○duven さん
- 001 farewell party (採点:2)
- あまり見るべき点はありませんでした。
直接文字を使用して説得力のない不確定な断定を(Kanon世界では確かなことでも)読み手に強制する、というのはスマートではないのでは。
また、文全体に余計な言葉が多すぎると感じました。
意外性に頼らない何の事はない話を読ませるには、飾りではない、文字の存在感が圧倒的に不足している様に思います。
- 002 コンクール (採点:3)
- テーマがありきたり過ぎて評価が難しいです。
はっきり文字にしてありますし、おそらく言いたいであろう事は伝わってきますが・・逆に何か裏でもあるんじゃないかと勘繰ってしまいます。
ただ、下手に文字で飾りをしなかったのはよかったかと。
とりあえずこの文では祐一がすごく薄っぺらい人間に見えます。
- 005 恋人(ともだち) (採点:2)
- 幸せならばそれでいい、そう考えられる人間は世間にはそう多くないのでは。
それはこの式の会場という、小さな世間にも言えることで。
そういった類の無理があちこちに見えて、それらが文全体に大きな歪みを生んでいるように見えます。
またその幸せも、描かれているの彼等の心情が平面的で、めでたしめでたし、と祝うには余りにも脆いものなのではないでしょうか。
- 006 スキスキスKiss!! (採点:6)
- 作者の方はそれぞれの人間像をきちんと持っておられるようで、その後の3人がきちんと元の彼等のキャラクターの延長線上から外れていなくて好印象でした。
テンポもよく、そう短くはない話でしたがストレスなく最後まで読む事ができました。
ただその分違和感も目立ちました。
祐一に向けられた文で始まって、栞への言葉で終わるという事、香里の過度のお茶目さ(ほんのもう少しだけ抑え目でもよかったかと)、最後の祐一の言葉
特に祐一の言葉は惜しいです。台詞ではない、ただ心に響く言葉であれば。
- 007 思い出 (採点:1)
- 私には、この文に秘められているであろう真意を読み取る事が出来ませんでした。
- 008 おめでとうを涙と共に (採点:1)
- こいつは北川ではない。
というのが偽らざる感想です。
1人輪からはみ出た存在感や、口調というか・・文体があまりにも北川から遊離している様に感じます。
作者は自分の文に酔っているように見えます。
穿った見方とは思いますが、全て漢字にして、行を空ければ雰囲気出るだろ、のような。
読み手に媚びる必要は全くありませんが、読ませる努力を怠るのなら、それは公衆の目に触れる作品、としては不完全と言わざるを得ません。
- 010 歩行者優先 (採点:3)
- こういう作品の宿命なのか、別れが大袈裟過ぎるような・・名雪も、香里も、それだけの絆、それだけの覚悟があるのかもしれませんが、ドラマティックなのと大袈裟なのは少し違うのではないかと。
名雪の強さ、というものが心情の平面的なマイノリティ、というだけではそこはかとない天邪鬼感を醸し出すだけの様に感じますし・・よく分からない事を書いてしまいましたが、要するにそれに香里を揺り動かすほどの説得力を感じません、という事です。
- 011 たった二つの「好き」の条件 (採点:1)
- 中身以前に見せ方に問題があるかと。
自分を責める割にはいやに言葉の節々が横柄な祐一も印象が悪いです。
人間同士の絡みは面白くはないですし、結論も精神論でお茶を濁したような感じで特に見るべき点はありませんでした。
- 012 人の思いは常に一方通行 (採点:1)
- 他の方法では笑えるネタが、文章に置き換えたら笑えるというものではないという事がよく分かる文でした。
ネタが面白くない以上、人間同士のかけあいで笑わせるしかないと思うのですが、オリジナルのキャラクター、久瀬、斎藤、と読み手にあまり馴染みのないキャラクターを使う、という余計なハンデを背負っている分、難しかったのでは。
敢えて茨の道を選んだ割には目を引く部分もありませんでしたし・・彼らを起用した狙いが読み取れませんでした。
- 015 in the room (採点:3)
- 目のつけどころは悪くないですが・・アイディアを形にするには少し詰めが足りない印象を受けました。
