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一括
この作品はKONAMIの「ときめきメモリアル」「ときめきメモリアル2」「ときめきメモリアル3」「ときめきメモリアルGirl's Side」
「ときめきメモリアル ドラマシリーズVol.2 彩のラブソング」を元にした二次創作です。
各作品に関するネタバレを含みます。
「一体何が楽しいんだかよ…」
グラウンドの端で、和馬はぶつぶつ言いながらフェンスに寄りかかっていた。
眼前では音楽に合わせ、賑やかに踊る生徒たちの輪。『女の子と手を繋ぐという言ってみれば文化祭の主目的であるフォークダンス(まどか談)』だが、参加する気にはなれず、こうして二人を待つ羽目になっている。ちなみに珪はまどかに引きずられていった。
「くだらん。実にくだらん」
と、不意に隣からそんな声がした。視線を向けると、眼鏡に短髪の真面目そうな男子生徒だ。
「あんたも待たされてる口か?」
「ん? ああ、友人たちがあの中なんだが、俺は行く気になれなくてな」
「だよな。女と手を繋いで何が面白いんだか分かんねぇぜ」
「同感だ。まったく不純な奴が多すぎる!」
互いにうんうんとうなずきながら、仲間が見つかったと喜ぶ二人。
しかしその連帯感は一瞬で終わった。
「あら、穂刈君じゃない」
「みっ水無月さんっ!?」
通りがかった長髪の女の子に声をかけられ、男子生徒の体が針金のように固まる。
「あなたは参加しないの? あの盆踊り」
「盆…いやその、水無月さんは?」
「私は面倒くさいんだけどねぇ。光がどうしてもって」
「琴子ー! 早くおいでよー!」
「ハイハイ。それじゃまたね」
立ち去る少女を未練がましく見送りながら、しかしさっきの今で行きますとも言えず。
気まずそうにちらちらと和馬を見る彼に、和馬も大人の態度を取るしかなかった。
「…いいよ。気にしないで行けよ」
「ぬ、ぬおおおおおおーーっっ!!」
叫びながらその姿は輪の中へ消える。呆れ顔の和馬の前で、ダンスの輪は回り続ける。
* * *
『陽射しがビルに反射して――』
伊集院家特製の大型ディスプレイ経由で『彩』のライブを聞き終わると、空はもう夕方だった。
「後は何が残ってんだ?」
「宝探し大会が最後やなー。これで今日は終いや」
「おっ、面白そうじゃねーか。やっぱ男は宝探しだぜ!」
「ガキやなホンマ…」
そんな二人の会話を聞きながらも、珪は別のことを考える。
結局、最後まで付き合ってしまった。
いつか向こうから愛想を尽かすと思っていたのに。何がどうしてこうなったのやら…
ドン
考え事をしていたせいで、誰かにぶつかってしまった。我に返ると、ひび高の制服を着た女の子が目の前で引っくり返っている。
「葉月〜、ちゃんと前見て歩けや」
「す、すまん」
「ううん、こっちこそごめんね〜。美幸ドジばっかりで…」
「美幸ちゃん、大丈夫ですか?」
もう一人、別の少女が現れて手を貸す。美幸と呼ばれた子を助け上げたところで、その少女はいきなり珪に顔を近づけた。
「あなたは王子様ですね?」
「…は?」
「いいえ、王子様に違いありません。一目見て分かりました」
思わず後ずさりする珪だが、逃げる前に少女の潤んだ目が立ちふさがる。
「お願いです王子様。一緒に宝探しをしていただけませんか?」
………。
しばしの静寂の後、まどかが珪の首をひっ掴んで脇へ連れていく。
「最後までぇ! なんで最後までお前ばっかモテんねん!」
「そう言われても…。お前はあんな意味不明なモテ方をしたいのか」
「おい、よく見たら、さっき三原と互角にやり合ってた女じゃねーか。あいつと同じヤバイ気配がするぜ!」
「ええい、可愛い女の子なんやから正義や。ヤバいとかそんなのはどうでもええんや!」
「お前って奴は…」
一方で美幸ともう一人――白雪美帆も、小声でひそひそと会話を交わす。
「み、美帆ぴょん今日は大胆だね〜」
「いえ、美幸ちゃんが一緒に行くんですよ」
「ふーん、そうなんだ…えええっ!?」
