○K さん
- 0001 虹の架け橋 (採点:2)
- 将来の夢、あゆとの関係、その辺を書こうとしているのは分かるのですが、そのどちらについても中途半端な気がします。そのせいで『虹の架け橋』という主題までがブれてしまってました。どちらか一本に絞って、もう少し筋道の通った解決を示した方が深みのある話を作れたと思います。
このお話を通じて、作者が何を伝えたかったのか、さっぱり分からないのです。端的に言えば、物語に魅力がない。これは、文章技術云々よりも更に致命的でしょう。もっと書き出す前に、事前に筋を練って、人に読ませることを念頭においた方が良いと思います。あと、文章にも所々、繋がりのよくない部分がありました。もう少し、出す前に見直しをして欲しかったです。
- 0002 ぜろぜろなゆちゃん〜凶悪兵器を破壊せよ!〜 (採点:1)
- ト書き形式ってのはシュールで嫌いじゃないですけど、
それに見合った勢いが全く感じられませんでした。
ギャグをここまで上滑りされたら、遺憾ながら最低点
をつけざるを得ません、ごめんなさい。
- 0003 皐月の陽光、うららかに。 (採点:4)
- 途中まではコンゲームぽくて凄く楽しみに読んでたのに、最後で全部が台無しです。失敗させる必然性があればそれでも構わなかったのですが、最後まで読む限りにおいて、それが見当たらなかったので、評価はかなり低くつけさせて頂きました。短編のNo.076に辛らつな点を付けたのと全く同じ理由で申し訳ないのですが、推理のないミステリも、信念のないコンゲームも、私は好きになれません。ラスト、香里の長口上で解決させてしまうべき展開ではなかったと思います。そのため、これまでに組み立ててきたお話が全て、無駄になってしまいました。
話の雰囲気や、キャラ同士の掛け合いはは面白かったです。
- 0004 届け、この想い (採点:4)
- お話的には悪くなかったのですが、全体的に文章でそれを埋めきれてなかったような気がします。真琴さんを追いかけている時の描写などは、もう少し欲しかったです。
- 0005 あの素晴らしい愛をもう一度……いや、マジで。お願い。俺んトコだけでもいーから! (採点:9)
- エアーさんかな? 違ったらごめんなさい。
好きですこういう作品。最近では、メフィスト賞上がりの舞城王太郎という似非推理作家が同じような作風で、書き散らしていたと思いますが。それらを読んでる私にとっちゃ、肌に馴染むようすーっと体に入ってくる展開でした。というか私ももっと、これくらい露骨にやっておくべきだったなと後悔してます、特にエロ。
祐一の己語りが非常にグルービーでした、活かしてます。最初はちょっと文章の荒さが目立ってましたが、後半に連れて展開も含め、研ぎ澄まされていく印象でした。ラストの、祐一が確信を得ていく海の場面は鳥肌がたったほどです。ああ、全てはここに至るために書かれたのだなと。
色々なマイナスをあげつらわれてしまうでしょう。上位に行ける作風ではないと思ってます。でも、私は大好きです。作品にも、これを書いた作者にもすげー、惚れました。短編のNo.034を書いた方と同じく、師匠と呼ばせて欲しい気分です。
- 0006 MIND YOUR STEP! (採点:7)
- 純情で弱気な北川君が良かったです、特に後半。
これくらい一直線走られると、私のような純情人間としては、
にやにやしてしまうしかありません。香里もらしい性格の中
で精一杯虚勢張ってるのが可愛かったですし。こういうカッ
プルは私、大好きです。
ただ、香里にとって北川が支えとなっていく、その過程の描写
がやや甘かったように思えます。二人の感情の衝突があと1ク
ッションほどあれば、より自然に思えたのでしょうが、本編だ
けを見ると、香里の心情の変化がやや唐突に見えました。
普段から北×香のジャンルをよく書いてるのでしょうね。
暗黙の了解による、心情描写の省略が出てしまったようです。
- 0007 華音霊異記 (採点:2)
- 描写は巧いのですけど、書きたい事が分かりません。
久瀬の行動を正当化したいのならば、別にKanonから
ここまで逸脱した設定を作らずとも、他に如何様と
やり方はあるはずです。必然性がさっぱりでした。
更には終わってないのが致命的です。
1作品で完結させるべきこんぺ作品で、続きもの作品
の第1章だけを出されても、困ります。
そんなのは御自分でサイト開いて、そこで公開して
下さい。
- 0008 残り灯 (採点:2)
- 大きい話があって、その前半部だけ読まされた気分です。
作者さんにとっては完結しているのかもしれませんが、
余りにも多くの問題がクリアになっていないと思います。
- 0009 やみつき (採点:5)
- ふにゃふにゃの甘甘で、読んでてほんわかとした気持ちになりました。
私はどす黒い恋愛しか書けないので、こういう素直なのを書けるのは、