奇跡の定義のくだりは使い古されたテーマですし、何か新しい見解があるわけでもなく、取り上げる必要性が希薄に感じます。
祐一と北川では話に説得力がありませんが、このテーマでこの形を取るには祐一と北川でないと成り立ち辛い。私には奇跡の話が余計に思えてなりません。
もう1歩踏み込んで第三者視点に語らせるなど、発想の方を大事にしてもよかったのでは。
- 016 月色の涙の想い (採点:2)
- 香里がそのネーミングセンスを誉めるでしょうか。
北川の第3者的な、それらしい言葉、に涙まで流して頷くでしょうか。
視点に不自然な点もありましたが、それ以上に、文全体に蔓延る違和感が香里という人間に別人のような幼さを感じさせているように思います。
- 017 FREE (採点:8)
- 言葉の使い方、選び方が丁寧で、凄く良い作品でした。
文のリズムも美しいですし、この点は及第点以上であると思います。
その他にも良い点はありましたが、言葉に特に目を見張るものがありましたので。
ただ抽象的になってしまいますが、もう少し読み手を煙に巻くような、というか読み手の力に頼る表現もあっていいのではないでしょうか。
読んでいて、この作品は親切過ぎる様に感じましたので、文句をつけさせていただきました。
- 018 あいとまこと (採点:4)
- 真琴の口調がしっかりし過ぎている、祐一のリアクションが大げさな点がある
そして終わり方がもう少し余韻を残すような、そうでなければもっと鮮やかに切ってしまわないと、このままでは中途半端な感じがします。
最後以外は細かい事ですが、全体としての完成度が悪くない為、少し気になりました。
- 019 Hello, Again. (採点:3)
- 導入の部分で終わっている、といった感じでこの作品単体ではいい評価はできませんが、続きが非常に気になります。
そういう点では良い作品であると思います。
- 020 しあわせのうしろすがた〜輝く季節へ〜 (採点:4)
- 手紙の後が長いので、読後感がいまひとつでした。
ありきたりながらもそれまでの事の運びは悪くないですし、手紙自体の出来もいいのでもう少し焦点を香里にずらしたほうがよかったのでは。
- 022 アンバランス (採点:6)
- 特に難しい話ではない分、言葉の選び方を注意して読ませていただきました。
全体的に無難にまとまっていたと思いますが、
「死んでしまうと分かっているなら、自分本位ではいられない」
という一言はよかったです。本当にそう思えるかどうかは別にしても。
- 023 ある少女とある笑顔 (採点:2)
- 舞じゃない、とまでは言いませんが・・名を伏せられたら分かりません。
心の中だから、といわれればそうですが、やはり、らしさが希薄なので分かりにくかったです。
- 025 普通の日常、輝きの灯火 (採点:2)
- 看板に偽りなし、ですが・・本当にただ日常を描く事の意味が伝わってはきませんでした。
- 026 曖昧me、終わらせよう (採点:3)
- 本筋についての感想は他の方に任せるとして、私は自分の気になった点を1つ。
心の中の言葉が文の殆どを締めていると思うのですが、だからこそのあざとさ、くどさが目に付きます。
自問自答にしても、その深さを何度も重ねて見せるだけで解決するのでは読み手に好印象を与えるとは思いませんし、手法としても稚拙な感じがしました。
- 028 再集合カノン (採点:2)
- 私の読解力では難しい作品でした。
複数回、目を通しましたが、疑問の一部があまりになんとなく、としか分からなかったので、何か裏がありそうなもの書いて知ったかぶりする奴が出てきたら鼻で笑ってやろう、みたいな意図があるのかと勘繰ってしまいました・・
以下は、そういう人間が感じたものとして見てください。
文の印象としては、テーマに対して飾りの言葉が多すぎるように感じました。
如何せんそれが読み取れない為、言葉の取捨選択が余計に要領を得ないのもありますが、結末に多くの情報を継ぎ接ぎしていったような蛇足感を文全体に感じました。
- 029 幸せなら手をたたこう (採点:4)
- お話については特に書く事もないのですが、文として少し気になったところがありましたので。
目に見えるもの、体が感じるもの。
それらを過剰に説明しすぎている、と感じました。
