【注意】
・このSSは「ときめきメモリアル」((c)KONAMI)と「ONE〜輝く季節へ〜」((C)Tactics)を元にしています。両方知らないと全然面白くありません(^^;
・ONEのネタバレ(というか、台詞)を含みます。
ときめく季節へ
午前中の授業が終わり、そして昼休み。
しかし昼に食べるはずだった菓子パンは2時間目に食ってしまったので、とりあえず目の前に座る詩織の背中をつついてみることにした。
「おい詩織、なにかして遊ぼう」
「うるさいわね。見ての通り、外を眺めているのよ。邪魔しないで」
またか…。なんでも『真のヒロイン』とやらを目指しているらしい。確かに見かけはこんなんだが性格が…いや、後が怖いから何も言うまい。
「そんな外なんてどうでもいいだろう。いつものように豪快にハリセンでも振り回してくれ」
「いつやったっ、そんなことっ…!」
「おー、いつもの詩織に戻った」
「くっ…」
口惜しそうにオレを睨み付ける。
「あのねぇ、休み時間にひとり憂い顔で外を見やる…ヒロインにしか為せない技よ」
「ムリしてまでそんな技を使うこともないだろう」
「もう話かけないでっ」
「はーぁ、そうですか…」
ぷいと前を向く詩織に、オレも横を向いて窓の外を見る。
入学して以来、オレの毎日はいつもこんな感じだった。
くだらなくて、退屈で…。
まるで変わり映えのない、平穏な日常。
そんなことを考えていると、ふと誰かの声がかかる。
「あれ? 公くん、どうしたの? お昼は?」
甘やかしの達人、虹野さんだ。
「午前中に菓子パン食った」
「ダメだよそんなの。栄養取らないと根性だって出ないんだもん」
「さすが根性星人というあだ名がつくだけのことはあるな」
「それって公くんだけだよっ!」
「そう照れるな、根性星人」
「それじゃいつも根性って言ってるみたいじゃないっ。公くんに根性が足りないから、根性出してほしくてわたしは根性根性言ってるんだよっ!?」
「思いっきり連発してるじゃないか。英語にしてガッツ星人と呼んでやる」
「うーっ」
「ふかーっ!」
「うーーっ」
…と、威嚇しあってる場合じゃないな。
オレも仕方なく席を立つ。
「学食行ってくる」
「え、でも食べるんだったらわたしのお弁当半分あげるよ?」
「ばかっ、おまえの1食分だろう。そっちこそちゃんと食え」
「そっか…。うん、そうだね」
残念そうに俯く虹野さん。ほんとに、こいつは病的な献身欲だな…。
とりあえず廊下に出ると、不意に右腕が重くなる。
振り向くと小柄な女の子が制服にぶら下がっていた。
「よう、美樹原さん。元気か?」
「……」
美樹原さんは黙ったまま、大きな字の書かれたスケッチブックを広げる。
『あのね』
「ああ」
『元気なの』
人と話すのが苦手な美樹原さんは、こうして文字によって会話することで他人とコミュニケーションを取っているのだった。そしてオレはいつも思う。
「普通に喋れよ…」
「……」
はう〜。
「いや、冗談だ。気にしなくていいぞ」
「……」
うんっうんっ。
「美樹原さんも学食に行くのか?」
かきかき…。
『そうなの』
「じゃあ、一緒に行くか」
「……」
うんっ。
と、回りくどい会話の後、オレたちは学食へと入っていった。来るのが遅かったせいですっかり混雑している。
ん、あれは…。
「えとえと」
「古式さん、どうしたんだ?」
(見た目は)お嬢様の古式さんが、何やら慌てた風にうろうろしていた。
「私はいないって言ってくださいね〜」
そう言い残して券売機の影に隠れる。
「…なんだ?」
だんっ!