羨ましいです。
ただ、演劇部分の描写が全体的に足りない気がしました。特に劇の
本番が描かれていないため、クライマックスが丸ごと省略されてる
感じがします。そここそ、書いておくべき部分なのに……だから、
凄く惜しいなって思いました。
- 0010 雪もよう、ところによりノスタルジィ (採点:9)
- ああ、もう本当、優しくて切に迫る話でした。
これは知っている人だろうなあ、冷蔵庫みかんだらけで
ごめんなさいと謝っておくべきか。ごめんなさい。
ともあれ。水瀬家の絆という、ともすればLong Termでも
収まりきらない物語をよくもまあ、中篇でここまでまとめ
きれたなと思いました。名雪の想い、真琴の想い、それ
ぞれがちょっとずつ大人になって歩んでいる様が、まざ
まざと浮かぶようでした。ああ、もう読んでてその描写
力の高さが羨ましいと、何度思ったことか。
1点だけマイナスしたのは、栞と真琴が同時に生存している
部分に対してです。あくまで原作準拠であろうという意志を
作品より感じたので、逆にそこを厳しく付けました。
原作準拠であるならば『何も失うことなしに何も得ることは
できない』(by アルフォンス=エルリック)という、Kanon世
界の設定も、守って欲しかったです。
- 0011 プレイアデス(Play-a-Death) (採点:7)
- どこか危うさを感じさせる登場人物が、薄氷を渡るような
心情の中で、それぞれの出来る中で答えを見つけていく、
その過程の描写が秀逸です。
ところどころ文章の荒い部分はあるものの、心の機微に
篤いシリアスの良作でした。
- 0012 思い出という名の道しるべ (採点:3)
- 悪くはないですけど、物足りないです。
あと、作者さんの中でキャラの心情描写が自己完結してしまって
て、全然届いてきませんでした。
- 0013 蛍火 (採点:7)
- ラストの物悲しさが、胸にずっしり来ました。
気持ちが通わなかったことへの後悔、記憶を
朽ちさせていかざるを得ない世界に対しての
悲しみ、それが一年という時を挟むことによ
り、強く伝わってきたと思います。
こういう、心にしっとりと留まるお話は好きです。
- 0014 キスで終わる物語 (採点:8)
- あー、もうふにゃふにゃな気分になりました。
初々しいカップル、非常にツボでした。もう、
始終終始にやにやしっ放しです。名雪は可愛い
し、香里は策士だし。正にラブコメ一直線という
感じでした。
ただ、同じ場面の反復によるだれが、所々に出て
ました。色々なシチュエーションを出して、少し
でも抑えようとしているのは分かるのですが、そ
れでも中盤で少しだれた気がします。
- 0015 らんじぇりーらす (採点:6)
- んー、幸せでほのぼのでまたりとできるお話でした。
ただ、もう少しお話はぎゅっと引き締めて欲しかった
かも。全体的に、だれが感じられます。
- 0016 sTrAwbErRy FiElDs fOreVeR (採点:6)
- 退廃的だなあ、ヤバ過ぎるですよ。
まあ、同じジャンルで参加してる人間の言える台詞じゃ
ないのですけど。
こういう雰囲気は嫌いじゃないのですが、如何せんラスト
が長過ぎて、冷めてしまいました。それまでに蓄えてきた
パワーを、結局どこにも放出しなかった、そんなことを感
じてしまいます。
- 0017 ホロニック・パス (採点:9)
- 劇的でした、色々な意味で。
秋子さんの職業から、己を乗り越えていく様まで。
ハッピィ・エンドに至るその過程まで、胸にぐっと
来る物語を綺麗に、淡々に紡がれていました。多分、
完成度だけなら中篇作品の中で、1、2を争うでし
ょう。
ただ、高い完成度であるが故に、いくつか気になった
部分がありました。秋子さんの書き込みがとても密で
あるのに対し、名雪の心理がやや感じ難かったこと、
基本的に医者は肉親の手術をしないというタブーにつ
いて、全く触れられていなかったこと、の二つです。
この二点だけは、この物語について間違いなく絶対、
触れられなければならなかった事象です。その点を
浅く流していることに対して、1点のマイナスをつ
けました。
完成度の高い感動的な作品であるが故、少し厳しく
採点させて頂きました。
- 0018 片翼の天使 (採点:6)
- 作品の示唆するところがちと掴みにくかったです。
それが作者の意図なのかは分かりませんが、二人
のあゆの相関はもう少し練ってから書くべきだと
思いました。二つの存在の連続性が分かり辛く、
ラストで物語を一気に散漫としています。
- 0019 12時の魔法 (採点:6)
- らぶですね、優しいらぶ。
優しい気持ちになれました。
- 0020 花火は空に、君は地上に (採点:5)
- 無難に綺麗にまとまってました。
- 0021 憂鬱な自殺者達の午後 (採点:7)
- うーみゅ、こんなに厳しい秋子さんは初めてみます。
