○Revin さん
- 001 エターナリズム (採点:5)
- すげえ。この手の話は初めて読みました。大体筋も通ってて、かつ面白い話でした。
ただ結末が途中で読めてしまったのが残念です。
- 002 彼女の理 (採点:8)
- 繭ストーリーでいいと思ったのはこれは最初ですな。
ひょっとすると本編より好きかも(笑)。
でも結末が読めてしまったのでちょい減点っす。
- 003 Fragment (採点:3)
- 視点を変えて書く技法はよかったと思います。
しかし、話があまり好みではありませんでした。
夢や過去が話の根幹を成すというのが個人的に好かないせいだと思います。
- 004 いつか、その日の為に (採点:8)
- いい話。途中までカラクリが読めず、最後まで楽しかったです。
でもやや話の印象が薄かったです。あっさりと読めるのですが読後に残るものがないように思います。
それでも総合して、よかったです。
- 005 マジカル☆ワードを唱えよう (採点:4)
- 流れとしてはいい感じですが、題材がちょっと嗜好に合いませんでした。
結末もちょっと食傷気味なんで。辛口ですがこの点数です。
マジカル☆ というと、やはり某かのんの某佐祐理さんが思い浮かびますね……。関係ないですが。
- 006 すてるす同盟 (採点:8)
- 最初は世界観を無視した破綻ギャグSSかと思ってたけど大間違い。素晴らしい。
ギャグ部分よりむしろ結末への運び方が好きでした。
パフェ頼んだ時のシュンかっこよかったです。
- 007 とある騎士の物語 (採点:2)
- 途中でBump of Chickenの「K」という曲のことが出てきましたが、なんだかこじつけのような。
犬が人語を理解するとか、その他にも不自然なことが結構見受けられました。
話は斬新ですが、目論見が成功しているとは思えませんでした。
- 008 Search for (採点:8)
- かっこよかったです。文章も安定してます。
「我輩は猫である」のような、動物視点からの描写は斬新だと思いました。No.7も動物視点でしたが、こちらは道端で会った猫だとは(笑)。
猫が何故人語を理解できるのかが不明なのは気になりましたが。
欠点はないのですが、もう少し話に深みが欲しかったところです。
- 010 NOISY SILENCE (採点:6)
- 面白かったです。浩平はえいえんに行ってしまうんですな。
浩平が現実から姿を消してから、佐織がみずかに説得されて最後の繋がりである名前を忘れてしまうまでの間、浩平はどこに居たんでしょうか。「現実→えいえん」と移行する際の仮の場所というのがあったのかな。
佐織が名前を忘れると同時に、茜も佐織と話して再認識しかけた浩平のことを忘れてしまうのでしょうか。もし忘れてないのなら、茜が事後経過を聞いたりしたら佐織とまた話が食い違いますよね。そういうエピソードも欲しかったかもしれません。
- 011 その果ての雨 (採点:1)
- 話がよく解りませんでした。
台詞に一行を取ってしまわない書き方も読みにくかったです。文章の作法については、多少のことでは気にしないのですが、読みにくさを感じてしまうとやはり述べずにはいられませんね。
老後のことは余計だった気もします。
- 012 曇り色の時間 (採点:10)
- 短めの傑作。ONEのSSの真髄ともいえるべき作品の一つだと思います。
文章も安定していて、安心して読めました。
状況・風景描写が素晴らしかったですね。
みずかカッコエエ……。
- 013 『夕日の少年』 (採点:9)
- 文章力・構成は素晴らしい。どこを取っても穴のない設定だと思いました。
でも個人的にネタに関してだけ-1です。
城の三人の話は、寓話にしては直接的で、もうちょっと洒落てもいいんじゃないかな〜と思いました。
- 014 風の辿り着く場所 −Eternal Happiness− (採点:8)
- うおー、オリキャラに魅力! 良作決定!
