『エンブリオ炎生』



オチだけは面白かったです。以上。

…後書きからすると要は「私、上遠野浩平はブギーポップを真剣バトル小説にすることを許可します」((c)エクセルサーガ)ってことらしい。そりゃ作者の自由だけどやはりブギーポップの雰囲気からすると違和感あり。バトル物として見てもあまり面白くない。何より作者なりの創意工夫がまるで感じられず、全て「どこかで見た展開」or「予想範囲内の展開」に収まってしまったのが致命的。

・最強対稲妻
うーん、少年ジャンプにはこれを越えるバトルなどいくらでもあるので、こんなもののために2巻も費やしたかと思うと…。
迫力や緊迫感も絵なら直接的に表現できるところを、説明的な文章で書かれても手に汗握るとはいきませんわな。
で、決着方法が
何かを散らして空間の軌跡を読む − ジョジョの奇妙な冒険(ポルナレフVSヴァニラ・アイス)
刀がダメになったと見せかけて鞘で攻撃 − るろうに剣心(剣心VS鵜堂刃衛)
別にパクリだとか言う気はないですが、斬新な展開とどっかで見たような展開では後者の印象の方がはるかに劣るのは当然。
挙げ句に正樹が亨の「超人パワー輸血(byキン肉マン)」で助かったのには呆れるを通り越して笑い出しました。(ツェペリさんでも可) そりゃジャンプ漫画ではお約束ですが、真面目な話でこんなことされたんじゃ命の重さなんて紙切れ同然です。「普通の人間の倍以上”何かあったら死ぬ”危険性が高くなった」って何じゃそりゃ。

・弘の能力「タイトロープ」
「目的のために状況を誘導していく」…こういうの止めてほしいっす。パンドラの「運命」もそうだけど、こんなのが存在したらどんなご都合主義展開も思いのままじゃん。物語を紡ぐというのは偶然と必然を作者の力で上手く配置することなんだから、こんな安易な議ミックを持ち出すんじゃない。
「実は全ては神々の仕組んだ運命でした」と同じくらい不愉快。

・卵がどうの殻がどうの
特に最後の詩。言いたいことは分かるけど、「だから何?」としか言いようがない。要するに単なる能力者の比喩?
今までの「笑う」「イマジネーター」「歪み」「痛み」等に比べて、何ら心に残るものが無い。

まあ私にとっては『本日の実験……失敗』だったってことで。収穫といえば凪がいずれ統和機構とぶつかると分かったこと位だな。次巻は元の雰囲気で意表を突く展開が用意されていますように。

で、結局三平の『カウントダウン』は何の意味もなかったんかい!






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