「それでは、行ってきますね」
「さ、小都子さん。そないな大荷物、大変とちゃいますの」
お手伝いさんが慌てて駆け寄ってくる。
つかさ達と分担したとはいえ、九人分のお弁当と食器に加えて魔法瓶が二本。
何なら車を出して……と言われかけるのを、小都子は笑顔で止めた。
「大丈夫ですよ。手伝ってくれる人が来てくれますから」
「あれま、荷物持ってくれる彼氏でもいてはりますの?」
「ええと、まあそんな感じというか……」
「小都子、お待たせ!」
小都子が普段使う登校路を逆走し、立火が自転車で到着した。
お手伝いさんの姿を見て挨拶する。
「おはようございます。自転車置かせてもらってええですか?」
「はい、そのへんに置いといてや。これはまた、えらいイケメンな彼氏さんやねえ」
「ん? 私と小都子ってそういうことになってるの?」
「あわわ、き、気にしないでください! えっと、これが今日の荷物でして」
「頑張って作ってくれたんやな。いつもいつも、ほんまにありがとう」
照れている小都子の前で、立火は重い方の荷物を持って駅へ歩き出した。
空は晴れ、十一月下旬とは思えぬ暖かさ。
何の戦いもない、純粋な休日がこれから始まるのだ。
* * *
大阪と神戸の間には、JR、阪神、阪急の三つの路線が走っている。
晴の指示で全員が集まったのは、阪急の梅田駅だった。
つかさの荷物は夕理が協力して運んできた。
「みんなの心がけのおかげでいい天気や! 明日のことはいったん忘れて、今日は楽しむで!」
『はーい!』
立火の声に元気な部員たちの中で、晴だけがじろりとにらむ。
「MCのネタ探しだったはずですが」
「も、もちろんそれもあるで。神戸を知り、大阪を知れば百戦危うからず!
で、晴はどこへ連れてってくれるんや?」
「着いてのお楽しみということで」
お喋りしながら特急と鈍行を乗り継ぎ三十分。
もうすぐ
「王子公園駅? 公園に行くんですか?」
駅名標に首をかしげる花歩に、目的地を察した姫水が晴れやかに笑う。
「公園ではないけど、とても素敵なところよ」
「へー、それは楽しみ……って目の前でネタばれされてるやん!」
『→ 神戸市立王子動物園』と大きく案内板が出ていた。
駅のコインロッカーに荷物を放り込みながら、三年生たちはのんびりと言う。
「へえ、こんなとこに動物園あったんや。来るの初めてやで」
「動物が見たいなら、天王寺で十分やもんなー」
「え、お二人とも本気ですか?」
信じられない、という姫水の声に、事情を知らない数名は怪訝な目を向ける。
勇魚が遠慮せず幼なじみに聞いた。
「姫ちゃん、ここって特別な動物園なん?」
「すぐに分かるわよ。まあ、私も初めてなんだけどね」
病気が治ったら行こうと思って、あちこちの動物園をネットで調べていた中の一つだ。
治らないままに来ることになったが、皆と一緒なら少しは現実感もあるはずだ。
そして信号を渡って歩くこと数分……
「パンダ……やと……!?」
ゲートの上に鎮座する看板は、見間違えようもなく白と黒の獣。
おののいている部長の傍らで、晴が部員たちへ端的に尋ねる。
「知ってた人」
はい、と手を上げたのは小都子、姫水、つかさの三人だけ。
アホの方に入れられた気がして、夕理は必死に弁解した。
「し、白浜にいるのは知ってたんですが!」
「なんやもう、早よ教えてや! 神戸の人は宣伝が足りてへんで!」
