○Manuke さん
- 0001 虹の架け橋 (採点:5)
- 全体に流れる雰囲気は悪くないですね。結びの言葉も洒落ていて面白い感じです。
ただ、言い回しが少々まわりくどい感じがして、お話と合っていないように思えました。
『意地になって言わんとしてしまう』のように、使い方を間違えている場所もいくつかあるようです。
また、誤字もかなり見られました(『自身がある』『道ずれ』等)。ご注意を。
- 0002 ぜろぜろなゆちゃん〜凶悪兵器を破壊せよ!〜 (採点:2)
- う〜ん……。ところどころ面白い箇所もあるのですけれど、やはり全体的に安易です。
オチも全く意外性がなく、切れの悪さを感じました。
脚本形式にしては場面や演技の説明がほとんど入らず、単に地の文を省略するためのように見えてしまいます。
個々の台詞回しはなかなかテンポが良い感じでした。
※書式で気になった点
・閉じ括弧直前の句点が余計 : 「あいうえお。」 → 「あいうえお」
一部のみというのは明らかに校正不足。
- 0003 皐月の陽光、うららかに。 (採点:4)
- それなりに楽しくはあるのですが……。
色々と詰めの甘い部分があるように思われます。
まず、没収という手段を取った上、違反者をさらし者にすると決めた時点で、生徒の暴挙に警戒しません?
無防備に鍵を鞄に入れたままというのはかなり愚かな行為だと感じます。
紐にでも付けて首から下げてもいいし、体育の間だけ教師に預かってもらってもいいわけで。
持ち物検査を承認しておいて、後から難癖を付ける久瀬も変に思えます。原作ともキャラが違いますし。
祐一がやけに北川君に冷たいのも気になります。冗談を通り越して友達甲斐がないように感じられました。
栞と香里のキャラクタは良い味を出していると思います。
- 0004 届け、この想い (採点:5)
- 面白いアプローチだと思います。子供ながらに格好いいですし、いかにも祐一らしい感じですね。
ただ、いくつか気になる点もありました。
まず、沢渡真琴嬢の年齢です。原作では
『彼女は三つも、四つも離れたような、上級生だったはずだ』
という記述がありますので、まず間違いなく小学生でしょう。(学校が異なれば上級生とは言わないでしょうし)
このお話ではそれなりの年齢のように読めますから、少々矛盾を感じました。
それから、真琴とあゆの出来事が同時進行というのも、やはり無理があるように思えます。
子狐にはあこがれの沢渡真琴嬢の話をしながら、他方であゆと『初恋』していたことになりますから(^^;)
また、名雪が祐一に雪うさぎを見せるシーンの台詞から考えると、それ以前に雪うさぎを作って遊んだことがあるようにも思えません。
沢渡真琴嬢と男性のお話も、結局何がどうだったのか不明のまま終わってしまいますし。
※書式で気になった点
・閉じ括弧直前の句点が余計 : 「あいうえお。」 → 「あいうえお」
一部のみというのは明らかに校正不足。
・棒線に長音記号を使用 : 「ー」 → 「――」
長音記号は音節を伸ばす発音のための記号。
できれば全角ダッシュ「―」(JISコード:213D)×2が望ましい。
- 0005 あの素晴らしい愛をもう一度……いや、マジで。お願い。俺んトコだけでもいーから! (採点:8)
- 表現も文章も面白いと思いました。終わりもなかなかに味わいがありますね。
ただ、大変読みづらいのも確かです。
筒井康隆氏なんかの作品で、キレた文章がページを埋めつくしているものに出くわすと、こっちも半ば意地になって文字を追うわけですが、あれに近い印象でした。
それから、シモネタが多いのはちょっと安易に感じられます。
『寝物語』って、子供を寝かしつけるための物語ではなく、艶っぽいものを差すような……。(私の勘違いかも)
また、『鹿も』のような誤字もいくつかあったようです。ご注意ください。
ところで『真逆』って表現を最近よく目にするようになった気がします。なんか以前は見かけなかったと思うので割と新しめの言葉なんじゃないかと思いますが『まぎゃく』。いや意表を突いて実は『まさか』のことだったりすると『俺の進行方向とまさかに向いている』ということで、それはそれで明後日の方向みたいで格好いいんですが、明後日ってどっちなんでしょうね? まあ四次元ベクトルで示されても困るわけですけど。それはともかく『逆』をさらに『真』で誇張しなければいてもたってもいられないということなのだとしたら、これはきっと『偽逆』というものがあるのだろうことは想像にかたくないです。そうすると、この『真偽』の境目はどのあたりだろうと思いを馳せざるを得ないわけで。もう『真逆』ってぐらいだからおそらくラジアンで言うところのπなのでしょうけど、それがどこらへんから『偽』に変わるのかな。卑しくも『逆』を名乗る以上、π/2だったりするとその矜持が保てるとは思えませんね。と言うか、私だったら恥ずかしくて死にます。つまり最低でも3π/4超・5π/4未満は譲れない線ですとも、ええ。
- 0006 MIND YOUR STEP! (採点:4)
- 後半の展開はほのぼのしていて良いのですけど……。
前半は物足りなさを感じました。北川君、察し良過ぎです。
また、特に北川君の苦悩が、やや底が浅いように見えてしまいます。香里の言葉で簡単に立ち直るあたり、少し現金な印象が……(^^;)
後半の北川君の鈍感さもお約束過ぎる感が否めません。アプローチして空振り状態の香里は可愛い感じでしたけど。
『二人の中は』『美坂自信だろ!?』等、誤字が目立つようです。お気を付けください。
- 0007 華音霊異記 (採点:1)
- えーっと……。せめて、完結したお話で参加しましょう。
それから、他作品のキャラクタの使い方がネタの範囲を越え、投稿規定のクロスオーバー禁止に抵触していると感じます。
このような冒険をするだけの意味があるようには思えないのですが。
なお、同一人物の台詞を連続させるのは控えるようお薦めします。誰が発言しているのか分からなくなりますので。
- 0008 残り灯 (採点:1)
- えーと……。
栞シナリオをこんな風に掻き回して、ちゃんとした結末を付けずに終わりにしますか。
栞は北川君に失恋で自殺未遂、香里はやましくて栞を拒否……これはあんまりでしょう。
北川君は既に亡くなっているようですが、その辺りの説明も投げっぱなしではお話になりません。
誤字も多いようです。校正はしっかり行ってください。
- 0009 やみつき (採点:4)
- ほのぼのはしていますが、引っかかる部分も多数ありました。
まず、展開がやはり安易に感じられますね。『選考が難航している』という辺りで、祐一がそれを演じるのだろうと読めてしまいます。
せっかく演劇を題材としているのに、その演技がばっさり省かれているのは残念。
また、美汐が美汐らしく見えないのも問題ですね。
原作の美汐は登場回数も描写も少ないので、明るくなった後の『美汐らしさ』を表現するのはそれなりの困難を伴います。
※書式で気になった点
・鉤括弧のネスト
内側の括弧は二重括弧『』にすべき。
- 0010 雪もよう、ところによりノスタルジィ (採点:3)
- いい歳して自分のことを『少女』ってのは、かなり……(笑)
お話の雰囲気や文章は悪くないのですけれど、名雪の思い詰め方が作り物っぽく感じられてしまいました。
家を出るということは、「この街には帰ってはこない」と必ずしも結びつかないわけで……。
結婚式や葬式があれば、帰らざるを得ないでしょうし。(象徴的な表現なのかもしれませんが)
また、各キャラクタらしさが今ひとつ表現できていないような気がします。時間の経過による変化ということではなく。
特に、中盤での真琴。なんだか栞のように見えてしまいました。
原作ではかなりの天の邪鬼なわけですから、帰ってきて以降よほど性格が変化したのでない限り、そうそう素直にはならないと思います。
終盤の方は、それまでとは逆に真琴らしい雰囲気が表れていましたので、余計にそう感じました。
それから、やはり回想での『ゆーくん』はかなりの違和感。
もちろん、原作での回想以前の時期にそう呼ばれていた可能性もありますが、だとしたらそれを文中で明記すべきではないでしょうか。