前半部分は大好きです。雪見との電話の辺り、家を出る時のみさきママとの応酬までは、「これは絶対傑作。1位の可能性あり」と思って読んでいました。母の気遣いの仕方や雪見とのやりとりに於けるみさきの機微の描写。高揚しながら読み進めていました。
そしてオリキャラの登場。末莉……ではなく、琴莉たんがすげー可愛い! そして同じ盲目の人であるという奇抜な設定にも舌を巻きました。そして悲しい結末。いい作品でした。
しかし、残念なところも多々。個人的に「生んでくれてありがとう」という考え方が好きじゃないんですよね。そう感じている人を積極的に叩く気はないですが、好かない。これは個人的なことですので聞き流してくれても結構です。
次に、最後のみさき。みさきママや雪見・澪のことを、激情とはいえ一時の感傷で切り捨てるというのはよくなかったです。みさきを失うことで悲しむ人がどれだけ居るか、居てくれるかを、彼女も解っていたはずです。
……こんなところでしょうか。あ、埋葬機関なんですね、みさきさん。インドの不死身お姉さんだったんですね(笑)。不覚にも(不意打ちやん!)笑ってしまいました。
- 015 その手を離す、その日まで。 (採点:4)
- まとまってて綺麗な作品なんですが、見せ場がないように思いました。
周りの評価はもっと高いと思います。個人的な趣味の問題なので、辛口ですがごめんなさい。
- 016 二人が刻む永遠 (採点:7)
- 素晴らしいです。
浩平が他のヒロインを選んでの、みさきのアフターストーリーと言うわけですね。
こういうの好きです。文章もそれなりに安定しています。
ただみさきと雪見の再会に関しては、やっぱり偶然にしては出来過ぎだと思わざるを得ませんでした。
物語としてそういう作為的な偶然は、多寡が違えど当然どんなそれにもあるのですが、それを如何に隠蔽・カモフラージュするかが大切だと思います。
でも話としては好きです。読んでて楽しかったです。ありがとうございました。
- 017 欲深な微睡 (採点:1)
- 話の流れが気に入りませんでした。
瑞佳や浩平の言動にも首を傾げたことが幾度か。
- 018 この世界は (採点:10)
- あー、文句なしっす。脱帽っす。
音楽のモチーフは結構ありそうなもんですが、詩子がピアノとは!
話に不自然な点もないし、安心して読めました。
読者を安心させる技術というのは、相当の文章力がないと無理でしょう。
トップ3には入るんじゃないでしょうか。いい作品をありがとうございました。
- 019 トライ (採点:7)
- 前半はとても惹かれながら読んでいました。
本編の台詞、行動をなぞり、その裏でストーリーを展開するという構成は面白かったです。
ここで名作の予感がプリプリしてたのですが。
後半でちょっと残念に思いました。
浩平のことを瑞佳が忘れ、住井が瑞佳に告白するチャンスになった時です。
住井の感情がコロコロと動きすぎたように思いました。むしろあそこで裏切って暗い方向に行った方が個人的にはよかったです(爆)。
それでもなかなかに高質の作品でした。
- 020 Requiebros(愛の言葉) (採点:4)
- うーん……。どうも瑞佳が変な感じがします。
序盤でサイコさん風味だったかと思えば、終盤ではそうでもないし。
それと、例えば客席から審査員の顔色が判るというような、状況の不自然さも納得いかないです。
でもモチーフは好きです。こういう類の話は選り好みますので(笑)。
- 021 夏ノ空ニ夢ハ初マリ (採点:7)
- 成程。中学時代ですか。いいですな。
話は大体把握できましたが、ちょっとわからないところもありました。がしかし、会話のテンポがいいので高評価です。
個人的に、人には触れられないのに椅子には触れれる、地面には立てるという微細な点が気になるのです(笑)。
- 022 はやく昔になればいい (採点:7)
- うわ。不幸っていうかダークですね。避けられない不幸な運命を綴ったというより、狂気に取り憑かれた茜の物語ですね。
うーん、愛人の書いた作品に寓話的な意味を見出すのはいいんですが、持ち上げた割に作品の押しが弱かったかな。いっそ本文をこのSSの随所に散りばめて、そこで色々と茜が考えた方が手法としては解りやすかったかもしれませぬ。
大人の世界ですねぇ。俺はまだ未成年なんでこういった世間のしがらみを経験してないんですが、情事や婚姻関係が絡んでくると話が重くなりますね……。重くなると同時に、登場人物の自分本位っぷりが赤裸々になるんですが。このSSの場合ですと茜が一般主婦の心情に近づきすぎて(現実の一般主婦に失礼 笑)、本編での純粋な茜とのギャップに苦しみました。
不倫関係がよく用いられる通俗小説の雰囲気をおねSSで見たというのが多少気に入らなかったのかもしれません(笑)。話の筋としてはONE本編ともリンクしてますし、面白かったです。
ダラダラと思うことを垂れ流してしまいました。ここまで書いといてなんですが、青二才の戯言と、話半分に聞いていただいて結構です!(笑)
- 023 世界は終わり、或いは始まる。 (採点:5)
- なんというか、今までにない感想を抱きました。
最初はあまり期待せずに読み進めてました。シーンの使い分けで進めていく手法は割と好きでしたが、ストーリーが凡庸に思えました。
しかし、途中の「ふたりの唇が触」で途切れたところで、うおっ! と思いました(笑)。
この先どうなるんだ! と。続きが気になりました。
ですが、その後の展開が強引だと思いました。数十億のはずの人類の中からたまたま浩平が選ばれるのもおかしな話ですし。勝手にクローン作るのも、この手の世界観なら宇宙の規定みたいなもので禁じられて軽々しく出来ないんじゃないでしょうか?
