<証言 パン屋>



裏口からパン屋の奥へ。あたしも入るのは初めてで、パンの焼ける香ばしい匂いがお腹を空かせる。それにしても暑いねここは。

「確かに落ちてはいなかったよ。私も一緒に探したからね」


パン屋「ほのぼの屋」店長。年は43。妻と子供が2人。自宅はこのパン屋の2階。従業員は息子一人。週に3回若葉がアルバイトに来ている。


「ああ申し訳ございません。わたしのせいでお店を騒がせてしまって…」

「いやいや、若葉ちゃんがいてこそこの店も繁盛しているんだから」


ふーん。
ま、とりあえず聞き込み。


「若葉のパンの悪臭に近所の人がこっそり盗んで生ゴミに捨てた可能性は?」

「そこまでの悪臭じゃなかった…と思う…」

「握手がどうかなさいましたか?」

「あー若葉は気にしなくていいの」


リリトに横目でにらまれながらメモを取る。なんで他のパンでなく若葉のパンが?と考えるならこのへん重要。


「店内には充満してたんですよね?」

「まあ、焼き立てだったからね…。しかし外までは出ていなかったはずだ」


でも客が一人逃げたのよね…。少なくとも店は被害に遭っていたと。


「やはり店長としては早く事件が解決し、若葉の甘口いちごパンが復活することを祈ってると」

「あー、いや…まあ…」



口篭もるけど、予想の範囲内の反応だなぁ。うーん。
他にもいくつか聞いたけど事件の参考になりそうなものはなく、あたしたちは事件現場の売り場へと移動した。



「ここに載ってたわけね」

「はいっ。本当にドロンと消えてしまって…。はっ、もしかしてあのパンは忍術を習得していたのでしょうかっ!?」

「黙ってて頼むから」


事件後2日も経っては手がかりなど落ちているはずもなく、結局状況を確認しただけだった。
でもねー、何であんな腐ったようなパン盗むわけ?しつこいようだけど若葉のパンだけ盗まれてたのよ。他にいくらでもパンはあるのに。

最近怪しいヤツは?
第2の事件現場へ行く
犯人はおまえだ!→パン屋






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