入れ違いに、活発そうな女の子が駆け込んでくる。
「ここに、ぼーーーーっとしてて脳天気そうな女の子来なかった?」
…なかなか酷い言われようだな、古式さん。
「ああ、来たぞ」
「マジ? 今どこ?」
「厨房の鍋の中で煮られてる」
「ええっ」
ご丁寧に厨房まで確かめに行った後、戻ってくる。
「いないじゃないっ」
「おかしいなぁ…」
『もう溶けちゃったの』
美樹原さんがけっこう酷い事を書く。
「それじゃあ、もし、ぼーーーーーーーーっとしてていかにも何も考えなさそうな女の子をみたら、夕子が探してたって伝えてね」
そう言ってその女の子は学食を後にした。ふぅ、見事な話術で誤魔化せたな。
悲しそうに古式さんが姿を見せる。
「ぼーーーーーっとなんかしてないですよ〜」
いや、さすがにそれは同意できないぞ…。
「夕子ちゃんひどいですよ」
「それで、どうして古式さんのこと追いかけてたんだ?」
「もしかしたら、あのことを今でも怒ってるのかもしれないですよ…」
「あのことって…?」
「小学生の時に、夕子ちゃんの育ててたアサガオをウツボカズラにすり替えたこと」
「絶対に違う!」
「そうですかねえ…」
くいくい。
『お腹空いたの』
「ああ…そうだった、古式さんも一緒に食うか?」
「そうですねえ、そうしましょう」
‥‥‥‥。
数分後、カレー10杯を平らげた古式さんを、オレと美樹原さんはただ呆然と眺めていた。
「食べるの好きなんですよ〜」
「好きとか嫌いとかの問題じゃない…」
すっかり胸焼けして食堂を出たところへ、さっきの女の子と鉢合わせする。
「…えーっと」
「嘘つきっ、やっぱり食堂にいたじゃない」
まずオレに対して文句をぶつける。
「だから、煮られてたんだって」
「だったらどうしてピンピンしてるのよ」
「がんばって再生したんだ」
「はい、がんばりました」
「……はぁ。とにかくっ、漫才の練習なんだから付き合ってもらうわよ」
「ううっ…、それでは主人さん、さようなら」
『さようならなの』
「ああ。じゃあな」
軽く手を振って別れ、教室へと向かった。
教室に戻ると詩織が黙って本を読んでいた。
おおかた麗らかな午後に窓辺でひとり読書を嗜むのがヒロインだとか、そんな事を考えてるんだろうな…。
さて、オレは寝るか。
……。
………。
……。
充実した昼寝の間に放課後になったようだ。
「よし、詩織。帰るか」
「うん、ちょっと待ってね…って、いつからそんな仲になってんのよ、あんたとっっ!!」
「どうして? どうせ家も隣だろ。なら一緒に帰ろう」
「おあいにくさま、これから文化祭の実行委員会があるのよ。暇人の相手はしてられないの」
「実行委員会…?」
そういえばそんなものに入っていたな。するとポスター貼りとかするのか、こいつが…?
「やめとけやめとけ、そんなものおまえに務まるか」
「‥‥‥‥」
「おまえだったら逆に文化祭に殴り込んで、不良たちから『藤崎の姉御!』とか呼ばれてそうだな。うん、番長委員会にしろ。よっぽど似合いそうだ」
詩織は怒りに顔を紅潮させたまま、教室のドアを思い切り開けると…
「100ぺん死んで、ウジ虫にでも生まれ変わって、肥溜めで過ごしてろっっ!!」
と吐き捨て、思いっきりバンッ!とドアを閉めた。
あれでも本人は可憐なヒロインのつもりなんだろう…。
「さて…帰るか」
校門の所で如月さんを見かける。
「よう、如月さん。一緒に帰ろう」
「…嫌です」
あっさりと拒否された。そういえばこの前爆弾が破裂したんだったような気がする。
「そうか、これから同人誌を見に行こうと思ってたんだが…」
「…同人誌」
歩みがぴたりと止まった。
「ああ、新しく古本屋ができてな」
「……」
「かなり大量に入荷してるって話だ」
「大量のやおい同人誌…」
「いや、誰もやおいとは言ってないが、あるかもしれないな」
「……」
「…で、どうする?」
「行きます」
即断だった。
「早く行きましょう」
「お、おいっ」
超速で移動していく如月さんに、追いついた頃には古本屋に着いていた。
見るとガラスケースの前にべったり張り付いて、有名作家のレア同人誌に見入っている。
「ほしいのか? 如月さん」
「…はい」
あまり本出さない作家だからな…。
後ろから値札をのぞき込む。
…五十万!?