無知を棚に上げた桜夜を先頭に、園内へと突入する。
宣伝が足りてないのかは分からないが、大阪の天王寺動物園に比べるとあまり混んでない。
とはいえ見る側としては好都合で、九人一丸となってパンダ舎に向かう。
「うわー、ほんまにパンダやー! パンダパンダー!」
「やめて恥ずかしい! 子供が見てるやろ!」
夕理に怒られる勇魚の向こうに、ずんぐりした動物は確かにいた。
ガラスに張り付くWestaの前で、タイヤに座ってぼーっとしている。
すぐ子供たちに前列を譲ったものの、上野のように行列に急かされることもなく、一段高い後ろからいくらでも眺められた。
「うわー、可愛いなー」
「あんな風に生きられたらええねえ」
花歩と小都子がうっとりしていると、飼育員からエサの時間ですとの声があった。
いいタイミングで来たなあ、と喜ぶ一同の前で、パンダは一度奥の部屋に入って扉が閉められる。
代わって出てきた飼育員が笹やニンジン、たけのこを床に配置。
再び入れ替わりで出てきたパンダは、さっそくニンジンをかじり始めた。
むしゃり、むしゃり。
ニンジンの後は笹。太く黒い腕で大きな枝を掴み、歯をむき出して笹の葉を咀嚼していく。
「なんか……こうして見ると、やっぱり熊の仲間やなあ」
つかさが漏らした感想に、姫水が嬉々としてうんちくを披露してきた。
「あんなに可愛くても猛獣なのよ。中国では人を襲ったこともあるんだから」
「へ、へぇー」
「あっ……」
「ちょっ、『しまった彩谷だった』みたいな顔しなくてもええやろ! 今日くらいは!」
「そ、そうよね。ごめんなさい」
ギクシャクする二人に困り笑いを浮かべながら、皆で食事を終えるまで眺め続ける。
名残惜しいが、ここだけで休日を費やすわけにもいかない。
パンダ舎を出たところで、花歩は優秀な案内人に尊敬の目を向けた。
「晴先輩、さすが盛り上げ上手ですね!」
「ちなみにコアラも四匹いる」
「ええ!?」
「パンダとコアラが両方いる動物園……やと……」
戦慄が立火を襲う。神戸にそこまでの力があったとは……。
「……天王寺は何匹やったっけ?」
「一匹です。しかもエサ代が高いので、今後一切補充はしないそうです」
「明日のトークバトルでは、動物園の話はしない方が良さそうやな……」
「向こうから持ち出すかもしれませんけどね」
さっそくコアラ舎へ行くと、端の方にあるからか人は多くない。
ホンマにもったいない動物園や……と思いつつ、ありがたく好きなだけ鑑賞する。
「後ろ向きやと何や分からへんわ。こっち向いて!」
「桜夜先輩、こっちの子は横向いてます!」
「おっ、どれどれ」
勇魚に呼ばれて三つ隣のケージへ行くと、確かに横向きで木に腰掛けていた。
全く動かないので立火はすぐ飽きてしまったが、他のメンバーはきゃいきゃい言いながら、ぬいぐるみのような姿を眺め続ける。
「いやー、可愛いなー」
「花歩、作詞担当ならもう少し語彙はないの」
「えっ、そのー、オーストラリアの偉大な大自然が今ここに……
って夕理ちゃん! こんな日くらい休ませて!」
「冗談やって」
楽しそうにくすくす笑う夕理を、コアラと同じくらい可愛いと思う花歩と小都子だった。
園内に一軒ある異人館を見学した後は、ぶらぶらと動物たちを眺めていく。
「やっぱり大阪人なら虎やろ……あれ、虎は?」
