「……て……」
(んん?)

 中から何か、弱々しい声が聞こえる。
 姫水のものとも、勇魚のものとも思えない。
 花歩の脳内で警告が鳴る。
 このまま部屋に入るのは何かまずい、と。

 二人には悪いと思いながら、扉の隙間から中を覗き込む――


「助けて……助けて、勇魚ちゃん……」


<第8話「藤上姫水争奪戦」 パート2「お姫様と四つの部活」>