かなり憶測ですが(笑)。
- 024 【呪いの唄】 (採点:8)
- 嗚呼、力のある人のダークは素晴らしいなあ。
「精神破壊」「冷静な状況判断ができないほどの狂気」というのはダークの常套で、この作品もその要素をメインにしていたわけですが、それでもシナリオを展開していく文章が読ませるそれで、飽きて飛ばし読みをするなんてことはなかったです。
グロ部分の描写もなかなかにリアルでよかった。瑞佳と父親の関係も、登場人物全員がどこか常軌を逸していることになって、徹底したダーク作品に仕立て上げていたと思います。
でも先述の通り、要素が安易だと感じたので満点はつけれませんでした。是非ともこの方の、違う要素を題材にしたダークを読んでみたいですね。
- 025 もういいよ (採点:2)
- 話に無理があるような気がします。展開も唐突ですし。
題材も好みではなかったので、辛い点数です。
- 026 ダンスインザダーク (採点:6)
- 面白い。
ダークが好きだからという理由だけでなく、レベルの高い作品だとは思います。
でも問題も結構ありました。まず誤字が気になりました。
「本にガン幸福だと」はちょっと無視できませんでした(汗)。
あと気になったのですが、みさきが視神経断裂という事実は変わらないのだから、この一人称の主人公になってるみさきの視力も回復する道理がないのでは?
以上っす。読んでて楽しめました。
- 027 埋もれた夢に、あなたはいない (採点:9)
- うおー! なるほど。巧い話ですな。
佐織の葛藤の描写が巧かったです。スラスラと読めるような簡単な文章ではなかったですが、作品の味としてそれはそれでよかったと思います。
でも佐織がちょっと自虐的過ぎたかな。別に佐織の行動が、彼女自身が狂気に呑まれたいと思うほど悪辣なものであったとは思わないし、"それは客観視しているからそう思うのだろう。本人の立場・境遇から考えてみれば、あの行動は許せないことに他ならない"というわけでもないと思います。
でもよく考えたら、ひょいひょいと人が消えたりする世界って、確かに怖いものがありますよね。もしこんな世界に俺が生きていたらどうだっただろう(別に愛しい人を失うということだけに限らず 笑)、瑞佳や佐織のように振舞えるだろうか? 考えられるだろうか? ということを今一度考えさせられた作品でした。
文章構成力は称賛に値します。ありがとうございました。
- 028 歩いて帰ろう (採点:8)
- 良作ですなぁ!
唐突にえいえんに来ちゃってますけど、違和感なくというか、話に入り込めました。
でもやや斬新さに欠けるかもです。
文章力は基本的には素晴らしいですが、テンポがちょっと微妙な文とか
(その行為に対して浩平は突然起こった局地的な地震にしばらくは必死に堪えていたが)など
ありましたんで、この二点合わせての評価です。
でも、俺なんかはぜんぜん敵わない気がします。すごいっす(笑)。
- 029 澪とみさきと長森と (採点:9)
- 面白い!
ギャグも冴えてましたし、みさき先輩と澪をくっつけていきいきしてたのがいいですねぇ。
テンポのいい作品でした。
- 030 『パラダイス☆銀河〜愛と絶望の小豆洗い〜』 (採点:5)
- 面白かった。面白かったがかなり無理があるところも少々(笑)。
ギャグSSを深くは言いません。野暮ですから!
