○kram さん
- 001 一瞬の悪夢 (採点:2)
- 痕アンソロジーコミックなんかで、吉田創さんが描いてそうな話だと思った。
せっかく流血展開にしたのだから、もう一ひねりすれば面白い話に出来たと思う。
楓の異常言動や千鶴の料理、初音の行動など、配置された小ネタをもっと生かして欲しかった。
話しながら笑う楓ちゃんは可愛い。でもありがちかも。
- 002 蜘蛛の糸 (採点:10)
- えー、いきなりですが最高点を付けます。
これは凄い。痕SSの裾野の広さを感じさせて下さいました。
Kanonや東鳩などの作品世界観では出せない「重み」を、痕の世界は持っていると思っていますが、この作品からはそれを、それも正統的で上質な「手応え」のある重みを感じることが出来ました。
短く、語り抜けるような話作りも上手い。こういう話は長くなったらいけない。重さ、が「重苦しさ」になってしまうから。
そのあたりを見極めて、読みやすく仕上げるあたり、並々ならぬセンスを感じる。
作者の方はきっと、良い読書の習慣を持っておられるのでしょう。
キャラ萌え採点、とはいうが、この話の千鶴は「萌」という観点からは正当な評価は出来ないと思った。
- 003 正夢 (採点:7)
- 萌えは梓よりもむしろかおりだけど(笑)
展開がすこし言葉足らずで(というよりも、かおり一人称を採用した副害?)梓の心情をいまいちすんなりと理解しにくかったけれど、ポップに、そして素直な言葉で、物語を紡いだところは好感度高。
ちょっとマリ見てを意識した書き方かな? とか思ったけど、それはそれで別に良いか。
ラスト5行くらいで展開してる「ただのレズじゃない」かおりの描写を、もうちょっとでいいからしっかり描くと、話が締まって私好みになったかな? 私好みはどうでもいいか(^^;)
- 004 女心と秋の空〜ところにより、雨〜 (採点:9)
- あーーーーーーもうこういう話大好き。
まぁかなりありがちな話展開ではありますが、王道ってことで。
最後のシーンの雰囲気が実に良い。
ずぶぬれになって、素直じゃない二人が素直な気持ちで肩寄せ合って、楽しげに笑いながら相合い傘で歩いている。これはいいシーンだなあと思いました。読後感がじつにさわやか。
作品中では結局雨はやんでいないのに、なぜか読後、頭の中には雲間から光りこぼれる青空が見えてくるような、そんな作品。
こういう梓、大好きです。
- 005 ココアと楓 (採点:6)
- 本当に唐突な話だなーと思いました。楓とココア…組み合わせ的には悪くないですが。かなり悪くないですが。
あと、読者は終盤、唐突に一人称から三人称に切り替わって初めて、これが楓が耕一に宛てて書いている手紙であると言うことに気が付くわけですが。
書き出しから終わりまで、手紙の文章らしさがなかったので意外な感じがしました。
キャラ萌は、むしろいろいろ言いながら結局ココアを飲んでしまう千鶴さんに。可愛い。
- 006 流転 (採点:5)
- 改行とレイアウトのまずさでかなり読やすさを損なっている。
冒頭と結末の、賢治の言葉。それと子猫のエピソードをもっと切り離せば読みやすく、意味もわかりやすくなったはず。
話のテーマは良い。柏木家はまさに流転の家系だとおもう。
ただ、現代の映画をそのまま作品中に取り込んだのはいかがなものか。
ウォーターボーイズネタは、正直引いた。映画の中身がどうこうというわけではない。
痕の設定の枠内での、キャラの心の動きを描いて欲しかった。現実の、しかも最近の(たしかウォーターボーイズは2001年公開)映画の話を持ち出してくるのは、世界観の借り物のような気がする。
二次創作自体借り物と言えばそれまでだけれども、混ざってはいけないものが混ざった、ルール違反という感がどうしても胸に残る。
文章や話の運び方は上手く、なまじ他の部分の完成度が高いだけに……残念。
- 007 雪の日の花 (採点:10)
- 実 に い い。
いや本当に、基本的、かつシナリオの伏線を踏みつつ、キャラの魅力を必要最小の表現で十分に引き出している。
途中でおしることおでんドリンクの小ネタをだしてくすぐり、緊張に緩和を生み出して、それから千鶴のあたたかな一言で閉める。この展開が実に効果的。
おみごと10点。
- 008 舞台の上に神がいる (採点:1)
- SSをなめてますか?