- 0011 プレイアデス(Play-a-Death) (採点:5)
- 祐一の想い、香里の想いが面白い構図になっていますね。
名雪の決着も良い感じです。
ただ、テーマ上仕方がないとはいえ、名雪や北川君が祐一達の異状に全く気付かないというのはちょっと寂し過ぎます。
また、『交際宣言』のくだりは大げさで、シリアスのストーリーから浮いた感じが否めませんでした。
特に教師たちは、栞が亡くなったことを知らないはずはないと思いますので。
- 0012 思い出という名の道しるべ (採点:5)
- ほのぼの感が良く表現できていると思います。
登場人物も生き生きと動いていて、各キャラクタらしさが描写できているようです。
ただ、ネタとしてはちょっと安直過ぎるかな、とも感じました。
それから、文章表現にちょっと疑問を感じる箇所がいくつか……。
誤字もありました(『予想どうり』『興味深深』等)。注意しましょう。
※書式で気になった点
・閉じ括弧直前の句点が余計 : 「あいうえお。」 → 「あいうえお」
一部のみというのは明らかに校正不足。
- 0013 蛍火 (採点:9)
- 《カンパニュラの花言葉:うるさい》……失礼、これは違いますね(^^;)
奇麗なお話でした。丁寧な情景描写で、切ない雰囲気が演出できています。
不器用な香里、そして香里を支えることができなかった祐一が物悲しく、それでもどこかしら暖かい締めくくりが心地よいお話です。
ただ、ちょっと違和感を覚える箇所が無きにしもあらず。
最初の花火大会の時点で祐一は半年ほどこの街で過ごしているわけですよね。
この街での夜が暗いことを知らないはずはないと思うのですが……。
置き去りにされるのを恐れるのも、子供じゃないわけですし。
(当該の部分は、まだ街中のようですから特に)
それから、栞は『生まれつき体が弱くて、ほとんど外に出ることも許されなかった』という台詞が原作にあります。
『栞は普通の小学生と変わらなかった』という表現には少々齟齬を感じました。
また、些細なことではあるのですが、文章の途中で改行を入れるのはできれば避けていただきたいと思います。
作者さんが想定されている桁数より狭い状態のブラウザで閲覧すると、かなり見栄えが悪くなりますので。
- 0014 キスで終わる物語 (採点:8)
- ああ、良いですね。香里、すっごい楽しそうだし(^^;)
SSってのはかくあるべきものなのかな、と思わされました。
中盤以降、読んでいるこっちがやたら恥ずかしい状態でしたけど(笑)
- 0015 らんじぇりーらす (採点:8)
- う〜ん……ぱんつネタで最初から最後まで引っ張りますか……。
その意気やよし!(笑)
栞や美汐の可愛い感じが出ていると思います。名雪・香里もGood。
特に栞と香里が普通の姉妹関係になっていて、とても暖かく感じられました。
ただ、途中の美汐視点に切り替わるところはちょっと戸惑います。
途中で気付いて、どこから変わったのか確認のために読み返さなければいけませんでしたから。
いっそ章ごと美汐視点で進めても良かったと思うのですが。
それから、どうでもいいことかもですが、栞は留年してもリボンの色は緑のままなんでしょうか?
- 0016 sTrAwbErRy FiElDs fOreVeR (採点:1)
- なるほど……。面白い趣向とご意見だとは思います。
しかし、同意できるかどうかは別なわけで。
※書式で気になった点
・鉤括弧のネスト
内側の括弧は二重括弧『』にすべき。
- 0017 ホロニック・パス (採点:2)
- う〜ん……。ごめんなさい、私には合わないお話でした。
描写はしっかりしていますし、語られるお話も感心できるものです。
しかし、作者さんの中で『Kanonのサイドストーリーであること』と『物語の内容』と、どちらが重要であるのか疑問に感じてしまいました。
主と客が転倒してしまえば、それを二次創作と呼ぶことにためらいを感じざるを得ません。
秋子さんはともかくとして、祐一や名雪、香里の言動に深みがなく、キャラクタらしさも感じ取れませんでした。
まあ、脇役ですから当然かもしれませんが……。
- 0018 片翼の天使 (採点:2)
- アイディアは面白いと思います。
ただ、どうにも不快感が先行してしまって、楽しむことができませんでした。
(内容が不愉快ということではなく)
また、文章表現にかなり問題があります。
(『はじめに願ったのは、家に帰っても自分のことを忘れないでほしいと願った』等)
- 0019 12時の魔法 (採点:8)
- ゆっくりしたリズムの暖かい物語が良い感じでした。
名雪の依存を諌める祐一と秋子さんも、悪くない印象です。
風邪の治りかけで一晩中外にいるのはどうかと思わないでもないですけど(^^;)
それから、『食器』のくだりは院内感染のことだと思われますが、確か病院の給食施設では熱湯等による食器消毒が義務づけられているのでは?
- 0020 花火は空に、君は地上に (採点:5)
- 調べてみましたが、冬に花火を打ち上げるところって本当にあるんですね。知りませんでした。
雰囲気は悪くないですね。北川君が生き生きとしていますし、末尾の余韻も良い感じでした。
ただ、失礼ながら個人的な印象としては、あゆシナリオのエピローグよりも見劣りします。
祐一も、あまり原作の祐一らしさが表われていないようですし。
それから、香里の心情を描きたかったのかもしれませんけれど、香里視点のせいでストーリーの力点がぼやけてしまった感がありました。
さらに、細かい点ですが『友人よりも少し薄めの青』という表現に違和感。
髪の色が青かったり金色だったりするのは、ゲーム画のお約束だと思ってますので。
- 0021 憂鬱な自殺者達の午後 (採点:1)
- コメディだとすると、ネタが完全に滑っているように見えます。(やっぱり違うのかな……)
『悲喜交々』『木端微塵』等、言葉の選び方を間違えている箇所が多数ありました。
あまり背伸びをせず、ご自分の力量に見合った文章を書かれることをお薦めします。
また、誤字も散見されるようです。しっかり校正を行ってください。
※書式で気になった点
・閉じ括弧直前の句点が余計 : 「あいうえお。」 → 「あいうえお」
- 0022 眠り姫に恋焦がれて (採点:3)
- 悪いお話とは思いませんが……。どうにも、ありがちなストーリーに感じられてしまいました。
せっかくの北川君の過去も、単なる思い出に終始しちゃってますし。(もう少し現代に絡めるべきかと)
エピローグも少々安易な印象が否めません。
- 0023 今と出会うために時計は時を刻む (採点:8)
- 奇麗な物語です。
不思議な時計にまつわる、四者四様――というか五者五様――の反応が面白いですね。
名雪の得た強さ、栞のまっすぐな心、あゆの決意がとても良い印象です。
香里はちょっと依存しすぎのように感じましたけど(^^;)
ただ、美汐が取った行動はちょっと共感できませんでした。
もちろん、その罪を自覚した上でなんでしょうけど、彼女ら全員の決意を台無しにしてしまうような行動ではないでしょうか。
あゆの事故や栞の病に対しての干渉は、祐一と栞の接点をなくしてしまうことにも繋がるわけで……。
時間改変後も以前の記憶があゆ達に残っているようですが、ここは少々ご都合主義に見えてしまいました。
それから、あと二人反応を見てみたかった人物がいます。佐祐理さんと祐一です。
佐祐理さんは、登場人物中でも内面が脆い人だと思われますので、どう反応するのかは興味深いですね。
祐一は(あゆのことを知っているものとして)、それを描く人の中の祐一像によって大きく異なるような気がします。
そんな風に思いを馳せたくなるような、面白い物語でした。
- 0024 SMALL TWO OF PIECES (採点:6)
- 名雪の狂気と香里の狂気、おみごとです。
描写も流麗で、楽しませていただきました。
ただ、いくつかの点で少々不満を感じます。
例えば祐一の描き方。色がなさすぎる、というか……。
- 0025 目くそ、鼻くそと共に散れ (採点:6)
- # Google? gooではなく?
