Top Ka1 Ka2短 Ka2中 痕短 痕中 痕長 ONE短 ONE中 家計 月姫 Ka3短 Ka3中 Ka3超短 Ka4小 Ka4本 オリ肉 Ka5短 CLA1短 ONE2 Ka5中 CLA1中 オリ2 オリ3 Ka6小 Ka6本 AIR オリ4掌 オリ4短

○Manuke さん

01 スーパーラブストーリー (採点:3)
うう、感想に困る……。
不条理さは面白いですし、意味深なような、そうでもなさそうな展開も悪くないのですけど、読み終えた後、特に何も残らなかったのが正直なところです。

02 寒太郎 (採点:8)
寒太郎と言ったら北風小僧ですが、本作の寒太郎が何の風だったのか分かりませんでした。臆病風とか、そんなものでしょうか?
長さ制限のせいかとは思いますけど、『私』の状況変化がほとんど描写されていないのがちょっと残念ですね。
とは言うものの、ストーリー自体は優しい雰囲気で楽しめました。『ツンデレごっこ』も効果的に使われていて良い感じです。

03 GONSHAN (採点:4)
毒があるヒガンバナを手折って持って行くのも意味深ですね。
(と言うか、あんまり触らない方が……(^^;))
ただ、どうしても北原白秋の『曼珠沙華』自体と比較してしまいます。引用された以上、それを避けるわけにもいかないわけで。
残念ながら、『曼珠沙華』の鮮烈さとは少々不釣り合いな感は否めませんでした。

04 君は無口で、残酷 (採点:1)
あー、うーん……。
波紋のところは良かったんですが、その後は表現としても考察としても切れが感じられませんでした。

05 ウミに漂う (採点:4)
うーん、別段『俺』だろうが『僕』だろうが不思議に思わないので、そんなことで引っかかること自体が今一つピンと来ません。TPOによって切り替える人だっていますし。
(粋がって『俺』を使うとか、『僕』が子供っぽく感じるというのなら分かるんですが)
末尾はなかなかスマートです。

06 下手れ (採点:7)
「青春まっしぐら」なお話ですね。真正面から語るのが恥ずかしくなるくらいに(^^;)
序盤とラストの文章の対比が良い感じです。

07 ある兄妹のある日常 (採点:8)
オチなしですか(^^;) でも面白かったです。
電気代(?)は誰が払ってるんだろうとか、食事をするってことはお手洗いはどうすろのかなとか、気にしたら負けですよね☆
しかし、『この冷蔵庫はドアが閉まっている間は空間位相が変化する』のだったら、ダイニングキッチンのドアを閉じれば会えるんじゃないかと……。
それとも、「誰からも観測されていないばやいにのみ可」という付帯条件があったりするんでしょうか。

08 いつの日か栄光に満ちた自伝を書くための不快な備忘録 (採点:1)
うう……。感想の書きようがありません(^^;)
とりあえず、ごめんなさい。面白く感じられませんでした。

09 茜色の先 (採点:9)
最後の絶望感が胸を打ちます。
寂寥とした色のない世界と、悲しいほどの『茜色』の対比が奇麗でした。

10 魔法使いのいた夏 (採点:4)
情景としてはなかなか奇麗だと思います。
ただ、満天の星や蛍の群れというのは相当に使い古された情景ですので、これだけを山場に持ってきても物足りないかな、と。
あと、個人的にですが、未成年の喫煙は単にみっともなく感じてしまいます。

11 準備 (採点:3)
んん? 「かれのまち」→「かのまち」って駄洒落……ではないですよね。
身辺整理だったということでしょうけど、いきなり無理心中なのは少し驚きました。すっきりし過ぎているため、自殺をしようとしているのかな、とは思いましたけど。

12 人間の目にまだ見えない (採点:9)
#シェクリイ氏はあんまり読んでないです。いかんなぁ……。

ちょっとミステリ風味ですね。山口さんをあまり突飛な設定に持って行かなかったのが、良い方向に働いています。
教授からはどうにも嫌味な印象を受け、それが逆に作品としての味付けになっていると感じました。

13 立入諌止地点 (採点:1)
うーん。異常な事件と言うより、警察の行動が変ですね。
捏造はそういうお話なんだと納得するにしても、犯行現場が直線上に並んでいるとしたら、犯人逮捕ってすごく簡単そうなんですが(^^;)
警察官の言動もおかしいですし。

14 猫と祭りと夏の続き (採点:3)
うーん……。訳が分かりませんでした。
どうして千年後なのかとか、途中の宇宙談義とか、どうにも脈絡というものが感じられません。
気にしたらいけないのかな……?

