○K さん
- 001 farewell party (採点:7)
- 細かい伏線も含めての舞台立てや物語運びが上手く、
気の利いた、そして寂しい中にもどこか暖かいお話
になっていたと思います。
祐一の前向きな姿が、素敵でした。
- 017 FREE (採点:7)
- こういう女同士の友情って大好きです。
特にラストの、案外けろりと立ち直った名雪と、
シニカルな癖に肝心な所で締まらない香里の
対比が面白かったです。
- 018 あいとまこと (採点:6)
- 意地を張ってすぐに衝突してしまう所や、必死で
祐一の真似をする真琴がとても可愛く、読んでて
楽しかったです。
- 022 アンバランス (採点:9)
- 冷たい世界にいる2人の暖かい心情が伝わってくるかの
ようです。ものみの丘で絵を描く二人の場面の語りと
心情が切なくて、少しぐっと来ました。
タイトルと主題の結び付け方も上手くて、素敵です。
- 027 冬空のキセキ (採点:6)
- ダイアモンドダストかあ、見てみたいですね。
くるくると事実が入れ替わり、テンポよく展開
していく後半などは、良い掌編のミステリを読
んでるようで、面白かったです。
- 029 幸せなら手をたたこう (採点:6)
- 自己完結してしまって分かりにくい部分がありますけど、
内罰的で閉じられた空間ぽさや、ぽつと現れる言葉選び
のセンスなど、面白いなと思う部分もいくつかありました。
Are you Happy?
それは時々、残酷な言葉ですよね。そこをきちんと表現して
くれたのには好感がもてました。
- 030 12月のアムネジア (採点:5)
- 美汐の妖狐の話といい、現在の真琴との話といい、
どちらも少し中途半端な気がします。少ない分量の
中に2分割してしまうくらいならば、どちらか一つ
に主題を絞った方が良かったかも。
雰囲気自体は良かったので、そこが残念でした。
- 034 栞にツノが生えた日 (採点:9)
- 師匠!
とかいきなり叫んで驚かしてみたり。
ジャンルで何となく検討はついていたのですが、
相変わらずの不可思議世界、言葉回しの妙、独特の
キャラ扱いなど、相変わらず私のツボを突きまくっ
てました。素直に面白かったです。
実はAHHさんの掲示板に出没されていたのを見て、
今回はこじんまりまとめてしまうのかなと危惧し
ていたのですが、いつもの師匠の作風で本当に
ほっとしました。
面白い作品をありがとうございました。
- 040 青い空を見上げて (採点:6)
- ほのぼの、まったりとして暖かいお話でした。
多分、あゆシナリオ後の秋子さんとあゆは、
こういう暮らしを営むのだろうなーと、しみ
じみ思ってしまいました。
- 041 Marthaと呼ばれた仔 (採点:9)
- 本編に狐を『まこと』と呼んでいたことは記述されて
いたような気もしますが、まあ些細なことですね。
心情の描き方に筋が通っており、綺麗です。
色や匂いを感じさせる光景の描写が作品にあっており、
祐一と真琴の交感を、堪能させて頂きました。
- 042 覚えたての愛 (採点:7)
- 良い意味で気だるさと、退廃的な雰囲気が感じられるお話でした。
過去と現在、それぞれの救われなさが、じっとりと伝わってくる
ようでした。夫のいたらなさ、真琴の素直さ、よく書けてます。
ただ、それぞれの話が少しずつ中途半端でした。短編で読ませる
には少しボリュームが足りなかった感じです。
- 049 時計の針 (採点:6)
- あー、この香里は凄い好きです。
頭が良いためか、たまに突拍子なくなってしまう辺りや、
発想のぶっ飛んだ言葉や行動をしてしまう娘だと思って
いるので、そのイメージにぴったりはまっている香里を、
本当に楽しんで読めました。
- 053 散葉咲華―another home― (採点:7)
- 優しい流れのお話でした。