再度珪に声をかけようとする美帆を、大慌てで引き留める美幸。
「ち、ちょっと、どーして? だ、ダメだよ美幸なんかが、あんな格好いい人と…」
「いいえ、このチャンスを逃してはいけません。妖精さんも賛成ですか? 賛成ですね。それでは多数決で決まりです」
「無茶苦茶だよ〜」
「いいですか美幸ちゃん、よく聞いてください…」
結局美帆の人の話を聞かない強引さによって、珪と美幸は宝探しに送り出されてしまった。
「あのー、美帆ちゃん、やったっけ? なんで葉月とあっちの子が…はっ! さてはオレと二人きりになりたかったとか!」
「全然違います」
「俺の存在を無視すんな」
「二人ともごっつ厳しいで…」
「美幸ちゃんは…」
そう言って美幸を遠くから見守る少女の目は、あまりに純粋だった。
「とってもいい子なんです。でも悲しいことに悪魔が取り憑いていて、ずっと辛い目に遭ってるんです」
「おい、やっぱこの女ヤバ」
「い、いやあ美帆ちゃんは友達思いやなぁ!」
「不幸なお姫様を救うのは王子様と昔から決まっています。だからあの人なら美幸ちゃんを救ってくれるかもって…。あなたもそう思いませんか?」
「葉月の奴にそんな甲斐性があるわけ」
「ま、まあ、その優しさは立派やと思うで!」
「うふふ。ありがとうございます」
美帆は優しく微笑んでから、遠くの親友へと目を向けるのだった。
(美幸ちゃん、頑張ってくださいね)
宝探し大会といっても、中庭に隠された紙片を探して、書いてある景品がもらえるというだけのものである。
その真っ只中に放り出され、ぼーっとしている珪の隣で、美幸は一人でわたわたしていた。
何しろモデルでもやっていそうな美少年である。というより実際にやっているのだが、美幸には知るよしもない。
「と、とにかく宝探ししようねっ。あ、そこに何かあるよ…って、わああ! 犬のウンコだぁ!」
「……」
「あ、そこの木の間に…はにゃー! 木のトゲが刺さったぁー! ああっ上から植木鉢が降ってきたー!」
「おい…大丈夫か?」
ただならぬ不幸の連続に、さすがに珪も心配になって声をかける。
「う、うん、だいじょーびだいじょーび。こういうの慣れてるから…」
「慣れてるって…こんなことがそうそう起こるものなのか?」
「うん、今日も来る途中にダンプカーに轢かれたよー。でも大したことないよ」
「……」
どうも冗談ではないらしい。しかもその間にもどこからか野球のボールが飛んできて、美幸の頭に直撃した。
「いたたたた…」
「事情は分からないが、大変そうだな…」
「ううん、そんなこと…」
言いかけて、美幸は初めて珪を正面から見た。
その深い水底のような目に、美幸は急に心配そうな顔になる。
「珪ぴょんこそ大丈夫?」
「珪ぴょんって誰だ…」
「なんだか不幸そうな顔してるよー。美幸も不幸だから何となく分かるよ」
「……!」
珪は美幸の目を直視できず、視線を逸らした。
(こんな不幸な奴が明るく笑っているのに…。俺ときたらダンプに轢かれたわけでもないくせに、不幸そうな顔をしていたのか…)
顔以前にダンプに轢かれたら普通死ぬやろ、とまどかがいたら突っ込んだろうが、さっきの美幸を見た後では、後ろめたさを感じざるを得なかったのだ。
その深刻そうな顔を見て、美幸は慌てて取り繕う。
「あ、あの、美幸だってそんなに不幸ってわけじゃないよ。美帆ぴょんがいるもん」
「…さっきの赤ずきん頭の子か?」
「うんっ! 美帆ぴょんはとっても優しくて、一人ぼっちだった美幸と友達になってくれたんだよ。とってもハッピーだよー! 珪ぴょんもちゃんと友達がいるんだから、だいじょーびだよ」
せっかくのフォローだったが、ますます珪の視線を逸らさせることになった。
「あいつらとは…今日初めて話した…」
「そ、そーだったの? で、でもそんなに格好いいんだし、ガールフレンドだって…」
「俺は、あの頃の俺とは違うから…」
「へ? え、えーと、じゃあ友達は?」
「いる…」
「そ、そーなんだ。よかったー」
「学校の裏庭にいる…猫…」
(み…美幸よりかわいそうーー!!)