「如月さん…あきらめろ」
「…はい」
「…如月さん?」
横を向いたまま、震える声で呟く如月さんは……泣いていた。
「待ってるんです」
悲しかった。
「新刊が出るのを待ってるんです」
ただ、悲しかった。
「私にできるのは待つことだけだから…」
そこまで…同人にハマり込んでる如月さんが。
「高くて…
行列は長くて…
予定通りに出なくて…
出たと思ったらペン入れしてなくて…
それなのに…
どうして…
好きになっちゃったんでしょうね」
いや、オレに聞かれても…。
「と、とにかく買うなら別の本にしようぜ。な?」
「…残念です」
しばらく物色した後、2人とも2、3冊の本を買って店を出る。
通りに出たところでふと如月さんが立ち止まり、紙袋の中をじーーーーーーっとのぞき込んだ。
「どうした? ちゃんと買えたんだろ?」
「…交換しませんか?」
笑顔でそんなことを言う。
「…面白いから読んでください」
袋をオレに押しつけて、オレの本を奪い取る。
「…うぞだろ」
笑顔でオレを見つめる如月さん。
逃げ道はなかった。
思い切って本を開くオレ。
ぐぁっ…。
やおい過ぎる。
同人の知識のあるオレにも耐えられない、それは凶悪なやおい本だった。
「…面白いです」
とっても楽しそうだ。
「…大丈夫です、私も読みますから」
「ち、ちょっと待てっ!」
制止も間に合わず、如月さんはオレの買った美少女同人誌を開き…途端にさっと顔色を変える。
「…嫌です」
オレに突っ返すと、やおい本をひったくって小走りに去っていった。
はぁ、また爆弾点灯かい…。
ため息をひとつつくと、鞄に本をしまって歩き出したのだった。
商店街を歩きながら、ふと晴れ渡った空を見上げる。
どこまでも続く夕焼け。
変わり映えのない高校生活の繰り返し。
これからも、ずっとこうなんだろうか。
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帰り道…
<ん…?>
帰り道を見ている気がするよ。
<そう…?>
うん。女の子と一緒に帰れたんだ、その日は。
<うん>
でも会話を盛り上げすぎて逃げられてしまったんだ。
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「そりゃTLSだっつーの!」
…はっ!
いかんいかん、白昼夢を見ていたらしい。
腹が減っているからだな。丁度目の前にロッ○リアがあったので、オレは立ち寄ることにした。
『いらっしゃいませ』
一瞬怪しいシェーキに手が伸びかけたが、結局無難なセットに落ち着く。
今度は詩織を連れてこよう。あいつならシェーキの全種制覇すら容易くやってのけるだろうからな。
なぜなら、詩織だからだ。きっとそうに違いない。
20杯目の空になったシェーキをダンッ!と置いて…
「ナメないでよ…詩織なのよ、あたし」
と、オレに啖呵を切ってくれる余裕さえ見せてくれそうだ。
「何を馬鹿なこと考えてるのよ」
「うおっ」
紐緒さんだった。
テーブルの上にトレーはなく、ただシェーキだけが置かれている。
「また怪しいシェーキ作ってるのか?」
「ひとつだけ忠告してあげるわ。この件には深入りしないことね」
相変わらず的確な反応、しかも忠告付きだ。
まあ紐緒さんが『みゅー』とか言い出したら、そっちの方が大事件だしな。
「深入りはしなくていいけど、飲みなさい」
そう言ってカップを差し出してくる。
「実は、医者にシェーキは控えるように言われているんだ」
「いいから飲みなさい」
有無を言わさずカップを押しつける。
「へいへい…わかりましたよ」
渋々と一口すする。
「…特に何もないみたいだけど」
「そう…? まあいいわ、そのうち効果が出るかもしれないし」
「案外いい加減だな…」
結局その日はそれで終わり、家に帰って風呂入って寝た。
でもオレは気づいていなかった。
永遠に続くと思ってた日常が、音さえ立てずに崩れ始めていたことを…
カシャァッ!
