Top Ka1 Ka2短 Ka2中 痕短 痕中 痕長 ONE短 ONE中 家計 月姫 Ka3短 Ka3中 Ka3超短 Ka4小 Ka4本 オリ肉 Ka5短 CLA1短 ONE2 Ka5中 CLA1中 オリ2 オリ3 Ka6小 Ka6本 AIR オリ4掌 オリ4短

○2% さん

01 赤白黒 (採点:6)
端的にいうと「読後感の良いダーク」でした。「ダーク」というよりも「怪談」に近い感じ。「俺、死んでる」の一言が、このおはなしを一気に無邪気なファンタジーに変えてしまったような気がします。ラストも「さっぱり見当がつかない」の一言で済まされていて、あっさりした印象。中盤までは凄惨なシチュエーションと祐一の電波気味の思考が絡んで壮大な鬱物語になりそうな予感があっただけに、少しだけ残念です。いえ、ダークの苦手な一読者としては実際のところありがたいのですが……

02 卒業 (採点:9)
上手いなぁ、の一言です。こういうどこか漠然としたテーマでストーリーを作れること自体が凄いし、物語の構成というか文章の配置も巧みな印象。少なくとも、読んでいて物足りなさや不快感を覚えることは全くありませんでした。祐一両親の対応や祐一自身の決意はともかく、名雪シナリオの延長上に「気付かない内に激流に呑まれて」いた彼女がいて――という設定は説得力があるなぁ、と。ついでに、最後の台詞が無性に気に入ってしまいました。

03 例え、誰が覚えていなくとも (採点:5)
読み終えた後、微妙な違和感というか、危うい印象の残るおはなしでした。物語は終わっても、まだ欠けているパズルのピースがいくつもあるような。物語全体がコラージュで構成されているかのような。まあ、ジャンルが「不可解系」となっているので分からなくても良いか、と流してしまいましたが……でも、一見ほのぼのに思えるラストが無性に怖い。なんでだろ。

04 交差感情 (採点:6)
>それは誰もが持っていて。けれど、いつも繋がる物ではなくて。
↑の「繋」の字に旧字体(?)が使われていたせいで文字が化けてました(CGIが非対応だったのか、テキストをコピペする段階で化けたのかは分かりませんが)。クライマックスの大事な場面だけに、読む勢いが削がれてしまってものすごく残念です。

05 風鈴の鳴く夜に (採点:8)
祐一がムラムラっと来た理由=名雪の父は人畜無害で「ウチの娘はやらん!」と殴りかかってくるような人物ではないと知って増長したから――と予想しましたが、正解でしょうか?
――と、戯れ言はともかく。SSの題材として「秋子と夜酒」には類例が多いとはいえ、このおはなしはその中でも秋子さんの魅力が出色だったと思います。「泣かせないでくださいね」に惚れました。

06 シフクノセツナ (採点:7)
冒頭から栞が既に故人だということをかなり明確に匂わせる書き方になっていたので、安心してファンタジーとして読むことができました。それだけに、予定通りで驚きの少ない結末をちょっと物足りなく感じたことも確かですが……もしも栞の設定が巧妙に隠されていて文字通り「驚きの結末」になっていたとしたら「読後感が酷い」という感想を持ってしまったはずなので、このおはなしはきっとこれで良いのでしょう。香里との電話のシーンも綺麗に決まっていたと思います。

07 ふたりは391/199900*1/? (採点:10)
ほんと、こういうおはなしは大好きです。らぶ。多少わざとらしい展開でも、栞が可愛ければ良いんです。栞のシナリオは「起こらない奇跡」が核となっているだけに、それがこうして「確率」の形で物語になると素敵ですよね。祐一のツッコミにキレがない気がしたので減点しようとも思いましたが、最後の「菓子折り」にウケてしまったのでやっぱり満点にします。というか、パズルに慣れた二人は3000ピースくらい1ヶ月もあれば作れそうなものですが、「一年計画」だなんて彼らはいったい何をしながらパズルを組み立てるつもりなんでしょうか……?