だーっ、と目の幅の涙を流した美幸は、涙を拭って決意の拳を固める。
「わかったよー! 美幸、珪ぴょんのために宝探しをがんばるよー!」
「お、おい…」
「いい宝物が見つかったら、きっと珪ぴょんにもラッキーがくるよねっ。あ! こんなところに紙が…って『スカ』って書いてあるよー!」
「………」
まどかのナンパを笑顔でかわしながら待っていた美帆は、戻ってきた美幸へ小走りに駆け寄った。
「どうでしたか美幸ちゃん?」
「えーとね、チチビンタリカ変身セットとくさやのひものを見つけたよ。はい、珪ぴょんにプレゼント!」
「あ、ああ…」
「不幸に負けずに頑張ってね!」
お姫様に励まされている王子様に、美帆が微妙に抗議の目を向ける。
「おとぎ話と違うじゃないですか」
「そう言われても…」
「まあ、葉月やったらこんなもんやろ。それより美帆ちゃんこんな時間やし……帰りに一緒に食事でもどや!」
力の限り爽やかな笑顔をしてみせるまどかだが、美帆はじっと見つめると、無垢な瞳で問いかけた。
「姫条さん…。そこに真実の愛はありますか? とりあえず女の子なら誰でもいいと思っていませんか?」
「ぐはっ。い、一体何のことやら」
「妖精さん、あなたを見失った人類はこんなにも墮ちてしまいました…。私、とっても悲しいです…」
「うわぁぁーっ! なんや自分がえらい汚れた人間になった気がするでぇー!」
「それではさようなら」
「みんなバイバイー」
手を振りながら、空いた方の手はしっかりと繋いで、美帆と美幸はその場を後にした。
入れ違いに、宝探しに夢中になっていた和馬が戻ってくる。
「ちくしょう苦労して見つけたのに伊集院レイのブロマイドって何だーっ!」
「はあ、どうにも今日はついてへんなぁ…。ほな、そろそろ帰る時間やし」
既に空は真っ赤に染まり、人の流れはほとんどが校門へ向かっている。
終わりつつある祭りの中で、まどかは力強く言い放つ。
「最後のナンパに行こか!」
珪と和馬はしばらく黙ってから、無言で校門へ歩き出した。
「ちょっと待てぇぇ! ええんか!? お前ら他校の文化祭に来て、女の子と知り合いになれへんまま帰ってそれでええんか!」
「てめえ、本当に汚れてやがるな…」
「今日一日、色んな奴と知り合っただろう」
「ちゃうやろ! 健康的な男子高校生っちゅうんはそれで満足せんもんやろ! ええい、とりあえず一時解散や。それぞれ女の子に声をかけてから、15分後にここへ集合。ええな!?」
「って俺たちもかよ!?」
「人と人の出会いは大切なんやでー!」
勝手なことを言って走り去るまどかに、呆れた和馬が「放っておいて帰ろうぜ」と言おうと振り返ると、珪が何やらまじめくさった顔で考えている。
「出会いは大切か…。空野もそう言うかもしれない…」
「おい葉月?」
「鈴鹿。ナンパかどうかは別にして、せっかく来たのに急いで帰ることもないんじゃないか?」
「ま、まあそうかもしれないけどよ…。お前も極端から極端へ走る奴だな」
「じゃあ15分だけ回ってくる」
「ちっ、仕方ねーな」
珪と和馬はそれぞれ別の方向へ歩き出す。終わり間際の文化祭で、最後に待つ何かに会うために。
最終行動だ! 誰の動きを追う?
-
出会いは大切…。
といっても、珪が他人に声をかけるなどできるわけもない。自分でも後ろ向きとは思いながら、無意識のうちに目は動物を探していた。一応人間以外でも出会いには違いないし…
「キキッ」
――いた。
しかし犬でも猫でもない。地面を走ってきて立ち止まったのは、帽子をかぶった小さな生物だった。
小首を傾げて、じっとこちらを見ているのは――どう見てもアイアイなどの系統の小型の猿である。
「何でこんなところに猿が…」
動物好きの珪だが、さすがに猿を相手にしたことはない。
とりあえず猫にするように手を伸ばそうとすると、飼い主らしき人物の声が聞こえた。
「デイジー! デイジー、どこ?」
校舎の影から姿を現したのは、かなり小柄な私服の女の子だ。
「あっ。良かった、あなたが見つけてくれたんですか?」
「いや…たまたま目が合っただけだ」
少女が近づくと、小猿は素早くその体を伝って肩に上る。
「よその学校の生徒か?」
「え? えーと、そんなところです」
「そうか。俺ははばたきから来た」
「私は…ちょっと遠くから」
曖昧に笑い、少女は自己紹介する。
「野咲すみれっていいます。この子はデイジー」
「キキッ」
「…葉月珪だ」
「葉月さん、今お時間ありますか?」
「15分くらいなら」
「それなら、私と一緒に回っていただけませんか」
珪は一瞬戸惑ってから、暫くしてこくりと頷いた。
明るく言う少女の言葉の中に、なにか切実なものを感じたのだ。
「葉月さんみたいな素敵な人と歩けるなんて、嬉しいです」
「……」
どう返したものか分からず無言の珪にも、すみれは気にするでもなく、本当に嬉しそうに歩いていく。
だが祭りの中で、15分はあまりに短い。
「実は」
あっという間に終わりが来て、別れ際に少女は事実を明かした。
「私、サーカス団の団員なんです」
「…予想もしなかった答えだ」
「あはは。普通は予想できませんよね」
苦笑するすみれの肩で、デイジーがキキッと鳴く。なるほど、サーカスなら小猿もいるだろう。
「だから今は学校に行ってなくて、今日も休憩時間にちょっとだけ抜け出してきて、すぐ帰るつもりでした。でも少しだけでも雰囲気を味わえて良かったです。こういうの、憧れていたから」
「俺なんかで良かったのか」
「はい! もちろんです」
「…いいのか。これっぽっちで十分なのか」
迷いのないすみれの答えに、引っかかりを覚えてついそんなことを聞いてしまったが、返事はやはり明快だった。
「大丈夫です、サーカスは大好きですから。こういうのはたまに経験するからいいんです」
「…ならいいんだ」
「でも…」
そう言って、おそらく珪の想像もつかない苦労をしてきたのであろう少女は、笑顔で珪に質問した。
「学校って、やっぱり楽しいですか?」
思えば、今まで何のためにはばたき学園へ通っていたのだろう。
小走りで自分の居場所へ帰っていくすみれを見送りながら、珪はふとそう思う。
ただの惰性か、両親を心配させないためか、幼い頃の教会での約束のためか――
いずれにせよ、すみれは珪の答えに満足してくれただろうか。
『楽しいのかもしれないって、今頃気付いた』
そしてまた、珪も自分の世界へ帰っていく。
-
「さーてと、誰に声をかけよかな〜」
周りを見回しながら歩いてみるが、そろそろ閉場とあって皆せわしない。
タイミングを見計らっているうちに、屋台の一群まで来てしまった。
「いらっしゃーい! 安いよ、タイムサービスで半額だよー!」
(おっ、この声は可愛い女の子の気がするで!)
