その2 その3 ====================================================================== ルーファス:(俺はルーファス・クローウン。魔法研究部ウィザーズアカデミーの マスター、つまり部長をつとめる、魔導士志願の3年生だ。今のとこ部員は5人の ちっちゃな部だけど、俺にとっては大事な仲間さ) ルーファス:さあ、今日も張り切って魔法の勉強をしよう! シンシア :おにーちゃん、シンシアねむいのー。 ジョルジュ:ああ、今日も絶好の昼寝日和やなぁ。 ルーファス:…部活をしようよぉー… 蒼紫 :まあまあルーファス殿、お茶でもいかがです。 ソーニャ :私は1人で勉強しますから、邪魔しないでくださいね。 ルーファス:…ねえシンシア。 シンシア :なぁに?おにーちゃん。 ルーファス:シンシアだけは幼馴染みとして当然俺の味方だよね? かさかさかさ シンシア :あれ?なにかおとがする。 ルーファス:シンシアー… シンシア :ねえねえ、だれかいるの? かさっ チュー シンシア :に… にゃ゛ーーーっ!! バンッ!(机を叩く音) ソーニャ :ネズミが出たですってぇ!? シンシア :ふぇ〜〜〜んこわかったよぉ〜。 ルーファス:ソーニャも怖いが。 ソーニャ :黙りなさいっ!まったく、なんて不潔な部室なの。マスター、即刻こ の部屋の大掃除を行うことを要請します。 ルーファス:いっつもいきなり要請するし… 蒼紫 :しかし見たところかなり散らかっているのもまた事実。一度整頓する のも良いかと思いますが。 ルーファス:うーん、蒼紫もそう言うなら。 ジョルジュ:ほなおれはこれで。 ルーファス:待ていジョルジュ! がっし ジョルジュ:あああっ来るんやなかった!マックスのやつも来ぃひんし… シンシア :おにーちゃん、シンシアこわいのぉ。 ルーファス:まあ、シンシアは昔からネズミが苦手だったしね… デイル :猫のくせに。 ルーファス:わぁっ!デイル先輩、いつからいたんですか! シンシア :シンシアねこじゃないもん、ハーフキャットだもん。 デイル :まあそこはそれ。なにやら部屋を片づけるとかいうことを言っていた ようだが? ルーファス:ええ、まあ。そんな話になってます。 デイル :なんという恐ろしいことを!お前らはこの部室の恐ろしさを知らんの だな。 ソーニャ :変なOBも出入りしてますしね。 デイル :どこに? ソーニャ :ここに!! ジョルジュ:デイルが出入りするでっか。いやこら傑作やなあ。 一同 :‥‥‥‥‥‥ ジョルジュ:お、おれはただ緊張した場を少しでも和やかにしようと… 蒼紫 :ところでデイル殿。恐ろしさとは一体? デイル :うむ、今まで多くの大冒険者を生み出したウィザーズアカデミーだが、 その多くはダンジョンで手に入れた戦利品を置くのにこの部屋を使ったと言われる。 ルーファス:うちのOBって先輩みたいな人ばっかだったんですか…? デイル :そしてそのまま行き場のなくなった様々なアイテムが、この部室のど こかに眠っているのだよ!驚いたかね諸君。 ジョルジュ:ほな張り切って片付けを始めまひょ! ルーファス:金目のものなんてないと思うぞ、どうせ… ジョルジュ:アホゥ、んなもん探してみなわからんわい。早いもん勝ちやで早いも ん勝ち! ソーニャ :ちょっと、片づけるのが目的なんですからね! ジョルジュ:さーて宝探しや、シンシアも手伝ってやー。 シンシア :わぁい。 ソーニャ :〜〜〜〜〜! 蒼紫 :ま、まあとりあえず人手は確保できたのですし。 ルーファス:そそそ、やるだけやってみようよ。 デイル :まーかせて! ルーファス:(不安だ…) がちゃがちゃがちゃ ジョルジュ:お、これなんかなかなかの値打ちもんと見たで。 シンシア :わぁ、きれいなかびんー。 デイル :うむ、良いところに目を付けた。いかにもそれは魔法の花瓶で、どん な花でも挿した瞬間に一瞬で枯れてしまうという。 ポイッ ソーニャ :部屋の中に捨ててどうするの! ジョルジュ:細かいやっちゃなぁ… ソーニャ :そういう問題じゃないでしょっ! ルーファス:なんかろくなものが出てこない気がする… がちゃがちゃがちゃ ルーファス:先輩、この紙束なんです? デイル :ああ、今を去ること5年前。部誌を書く当番をアミダで決めていた時 期があってな。 蒼紫 :まさかこれは全てあみだくじなのでは… デイル :いろいろあるぞぉ、火の鳥アミダに呪われアミダ、無敵アミダにこっ くりさんアミダ… ソーニャ :捨てなさい! デイル :アカデミーの歴史というものを理解できん奴だ。 ソーニャ :そんなもの理解したくもないわ! ジョルジュ:うーむ、さすがに掘り出しもんはなかなか見つからへんなあ。 がちゃがちゃがちゃ シンシア :ねえねえおにーちゃん、これなあにー。 ルーファス:あれ、きれいな石だな。 ジョルジュ:おおおっ!なにかの宝石かいな! デイル :はっはっはっ、それは黒のコアといってねえ。 ジョルジュ:金貨100枚で売れるとか!? デイル :大陸一つふっ飛ばすくらいの精霊石だ。