「もちろん指導はきちんとする。楽しんで活動できるように環境は整える。せやから今少しだけ、根性発揮してみいひん?」
「………」
「どうやろか」

 黙っている一年生に向けて、そっと右手を差し出す。
 言うべきことは言った。
 あとは覚悟を決めて、答えを待つだけだ。
 長いようで短い沈黙の後……
 少女はまたわずかに、後ずさった。


<第2話「根性とブラック部活」 パート3「一人目」>