○kobax さん
- 001 farewell party (採点:6)
- 物語としてはそれほど突飛なものではありませんが、彼らの友情の強さ、そして祐一と名雪の絆の太さが前面からうかがえる作品でした。巧みな表現の数々もよかったです。
句読点にリズムを狂わされたというのが、ちょっと減点をした理由です。ブツっと切られているような印象で、うまく作品に入っていきづらかったかもしれません(私だけかもしれませんが……)。あと、地の文の人称が香里かな? と思えるところがありました。違和感が出てしまったので、少し辛かったです。
ですが、総じて楽しく読めせていただきました。ありがとうございます。
- 006 スキスキスKiss!! (採点:4)
- 爽やかなくらいにLoveなお話ですね。Love部門なんてものがあったとしたら、まず私はこれを推します(笑)
かなり博打なお話だったと思います。香里の性格をあそこまで壊して(笑)、とにかく二人のラブなお話に仕上げるということ。賛否両論だと思います。私はそれほど嫌悪感はないのですが、気になる部分が多かったので、どうしても点数をつけるとなりますと、この辺になってしまいます。
二人の恋愛に発展する経緯が強引に感じられる点と、香里の言い回しが鼻に付いたという点が、大きな減点の対象になってしまいました。
あ、DBネタで+1点しましたよ(笑)
- 010 歩行者優先 (採点:7)
- 香里をメインにしたのがとてもよかったです。楽しく読ませていただきました。
4人の中でモラトリアムの時期が長いのは、案外香里なのかもしれませんね。またはピーターパン症候群でしょうか。言われてみるとそうかも、と感じましたし、名雪たちとの対比もうまく描かれていたと思います。
欲を言えば、やはり祐一の描写も欲しかったところです。香里といえば、栞に関する葛藤は避けられませんし、そこに祐一が絡んでくるのもありますから、そこに関する記述がもっとあればよかったかな、と思います。
- 015 in the room (採点:8)
- 今までに無いタイプの異色作ですね。素直に素晴らしいという他にありません。この作品を評価するにあたり、私は今回のこんぺ作品で唯一4回は読み直しました。お気に入りの作品になりそうです。
kanonの世界に始まり、なんだか現実の世界においても当てはまりそうな主張が多々あり、うーむと思わず感心させられてしまいました。『奇跡』の定義って本当に難しくて、自分には到底出来そうもありませんが、この作品が一筋の光をあててくれたように思います。展開にも無理がなく、キャラの特徴も上手く掴んでおられていますし。
ただ、ちょっとラストが物足りなかったところだけ、減点をさせてもらいました。
- 022 アンバランス (採点:8)
- いやぁ、見事です。自分では、どこに欠点があるのかを明確に示すことが難しいと思えるほど、素晴らしいSSだと思います、楽しく読ませていただきました。
タイトルと本文のマッチが特によかったように思います。美汐と栞のペアとはなかなか意外なように思いましたが、今考えてみると、これしかないといった感じです。文そのもので疑問に思うようなところもありませんでしたし、イライラすることなく最後まで読ませてもらえました。
あえて問題があるとすれば、ラストが見えてしまっていたことです。途中で展開が予想できてしまって、読了感にぐっとくるものがイマイチなかったのが、減点の理由です。
- 024 【大切な時間と笑顔】 (採点:3)
- 美坂グループが出来た頃のお話ですね。こういったお話はあまり見かけなかったので、楽しんで読ませていただきました。きっと北川だけでなく、祐一たちも幸せな時間を感じているのでしょうね。
気になった点をいくつか挙げておきますと、まず香里の名前が「香織」になっていたところでしょうか。名前の誤字は特に気をつけたほうがいいです。
あと、主題を「過去の経緯での北川の気持ち」にしたかったのか、「現在の4人でいる幸せ」にしたかったのかが、よくわかりませんでした。中盤があれだけ過去に関することで占めていたので、ラストもそのままの流れにしたほうがしっくりしたような気がしました。どちらも兼ねた作品であるのでしたら、ちょっと最後が手薄かなと思います。
- 029 幸せなら手をたたこう (採点:8)
- うまく纏め上げられている作品だと思います。背中に走るものがありました。
話の筋がきちんと決められていて、尚且つ題材もよくマッチしていると思います。佐祐理の葛藤も上手く描かれていて、思わず感情移入してしまいました。英語のやり取りもcoolです。
減点の理由は、ちょっと状況描写が少なかったことと、展開が急だったところがあった、以上の2点です。ですが、ほのぼのSSのお手本に出来るくらいの秀作だと思います。楽しませていただきました。
- 030 12月のアムネジア (採点:7)
- 真琴と美汐の心温まる一時、楽しませていただきました。作者様は実力のある方だと思います。物語に無理がなく、テンポや展開がスムーズに行われていて、安心して最後まで読むことが出来ました。
終盤の真琴と美汐の会話がとても心に響きました。やはり、世界には悲しいことがたくさんあっても、それを忘れちゃいけませんよね。自分の糧にしていかないと、それ以上の成長はありません。この美汐にも、強く生きてもらいたいと願っております。