15 嫁嫁パニック (採点:7)
ちょっと下品ですが、話の通じなさが楽しいですね。
義父は少々壊しすぎのような気も……。

16 手のひらの宇宙船 (採点:4)
全体的に文章の体言止めが多く、ぶつ切り感が強いですね。そのせいで、かなりリズム感が損なわれているように思います。
『宇宙船』の設定はなかなか悪くないです。ただ、主人公の結論が少しありきたりに感じられました。
結局、「実現したら、全てが色褪せてしまう」はずのことを実現してしまったんでしょうか?

17 キラーデイ (採点:2)
途中まではコメディなんだと思ってましたが、もしかしたら違うのかな……。
一介の高校生に対して殺し屋が雇われる状況というものが分かりません。無防備に鮎釣りしているときにでも襲ったら、凄腕の殺し屋なんか必要ないのでは?
ただ、コミカルな部分は少し面白かったと思います。

18 じれ☆んま (採点:6)
『囚人のジレンマ』は、あまり前面に押し出さない方が良かったんじゃないかと思いました。
状況に当て嵌めるには少し無理があるように感じますし、泥棒がどんな相手かも分からないシチュエーションで、それを根拠に少年が協力を求めようとするのはどうかな、と。理性が通じない可能性の方が高そうです。
それはともかく、裏切りの仕掛けが楽しめました。杉野隆二氏が気の毒(^^;)

19 猛スピードで触手は (採点:10)
触手という異常なシチュエーションとあまりに普通な日常的光景のギャップに、どうなることかと思いましたが、そう落としましたか。
いや、面白かったです。
『嫌な相性だ、と僕は正直にそう思った』のところで、危うく飲んでいたコーヒーを吹きそうになりました(^^;)
良い性格をした先輩が魅力的ですねー。

20 顔 (採点:10)
うむむ、面白かったです。
表現が多彩かつ濃密だったのも、お話の怪しさを上手く演出しています。「浅黄色の粘液」とか、気持ち悪さが快感です(^^;)

21 雪見酒 (採点:7)
無茶な展開ですが、面白かったです。
しかし、この宿はお酒等をどうやって用意したんでしょうね。普通に酒屋さんから仕入れていて、社会にとけ込んでいたりすると、ある意味一番怖いかも(^^;)
はたまた、主人公の女性も『気づいていない』方なのか……。

22 テレフォンリング -Telephone Ring- (採点:3)
うーん、かなり微妙な感じです。雰囲気自体は悪くないんですけど。
数々の小道具が、単に舞台が98年であると強調するためだけに配置されたようなわざとらしさがつきまとい、実際1998年には感じられません。
(その違和感のせいで、「実は2098年だった」というオチを期待してました(^^;))
文章も、「雰囲気が老け込んでいる」と評される青年の一人称にしては少々幼いように見えるのもマイナス印象です。

23 不謹神話 (採点:1)
いくらなんでも、これは……。

24 放浪鯨 (採点:10)
うん、良いお話でした。
ユーリが放浪鯨なのだということは冒頭で分かってしまいますけど、鯨の位置づけがSF寄りだったのは少し予想外でした。
お話としても纏まっていますし、アレクとユーリの想いも良く描けています。何より、放浪鯨のイメージがとても奇麗に伝わってきました。

25 A manufacturing onigiri line. (採点:3)
製塩室、もの凄いコスト高じゃないですか?
塩を作っている男性陣は塩分を補給しなければ死んじゃいますから、結局仕入れる必要があるわけで。普通の塩で作った方が安いと思うんですけど。
……って、そんなツッコミは無粋かもしれませんが(^^;)

26 賢人の恋 (採点:3)
いわゆるギャルゲー系ヒロインを揶揄したお話なのだと推察しますが、必要性なく『自閉症』の語を持ち出したことは不謹慎に感じられました。
少なくとも、貴方の小説が他人を傷付ける可能性だけはご承知置きください。それを理解した上で書かれるのでしたら、私から言うことはありませんが。