- 031 空の在り処 (採点:7)
- 良作ですね。なかなか説得力もあって、面白かったです。
わーいと真ん中に飛び込む澪がハイパー可愛かったです(笑)。
- 032 ALive (採点:5)
- いい話なんですけど、展開がベタでした。
「リハーサルでみんなを呼んでくれないか」辺りから、結末を読んでしまいました。裏切られる展開を期待してたんですが、そのまま行ってしまいました……。
俺は音楽が大好きなんで、音楽をモチーフにした話は無条件で好きになってしまう癖があります(笑)。これがもう少し意外性のある展開だったなら、もっとよく仕上がったと思います。
あと文章に関してですが、「グフッ…ガハッガハッ!」という擬音に失礼ながら笑ってしまいました。やられたRPGのボスみたいで、ちょっとおざなりだなぁと思いました。すみません、直感的な意見で、一般にはそんなことはないかもしれません。
- 033 コイゴコロ (採点:9)
- 何本目の傑作だこれは……。ダメだ、中編、勝てん……(←愚痴りすぎ)。
詩子の日常、茜の恋慕、浩平の天真爛漫さ。どれも巧く描かれています。
健気な詩子が大好き。このSSの主人公を挙げるならやはり詩子! と言いたいところですが、どのキャラも重要な役割ですよね。後日談としての性格を持ったSSでしたが、七瀬なんかもさり気なく出てきて楽しかったです。詩子の予備校での同僚も理知的な感じで話の流れに貢献していたと思います。
欲をいえば一波瀾あってほしかったな〜なんて?(笑)
- 034 莫逆の友の恋 (採点:9)
- 来た。来たね。会心の笑いが。
一番笑えたSSです(笑)。いやあ、読んでて楽しかった。
途中、ちょっと力不足のネタがあったりしたので-1点だけ。
でもホント面白かった。文章力も高いし、テンポがよくて読みやすいと思いました。
中編レベル高すぎっす。
- 035 夢を観た日 (採点:5)
- もったいない。非常に、かなり、とてももったいない。まず外見で損をしています。句読点がない、改行後の一字開けがないのはかなり損でしょう。俺はあまり気にしませんが、コンペでは厳しいのではないかと思います。
この文章力だけにそれがもったいない。文章は高度なものだと思うんです。みさおとのギャグもかなり面白かったです。
あとネタに関してですが、これが減点の要因です。まず色々と矛盾点が多いです。浩平が幼少でみさおを亡くし、夢を見ることでその開いた穴を埋めようとするのは解ります。しかし夢を見ている時点の浩平もまた幼少の頃であるはずです。にも関わらず、高校時代を巧みに想像し、これだけ難解な単語を羅列して状況を説明できるというのもおかしいと思います。通常出てくるはずのヒロインが出てこないのは頷けますが、ならばどうして氷上を知っているのかというのも疑問です。
前半〜中盤にかけての夢を見た後に浩平はみずかと盟約を結んでいるようですが、ちょっとタイムリー過ぎる感も否めません(これは俺に限っての感覚かも)。
途中に出てくる平仮名のみの文章も読みにくかったですね。雰囲気を出すことには成功していますが、もう少し方法がないものかとは思いました。
もったいないと思います。題材も悪いというわけではないのですが、矛盾点とか疑問点とかの解消が不十分でしたね。外見で損をしない文章作法と、十分な推敲能力を身につければとんでもない作品を書ける方ではないかなと思います。
- 036 たいせつなひと (採点:5)
- 話は美しいのですがインパクトが足りないか。帰還SSはコンペ中だけでもいくらか見かけているので、やはり相対評価である以上どうしても低得点にせざるを得ないです。
繭の無邪気さが友人に驚きを与える(高校に堂々と入っていって普通に会話できるなど)描写は面白かったです。
一つ疑問が。冒頭の部分で「虐めなんかされたらぶっ飛ばしてやるけどな」と述べている美亜が、中盤では「あたしなら、きっと抵抗するか……それとも……それこそ、学校に来るのを止めるだろう。いや、多分あたしが選ぶのは後者だ」となっているのは矛盾してないでしょうか。もし美亜が、友人の前だからといって虚勢を張っていたなら、それは残念なことです。
- 037 虚構少女 (採点:10)
- シリアスってなってますけど、これ、今回俺が『不幸』と銘打って出した奴より不幸じゃないですか?(爆)
話が最高に面白かったです。最高に。私的、物語の設定1位。
キャラが一番しっかりしていると思いました。
作者の主張や"こうあるべき"を書いているのではなく、ありのままの状況・展開を読者にデデーンと突き出して「どうよこれ?」というような、いい意味で乱暴な作風が印象的でした。前者が数としては多く、よい作品はむしろ前者の方が多いものですが、この作品は多聞に漏れ"て"超良作だと思いました(笑)。
読者を魅了するように散りばめられた格好いい言い回しも、ステキなギャグも(「折原に白馬が乗って」は爆笑しました)、どれも一級品でした。