書かなくてもこちらに伝わる、一度書けば分かる事が過剰に目に付く為、文にとって余計な要素になっています。
少し読み手との間合いの取り方がよくなれば、もっとよい作品になるのでは。
- 030 12月のアムネジア (採点:7)
- この手の話を扱う作品は他にも多数ありますが、文としてのまとまり、雰囲気がいいため、興味深く読む事が出来ました。
真琴や秋子には少し違和感を感じる部分もありましたが、それ以外は総じてイメージを壊さない様に描かれていて、及第点の出来ではないかと。
ただ、全体の雰囲気がかなり完成されている為に、細かい単語の選び方にはもう少し気を使って書いてほしい、と思う部分もありました。
まだ改善できる余地は残っていますが、それでも平均からは頭抜けた作品である事には変わりないと思います。
- 031 ただそれだけの日常 (採点:6)
- 日常を描く作品のお手本といった趣でよかったです。
余計な飾りも少なめで、下手な小細工がないので気持ちよく読むことが出来ました。
秋子がいなくなった後の、2人。
無駄な冒険がない分(善し悪しあるとは言え)その数多ある可能性の中の1つとして、納得できる作品だと思います。
できれば、もう1段階上、感心させられる作品にまで昇華させられれば、このジャンルの作品としては言う事ないのですが。
- 032 make bread,eat shorts (採点:6)
- 終わり方以外はかなり、ギャグとしてはよかったと思います。
終始ニヤニヤしながら読ませていただきました。
ネタは決して面白くはないですが、人間同士のかけあいに緩急があり、内容、テンポともに秀逸です。
ただはじめに書いた通り、オチが弱いかと。
話的にはなんでもない部類ですが、ギャグというジャンル上、その部分を重視して採点させていただきました。
- 033 絆〜三人の幸せ〜 (採点:2)
- 物自体はなんでもない話ですし、乗せられたギャグも特に笑えるものもありませんでした。
勢い任せのご都合主義にするにはギャグに力がなさ過ぎるし、中途半端なシリアスも蛇足にしかなっていません。
また、ほのぼのとした日常を描くには余計な描写が多すぎるように感じます。
もう少しジャンルを明確に絞ってこれで勝負、という軸をきちんと作ったほうがいいのではないでしょうか。
- 034 栞にツノが生えた日 (採点:7)
- 会話は前後も含めて全体的に、テンポ、内容ともに見所が多く、言葉の使い方にも斬新なぶつ切り感みたいなものがあって鮮やかでした。その点だけで評価させていただきました
他は、冒頭部分や話の内容にはなんとも言えない往生際の悪さ、みたいなものを感じます。
冷静と情熱が食い合っているというか・・適当にお茶を濁したような感想で申し訳ないです。
- 035 終わりのそばに、始まりの兆し (採点:3)
- 話自体はなんでもないですが、言葉の選び方が丁寧で、よかったと思います。
ただ、それだけにいちいち結果、心情、台詞といった、全般に説明が過ぎる様に感じました。
それではせっかくの言葉の良さも埋もれてしまいますし、自信なさげな文に見えます。
1つの言葉できちんと1つの描写をできるだけのセンスは感じますので、より少ない言葉で描く様にしたら、より美しい文になるのではないでしょうか。
- 036 もしも祈りが届くなら (採点:2)
- よくある話な分、細かい言葉使いや心理・情景描写に気をつけて読みました。
特別秀でた点や、あまり大きな欠点も見当たらなかったのですが1つ最も気になったのは、おばさんくさい、というのが最大の特徴である美汐が「帰ってこれるわけがない」という言葉を使ったことでしょうか。ただの脱字かもしれませんが、だとしたら尚更勿体無いです。
細かい事に思えますが、大げさではなく他のキャラで言えばきめ台詞(うぐぅとかそんなこと略とか)を間違うに等しいものですから非常に気になりました。
その他にも真っ先にものみの丘に行かない祐一とか、細かい違和感を感じる点が多少目立ちますが、これらを直せば及第点の作品にはなり得たのではないでしょうか。
- 043 未来には・・・? (採点:4)
- 雰囲気に騙されそうになりましたが、意外と短く終わってしまったのでそうはなりませんでした。