とても、興味深い書き方をされる方だと思いました。
栞が助かった後って、皆がそれまでの病気など何も
なかったように……ってSSが多いですけど、この話
はそれを是とせず、新しい姉妹の関係が築かれるま
でを厳粛と描いた点で、新鮮にて好感が持てました。
- 0022 眠り姫に恋焦がれて (採点:7)
- 小さい時の北川君が可愛く健気で、しかもそれが、
現在ときっちし繋がっていて、唸らされました。
成程、こういう繋がりもありかなー、と。
凄く、きっちりとまとまった作品でした。そのため、
物語の爆発力が殆ど感じられないという難点もあり
ますが、安心して心の機微やお話を追えました。
- 0023 今と出会うために時計は時を刻む (採点:8)
- 不思議商店系ですね、アウターゾーン好きでした
ので、こういう作品は楽しんで読むことが出来ます。
時計、ひいては司る時というものに焦点をあてた、
温かいお話です。特にラスト、大きい美汐が小さい
美汐に「頑張ったね」と密かに激励する場面は、
作者さんの優しさも垣間見えたような気がしました。
- 0025 目くそ、鼻くそと共に散れ (採点:2)
- なんか、力込めすぎて繰り出したギャグが悉く滑り
まくった、みたいな印象を受けました。ギャグを書
くのは初めてでしょうか、慣れていないのが手に取
るように分かり、読んでるだけで辛かったです。
あと、内輪ネタ多過ぎ。一つくらいなら別に構わな
いと思うのだけど、そういうのを幾つも重ねている
と、正直ヒキます。
- 0026 ちょっとだけ大人になれるジャムの秘密 (採点:5)
- それぞれのお話は捻りが利いてて良かったのですけど、
全体としての統一感にかけるような気がしました。主
題、物語の軸をもう少し絞るべきだと感じます。
- 0027 雪の迷宮 (採点:1)
- 本編を劣化させただけのSSでした。
再構成するならもっと、文章とプロットをきちんと
練ってから、取り組んでください。
- 0028 炉辺に腰掛けて、 (採点:7)
- うーん、これは何か違う。文章はべらぼうに上手いし、
牽引力もあるのだけど、これをKanonのFan Fiction
として出した作者の気持ちがよく分からないです。
これはKanonじゃなくて、登場人物の名前だけを借りた
1次創作じゃないかなあ。気だるい雰囲気のする北川君
はとても好ましいのだけど。
原作に対するリスペクトが全く感じられない作品に、
これ以上の高い点は付けられません。
- 0029 アナタに贈る小夜曲 (採点:2)
- 一応、物語の体裁は整っているのですけど、
荒い文章のせいでつっかえたり、読み難かっ
たりという部分が目立ちました。
構成といい文章といい、もう少し、読み易く
作って欲しかったです。
- 0030 おくりもの (採点:7)
- 全体的に良いお話だったのですが、それだけに、
最初の【1】とその他の部分にあった強い違和
感が気になりました。
雰囲気の統一ということにもう少し気を遣えば、
もっと良い話になったのではと思います。
- 0031 沈黙のプロミス・ベル (採点:2)
- キャラの数が多いせいで、それぞれに裂くべき筆が
分散してしまっています。顔見せくらいなら、出さ
ない方がまだマシというもの。
何より、ヒロインのあゆに全然魅力が感じられませ
んでした。KanonのSSとしてこれは致命的だと思う
のです。これも分散の弊害なのでしょうが。
- 0032 metaphysical (採点:4)
- 語りたいことは分かるのだけど、突き詰めが足りない
ように思います。色々なことが中途半端にぼかされて
しまい、一つの完結したお話というには少し弱い気が
しました。
- 0033 めぐり、ひとひら。 (採点:5)
- うーん、これは不幸系のジャンルなのかな。
私にはそこまで悲愴には思えなかったのですが。
ともあれ、淡々とした描写はSSの雰囲気に合って
いたと思います。ただ、少し説明不足の感があり
ます。特に、記憶喪失になった祐一の葛藤が全然
伝わってこなかった、というのが気になりました。
- 0034 白の世界に天使はいない (採点:8)
- 白というイメージが、綺麗で切なくて悲しい。
そんなお話でした。
交わらない心がいやというほど丹念に書き込まれ
てて、読了した後思わず、溜息を吐いてしまいました。
- 0035 夏もよう (採点:7)
- 見せ方のとても上手いSSだと思いました。
過去の思い出と今を、蛍というキィワードで繋ぎ、
将来の希望をきちんと感じさせてくれるお話に
なっていました。淡々と、そしてしっとりとした
秋子さん視点の語りも、よくマッチしていたと
思います。
- 0036 さよならの嘘 (採点:7)
- 祐一と佐祐理には、こういう鋭い剣を突きあわせるような
恋愛がよく似合うなと再確認させられたお話です。