08 名残雪の人 (採点:8)
同じフレーズを物語の始めと終りで繰り返す構成が上手く成功していたと思います(二回目の「君は誰だ」に到達したとき、無性に暖かい気分になりました)。あと、祐一パートと名雪パートが同時進行して合流する序盤〜中盤の展開もダイナミックで爽快。
――と、構成のことにばかり言及していますが、テーマそのものも印象的でした。欠けた第5章の内容を想像しながら、今夜は眠りたいと思います。素敵なおはなしをありがとうございました。

09 まことだった。 (採点:9)
「」を使わずに台詞を描く独特の文体が、曖昧で穏やかな幻想っぽさを上手く演出していたような気がします。文体のせいで読みにくくなるようなこともありませんでしたし、作者さんはかなり注意深く推敲なさったんじゃないでしょうか(推敲せずにこれだとしたら、それはそれで羨ましい限りですが)? 美汐が屋根落ちを語るシーンや祐一が肩甲骨を触るシーンでは、思わず目頭が熱くなってしまいました。何というか、理屈をこねてこの作品にケチを付けるのは野暮だぞ、という感じ。

10 さいごのにんむ (採点:3)
まずは、こんぺに「童話」を出してくださったことに感謝を。好きな題材なので、期待して読ませていただきました。
――と、いうわけで。平仮名だけの文章だと、誤字の存在がちょっと辛いです。あと、童話にしては所々に難しめの漢語が使われているのも平仮名なので大変な感じ。言葉遣いの小さな違いだけで読みやすさや意味合いが大きく変化してしまうので、通常の何倍も推敲と校正をする余裕がない限りこういった文体には手を出さない方が無難かもしれません(大きなお世話で申し訳ありません……)。

11 過去に捧げるプレリュード (採点:6)
流行ってるんでしょうか、π。No.でいうと隣の作品もπ(栞)的なネタを使っているのでどうしても比較になってしまうんですが、こちらのギャグは言葉遊び主体で若干知的(?)な印象がある一方、シチュエーションとしての押しが弱い感じ。後半をシリアス気味に持ってくるのは大歓迎なんですが、ラストの恋心云々はちょっと唐突な気がしてなりません。

12 梅雨前線北上中 (採点:8)
とりあえず、8点。他には何も申しません。……何やら、この作品に感想とか書けば書くほど良識を疑われそうな気がするので。

あ、でも、ほら、π^2≦Aとなるπでも、独特の味わいがあって素敵なんですよ? っていうかπは変数じゃねーんで、時間tの経過とともに成長するようなこともないと思いますがね。

13 三顧の礼 (採点:6)
「予告状→ドアからあゆ」なパターンの繰り返しが……一回きりだと単にくだらないだけのネタですが、三回もあると次第に反論を許さない空気を纏ってきて何やら笑えます。押しは強いのにひたすら脱力してしまう展開が和み系。「三顧の礼」ならぬ「三顧の失礼」という感じで。というか、一読したあとタイトルを眺めつつ三顧の礼の故事を想像してさらに笑ってしまいました。あゆが劉備で祐一が諸葛亮……?

14 百花屋奇譚〜オトナとコドモ〜 (採点:5)
久瀬が佐祐理(たち)を諭す、という構図のSSはこれまでにもいくつか読んできましたが、その中でもこの作品は久瀬が強すぎず佐祐理が愚かすぎず、ちょうど良いバランスに収まっていて好印象です。ラストがほのぼのしていて読後感も爽やかだし。ただ、最初に「百花屋の思い出話の一ページ」と明示して語り始めたおはなしを「私の名前ですか? 私は『百花屋』と申します」で結ぶのはかなり無理があるんじゃないでしょうか。

15 美坂香里の熱い一日とクラスメート達 (採点:4)
ところどころで石橋クラスの熱気に背中を押されそうになったりもしたのですが、全体としては残念ながら展開に付いていけず、個人的には惜しい作品でした。何のための企画なのか、という辺りで説明が二転三転していたせいで、結局おはなしの核を把握できなかったのが辛いところ。あと、腕相撲大会のルールが良く分からなかったことと、罰ゲームの登場が唐突に感じられてしまったことも。

16 何気ない日常、小さな幸せ (採点:6)
真琴と栞の子供っぽい口論や仲直りが微笑ましくて、読んでいて幸せな気分になりました。ありがとうございます。あと、コンビニ店員のお姉さんがちょっと健気で素敵です。それだけに、ラストが本当に何気ない2通の手紙だけで終わってしまって物足りないような――とはいえ、これ以外のオチはあり得ないような――微妙な読後感が残念な作品でした。