いつものようにカーテンの引かれる音と、そして目の奥を貫く陽光。
といっても隣の幼なじみが起こしに来るわけもないので自分で開けたんだが。
「ぐぁっ…!」
時計を見てひっくり返る。起こしてくれたっていいだろう親っ!
大慌てで制服を引っかけ、階段を駆け降りる。
「朝メシできてる!?」
朝メシはテーブルの上に用意されていた。ただし、オレの分を除いて。
両親がぎょっとしたようにオレを見る。
「だっ…誰だ…?」
「あなた、何を人の家に勝手に上がり込んでるの!!」
「へ? ち、ちょっ…」
バタン!
家の外に叩き出されてしまった…。
寝坊したから怒ってるのか? それにしても冗談が過ぎるぞ。
まあ実害は朝飯を食い逃した事だけなので、オレは首をひねりながらも外へ出る。
学校へ向けスタートダッシュを切った瞬間、隣の家から人影が現れた。
ズドーーーーーーーーーーーーーンッ!!
衝突。
しかし毎朝のことなので、被害は相手が吹っ飛ぶだけで済む。
「さて、逃げるか…」
「こらあぁぁぁぁっ!!」
「おはよう、詩織」
「おはよう、詩織、じゃないいわよっっ!! あんたっ……あれ?」
いつもの怒鳴り声が不意に止まる。
「えっと……誰……だっけ?」
…沈黙。
「何をふざけてるんだ、詩織っ!」
思わずオレは叫んでいた。
「…え……? あ、こ、公君……?」
「…当たり前だろ。オレが他の何に見える」
「そう…だよね…」
戸惑ったような詩織の顔。
背中を凍るような汗が伝う。
何だ?
何が起きてるんだ。
繰り返してきた日常が、少しずつ壊れていくかのような焦燥感。
オレは全力で学校まで走ると、わき目も振らず理科室へと駆け込んだ。
「紐緒さんっ!」
「何よ朝っぱらから、騒々しいわね」
「実はかくかくしかじか」
「何ですって!? ふふふ、実験は成功よ!」
「ちょっと待てい!」
オレの抗議を無視して、紐緒さんはビーカー片手に解説を始めた。
「これぞ新発明の『消滅シェーキ』。これを飲んだ者は周囲から忘れられていき、人々の意識の中から消え、ついには物理的に消滅するのよ!!」
「おいおいおいおいおいおい!!」
「敵を葬り去るには最適の道具ね」
「敵って誰だよ…」
すると、なんだ。
オレは今からこの世界から消えてなくなろうとしているのか…?
紐緒製シェーキなんて怪しいものが、現実にオレの存在を危うくしているというのか…?
「ど、どうすれば消えずに済むんだっ!?」
「そうね。この世界との強い繋がり…例えばあなたと強い絆を持つ誰かがあなたを忘れなければ、それによってこの世界に引き止められるかもしれないわね」
絆?
「くっ…」
オレは理科室を飛び出し、知り合いを探して走り回った。
「如月さんっ!」
「…誰?」
「古式さん!」
「…えっと…どこかでお会いしましたか?」
「美樹原さんっ…」
「……」
ぺこり。
きょとんとしたまま、お辞儀をすると小走りで去る美樹原さん。
見知った顔が、ことごとくオレのことを忘れていく。
(しまった、全然デートしてないから友好度もときめき度も低い!)
