虹色の表評価
「虹色の青春」のまっとうな感想です。(笑)
嫌な感想はこちらにありますので読みたい人だけどうぞ。
ネタバレを含みますので注意してください。
発売から1年近く経ってるってのに今ごろこんなもの書くのは私くらいでしょうね(^^;
(いや前から書きかけてはあったんですがなかなか完成しなくて)
○大まかな感想
・ときメモから離れかけていた自分の心を再び引き戻してくれた素晴らしい作品。
・ストーリーに不満な点や虹野さんに引っかかる点はあるものの、そういうことを考えさせてくれた事も含め私の中のときメモ世界の重要なひとつ。
・ただレスポンスがやたら悪いのであまりプレイはしていない(^^; メニューが出るまでの間がいらつく。また一度読んだ好雄のセリフなどは2回目からは飛ばすので、音声のON/OFFも簡単にできるようにして欲しかった。(直後に悠久幻想曲をプレイして特にそう思った)
・絵:moo氏や甲斐氏の絵を見慣れた後では少し辛いが、ときメモだから仕方ない。(おい)
・ラスト付近は一本道なものの、それまでは自由度が高い(ような気にはとりあえずなる)
・ラストの一本道もドラマの方に没頭していたため選択肢がほしいとは特に思わず。
・キャラの個性を如実に表現する台詞回しも健在。これだ!
・本編プレイ時は伊集院の台詞に大受けしたものだが、今回伊集院もさることながら好雄が大幅にパワーアップ。「冗談は好雄くん」の迷言も繰り出してくる。
・しかし本命は紐緒さん。
・当然、初回プレイは紐緒さんのところに通い続ける。
・どんなSSや同人誌よりも紐緒さんらしい紐緒さんがそこにいた。(当たり前といえば当たり前だけど…)
・久々に聞いた「世界征服」を始めとする破壊的な言葉に安らぎを感じる。
・他のキャラもおおむねイメージが壊れることもなし。ただよしきくりんさんの声が本編より元気がない。
・相変わらず鉄仮面のような詩織様はとても詩織らしくて素敵です。
・「はいっ!鏡さん!」に思わずハモる。
・好雄のウソをあっさり信じ込む如月さんなんて如月さんじゃないと思うが、オフィシャルの如月さんはああなのだろう。(好雄とくっつくし…。ちなみに私の如月観はこれ)
・沢渡はどんな奴かよく分からなかったが、あの髪型はないだろう。(笑)
・ポリスノーツを知らない私には映画後の会話は針のムシロ。
・名演賞:文句無しにベラノッテのおばさん。津野田なるみ様、天才。上手いんだから上田祐司並にアニメ等にも出てほしい…。
・虹野さんがなんで主人公好きになったのかはちょっとよく分からなかったな〜。(彩ソンほどじゃないが)
・部屋に電話があるのは留守電まで気づかなかった。(彩ソンで改善されますね)
・サッカーゲームは翼くんになったつもりで「ドライブシュートだァ!」とかやって遊んでました。
・しかし風向きが毎回変わる頃になるとちっとも入らなくなり嫌になって投げ出す。こんな根性なしが沙希ちゃんとハッピーエンドを迎えてよいものだろうか(^^;
・スポーツセンター(水着条件)も練習後のフリーキック(みのりちゃん条件)もなかなかクリアできず。下手に曲げるよりそのまま打った方がいいと分かってようやく突破。
・みのりちゃん〜。
・気が強い、現実的、身もフタもない、百合(笑)、後輩、声が可愛い、胸が小さい(爆)等もさることながら、その実際にいそうな存在感に惹かれる。
・一方の沙希ちゃんは真面目すぎて面白味には欠けた。
・ギャグがないし…。(ねぇよ)
・しかしあの涙と留守電は破壊力十分。うをー俺が悪かったー。
・「出会えて良かった」は名曲。口ずさむと元気になる。沙希ちゃんそのもの。
○主人公のこと