途中、真琴の発言に違和感が生じてしまったのと、最後にもう一ひねりして欲しかったという二点が減点の対象です。とはいえ、とても優しい物語だったと思います。
- 032 make bread,eat shorts (採点:5)
- ……評価に困る作品でした。
起承転結がきちんと出来ていて、展開、テンポもよかったと思います。ですが、何とも自分の中で高得点に出来ないつっかかりがありました。成年対象とまではいかない内容ですが……すいません。こういった評価の仕方がよくないとわかっているのですが、どうしてもこの点数になってしまいました。
「パン、ツクってくれないか」、面白かったです。
- 033 絆〜三人の幸せ〜 (採点:2)
- えーと、祐一と舞、それに佐祐理の微笑ましい1コマですね。ですが、ちょっといろいろ改善点があったようにも思います。
まず、表記に関してなんですが、三点リーダーや「なかぐろ」等に関してはそれほど抵抗が無いのでよかったのですが、「」の中に「」が混在していて、少し混乱してしまいました。言い切る前に次の発言があるのなら、二つに分けてもいいかと思います。あとは、少し蛇足的なものもありましたね。久瀬や生徒会に関しては、もしかしたら作者様の意図があるのかもしれませんが、すっぱり取ってしまっても問題ないかなと思います。人称も間違えないでいきましょう。あゆは『ボク』が正しいですね。
長々とすいませんでした。でも、もうひとふん張りすれば、もっと良い作品になると思います。それだけに、今回は厳しめの評価にさせてもらいました。
- 052 Verte aile 〜ヴェル・エール〜 (採点:7)
- むむむ。なかなか難しい文章です。作者様の意図を、どこまで自分が汲み取れたかはわかりませんが、感想は自分が感じたものを主点において考えました。うん、これは素晴らしいです。
生きるってことは本当に難しいですね。人が終わりを迎えるその最後まで、この問題は付きまとってきます。その中で、明確な解答が得られるかというと、そうとも言えません。ただ、やはりその結論は自己満足でしかありえないと思います。そう考えると北川の出した結論も、これまた一つの結論であり、同時にまた香里や美汐が出した結論も、決して否定できるものでもないでしょう。ただ、この作品における北川には、彼女達の結論は納得のいくものではなかった、と。
死についての記述もありましたね。決して悲しいだけのものではないですよね、死というのは。そこから多くのことを学ぶ機会も多々あるでしょう。大事なのはやはり、死について向き合い、考え続けるということでしょうか。ここでもまた、北川は一つの結論を出してくれていましたね。
長々と失礼しました。や、とても考えさせられる作品でした。個人的に上から5指に入るものであります。作者様と一度、ぜひともこの作品についてお話してみたいところです。
- 053 散葉咲華―another home― (採点:9)
- 間違いなく自分の中で、今回の短編作品の中でNo1です! 思わず鳥肌が立ちました。
展開、テンポ、それらの構成や表現の素晴らしさ、そして作者様の考えかた。全てにおいて文句の言いようがありません。脱帽です。自分では10点にするかどうか、物凄く悩んだところです。結果的にこの点数ですが、あるいは10点以上の評価が妥当かもしれません。祐一の考え方は自分の心に打つところが多々あったのですが、どうも利己的な感じがしたのは否めませんでした。いろいろ考えましたが、最終的には、後者の結論に至りました。
ですが、この考え方そのものに、今のところ共感しているのも事実です。素晴らしい作品をありがとうございました!
- 058 カレンダー (採点:7)
- 上手いです……。この一言に全てが集約出来てしまいますね。ただ、物語としてのヤマを感じ取れなかったのが、この点数になった理由です。
一つひとつの文がよく考えられていて、勉強になるところがいくつもありました。とても力のある作者様ですね。最後までキチッと纏め上げられていますし、そこに関しては文句の一つもありません。
ただ、それだけに盛り上がりにイマイチ欠けていた感が否めません。読者を引き付けるようなファクターがもう少しあればよかったかなと思います。
- 077 盲目考察 (採点:8)
- 作者様の文章力に、ただただ尊敬です。私なら避けて通りそうなテーマですが、難なくこなしているあたりに、作者様の力量を感じます。
祐一と佐祐理の関係を捉えた時、ああこういう解釈もあるんだなと、思わず頷いてしまいました。光と闇――。自分には無かった観点です。佐祐理の心の葛藤も上手いですし、あゆとのやり取りも二転三転して、引き付けられました。うーん、凄いです……
ただ、佐祐理のキャラクターが少し違うかなと思ったので、その分減点させてもらいました。もっと優しさとぬくもりを以って、あゆを諭したりするのではないだろうかと思います。
- 081 ボーイフレンド (採点:7)
- 自分の中で、舞のSSを上手く書ける人は誰とは無しに畏敬の念を持ってしまいます。お見事です。
二人のやり取りも仲睦まじいもので良かったです。キャラに無理が無く、展開も強引さが感じられなかったのが、とても好印象でした。
でも、内容が既出のもののように感じられてしまったのと、タイトルがもう少し一考しても良かったかな、というのが減点内容です。
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