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○mightywings さん

07 中世におけるある犯罪者の変遷 (採点:8)
ナイスbad end.だが、持ち上げて落とす予定調和ではある。罪には罰を。
後半の疑心暗鬼っぷりは雛見沢症候群?バルバラも死に様がアレだし。

時代考証が整った文章なのでとても読み易い。たぶん、様々なジャンルをこなせる
腕前があるはず。猿とか亡霊とか、今度はスピリチュアル要素抜きで是非。

08 遠い日 (採点:7)
血みどろの幼年時代は、その後の彼に悪夢を与えはしないのだろうか。
都合良く忘れる程、人も世間もそこまで適当ではないかと。未来の儚さを堪能
する前に、退役軍人の様に精神疲弊に悩む日々がまず来ると思う。
焦土の中、ぽつねんと聳える洋館に、日々の糧を得ようと群がる被災者は
いないのだろうか。
子どもが塀を登って侵入出来る程度なら、どさまぎの略奪くらいありそう。
藤村や安吾や西鶴や秋成は、あの年齢で延々と読み続けられるのだろうか。
幼き頃から読んでいた、とあるが、ならば森で獣の生き様を選ぶ前に、古典から
人としての生きる術を学べなかったのだろうか。
親族が主人公に対してスルーに近い対応。どこぞの馬の骨とも解らぬ輩なのに。
途中に朝子と浮いた話の一つも無い。何年一つ屋根の下で暮らしているの貴方達?

とまあツッコミは色々あるが、一番は主人公の見事なまでの達観っぷり。
何者にでもなれるだろう、の科白はちょっと都合良過ぎでは。
若さが免罪符にならないと分かっているなら、も少しドロドロしてほしい。
プロットは良いし、表現力も高いし、キャラも立っていて、間違いなく優勝候補作なのに、
館編からリアリティーが削がれだし、感情移入できなかったのがとても惜しまれる。

09 眠れない夜に見る夢 (採点:10)
最近、後味の悪さを求める傾向のある自身だが、
このモヤモヤ感、満たされなさ、薄暗さ、それがまったくありふれた
日常に展開しているのがタマラナイ。座布団全部。

18 君は小説に名前をつけると命名する (採点:7)
実は私小説なのだろうか。飛び交う想いと心象風景は、とかく心を掻き乱す。
主人公自体が千々に乱れる性質らしいので、この人が先々の人生にどう折り合いを
つけて生きていくのかが、他人事ながら心配になってしまったりして。

最後の一文がどうにも読み取れなく歯がゆい。名前をつける行為が、主人公の中で
どんな意味を持つのかが明言されてなく、ここだけ唐突に投げ込まれた感じを受けた。

19 永く遠い旅の終わりに (採点:7)
パラボラの段階でPioneer10が閃きましたが早過ぎ?案外いそうな気がする。
筆力高いが、ネタバレしたら魅力半減ではまだまだ甘いかと。今回は辛く7点。

文体はとても丁寧で読み易い。またエピローグの柔らかい空気は大変心地よい
読後感を出している。スペースロマンも良いが、日常等身大の作品もきっと
上手なのだろう。沢山書いて下さい。

20 十字路でっせ (採点:7)
展開はお約束全開なのだが、主人公のストレートさがなんともいいスピード感を
出していて、気がつくと完読していた。
それでも、もっと詰められる話なのでは。ノリ一発な感じもある。

短編の一番手に本作を読んだのだが、このスピード感と泥臭さ、なにやら件の
プロレス話に通じるものがあるような無いような。上位ランクインを応援します。

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