テンポが良く、楽しめました。
出し物の演目をしっかり描写しているのも好感が持てます。こういうものを省くSSが多い中で。
久瀬側の動きが見られないのはちょっと残念かもしれません。
また、文章表現に違和感のある箇所がいくつか見られました。
それから、のび太君が眠るのにかかる時間は二秒ではなく三秒です(^^;)
- 0026 ちょっとだけ大人になれるジャムの秘密 (採点:6)
- 『蒼いジャム』で繋がったオムニバスですか。一風変わっていて面白いですね。
ただ、秋子さんのパートはちょっと他のお話と比べて浮いているような気もします。
それから、流れを見ると祐一は名雪のことを想っているようですが、その割にはあゆといい雰囲気だったりと、腑に落ちないような……(^^;)
- 0027 雪の迷宮 (採点:2)
- えっと、何故午後十時なんですか?
原作でも小説版でも、日付が変わってるんですけど……。
全体的に、祐一も名雪も深刻さが表現できているように見えませんでした。
特に名雪は、母を失うことへの恐怖と絶望が感じ取れないのは残念なところ。
※書式で気になった点
・閉じ括弧直前の句点が余計 : 「あいうえお。」 → 「あいうえお」
- 0028 炉辺に腰掛けて、 (採点:1)
- 面白くないとは申しません。間違いなく、面白い。
同時に、読んでいてうんざりしました。おそらく作者さんの意図通りなのでしょうけれども。
どうでもいいことですが、『「ガリバー旅行記」にでも出てきそうな巨大な倉庫』ならば、己の小ささを感じ取るのはガリバーの方でしょう。
- 0029 アナタに贈る小夜曲 (採点:3)
- 名雪の止まったままの想い、そして香里の友情が魅力的に描けていますね。
ただ、引っかかる部分も多数ありました。
まず気になるのは情景描写の薄さです。特に場面展開の部分、たった一行で学校から家に帰ったりと、かなり不満を感じます。
原作の『雪うさぎ』のシーン改変も意味不明。何故こうする必要があったのでしょうか。
(雪国で、雪うさぎを作ったことがないなどということは考えられないから?)
さらに、文章表現にも難がありました。(『息を切らしながら少し崩れてしまった雪うさぎを抱えながら』等)
また、ところどころ文末に句点がなかったりしますね。意図されてのことかもしれませんが、奇妙に感じられるだけです。
- 0030 おくりもの (採点:3)
- う〜ん……。ギャグなのかコメディなのかシリアスなのか、どうにもバランスが悪いように思われます。
頭に穴が空いてしまうような状況で無事となると、もうなんでもありの世界ですが、その後はそんな様子もありませんし。
名雪の部屋前のシーンも、シリアスから突然コメディシチュエーションに移ってしまい戸惑います。
北川君に対するいじめが酷いのも、引いてしまう一因でした。
また、名雪ルートをベースにしながらも、あゆの一時的な目覚めや、『お互いに自分を傷つけ合っていた』(?)状態など、オリジナルの要素が強いために今ひとつ感情移入できません。
ただ、名雪はとても魅力的に表現できていると感じます。
- 0031 沈黙のプロミス・ベル (採点:2)
- うーん……。タイトルを終わりに持ってくる演出は悪くないんですが……。
キャラクタがステレオタイプで、かつ『らしさ』が今ひとつ不足しています。
栞がハイテンションなのは寂しさの裏返しだとしても、舞はインディアンのような喋りですし、佐祐理さんも『めっ!』などと言う人ではないでしょう(トラウマがありますから)。
さらに、祐一君モテモテ状態だというのもかなり引いてしまう部分です。
真琴にベールを被せるということは、この祐一はものみの丘で真琴と結婚式を挙げたわけですよね?
舞達と一緒にいたらしき台詞もありますし。
あゆが逃げ出すのも当然のような気がするのですけど(^^;)
名雪の伝えたかった言葉は、『さよなら、祐一』ですか?
だとするなら、このさり気なさは良い感じです。
- 0032 metaphysical (採点:8)
- 北川君が良い感じです。友人関係はかくありたい、と思わせられるような。
祐一と栞の、現実を見据える姿勢も好感を持てます。
ただ……。
ここに描かれた『現実的』な視点は、『物語』としてのあゆの存在否定になっているようで、それがとても悲しく感じられました。
もちろん、それがいけないというつもりはないのですけれど。
- 0033 めぐり、ひとひら。 (採点:7)
- 雰囲気、嫌いではないです。ただ、これ『不幸』なんでしょうか?
いや、一生栞に付きまとわれる香里、不幸と言えば不幸なんでしょうけど……。本人、喜んでるっぽいし(^^;)
祐一が一旦記憶を失うあたりがちょっと弱い感じがしました。
栞が亡くなっているのに、なんだか妙にほのぼのとしたお話は結構好きです。
- 0034 白の世界に天使はいない (採点:9)
- 佐祐理さんは舞のそばにいながら、舞のことを見てはいないのですね。
悲しいけれども、良いお話でした。描写も丁寧で、好感が持てます。
ただ、二三ひっかかる部分も……。
『銀色のスロープ』のくだりなんですが、ちょっと情景が浮かびません。前後から読むと『手すり』のような気がするのですけれど。
(これは私の読み方が甘いせいかもしれませんが)
舞に対する『保証人』の表記も少々おかしいような気がします。素直に『保護者』で良かったのでは?
また、エレベータのケージを『機体』と呼ぶのにも違和感を覚えました。
それから内容の方なのですが、事件がそれだけ大ごとになれば、祐一が全く知らないということはないと思うのですけど。
もっとも、いずれも些細なことではあります。
- 0035 夏もよう (採点:7)
- 秋子さんの過去との決別が良い雰囲気です。
が、少々表現がくどい感じを受けますね。
言葉の使い方にも、いくつか疑問を覚える部分がありました。例えば
『うたかたのような相槌』
『嘲笑する名雪』
『希求するを感じる』
『半分負ってくれた』
あたりです。
また、秋子さんが求婚された件がうやむやになっているような……。(名雪の反応の方です)
もしかして、『お母さん、先に行っていいよ』の部分がそれに対する答えなんでしょうか? だとすると、物足りないように感じます。
- 0036 さよならの嘘 (採点:7)
- 佐祐理さんの弱さと祐一の弱さ、面白い構図です。
祐一のキャラクタには少々疑問を感じましたけれど。
それから、舞がとても魅力的です。自己完結している佐祐理さんとは比較にならないほどに(^^;)
- 0037 Perfect Boy (採点:1)
- う〜ん……。問題点が多く、どうにも楽しめませんでした。
まず、北川君の設定をあまりにも作り過ぎていて、単なるオリジナルキャラクタに成り下がっています。しかも、矛盾多し。
『彼女に振られたからこそ、俺は仮面を被る事が出来た』
という文章で、振られる以前は粗暴な人間だったことを伺わせます。しかし、香里は
『いつもいつでも悩みの無いような馬鹿な笑顔を浮かべたアンタが大嫌いだった』
と、その時点で既に明るい性格であることをほのめかしているわけで……。
大体、祐一は聖人君子ではありませんし、完璧にもほど遠いはずです。
作中で祐一自身が言ってはいますが、そもそも北川君が誤解する余地なく大馬鹿でしょう(^^;)
(むしろ、大馬鹿なところが祐一の魅力)
香里の『絶対零度』の視線はどういうことだったのでしょう?
単に北川君の勘違いで、香里は北川君のことを純粋に心配していたということでしょうか。
だとすれば、文中に明記するべきかと思われます。
また、完璧な香里に惚れていた、という表現だけでは、北川君は香里の外面だけを好きになったようにしか見えませんし。
逆に、こんな上っ面だけの『完璧』な北川君に、香里が好感を抱いたというのもどうかな、と。
さらに、原作での香里は結構お茶目な行動を取ります。
(状況を鑑みれば、多分に演技が入っている可能性は高いですが)
祐一と北川君はともかく、久瀬と香里は魅力的に描けていると思います。
(久瀬が、DQNである北川君と友達付き合いをするかどうかは別として)
- 0038 彼は友達 (採点:5)
- 佐祐理さんの想いに対する決着、の部分が少々弱いように感じます。
納得するまでが短過ぎで、今ひとつ腑に落ちない気がしました。
それから、舞がやや饒舌な部分もちょっと違和感。
キャラクタとしては良い味を出しているのですが。
※書式で気になった点
・閉じ括弧直前の句点 : 「あいうえお。」 → 「あいうえお」
一部のみというのは明らかに校正不足。
- 0039 バレンタインの空模様 (採点:7)
- これは、選択肢によって分かれた、異なる世界ということでよろしいのですよね?