17 あわただしい最初の一ヶ月 (採点:3)
何より試みが面白いし、こんぺという場にこれを出してくる意志だけでもかなりの価値があるんじゃないでしょうか。ただ、現状ではちょっと辛いかもしれません。物語の大筋を把握し難いだけでなく、細かい点でも、1/7、髪を切ったことにして何をごまかせるのか意味不明だし、1/10、あゆの顔を秋子が知らないのは特に確かじゃないし、そのほかいろいろ。この作品のようにメタな視点から描写されていると、こういった点が「作中人物である祐一の勘違い」ではなく「作品そのものの勘違い」のように読めてしまうので一層難しいような気がします。ラストも弱い――というか、こういうおはなしには是非とも気の利いたオチがほしいところです。

18 はんばぁぐ (採点:8)
こういった料理SSが大好きなので、読んでいてかなり楽しめました。空腹時に読んだので、湧き出る食欲を抑えるのが大変でしたが。終始ほのぼのしていて難点といえる難点は特にないのですが、前半の地の文に多い端的な説明の部分(「実の姉のように思って」とか)の代わりにもう少し気の利いた表現を使ってほしかったなぁ、とか、「肉の逢い引き」関連のネタふりとオチが完全に本筋から浮いてしまっているのが残念だなぁ、とか、そのあたりが少しだけ気になりました。

19 安っぽくても、それでも (採点:6)
若干説明っぽい台詞が残念(「お気に入りの折りたたみ傘」とか)。でも、ラストは綺麗にまとめてきたなぁ、と。シチュエーションも素敵です。虹云々はそれこそSSの題材として「安っぽく」なってしまった感があるとはいえ、間抜けな栞に肩を貸す祐一、という場面を想像してものすごく和んでしまいました。

20 しあわせ、もういちど (採点:9)
よく読み取れませんでしたが、序盤の栞のシーンは「悶絶していた」という設定なんでしょうか……? とまれ、ラストでこんなに綺麗に「かきつばた」を決められてしまったら、高得点を付けるしかありません。正直なところ物語の設定で分からない部分は他にもあったのですが、物語の締めくくりが(ついでに、冒頭の導入も)そんな疑問点を吹き飛ばすくらいに魅力的でした。素直に「読んで良かった」と思えます。ありがとうございました。

21 君を守る (採点:7)
バトルシーンがあると、やっぱり物語が引き締まって良いですね。終盤の舞とあゆの会話も、短い中に緊迫感があって印象的でした。御都合主義? ……いやいや、こういうストーリーなら、むしろ御都合主義すぎるくらいじゃないといけません(とはいえ、あゆが舞シナリオの真実を知っていることに関しては「舞の力を借りている」の一言で済ませずに、知るに至った経緯を詳しく描写してほしかったかも。「雪のクッション」あたりのお約束は大歓迎ですが)。

22 なゆきをあいしてる (採点:8)
賞味期限サインペンをこれだけ面白く使った作品には初めて出会ったような気がします。ただ、香里の精神がものすごく壊れている状態で「家族が重くて名雪に依存」と原作の設定へ繋げるのは少々無理なんじゃないかなぁ、と(「まあいいや」に続けるための単なる前フリなのかもしれませんが)。とはいえ、短すぎる作品はダメ、というこんぺの常識を打ち破る快作だと思います。

23 いたずらかおりん (採点:7)
ひらがなタイトルや「でっでっ、ぽっぽー」が地の文の堅さと合ってなくて違和感が! ――と書くつもりでした、最初は。でも、読み進めるうちにこのギャップが良い! と感じるように。何はともあれ香里がキュートです。あえて難点を挙げれば、香里が最初の悪戯を実行に移す前にもう少し「溜め」がほしかったなぁ、ということと、祐一の登場以降の展開がちょっと勢いに欠けるかなぁ、ということくらいでしょうか。

24 リフレイン (採点:7)
げ、視点変更モノか、と警戒しながら読み始めてしまったのですが、単純な視点転換ではなくシリアスなA面とコミカルなB面にしっかり分かれていて、退屈になることもなくニヤニヤしながら楽しんで読むことができました。ラストも「リフレイン」に二重の意味を与えている感じで、すっきり決まっていたと思います。

25 子の心親知らず 親の心子知らず  (採点:7)
淡々とした優しい雰囲気が印象的な作品でした。何というか、描写が押し付けがましくないのが好感触。秋子さんと名雪、二人ともキュートだし。ただ、タイトルの「子の心親知らず」の部分をまだ理解していないので(本文からは、秋子さんが何でも知っているように読めたので)、後で読み返してみようと思っています。

