政策すら党内でまとめきれないことに起因してはいないか。できるだけ早く衆院解散・総選挙を行い、民主党政権の是非を国民の判断に委ねることが求められている。

 首相の退陣表明の問題点は、辞任時期を明確にしなかったことだ。2日夜の記者会見でも、首相は明言を避けた。

 首相と鳩山前首相が、首相退陣前に復興基本法案を成立させ、第2次補正予算の早期編成にめどをつけることについて確認したというが、曖昧な点が多い。

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 2次補正に盛り込む内容や財源の手当て、自民党との協議への明確な方針が定まっていない。

 土壇場での混乱回避は、首相の座から直ちにひきずり降ろされる事態をかわしたい菅首相と、党分裂を避けたい鳩山氏らの思惑が一致した結果ともいえる。震災対応とは無縁のものではないか。自民党などは、今回の民主党内の動きを「茶番劇」と批判した。

 不信任案への賛成を表明していた小沢一郎元代表らのグループは、政権交代を実現した民主党の原点に戻るよう主張し、子ども手当や農家への戸別所得補償など自民党が「4K」と呼ぶ民主党マニフェスト(政権公約)のばらまき政策の見直しに反対していた。

 政権与党内で意見集約を図れない構造が、マニフェスト修正を阻み、自民党など野党との政策調整の大きな障害となってきた。政権党としての決定的な機能不全は放置されたままだ。政策の停滞により国民が不幸になる構図はそのままである。

 ばらまき政策中止が明確にならなければ、自民党などは2次補正に協力せず、赤字国債発行に必要な特例公債法案にも反対するとしている。その他の重要政策でも、大詰めを迎えている社会保障と税の一体改革で、改革案を「政府案」としてまとめることができるのだろうか。

 退陣する首相には、9月の訪米など首脳外交を任せることなどできない。

 大島理森自民党副総裁は衆院本会議で「責任ある答弁はできるのか」と即時退陣を迫った。

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野党は追及緩めるな

 自民党は野党としての切り札である内閣不信任案が不発に終わったが、引き続き菅内閣の震災対応などを厳しく追及し、首相が退陣時期を先延ばしすることを許してはならない。

 不信任案の否決により、憲法の定めに基づいて直ちに衆院解散が行われる事態は遠のいた。だが、大震災をいつまでも解散先送りの理由とすることは許されない。

 岩手など被災地3県で、6月以降に実施予定だった地方選を9月22日まで延期できる地方選延期法が5月に成立している。その一方で、国政選挙である総選挙について片山善博総務相は、大震災が解散や総選挙実施の妨げにならないとの見解を示している。

 総務省は避難先にいる有権者の投票を確実に行えるようにするため、国民健康保険証の再発行などで運用している「全国避難者情報システム」を活用して避難者調査を進めている。

 すでに5月までに約4万3千人の県外避難者の情報をつかんでいる。不在者投票などの環境整備に欠かせないもので、さらに作業を急いでほしい。

 総選挙により、政策論争が巻き起こり、各党の基本政策の論点が明確になることは政治を活性化させ、国民の利益になることを確認しておきたい。

実際に、被災現場で投票なんてできんの?

_ 菅首相辞意表明―不毛な政争に区切りを(朝日)/↑B1470

 見たくないものを見せられた気分だ。一連の内閣不信任騒動が示したものは、非常時の国に、非常識な政治がはびこる寒々しい現実だった。

 国の最高指導者が任期満了ならいざ知らず、将来の退陣を明らかにするのは極めて異例であり、重い決断だ。

 なのに、これで政治が変わるという期待感が広がらない。肝心の退陣時期があいまいなうえ、ただただ民主党の分裂回避を優先させた結果にしか見えないからだ。あまりにも論理が内向きなのだ。

■辞任はやむなし

 菅直人首相は与党から大量の造反が出て、不信任案が可決されれば、衆院を解散する構えだった。だが、いざ不信任案が可決されかねない、少なくとも大量の造反で党の分裂は避けられないという状況に追い込まれると、方針を転換した。