ひとつの題に対する各キャラクタの違いを見せてくれる、というのは面白い趣向だと思います。
それぞれのキャラクタも十分魅力的で、彼女等らしい行動を表現できています。
(美汐と栞が特に良い感じ)
ただ、二三ひっかかる点もありました。
美汐が言っているのは、『頼み事』というより注意・非難のような気がします。
『唇に人差し指を添える』のは、一般的に「秘密」を示すジェスチャーと言っても構わないと思うのですが……。
それから、舞はちょっと佐祐理さんの添え物のような扱いなのが可哀想かも(^^;)
多数の人からツッコミがあるものと思われますが、『hつ例する』はちょっと酷過ぎますね〜。
一度読み返せば、さすがに気付くと思うのですけど。
- 0040 sin (採点:4)
- エピローグ前の祐一と香里のまわりくどいやりとりは、割と好きなんですが……。いろいろと不満点もあります。
まず、祐一の『栞ちゃん』はないだろうと思いました。
栞と祐一の距離を表現なさっているのだろうとは推察しますが、相当な違和感がありますね。
さらに言えば、香里の一人称は『私』ではなく『あたし』です。
が、これは何故か拒否反応を示す方がいらっしゃるので深く追求はしません(^^;)
段落4でだけ視点が祐一に移るのも戸惑います。
この内容ならば、祐一の葛藤も含めて香里サイドのみから描写すべきでしょう。
さらに、祐一の台詞の言い回しが少々幼くて、祐一らしくありません。
(『どうでもよくなっちゃった』等)
もっとぶっきらぼうに話させるべきかと思います。
香里の立ち直るきっかけも、どうかなあと感じてしまいました。
奇跡は実際にあることが分かったから、というように、どうにも現金な印象を受けます。
- 0041 ミラクル☆パワーの使い方 (採点:5)
- 楽しくないわけじゃないのですが、ちょっと表現に難が感じられました。
特にアクションシーン。擬音・擬態語とかけ声ばかりで、描写がありません。
この辺りを丁寧に描いていれば印象が変わると思うのですが。
あと、佐祐理さんの影が少々薄い感じがあります。
魔女っ子にならなかったのは良いんですが、もう少しストーリーに絡んでほしいですね。
キャラクタは皆生き生きと動いていて、とても楽しげだったのは高評価です。
それから、どうでもいいと言えばいいんですが(^^;)、『プテラノザウルス型怪獣』ってのはどんな格好なのか分かりませんでした。
(無粋なツッコミ)
- 0043 幼いあの日に見た夢は (採点:8)
- 香里視点からの物語ですか。サイドストーリーらしいお話でした。
香里の苦悩が丁寧に描かれているのが好印象です。
ただ、栞との関りを取り戻す部分が、やや早足のように思われました。
手術前に出会った女性は佐祐理さんなのでしょうけど、次の声は真琴なのかな?
栞のお話の裏側で、各々の物語が進行しているということでしょうか。少し切ないですね。
- 0044 三月の空 (採点:8)
- う〜ん……。
とても良いお話だと思います。
祐一の物語の裏に隠された、あゆの物語。
台詞を控えめに淡々と語られるお話は、少し物悲しくて、それでも暖かい感じです。
ただ、末尾の一文に戸惑いを覚えてしまいました。
私はそのドラマを見ていませんので、それがこのお話とどう関っているのか全く判断できません。
(おそらく、あゆの父親が見たというドラマ、というだけなのでしょうけど)
あまり関りが多くないようでしたら、SSにそれを明記せず、こんぺ終了後に明らかにする程度でよかったのではないでしょうか。
また、父親の姓に関してですが、彼が娘を『月宮あゆ』と紹介したことや、実父の弟であることから、彼自身もおそらく『月宮』なのかと思われます。
だとすると、さすがに秋子さんももう少し前の段階で気付くのではないでしょうか?
- 0045 応援できない大熱戦 (採点:1)
- ごめんなさい。面白く感じられませんでした。
そもそも、何故祐一と香里はアイス大食い大会をそんなに嫌がるのでしょうか?
そこまでして止めさせようとする理由が伝わってきません。
また、大食い大会という競技なのに、肝心のバトル描写が全くといっていいほどないのは問題かと思います。
二人とも同じように黙々と食べ、同時に倒れるというのは手抜きに見えてしまうのですが……。
オチもついているように思えません。
さらに、ギャグに突っ込むのは無粋ではあるのですが、栞は基本的に小食です。
アイスの大食い大会に出られるほどなら、ジャンボミックスパフェデラックスを食べ残すことも考えにくいわけですから。
ところで、同時に参加したと思われる真琴と秋子さんはどうなったのでしょう?
- 0046 二人、幸せな日々を (採点:2)
- ……?
どういうおつもりで前半の展開からこうした結末に繋げたのか、意図がさっぱり見えません。
前半はほのぼのとしているものの、テンポが悪く、キャラクタの行動も表面的です。
また、内容も今ひとつ薄く、面白みが感じられませんでした。
終盤の展開自体は面白いのですが、それ以前との整合性が見えません。切って接ぎ木したかのようです。
- 0047 gift for love (採点:7)
- 中盤、ちっともKanonらしくないように感じていたのですが、こうまとめてきましたか。面白いですね。
舞の持っている苦悩がなかなか興味深く、末尾の言葉も奇麗に決まっています。
ただ、やはりオリジナル色が強過ぎる印象は否めません。
また、佐祐理さんの口調が今ひとつ佐祐理さんらしくないように見えました。
- 0048 どっぺる (採点:6)
- 突飛な言動が実に祐一らしく感じられましたね。(偽)の方はちょっとおとなしいようですけど。
駄目亭主的な舞と佐祐理さんの寸劇部分では笑わせていただきました。
ただ、ドッペルゲンガーが現れたこと自体による一波乱が欲しかったような気はします。
オチが読めてしまったのもちょっと残念。お約束自体は嫌いじゃないんですが。
- 0049 スティル・イン・ラヴ (採点:4)
- お話のベースは悪くないですね。余計に祐一を悲しませることに気付かず、それでも祐一を想っての美汐の行動とか。
プリント機のあたりも良い感じです。
ただ、色々と引っかかる部分もありました。
まず、祐一を騙せるほどの特殊メイクってのはどうかな、と。母親の設定も唐突過ぎます。
飲み食いしたり、途中で寝たりしてますし。まあ、いたる絵だから顔の作りは一緒ですが(^^;)
魔術で変身したぐらいでもアリじゃないかと思うのですけれど。(と言うか、そう来るのかと推測してました)
二股OKな展開もちょっと引いてしまう部分です。
真琴のことを忘れていない状態で、しかも美汐にコナかけているってのは……外道?(^^;)
『玉には』『怒っていること』『おおせい』のような誤字にも注意。
- 0050 怨みます (採点:9)
- お、鬼だ……作者さんが(笑)
いや、胸のすく思いで笑わせていただきました(^^;)
どシリアスから突如ギャグになだれ込む勢いは見事ですね。毒を吐く栞も良い感じでした。(ぉ
結びの部分もばっちり決まっています。
痛そうなくだりはちょっと引いてしまいましたけど……(^^;)
- 0051 受精卵 (採点:4)
- お話を作り過ぎてしまっていて、正直Kanonであるようには見えませんでした。
また、『ダーク』と名打たれたにしては、今ひとつ暗い情念が感じられませんし。
結末も今ひとつ。この状況では、香里はそれを冷静に受け止めてしまうのではないでしょうか?
