コミケSS:イェーイ!有明 その2


    「で、いったい何しに来たわけ」
     あやめちゃんの鋭い質問に、私と見晴ちゃんは思わず顔を見合わせます。
    「用がないなら来るな!」
    「あやめちゃんてすぐ怒る…」
    「そ、そうよっ。だいたいあやめだってあんなこと言っといて結局来てるじゃない、
    ねえ?」
     その言葉に、ふいにあやめちゃんの顔が翳りました。
    「私だってこんなとこ来たくなかったわよ。でも…、もはや車田ファンの行く所は
    他に残ってないのよ…」
    「そ、そう…。よくわからないけど元気出してね」
    「フッ、ありがとう。新○理恵も描いてるB'T X本を手に入れた以上、もはや思い
    残すことはないわ」
     そう言ってあやめちゃんはいくつかの本を見せてくれました。あれ、そっちの白
    い生き物なんだかかわいいですね。Z○Zっていうのがサークルなのかな?
    「ねぇあやめちゃん、そのぼさぼさの髪の男の人が抱いてる生き物はなんなの?」
    「ああ、これはめそ…ゴホッ!ゴホン!な、なんでもないよ」
    「そ、そう?(め…めそって何!?めそってーーー!)」
     私が心の中でムンクになってる間に、1列回りおわった詩織ちゃんと如月さんが
    帰ってきました。
    「こんにちは。紫ノ崎さんもいらしてたんですね」
    「あんたらもいたの」
    「良かったらどう?デュオ×ヒイロもあるよ」
     詩織ちゃんはにっこり笑って本を取り出します。
    「し、詩織ちゃん。それって女の子同士の本?」
    「え、やだメグったら。カトルくんは男の子なのよ」
    「くすっ、藤崎さんは少女漫画系がお好きなんですね」
     如月さんの本はなんだか大人っぽい表紙でした。でもまつ毛が密集しててなんだ
    か気持ち悪いです。
    「紫ノ崎さん?」
    「あやめ?青くなってるよ」
    「わあああ寄るなぁっ!私は昔うっかり健小次本を読んでC翼が嫌いになったとい
    う暗い過去があるのよっ!」
     いきなりあやめちゃんは叫んだかと思うと、ずざざざざっと壁まで後ずさりました。
    「あやめ…。いくら暗い過去でもその説明じゃ全然わかんないよ…」
    「そ、それはいきなりハードなのを読むからよ。ねえメグ、これくらいなら平気よね」
    「う、うん…。キスくらいまでなら…」
    「それじゃあとで貸してあげるね。すぐに慣れるわよ」
    「慣らすな!」
     あやめちゃん、よっぽど嫌いみたいです。きっと私たちの想像を絶するような暗
    い過去なんですね。
    「(こういう時親友としてどうしたらいいのかしら…ねぇムク…)」
    「ほら2人とも行くよっ!こんな所にいるとホ○に汚染されるわよ!」
    「あ、ひっどーい」
    「そうです。コミケからやおい本を取ったらなにが残るというのですか?」
    「うるさいわね!ホ○だの18禁だのがあるからコミケが変な目で見られるのよ!」
     人混みが苦しい会場で、3人は火花を散らしてにらみ合いを始めました。ど、ど、
    どうしよう…。見晴ちゃんも困っています…。
    「あ、あはははは。ねえ藤崎さん、主人くんは来てないの?」
    「公くん?明日来るっていってたけど…なんで?」
    「ななななんでもないのっ!そ、それじゃ私たちもう帰るね」
     気まずい雰囲気から逃げ出すように、見晴ちゃんは私の手を引いて歩き出しまし
    た。後ろで3人の声が聞こえます。
    「さーてと、封神演義本を探さなくっちゃ。あー忙しい」
    「そうね。如月さん、私たちもダグオンスペースを目指しましょ」
    「ダグオンもいいのですが、ワルター×シリアス本も探したいですね」
    「けーーっ!」
    「ぷんっ!」
     ああ、あの2人ってなんで仲悪いんだろ…。
    「めぐ、ごめんね。わたしのせいで引っ張って来ちゃって…」
    「う、ううん、いいよ。コスプレの人たちってきれいだし」
    「そう?それじゃ明日もいっしょに来ようね!」
    「え゛」