「今年の七月に亡くなりました。今日はあれで代わりにしてください」
晴が指し示した先では、アムールヒョウが伸びをしている。
「まあ似たようなもんやな。誰か写真撮ってー」
「はい、お任せください」
姫水のスマホに、ヒョウの前でポーズを取る立火が納められた。
バッティングのポーズを見て、これでは阪神パンサーズになってしまうのでは……と余計な心配をしてしまう。
「私はクジャクや! ねー、ちょっと羽根広げてやー」
「動物に無理を言っては駄目ですよ」
結局羽根は閉じたまま、桜夜もパシャリ。
小都子は羊と一緒に。勇魚はペンギンと、花歩はキリンと。
夕理はウサギでつかさはカンガルー。
そして鶴の写真を撮りまくっている姫水の傍らで、勇魚は知的な先輩を見上げた。
「晴先輩は……フクロウって感じです!」
「無理に例えなくていい。さて、そろそろええ時間やな」
時計はもうすぐ正午。ずいぶん長居をしてしまった。
「桜夜ー、帰るでー」
「えー? 遊園地あるやん。メリーゴーランド乗りたーい」
「お弁当が待ってるでー」
「あ、急にお腹すいてきた」
簡単に乗せられた桜夜を連れて、一同は駅へと戻る。
神戸めぐり第一弾を成功に終えた晴は、続いて第二弾の行き先を伝えた。
「次は新神戸へ行きます」
「おっ、新幹線に乗って東へ行くの?」
「大阪に帰ってますやん!」
ツッコミ星人が反射的にツッコんでしまい、桜夜に笑われた。
「もう立火へのツッコミは花歩の役目なんやなあ。私はこれで引退や」
「い、いえ滅相もない。まだまだ桜夜先輩の域には達してません!」
「二人で何を競ってるんや……」
* * *
新神戸駅。
新幹線駅としては大阪っ子に用はないが、今日は地下鉄でやって来た。
晴が案内したのは、その駅のすぐ西だった。
「あれ、ロープウェイなんてあったっけ?」
立火が見上げた先で、ゴンドラが山の上へ運ばれていく。
「いやいや立火、こんな目立つもの気付かへんわけが……あったっけ?」
「この上が
「へええ、ハーブ! いかにも神戸って感じやな」
感心した桜夜が今回も先頭に、意気揚々と列に並ぶ。
しばらく待って乗り込んだゴンドラは、皆を乗せて空中へと飛び出した。
「うわーー!」
真っ赤とまではいかないものの、かなり紅葉した山が眼下に広がる。
感激した勇魚が振り返れば、ビルの建ち並ぶ向こうに神戸港。
本当に神戸というのは、海と山に挟まれた街なのだと実感する。
「わー! わー! すごいでー!」
「勇魚! ゴンドラ内で騒がない!」
「あ……えへへ、ごめーん夕ちゃん」
(来年はこれが風物詩になりそうやなあ)
笑っている花歩も、眼下を過ぎる布引の滝や五本松ダムの光景にはしゃぎたくなる。
自分も来年は、夕理に怒られないよう気をつけないと。
一同は途中駅である風の丘でいったん降りる。
ここまでで標高253メートル。
だいぶ小さくなった神戸の街並みを見つつ歩くと、山の中腹に芝生が広がっていた。
ピクニックには最適の場所だ。
(さあ、ここからが勝負やで!)
つかさが思わず、持ってきたランチボックスを抱きしめる。
食材費でお小遣いを使い果たし、今日遊びにくる金は姉に借りる羽目になったが、それだけの弁当はできたはずだ。
『彩谷さんがここまで料理上手だったなんて、私の完敗よ……。
かくなる上は、私のところへお嫁に来てもらうしかないわね』
(なーんてことがあったりして!)