最後のどんでん返しは、私が予想していた方向とは異なり、それ自体は良かったのですけれど。
(私は、「実は祐一と名雪の子→発覚→狂乱」、という方向なのかと思ってました)
無粋ですが、「北川君=金髪」というのは解せません。
髪が青かったり金色だったりするのはゲーム画のお約束だと思いますので。
- 0052 それは、とても晴れた日で。 (採点:3)
- 悪いお話とは思わないのですけれど、ちょっとインパクトに欠けるかな、と。
あゆの死が唐突ですし、展開も今ひとつ腑に落ちない感がありました。
それから、これを『ダーク』と称するのには違和感を覚えます。
- 0053 ハル (採点:9)
- 素敵なお話でした。美汐が自分を見つめ直す様子が丁寧に描かれていますし、描写も秀逸です。
あゆと美汐は、これからどんなお話を紡いでいくのでしょうか。(『Kanon』本編?(^^;))
これがこんぺであることを考えると、メタフィクション的な意味合いを感じたり……。
そうか。私の中には、私が未だ見ぬ『素敵』が隠されているのですね。(違います)
ただ、『自分を傷付ける』ために創作を行っている、という美汐の造形には違和感がありました。
個人的な印象ですが、原作の美汐は自分が逃げていることを自覚しているのだと考えていますので。
もちろん、そうした美汐もアリだとは思いますが。
それから、細かいことですがこの時点であゆが『17歳』というのは計算違いなのでは?
(原作では年齢が明かされていないわけですけど……)
- 0054 それだけで、なにもいらない (採点:3)
- ごめんなさい。どうも私には合わないお話のようです。
作者さんなりに考えられた栞シナリオ再構成なんでしょうけど、正直なところ不快感が残ります。
ここに描かれたのは祐一でも栞でもなく、作者さんご自身のように見えてしまいました。
無論、SSとはそうしたものかもしれませんけど。
『訪れるものなのろうか』『富みに早い』『ばやく』等、いくつか誤字が見られました。ご注意を。
また、一部文章がおかしな箇所もあるようです。
- 0055 少年エスパー 北川! (採点:5)
- オチが良いですね。末尾も奇麗に決まっています。
悪用の仕方を思いつけない北川君、抜けていると言うより、根が善人といったあたりでしょうか。
ただ、文章表現に少し難があるようです。台詞回しや話の展開に脈絡がない部分も少々。
- 0056 オリオン (採点:2)
- あの……。失礼ですが、Kanon原作をプレイされたことはおありでしょうか?
原作と明白に矛盾している部分が多いようなので……。意図的なもののようにも見えませんし。
祐一がかつて、Kanonの舞台である街で暮らしていたことがある可能性は否定できません。
が、少なくとも七年前は『冬休みの間だけ』街へやってきたという記述がはっきりとあります。
それ以前にも雪だるま作って遊んだりもしてますし、名雪と祐一の関係は原作との齟齬がかなり大きいように見えます。
また、祐一が栞のことを『栞ちゃん』と呼ぶはずはないでしょう。少なくとも、物語中の記述を見るかぎりでは栞ルートのはずですから。
けろぴーはいつ時計に変身したんですか? ぬいぐるみを処分して、二代目ということでしょうか。
また、名雪も栞も、そして祐一も、およそ魅力が感じられません。特に祐一、どうみても二股でしょう。
名雪の祐一に対する依存が、栞のそれとどう違うのかも疑問です。同質のものにしか見えませんでした。
さらに、どうでもいいことなんですが、流星群ってそんなにきっかりと始まりや終わりがあるものじゃないと思うのですけれども。
- 0057 好きと言って欲しいだけ (採点:2)
- う〜ん……。ごめんなさい、私には合わないお話のようです。
失礼ながら、自分語りに陥っているように感じられるのですが。
正直、その内容にもあまり感心できませんでしたし。
- 0058 さよなら、レディバード (採点:9)
- マザーグースですか。面白い暗喩ですね。
踏み込むことを恐れ、動くことができない北川君、不器用ながらも優しい感じがとても良いです。
香里の苦悩もスケッチブックを使って上手く表せています。
脇役たる祐一や名雪も良い味を出していました。
ただ、地の文での人物表記が全て姓に統一されていたのは、やはり少々違和感を覚えます。
姓表記だと突き放した印象を与えますので、お話の雰囲気と少し合わないかな、と。
ところで、北川君はレディバードがてんとう虫のことだと知っていたんでしょうか?
香里が言及するくだりでは、明示的な説明には至っていませんし。
(自分で調べたということなのかな?)
- 0059 お菓子作りって楽しいですよねっ (採点:5)
- う〜ん……。
ほのぼのとしていますし、栞も可愛い感じですが、どうにも纏まりが感じられませんでした。
文章表現に違和感を覚える箇所、文意が不明な箇所もいくつかありましたし。
ところで、バッハトルテというお菓子が存在するんですか? ぐぐってみましたけど、数件しかヒットしませんでした。
- 0060 .79 (採点:9)
- なんだかとっても良いです、栞。
薄幸の少女から、ごく普通の、劣等感に苛まれたり自己嫌悪に陥ったりする女の子に変わっていくんですね。
タイトル/サブタイトルも味があります(^^;)
ただ、祐一が大人ぶっているという設定にはやや抵抗を感じました。
個人的にではありますが、やっぱり祐一は良くも悪くも子供のような性格が魅力なのだと思いますので。
『鼻白ろみ』等、送りがなに違和感を覚える箇所がありました。
- 0061 溶けよ、春の涙 (採点:1)
- ええと……。もしかして、笑いを取ろうとしてらっしゃるんでしょうか?(くしゃみのシーンとか)
これは栞シナリオのラスト部分がお気に召さず、作者さんなりの補完をされたということなのだとお見受けします。
申し訳ないんですが、私にとっては原作よりも見劣りする展開にしか感じられませんでした。
- 0062 トリビアを聞きながら (採点:6)
- いや、無数にちりばめられたネタといい、それなりに面白くはあったのですが……。
何といいますか、全然オチてないのはどうかと思いました。
邪神復活のためにアルハザードが勧誘に来そうな勢いの北川君は良かったのですけれど(^^;)
また、『奴だァ!』や『卒業するよなフツー』のような言い回しが地の文に出てくると、少々萎えてしまいます。
(好みの問題なのかもしれませんが)
それから『近所迷惑な騒音』は、玄関で聞こえていない以上ご近所の迷惑にはならないでしょうし。
麺を256回延ばせば、本数は"2*256"ではなく"2^256"じゃないのかな、と。
『固有名詞』は明らかに間違い。誤字もいくつかあったようです。
とは言え、ノリはとても良く、読者を楽しませようとする文章には大変好感が持てました。
- 0063 『After School』 (採点:6)
- 面白いとは思います。
無駄の極致でしかなくても、何かをやってみたい。そう思う気持ちは誰しも持っているのかもしれません。
(とゆーか、SSなんて書いてても無駄って言われかねないしね(^^;))
ただ、北川君は諦めちゃってるんですね。本当に月へ行くということを。
それが何故か悲しく感じられました。
- 0064 13月になれば君に贈りたいものがあるんだ。 (採点:4)
- 決して悪い作品ではないと感じますが……。
あゆ/名雪/佐祐理さん/オリジナルキャラクタと、登場人物それぞれに設定があるにも関らず、それを活かし切れていないように見えます。
もちろん中核となるのは祐一の葛藤なんでしょうけど、焦点がぼやけて今ひとつ伝わってこないと言いますか……。
それから、エピローグ部分の言葉は何でしょう? 何かの歌詞?