     次の日も同じくらいの時間に行ったのですが、行列は駅の前を横切ってゆりかも
    めの方をぐるっと回ってまた駅の前まで戻ってきてました。
    「す、すごいね。今日はいったい何があるんだろう…」
    「う、うん…」
     列はどんどん進んだので20分くらいで中に入れたけど、いっぱい歩いて疲れち
    ゃったな。
    「あのね見晴ちゃん。昨日詩織ちゃんから12時に南地区の入り口で待ち合わせよう
    って電話があったんだけど、どうする?」
    「うーん、公くん来てるかなぁ」
    「一緒には行かないみたいだったよ」
     私たちはあたりをぐるりと見回します。この中で1人を探し出すなんて本当にで
    きるのかしら…。
    「それじゃ行ってみよ。あやめも今日は来ないって言ってたし」
    「あーっそう、それじゃ勝手に行けば」
     聞き慣れた声に驚いてホールの入り口を見ると、あやめちゃんがカタログ片手に
    壁によりかかっていました。
    「あやめ…心配して見に来てくれたんだ」
    「わ、私はFFとFE本を買いにきただけよっ!藤崎のとこ行きたいなら勝手に行
    けば!?」
     今日もあやめちゃんは怒っています。
    「あやめちゃん…詩織ちゃんとケンカはやめようよ…」
    「しかも原因はホ○マンガ…」
    「悪かったねぇ!!」
     あやめちゃんは一声怒鳴ると、すたすたと行ってしまいました。見晴ちゃん、そ
    んな正直に言ったら悪いよ…。
    「あやめぇ、待ってよぉ」
    「うるさいっ」
     今日はコスプレの人は昨日より少ないみたいです。でも人が多いのは相変わらず
    ですね。足の速いあやめちゃんを必死で追いかけた私たちは、エスカレーターの下
    で詩織ちゃんたちを見つけました。あれ、1人増えてる。
    「みんな、今日も頑張って本を買いましょう!」
    「に、虹野さん?」
    「今朝きらめき駅で会ったので、一緒に来ることにしたんですよ」
     虹野さんも好きだったんですね…。なんだか常日頃見られない本当の姿が浮かび
    上がりますね、コミケって…。
     と、詩織ちゃんがあやめちゃんの前に進み出ます。
    「紫ノ崎さん、昨日はゴメンね。ちょっと私も大人げなかったね」
    「え?」
     いきなり謝られて、あやめちゃんはあたふたと手を振りました。
    「ま…まあ私もちょっとは悪かったし」
    「うんっ、それじゃ仲直りのしるしに一緒にルヴァ×ゼフェル本を探さない?」
    「しつこいわねあんたも!!」
     余計にあやめちゃんを怒らせた詩織ちゃんは、本を抱えてしょぼんとうなだれて
    しまいました。でもるう゛ぁって誰?(作者注・アンジェです)
    「読んでみれば面白いと思うんだけどな…。やおい本はエロ同人誌よりもストーリ
    ーがしっかりしたものが多いし、絵も可愛いのから上手いのまでそろってて、なに
    よりカップリングを自分でいろいろ考えられるのって楽しいんじゃないかな?」
    「そうですね。私はジュリ×クラが好きですけど、光闇水炎の四角関係なども非常
    に興味深いですよ」
    「‥‥‥‥‥‥」
     げんなりしきったあやめちゃんは、ふと苦笑してる虹野さんに目を向けます。
    「虹野は?アンジェリーク探しに来たわけ?」
    「え?うーん、私はもうちょっと根性のあるゲームがいいな。今日も探しには来た
    んだけど、見つかるかどうか…」
    「そ、そうなんだ。なんてゲーム?」
     昨日『封神演義』の本を見つけられなかったあやめちゃんは、同志とばかりに身
    を乗り出しました。虹野さんはにっこり笑って答えます。
    「超○貴っていうの。すごく根性のあるゲームなのよ」