お互いの感情の定まりどころが二転三転していく様は、
最後まで緊張感をもって読むことができました。
- 0037 Perfect Boy (採点:5)
- なんか、刺々し過ぎて読むのに余るというのか。
読んでて苛々するというのは作者の意図通りな
のでしょう。ただ、それだったらラストはもう
少し徹底的に盛り上げて欲しかったです。
良い話でしたけど、全ての苛々を吹き飛ばすまで
には至っていませんでした。
- 0038 彼は友達 (採点:4)
- うーん、ラストの佐祐理さんがあっさりと納得しすぎ
のような気がします。彼女のどろどろとしたものを、
受け止めるに足る物語とするには少し、練り込み不足
だったように感じました。
- 0039 バレンタインの空模様 (採点:6)
- 本当に流行ってるのか知らないですけど、やってみると
面白いかもしれませんね。
しかし、一番不器用な女性が射止めるとはとは……って、
全員にお金借りてそうですね、この祐一の場合(笑
- 0040 sin (採点:6)
- 緩やかで、少しずつ己の心を認めていく香里と祐一の
様子が、きちんと書けていたと思います。
ただし、ところどころ、もう少し心情に厚みが欲しいなと
想った部分もありました。もう少し、平均的に心情の厚み
ある描写が続いていれば、もっと良いお話になったと思います。
- 0041 ミラクル☆パワーの使い方 (採点:6)
- とても良いノリでした。読んでて『ななか6/17』を、
って……以前、同じようなジャンルの作品に、同じ
感想をつけた記憶が……同一作者だったらごめんな
さいです。
それはともあれ、とてもノリの良いお話でした。戦隊
物ノリが同じようなパターンで続いていて、中盤少し
だれたのですけど、後半のシリアスから最後の落とし
どころは楽しんで読めましたです。
今回はこういう優しいノリの作品が少なかったので、
その意味でも楽しませてもらいました。
- 0042 手探りの旅人達 (採点:7)
- 佐祐理さんの心が少しずつ解きほぐされていく
様子が、丁寧に書かれていました。
その間に挟まれているお話もさることながら、
最初の場面と最後の場面で佐祐理の心情を、
上手く対比してる辺りが憎い演出だなと思い
ました。
- 0044 三月の空 (採点:7)
- や、こういうしっとりとした愛の形も良いですね。
秋子さんってあの性格だから、うだつのあがらな
い男性との相性はとてもよいだろうなと。
ふと、そんなことを思いました。
- 0045 応援できない大熱戦 (採点:5)
- アホですね、徹頭徹尾。
大食い大会のノリって好きなので(最も後期のフード
ファイタの汚らしい食い方は嫌でしたが)、とことん
まで突っ走る栞と名雪の暴走ぶりを楽しむことができ
ました。
ただ、もう少しパンチ力のある表現が欲しかったです。
- 0046 二人、幸せな日々を (採点:3)
- うーん、いまいち焦点のはっきりしないお話でした。
ラストのことを示唆する伏線が少ないというのもあり
ますし、構成自体にも甘いものを感じます。もう少し、
最後を演出するための練り込みが欲しかったです。
- 0047 gift for love (採点:7)
- オーソドックスな題材ですが、クリスマスという特別な日に奔走する祐一と舞は、読んでいるだけで楽しかったです。見守るべきと手を差し伸べるべきを弁えた舞の大人さや、締めるときは締める祐一の鷹揚さには、本編後の心地良い重みを感じました。二次創作とは斯くあるべきの見本のようなお話です。んー、こういう気持ちを忘れがちだった自分には余計に眩しく見えました。オリジナルのサンタコンビもそれぞれに味があり、面白いキャラを振り回して物語を盛り上げています。
ただ、性行為をしない理由が『子供に同じ力が付くのが怖い』というのは、少し首を傾げました。もっと色々なものがない交ぜした故の恐怖を舞の言動から感じただけに、それだけを理由にしてしまうのは、少し納得が行きませんでした。些細なことですが。
- 0048 どっぺる (採点:3)
- どたばた感はあるのですが、まとめきれてない印象です。
あれ、数が合わないけど、まさかこれをラストのオチに
するんじゃないよなと思っていたら、本当にそうなって
しまったので、些か冷めてしまいました。
そういう情報は、もっと巧妙に隠すべきですね。
- 0049 スティル・イン・ラヴ (採点:4)
- ラブと銘打っている割には全般的に中途半端でした。
それに……美汐ってこういうことは絶対にやらない
と思うのですよ、ここまで無神経な性格ではないと
思います。
- 0050 怨みます (採点:6)
- とてもブラックなギャグでした。
無駄にシリアス部分が多くて流れを殺している
部分も少なからずありましたが、パワーと皮肉
の利いたギャグが小気味良かったです。
これは……ハッピィエンドなのかな?