ちょっと浮き過ぎているように感じられました。
- 0065 ミス・ムーンライト (採点:9)
- ああ、とてもいい雰囲気です。
美汐が可愛い感じですね。祐一はちょっと格好付け過ぎのような気もしますけど(^^;)
久瀬もなかなかに味があります。
文化祭自体はもうすこし描写があると良かったかもしれません。
それから、つまらないことですが教室で男子生徒が大あくび(あるいは頬杖)ぐらいでは、行儀が悪いというほどのものではないと思うのですけど……。
※書式で気になった点
・鉤括弧のネスト
内側の括弧は二重括弧『』にすべき。
- 0066 『回転演舞』 (採点:1)
- あー、えーっと……。
ごめんなさい、作者さんにとっては理想の状況なのかもしれませんけど、私には嫌悪感しか感じられませんでした。
それから、誤字が大変多いようです。気をつけましょう。
- 0067 恋人達へのポートレイト (採点:10)
- 胸を打たれました。
ああ、こういう作品と出会えるからこそ、この「こんぺ」に参加する意義があるのだと、そう思えるお話でした。
美術の授業という一エピソードから、こうした優しい物語を紡ぎ出す手腕に脱帽です。
ただ、地の文章で香里が『祐一』と呼ぶことには少々違和感がありました。
もちろん台詞と内心で使い分けることに意味を持たせていらっしゃるのでしょうが、それでもやはり戸惑います。
それから、『最も』のような誤字、『考えれないまま』の「ら抜き表現」にもご注意を。
(いずれも些細なことですが)
- 0068 そして世界は、またひとつ (採点:6)
- 香里と北川君の一風変わった関係が面白い雰囲気でした。
ただ、『バイトで指輪』は、あまりにもありきたりです。
色々と演出されてはいるようですけど、それを覆すには至っていないような。
それから、下級生から付けられたという変な称号もちょっと……。
- 0069 はっぴ〜・はっぴ〜・くりすます (採点:8)
- 真琴がとても可愛い感じですね。
しょうもないことで喧嘩を始める祐一と真琴のカップルも、実にらしくて良いです。
美汐も良い味が出ていますし。
ただ、最後のメッセージのみを次ページに持ってくるのは、ちょっと肩すかしでした。
※書式で気になった点
・閉じ括弧直前の句点が余計 : 「あいうえお。」 → 「あいうえお」
・文末に句点がない : あいうえおっ → あいうえおっ。
促音『っ』で終わる文章も、通常は句点を付ける。
- 0070 recollections birthday (採点:6)
- 物語の骨子部分は、とても良質です。
佐祐理さんの抱えた葛藤、そして舞と祐一の佐祐理さんに対する想い、踏み出す一歩。
構成も良いですね。エピローグも奇麗に決まってます。
が、少々引っかかる部分があったのは残念なところでした。
まず一番気になったのが視点の入れ代わり。目まぐるし過ぎます。突然切り替わって躊躇すること多数。
舞の一人称は『あたし』ではなく『私』です。(幼い頃の言い方に戻った、等でないかぎり)
かつ、舞の言動が今ひとつ舞らしく感じられませんでした。
佐祐理さんの地の文での一人称が『佐祐理』なのも少々違和感がありました。
また、このせいで視点が変わったことが分かりにくくなっています。
どうでもいいことかもですが、牛丼+カレー+納豆だと、ただの納豆入りビーフカレーになってしまいません?
いや、以前CoCoいちで納豆入りカレー食べたんですけど、そんなに不味くはありませんでしたし(^^;)
- 0071 笑顔。 (採点:3)
- # 魂の収集……『リバーワールド』?(笑)
SFと名打たれている以上、ファンタジーではなくSF作品として評価させて頂きます。
残念ですが、これはどうかと思いますね。
心を生産するシステムとしての宇宙があるとして、その目的や構築した存在に関しての言及がほとんどありません。
少なくとも、納得が行くほどには。
『心のルール』が優位に立つということは、おそらく物質に対して心が強い影響力を持つ(念じるだけで奇跡が起こせる等)、という辺りだと思われます。
が、何故そのような状態が望まれているのですか? それを望む主体は何ですか?
『心のルール』が望んでいるのだとしたら、それはどういう意味を持つ存在なのですか?
(説明を欲しているわけではありません)
このお話では、それは『自分の力を強めるために魂を集める無慈悲な神』以上のものには見えません。
前段で論理性を演出していながら、根幹がただのファンタジーでは羊頭狗肉と言うものでしょう。
生命の定義や心に対する考察も、あまり面白いものになっているとは感じられませんでしたね。
物心二元論は、正直あまり科学的と思えませんし。
「心→遺伝子→情報」と来たので、次は絶対ミームだ、と思ってたのですが、これは外れました(^^;)
また、前半の「議論」は読者を煙に巻くという意図があってのことですか?
仮にそうであるなら、その姿勢は問題でしょう。違うのなら、明らかに失敗です。
例えば、あの説明だけでドーキンス博士のおっしゃっていることを理解できるとは思いませんよね。
みんなが『利己的な遺伝子』を読んでいるわけじゃないんですから。
(この辺り、相当にツッコミ入るものと思われ(^^;))
で、そうした要素を除いた物語としての部分を見てみると、これはそれなりに読めました。
「議論」以外では、那由他も先生も悪くないキャラクタです。(オリジナル色が強いですけど)
終盤の那由他とあゆのやりとりも良い感じです。
が、それらはSFとしての良さではありません。
先生が本物(?)の死神だったとしても、さほど変わるところはないように思われます。
結局この作品をSFとしようとしたこと自体が、足を引っ張っているのではないでしょうか。
SFの究極の意義はセンス・オブ・ワンダーです。
(もちろん、それを達成するのは並み大抵のことではないでしょうけど)
残念なことに、このお話からはその方向性を感じることができませんでした。
- 0072 パーフェクション − Perfection (採点:9)
- 奇麗なお話でした。
誰かが誰かに依存すること、それが一見したものとは逆だったりするのかもしれませんね。
きっかけはどうあれ、栞もまた自分の意思を持った一人の人間であること。
香里も祐一も、相手を想うがゆえに失念してしまったのでしょうか。
ただ、祐一がそうしたことを胸に秘めたままにするのかはちょっと疑問です。
結構ズバズバと言いそうな気がするのですけれども。(あくまで個人的には、ですが)
- 0073 心、ひらいて (採点:7)
- 相沢祐一という人間が、自分自身の不幸に遭ったときにどう反応するのか、という試みは面白いと思います。
名雪に自分の想いを伝えるために、およそ端からみれば馬鹿げた行動を取る祐一。実に『らしい』感じですね。
北川君も親友としての有り方を見せてくれて、格好いい役所でした。
ただ、やはり死によって不幸がもたらされる物語というのは、少々安易に感じられるのも事実。
(それを言ったら原作だってそうではあるのですが)
また、いくつか誤字が見られるようです(『抗議』は連続)。気をつけましょう。
- 0074 幸せを掴んだ男 (採点:10)
- 笑わせていただきました。
馬鹿すぎます、北川君。と言うか作者さん(誉め言葉)
『エロ本料理』という凄まじい響きの言葉、その発想に敬服いたしました(^^;)
テンポもよく、各キャラクタも実にいい味を出しています。
ただ、冒頭の部分で文章中で改行されているのは止めた方がよろしいかと思います。
HTMLは閲覧者によって表示される状態(横幅など)が異なります。ご自分で改行を入れるよりも、ブラウザにまかせるべきでしょう。
(私の環境では、折り返し直後に改行が入る状態でした)
- 0075 ひろいそらにつばさを (採点:8)
- 物悲しい雰囲気が良い作品ですね。描写も丁寧で読み応えがあります。
ただ、いくつか気になる点もありました。
まず、祐一は佐祐理さんに対して敬語を使いません。このせいで、他人行儀な印象を受けます。
それから、『舞の顔も、歓喜一色に変化する』という記述も違和感。
前段で、相変わらず舞が無表情(『見るものが見れば、微妙に舞の表情が動いているのはわかる』程度)と言及されていますから特に。
鍋のやりとりもちょっと疑問でした。確かに鍋は温まりますが、夏には食べないものというほどでもないような……。
(と言うか、私は食べます(笑))
また、『それに、肉と野菜だけとはなんとも滑稽なセリフだ』の部分が分かりません。
私の読み取りが甘いせいかもしれませんけれど。
- 0076 遺書 (採点:10)
- 暖かい作品でした。
タイトルはちょっとショッキングな印象ですが、なるほど、そういう意味ですか。
秋子さんもまた、こうして成長していくんですね。
描写のひとつひとつが丁寧に、豊かに表現されていて好印象です。
ところで、名雪の発熱は風邪だったんですか? てっきり喘息か、アレルギーのショック症状なのかと思ってしまいました。
- 0077 かけがえのないひとつの言葉 (採点:4)
- 真琴側からみた祐一との出会いと空白の期間という構成は面白いと思います。
ただ、いろいろと違和感のある場所もありました。
まず、狐であるマコト・タマモのあまりにも人間臭い言動ですね。
原作では真琴は衰え、次第に獣へと戻っていってしまう描写があるわけですが、その状態よりも人間に近いというのはどうかと思います。
(その過程と妖狐の有り方は別、とも考えることはできますけど)
それから、真琴の過去と舞の過去が同時進行ということのようですが、舞との出会いは十年前です。七年前ではありません。
また、舞とは連日遊んでいたようですから、マコトとものみの丘で毎日遊んだこととは両立しづらいような気がしますし。
『タマモが残していった言葉』も、ちょっと後づけのように感じられてしまいました。
- 0078 ガラス/ラフ・メイカー (採点:6)
- 祐一のありよう等、いくつか首をかしげるような部分もあったのですが……。
イイです、久瀬。
ガラス割って出奔し、そのままガラス工芸職人ですか。
いや、その部分以前の、等身大でちょっと間が抜けている久瀬も良いです。
このお話、無理に祐一や佐祐理さんを前面に出すのではなく、久瀬一本で行ったほうが良かったのでは?