人の流れに逆行しながら、声のした屋台を覗き込む、と。
そこにいたのは長い二本のおさげを揺らしながら、元気に焼きそばを焼いている小さな少女。それも見覚えのある…
「かずみちゃんやないか!?」
「あーっ、姫条くんだ。おつかれー」
「お、おう。って疲れとるのはジブンやないかい」
「あはははは。そうだったかも」
彼女、渡井かずみとは引っ越しのバイトで一度だけ一緒になった。元気でよく働く子だったのでよく覚えている。
とりあえず店の邪魔になりそうだったので、屋台の向こう側へ回り込む。
「お邪魔するで。つーか、かずみちゃんここの生徒とちゃうやん。何で焼きそば焼いとんの?」
「それがね、きら校の人が二人いたんだけど、一人が気分悪くなっちゃって。もう一人が保健室に連れていこうとしたんだけど、そしたら誰もいなくなっちゃうでしょ。んで通りすがりのあたしが店番ってわけ」
「はぁー。相変わらず人のええ娘やなぁ」
「あははは。そんなことないよー」
しかしそういうこととなれば、男としてそのまま立ち去るわけにはいかない。腕まくりをしてかずみの隣に立つ。
「ほれ、ヘラ貸してくれや。焼くのはオレがやるから、かずみちゃんは客の相手を頼むわ」
「え、悪いよ姫条くん。あたしが勝手に引き受けたんだし、姫条くんが付き合うことないよ」
「なーに、こんな可愛いい子と肩を並べて焼きそば焼けるんや。このチャンスを逃したら男がすたるってもんやで」
「も、もう〜、また冗談言って。あたしみたいな子供っぽいの相手にそんなこと思うわけないよ」
とはいえ断りはせず、二人で分担して閉店間際の屋台を切り盛りし始めた。
下心は…ないと言えば嘘になるが、まどかにしては珍しくそれだけではない。
「かずみちゃん一人で来とるん?」
「友達と一緒だよー。でもはぐれちゃって、下手に動くよりはここで待ってた方がいいかなって」
「携帯かけたらええやん」
「え、えーと…。お金払えなくて解約しちゃった。あはははは」
「う…」
何余計なこと聞いてんねんオレのアホー! と内心で罵りながら、まどかは自分の携帯電話を差し出す。
「ほれ」
「え…悪いってば」
「ったく、電話の一本くらいで遠慮すんなや。でも電話帳は見たらあかんで、女の子の名前ばっかやからな、って自分でバラしてどうすんねーん!」
「ぷっ! あははははははっ。ありがと姫条くん、ほんとに優しいね」
屈託なく笑って、素直に携帯を受け取るかずみに、まどかはどこかほっとする。
「あ、ゆっこちゃんー? 良かったー、今ね…」
隣の声を聞きながら、初めて会った日のことを思い出す。
『かずみちゃん、何でこんなキツいバイトしとるん? 何や欲しいモンでもあるんか?』
「あ、えーと…実はね』
その時も余計なことを聞いたと後悔したのだ。
なので彼女の父親の病気がその後どうなったのか、気にはなったが、さすがにそれ以上は立ち入れなかった。
「いらっしゃーい、安いよー」
「そこのお姉さん! オレみたいなナイスガイの焼いた焼きそば、これは買わな損やで」
それに元々、かずみとは正反対すぎて、他の女の子のように気軽に触れるのは躊躇われた。
…病気の父親を想いながら一生懸命頑張っている彼女と、父と仲違いしたまま数年も会っていない自分とでは。
「すみませーーん!! ありがとうございましたー!!」
屋台の持ち主であるきら校生が戻ってきて、二人は仕事から解放される。焼きそばはほぼ完売していた。
同時にかずみの友達二人が、手を振りながら歩いてくる。
「かずみちゃん、見つかって良かったよ〜」
「ごめーん。この親切な姫条くんが助けてくれたんだよ」