- 0051 受精卵 (採点:9)
- そこはかとなく絶望的に黒いですね、
こういう話はとても嫌いじゃありません。
というかラストのアレが強烈でした。
全てのパズルが一つに収まっていく快感というか。
同じジャンルで出した人間として、くそー負けた
なあと思わされました。
- 0052 それは、とても晴れた日で。 (採点:6)
- ふむり、真琴とあゆをこういう形でくっつけてくるとは。
興味深かったと共に、祐一のことを心配するならこういう
こともできそうだよな、あゆは――と、その健気さと労り
の想いに、少しばかりしんみりと来ました。
- 0053 ハル (採点:8)
- 物語が縁で成り立つ友情ですか、素敵ですね。
ちょっと後半の心情吐露をする場面が冗長に
過ぎるきらいもありましたが、二人の心が寄
り添うエピソードを丁寧に書いた佳作だと思
いました。
ただ、祐一とあゆって同い年でしたよね。
だとしたら彼女の年齢は17でなく、19が正し
いのではないでしょうか。
- 0054 それだけで、なにもいらない (採点:9)
- 七年という時に決着をつける、その過程がとても劇的
です。過去と未来を共に受け止めて歩んでいくこと
を選んだ二人の姿は、胸を打つものがありました。
雰囲気に合う言葉や文章の選び方も実に上手く、物語
とマッチしています。素敵な、お話でした。
- 0055 少年エスパー 北川! (採点:7)
- うーん、奇跡の安売りって気もするけど。
それだけで済まそうとしない真摯な物語作りには、
好感が持てました。
それにしても、こういう形の物語の纏め方をする
北川くんはこの話に限らず、格好良いのが多いですね。
- 0056 オリオン (採点:7)
- 名雪の意地らしい強がり方が、可愛いなと思えました。
だからこそ、ラストがハッピィで終わってくれたのに
は、ほっとしました。過去と絡めて名雪の心の機微を、
よく書けていたと思います。
- 0057 好きと言って欲しいだけ (採点:5)
- 佐祐理さんから見た舞編のラストですね。
感情の掘り下げ方には成る程、深く引き締まったもの
を感じます。ただ、雰囲気というか……原作に比べて
性格や物言いがどうも独善的に過ぎる気がするのです。
作者の感情が物語りに入り込みすぎというか。
その辺で一歩引いてしまいました。
- 0058 さよなら、レディバード (採点:6)
- Mother Gooseですか、また渋い引用ですね。
引用好きの虫を騒がせるような題名に、
先ずは同士との念を強く込めることにします。
誰かの心にどれだけ踏み込むかという、とても
難しい問題を、高校生らしさを失わせることなく、
上手くまとめて書けていたと思います。
ただ、全体的に構成が荒かった印象を受けました。
- 0059 お菓子作りって楽しいですよねっ (採点:6)
- 端々のお料理ネタが楽しかったです。
ただ、いかにも文献から引っ張ってきました、
みたいな書き方は良くないと思いました。
きちんと自分の文章として噛み砕かれていたならば、
もっと評価も高かったのですが。
- 0060 .79 (採点:6)
- 男というものは、こういう生き物ですね。
すけべです、馬鹿です、ええ。
つまらないことで喧嘩しながらも、基本的には
らぶな二人は、読んでいて楽しかったです。
- 0061 溶けよ、春の涙 (採点:5)
- よくも悪くも劇的なお話だったと思います。
ただ、もう少し話に深さが欲しかったです。
特に祐一と栞が再び、お互いを受け入れる
ようになるまでの描写はもっとあってよか
ったような気がします。
- 0062 トリビアを聞きながら (採点:8)
- 馬鹿ですね、こんな変てこな作品書けるなんて。
大好きです。
ラーメン好きの人間としては、そこにかける情熱の激しい
北川君に入れ込んでしまいました。全てのラーメン屋が彼
のようならば、地雷ラーメン店などなくなるのに、とさえ
思ってしまいました。面白い料理SSです。
- 0063 『After School』 (採点:9)
- 以前、サンデーでやってたパスポートブルーが、好き
でした。と、よく分からないことを口にしたところで。
序盤は拙い文章だと想ったのですが、実にならない夢を
追いかけるという清清しさが、後半になるにつれ加速し
ていき、気付けば夢中で読み終えてました。
こういう感性を持ってる人は羨ましいです。
森博嗣ちっくな作品って大好きなのでした。
- 0064 13月になれば君に贈りたいものがあるんだ。 (採点:7)
- 全篇に渡って、とても壊れやすいイメージがありました。
その中を、何とか壊さないようにもがいている姿が行間
からにじみ出てきて、時折ふと悲しくなったりする、少
し不思議な文体と物語運びでした。
こういうしっとりとした文章は、とても好きです。
- 0065 ミス・ムーンライト (採点:6)
- 同人誌即売会の時の気持ちを思い出しました。
椅子に座っている時とか、本当に不安なんですよね。
その辺の気持ちが分かっているということは、体験
者なのでしょうか? 真に迫ってたと思います。
美汐の頑張りとか祐一の短慮さを含む熱血、生徒会と
の意見の突合せなどは王道だなと思いつつも、ぐっと
引き込まれてしまいました。