七年間というギャップがある為に、思ったよりも自分で
いられないあゆと、少し生意気で大人になった祐一が少
しずつ心を近づけていく様は、安心して読み進めること
ができ、読み終えてほっと息をつけました。
- 057 miss understand (採点:7)
- 心情の表現が巧みで、想いを寄せる在り場所が段々と
失われていく様は切に迫り、胸打たれました。
最後の歌詞は唐突に挟まれたような感じがしました。
引用は上手く行けば作品の色を深めるのに役立つと
思うのですが、本編のイメージに対して余りに乖離
していました。香里の心情と照らし合わせたと思う
のですが、その辺は作者自身の言葉で語って欲しか
ったです。
- 059 相沢祐一のお料理教室 (採点:5)
- なかなか面白い発想のお話でした。ジャムのアレな理由も
ありきたりではないですし。
ただ、アイデアが良いだけに話をもう少し盛り上げるなり、
膨らませるなりして欲しかったです。全体的に物足りませ
んでした。
- 062 さくらのころ (採点:6)
- 桜の散る様と、真琴の弱っていく様が上手くシンクロ
していて、短い中にも物悲しさを感じました。
- 065 送り火/狼煙 (採点:8)
- シャープですね、色々な意味で。
さりげにさくりと心に切り込んでくる描写が、
切と胸を打ちました。名雪の健気さ、香里の
自棄さが短い中にぎゅっとまとめられてました。
- 069 金魚 (採点:7)
- うん、好漢な北川くんが素敵でした。
臆病でも、精一杯前を向いて己を貫いていく意志というのは、
見ているだけで気持ちよいものがあります。基本的に私は、
栞ノーマルED後の香里は、北川くんには少し役不足かなと
思っているのですが、この北川くんでしたら、不器用でも
ちょっとずつ近づいていけるかなーと思いました。応援し
たくなるようなほほえましい関係です。
一つ不満な点があるとすれば、金魚すくいのシーンを回想
でさらっと流したのは勿体無いなーという気がします。
- 071 風よ魔法をはこべ (採点:8)
- 無名の男性が誰なのかなーとずっと追ってきたのですが、
成程――確かにそれだったら、あゆのことを後押しする
ことも可能だなーと。読み終えて、納得です。
設定の妙に、短いながらも細かい心情描写の適った、
読み甲斐のある作品でした。
- 073 親友体制 (採点:8)
- 3人の関係に、押し付けがましくない労りと優しさを
感じました。最後、舞と佐祐理が角をぶつけ合う場面
にもう少し厚みが欲しいと思いましたが、総じて雰囲
気よく、心の温まるお話になっていたと思います。
- 075 始まりの日 (採点:6)
- 心情の描写に繋がりが薄かったり、語らせ過ぎだったり
という部分がいくつか見受けられましたが、総じて祐一
と栞、二人の良い雰囲気が楽しめるお話でした。
あと、硝子の例えは気の利いたセンスを感じました。
- 077 盲目考察 (採点:10)
- 文体などで僅かに引っかかる部分もあったのですが、
佐祐理のどろりとしてそれでいて愛らしい心情描写は、
素晴らしいの一語に尽きます。
今回、唯一満点を付けたいと思わされた作品でした。
- 080 ガラスの森 (採点:6)
- 非常に綺麗なイメージのするお話でした。
未来からの来訪者、確執、そしてガラスの森。
壊れやすいものを淡々と並べ、そして最後に
温かみのあるイメージを添えるお話の運び方
や端々の描写が素敵でした。
- 081 ボーイフレンド (採点:5)
- 幸せな舞と祐一が読んでいて楽しかったです。
ただ、唐突に堅い表現が出てきて、ちぐはぐで読み難い印象が
ありました。余り慣れてない表現を多用したために、それが作
者さんの持ち味となっている文章を殺してしまってます。
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