27 太陽と空の間にある橙 (採点:5)
ストーリーは悪くないんですが、序盤を読むだけでその後の展開がほとんど分かってしまいました。もう少し、何かがあると良かったのですが。
橙色の表現は奇麗で印象的です。

28 腐臭 (採点:4)
醜悪さは良く出ていると思いますが、お話としてはあまり面白みのない点が残念でした。
腐臭を感じてしまうほどの「平和で安全で平凡な毎日」というのは、むしろ一度体験してみたいです。

29 衛星軌道上のありす (採点:8)
うむむ、弱いところを突かれてしまう(^^;) 「インド洋の小さな島」とか(笑)
締めが奇麗に決まっているのも好印象。
小鬼のありすと黒猫のアリスに関する説明はないんですね。潔いですけど、やっぱり少々気になります。

30 はたらくぼくら (採点:2)
……えっ? これで終わり、なんでしょうか?
正直に言って、何が何やらさっぱりです。
状況は少しずつ見えてくるものの、だからどうなのかが全く理解できませんでした。

31 不確定性の彼女 (採点:5)
シチュエーションは面白いですが、量子力学を持ち出すのは無理があり過ぎるんじゃないかと。
「『観測』する人間が複数いたら、それに対する事実も複数ある」というのは、観測問題とは似ても似つかない状況ですし。
良い性格をした『わたし』には好感が持てました(^^;)

32 消滅した地球 〜alien cross road〜 (採点:8)
ネタとしては悪くないのですが。と言うか、好きなのですが(^^;)
絶対量が足りないです。16KBを更に三分割したエピソードで語るには、ちょっとスケールが大き過ぎるんじゃないかと思います。
あと、余計なことかもしれませんけど、実は太陽=シリウス間よりもアルファ・ケンタウリ=シリウス間の方が遠いです。
(正確な距離は計算していませんが、光世紀星図から見て)
いずれにせよ、シリウス・ベータ(これも凄い設定(^^;))が銀河の首都というなら、ほとんどお隣さんである太陽系が田舎というのはちょっと解せない印象があります。

33 車輪つきベビーパウダー (採点:2)
お話をそのままに受け止めると、少々面白味に欠けるように感じられました。
妹が事実主人公の妄想だったと捉えるなら、かなり救いがないですね。
いずれにせよ、『クララノさん』が何かストーリー上で役割を果たしているとも思えず、散漫な印象を受けます。

ところで、樹に実った瓶入りジャムは、このばやい果汁100パーセントと言って構わないのでしょうか。
防腐剤や着色料成分があったとしても、『無添加』を唱っていいのかな?

34 Waltz #2 (採点:4)
これはこれで良く書けているとは思うのですが、すみません。私の趣向には合わないようです。
つまらない感想でごめんなさい。

35 サプリメント (採点:7)
む、ちょっとラストの部分が分からないです。
ヤマザキ氏は美樹子の夫本人だったということでしょうか。だとすると、美樹子がそれに気付かなかったのが変ですね。
(『作り物の笑顔』が比喩ではなく文字通りの意味だったということなのかな?)

加えて、ヤマザキ氏の時間軸と美樹子の時間軸の関係が少し分かりにくいですね。
一応、ヤマザキ氏が美樹子の下を訪れたことで歴史が変わったのだと解釈しましたけど(違っていたらごめんなさい)、キーワードが重複しているせいでややこしいです。そこら辺をもう少し丁寧に書いて欲しく思います。

また、できれば太字は使わない方がよろしいかと。
太字は文章中で目立つため、読み進める前に目に入っちゃうんですよ。

ストーリー自体はなかなか面白かったです。
あと、何気に時間もの繋がりですね。仲間〜。

36 もし人生が一篇の掌編だったら (採点:1)
ごめんなさい。面白く感じられませんでした。
中学・高校は何の思い出もないんでしょうか?