- 0066 『回転演舞』 (採点:2)
- 何だか、何章かあるお話の一章だけを見させられた気分です。
各キャラの心情、行動についても違和感をおぼえることが多
かったですし、ラストが余りに説明不足。
最低限、『始まりがあって終わりのある』話を読みたかった
というのが本音です。
- 0067 恋人達へのポートレイト (採点:7)
- 絵を通して、それぞれに心の隙間を埋めていく様子が丁寧に描写されてて良かったです。
祐一と香里が空白を開けて座り、スケッチをする場面はこれまでの淀みを流すかのように暖かく、そして優しい雰囲気に包まれていました。空白をゼロにしていくであろう未来を暗示している辺りも、非常に心憎いと思います。
- 0068 そして世界は、またひとつ (採点:8)
- 気持ちの良い人間関係が描けてました。
人間には様々な距離の取り方があって、それを尊重
し合う、そういう気持ちの強い方が書かれたのでし
ょうね。読んでて実に清々しかったです。
文章には稚拙なところが散見していたのですが、そ
れを補って余りある物語の魅力に満ちてました。こ
れで全体的にもう少し、密度の高く完成された文章
が書けるようになれば、これから更に伸びていかれ
ると確信できます。今後書かれる作品も含めて楽し
みです。どなたが書かれたのか、胸をときめかせて、
待っておくことにしましょう。
あと、個人的に二つほど。
好きあって抱き合ってセックスして、そういう男女が全て
型にはまった恋愛関係であるとは限らない、という考えを、
きちんと書いてくれたことに、好感を持ちました。どうも、
世にはえろしたら即恋愛関係と誤解されている方が多くて、
もどかしいと思っていたのですが、そういう鬱屈を一気に
吹き飛ばしてくれました。もし機会があれば、恋愛感や、
男女感について、語り合ってみたいと思ったのが一つ。
二つ目は……もしかしてオースン・スコット・カードの、
『消えた少年たち』って作品、以前に読んだことあり
ますか?
- 0069 はっぴ〜・はっぴ〜・くりすます (採点:5)
- ドタバタ加減は面白かったのですが、所々に文章や
構成の繋がりが悪い所が見受けられました。見直す
時間が足りなかったかな?
- 0070 recollections birthday (採点:3)
- 全体的に構成がちぐはぐで読み難かったです。
短くまとめるのが難しいことは分かっているのですが、
もう少し読みやすい流れを構築することを、心がけた
方が良いかと思います。
- 0071 笑顔。 (採点:9)
- うーん、これは凄い。
40KBという少ない容量で、独自の解釈を加えたあゆシナリオ
の裏をきっちり構築している力量には、ただただ感服です。
何となく作者が分かるような気もするのだけど、まあ私は
チキンなので敢えて言及は避けておきます。ともあれ、ス
ケールの大きいお話でした。ハードボイルドは看板に蝶偽
りありでしたけど、こちらはきちんと素直じゃないSFして
ました。
ただ、各シーンごと、決定的にバランスが悪いですね。
これだけ巧い作者さんのこと、きっと意図してやっている
のでしょうけど、私にはちょっと頂けない部分でした。
- 0072 パーフェクション − Perfection (採点:3)
- 結局、祐一が留学しようとした理由はなんだったのでしょうか。
途中から無理やり、姉妹の距離感に関する話に摩り替わってし
まったため、最後まですっきりしない気持ちの悪い話になって
ました。文章のレベルは高いですし、話にもまとまりがあるの
ですけど、それでいて主題の決定的な欠落は、どうしてもこの
SSの評価を低くしてしまいます。
- 0073 心、ひらいて (採点:8)
- 最初はちょっと読んでて引っかかる部分が多かったのですけど、
後半のクライマックスで大幅に情報修正しました。心の機微の
書き方が、ありふれているけどとても丁寧で、ぐっと胸に迫っ
てきました。
- 0074 幸せを掴んだ男 (採点:5)
- 北川君が駄目過ぎます、素敵です。
ただ、勢いだけのギャグに終始していたところが
あったように見受けられます。中篇で最後までギ
ャグを魅せようとするならば、勢いだけでなく、
見る人を楽しませることを計算するしたたかさも
必要だと思いました。
- 0075 ひろいそらにつばさを (採点:3)
- 書きたいことは分かるのですが、物語の構成が甘いため、
全体的にちぐはぐでしまりのないお話になってました。
ラストのサプライズを演出する話は総じて、全体の構成を
綿密に計算する必要があるのに、それを怠っている印象が
強かったです。
- 0076 遺書 (採点:8)
- ああ、今回は秋子さんものに名作が多いですね。
この話も然り。
親子としてのきっちりと距離の取れた描写が徹底さ
れており、それぞれの魅力をぐっと際立たせていま
した。Key系のSSって、優しさを暴力的に振り翳す
キャラがやたらと多いのですけど、この思弁的で、
本当の優しさを知っている秋子さんには共感が持て
ます。良いお話でした。
- 0077 かけがえのないひとつの言葉 (採点:4)
- 真琴が人間になりたいと願うまでのお話ですね。
内容の掘り下げ方、語り方は上手いと想ったので
