マウスを作るのに、いったいどのくらいの時間が必要なのだろうか。
「今日も私よりマウスを選んだわね」
家族批判にもめげず驀進する我がマウス 人生
世界一になるまでの日々を真実のままに記録してみることにした。
2002年 10月
2002年10月9日(水) ■Metallic Fighter 久しぶりにMetallic Fighterと1週間ばかり戯れた。歩行パターンを修正、北京原人のような歩きになった。歩行速度もかなり向上したが、まだまっすぐには歩けていない。まあいいか… ■MIKE2002SP 斉藤製作所さんに頼んだホイールが納品された。これとOpeenGarageさんに頼んだシリコン型を組み合わせてタイヤを作る。従来のタイヤと比較しながら今年のタイヤを決定する。東北大会には間に合わないかなー |
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2002年10月11日(金) ■戦闘モード ようやくモチベーションが回復。日曜日はマイクロマウス東北大会だ。現状のベストな状態を作り出す。家をでるまであと18時間。自分自身もベストを尽くす。MetallicFighterは出撃準備完了。 |
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2002年10月12日(土) ■ロボコンマガジン 今月号のロボコンマガジンの表紙はMetallic Fighterである。これで私のロボットが表紙を飾ったのは2回目。うれしい限りである。 ■ポーズ 人は写真に写るときは、無意識のうちに写真写りのよいポーズを撮る。ロボットも同じである。かっこよく見えるポーズと間抜けに写るポーズがある。今回の表紙は下から見上げたポーズになっている。こんな角度想定していない。新鮮さがありなかなかいい。 おっー!!。なんということだ、直前になって作った電池ホルダーが丸見えである。しかも、ケガキ用のシールがはがされていない。これじゃまるで.…みたいである。絶句。 ■予告 ロボコンマガジンの来月号の予告を見ると「優勝ロボットを解剖しよう!第2回ROBO-ONE Metallic Fighter」となっている。私も見たい…。原稿締め切りは確か11月13日水曜日。マイクロマウス全国大会が11月10日。どーする。どーしよう。 ■東北地区大会 今日は東京13時発の新幹線で山形に行く。会場到着は17時の予定である。遠い。ぎりぎりまで調整を行っているが、そんなに簡単にいくほどマウスは甘くない。むしろ東日本のときより調子が落ちている。まあ、いつものことだ。 井藤くんも参加する予定なので、賞品のお米を持って帰るのは難しいかもしれない。井谷さんと酒でも飲もう。能登谷さんはお酒は無理かなー。話のネタにMetallic Fighterも同伴させよう。Metallic Fighterはどうやら酒乱らしく、時々発狂して大ジョッキをなぎ倒す。みなさんご注意を… |
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2002年10月13日(日) ■東北地区大会 結果は2位。また井藤くんに負けてしまった。タイム差は0.08秒。東日本でのタイム差が0.6秒。もう一息。 ■一喝 競技が終わって一息ついてると、井谷さんから一喝。「そんなタイムでは外国勢に勝てない。もっと気合をいれるように…」。そのとおりである。今年の井谷さんは新作を作って気合がはいっている。もちろん全国大会にも出場する。ちなみに東北大会の記録は 参考記録:7秒7(井谷さん) 未公認記録(7秒3) 優勝タイム:8秒4(井藤くん) であった。恐るべし。 ■ちなみに 前日の試走会の時に今年の東日本大会の迷路を作って井谷さんにチャレンジしてもらった。記録は6秒9 井谷さん曰く「迷路が間違ってるんじゃないの」。余裕である。 ■井谷教室 井谷さんのマイクロマウス教室は圧巻だった。その場で新作マウスをバラバラにして講義を行った。すばらしい。見せてもらっても真似できないのが悔しい。中部大会での再会を誓いあい東北大会の幕を閉じた。中部大会まであと2週間。死ぬ気でやる。 |
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2002年10月14日(月) ■餃子 4回目の挑戦。今回は具の野菜をいためないで、生のまま肉と混ぜてみることにした。今までは肉以外の具をフライパンで炒めしっかりと味付けをし、冷ましてから下味を付けた肉と混ぜ餃子の皮で包んでいた。工数削減である。 ■まずい はっきり言おう。「まずい」。ニラの苦味が餃子を支配している。まいった…。家族の箸がすすまない。ニラの量は今までと同じである。どーして… ■推察 ニラの苦味が残った理由はただひとつ。前回までは炒めていたためニラの苦味が少なくなっていたに違いない。次に作るときは、ニラの量を減らすか、従来どおり炒めるかである。さあ、どうしょう… ■おいしかったり、まずかったり… まるでマウスの調整と同じである。どうやら私の思考回路はすこし発振気味なようである。微分ゲインを少し上げようかなー。思考の微分成分を増加させるにはビールが効くらしい。さあ、一休みするかー。 |