 東日本大震災の被災地では、いまなお10万人が避難生活を強いられている。福島第一原発の事故は収束への苦難の作業が続く。とても総選挙をできる状況にはない。一方で、総辞職をしたならば、新たな首相選びや政権の枠組みづくりが難航し、政治空白が長引きかねない。

 ここは、とにもかくにも政治の混乱は避けたいという選択だったのだろう。

 私たちは危機のいま政争にうつつをぬかす与野党の振る舞いを批判してきた。事実上、不信任案が可決されたような展開は評価できないが、菅首相の判断はこの際、やむをえなかったと考える。

 ただ、首相が退陣の時期として挙げた「震災の取り組みに一定のめどがついた段階」とは、いつなのかがはっきりしないのは、どうしたことか。

 鳩山由紀夫前首相は復興基本法が成立し、第2次補正予算案の成立ではなく編成にめどがついた段階だとしたが、岡田克也幹事長は否定している。

 こんな決着の仕方が、党内の亀裂の深さを象徴する。

■小沢氏を除名せよ

 不信任案が否決されたいま、菅首相に二つの注文をする。

 ひとつは、採決で賛成した2人の除名だけでなく、欠席した小沢一郎元代表らも厳しく処分することだ。党員資格停止中の小沢氏は、もう除名するしかあるまい。

 そもそも、マニフェストの見直しや消費税率引き上げに否定的な小沢氏らのグループの存在が、野党との大胆な妥協を阻んできた。その小沢氏らが不信任案に乗るぞ、と揺さぶりをかけたのだ。

 分裂回避に腐心した首相に処分問題で党内をまとめる力量が残っているかどうかは心もとないが、結果として、造反は20人以下にとどまった。不信任案が否決されたいま、ためらう理由はないはずだ。

 もうひとつは、政権移行に向けた工程表を、できるだけ速やかに示すことだ。

 いつ、新たな首相候補を選ぶ民主党代表選を実施するのか。菅政権のもとで実現をめざす政策と、次の政権に委ねる政策の仕分けをどうするのか。

 たとえば、社会保障と税の一体改革はどうするのか。第2次補正予算案の財源をどう賄うのかも明確にすべきだ。

■旧世代は総退陣を

 とくに、次の指導者選びには時間をかけて、その資質の真贋(しんがん)を吟味しなければならない。

 その際のキーワードは、菅首相が「若い世代に責任を引き継ぎたい」と述べた、まさにその「世代交代」だ。

 この不信任騒動で表に立ったのは、民主党ではちょうど1年前に首相と幹事長を「ダブル辞任」した鳩山、小沢両氏と菅氏の「トロイカ」だった。

 自民党で不信任案の早期提出を唱えていたのは首相経験者や派閥の領袖(りょうしゅう)クラスの長老、ベテランである。

 中堅・若手の間では、党派を超えて、危機のさなかに権力闘争をやっていていいのかという声があがっていた。この際、民意を肌で感じられない旧世代には総退陣してほしい。新しい民主党の代表選びを、その第一歩にすべきだ。

 自民・公明両党は、首相候補も政権の枠組みも政策の体系も明示しないまま不信任案の提出を急いだ。まったく「責任野党」の名に値しないやり方だった。今後も対決姿勢を続けるというが、菅首相はとにかく退陣を口にしたのだ。こうなれば、復興基本法案や今年度予算の財源を賄う特例公債法案の成立には協力するのが筋だろう。

 過去4代、たて続けに1年前後で交代した首相のあとを受けた菅首相も、短命に終わりそうだ。海外には「またまた日本の首相が代わる」というニュースが配信された。外交にとって、大きなマイナスだ。

 せめて、この不信任騒動を、与野党が不毛な政争に区切りをつけ、国民のための政策実現に向け再出発する機会にしなければいけない。

_ 首相退陣表明 「ポスト菅」で強力政権を作れ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)/↑B1470