すが、なんか妖狐の思考が随分と自分勝手だなー
と思いました。思慮深く長い年月を生きてきた
知性生物があの程度の妥協で、相手を傷つけると
分かっていながら人間に転変しようと確信をもっ
て、決心できるものでしょうか。
短い命で終わると言うことが相手を傷つけること
というテーマをもっと掘り下げて欲しかったです。
- 0078 ガラス/ラフ・メイカー (採点:7)
- ラストでサウンドノベルシリーズの突発BAD ENDに
あった如く、硝子陶芸職人になっている久瀬に大笑いし
ました。や、このSSの本分はそこじゃないのでしょうが。
色々、説明しなければいけない部分を端折り、そうでな
い部分だけ説明しているのは作者の故意だと思うのです
が、私にはちと物足りなく感じました。
- 0079 A TAIR 〜 真実の空に還る時 〜 (採点:2)
- オリキャラを出す理由が全く分かりません。
作品に必然性があるならばともかく、この話は祐一の
いるポジションに作者の作った、魂の一欠けらもこも
っていない、稚拙なキャラを当てはめただけのように
見えます。
引いて、全く意味がないとしても。それなら、もう少し
魅力的な舞台立て、キャラクタをしてください。
- 0080 友情 (採点:2)
- ハーリーマーキュリー、私もやったことあります。
あんなので一気飲みなんて出来ないです。
全体的に、ギャグに恥じらいがありますね。もっと、
恥を捨てて弾けた方が良いと思います。メタネタも、
やるならもう少し阿漕に露骨にやって欲しかったです。
- 0081 天使の一片 (採点:2)
- メインを一つに絞りきれてないから、どちらも中途半端に
なってしまってます。文章もさることながら、構成が余り
にも練り切れていない印象を受けました。
本編をなぞる場面が多過ぎて、作者自身の文章や想いが
あまり、伝わってきません。
- 0082 天星小輪 star ferry (採点:5)
- 淡々とした優しい文章で最初から最後まで紡がれて
いました。お互いの気持ちを再確認するまでの様子
が、とても丁寧です。
ただ、もう少し心情や風景の描写が欲しいと思いました。
- 0083 恋は唐突に、急発進で (採点:5)
- なんか佐祐理さんの性格が激しく間違っている気も
しないではないですが、まあたまにはこういうのも
ありかなという感じです。実際、転がりましたし。
でも、やはし佐祐理さんにはもっと粘着的な、さり
げなく羞恥を誘うらぶを見せて欲しかったです。
- 0084 俺の学校は戦場だった? (採点:4)
- ギャグにしては垢抜けていない印象がありました。
ホラーもどきなのかラブコメなのか、焦点を絞り
切れていないのです。ギャグであることに拘るの
ならば、もう少し徹底的に舞台を壊しても良かっ
たのではないかと思います。
- 0085 白いキャンバス (採点:7)
- オリキャラメインということで少し構えて読んだのですが、
いやいや意外と世界観にマッチしたキャラとなっており、
良い意味で驚きました。骨子はALL END後なのでしょうが、
それぞれに過去を受け止めていく様が丁寧に描かれてい
て、好感触でした。
ただ、この世界の祐一くんが『(あゆや栞を)救える道が
あったかもしれない』などと言うでしょうか。私には、
何だか神視点めいた傲慢さに見えて仕方がありません。
私は、この世界の祐一くんならば『少しでも力になって
やれるかもしれない』という台詞を選んだ気がします。
- 0086 good-bye, darling -- a family (採点:1)
- ハードボイルドと呼ばれるジャンルの読み物を一冊でも
読んでから、自分の作品を見直して見て下さい。
私に言えるのは、それだけです。
- 0087 ふたつ (採点:6)
- うーん、解釈に苦しむ作品ですが。
世界の元を創る祐一と、生み出された親友の名前をした
素粒子ということなのかな。この辺があいまいです。
試みは面白いと思ったのですが、少し力が届かなかった
かなという気がします。原作を徹底的に崩すなら、もっ
と精緻に、そして強烈な筆力をもって、やって欲しかっ
たです。
- 0088 春に降る雪 (採点:9)
- 物語の構造自体は単純で、文章にしても特に飾り栄えや
工夫は見られないのですが、語りが丁寧で心情が染み入
るように伝わってきました。
淡々と積み重ねられていき、最後に全てが綺麗に帰結し
ていくさまは、胸にぐっときました。
栞の想い、香里の想い、美汐の想い、全てが印象的です。
素敵な物語をありがとうございます。
- 0089 ベビーフェイス (採点:8)
- んー、評価に困る作品ですねえ、悪い子さん。
私はこういう退廃的な匂いの強い作品ってとても
好きなので、こんなところで。No.005の祐一クン
と似て退廃的で刹那的な思考をしているのに、辿
りつく帰結が全く正反対というのは非常に興味深
いなと思いました。
- 0090 真冬の蠍 (採点:10)
- はぁ、なんか凄く……ずしんと身に来る話です。
それぞれが想い想いに行動して、結局最悪の結末
にしか落ち込まなかったという悲しさが、読み進
めるごとにぎゅうぎゅうと、胸を締め付けてきま
した。
ラストの、神様に言葉を届けようとする香里が余