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2002年10月15日(火) ■シートメタル加工メーカ RoboOneの世界ではシートメタルといえばイトーレイネツさんが有名だが、他にも個人レベルでシートメタルを加工して頂けるメーカがある。例えば、角井製作所さんなどである。個人でロボットを作っている者にとって重宝する。うまく利用させて頂くと自分の工作範囲を広げることができる。自分の夢に近づくための重要な手法のひとつとして憶えておいて損はないであろう。 |
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2002年10月16日(水) ■作り直し 振動ジャイロを搭載するために、マウスを作り直している。今頃… スピードを1割アップさせるためにはソフトの修正だけでは不可能と判断した。 1台は昇圧回路あり、もう1台は昇圧回路なしの構成にする。タイヤは6mm、8mm、10mmでベストなものをチョイスする。タイヤのゴムはシリコンでいく。昨年の悪夢がよみがえるが、使いこなす。今年はシリコンタイヤに全てをかける。 |
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2002年10月19日(土) ■振動ジャイロ なかなか面白いが、使いこなすのには時間がかかりそうだ。90度スラロームターンをステップ数ではなくジャイロの積分値だけで行うことができる。今までのの概念が破壊される。が、まだまだこの状態でスラローム探索すると不安定である。時々壁に激突する。原因不明。まだ、使いこなしていない。 ■直線姿勢制御 角速度がわかるのは、うれしい。直線の姿勢制御をきれいにPD制御できる。まだ、最適ではないが直線をまっすぐ走るのは気持ちがいい ■スラローム旋回 ジャイロのおかげで、今まで疑問に思っていたことが解決した。旋回するためにモータの回転数を変えたときに本当にマウスが旋回動作にはいっているかである。 指示と実動作はずれていた。結論である。 旋回を指示してもしばらくジャイロの出力は0、すなわち直線運動をしている。その後徐々に角速度が増し一定値になる。逆に旋回終了時は直進を指示してもしばらくジャイロの出力は0にならない。すなわち回転運動を続けている。 なるほど、スラローム旋回時のオフセットの原因がはっきりした。旋回時の加速度を見直す必要がありそうだ。 |
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2002年10月20日(日) ■悩み ジャイロセンサの導入で制御は安定するが、速度はかわらない。ジャイロの導入旋回進入速度をあげられるかと思ったが、ステッピングモータ無理な制御は脱調を誘発するだけである。一割スピードアップ。いばらの道である。 ■ウレタンゴム 水曜日に作り始めたウレタンゴムがようやく硬化した。なかなか固まらず心配していたが一安心。いままではシリコンタイヤばかり作っていたが、違う素材に挑戦。タイヤの径、幅はもちろん従来のものと同じである。 タイヤを見ながら喜んでいると、かみさんが一言。 「今頃タイヤを作っているようじゃ、今年も駄目だね」 そのとおりである。 |
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2002年10月27日(日) ■マイクロマウス中部地区大会 また2位であった。今年は勝てない。今年の成績は今のところ支部サーキット2位。東北地区大会2位。中部地区大会2位である。もしやと思い探索のみで終わった東日本地区大会の成績をみる。12位である。うーーん 残すは11月10日(日)の全国大会のみ。やれることは限られてきたが、最後まであきらめない。ベストを尽くす。 |
