○Metasphere さん
- 02 追跡者 (採点:4)
- 突っ込みのかけあいは面白かったのですが、後半に行くにつれ
失速していった感もありました。
オチもべたならべたなりに、一つ二つは伏線くらい貼ったほうが、
唐突感が少なくてすむかと。
- 04 いっしょに。 (採点:7)
- かわいい澪でした。
こういうかわいさが書けるのはとてもうらやましい事です。
- 05 また明日 (採点:6)
- 柔らかくて、とろけそうなお話でした。
不安だけれど幸せな日々、良い後日談ですね。
ただ、甘い一辺倒で続くので、読んでて照れくさ過ぎて逆に
辛かったというか。もう少しその辺に緩急があったほうが、
良かったかもしれません。
- 06 It's possible to think of you. (採点:3)
- 後半はそうでもないのですが前半、文章がかなり荒かったです。
私は海外ものの作品をよく読んでいるから悪文読みも割と平気で
できるのですが、それでも辛かったです。
内容については氷上登場の前に、絆や浩平の存在を疑わせるような
エピソードが欲しかった気がします。疑念と対比させてこそ、氷上
の登場と一連の会話は、光ってくると思うのです。
- 08 deracine[デラシネ]: エンドロールの後で故郷喪失者の瞳に映るもの。 (採点:9)
- 良い話でした。
ふわふわしてて心地良いです。
詩子さんのキャラが非常に魅力的でした。
物語の流れも綺麗で、よく練りこまれてるなと感心しました。
9に限りなく10に近いです。
僅かながら引っ掛かったのは、文章や比喩で明らかに
他から取ってきた風なのが、かなり露骨に見受けられた
からです。
- 09 生徒 A (採点:3)
- 何度か読み直したのですけれど、
終りのほうの展開がどういう意味か分かりませんでした。
前半の会話の、雰囲気は割と良かったです。
- 12 子供ノ世界ノ速度 (採点:6)
- 尺は短いのですが、密度はなかなかに濃く感じました。
会話のテンポも良いし、少し苦めのラストも好みです。
- 13 憧れの あの女の子は もういない (採点:1)
- いや、ネタ自体は悪くはないと思うのですが、
流石に膨らまし方が足りなさ過ぎる印象を受けました。
- 16 淡い心だって言ってたよ (採点:6)
- 何かが駄目になってしまう直前の空気が、上手く表現できてます。
心地よいような気だるいような。割と好きな雰囲気でした。
- 17 重ねた手と手の中に (採点:9)
- 私は、澪とみさきの関係ってここまで近くなることはないと
思っているのですが、それでもこの近しさ、親しさは読んでいて
気持ちよかったです。
これだけ丁寧に心情を積み重ねる話が書けるのは、素敵だと思います。
- 18 玉手箱 (採点:3)
- 19 澪の演劇部ブログな日々 (採点:7)
- ジャンルのなぎさって何だったのでしょうか……みさきの書き間違い?
まあそれはさておき。
言葉を喋ることのできない澪が、インターネットを使って情報を
発信するというアイデアはなかなか面白かったです。文体にも
生真面目で可愛い感じがよく出ててたと思います。
あと『風の十二方位』からの引用って、なかなかに渋いですね。
『オメラスから歩み去る人々』は私も本書の中で、最も強い印象
を受けた作品の一つでして、澪の感じた点は私も同じように感じ
ながら読んだ記憶があります。
- 21 シイナロケッツ・ネコゼスタイル (採点:10)
- 汚名は挽回したら拙いかもしれません。
まあ、それは些細なことですね。
二人称という難しい形式を貫く文章技巧能力の高さ、
繭の強さと不安と優しさを心揺さぶる物語に仕上げた構成能力の高さ、
加えていうなら題名のネーミングセンスと、
どれを取っても文句のつけようがありません。
良い話を読ませてもらってありがとう。
その気持ちで一杯です。
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