「ごめんつかさちゃん、少しどけてもらえる?」
「はっはいっ、すみませんっ!」
慌てて飛び退いたところへ、小都子が微笑みながらレジャーシートを広げる。
靴を脱いだ九人が円形に座り、立火が挨拶でも……と考える前に、桜夜の切羽詰まった声が邪魔をした。
「早よ食べさせて! 飢え死にする!」
「ああ、もう1時なんやな。ほな四人とも、頼むで」
「はい、どうぞ~」
四人の料理人が、シートの上に食事を並べていく。
小都子は和食で、つかさが洋食。そしておにぎりは一人二個ずつの十八個。
高級食材なのを知ってる桜夜は、真っ先につかさの方へ箸を伸ばす……が、立火が止めた。
「まあ待つんや桜夜」
「なんや! 私の食欲は暴れ出しそうやで!」
「つかさはまず姫水に食べてもらいたいんやろ? そこは後輩に譲るとこやで」
「ちょっ、ななな何言うてるんですか部長さん!」
「あー、そういうこと……なら小都子のをもーらいっ!」
「どうぞどうぞ」
ごぼうの肉巻きを口に運んだ桜夜が感涙にむせぶ。
他のメンバーも和食とおにぎりを紙の皿に取りつつ、一人の少女に期待の目を向けた。
向けられた姫水は、小さく溜息をついて箸を取る。
「それなら、まあ……いただくわね」
「し、正直に言うてええからな! アンタに気を遣われるなんて御免や!」
「……分かってるってば」
内心少し困りながら、箱から取り上げたのは魚料理だった。
上品に口に運んで、丁寧に咀嚼する。
(タラのムニエル……)
(すごく手が込んでて、頑張って作ったのが分かるわ……頭では)
(きっと、おいしいんだろうな……)
表情が変わらず、むしろわずかに申し訳なさそうに見える姫水に、つかさの顔は曇っていく。
使った手間と費用と気合いを思い、涙までこぼれそうになる。
「お、おいしくなかった……?」
「違うの、そういうわけではなくて……」
「べっ……別に、嘘ついてまで食べてほしくないで!」
楽しいはずのランチが、いきなり面倒なことになってきた。
食べるのに夢中な桜夜を除き、立火、小都子、花歩が怪訝な顔をする。
(あれ……)
(姫水ちゃん、つかさちゃんにも休業理由話したんとちゃうかったん?)
(味に対しても現実感がないって、伝わってないみたいやけど……)
そして詰問の目を向ける晴に、勇魚は困ったように縮こまる。
(やっぱり伝わってへん。姫ちゃん、ちゃんと病気って言わないから!)
(うう……二人とも可哀想やし、うちが教えたいとこやけど……)
でも何も聞いていない夕理がいる以上、勝手に明かすわけにもいかない。
その夕理がわけも分からずいる前で、姫水の方から動いた。
つかさが泣き出す前に、三角形のおにぎりを差し出した。
「これ、食べて」
「え?」
「私が作ったの。昆布、嫌い?」
「いや普通やけど……なら、うん」
涙がにじんだまま、姫水の綺麗な手が握った食事をドキドキしつつ食べる。
一口味わっただけで、衝撃がつかさの脳に走った。
(何やこれ、めっちゃおいしい!)
(ただのおにぎりやのに……)
(やっぱり、好きな人の手作りだからやろか……)
「どう?」
「あー……え、えっと」
おいしい! 一生食べたい! と言いたいが言えるわけがない。
大体こっちの料理は誉めてくれないくせに……と思うと何だか腹が立ってきた。
「ま、まあまあやな! これくらいどうってことないで!」
「そう。私も同じ気持ちよ」
「え……」
分かりにくい言葉だが、器用な頭はすぐに理解できた。
(そっか。『おいしいけど、ライバルである以上は認められない』ってことやな)
(そっかそっかー、うんうん!)