タイトルを見てすこし期待したのに。
とても残念です。
- 009 みみかき (採点:6)
- 何気ない日常の一コマを描いた好作。しかし本当にみみかきだけの話だったなー(^^;)
薄焼きのウエハースみたいな作品。口当たりがよくて気軽に読める。軽い甘みしか後には残さない。
疲れてるときに読むと感動しそう。
- 010 エルクゥの科学力は世界一ぃ!(教えて耕一クン) (採点:1)
- どうコメントしていいやら(^^;)
まぁ、SSに小説の型を押しつけるのが間違いなんでしょうね。
ああ、あとノリが空回りしてるようにも感じられました。
売れない芸人のつまんない芸を見ているときのような痛々しさ?
- 011 雑誌と梓 (採点:8)
- 出だしの感じから、「妄想梓の暴走馬鹿SSか?」とやや警戒気味に読み始めたんですが、なかなかどうしてこれがまた。
梓の「女」の部分を描いて、しかも成功してます。
個人的にはかなり好きな部類です。
ああ、タイトルの安直さだけが残念。
- 012 愛で咲く花君色に (採点:6)
- うわ、青春だ(^^;)
楓がお笑い好きというのは、Rから出てきた設定なのかな?
水無月さんの絵でそういうのがあったけど。
採点は6.5ぐらいの感じで。直球の青春の一ページは、もう汚れきったおじさんにはまぶしすぎました。
- 013 シュレーディンガーの楓 (採点:2)
- >「梓お姉ちゃんの帰りなさいー」
> 彼女知らないが、このとき楓は
誤植報告はさておき、かなり強い電波を感じます。この作品からは。
馬鹿は真面目にやればやるほど面白いものですが、これはちょっと角度が違うかなー(^^;)
アメリカ人とかはバカ受けするかもしれませんね。
- 014 雨に降られて (採点:7)
- 今回なぜかこの「捨て猫・捨て犬」の話が多いですね(^^;)
雰囲気がとても良い作品。特に楓に気を利かせて、耕一を迎えに行くよう勧める梓との会話。
捨て犬の存在が、ちょっと浮いてしまった。どんな意味があったのかがよくわからない。
- 015 二人の七夕 (採点:4)
- 楓の話がさりげに多いなあ(^^;)
シナリオ風のセリフ。つまり
千鶴「●●●」
楓「★★! ★…」
こういう発言者名を「」の前につけるのは私的に減点です。
セリフ回しで誰の発言かはわかりますし、わからないとしたらその前後の文脈が悪いのです。
読者の読解力と、自分の筆力をもっと信じて。
あと、句読点の使い方と改行のタイミングを。
読みづらかった。
- 016 魔法少女マジカルエルクゥ (採点:3)
- ノリノリのバカSS。
いや嫌いじゃない。こういうの嫌いじゃないんですが…
お約束の世界ですわな。
2.5、くりあげ3点。
ちゃぶ台の下に潜り込む初音はかなり可愛いと思った。
- 017 風邪の吹いた日 (採点:5)
- とても好感の持てる作品なんですが、言いたいことが二つ。
中盤の、チャイム連打するかおりの登場意義がわかりません。
もうひとつは、最後。突然梓の耕一との電話話に切り替わる違和感。
これさえなかったら、もしくは上手く処理されていれば。
- 018 鬼の花嫁 (採点:6)
- 赤ん坊にパニクる千鶴さんに萌え。梓の母乳ならわしが飲む。
しかし珍しい、楓トゥルー後の話。真面目で、かつ、やや恐ろしく。
読み応えのある良い作品でした。
しかし…タイトルがなぜあんなところに挿入されているのかだけが、理解できない(^^;)
- 019 我が輩はタマである (採点:7)
- 漱石の「猫」は、最後死んでしまうのだけれども、こいつはなかなか死ななそうだ(笑)
もしくは千鶴の手にかかって。
猫の鳴き声描写は不要だったのではないだろうか。
あと、もっと猫の視点から描いた描写が欲しかった。
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