「って、あんた午前中の男やん!」
「げ…何でまた会うねん」
「え、ちとせちゃん姫条くんと知り合いだったの?」
「こんなタコ焼きの何たるかを分かっとらん男なんて知らん」
「けっ、まあかずみちゃんの前やし今日はこのへんにしといたるわ」
「もう、下らないことで言い争うのよそうよ〜。ほら、ちとせもかずみちゃんもそろそろ帰ろう」
「せやな」
優紀子とちとせは校門へ向かい、夕陽の下でかずみはおさげを揺らして振り返る。
「それじゃね、姫条くん」
「おう、何かあったら連絡してや。はばたきから駆けつけるで」
「あははは。うんっ、ありがと」
元気な笑顔を見せて、かずみは友人たちの後を追う。ああは言っても、結局は誰にも弱音を吐かずに一人で頑張るのだろう。
まどかも戻ろうとして、そういえばナンパしろと言って友人と別れたことを思い出した。
「…ま、あんなええ子をオレの毒牙にかけるわけにもいかんやろ」
和馬と珪への言い訳を考えながら、まどかは待ち合わせ場所へ歩き出す。
-
「まあ、きら校バスケ部の実力も見られたし、結構有意義な一日だったよな」
と、心は既にバスケに飛びながらぶらぶらと歩いていた和馬。10分ほど経ったが何も起きなかったので、そろそろ引き返そうとするが…
「うおっ?」
突然、背中に誰かがぶつかってきた。
振り返れば変な髪型の――具体的には左右で輪っかにして頭上で結んでいる女の子が、目をつぶって体当たりしている。
「あっ、ごめんね。またぶつかっ…って、わああ! ごめんなさい人違いでしたぁっ!」
「お、おい!?」
きら校の制服を着た少女は、いきなり叫んで走り出し……そのまま盛大に転んだ。
膝をすりむいていたようなので、とりあえず近くのベンチに座らせて、ポケットの中の絆創膏を差し出す。
「ほらよ」
「あ、ありがと…。絆創膏持ち歩いてるんだ」
「いや、この学校の保健室で貰ったんだけどよ。で、ぶつかっておいて人違いってのはどういう事だ」
「うっ」
さっさと放置して行かなかったのは、それを聞きたかったからである。
少女は笑顔で何とかごまかそうとしたが、通じないと見て観念して口を開く。
「その、好きな男の子がいてね…」
「ほう」
「でも、話しかける勇気がなくて…」
「だらしねぇな」
「ほっといてよっ! だからわざとぶつかって、顔だけでも覚えてもらおうって…」
「はあ?」
今の話を頭の中で反芻してみる和馬だが、彼の理解を超えていた。
「悪い。もうちょっと分かりやすく説明してくれ」
「あーん! だから何度もぶつかれば顔くらい覚えてもらえるじゃない!」
「アホか」
「ひどーーーい!!」
耳をつく叫び声を聞いても、和馬の呆れ顔は変わらない。少女は顔を伏せ言葉を続ける。
「あなたは、誰かを好きになったことある?」
「バ、バ、バッキャロー! そんなもん興味ねーよ!」
「じゃあ恋する女の子の気持ちなんて分かんないよ…」
「ケッ、なに言ってやがる。恋する女の子とやらは、みんなお前みたいに体当たりしかできないのかよ」
「うう…」
無駄な時間を過ごした、と和馬は立ち上がろうとして、そのまま固まった。
隣の少女が、うっすらと目に涙を浮かべているのだ。
「お、お、おい! な、何も泣くことねぇだろ!」
「じ、自分でもっ…情けないって分かってるもんっ…。どうして私ってこうなんだろうって…」
「い、いや、だから…」
午前中の優紀子の時と違って、今回は自分は悪くない…はずだが、さすがにそのまま立ち去ることはできない。今日一日で多少は和馬も丸くなっていた。
何とかフォローしようとするが、その瞬間…
(!!)