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2002年10月28日(月) ■分析 勝つためには…。今回はじっくりと井谷さんの走りを観察でき、ビデオもばっちり撮った。同じ土俵で戦うと、実力の差を素直に比較することができる。選んだ最速コースはまったく同じであった。東北大会では選んだコースが違っていたため単純に比較できなかった。今回はまったく同じコースである。純粋にマウスの性能差がわかる。結果は私が8秒289 井谷さんが7秒577。全然駄目じゃん… 0.7秒以上の差。8秒に対して0.7秒差は絶望的な差である。 ■あきらめるわけにいかない 単純に考えても10%以上速くしなければならい。無茶なことだとわかっていても、あきらめるわけにいかない。全国大会まであとわずか、全力でいく。 ■エミュレーション さっそく、エミュレーション開始。仮想的に走らせてどのくらいの旋回速度、加速度、トップスピードが出れば勝てるかを推測する。組み合わせは膨大だが計測するしかない。 ■作り直し 6mm幅のタイヤを作り直している。アルコールが入った状態で型を外したら、つまらないミスをしてしまった。急遽作り直し。硬化するのに2日かかる。予定変更。 「またタイヤ作ってるのー。今頃・・・」「それ以上言うなって」 ■日記 久しぶりに自分の日記を読み返して見る。毎年同じことをやっている。去年も直前にマウスを作り直して、毎日タイヤを作っている。このままじゃ去年の繰り返し。 ■全国大会 全国大会成績は、 第4回大会:予選落ち 第5回大会:リタイア 第16回大会:10位 第17回大会:7位 第18回大会:16位 第19回大会:13位 第20回大会:9位 第21回大会:11位 第22回大会:10位 といいとこなしである。全国大会の壁は厚い。今年こそは… |
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2002年10月29日(火) ■エミュレーション終了 目標パラメータを決めるためのエミュレーションがようやく終了。今日はもう終わりにする。明日はいろいろなパラメータの組み合わせで実際に走ってみて、今後の方針を修正する。 ■タイヤ作り さあ、今日も頑張るぞ。起きるやいなやタイヤ作り。昨日から作り始めたタイヤにシリコーンを最後のひと塗り。後は硬化を待つだけ。気温が下がってきているので硬化に時間がかかる。明日の朝、型から外し夜から実験走行の予定。 ■もう誰にもとめられない 完全にマウス馬鹿モード。基本ルールだけ守れば何をやってもいいと自己解禁。基本ルール:8時から19時までの11時間はマウスのことを一切考えない。1時から6時までの5時間は必ず寝る。残り8時間は好きにしていい。朝の2時間、夜の6時間の使い分けが今後を左右する。 ■理論目標 目標となる加速度、旋回速度、最高速度は決まった。当然そんなパラメータで走ることはできない。まずは、走れない原因を解明する。 ■振動ジャイロ 振動ジャイロはマウスの走行を助ける有効なセンサだ。このセンサは違う側面からアプローチするともうひとつの顔を覗かせる。測定器として顔だ。振動ジャイロによる姿勢制御をやめると、マウスの挙動を測定するセンサへと変身する。センサ値をメモリに記録しておきエクセルで解析すると、いろいろなことがわかる。さっそく、走らない原因を究明しよう。 |
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2002年10月30日(水) ■もう朝か… 仮眠のつもりが熟睡、起きたら朝だった。11時間睡眠。気分爽快。今日は有給休暇。24時間マウスに挑戦。 ■測定 今日の予定1:旋回スピードを変えた時のマウスの挙動をジャイロデータで確かめる。 今日の予定2:幅6mmのタイヤの走行性能を測定する。 ■タイヤ 学生大会までのタイヤを決定。それと同時にタイヤ製作ツールを封印。今年はもう新しいタイヤを作らない。今日決定したタイヤでタイヤ以外のところをチューンする。学生大会後、もう一度今までに作ったタイヤからベストなものをチョイスする。 ■ジャイロ 高速にターンした場合、私のマウスはオーバーステアする。重量物(電池)を後ろに搭載しているせい(テールスライド)だと思っていた。思っている。?(微妙なところ) ジャイロで挙動を測定してみると… なるほど… ■オーバーステア オーバーステアすることは一概に悪いことだとは思っていない。見方を変えれば「素早く方向を変えようしている」ということである。この運動を積極的に利用すれば、新たなる世界が広がるかもしれない。 ■2輪マウス 全重量を動輪にのせる2輪マウスは理想形だと思っている。井谷さんの6輪マウスの圧倒的な強さを目の当たりにすると、その心も揺らぐが、今は自分の信念を信じる。 |
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2002年10月31日(木) ■24時間マウス 2時15分。あと3時間ちょっとで24時間マウス。馬鹿な考えはやめてもう寝ることにする。中部大会より0.1秒早くなった。たぶん…。 明日(今日か…)このパラメータでいろいろなパターンを走り、問題がないか確認する。久しぶりに気持ちよく眠れる。 |