- 0079 A TAIR 〜 真実の空に還る時 〜 (採点:7)
- お話は面白いと思います。不思議な雰囲気もKanonに合っていますね。
祐一が座ることになる空席の主。北川君や香里は、彼と祐一を重ねて見ることになるのでしょうか。
ただ、引っかかる部分も散見されました。
主人公の性格づけが、祐一そのままのように見えてしまいます。少しは差別化があってもいいのではないかと感じました。
文章がどことなく変な箇所もいくつか。誤字もあるようです。(『早く着た』は三連続)
主人公が亡くなった連絡が翌日にないのは『まい』の力のせいだとしても、休み明けまで知らない/知らされないということは考えにくいような気がしますし。
- 0080 友情 (採点:1)
- 「マイティ・ハーキュリー:昭和38年〜」ですか。こんなの分かりませんがな(^^;)
残念ながら、あまり楽しめませんでした。文章表現にかなり難があります。
台詞ばかりで地の文が少ないのも頂けません。
また、ギャグにもコメディにも徹し切れていない感じがします。
ネタも全体的に安易でしょう。(分かるかどうかはともかく、『マイティ・ハーキュリー』は良し(笑))
それから、誤字がかなりあるようです(『風邪』は連続)。注意しましょう。
- 0081 天使の一片 (採点:8)
- 最期の最期でやられました。良いお話です。
祐一とあゆの、あの時の約束を持ってこられたことで、お話が奇麗に決まっています。
ただし、それ以外の箇所には色々と問題がありますね。
まず一番気になったのは、本来三人称であるはずの地の部分が、祐一の一人称にしか見えない点です。
祐一の心情描写・内心の声が多いため、これは一人称にすべき文章かと。
(三人称にしたいのであれば、もう少し距離を置くほうが良いでしょう)
ところどころ、奇妙な改行があったのも違和感がありました。
Webページは閲覧者によって読む環境が異なります。(横幅・フォントサイズ等)
作者さんの意図した通りに表示されるとは限りませんから、文章の途中へ改行を挿入すべきではありません。
いくつか誤字も見られました。注意しましょう。
※書式で気になった点
・間を表現する棒線にマイナス記号を使用 : 「あいう−−えお」 → 「あいう――えお」
マイナス記号は間が空くため、見栄えが悪い。
できれば全角ダッシュ「―」(JISコード:213D)が望ましい。
- 0082 天星小輪 star ferry (採点:5)
- う〜ん。お話自体は決して悪いとは思いませんが……。
祐一と真琴が、彼等らしく見えませんでした。名前と状況が同じ別人のように感じられます。
祐一はそういうことでくよくよする人間には思えません。良くも悪くも強引さが売りではないでしょうか。
また、時間経過とともに成長したのだとしても、真琴が敬語を使ったり相手を思いやったりするのもやはり違和感。
その他、祐一父が秋子さんを呼び捨てにする箇所、北川君は真琴と親しいのかそうでないのか、祐一はものみの丘への道順を覚えていないのか等、引っかかる部分もいくつかありました。
- 0083 恋は唐突に、急発進で (採点:1)
- いや、その……。
『ヤマなし、オチなし、イミなし』の典型を見るようです。残念ながら、楽しめませんでした。
佐祐理さん急変の理由も取ってつけたようにしか見えませんし。
(『祐一×久瀬』の部分は少し面白かったんですが)
何より、佐祐理さんのように見えないのが難点。『萌え』とかいう以前の問題です。
三人称のはずなのに、祐一の一人称のようにしか見えない部分が多数。
それから、誤字が多いのもちょっと……。『痴差』って何です?
- 0084 俺の学校は戦場だった? (採点:1)
- ごめんなさい。面白く感じられませんでした。
設定に、あまりにも無理があり過ぎます。
転校当初から祐一が香里のことを好きだったというのもどうかと……。
北川君と名雪の方は放りっぱなしですし。
- 0085 白いキャンバス (採点:7)
- 不思議な雰囲気が良い作品でした。
部外者の立場から見たKanonの世界なんですね。面白いと思います。
ただ、やはり涼子嬢に感情移入できないため、SSとしてはあまり楽しめませんでした。
また、祐一の影が薄いのも残念に思うところです。
- 0086 good-bye, darling -- a family (採点:1)
- # あー。これ、もしかしたら狙ってやってるのかな。
私、フィリップ・マーロウは途中で放り出したクチですので、ハードボイルドが何かを語る資格はありませんが……。
それ以前の問題が山積です。
まず、文章表現にかなり難がありますね。
読点の使い方にも問題あり。文意が掴みにくい部分すらありました。
同じ比喩を繰り返すのも評価を下げる一因です。『銃弾と言う獣』という文、幾度使っていることやら……。
もっとも、『尖った顎』の方はギャグとしてならOKですけど(笑)
『あの子の運動神経は実は悪く無いんじゃないって事がわかったんです』
二重否定……つまりは悪いってことでしょうか?(^^;)
- 0087 ふたつ (採点:1)
- ええと……。
お話を書くということは、何かを他者に伝えるという行為でもあります。
その他者が、自分とは異なる存在なのだということを忘れずに。
言葉にしなければ伝わらないものがあります。小説とは、言葉のみで紡がれるものなのですから。
最期の段落は他の創作者に向けた意味合いを含ませているのでしょうが、正直に言わせていただくと何も伝わってきません。
……そもそも、素粒子なんですか、ここに描かれたものは?
- 0088 春に降る雪 (採点:10)
- 心に染みる、良いお話でした。
栞がアイスクリームを好きになった訳、美汐が心を閉ざしていながらも祐一に近づいた訳、それが奇麗な物語になっていますね。
妙に明るい栞が、とても可愛い感じでした。栞が人懐っこい様子が、人との距離感を掴めていないからという部分も面白いですね。
最初、時間軸に戸惑いましたけれど、面白い構成だとは思います。
ただ、時間軸の前後に加えて美汐/香里の視点変更が入るのは混乱の元のような気もします。
それから、つまらないことですが、さすがに一歳児未満の香里が栞の誕生を記憶しているのは無理があるような……。
私の人生最初の記憶は、二歳一ヶ月のときに妹が産まれ、母親を取られると思って泣いたときのものですが(^^;)
- 0089 ベビーフェイス (採点:4)
- 正直、面白いお話です。
どうしようもないほどに滑稽な祐一の姿は、いっそ清々しいと感じられるほど。
むしろ序文の方が不快感を覚えました。
読むか読まないか、採点するかしないかを決めるのは貴方ではありません。見え見えの予防線はどうかと。
※書式で気になった点
・奇妙な行頭字下げ
段落先頭のみ字下げしている?