いろいろ言われてる彼ですが、私は好きです。最初の方で「何でまだこんな事してるんだ?」と疑問を持ちながらもやっぱり練習もボール磨きも続けてるところとか、買い物の後の中央公園で「せめて一生懸命でいよう。それが多少なりとも彼女の応援にこたえる道だ」と決心するところとか。実際「毎日努力を続ける」というのはこれほど難しいことはない。まして頑張れば結果が返ってくるならまだしも、先が見えない、単なる無駄な努力で終わる可能性もあるという不安に抵抗しながらなのは。初回プレイでは毎晩欠かさず2レベルともクリアするまで練習していたため、なおさら努力家の印象が持てました。(2周目以降はよくサボってたけど(笑))
そうやって、ともすれば「1日くらい」って投げ出したくなるのを押さえて、沙希ちゃんを心の支えに頑張り続けてきたんだから、その支えが失われたときぷつんと緊張の糸が切れてしまうのも仕方ないと思います(^^;
「何のためにこんなことやってるんだ?」
「今後ずっとレギュラーになれなかったら、今やってることは一体なんなんだ…」
「もうやめやめ!もういいよ…」
レギュラーになれない可能性は実際にある。「無駄かもしれない努力」だと承知でなお努力するってのは難しい…。だから挫折したし、でも納得して諦めたわけじゃないし、虹野さんの応援でまた復活できたのは良かった良かったと素直に喜べました。
彼が単純に「沙希ちゃんも応援してくれてるし、レギュラーになる日を信じて頑張り続けよう!」ってだけのキャラだったらそれこそ感情移入できなかったですね。挫折というマイナス面も描いてこそ『頑張る』ということがテーマになり得ますから。
単に自分が根性なしだからかも。(笑)
○シナリオの良い点と悪い点
良い点:「指切りしたじゃないっ!」と「留守電」。
理屈はともかく来るものがありましたねー。普段の沙希ちゃんが押さえ気味なだけに。
指切り〜−上で書いたとおり主人公の挫折には感情移入できたので、なおさら無力感というか断絶感というか、ゴメン!でも…というやるせなさが強かった。何も悪くない沙希ちゃんを泣かせて本当に悪いとは思うんだけど、でもどうにもできないし…。相手の善意を裏切るのは辛い。
留守電−まさかあそこでああくるとは思わず…やられた。
それまで沙希ちゃん大人しかったので、「な・に・を・し・て・い・る・ん・だ・よ・ー」のあたりで初めて「明るい虹野沙希」の演技が聞けた感じですね。ただあくまで演技で、主人公元気づけるために無理して明るく振る舞ってるだけなので痛々しいったら(T T)
それでも懸命になって主人公に呼びかける。沙希ちゃんは最後まで諦めない。
でもってその想いは通じたという事実があって…心から良かったねえと。
悪い点:「紐緒・鏡とのダブルデート」と「『実はミサンガの話だった』という下らないオチ」。
前者−今さら言わずもがな。あの2人を呼んでくる好雄も好雄ですが、クライマックスへの繋ぎにしても辛すぎ。スタートボタンでスキップできるようにならなかったものでしょうか。(笑)
そもそも紐緒さんだったら
「つくづく辛気くさい顔ね」
「ごめん…」
「謝る暇があったら何とかしなさい。その程度の知能もないの? 何があったか知らないけど、そんな顔をしているのは他に為すべきことがあるからじゃないの?」
「紐緒さん…。(そうだ、俺は…。俺は一体なにをやってるんだ!)
ごめん紐緒さん!俺には行かなくちゃいけないところがあるんだ!」
「ようやく判ったの。これだから愚民は嫌よ」
「ありがとう紐緒さん!」(ダッ!)
「フン…」
ぐらいのことは言ってくれそうなものですが。(鏡さんしかり)
後者−個人的に虹春の最大の欠点です。あれで一気にがくっときた…。
いや金曜日に話を立ち聞きした後の虹野さんの対応で「どうせ誤解ネタだろ」と予想はつきましたが、その不安は考えないことにしてクライマックスに感動し、さて一夜明けてみれば…ほんっとーにそのまんまでしたからねえ。ここ数日の主人公の苦悩って一体ナニ?