37 二兎を追うものは一兎を逃す? (採点:2)
うー、ごめんなさい。面白く感じられませんでした。あまりにも『日常』過ぎて……。
文章のテンポは良いと思います。

38 まんぷくアリの行進 (採点:2)
え、えーと……。
とりあえず、鼻水のねっとり感は伝わってきました。

39 メガネとピエロのための漸進的狂想曲 (採点:9)
楽しげな雰囲気が面白いです。
眼鏡嬢とピエロと取り合わせも悪くない感じでした。
文章のリズムが良く、ラストも奇麗に決まっていたのが好印象です。

40 ボクの日常、そして七夕とヴォーグ・モント・メンソール1 (採点:2)
うーん、感想が書きにくいです。
わざとなんでしょうけど、とても痛々しくて読むのが苦痛でした。色々と悟ったつもりの高校生って、ちょっと見ていられないですね。
まあ、自分だってそうだったのでしょうけど(^^;)
ストーリーが存在しない以上、印象で採点するほかなさそうです。すみませんが、面白く感じられませんでした。

41 蜃気楼 (採点:6)
お話自体は纏まっているようですし、記者の視点も悪くないのですが、ちょっとネタとしては弱いように感じます。
最後の一文は状況を暗喩していて良いですね。

42 SARUSAWA CHAINSAW (採点:4)
うーん、何が何やら……。臨死体験と受け取っておけばいいのでしょうか?
醜悪ではありますが、それ以上のものには感じられませんでした。
あと、どうでもいいことかもしれませんが、地下水は土中に水が浸透した状態を指し、水が流れるトンネルのようなものではありません。

43 そしてお大事に,と殻人は言った (採点:10)
むむむ、言うなれば逆サイバーパンク?
(でも『賑夏』は少々やり過ぎだと思います(笑))
サイバースペースを常態とする人々にとって、現実世界は異質なものと感じられるわけですね。とても面白いです。呼吸音や鼓動に関する部分とか。

しかし、これはどう考えても掌編向きではないでしょう。
少なくとも短編部門向けにするべきだったんじゃないかなーと。推理的要素も含めて、掌編で使い捨てるにはちょっともったいないですよ。
でも好きなので10点入れちゃいます(^^;)

あと、紹介文は『ルーマニア製ウィルス』でしょうか?(オリジナルだったらごめんなさいです)

44 蟲毒 (採点:3)
……えっと。これで終わりなんですか?
母親の幽霊も、男のプレイしていた『ゲーム』もただのまやかしで、実際はお互いが見抜いた通り二人とも快楽殺人者だった、という解釈でいいんでしょうか。
それにしては、結末があっさりし過ぎているような気もするし……。
正直なところ、お話の意図が見えません。

45 八月水晶 (採点:8)
いいですね。
子供の頃の、大人が見たらくだらない、だけど確かに大切だったもの。
たくさんあったはずなのに、いつの間にかなくなってしまって、しかも往々にしてなくしたことすら思い出せない。
そんな感慨に耽りました。

46 青空 (採点:6)
「ベタだなぁ……」と思いつつも、こういうストレートなのも悪くないです。
ただ、その分インパクトは弱まってしまった感も否めませんでした。

47 光学概論 (採点:4)
ごめんなさい。特に何も感じられませんでした。
断絶そのもの、あるいはそれから目を背けることが特に悲しいとも思えない人間としては、やや理解しがたいです(^^;)
#と、ここにも断絶が一つ……。
文章には情緒があって良い印象だと思います。

48 佐竹、飛べ!! (採点:9)
好きです、こういうの。
一つのことに打ち込めるのって、なんか良いです。たとえ端から見たら馬鹿にしか見えなくても。
鳥人間コンテストの出場者一人一人に、それぞれのドラマがあるのかもしれないな、と思いました。

49 ゆりかごの歌 (採点:5)
やや設定が甘いような……。
『ママ』が人類の存亡に関わる事態への対処として生み出された、という背景には少々無理があるように感じられます。
存亡の危機とある以上、『ママ』及びそのコピーに育てられた人間は相当数になるはずで、殺人事件以後の展開はそうした状況と今一つそぐわないです。
一つの孤児院で子育てを行っていた育児ロボット、という経緯で充分だったのではないかと。

最後、ライカが取り憑かれたような行動を見せるのは、『ママ』にそうした衝動を植え付けられてしまったということでしょうか。
その辺りが面白く感じられるだけに、もう少しじっくり書いて欲しかったと思いました。

50 少女暗殺者とオルセイユの悪夢 (採点:2)
むむむ……。
独自設定を作りすぎていて、物語をスポイルしている印象が否めませんでした。
その割に、妖魔やら暗殺者やらはステレオタイプなのも残念。戦闘シーンも、唐突に<<風のナイフ>>が出てきて拍子抜けです。
また、職業暗殺者とある以上、男は誰かに暗殺を依頼されたのですよね? その辺りが全く描写されていないのは不親切ではないかと。
幕引きのシーンは良い感じでした。