中身の希薄さに対して、外見が中途半端な非常にアンバランスな作品である様に思います。
一部興味深い言葉遣いもありましたが、それで勝負できるほどではないかと。
もっと言葉を洗練させていけば、詩になり得ると思います。
- 044 − 光幕 − (採点:6)
- 短編という枠組上、仕方のないことでしょうが・・少しあっさりし過ぎではないかと。
やはり限られた文字数内でも祐一の葛藤がきちんと伝わって来ないと、どっちでもいいけど真琴がいないから美汐にするか、のような感じに見えて良い印象は持てません。
ただ、下手な小細工や蛇足がないので、文章としては気持ちよく読める作品であると思います。
- 045 秋空は夕焼け、2つのあか (採点:1)
- ギャグというジャンルである以上、その部分を重視して読ませていただきましたが、残念ながら厳しい採点をせざるを得ません。
ギャグとほのラブ、という二つの要素が互いに邪魔にしかなっておらず、何故こういう形を取ったのか、何が書きたかったのか理解に苦しみます。
これで少しでも笑えればまだ見所はあるのですが、そういうわけでもありません。
笑う所であろう部分に、非常に独り善がりな印象を受けました。
文章を使って笑わせるのは難しい事だとは思いますが、自分が書いた勢いではなく、冷静に読んでせめてニヤニヤさせる程度のものを書く事が出来なければ、ギャグとしては厳しいです。
- 046 影 (採点:4)
- 特別に良い点も悪い点も目に付きませんでしたが、細かい事を。
この文では、祐一が北川を使ってうまくいくように仕向けたみたいで、あまり好い印象は受けませんでした。
- 047 あゆの風 (採点:2)
- なんというか…笑えないツッコミどころ満載な文ですが・・それは置いておきます。
話がどうのこうのとか難しい事もおいておくにしても、まず祐一の無意味な暴言はどれも面白くはないですし、普通にしておけばよかったのではないでしょうか。
あとは、話を面白いものにするのは難しいですが、せめて言葉の選び方は考えられるのでは。思いついた言葉をそのまま文にしているような、悪い意味で荒削りな感じがしました。
題材を言葉が邪魔してしまっている、題材と文章の方向性とがまったく合っていないのも、余計にそう思わせる原因ではないかと。
- 048 Raining (採点:7)
- キャラクターも良く描かれていますし、全体的に無難にまとまっていて、良い作品でした。
ただ、抽象的で申し訳ないのですが、こういうほのぼのとした作品だからこそ、何か特別な、心に響く言葉がほしいと思います。
良い作品ではありますが、記憶に残る作品になるには、私にはそういった部分に物足りなさを感じます。
- 051 むかしばなし (採点:2)
- 話はそのままですし、手法が特別に斬新なわけではない。
目に付く言葉の使い方もありませんでした。
この手法、それだけで作品として成り立つほどのアイディアではないと思いました。
- 052 Verte aile 〜ヴェル・エール〜 (採点:2)
- 天野潤が記したという形を取る必要があったのか、何の為に彼が記したのか、その狙いがはっきりしないような気がします。
必然性が少しでも感じられれば、文自体は平均的な出来なのですから勿体無いです。
- 056 写真のわたしと今の (採点:2)
- 今更名雪の心の内を説明されても特に思うところはありませんでした。
中身はいいとしても、手法に見合う言葉の選び方、心情の描き方がなされていないので、それ以外には感想は特に。
「」内は名雪の独り言だと思うのですが、全て心の内に統一してしまったほうがよかったのでは。
独り言と心の内を区別する必然性が感じられないので、そちらの方がリズムや見栄えもよかったと思います。
- 057 miss understand (採点:9)
- 喜ばしい事なのですが、つけるつもりはなかった高採点をせざるを得ません。
心の中とは擦れ違ってしまう、口をついて出る言葉、というのはよく扱われるものですが、この作品はそれが押し付けではない香里の心情と共に非常にうまく描かれていると思います。
始めから終わりまで、読み手を振り回して、かつ離さないという、文章のバランス感覚がすばらしい。