    「みんなどうしたの!?まさか超○貴を知らないの!!?」
    「(あの…、知らないけどなんとなく想像はつきます…)」
    「(そりゃ根性はあるかもしれないけどね…)」
    「(お願い、サワヤカに言わないで…)」
    「男の世界には根性があるわ!藤崎さんも私と一緒に回らない?」
    「悪いけど、筋肉にはあまり興味がないの」
    「そ、そう。残念だけど無理強いはできないわね」
    「気が向いたら、一度読んでみようかな?」
    「うん、格ゲー系で待ってるわ」
    「もういいっ!」
     止める間もなく、あやめちゃんはずかずかと行ってしまいました。くすん、なん
    でこうなっちゃうのかなぁ…。
    「それでは、そろそろ中に入りませんか。館林さんも」
    「え?あ、う、うん。そうしよっか」
     さっきからきょろきょろと主人さんを探していた見晴ちゃんを含め、私たち5人
    は昨日に引き続き東1ホールに入りました。
    「あれ、端から見てかなくていいの?」
    「その辺はいいのっ!用があるのは『ス』より向こう側よ!」
     こ、このへんていったい何なんだろう…。興味あるけど男の人ばっかりだから、
    避けた方が良さそうですね…。(作者注・ときメモ(笑))
     人混みをかき分けて、私たちは会場を東へと進みます。不意に見晴ちゃんが私の
    そでを引っ張りました。
    「ね、ねえめぐ。あれ…」
    「なあに、見晴ちゃん?」
    「この私の前を素通りしていくとはいい度胸ね」
    「あっ…ひ、紐緒さん…」
     本が山積みになった机の向こうに、紐緒さんが1人で売り子をしています。
    「こ、こんにちは…」
    「挨拶はいいわ、本を見て行きなさい」
    「は、はい…」
     『世界征服の実践的手法』と書かれたその本の中身は難しすぎて私にはわかりそ
    うにありませんでした。ところどころに挿し絵もあるのですが、言ったら悪いけど
    紐緒さん絵が下手です…。
    「まったく、どいつもこいつも。この紐緒結奈の本がたったの300円で手に入るとい
    うのに、中身を見たとたんそそくさと立ち去るんだから…」
    「中身見るだけでも大したもんだと思うな…」
    「なにか言ったっ!」
    「いいえっ!」
    「えと…1冊ください…」
     見晴ちゃんを締め上げる紐緒さんの手がふっと緩みます。彼女はコホンと咳払い
    すると、私から300円を受け取りました。
    「ま、まあ当然ね。美樹原愛、あなたなかなか見る目があるわね」
    「別にそんな見る目ならほしくないな…」
    「まだ言う気っ!」
    「ごめんなさいっ!」
    「あ、あの、なんでこんな所で売ってるんですか?」
     確かこのへんはゲームのジャンルだったと思います。紐緒さんの本はかなり浮い
    てます…。
    「そうか、そうだったの。これも全て殺人コアラの陰謀だったのね」
    「…はい?」
    「コミケット準備委員会の中に奴らが紛れ込んで私をこんなところに追いやったの
    よ!そう考えれば本が売れないのも『いやー紐緒さんそっくりですねー』とか声を
    かけられたのもすべてつじつまが合うわ」
     …どういうふうにつじつまが合うのかよくわからないです…。
    「これは私に対する挑戦ね!」
    「め、めぐ。もう行こうよ」
    「う、うん。それじゃ紐緒さん、さよなら…」
     テーブルの向こう側には本の詰まった段ボールが山積みになっています。あれ全
    部持って帰るんでしょうか。なんだかかわいそう…。
    「ふっ、やはりコピー本では奴らに抗し得ないわね。次はオフセ本で勝負よ」
     それでも紐緒さんは今日も燃えているのでした。あの、頑張ってくださいね。