51 野辺送り (採点:7)
ある友人のことを思い起こしました。
あのとき私がもっと強く制止していたなら彼は死なずに済んだのかもしれないと、当時しばらくは思い悩みましたが、その気持ちすら忘却の彼方です。彼の下の名前すら思い出せない今となっては。
十七年経っても未だその人を忘れ得ないことは、そう悪いことでもないのではないでしょうか。

52 夕焼けに彼女はいない (採点:4)
うー、ごめんなさい。こういうストーリーは性に合わないので……。
透明感のあるお話だな、と思いました。文章のリズムも悪くないです。
ただ、ここから何かを感じるということもありませんでした。

53 体育館を燃やす (採点:7)
実際にやったことがないので正確なところは分かりませんけど、気化していないガソリンはマッチ程度では燃えず、気化していると爆発を起こしかねないと聞きます。
火種を作って灯油に投げ込む方が良かったのではないかと。

黒川君が志賀君の憧れだったのとは逆に、黒川君も志賀君のことを「かなわない」と感じていたのでしょうか。
暗い情念を昇華させることができたのだと思いたいです。

54 彼女への笑顔 (採点:2)
『相貌失認』というものを知らなかったので、Web上で調べてみましたけど、ちょっと小説の内容と症状が異なるような……。
作中の『彼女』は、名前を聞いてもコウスケと知り合いだったことを思い出せないようですが、調べた範囲での相貌失認にはそうした症状は含まれないようです。
この場合、むしろ短期記憶障害に近いように思います。
それはともかく、お話としては彼女の症状説明以上のものにはなっていないかな、と。

55 時は過ぎてしまっても (採点:10)
うーん、これは辛い……。
本当かどうかは分かりませんが、植物状態と診断された人に意識があり、周囲の声を聞いていたという話は時々聞きます。(本作では植物状態そのものではないようですけど)
しかし、仮にそうした状況に陥ったら……と、考えさせられるお話でした。
最後はベタかもしれませんけど、これで良かったと思います。と言うか、何も伝えられないまま終わったら読後のダメージ大きそう(^^;)
最近は脳波を使った入力インターフェースも考えられているようですから、全身が動かせなくても意識のある方とコミュニケートできる日が早く来るといいですね。

56 飛べない鳥 (採点:2)
えーと……。ごめんなさい、趣旨が分かりませんでした。
特に寓意と言えるものがあるようにも思えませんし、お話としての感動があるとも受け取れません。
飛べない鳥は報われない結末を迎え、個人的には救いがないと感じます。(イタチ達も同じく)
童話のフォーマットを取りながら、実はかなり血なまぐさい展開ですし。(童話には黒いものも多いですけど)
どう読まれることを期待されていたのか理解できず、困惑しています。

57 夏を見逃すな (採点:6)
う、うーん……。
楽しげな雰囲気と台詞運びは割と好きなんですが、何と言いますか、サイドストーリー的な印象を強く受けました。
具体的には『Kanon』辺り。
つまらないとは決して思わないですけど、少し類型的かなと感じます。特にキャラクタに思い入れのないオリジナル小説では。
(そういうおつもりではなかったとしたら、ごめんなさい)

58 夏の扉を開けて時を駆け抜けていく少女のきのうとあした (採点:6)
タイム・リープと聞くと『時かけ』よりも高畑京一郎氏のお話を思い返しますが、こちらは記憶喪失でしたか。
ネタは小粒ですけど、お話としてはなかなか悪くないと思います。
ただ、タイトルは少々やり過ぎの感が……(^^;)

59 プルシャの後裔 (採点:9)
とても胸が悪くなるお話ですけども、これが異世界でも異時代でもなく、現代のインドを舞台としているのだろうことを考えると、やりきれない思いです。
正直なところ私はインドの現状を知りませんので、どの程度実態に即したお話であるのかは分かりませんが、本作に近い状況らしいとは伝え聞きます。
それがインドの全てだとは思いませんし、都市部ではかなり改善されているとのことですけど、問題提起としては感慨深い作品でした。

60 黒猫侍・片牙小太郎 (採点:9)
格好いいですねー、小太郎。いなせな心意気に痺れました。
肉屋のおじさん的には困ったことでしょうけど(^^;)
ラストの締めが奇麗に決まってます。