それはつまり、オレが確かなものとして存在していないこと。
オレがいなくなっても誰も気にしないということだ。
呆然と立ちつくす中で、ホームルーム開始のチャイムが響く。
重い足取りで教室へ入ると、クラスメート達が一斉に不審な視線を向けた。
詩織や好雄でさえも。
「あー…。どこのクラスの生徒だね?」
毎日顔を合わせているはずの担任に言われる。
「…すいません、教室間違えました」
そう言って教室を出た…。
希薄になる自分の存在。
もはや生徒たちも怪訝な目すら向けることなく、最初から誰もいないかのようにオレの脇を通り過ぎていった。
絶望。
行くところもなく、階段に座り込んでいたオレの前を女生徒が通り過ぎる。
「虹野さん…」
突然名前を呼ばれて、虹野さんが顔を上げる。
「え?……」
見知らぬ他人を見る目。
「えっと、ご、ごめんなさい。わたしあんまり物覚えいい方じゃなくて」
額に手を宛てて、一生懸命考え込んでいた…。
「す、すぐに思い出しますから」
「……いや、いい。よく考えたら初対面だった」
「で、でも、あなたはわたしの名前を…」
「きらめき高校の虹野沙希といえば有名人だからな…」
「…え? え?」
「じゃあな…」
オレは話を打ち切り、とまどう虹野さんを残してその場所を立ち去った。
幼馴染みにも忘れられて…
虹野さんにも忘れられて…
オレはこれから、どこへ向かおうとしているのだろうか…。
最後に残ったオレ自身をかき集め、重い足を引きずって理科室へと歩いていく。
「紐緒さん…」
振り返る瞳。
そして、オレは…
「誰…?」
この世界から消えた。
今さら、ときメモ2なんていらなかったんだ。(いいのか?)
おとなになるってことは、そういうことなんだよ。
「う…」
頭の後ろに枕の感触がある。
消えたんじゃなかったのか?
一体どんな絆が、オレを現実に引き留めたのだろうか。
薄く目を開けると、おぼろげに誰かの影が見えた。
「やあ。
僕の思いは届いたかい」
目の前にあった外井さんの顔に、オレは即座に回れ右して永遠の世界へと…。
「ええい、いつまで寝ぼけてるの!」
「あ、ひ、紐緒さん?」
飛び起きて周囲を見渡すと保健室のベッドの上だった。
「あなたが廊下に倒れていたのを、この人が運んできてくれたのよ」
「あはっ…少し幸せだよ、僕は」
不気味な笑みを残して外井さんは帰っていった。伊集院に弁当を届けた帰りだったらしい。
「くそう焦らせやがって…。でも何でオレは戻ってこられたんだ?」
「そりゃあシェーキの効き目が切れれば元の世界に帰るに決まってるじゃない」
「そーゆーオチかい!」
「フッ、論理的思考が足りないわね」
「もーいいッス…」
もはや文句を言う気力もなく保健室を出る。結局オレは一時間目の間消えていただけのことだったらしい。
教室に戻っても、全員何事もなかったかのようにお喋りを続けていた。
オレの存在って一体…。
「なあ詩織」
「何よ。またなにか企んでるでしょ」
「いや、さっきまで何か変わったことに気づかなかったか?」
「さっきまで…?」
詩織はきょとんとして少し考え
「別にいつも通りだったと思うけど」
「あーそーかい」
「何よっ! ケンカ売ってんのっ!?」
「とんでもない、オレだって命は惜しいぞ」
「いつか殺すわ…」
物騒なことを呟いて前を向く。
オレに他人との絆ができない理由が多少わかったような気がする…。
‥‥‥‥。
まあいいや。
考えるのが面倒になったオレは、机に座ると今日の昼寝を始めるのだった。
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そして1年後、待っていたのはめめやろだった。
知らなかった。
そんな、悲しいことをぼくは知らなかった。
知らなかったんだ…。
「えいえんはあるよ」
「ここにあるよ」
<END>
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