○Ichi さん
- 0007 華音霊異記 (採点:4)
- 「随分と強引な作品」、これが私の第一印象です。
お言葉ですが、正直、コンペ向きの作品とはお世辞にも言えるとは思えません。
作品の要素が多すぎる様に、もっとありていに云えば、
連載用長編作品を、かなり強引に中篇の容量に削ったモノに見えます。
一方で、お話の内容自体は、かなり面白いと思います。
原作における久瀬の行動をほとんど変えることなく、
独自の設定の組み込みに大体成功していますし、
栞の病気の原因についても、少々ダークな点を除けば、
あまり類を見ないおもしろい設定だと思います。
ですから、それだけに惜しい気がします。
このどちらか一方の設定のみでも、十分に、中篇は書けると思うからです。
コンペである以上、採点の対象は出展された本文のみになります。
ですので、容量の軽量化の際に生まれた歪みは、目立てば減点の対象にならざるをえません。
ですので、評点自体はそれなりに辛く付けさせて頂きました。
こんぺ規定に依ればこの『華音霊異記』は、今回初めて表舞台に登ったことになります。
個人的には、長編として容量の制限などを受けることなく書かれたこの作品を、
是非とも読みたいと思っています。
できれば、こんぺ終了後に何らかの形で発表して頂けたら幸いです。
楽しませていただきました。
- 0016 sTrAwbErRy FiElDs fOreVeR (採点:1)
- これは「かのんSSこんぺ」であって、
「かのん電波文こんぺ」ではありません。
作者は、この事をきちんとご理解されているのでしょうか。
もし理解されているのでしたら、
これは読者に対する悪意のみで構成された挑発であるとしか、
私には、感じられません。
最低点は、1点という高得点であるため、
大変不本意なことに、適切な採点が出来ないようです。
慙愧の念にたえません。
- 0024 SMALL TWO OF PIECES (採点:8)
- 悪意すら感じるほどに救いの無いお話ですね。
一旦読み終わった後、一息ついたあとで「17」に気づいて、
かなりのやりきれなさを感じました。
お見事です、としか言いようがありません。
このような良い出来の作品を読むと、'ダーク'という事のみで、
かなり低い評価をされることが多い事に不条理感を持ってしまいます。
愉しませて頂きました。
- 0045 応援できない大熱戦 (採点:7)
- こういったおバカなお話、大好きです。
- 0051 受精卵 (採点:8)
- 最後の三行の意味が頭に入ってきた瞬間、思わず背筋が凍りました。
ダークというより、ちょっとしたホラー作品であるように感じました。
こういった作品で、恐怖、あるいはそれに似たものを感じてしまった事は、
読者にとって、ある意味、敗北であるように思えます。
お見事です。
- 0089 ベビーフェイス (採点:4)
- なかなかに、良い出来なのですが、
今ひとつ、の感がぬぐえません。
良いダーク作品の要であると思われる、
不条理感や禍々しさがといったものが足りない様に感じます。
特に「/6 一握ノ砂」以降は、
祐一の醒めかたが弱いように感じました。
「/5」までの出来を考慮してもう少し高い評価をしても良いのではないか、
といったことも考えましたが、
読後の感触という点であまりに弱いという事もあり、少し辛目につけました。
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