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アルバム:

バッドボーイズはとても残念なことに一枚のLPレコードと二枚のシングルレコードしかリリースしておりません。(シングル「SHE LOVES YOU」は本当に幻になってしまいました。)それら三枚についてコメントを少々つけてみたいと思います。

デビューアルバム「MEET THE BADBOYS!」について:

とにかく何よりも驚きなのは、レコードジャケットデザインがビートルズの「MEET THE BEATLES!」と写真も色使いも全く同じ。(唯一、清水仁が指を立てて「静かに!」としている点が異なるだけ。ビートルズオリジナル写真との混同や版権を意識してのことでしょうが。)演奏曲目も順序も同じ、レーベルも東芝EMI(但しエキスプレス・レーベル)といった具合に、あまりにも完璧な構成になりました。

リッキー本人は当時、Don't Bother Meが最もビートルズらしくできたと語っていたように、確かに非常に巧みに演奏され録音されています。B面のPlease Please Meは歌詞もリードギターのフレーズもビートルズと同じに間違えて演奏しているところも憎いですね。(リッキーは、「僕たちはビートルズが間違えたところも同じように間違えて演奏できる」と誇らしげに語っていました。)

ァーストシングル「ビートルズが教えてくれた」について:

吉田拓郎氏からプレゼントされた名曲です。それを清水仁のボーカルでややバラード調に編曲してあり、一聴の価値有り。


B面の「チークを踊ろう」は同じく吉田拓郎氏からの曲でリッキーのボーカルが効いていてアップテンポのなかなかの名曲だと思います。イントロ部分はI SHOULD HAVE KNOW BETTER(恋する二人)のタッチを感じ、乗りがいいですね。

セカンドシングル「僕と踊ろう」について:

かまやつひろし氏から拝借したリッケンバッカー12弦がとても良く効いているこのシングル。(かまやつさんとはその後も業界での長い関係を保っています。)

タイトルチューンの「僕と踊ろう」は、まさにビートルズサウンドの混成曲になっています。掛け合いの部分はリッキーが、そしてリードボーカルは清水仁がとり、もちろん手拍子有りで、コーラスがすばらしい。タムから入るSHE LOVES YOUタッチのイントロから始まり、I'M HAPPY JUST TO DANCE WITH YOUの流れから初期の頃のフラットでタイトな旋律、最後は染み入るようなコーラスで締めくくられています。

この曲はステージでもリリース後演奏しており、とてもステージ映えしていました。

B面の「あいつのせい」は、イントロのギターワークが印象的です。タッチは軽く、手拍子を入れ、いかにもビートルズサウンドであることを強く印象づけています。何と言ってもリッケンバッカーサウンドが全面に出て生き生きとしている曲です。

このシングルはもう少し評価を受けてもよかったのではないかとつくづく思う、良いレコードだと思います。


サウンド:

音 質:

当時は今ほど、ギター〜アンプ間をつなぎ音を作るエフェクターの数が限られており、Revolutionでのディストーションはともかく、音質を意図的に近づけたり厚みを付けたり、効果音を作ったりといった芸当は、ステージ上では無理に近いことでした。(Yellow Submarine程度は何とかしていましたが。)故に、初期の頃のサウンドは問題なくこなしていましたが、アルバムRevolver以降のサウンドはビートルズ自身でさえステージ上で即興で演奏することは難しい「音を造り上げていく作業」に入ったため、Strawberry Field's Foreverをはじめとする音響効果を駆使した曲の演奏はステージで演奏できませんでした。技術的にではなく物理的に。

演奏技術:

リズムギター(サイドギター)のジョンことリッキーは、演奏スタイルもボーカル(特にシャウト系)も、ここに日本のジョン・レノン有りと強く印象づけられるほどなりきっており、それがまたバッドボーイズの持つ「ビートルズの香り」の源ではなかったでしょうか。

ベースのポールこと清水は長身であり、身のこなし、ステージアクト、ベースランニングも深く頷かされるほど、ポールマッカートニーのスタイルを取り入れていました。

ドラムのリンゴこと城間は、叩くテクニックが正に日本のリンゴスターとも言うべきライトタッチの決して前に出すぎない、バックを守り正確なリズムを刻むタイプのスタイルを持ち合わせていました。

リードギターのジョージこと川端は、まずルックスがジョージハリソンにとても似ておりました。故に、ファンの数も多かったと記憶しています。また、あの巨大なグレッチカントリージェントルマンをジョージスタイルで抱えても体格的に見劣りせず、弾き方もジョージスタイルを継承していました。(その後1975年には、ヘアスタイルを変えてしまったために本家ジョージとのルックスの差が開いてしまいました。残念!)

バッドボーイズのハーモニーの良さは特筆物で(ビートルズの身上がその美しいコーラスであったから不可欠ではありましたが)、当時かの吉田拓郎氏が某ニューミュージック系のバンドに「バッドボーイズのコーラスを見習え」と言ったとか。特に、リッキーがリードボーカルを取り、清水と川端の一本のマイクに向かってハモル様はまったくポールとジョージを見ているような錯覚に陥ってしまいました。

    

結論として、ジョン(リッキー:廣田龍人)のシャウト、ポール(清水仁)のベースランニング、ジョージ(川端孝博)の容姿と声、リンゴ(城間正博)のドラミングタッチと多くの要素を完璧に揃えていたすばらしいバンドであったと今でも思っています。

彼らの徹底さは、何と音楽雑誌・月刊ライトミュージックに、ビートルズコピーの仕方を解説するまでに及びました。清水はポールの声の出し方の特長などについてまで。

楽 器:

リッキーはヴィンテージもののリッケンバッカー、清水はヘフナーのヴァイオリン型ベース、川端はグレッチ・カントリージェントルマン(ギブソンSGやフェンダーテレキャスターも時には使用した)を多用、城間はパールカラーのラディックで演奏と、これが基本形でありました。その後、清水はヘフナーにブースタをつけてパワーのアップを図っていたが、結局リッケンバッカーも使用することになりました。是非一度ギブソンのJ-160E(旧モデル)を使用しての演奏も聴いてみたかったのですが。

リッキー:リッケンバッカー、ギブソンアコギ他(Soundページ参照

川端:グレッチカントリージェントルマン、ギブソンSG、フェンダーテレキャスター

清水:ヘフナー、リッケンバッカー

城間:ラディック(パールカラー)、メタルスネア、シンバル(ジルジャン)

アンプ:

当時は、現在のようにライブハウスで見かけるVOX社製のギターアンプなどはなく、バッドボーイズは最初Fender社のツインリバーブを芋づる式につなげ使用していました。その後、HIWATT社製のアンプにしましたが、ベースアンプだけは出力の関係からアコースティック社製に切り替えました。
ちなみに、バッドボーイズのデビューアルバム「MEET THE BADBOYS!」ではVOX社製のアンプを使用しており、リッキーはよほど気に入ったと見えて、当時「我々が喉から手が出るほど欲しいアンプ!」と評していました。VOX社の真空管アンプが再販され始めたのも1980年代の半ば以降のことですから。



  

         


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