背後の植え込みから殺気を感じる。スポーツマンの勘で飛び退くと、元いた場所を何か爪のようなものが一閃した。
「な、なな何だぁ!?」
「ニヤリ」
勢い余って尻餅をついた和馬の前には、目つきの悪い謎の生き物が爪を光らせている。
「やめてコアラちゃん! その人は悪くないの!」
「知り合いかよっ!」
「ニヤリ」
コアラは不敵に笑うと、少女の腕の中に収まった。
「何だよそれは…」
「この子? コアラちゃん」
「いや、だから…もういい」
「あはは。あなたみたいに強そうな人でも、コアラちゃんに驚いたりするんだ」
「コアラが爪出して襲ってくりゃ驚くだろフツー!」
そんな凶悪な顔をしたコアラを、少女は平気な顔で腕に抱いている。まったく勇気があるんだかないんだか分からない。
そう言ってやると、彼女は苦笑しながらコアラの頭を撫でる。
「うん、そうかもね。すごく怖いことでも実際は大したことなかったり、その逆だったりするのかもね」
「…かもな。おっといけねえ時間だ」
立ち上がり、走り出そうとする和馬の背に声が飛ぶ。
「私、館林見晴! あなたは!?」
「はばたき学園の鈴鹿和馬! じゃーな!」
おそらく二度と会うことはないだろう女の子とコアラに別れを告げ、集合場所へと走っていく。
(もし、好きな奴ができたらか…)
バスケならどんな強い敵にも敢然と立ち向かう和馬も、そんな相手ができたら臆病の虫に捕らわれるのだろうか。
それは、その時でないと分からない。
今はただ、あの少女がせめて卒業までには勇気を出せるよう願うばかりだった。
-
「琴子、そろそろ帰らない?」
「もう少し待ちなさい。閉場間際だし、何か安くなってるかもしれないわ」
「琴子って本当におばさんくさ…ああっごめんね何でもないよっ!」
光のほっペたをつねりながら、琴子物色するのはアクセサリーなどが並んだ雑貨屋である。
「毛唐風のものばかりね。もっとこう、印籠なんかは売ってないのかしら」
「相変わらず無茶苦茶言ってるね…」
「ン、アナタ、そこのアナタ」
「はい?」
声をかけられ振り返る、そこにいたのは!
「ンフッ、おしゃれ道究めてる?」
ショッキングピンクの上下にヘソ出しルック、割れたアゴの上でキュートな笑みを浮かべる謎のおっさんだった。
「何よ? この変態は」
「し、失礼だよ琴子。確かファッション業界の人だよ。花吹雪大五郎とかいう」
「あら、名前は和風でいい感じじゃない」
「花椿吾郎よッ!」
「ごめんなさいっ!」
「んモウ、このGOROを知らない女子高生がいるなんて信じられないワ…。そんなことだからオシャレさのかけらも感じられないのよ。特にそっちのセンスの古そうな髪の長い子」
「……。ふ、ふふふ、どうやら手打ちがお望みのようね!」
「琴子、日本刀なんか持ち出さないでーっ!」
「それにアナタも、元はいいんだからもう少し磨いた方がいいんじゃない?」
「え…そうですか?」
言われて自分の服装を見る光。制服なのは仕方ないとして、確かに今ひとつ垢抜けないというか、イケてない気は自分でもする。
「仕方ないわね。このファッションリーダーGOROが特別にコーディネートしてア・ゲ・ル☆」
「本当ですかっ。よろしくお願いしますっ!」
「どうしてアンタはそう素直なのよ…」
「そうねぇ、アナタには…」
と言ってアクセサリーを品定めする吾郎。その怪しげなオーラに、店番のきら校生も黙って見ているしかない。
「この指輪なんていいんじゃなーい。シンプルなデザインがアナタの指元にブリリアントな輝きを保証するワよ」
「え…」
しかし差し出された指輪を見て、何かを思い出したようにたじろぐ光。
「なあに? アタシのセンスに文句があるって言うの?」
「光、嫌なら嫌とはっきり言ってやりなさい」
「そ、そうじゃないよっ! ただ…」
そう言って、光は吾郎に思い切り頭を下げた。
「ごめんなさいっ! 私、この指輪をはめることはできません!」
「ぬあーんですってぇ!」
「だって…。私にとっての指輪は、子供の頃にもらった一つだけだから…」
大事な想い出を抱きしめるように、光は自分の胸にそっと手を当てた。
「屋台で売っていたおもちゃだったけど…。私には、あれ以上のアクセサリーなんてどこにもないんです…!」
「ンまあああああ!」
その純粋な想いに衝撃を受けた吾郎は、よろめきつつもそっと涙を拭うのだった。
「フフ…どうやらアタシの負けのようね。この時代にこんなピュアーな女の子がいたなんて…。まだまだ乙女心の研究が足りなかったみたいだワ」
「日本男児がそんなもの研究してんじゃないわよ」
「まあまあ琴子」
「勉強させてもらったワ! さっそく帰って新しいファッションに生かすわよ。それじゃアデュー」
嵐のように去る吾郎を見送ってから、琴子は軽く溜息をつく。