明るくなっていくつかさの顔に、部員たちは、特に姫水は安堵の息をつく。
『認められない』ことの理由は、つかさが想像するものとは違うけど。
また面倒を引き起こしていたことに気付き、つかさは照れ笑いで料理を勧めた。
「ど、どうもお騒がせしましたー。さ、食べて食べて。桜夜先輩も」
「おおー、遠慮なくいただくで。私は魚より肉派!」
牛ホホ肉の赤ワイン煮込みをぱくりとした途端、桜夜の感激の叫びが広場に響く。
「おーいーしーいー! つかさ、料理上手やなあ!」
「い、いやあ、今回だけっすよ」
そうして食事を進めながら、つかさも姫水も内心で思う。
この先輩みたいに、相手の料理を素直に誉められる日は来るのだろうかと。
(つかさの手料理……)
夕理もしみじみと味わいながら、のどかなランチは続く。
お昼を一緒に食べること自体は、土曜の部活でよくあるけれど。
青空の下、紅葉や神戸の街を見ながら食べるのは格別だった。
それに今日は晴もいる。黙々と食べているが……。
「晴先輩、うちのおにぎりどうですか!」
「普通や。特筆すべき点はない」
「はいっ! まずくないなら良かったです!」
「まあ、作ってくれたことに感謝はしている」
「いえいえ! なんなら毎日作ってきます!」
「それはいらない」
そして黄色い食べ物を口に入れた立火が、改めて感心したように言った。
「いつも思うけど、小都子の卵焼きってほんまに美味やなあ」
「ふふ、ありがとうございます。いっぱい食べてくださいね」
お昼のおかず交換で何度も頂いてきたこれも、じき食べられなくなると思うと寂しい。
同じように花歩も味わって食しながら、自分が作ったものとの差に少し落ち込む。
「何か特別なことしてはるんですか?」
「特にしてへんけどねえ。今度、一緒に作ってみる?」
「ぜひお願いします!」
「わ、私も教えていただきたいです」「うちもうちも!」
夕理と勇魚も勢い込んで頼み込む。
つかさはプライドが邪魔して素直に頼めず、代わりに桜夜の腕をつっついた。
「桜夜先輩も教わったらどうです? 来年は自炊でしょ」
「はー? 私に料理なんてできるわけないやろ。
つかさもそろそろ付き合い長いんやから、私がどういう奴か分からなあかんで」
「うわ、すごい開き直り」
「桜夜先輩、本当に大丈夫ですか? 来年、生活できますか?」
割と本気で心配そうな姫水に、桜夜は言葉に詰まってから、相方にヘラヘラ笑いを向ける。
「ほ、ほら、困った時はたぶん立火が助けてくれるから」
「何でや厚かましい! お前もう十八歳やろ!」
「も~冷たいな~。一生私のために味噌汁作ってや~」
「自分で作れ!」
(あ、あはは、桜夜先輩冗談きついなあ)
引きつり笑いを浮かべる花歩は、つかさのサラダを取ると同時に危惧を覚えた。
(まだ結構残ってるけど、食べ切れるやろか?)
しばらくすると、案の定というか皆の箸の速度も鈍ってきた。
冷静に料理の減り様を見ていた小都子が、ここまでと決断する。
「みんなそろそろ満腹みたいやね。私のは日持ちするから、つかさちゃんのを片づけようね」
「す、すいません。あたし調子に乗って作りすぎて」
「九人分となると調整も難しいからね。つかさちゃん、ほんまにおいしかったで」
自分の弁当箱に蓋をする小都子に、立火が慌てて手を伸ばす。
「私はまだ入るで! せっかくの小都子の手作りを残すなんて!」
「立火先輩。この世で最もアホなことは、食べ過ぎの苦しみやと思います。
幸せなはずの食事で逆に苦しむなんて、いくら食い倒れの大阪でもあかんことです」
この件には強い信念があるらしく、小都子の真剣な目に立火も何も言えない。
そして後先考えず食いまくっていた桜夜は、アホな苦しみに片足を突っ込みつつも必死に訴える。
「待って! デザートは!?」
「パウンドケーキを焼きましたけど、これは来週の部活で食べましょうね」
「そんなー……うっぷ」
「あ、あの、すいません。あたしフルーツポンチも作ってきちゃって……」
「それは早めに食べた方がええね。みんな、あと少し入る?」
『いけまーす!』
胃に余裕を残していた小都子のおかげで、フルーツポンチも綺麗に片付いた。
無事に幸せなままで終わった食事に、一緒にシートを畳みながら、つかさは改めて先輩を見直すのだった。
(あたしも気遣いできるつもりやったけど、小都子先輩を見習わないとなあ……)