誉め倒してますが全部率直に感じたことです。笑いと、そして一抹の哀愁をありがとうございました。
- 038 廻り廻るAffection (採点:4)
- 文章は安定していていい感じです。
でも如何せんストーリーが気に入りませんでした。
由起子さんの気質に多少の違和感は感じましたが、それが良作たり得なかった原因ではありません。ただ、将来につながるプロセスとしての前半があって、最後に幸せで平和な将来が待ち受けている、というのは安易ではなかったかと思います。
子供に「みさお」も安直だと思いました。
- 039 フリップフロップ (採点:3)
- なるほど。世の中に出ている仕組みになぞったわけですな。でも何故それになぞられているのか、それになぞることで何か感動が生み出されるかと問われれば、俺はその答えを予想することができないです。
物語にも魅力を感じられませんでした。みさおのキャラは「グレイト……」でしたが(笑)。
- 040 こんな愛の形も良いじゃない (採点:3)
- 話に現実味を見出せなかったという感じでした。物語なんだからそれを了解した上で読むべきであって、そこに現実性を求めるのはお門違いと言われるかもしれませんが、感情移入ができないです。
還ってくる浩平と、くっつく住井&詩子。出来すぎだと思いました。
とはいえ文章が破綻しているわけでもなく、読破は精神的に容易でした。
- 041 Last Lovesong (採点:2)
- 著者のONEの世界に対する姿勢が、真摯なのは伝わりました。
しかし、ちょっとストーリーには辟易したと言わざるを得なかったです。
キャラクターの心理描写が危ういという感じでしょうか。
やっぱり留学なんて話が持ち出されたら、一番に瑞佳の頭に浮かぶのは浩平ではないでしょうか?
- 042 オレとあいつと彼女の事情 (採点:6)
- つうか始終佐織さんに激萌なんですがいやなんでもありませんハイ。
折原帰還ネタは正直ちょっと飽き気味ですが、南の心理描写が好きでした。
しかし友情キーホルダー、ううむ(笑)。
- 043 夕焼け色のシンデレラ (採点:3)
- うーん。言い回しが、不必要なところでも婉曲的で飾り過ぎだと思いました。
キメのところでのみそうするとか、濃淡はハッキリ分ける方が俺は好きです。
あと、文章中での色々な事柄の説明が抽象的過ぎて掴みにくいこともありました。
- 044 小さな幕間劇 (採点:10)
- 巧すぎる。すみません、この感想、二回目の感想です。
一回目の感想には「ちょっと意味わかりませんね」的な感想を書いていましたが二度三度読んでハッとして全て削除して書き直しました(笑)。
まあ「相原」に惑わされたこともありますが(爆)。この誤字は致命的だと思います。
それにしても巧いですね。巧いなあ。敵わないなあ。
マイナス要素を全て差し引いても10点献上です。
- 045 永遠と瑞佳のあいだ (採点:1)
- まず主題が見えません。別にSS全てに主題を求めませんが、かといって敢えて主題を用意しないことを意図した作品だとも思えませんでした。
エロネタは良いです。むしろ好きです。しかし、この作品では必要性が感じられませんでした。読者をニヤリとさせるには露骨過ぎるし、そもそも瑞佳の羞恥心のなさにも辟易しました。いくら浩平を待ち続けたとしても人格が変わってしまうことはないでしょう。変わってしまったとしても、このような変化に魅力を感じることは出来ないです。その意味で作品として不出来ではないでしょうか。
瑞佳とのデートをすっぽかして、深夜に瑞佳を訪ねる神経も理解しがたいし(浩平の悪癖としても度を超えてます)、瑞佳の怒りを抱擁でごまかす浩平にもなんだか腹が立ちます。そのくせ何度もそれを繰り返す浩平もやはり首を傾げます。
文章構成・表現にもまだ改良の余地があると思います。妙に高いところからの物言いのような感想で恐縮ですが、言いたかったので言わせていただきました。
- 046 キャラメルのおまけ (採点:9)
- ヒョォ……。ダークっぽい感じです。なるほど、えいえんの世界の瓦解はこのようにして起こってるかもしれませんね。そうなると浩平の帰還を素直に喜べないのですが(笑)。
崩壊する世界の描写が黒くて好み。還っていく浩平が悪役にすら感じられてナイスです。
4段落目の視点もみさおに固定されてますが、みずかとともにえいえんの世界の瓦解に巻き込まれていったはずのみさおが、どうやって帰還後の浩平たちを観察しているのか? という点を除けば、甘くてどこか辛い現実を迎える、この物語の読後感はよかったです。
キャラメルのおまけという材料が非常にいい味出してますね。センスあります。
- 047 「わたしはあなたと歩きたい」 (採点:5)
- 七瀬がイギリスっすか。新しいですねぇ〜(笑)。
なかなか面白いと思ったのですが、題材がちょっと気に入らなかったです。
最後も別に、英語を持ち出さなくてよかったような気がしますね。
領収書を抱きかかえるのがカワエエですな!