「それにしても、本当、あなたの物好きも筋金入りよね」
「物好きじゃないよぉ」
「ま、それが光のいいところなんでしょうけど」
「えへへ。ありがと琴子」
「あのー」
と、呆れ声で言うのは蚊帳の外だった店員である。
「結局、買うんでしょうか買わないんでしょうか」
「わわっ! す、すみませんー! え、えとえと、この鍋敷きくださいっ」
「小市民ねぇ…」
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一日楽しんだ羽音たちも、そろそろ帰ろうということになった。
「ま、思ったほど大したことはなかったわね。イナカの高校じゃこんなものかしら?」
「須藤さんが一番はしゃいでたと思うけど…」
「紺野さん、あなたとは一度決着をつける必要がありそうね!」
「そ、そんなこと言われても〜」
「まあまあ」
賑やかに校門の方へ歩いていく途中のことだった。
「ねえ、あれ氷室先生じゃない?」
志穂が驚いたように指さし、皆がその方角を見ると、確かに氷室零一の背広姿がある。
それだけならともかく、その傍らにはもえぎのの制服を着た、名も知らない美少女が連れだっていたのだ。
「ち、ちょっとどういうこと!? ミズキ達、スクープ現場に鉢合わせちゃったの!?」
「うーん、聞いてみよっか。先生、こんにちはー」
「わ、羽音ちゃんそんなあっさり」
「そ、空野!?」
あっさり声をかける羽音に氷室はあからさまに動揺したが、すぐに咳払いして強引に普段の調子に戻す。
「うむ、お前達も来ていたのか。他校の活動を見学するのは良いことだ。これを刺激として自分達の学校生活も…」
「ところで先生、そちらの彼女とはどういうご関係ですか?」
「ぐっ! いや、話せば長くなるのだが…」
と、きょとんとしていた当の彼女は、頬に手を当てにこやかに微笑んだ。
「別に大したことではないのよ。ただ落ち込んでいた私を、先生がとっても優しく慰めてくれたの」
「い、和泉君! 誤解を招く言い方は慎しみたまえ!」
「U-lala-.お固い先生だと思ってたけど、意外とやるのねえ」
「せ、先生が他の学校の女の子と…(どきどき)」
「氷室先生…。見損ないました」
「もう、みんな勝手に妄想しすぎ。それじゃ先生、えーと、和泉さん? お邪魔しました」
「う、うむ空野、君だけが頼りだ。くれぐれも妙な噂を立てることのないように!」
くすくす笑っている穂多琉を連れて、氷室はそそくさと立ち去っていった。
それを見送ってから話を続ける瑞希達だが、ひとり奈津実だけが、先ほどからずっと押し黙っている。
「なっちん? どうかした?」
「納得いかない…」
「え?」
「ヒムロッチを慌てさせるのはあたしのはずだったのにっ! 何で他の学校の生徒なんかに動揺させられてんのよっ!」
「な、奈津実ちゃん落ち着いて」
「あーら藤井さん、やきもち?」
「全然違うわよっ! もういい帰るっ!」
頭から湯気を出して歩いていく奈津実に、(なっちんも複雑だなぁ)と心の中で呟く羽音だった。
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せっかくだから喫茶店でお茶して、それからギャリソンさんを呼ぼうということになった。
入ってきた車用の門ではなく、生徒用の校門から出ようとすると、その左手、校庭の外れに位置する場所に大きな樹が見える。
「そういや、この学校の伝説って知ってる?」
と、奈津実。
「なに? 伝説って」
「伝説の樹っていう樹があって、その下で女の子からの告白で生まれたカップルは、永遠に幸せになれるんだってさ」
「へー。どこの学校にもそういうのってあるんだね」
「Tresbien! いいわねぇ、ミズキもいつか色サマと…」
「それがこの樹なのかなぁ?」
樹を珠美が見上げると、すぐ近くで声がした。
「はい、この樹ですよ」
きら校の制服を着た、二人の女の子だった。片方は長い髪、もう片方は短い髪にバッテンの髪飾りをつけている。同じように見上げていたようだ。
「あ、えっと、ありがとうございます」
「いえいえ」
「いいわねー、この学校の女の子って。この樹を使えば恋愛なんて楽勝じゃん」
冗談めかして言った奈津実の言葉に、二人の少女は顔を見合わせ、苦笑した。
「ん、なんか変なこと言った?」
「私たち二人とも、失恋したばかりなんです」
「え…」
「って言っても、私は相手にもう好きな人がいて、今日ようやく吹っ切ったって感じですけど」
「私の方は、告白する前に振られちゃいました」
「そ、そーなんだ…」
さすがの奈津実もばつが悪くて口ごもるが、二人とも気にしないでください、と笑った。
「私たち一年生ですし、まだまだこれからですからね」
「今日は文化祭に来てくれて、ありがとうございました」