あれでは話的に強引に主人公と虹野さんを追いつめただけですね。主人公が一言「あの会話はどういう意味だったの?」と聞けば成り立たなくなるような事件でしたから。挫折と復活という流れは良かったものの、その原因が「単なる誤解」では全体が薄っぺらになってしまい実に残念であります。
いっそのこと
「どうですか最近?あの先輩の調子」
「ま、毎晩遅くまで頑張ってるよ! きっと大丈夫よ」
「でもねえ。練習見てるとまだちょーっとレギュラーには厳しいかもって思いますけどね」
「そ、そうよね。この前も変な期待もたせてかえって彼を傷つけちゃったし…。
今度ダメだったらどうしたらいいんだろう…。やっぱり才能ないと無理なのかな…」
「虹野さん…」
「え!?こ、公くん!!」
ショックで主人公は練習をやめてしまい、自責の念に押しつぶされながら泣いて謝る沙希…なんて展開だったら文句はなかったのですが。←虹野ファンに怒られそう(^^; まあ虹春の虹野さんの描写からしてそういう展開は無理だとしても、せめてミサンガ落ちだけは勘弁して欲しかったナリよ。結局最後まですれ違ってましたからね。(裏評価で後述)
○ひたむきさ、一生懸命さ
『頑張るってことは、決して恥ずかしいことじゃない』
ってのが昔何かのCMでありましたね。『努力は全てが報われるわけではないが、そのいくつかは必ず報われる』なんてのもあった…。『一生懸命頑張る』なんて言うと鼻で笑われるような世の風潮、自分にもそういう部分がないではない。しかし冷めてるだけで何もしてないような人間が、頑張って努力する人間を笑うなどそれこそ笑止なことだと思います。確かに頑張ったからといって何もかも達成できるわけではないし、結果が出なかったことの言い訳にはならない。だからといってひたむきである事自体の価値が否定されるものじゃないし、少なくとも何かに努力している人は何もしてない人より偉いはず。
虹春のテーマはそういうことなのだと勝手に(^^;解釈しました。(いや当時のファミ通とかに開発者の談話が載ってたらしいですが、その時は雑誌は見ないようにしていたので知らない)
それを実行してるのは主人公や沙希ちゃんなんだけど、実際に印象づけられるのはみのりちゃんの言葉からですねー。
『実を言うと私、最初は虹野先輩のことあんまり好きじゃなかったんですよ。この人なにがんばってるんだろう、とか思って。私、あまのじゃくなんですよね、きっと。人のためになにかしてあげるのって、なんか点数かせいでるみたいで…。ちょっとパス!とか思っちゃうんです』
『最初は勝手にすればって思ってたんです。だって、レギュラーだけじゃなくって、50人からいる部員全員のお弁当ですよ?』
『「私は、なんでも一生懸命にやってる人が好き。そういう人を見ると、その人のためになにか力になってあげられないかなってすごく思う。…私にはこれくらいしかできないんだけどね」って。…なんか、よくわからないんですけど、私その時感動して…』
『私、今は一生懸命の人って好きです』
私もあまのじゃくなので(笑)、点数かせいで〜とまでは思わないにしろ「勝手にせい」くらいは思います。でも何もしないよりは、少しでも前に進もうとする沙希ちゃんの方が偉い。彼女はただ純粋な気持ちでそれを一歩一歩こなしてる。そこにみのりちゃんは打たれたんじゃないかと…そう思うわけで。
だからまあ、いきなり沙希ちゃんみたいな凄い人出されても感情移入できなかったでしょうが、みのりちゃんという視点の近い(一般人的な)キャラに語らせることでこちらのあまのじゃくな気持ちも打ち消されました。
なのでみのりちゃんは好きなんですねー。
○おとなしい虹野さん
今回の虹野さんは「根性、根性、根性よ!」の元気なイメージ、あるいは「妄想沙希ちゃん」や「やんやん沙希ちゃん」など主にSSで作られたイメージとは異なり、あくまで優しく、どちらかというとおとなしい女の子として描写されています。少なくとも妄想で暴走など間違ってもしないような真面目な子です(^^;>虹春の沙希ちゃん オフィシャル設定のはずだった「慌て者」「おっちょこちょい」な部分もまるで姿を見せませんね。
そういう意味では本編とはイメージが変わってるんでしょうが、違和感なかったのは話がわりとシリアスだったのと、おとなしい彼女もやはり虹野沙希のひとつの面だからでしょうか。
で、本編と虹春どっちの沙希ちゃんが好きかと聞かれたら悩むところですが、シリアスで考えるなら虹春の沙希ちゃんはいいですねー。私が考えるとすぐ暗い方向へ話が行くけど(^^; 優しすぎるほど優しすぎて、それだけに危うい。今回も主人公が来なかったらあのまま倒れるまで神社で待ち続けていたでしょう。純粋なだけに状況によっては繊細で壊れやすくて、彩ソンでみのりちゃんも言ってたけど、守りたくなる人です。
応援されるより応援したい。色々抱え込んで、それでも頑張り続けるタイプだと思うので。
裏評価へ
キャンペーンへ
新聞部へ