26 サウンド・オブ・サイレンス (採点:9)
ギャグの「お約束」を逆手に取った、というか、なんというか。無声映画のような喜劇性。「とっとっ/ガンッ/ザッパーン」から「祐一がよろけてガードレールにぶつかって川に落ちた」まで分かるのって、考えてみれば凄いことですよね。ラストに和み系のオチが付いていて読後感も爽快でした。「『Kanonの二次創作として』でなければ場面が成立しない(読解できない)」という意味では、究極の原理主義SSだといえるかもしれません。

27 きんにくまん (採点:6)
ア ホ す ぎ る ! タイトルで「にくまん」ネタを匂わせておきながら、真琴なんて一行も出てこねーよ! がっかりだ! ジャムとか安直に使っている割に、よく読むとしっかり「おはなし」になっているあたりにもがっかり! 秋子さんにナデナデされたい!!

28 みずたまり 〜逢魔が時に〜 (採点:7)
理由なく好きです、こういうテーマは。いえ、ぱんつじゃなくて。謎ジャムで脅してたい焼きやバニラアイスをたかる、というのはあまりにも手垢に塗れたパターンなんですが……この作品に関してはむしろこれが良いのかなぁ、と。あゆの不安定な心情との対比として、そういう(SSとしてありふれた)光景が「Kanon的な日常」を強調している感じで。

29 心のゆくえ (採点:8)
祐一をよく観察していたから、ということなのかもしれませんが(あるいは、単純に容量の関係でしょうか)、藤村さんの物分かりが良すぎるというか、おはなしを上手く進めすぎているような気がしました。そのせいで、どうしても彼女を物語のヒロインとは思えず、狂言回しのように思えてしまったことが残念です。とはいえ、なかなか新鮮な視点から書かれた作品だということもあり、素直に楽しんで読むことができました。

30 君の名は…… (採点:4)
祐一の間の悪さが、ひたすら憐れで憐れで、憐れすぎてどうしても笑えませんでした。ごめんなさい。ほんと、「憐れ」以外の言葉が見付かりません。作品全体がギクシャクしている感じ。これで明るめのオチなど付いていれば印象が変わったのかもしれませんが……とはいえ、うーん、どう読めば良いんでしょう、こういう作品は。ギャグだから何でもアリ、でも良いと思うんですが、でも、このネタはナシだと思うんですよねぇ。

31 青いゆりかご (採点:5)
ひなびた温泉の雰囲気が良い味を醸し出していました。何だかんだで大した事件も起こらず、読んでいて単純に心が和む感じ。とはいえ、残念ながら非常に物足りないというか、おはなしに筋が通っていないような……よく分からないうちに旅行に出掛けていて、よく分からないうちに北川と仲良くなって、よく分からないうちに駅員さんが重要人物になっていて、よく分からないうちに香里と名雪が登場して、よく分からないうちに物語が終わっていた、という印象です。いえ、ストーリー自体はよく分かるんですけれどね。

32 空回りのサーカス (採点:8)
序盤から中盤がものすごく期待を抱かせる展開になっていただけに、ラストはもっと突き抜けてほしかった、と望んでしまいます(いえ、オチは充分に決まっていたと思いますが)。「良い人」な北川がただひたすらに男前で、惚れました。他に細かい点を挙げると、「新五千円札」が若干残念だったとか、タイトルを「そらまわり」と読んでしまった自分が残念だったとか、ついでに「年齢不詳な未亡人」を選択肢に入れてくれなかった祐一が残念だったとか。

33 心のかけら、幸せの太陽 (採点:3)
最近はこの手の初々しいKanon SSをすっかり見掛けなくなっていたということもあり、読んでいて懐かしい気分に浸れました。ありがとうございます。でも、ごめんなさい。これまでにSSを読みすぎて擦れてしまった私は、どうやらこういう作品を素直に楽しむことができなくなってしまっていたようです。

34 かえるところ (採点:9)
淡々とした優しさが印象的な作品でした。一年以上ぶりの実家を「帰る場所じゃない」と思う一方で温かな落ち着きを覚えてもいる祐一に、「良い家族を持ったね」と声を掛けてあげたい気分です。ただ、ヘッドフォンをして自転車を運転するのだけはいただけません(点数には加味していませんが)。いえ、創作の中ですから殺人するな泥棒するな喫煙するなというわけじゃないんですが、「ヘッドフォンをして自転車」に関してはそもそもそれが悪いことなのだと知らない人がたまにいるので、間違った認識を広めてしまわないかとどうしても気になってしまうんですよねぇ。

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