ぺこりとお辞儀して、一年生たちは自分の校舎へと帰っていった。
「ま、世の中そんなに甘くない、か」
奈津実が困ったように頭をかき、珠美と志穂も俯く。
「そうだよね…。恋をしても、失恋で終わることだってあるんだよね…」
「あんな可愛い子たちでも上手くいかないんじゃ、私なんてとても…」
「ちょっとぉ、何を弱気になってるのよ。ふ、ふん、ミズキは絶対失恋なんてしませんからね」
「須藤さんのその根拠のない自信が羨ましいわ…」
「ちょっと有沢さん、根拠がないとはなによぉ」
「まあ、でも」
と、樹の幹に手を当てていた羽音が、他の四人を振り返る。
「だからって、恋するのをやめるわけにはいかないしね」
真っ直ぐな笑顔で。
「…ったく、羽音は」
友人たちは少し呆れ、でも少し勇気づけられて…
そして奈津実が重大なことに気付く。
「って羽音、好きなやついんの?」
「え? ええと、どうなのかな」
「ちょっと空野さん! そんな大事な話をミズキに隠してたなんてどういうことよ!」
「あ、あはは。自分でもよく分からないし」
「興味深いわね。詳しく聞かせてもらいましょうか」
「羽音ちゃん、早く白状した方がいいよ?」
「許してよーっ!」
わいのわいのと騒ぎながら、羽音たちは出口へ向かう。
祭りが終わり、いつもの日常に帰るために。
そして、校門の線をまたいだ時――
-
「さらばきらめき高校! 噂通り可愛い子の多いトコやったで!」
「やめろ恥ずかしい!」
二人のやり取りを眺めながら、いつの間にか慣れてしまった自分に気付く。
校門は目の前。あと数歩でこの学校を出る。
その数秒の間に、珪はある言葉を言うべきかどうか迷っていた。
言うにしても、上手く言えるだろうか。
「はぁ…。それにしても帰るときまで野郎二人と一緒かいな…」
「てめぇは最後までそれかよ」
軽口と共に、二人は何ともなしに校門を横切る。
珪だけが、その線の前で一瞬立ち止まってしまった。
怪訝そうに、同行者たちが振り返る。
「ん、どうしたんや葉月」
「とっとと行こうぜ」
「あ…ああ」
一歩踏み出して…
やっぱり言うべきと思ったから、少しの努力を払って、珪は口にした。
「…今日、楽しかった。…サンキュ」
恐る恐る顔を上げると、二人はきょとんとして固まっていた。
また自分の言葉は届かなかったのだろうかと、不安にかられたその瞬間…
いきなりヘッドロックをかけられ、頭を小突かれる。
「なんやなんや、可愛いとこあるやないか、こいつぅ!」
「痛い…」
「昨日まではただの根暗だと思ってたけどよ。今日からはダチってことにしといてやるぜ!」
「一言余計だ…」
言いながらも、笑い出しそうになる。こんなに簡単なことだったなんて。
「あーーっ! 姫条ーっ!」
大声が響き渡り、振り向くと、はば学の制服を着た女の子が5名、校門から出てきたところだった。
「うわっ、何でこないな所で藤井に会うねん。せっかく遠くまで来たのに」
「悪かったわねぇ、こっちだって見飽きたあんたの顔なんか見たくないわよ」
「何だ、マネージャーも来てたのかよ」
「う、うん。鈴鹿くんも…」
そしてその中にはもちろん、珪の幼馴染みの姿もあった。
(羽音…)
「あ、葉月く…」
「おおっ羽音ちゃん! いやー奇遇やなぁ。これも赤い糸ってやつやで」
「あたしとのその態度の差はなんだバカーっ!」
「みんな、こんなところに固まっていたら通行の邪魔よ」
「仕方ないわね、これから喫茶店へ行くから、あなたたちも同行させてあげるわ。しっかりエスコートなさい」
「ケッ、これだからこのお嬢は苦手なんだよ」
「まあええやないか。男だけよりはよっぽどマシやで」
こうしてぞろぞろと、計8人が喫茶店への道を行く中、羽音が珪のそばに近づいてくる。
今までよりも少しだけ、珪は素直な視線を向けることができた。
「…お前なんだってな。姫条に、俺を誘えって言ったの」
「う、うん。ごめんね、余計なことだったかな」
「そうだな、あいつらには目一杯振り回されたな…」
しゅんとなる羽音に、微笑してぽんと頭を叩く。
「…でも、それなりに楽しかった。お前のお陰かもな」
「……! 葉月くん…!」
珪の前に回り込んで、そして視界の中に校舎の明かりを見た羽音は、笑顔で言う。
「来年は、一緒に回れるといいね」
「そうだな…」
珪も校舎を振り返る。
今頃あの中では、キャンプファイヤーの準備でもしているのだろうか。
主人公や藤崎詩織や、他にも今日出会った人たちは、これからもそれぞれの学校で、残りの高校生活を過ごしていく。
もしもまた会う時があれば、笑顔で会えるようにと願いながら…
珪と羽音は歩き出す。瞬き始めた星の下で、はばたき学園の仲間たちと一緒に。
<END>
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