     さて紐緒さんの所でぐずぐずしていた私たちは、当然詩織ちゃんたちとはぐれて
    しまいました。
    「はぐれたらどこで待ち合わせって言ってたっけ」
    「えーとね、2時に入り口のとこだって…」
    「そっかぁ、まだ時間あるね。でも公くんいないなぁ…」
     さっきまで一緒にいた詩織ちゃんたちですら見つからないのに、まだいるかどう
    かもわからない主人さんが見つかるわけもないのでした。
    「ね、ねえ。このへん女の子ばっかりみたいだし、もうちょっと向こうに行ってみ
    ない?」
    「うん。ごめんね、めぐ」
     こっちの方は男の人もいるみたいです。でもなんだか売り切れが多いですね。え
    と、ウィザーズハーモニー…?
    「わーはははは。ついに有明進出だぁ!」
    「我々の悲願が達成されましたね!」
    「良かったわねぇ、ルーくん」
     なんだか怪しい人たちが向こうで叫んでいます。あのサングラスの人なんて特に
    怪しそう…。
     …あ、目が合っちゃった。
     …きゃぁっ!こっちに来るぅっ!?
    「きみ、我がアカデミーに入らないか!?」
    「こわくなんかないぞ。すぐ気持ちよくなるから」
    「あ、あのっ」
    「メグ、逃げようっ!」
    「う、うんっ」
     回れ右をして立ち去ろうとする私たち。でもその前に別の女の子が立ちふさがり
    ました。
    「あなたは神を信じますか?」
    「あの…、あの…」
    「神様は常に我々を見守ってらっしゃいます。さあ祈りましょう!」
    「(ど、どうしよう見晴ちゃんっ)」
    「(そんなこと言われても、うち一応仏教だしっ)」
     スパパパパーーーン!
     絶体絶命のピンチでしたが、突如ハリセンの音が響きます。し、詩織ちゃん?
    「マァ〜スタぁ〜〜〜!」
     …違った。
    「ソ、ソーニャ!会場内に武器の持ち込みは禁止のはずじゃ…」
    「マスターこそ、会場内で勧誘なんかしていいと思ってるんですかっ!?」
    「真面目に部活をしようとしてるのに怒られるなんて心外だなァ」
    「あなたは黙ってなさいっ!」
     顔にばんそうこうを貼った人は、青い髪の女の子に引きずられていきました。
    「ほらシスティナちゃんも、早く売り子に戻りましょうね」
    「神様はあなたたちの味方ですよ〜」
     ‥‥‥‥‥‥。な、なんだったんだろう…。
    「ねえ見晴ちゃん、コミケって謎の多いところだね…」
    「うん…。並大抵でない覚悟が必要だね…」
     その後もしばらく主人さんを探したのですが、結局見つからずじまいでした。や
    っぱり無理だよね、見晴ちゃんはあきらめてないみたいだけど…。