意識してやっているのだろうが、読みづらいだけ。
- 0090 真冬の蠍 (採点:7)
- IF物としては、とても面白い構図ですね。
香里の驚愕が、最初の想像とは異なる辺りなんかは特に。
(祐一の方は、『一週間』のあたりでなんとなく想像がつきましたが)
原作オープニングとの対比も良いです。
……なんか、北川君がとても可哀想な気がしますけれど(^^;)
ただ、コーヒーをすする音が『かすれた音』と表現されるのには違和感が……。
- 0091 七月八日、晴れ (採点:7)
- お話自体はかなり良い感じなのですが……。
末尾の大量改行部分が煩わしく、かなり印象を悪くしています。
真琴はとても可愛い感じが出ていますし、祐一も魅力的です。
ただ落ち着いているだけではなく、少女らしい弱さを持った美汐も良いですね。
途中で出てきたオリジナル(?)キャラの男性は、お話への関り方がちょっと中途半端に思えます。
また、おそらくテンポ重視なのでしょうけど、読点が少ないせいで読み辛い文章が多いようです。
緩急を表現するのでしたら、もっと限定して使うべきでは?
- 0092 君と一夜を (採点:9)
- 楽しく読ませて頂きました。
一つ一つの言い回しが絶妙で、とても面白い作品に仕上がっていますね。
後半、祐一が座敷牢の中にいて動きがないのがちょっと残念だったかも。
しかし、32時間閉じ込められたってことは、色々とアレな問題があるような。祐一君、可哀想です(^^;)
どうでもいいことなんですが、トランプって『アナログゲーム』なんですかね〜?
一般にはそう分類されてるっぽいですが、数字なんだから思いっきり『デジタル』のような気もします。
……ほんとにどうでもいいことですね(^^;)
# 思い浮かんだのは、栗田ではなく山田声の秋子さん(笑)
- 0093 人間になりたい (採点:9)
- 良いお話でした。
なるほど、過去を外部視点から追体験することによって、自分を見つめ直す訳ですか。
妖狐が一旦姿を消すことに持たせた意味も良いですね。
末尾も奇麗に纏まっていて、暖かい予感を感じさせてくれます。
欲を言えば、『エロ本購入(未遂)シーン』はぜひともしっかり描写してほしかったのですが(^^;)
また、違和感を覚える文章があるようです。
(『基本的に過去に世界に影響を与えることは出来ないから』等)
- 0094 Prelude Kanon (採点:4)
- 悪い話ではありませんが……。設定を作り過ぎてしまっているのが、どうにも楽しめません。
ストーリーも正直なところありきたりに感じられました。それがいけないとは思いませんけど、新鮮みが感じられないのも事実。
山女が主人公のことろへやってきたのは5年生→6年生の春休みだったようですが、娘はその頃の自分とひとつしか違わないのに『あの子がこの状況を理解できるとは思えなかった』というのも……。
(まあ、えてしてそんなものである、とおっしゃりたいのかもしれませんけど)
あゆのストーリーを変則的なアプローチで補完する、という試み自体は良いと思います。
が、最後の一文は残念ながら蛇足に感じられました。明示したせいで、余韻が台無しです。
せめて、これがなければ……。
- 0095 『一月 某日』 (採点:9)
- 良いお話でした。
切り取られた日常も、原作の雰囲気を出すことに成功していますね。
香里と名雪の対比も、北川君のぶっきらぼうな友情も良い味つけになっています。
一部、言葉の選び方に違和感を覚える箇所がありました。(『鬱蒼』等)
※書式で気になった点
・改行の多さ
読点ごとに頻繁に改行されているため、逆に読みづらい。
- 0096 黄金の日々に、さよならを (採点:7)
- 長い戦いの、始まりの日ですか。幼い舞の決意が良い感じです。
ただ、戦いの間に舞が喋っているのはちょっと違和感がありますね。時間的に余裕があるように読めてしまいます。
『稲穂』『麦穂ほと抉りとられる』のような誤字にもご注意を。
- 0097 告白 (採点:2)
- IF物、ということなんでしょうが、正直お話を作り過ぎている印象が否めません。
母親の虐待が、大きな意味を持っているようにも思えませんし。
また、特に感じたのはあゆのあゆらしくない言葉づかいです。原作では『人海戦術』の意味も把握していないのですから。
文章表現や描写にもいくつか首をかしげる部分がありました。
- 0098 双故意〜ふたこい〜 (採点:9)
- 「『戦後まもなく』なんかいっ!」とツッコミを入れつつ、楽しく読ませて頂きました。
なんだか北川君がとても可哀想ですけれど(^^;)
妙にお馬鹿な香里も、諌めているようでどこかボケている名雪も、栞&祐一のバカップルも良い味が出てます。
文章の途中で改行が入るのは、ちょっと読みづらいかなと感じました。
# 『拳からは一条の血』のシチュエーション、被っちゃいました(笑)
- 0099 Disenchant (採点:9)
- うわ……。恐いです、名雪(^^;)
それはともかくとして、名雪の想いと決着、真琴の心がとても上手く表現できていると感じました。
各キャラクタも魅力的です。
タイトルやサブジェクトも味がありました。
あそこまで踏み込んで、なかったことにするのはどうかな、と思わないでもないんですけど。
いや、あんまし暗くなるのも苦手なので、個人的にはほっとしたところですが(^^;)
- 0100 二月一日の物語 (採点:4)
- 本当にごめんなさい。これは妥当な採点とは言えません。
ただ、このお話を是とすることが私にはできません。重ねて謝罪します。
SSとして見た場合、秋子さん/名雪/香里の描写はおみごとです。(特に香里)
ただ、心情描写があまりにくど過ぎる感は否めませんでした。
情景描写が相対的に不足していますし、また台詞だけを拾うと会話を成していないように思われます。
- 0101 君の瞳にシャイニング延髄斬り (採点:5)
- 面白いことは面白いのですが、やはり少々安易な展開に思えてしまいました。
また、章の表記が『一回表』となっている時点で、「これは『一回裏』があるんだな」と気付いてしまいます。
『変装作戦』は、せっかくの美味しいネタである北川君の勘違い行動が端折られているのはあまりにもったいない気がしますし。
相原一美嬢も良さそうなキャラクタに見えるのに、有効活用できていないのが残念。
一方、お馬鹿な久瀬と、その『恥ずかしい台詞』の部分はとても良かったと感じます。
思うに、色々と詰め込み過ぎなのではないでしょうか? もうすこしネタを絞っていたら、もっと良くなるのではないかと思いました。
- 0102 "Koukai Dreamer" (採点:3)
- 香里と名雪の出会いですか。面白い着想ですね。
中1で出会ったはずだから、これは林間学校あたりでしょうか。
確かに香里は人から嫌われる側面を持っていそうですし、名雪もいじめに合いそうな性格かもしれませんね。
ただ、人物の行動がかなり妙です。
まず香里。自分の蹴った空き缶が原因なのに雑巾まで投げつけるってのは、香里の方がよほどDQNなのではないでしょうか。
名雪と友達になるくだりで、栞を『忘れる』というのも、筋が通っているように見えません。
名雪も、どうにも名雪らしく感じられませんでした(口調のことではなく)。
コンビニ前で会った男女も、行動が何かしらちぐはぐです。
また、末尾の締まりも今ひとつ物足りないように思われました。
- 0103 世界の果てという名の雑貨店 (採点:6)
- ごめんなさい。奇麗ですし、切ないとは思うのですが、このお話を好きにはなれません。
何も残らないどころか、最初から何もないのが真実なのだとしても。
- 0104 幸せの玩具 (採点:10)
- 感服いたしました。
正直なところ、ダークなシナリオはあまり好んで読む方ではないのですが、こうも見事に決まったお話を見せていただくと賞賛のうなりを上げるほかありません。
佐祐理さんは舞を見ていないのではないかという疑問は、多くのプレイヤーが感じるところではないかと思います。
そこを見事に昇華し、Kanonとの繋がりを破綻させることなく描いた手腕はおみごとです。
描写も丁寧ですし、舞と佐祐理さんの対比、キャラクタらしさもばっちりです。
ただ、幾つか使われた言葉に違和感を覚える箇所がありました。(『萎びた景色』『意気高に』等)
これは表現の仕方の問題ですから、あくまで私個人が、ということなのですけれども。
(些細な部分でもありますし)
戻る