細かい言葉の選び方にも気が配られていて、違和感を感じる部分も殆ど皆無でしたし、陳腐な言葉で恐縮ですが、胸の押し潰されそうな切なさが、言葉から感じられました。
本当は余計な難癖つけるのはやめようかとも思ったのですが、すばらしい作品に敬意を払って1つだけ注文を。
終わり、というか結論が(今までの文の我侭ぶりに比べると)ありきたりで大人しく、物足りなさを感じました。
- 060 雪ウサギの憂鬱 (採点:3)
- 名雪の苦悩の深さがよく伝わってきて、前半はかなりよかったです。
しかし、だからこそありがちな、安易な結末なのが残念です。
解決も、雪うさぎ、という曖昧、便利なものに頼った点が勿体無く感じました。
心情描写には見るべき点が多かっただけに、もっとそれを生かした話を組み立てた方がいいのでは。
- 061 ばかんす (採点:1)
- 勢い任せの笑いこそ、緻密な計算が・・とまでは言いませんが、このての作品に多く見られる独り善がりな強引さがこの文にも散りばめられています。
文章に秀でた点も見当たりませんし、勢い任せにしてはテンポも悪い。
私には評価できる要素を感じられませんでした。
- 067 ポイズン・キッス (採点:3)
- 中身はともかく、題名で中身が分かってしまうのはどうなのかと・・どうせならそう予測する読み手を裏切る仕掛けがほしかったです。
- 069 金魚 (採点:3)
- どうも台詞、役回りからしても北川より祐一向きの話のような。
北川を使いたいのなら、そこにいるのが北川でなければならない話でなければ。
祐一の位置に北川をスライドさせただけでは、既存の作品の劣化コピーにしか見えません。
- 071 風よ魔法をはこべ (採点:8)
- ただ目の付け所がいいだけではなく、彼の人間像も掴みやすく、文章のレベルも一定以上ですし、何よりKanonという箱庭世界に非常にマッチした作品だと思います。
少し語弊があるかもしれませんが、奇抜な物語を、奇抜な手法に頼らずに描いた点も非常に好印象でした。
アイディアをきちんとした1つの作品にまで昇華した好例ではないでしょうか。
最後の一文が、余韻を残すような、願わくば心に呼びかけてくるような言葉であれば・・どうも終わり方が味気ない気がします。
- 072 傷痕 (採点:3)
- 傷跡云々のくだり、というか頭から真ん中にかけてはかなりよかったと思うんですけど・・そんな言葉で解決できるっていうのが、結局普通の喧嘩となんら変わりないので、興醒めでした。
私はこういう割と重めの話題だからこそ、祐一には向こう見ずで突飛な、かつドラマティックな解決法を期待するんですが・・
- 075 始まりの日 (採点:3)
- 死を乗り越えた二人に、旅、という単語は少しアンバランスな青臭さを含んでいる様に感じます。
祐一の言動も中途半端なうそっぽさがKanon世界にそぐわない、妙な現実味を感じさせます。
物語として説明できない、し辛い部分は描かずに、できる部分だけを饒舌に説明するのでは、都合が良過ぎるのでは。
描かれていない部分に文章として違和感を特に感じない分、余計に饒舌な部分が蛇足に見えて、文全体のリズムを崩している様に思えました。
- 077 盲目考察 (採点:4)
- 乱暴な感想になってしまいますが、こういった雰囲気の作品は、オブジェにも通じるものがあると思います。
だからこそ、細かい言葉の違和感が、文の統一感を乱し、文字の羅列に変えてしまう。そんな事を読みながら感じました。
- 080 ガラスの森 (採点:7)
- 総じて丁寧な言葉遣いがされてありますし、中には印象的な表現もあり、その点は非常によかったと思います。
粗筋上余計な部分にも無駄が少なく、会話、心情、情景描写どれも一定以上にあると感じました。
しかし話はというと、新鮮さはないですし、その中身も至って無難に思えます。普通のジャンルの作品ならまだしも、ファンタジーと銘打っているからには大なり小なり読み手を裏切る要素が欲しいです。
また、全体的な文の水準が悪くない為に、一部くどさや、窮屈な言葉遣いが目立ちます。
最後に非常に個人的な文句ですが、光に包まれて消えるというのは・・少しチープな気が。
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