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魁!! きらめき校
第4話 「決戦の舞台!」
優美を失った悲しみを乗り越え、命を賭けた死闘は続く。暗黒舞踏の如月未緒に対するは古式ゆかり。
「古式不動産流、極道打墓数羅!」
「ぐわぁぁぁ〜〜〜っ!」
「これにて貴殿の大往生間違いなし!!」
仇とばかりに炸裂するゆかりの秘奥義。これで運動部の2勝1分け、しかし文化部もただでは終わらず、起死回生を期した結奈のアンドロイド部隊に運動部は苦戦を強いられる。一進一退の激しい攻防。長い闘いの間にときメモの続編も次々発売され、シリーズ第40万作では女の子の数は1万人を越えた。
「ならばここはこの再生朝日奈夕子が行くとするか!」「いやこの名無しのそばかす少女が行こう」「目つきの普通な殺人コアラが行き申す!」「それじゃ弱いじゃねぇか!」「ここはこの留さんが」「ほほほほほ!ここはこの神楽姫子が行かせてもらうわよ!」「だめだよそんなの!」「なんで神楽姫子がきらめき高校にいるんだ?」「この動物好き美樹原愛も久々に腹が減ってきたところだ!」「あぎゃぁーーっ!」「この鏡魅羅のミラー光線ひさびさに炸裂させるとするか!」「この実は伊集院の妹だった伊集院レイにおまかせを」「いやいや本当に伊集院本人だった伊集院レイの方が強いぞ!」「あーーっ戎谷がいきなりズボンのベルトをーーっ!」「げぇーーっ!」「しかし1万人以上もいるとちっとも決まらねえぜ」
激闘に激闘を重ねついに準決勝。一歩リードされていた運動部だが、文化部の助っ人イカゲル星人を恵が打ち破る。
「ば、馬鹿なーーっ!」
「フッフフ私の名は十一夜恵。人は私を地獄の占い師と呼びます」
こうして星は五分と五分。勝負は決勝戦に委ねられたのだった!
「長い闘いだったぜ…。だがようやくそれも終わる」
「ああ。終わったところで優美は帰ってこないがな…」
案内の早好人に従い、うっそうと繁る森の中、決勝の舞台の冥凰山頂上へと薮道を進む一行。しかしあの元気な後輩の姿を見ることはできない。一同不意にしんとなり、思わず沙希が声を上げる。
「ば、馬鹿野郎!何を湿っぽくなっとるんじゃい!」
「フッその通りだ。俺たちに後ろを振り返る暇はないはずだぜ」
「あ〜〜〜ん?」
なぜか頭上から来た返事に怪訝な顔をする望と沙希。先に誰かいるようだ。薮をかき分け頂上へ急ぐ。森が途切れ、急に開けた視界の中見たものは…
「お、おいこいつは夢か…」
逆光の中、見慣れた笑顔が出迎える。
「待ちくたびれたぜ先輩方!」
ババーン!
「ゆ、優美ーーーっ!」
「お、おまえ生きておったのかーーーっ!」
2回戦で激流に消えたはずの早乙女優美。一同信じられぬ面もちで駆け寄り手を握る。生身の手だ、幽霊ではない。
「確かに俺はあの時世界征服鹵簿とともに水に飲まれたはずだった…。だがそこにいる早好人に助けられ、秘薬によって一命を取り留めたのだ」
「そ、そうだったのか…」
「ワッハッハ、もてなさそうな顔のわりにやりおるのう!」
バシバシ、と望に背中を叩かれ渋い顔の早好人。頭にかぶったラーメンのドンブリを振って頂上を指さした。
「その程度で喜んでいる余裕はあるまい。まだ戦いは終わってはおらぬ」
「こ、これが最後の闘場か…」
冥凰山の火口、ぐつぐつと煮えたぎる溶岩の中に島があり闘場となっている。灼熱の舞台は見ているだけで熱くなりそうだ。
「み、見ろ!文化部の連中はすでにあそこに!」
火口の反対側にずらりと並ぶ文化部の面々。如月未緒に紐緒結奈、世界征服鹵簿も復活している。
「いよいよ本気で最後の戦いってワケだな…」
「待ってくれ先輩方。先に言っておかねばならないことがある」
「あ〜〜〜ん?」
「実はその早好人は俺の生き別れの兄」
「な、なにーーーっ!」
驚く皆に素知らぬ顔の早好人。優美はそのまま言葉を続ける。
「奴に助けられた俺はこの大会の黒幕の事も聞かされた。そう、あの女こそこの戦いのすべてを仕組んだ人物…」
「おっと続きはわしに勝ってからにしてもらおうか!」
不意に何者かの声が優美を遮る。声は闘場からのものだった。思わず目をやった一同が見たものは…
「み、見ろーーっ!いつの間にか闘場に人がーーっ!」
「お、おい。まさかあの野郎は…」
闘場でキャンバスに絵を描いていた人物がすっくと立ち上がる。
「わしがきらめき高校美術部、片桐彩子である!!」
次号、永かった闘いについに決着…?
「さらば友よ!きら校よ!」の巻だ!
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