伊集院SS:メモリーエラー


     私の名は伊集院レイ。ちなみに趣味は男装である(←特に意味はない)
    「やあ主人くん、夏場の男というのはむさ苦しくて嫌だねぇ」
    「おまえだって男だろうが!」
    「(フフフ、気づいてない気づいてない(ニヤ))」
     しかしそんな私にもひとつ悩みがあった。薄着をするとバレてしまうので、夏で
    も長そでなのである。特にきら校は祖父の教育方針でクーラーが入ってないため暑
    くて仕方ない。
    「レイ様、いい加減男のフリはおよしになられては…」
    「うるさい外井!私の勝手だっ」
    「はあ、本当のレイ様はこうも美女であらせられるのに」
     本当の私を見せたら彼はなんて言うかな…そんなのはどうでもいい!
     ガタン
    「はっ!あれは早乙女!」
    「ま、まさか今のことを聞かれたのでは!?」
    「追うぞ外井!」
    「ははっ!」
     くっ、なんてことだ。早乙女に聞かれるなんて!

    「おーい、今俺すっげえ事聞いちゃったよ」
    「なんだよ。すげえ事って…」
     くっそぉあのおしゃべり猿め!しかも相手はやはりというか主人じゃないかぁっ!
    「聞いてたまげろ、実はな…。あの伊集院が…。本当は、おん…」
     ガガーン
    「どうした、好雄!しっかりしろ!」
    「フッ騒がしいな。一体どうしたんだね」
    「あっ、伊集院。好雄が急に…ってなんだよ後ろに隠してるライフル銃は」
    「さ、最近猟に凝ってるんだ。狩猟は貴族のスポーツだからねぇはーーっはっはっ
    はっ…はっ早乙女君!すぐに我が伊集院家の私設医師団を呼ばねば!」
    「すげえわざとらしいぞ…」
    「へ、変な言いがかりをつけないでくれたまえ!それでは失礼するよ」
     外井に早乙女をかつがせて、私はダッシュでその場を去った。

    「ん?あれ、ここはどこだ?」
     私専用の特別保健室で、早乙女はベッドに縛り付けられたまま愕然としている。
    ふ、愚か者め。
    「フフフ早乙女君、きみは知ってはならないことを知ってしまったのだよ」
    「き、聞いてないよおまえが女だったなんて〜」
    「言ってるだろうが!やれ、外井(パチン)」
    「ははっ」
    「げげっ!」
     外井が手にするのは伊集院家特製100tハンマー。一発で記憶が吹っ飛ぶという逸
    品である。
    「うわぁぁぁーーっ落ち着け!話せばわかるっ!」
    「黙れ!速攻で主人にしゃべろうとしたくせに…」
    「はぁ?なんでそこで公の名前が出てくるんだ?」
    「い、いいいでしょ別にっっ!主人くんのことなんて何とも思ってませんっっ!!」
    「レイ様、女言葉になってます」
    「はっ!ふ、この僕としたことが取り乱してしまったよ。やるのだ、外井」
    「わかった!誰にも話さない、約束する!な、な?」
    「…本当に?」
    「男に二言はねぇ!」
     う〜〜〜ん困ったな…。それは私としてもあんまり乱暴なことはエレガントでな
    いような気が…。
    「レイ様、やはりやめませぬかこのようなこと」
    「外井…」
    「それに彼のような男、私としても殴るのはいささか…」
    「おいおっさん、なんだその妖しい目つきは!」
    「い、いえ。なんでもございませんよフフフ」
     うーん、まあ外井もそう言うなら…いいかな。
    「わかった早乙女君、きみを解放する。しかしくれぐれも他言無用だぞ、特に主人
    には」
    「だからなんで公なんだよ」
    「関係ないって言ってるでしょ!さっさと出ていきなさいっ!」
    「へいっ!」
     まったくもう…。

    「あっ好雄無事だったのか。それで伊集院のニュースは?」
    「はぅーん、何それ変な奴ー。それじゃもう行くぜ」
    「(変なのはてめぇだァーー!!)」
     ああよかった、かくして私の秘密は守られた。早乙女よ感謝する。
    「レイ様、いつまでこのようなことを続けるのですか」
     うっ、外井…。
    「いいかげん彼に対し自分を偽るのはおやめになっては」
    「だだだだってほら…そんな…ねぇ…」
     あ、いけない。顔が熱い。
    「はぁ…それではせめてもう少し友好的になさっては?」
    「そ、そそそそれもそうだね」
     そ、そうだな友好的に。これ以上嫌われたくないし、まずはあいさつから…「お
    はよう、今日はいい天気だね」とか。
    「やあ庶民、今日もふぬけた顔をしているねぇ」
    「‥‥‥‥‥(そんなことを言いにわざわざ来るなよなぁ…)」
     ああっバカーー!私のバカーーーーッ!!

     ふ、ふん。別にあいつのことなんてなんとも思ってないっ!だから今日も嫌がら
    せをしてやるんだ。ははははは、はーっはっはっはっ…
    「それより伊集院、あの妖しい男をなんとかしてくれよ!」
    「う、早乙女…。ま、まあ卒業式の日には助けてやろう…」



                           <意味もないまま終わり>


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