     2時を過ぎたのであわてて待ち合わせ場所に行くと、またも詩織ちゃんとあやめ
    ちゃんがケンカしてるところでした。
    「だいたい一般ファン及び作者の気持ちというものを」
    「でもコミケが表現の場である以上その形式は自由であり」
    「だったらオリジナルでやればいいのであって」
    「でも本質的にパロディの楽しさというものは」
     おろおろする虹野さんと黙って本を読む如月さんを無視して、2人の口論は続き
    ます。
    「ねえめぐ…。たかがホ○マンガのことであそこまでムキになれるってすごいよね…」
    「うん…、ホ○マンガもバカにできないね…」
     と、あやめちゃんがこちらに気づきます。
    「遅いわよっ!バカっ!」
    「ごめぇ〜ん、待ったぁ?」
    「あ、館林さん!公くんもうすぐここに来るわよ」
    「ええええっ!?」
     思わぬ展開に、見晴ちゃんは思わず声を上げました。
    「途中で会ったから来るように言っといたの。あ、ほら、あそこ!」
     詩織ちゃんが指さす方向には、ちょうど主人さんと早乙女さんが入り口から出て
    くるところでした。見晴ちゃんの体が緊張します。
    「ど、どうしよう…」
    「どうしようじゃないでしょ!そのために来たんならしっかりやりなさいよ!」
    「あやめ…」
    「館林さん、頑張って!」
    「館林さん、想いは伝えなければ届かないものですよ」
    「公くんはちょっと頼りないけど、根はいい人だもの」
    「見晴ちゃん、あんなに一生懸命探してたんだもん。きっと大丈夫よ」
    「みんな、ありがとう…」
     見晴ちゃんはそっと涙をふき取ると、有明の空に高らかに宣言します。
    「館林見晴、いきます!」
    「あ、おーい詩織」
     詩織ちゃんに手を振る主人さんに、見晴ちゃんの小さな体が吸い込まれていきま
    した。
    「えーーいっ!!!」
    「おわぁっ!!?」
     ドシーーーン!!
     見晴ちゃん、張り切るのはいいけど勢いつけすぎだよ…。
    「お、おい公!大丈夫か!?」
    「いつつ…」
    「公くん、館林さん!」
     あわてて駆け寄る私たちに、見晴ちゃんは頭をかいて起きあがりました。
    「エヘヘ、ごめんね。またぶつかっちゃっ…た…」
     不意に見晴ちゃんの言葉がとぎれました。その目は固定された先には、主人さん
    が今まで持ってた本が床の上に広がっています。
    「!」
     あわてて主人さんはその本を隠しましたが、すでにまわりの女の子の目は氷点下
    にまで下がっていました。私だけ背が低くてよく見えなかったです…。
    「こ〜う〜く〜ん〜〜!」
    「な、なんだよ、俺がどんな本買ったっていいだろっ!だいたい詩織だってやおい
    本買いまくってたそうじゃないか、なあ好雄!?」
    「お、おうよ。俺のチェックによれば藤崎が買ったのは昨日が31冊に今日が23冊、
    ってとこだな」
     早乙女さんの厳しいチェックに、詩織ちゃんの顔が見る見るうちに真っ赤になり
    ます。
    「い、いいんだもんやおい本なら買っても!ねえ如月さん!?」
    「そうですね。やおい本は作者の愛の結晶ですが、H本には愛というものがありま
    せん」
    「言ってることが無茶苦茶だぁっっ!」
    「問答無用!天誅っっっ!!」
     スパパパパーーーーン!
     ああ、この音こそが詩織ちゃんですね。でも会場内は武器の持ち込みは禁止って
    言ってたよ…。
    「もう公くんなんて知らないっ!行こうメグっ!」
    「う、うん…」
    「ほら見晴も、しっかりしなさいよ」
    「‥‥‥‥‥‥」
     ショックで青くなってる見晴ちゃんの背中を、あやめちゃんは押していきます。
    虹野さんと如月さんは、なんとか場を取り繕おうと今日買った本の話を始めました。
    「おーい公、大丈夫か?」
    「し、しおりぃ…」
     後ろで聞こえる声に髪を引かれながら、私たちはコミケ会場を後にしたのでした。
    さようならビッグサイト、また会う日まで…。

    「ねえあやめちゃん、いったいどういう本だったの?」
    「さ、さあ。もう忘れた」
     帰りの電車の中での私の質問にも、珍しくあやめちゃんの歯切れは悪いままでし
    た。隣では見晴ちゃんが何かぶつぶつ言ってます。
    「いいんだもん、どんな本買ってたって…。私は一目惚れを信じるんだから…」
     見晴ちゃんて本当に一途なのね。私も見習わなくちゃ…。


     こうして謎を残したままコミケは終わりました。思ったよりずっと楽しかったで
    すね。
    「結局何しに行ったのかよくわからなかったけど…」
     唯一手元に残った紐緒さんの怪しい本を手に、そんなことを考えてしまう私でした。


                               <END>



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