あまりショック与えない方が いいぞ。 ジョルジュ:ぶっ! ルーファス:げげっ! ソーニャ :捨てなさい! 蒼紫 :捨てたらなおさら危険だと思うのですが… ソーニャ :そ、そうね。 ルーファス:あ、あとで処分するから、机の上に静かに置いておいてよ。 シンシア :はぁい、きれいなのにね… ルーファス:ホントにろくな物がない… ソーニャ :…ちょっと。 ルーファス:なに?ソーニャ。 ソーニャ :さっきからよけいに散らかる一方じゃないの! ルーファス:ああっ言われてみれば… シンシア :わーいけいとだまー、ごろごろ。 ソーニャ :シンシアっ! 蒼紫 :こんなものまで置いてあるのですか… デイル :編み棒と編みかけのセーターもあるぞ。 ジョルジュ:はぁ、その人がおった頃に入部したかったですわ。 デイル :俺が編んだんだ。 ジョルジュ:前言撤回ぃぃ〜〜! カサッ シンシア :ん? チュー シンシア :にゃ゛ーーーっ!! ソーニャ :あ、ネズミ… ルーファス:そういえばネズミ追い払うのがそもそもの目的だったような… シンシア :おにいちゃぁん、こわいよぉっ! ルーファス:あーよしよし。 デイル :ええいやかましい、ピーピー泣くなっ! シンシア :だってだってぇ〜。 ジョルジュ:デイル先輩、シンシアにゆうても無理っちゅうもんでっせ。 デイル :黙れジョルジュ!苦手に立ち向かってこそ進歩というものだろう! ガガーン! ソーニャ :た、たまにはまともなこと言うんですね。 蒼紫 :お見それいたしました。 シンシア :デイルちゃん… デイル :ちゃんはよせ。 シンシア :うん…シンシア、ねずみなんかにまけないもん! ルーファス:偉いぞ、シンシア! デイル :それがウィザーズアカデミー魂というものだ。 ジョルジュ:(なんぎな魂やなぁ…) シンシア :こんどねずみがでてきたら… ルーファス:でてきたら? シンシア :この、「くろのこあ」でふっとばしちゃうんだから! ルーファス:げげげっ! デイル :シ、シンシア君。やはり無理は体に悪いと思うぞ。 ソーニャ :あなたの責任でしょう! ジョルジュ:お、おれ急用が… チュー シンシア :でたぁっ! ルーファス:うわああああっ! 蒼紫 :父上母上、先立つ不孝をお許しください… ガチャ(ドアの開く音) マックス :よー悪い悪い、居残り食らっちゃってな。 チュー マックス :うおっ!なんだぁネズミかっ!? ルーファス:マックス!そいつを捕まえてくれ! マックス :お、おうっ! がしっ ルーファス:窓の外へ! マックス :おうっ! ガラッ(窓を開いた) ヒューン(遠くへ投げ捨てた) へたへた ソーニャ :た、助かったみたい… マックス :な、何があったんだ一体? シンシア :(涙声で)…ねずみ、もういなくなった? ルーファス:あ、ああ。もう大丈夫だよシンシア。 シンシア :ぐすっ…こわかったよぉ〜 ルーファス:はい、はい。 ジョルジュ:まったく、人騒がせなやっちゃ。 マックス :ま、まあ良くわからんが良かったじゃないか…って、なんだぁこの部 屋の有様は!? 蒼紫 :ううむ、以前にもまして散らかったような。 ソーニャ :な、な、なんてこと… シンシア :(しゅん)ごめんなさい、シンシアのせいで… デイル :いや、それは違うぞシンシア君。 シンシア :えっ? ちゃららら〜ちゃ〜〜らら〜〜♪ デイル :この雑然とした部屋…これこそがウィザーズアカデミーの部室の、あ るべき姿じゃないか? シンシア :そ、そうなの? ルーファス:確かに、俺が入ってから片づいた部室を見たことないような… 蒼紫 :言われてみれば、無秩序の中の秩序というものが感じられますね。 ジョルジュ:そやなあ、きちっとした部室なんてよう落ち着かへんわ。 マックス :おう、オレも今のこの部屋が好きだぜ! シンシア :おにーちゃん… ルーファス:シンシア…ネズミが出るようなボロい部室だけど、それでもここにい てくれる? シンシア :うんっ!おにーちゃんがいるもん! ルーファス:(俺たちはその時、初めて一つになれた気がした。結局今日の部活は つぶれちゃったけど、その分なにか大事なものを手に入れたような…) ガチャ(ドア開いた音) ルーファス:あれ、ソーニャどこ行くの? ソーニャ :退部させていただきます。 ルーファス:ち、ちっ、ソーニャ!ちょっと待ってっ! ソーニャ :まったく冗談じゃないわ!一生やってなさい! ルーファス:は、話せばわかるぅぅ!みんなぁっ! マックス :デイル先輩、オレは目から鱗が落ちたっスよ! デイル :はっはっはっそうだろうそうだろう。 蒼紫 :それではお茶でも入れてきましょう。 ジョルジュ:お、えらいすまんなぁ蒼紫。 シンシア :シンシアおひるねしたいー ルーファス:みんなぁぁぁっ! ソーニャ :ええい、放しなさい! ルーファス:(俺はルーファス・クローウン。部長の道はまだまだ険しいらしい…) <END> あと2本ばかし書く予定(^^;
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