りに儚く見え、思わず泣きそうになってしまいま
した。私も、少しだけ似たようなSSを書いた人間
なので、作者が誰なのか素直に楽しみです。
- 0091 七月八日、晴れ (採点:5)
- 七夕の価値を保ちながら、それを少しだけシフトして、
心地変化球を投げてみたという感じでしょうか。ほの
ぼのからどたばた、ラストの〆まで、七夕の小さな事
件が、丁寧に書けていたと思います。
- 0092 君と一夜を (採点:4)
- 全体的に、ギャグに恥じらいが感じられました。
ラストを無難に流そうとした辺りに、特にその傾向
が感じられます。最後までハジけて欲しかったです。
- 0093 人間になりたい (採点:6)
- 回想というものを効果的に使っていると思いました。
得てしてこういうものは原作文章の焼き直しになる
んですが、このお話はそうならないように構成や文
章に工夫しているのが分かります。そういう姿勢に
はとても、好感が持てました。
ただ、真琴の回想なら秋子さんにも焦点を当てて
欲しかったように思えます。彼女も、真琴の存在
に一喜一憂していた人間だったはずですから。
- 0094 Prelude Kanon (採点:6)
- 途中までの雰囲気は良かったのですが、
最後の一行には違和感をおぼえました。
というのは、山女の性格にどうしても、
あゆと重なるものを感じられなかったからです。
ミステリにおける完全な整合性の欠如、並びに
致命的な失策と判断しました。惜しい。
- 0095 『一月 某日』 (採点:5)
- 意図するところが少し読み取り辛かったです。
本編の、覚えていなかった夢ということで宜しいので
しょうか。謎を引っ張るのは良いのですが、明かし方
に致命的な杜撰さを感じました。もう少し分かり易く。
文章、物語運びは上手な部類だったのですけど、
そこが非常に惜しかったです。
- 0096 黄金の日々に、さよならを (採点:6)
- 描写は丁寧で程度の高いものを感じたのですが、
ラストが少し物足りなかったです。もう少し、魔物
の戦闘場面は深く書いた方が良かったかなと思い
ました。
- 0097 告白 (採点:9)
- 淡々とした語りがただ切なくて、綺麗でした。
抑揚の効いた文章で語られ、少しずつピースの
嵌っていく物語。儚く消えていく定めのあゆが
書いた最後の手紙と絡まり、悲しくも向かわざ
るを得ないラストが、胸を打ちました。
とてもストーリィテリングが上手いと思います。
程度の差はあれ、今回はダーク系に良い作品が
多いですね。なんか、負けたと思ってばかりです。
- 0098 双故意〜ふたこい〜 (採点:8)
- うわー、滅茶馬鹿だ、素敵過ぎます。
作者が己の持てる全ての力をもって書き切った、
そんなパワァがびしびし伝わってきました。
特に、駄目な香里が面白かったです。
- 0099 Disenchant (採点:9)
- ああ、だから解呪……なのですね、納得。
物語全篇に何かしらの魅力を感じたのですけど、
特に観覧車の場面、真琴が名雪の心を柔らかく
包み込む場面は、緊張感の中に優しさが強く感
じられて、好きでした。
ラストの落とし方も秀逸、堪能させて頂きました。
- 0100 二月一日の物語 (採点:10)
- うわー、いきなり読んだ作品がこれですか。
最初だから少し厳しめにしようと思いましたが、
それでも10点を付けざるを得なかったです。
素晴らしい作品でした。
名雪と香里、二人の決意が互いに補われていき、
ラストまで流れていく過程は、細やかで豊かな
心象に満ちていて、胸がドキドキしました。
強く優しい少女たち。その対極をテーマとして
選んだ人間としても、素直な敬服を捧げたいと
思います。
作者公開が楽しみです。
- 0101 君の瞳にシャイニング延髄斬り (採点:6)
- 試みは面白いのですが、それを十分に生かしきれてない
気がします。こういうトリッキィな話は、文章を書く前
段階で、各章の相関を念入りにチェックして、ちぐはぐ
なところがでないように気をつけるのが普通なのですが、
徹底し切れていない感じがしました。
表と裏、それぞれの掛け合いが楽しかっただけに、全体
的な統一感の薄いのが余計に悔やまれました。
- 0102 "Koukai Dreamer" (採点:9)
- 丁寧語で喋る名雪が妙に新鮮に見えました。
でも、性格も含めて全てがきちんと物語に合っていて、
二人が少しずつ寄り添っていく様が、独特のテンポで
表現されていて、とても読んでて楽しかったです。
んー、こういうセンスを文章に叩き込めるのは、
本当に羨ましいです。
- 0103 世界の果てという名の雑貨店 (採点:7)
- 不思議な緊張感のあるお話でした。
ボートの上かつての出来事を淡々と語っていく、
それだけなのに張りのある吸引力の強いお話に
なっています。作者さんの、物語運びの巧さを
感じました。
- 0104 幸せの玩具 (採点:6)
- ラストの、佐祐理さんの前向きな姿が怖かったです。
きっと彼女は、また同じことを繰り返してしまうん
だろうな、という暗澹とした気分がわいてきました。
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