◆与野党連携で迅速な復興を◆

 首相退陣を引き延ばすことに一体何の意味があるのか。結局、菅政権の抱える問題を先送りしただけである。

 菅首相が、東日本大震災の復旧・復興と東京電力福島第一原子力発電所事故対応に一定のメドがついた段階で退陣する意向を明らかにした。

 内閣不信任決議案の採決を控え、民主党内から造反の動きが拡大し、否決されても党が分裂状態になる可能性が強まっていた。

 党の分裂や、可決による衆院解散・総選挙を懸念した鳩山前首相らに説得された末の“内向き”の退陣表明と言えるだろう。

 衆院で不信任案は否決されたが、民主党議員の造反は17人に上る。少ない数ではない。

 ◆明示すべき辞任の時期◆

 政府・与党が一丸となった機動的な震災対応ができないことの一義的な責任は無論、菅首相にある。猛省を求めたい。

 問題は、首相が退陣時期を明示しなかったことにある。

 菅首相と鳩山氏が交わした覚書の確認事項によると、退陣時期に関連する部分は、「第2次補正予算の早期編成のめどをつける」とされているだけだ。

 首相は退陣表明後の記者会見で、原発事故の収束に努力する考えを示し、辞任を大幅に先延ばしする可能性にまで言及した。これでは話が食い違う。民主党内からも強い反発が出ている。

 こんな中途半端な形で政権を担い続けるのは、無責任である。

 震災の被災者は、今なお厳しい環境に置かれている。

 「何も決められない国会」が続き、国政が停滞する。政権弱体化を見透かされ、国際関係の再構築もおぼつかない。そうした事態は回避しなければならない。

 政治の機能不全を避けるため、退陣までの期間はできるだけ短くすべきである。

 ◆2次補正予算が急務だ◆

 ねじれ国会の下、震災関連の立法措置を迅速にとるためには野党との連携が欠かせない。

 首相は明確に期限を切り、自民党の谷垣総裁らに協力を直接要請すべきだろう。

 そのためには、まず、子ども手当や高速道路無料化などバラマキ政策を掲げた政権公約(マニフェスト)の大胆な見直しが要る。

 採決で欠席した小沢一郎元代表らは、すでに破綻した政権公約の順守を主張し、野党との連携を阻んできた。

 菅首相は、「マニフェスト至上主義」と言える小沢氏ら造反議員を厳しく処分し、それをテコに大胆に政策転換する必要がある。

 急ぐべきは、復興基本法案の成立はもとより、震災復興を目的とする第2次補正予算案の早期編成・成立である。そのためにも、編成の段階から野党側と緊密に協議することが望ましい。

 第2次補正予算案は、復旧中心の1次補正予算をはるかに上回る規模になる見通しだ。

 震災対策は長期にわたる。その財源の確保が課題だ。

 政府・与党内では、復興目的に使途を限定した復興債を発行する案が検討されている。

 何らかの増税は不可欠だ。国民が広く薄く負担するという観点からは、消費税率の引き上げが現実的だろう。

 こうした復興財源について、政府・与党は、野党と率直に話し合っていかねばならない。

 指導力や決断力の欠如を露呈した菅首相には、当面、多くは期待できない。だが、「ポスト菅」の新体制への移行だけはしっかりと道筋をつけてもらいたい。

 ◆政権公約の抜本改定を◆

 首相は、退陣表明の際、「若い世代に責任を引き継いでいきたい」と述べた。小沢、鳩山両氏には影響力を持たせまいとする気持ちの表れだろう。

 菅首相の後継を選ぶ党代表選では、「脱マニフェスト」を巡って活発に論争し、現実に沿った新たな政策を競ってはどうか。

 谷垣総裁は、菅首相さえ交代すれば、民主党と協力する用意があると主張してきた。菅首相の退陣に備え、民主党との協力関係を再構築するのが、責任政党としての務めである。

 民主、自民両党の中堅・若手議員は政策勉強会などを結成し、連携の機運が醸成されている。この動きを大事にしたい。

 「ポスト菅」政権は、大連立によって国難に立ち向かい、日本再生への具体像を提示すべきだ。

(2011年6月3日01時29分 読売新聞)

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