- 048 待ち合わせ (採点:9)
- 途中の落ちていた携帯電話は、もしかしたらみさき先輩の真横にまで来た瞬間にえいえんへ消えてしまった浩平の遺したものだという設定なのか!? と深読みしまくってしまいましたが、そうではなかったですね(笑)。
障害のことに関しては色々と考え方があるんだろうと思います。個人的な見解としては、障害を持った人と対等にすることは無理だし(これは『普通を意識した時点で普通にするのは無理だ』とあったSSもありました)、"各々の裁量だ"と放置しておこうにも社会的な非難が絶えないだろうと思います。
この作品にはこの作品の答えというものが最後に提起されていたように思います。賛否はともかく、「春が来て、夏が来て、秋が来て、冬が来て、私の目はずっと見えなくて。だから、そばで目の代わりをしてくれる人が必要で、それは浩平君で」「それがずっとずっと続くならば、私は幸せです」
みさき先輩と浩平の二人の間には、これが一番いいのかもしれませんね。
- 049 雨音は誰が為の歌 (採点:9)
- レベル高いなあ中編。
ストーリー文句なしです。最後までノンストップで夢中になって読みました。
最後に不器用なプロポーズをするのがいかにも浩平らしいというか(笑)。
ただ子供に「つかさ」が蛇足だったように思います。
そこまでなぞらなくても十分にいい話だったと思います。
それでマイナス1点っす。あとは文句なしです! いい作品をありがとうございました!
- 050 セレナードで眠らせて (採点:8)
- 甘ったるいぜイエイ。
好きじゃないジャンルなんですが、大好きです(何)。
余すとこなく洗いたい……じゃない、洗ってやってほしい……でもない、いやでもやっぱ洗ってほしい……って、アホみたいに悶々と読んでました。
素敵でした。
- 051 南西の風は瑞穂実る平原に (採点:4)
- やっぱりONEはハッピーエンドが映えますね。
ですが途中、瑞佳の行動に不自然さを感じてしまいました。
タイトルと内容の関係がかなり希薄な気もしますが、美しいので可(ぇ
- 052 未来の二人に (採点:10)
- うわっ、何だこりゃ!(超失礼) 何と素晴らしいストーリー。巧く点数のバランスをとろうと10点はもう抑えるつもりが、こんなSS読まされたら問答無用で10ですよ。
文章力はピカイチですね。ONEらしさが全然見受けられない傑作。後日談のストーリーとしては非常に素晴らしい作品だったと思います。
子沢山みさきも気に入りましたが、名演出家雪見もいい味出してます。"なにものかを批判するには、そのなにものかを熟知した上で批判しなければならない"。いや、勝手に作った言葉ですが。世の中に対して辛辣に当たっている二人がそれでもウケる作品を送り出すというのは、その批判している対象である世の中を熟知していると示していますね。
雪見が厭世的な捻くれ者である設定はかなりよかった。理詰めで文語を用いまくり、そのくせどこか熱血である彼女のアイデンティティは確立していると思いました。小中高と、波瀾万丈な人生を送った彼女と、その師との出会いも素敵でした。
そして対するみさきも思想の根幹は雪見と似通い、それでいてまさに対称的なスタンスであるという面白さ。人間は自分にないものを持っている者に惹かれるという説もありますが、これはある意味でその説を体現していると思いました。これぞ『黄金コンビ』。……どうでしょう、末文に絡めてみましたが(爆)。
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