○Manuke さん
- 01 1000と、2年目の夏 (採点:8)
- 締めが出だしと好対照になっていますね。
前半のどこか夢めいた描写も納得がいきました。佳乃が異様に子供っぽい感じなのも。
聖の持つ闇との対峙は良いテーマだと思いました。少し往人君が便利に使われちゃってる気もしますけど(^^;)
気になった点がいくつか。
佳乃の髪を「くすんだ藍色」と表現する部分がありましたけど、ゲームキャラの髪の色は表現上のお約束で実際は黒なのだと考えている私には、少々違和感があります。この部分、言及しない方が得策かと。
あと、「檀家」は使い方を間違えてらっしゃるように思います。
- 02 無菌室で煙草 (採点:3)
- あー、えっと。お話の主旨が分かりませんでした。
『AIR』の世界が現実とはかけ離れた無菌室で、このSSがそこに投げ込まれた煙草ということなのかな?
(でも、お話も到底現実的とは言えないし)
観鈴が自分で言っているように各キャラクタが原作とは少々隔たりがあるものの、途中までは世界の崩れていく異様さを面白く感じたのですが……。
正直、どう受け止めたらいいのか困惑しています。
- 03 1000番目の夏が来る前に (採点:2)
- うむむ……。感覚的に合わない部分が多く、楽しめませんでした。
序盤は、往人を単に女性へ置き換えただけのように見え、今一つ代わり映えがしないかな、と。
ベッドシーンは、個人的にはちょっと引いてしまいました(^^;)
(その後の晴子があまりに気の毒ですし)
それから、そもそも往人君は誰の子供なんでしょう? 国崎一族とは無関係?
時間の交差は面白い発想だと思うので、そちらに分量を割いて欲しかったと感じます。
- 04 母のあゆみ (採点:10)
- うわ、最後の一文が辛い……。
良いお話でした。年の勘違いは想像がつきましたが、晴子のテンパり具合や観鈴の雰囲気が実にそれらしく、彼女達の過去にこんなエピソードがあったのかもしれないと思わせてくれます。
- 05 刻の果ての白 (採点:5)
- うーむ、保育園児をナンパする大学生……(^^;)
海水浴場に来ている保育園児に「一人かい?」と尋ねる彼は、侠気溢れる好男児ですねっ☆
友里奈家のお話は明るく楽しい雰囲気で、挿入される観鈴のエピソードと良い対比になっていたと思います。
ただ、少々オリジナル要素の割合が高いため、『AIR』らしさという点では今一つでした。
- 06 新約 (採点:9)
- うう、感想付けにくい……。
方向性が若干似ているせいなのか、逆に読んでいて抵抗を感じてしまいました。
個人的には「彼らには、過酷な日々を」が『AIR』で最もインパクトのある文章だったので、そこをスポイルして欲しくはないなー、と。
(これはあくまで感情的なものですので、ご容赦くださいませ)
前半、翼人を現代科学的(とゆーかSF的)な位置づけで捉える試みが大変面白かったのですが、それが後まで続かなかったのはとても残念です。
登場人物とかストーリーとかほったらかしでも構わないから、そっちに突き進んで欲しかったなどと思うのは私だけでしょうか(^^;)
また、西野嬢が封術を振り払う以後の展開は少々ありきたりのように感じます。
後半で空白行がかなり多いのもどうかな、と。できれば間は文章で表現して欲しいです。
と、細かい難癖を付けてしまってごめんなさい。
総合的には、面白い趣向を持った力作だと思います。
- 07 遠き日の夢はゆりかごのように優しく揺れて彼女を (採点:6)
- 描写もしっかりしているし、お話の纏まりも良いんですが、由紀嬢の「死の瞬間が見えてしまう」という能力は不要だったんじゃないかな、と。
このせいで展開がやや陳腐に見えてしまいました。むしろ、ない方がすっきりするように思うのですが。
あと、細かいですけど「振り返り、必要最低限の応答」が『慇懃無礼』に当たるというのは、少々違うように感じます。これが単なる『無礼』ならば分かるのですけど、『慇懃無礼』はもっと嫌みなほど丁寧な状態でないと似つかわしくないのではないかと。
- 08 華厳 (採点:7)
- 雰囲気は確かに出ているのですが、円空の言葉が『AIR』とは関わりのない信仰心の話としか感じられず、精吉がそれで満足することに違和感を覚えます。
精吉自体「先祖代々の宿願を果たす」ことにあまり熱心ではないようにも思え、しかも円空の言はその執着をたしなめているように感じられてなりません。
『AIR』のSSでなければ、それらはマイナス点ではないのですが……。
- 10 夢の汀 (採点:8)
- 暖かいお話でした。
中でも、かのりんのエピソードが良いですね。佳乃ルートのバンダナのくだりは「縛り付けられた」という印象が強かったので、こうして佳乃が自らバンダナを解く形での補完が好ましく感じます。
佳乃のキャラクタも生き生きとしていますし、ふいに旅立ってしまう往人も「らしい」です。
また、ラストエピソードも、異なる結末を予感させてくれるのが良い印象でした。
- 11 Rainy Rainy Day (採点:7)
- う、なんか幕引き方が微妙に被ってるような……(^^;)
雨で繋いだ三つのエピソードですか。穏やかな雰囲気が悪くないですね。
中でも美凪の語りが彼女らしいイメージでした。
- 12 巡夏抄 (採点:6)
- なるほど、娘でしたか。名前がずっと出てこないので、何か仕掛けがあるんだろうとは思ってましたが。
結末の一つとしては面白いと感じます。
ただ、ほとんど説明もなくいきなり願いが「成就した」とされてしまったのは少々残念でした。
個人的には、人物の髪の色はあまり触れない方がいいと思います。少なくとも、原作ではそんな髪の色であるという描写はありませんし。
- 13 風のうた - verse of wind - (採点:1)
- >そのねがひから砕けまたは疲れ
>じぶんとそれからたつたもひとつのたましひと
>完全そして永久にどこまでもいつしよに行かうとする
>この変態を恋愛といふ
を連想してしまうわけでして……。
率直に言わせていただくなら、宮沢賢治を引用するのは得策とは思えません。あの感性の鋭さと比較されてしまいますから。
コミカルな部分はテンポがよく、楽しめました。
ただ、全体的にあまり物語の体をなしていないように思います。冗長な説明が多く、人物同士の会話も今一つ成り立っていないように感じました。
もうすこし解説を絞るべきかと。
あと、評価とは直接関係ないのですが、往人と母親の血縁がないというのはどうなんだろうと思ってしまいます。
(原作には母親が往人をお寺に預けたという記述がありますけど、血縁がない子供を預けるとは考えにくいわけで)
作中で活かされているようにも見えないので、わざわざ言及する必要があったようには感じられませんでした。
- 14 マジカルを考えよう (採点:9)
- 笑わせていただきました。「なんかもうある意味マジカル」とか(^^;)
今回のこんくーるは真面目なお話が多いので、こういう純粋なコメディは癒されます。
あと、さゆりんの境遇には涙を禁じ得ませんでした。舞は魔物退治より先に怪人退治を手伝ってあげるべきだと思いますっ。
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