61 缶コーヒー (採点:7)
なんだか良いですね。
中学生の青かった自分に赤面したりする、その青さがこそばゆい感じでした。
でも、『T都』って表記はちょっとどうかと(^^;)

62 5人以内のごろつき (採点:1)
……?
文体から推察すると不条理コメディ系なのかなとも思いますが、笑いどころが分かりませんでした。

63 貴方に勝ちは似合わない (採点:7)
何と言いますか、主人公に共感できない以上、感想を書くのが難しいです。
何がそんなに彼にとってショックなのか、想像はできても実感ができないので。
とは言うものの、決してつまらなかった訳でもありません。
何だか微妙なコメントでごめんなさいです。

あと、キングって普通平らなんでしょうか? 王冠の上に飾りが付いているものしか見たことがありません。
唯一と言うなら、むしろルークのように思えるのですが。

64 花盤 (採点:5)
うーん、ごめんなさい。こういう系統のお話は良く分からないです。
イメージはなかなかに鮮烈でした。

65 ハイブリッドアンビエント (採点:4)
シチュエーションの特殊さが強く、感情移入ができません。
音が聞こえ過ぎるという『僕』の事情はまだ良いとしても、それがあっさりと覆されてしまうのは納得しづらいですね。
加えて、偶然出会った女性が『僕』以上の特殊な聴力を持っていること、それを克服できない状況であること等、オリジナル設定が多過ぎです。
一風変わった性格の眼鏡っ子ヒロインは、なかなか魅力的でした(^^;)

66 サルベージ (採点:8)
ノスタルジックな情景が良いですね。ちょっとベタですけど、こういうお話は好きです。
ただ、最後はちょっと唐突かな? 「少し年上の少女」なのだと思うのですが、もう少しエピソードを散りばめた方が良かったように感じました。
(尺の関係上、難しいでしょうけど)

67 純 (採点:3)
書きたいことに対して、色々と追いついていない部分があるように感じられました。
文章表現や台詞回しに少々ぎこちない箇所が目立ちます。
また、読点が少ないのも読みづらい一因ですね。
結末がぶつ切れな印象はあるものの、狙い自体は悪くないと思いました。

68 七夕 (採点:1)
いくつか誤字が見られました。校正しましょう。
適時改行しながら読んだのですが、申し訳ないですけど、あまりの退屈さに幾度か寝そうになりました(^^;)
タイトル前までは良かったのですが……。

69 神の子と魔女の子 (採点:2)
あー……、ごめんなさい。ほとんど笑えませんでした。
テンション高いのはいいんですけど、ちょっと照れが残っているように感じられます。
(『理由がわかった』のところは面白いです)

70 ばべるの図書館だより (採点:1)
すみません。図書館で『伝奇集』を借りてきて読んだのですが、ボルヘス氏の作品と比べると本作はかなり見劣りしてしまいます。
それから、『バベルの図書館』を読んでないと(最低限どういった内容なのか知らないと)意味をなさないですよね? 独立した作品でない以上、これはリスペクトとは言えず、単なる二次創作だと私には感じられます。本歌取りを目指すのなら、まず原作への依存をなくすべきです。
対談形式も一人が喋っているようにしか見えませんし(実際そうなんでしょうが(^^;)、もう少し別人格を演じてもらいたいです)、お話としても面白味に欠けていました。
タイトルからは、とても良いセンスを感じます。

71 幸せの処方箋 (採点:3)
メタファーとしてならともかく、観測問題をそのままマクロな世界に取り込むのは無理がありすぎです(^^;)
大体、多世界解釈では収束を必要としないわけですし。収束するにしても、弟の存在を家族の記憶から消すというのは、もはや量子力学とは縁もゆかりもない状況に思えます。
意欲としては買いますが、ちょっと手法が荒っぽすぎるかと。

72 雨の日の忘れ物 (採点:7)
とても共感を覚えますし、お話として好きなのですけど、最後がややあっさりしているように感じました。
『僕』が感じた雨の中の風景を、もう少し文章で表現して欲しかったと思います。
あと、冷静な客観視点で見たばやい、「朝でなくて良かったね」と(^^;)

73 あかんぱにい (採点:1)
「想像してみてください」とか言われても……。
一応、整理してみると、

1.何かの店の、おそらく入り口らしい
2.一つ目の台詞は店員らしい(以下、A)
3.二つ目の台詞は来店したものらしい(以下、B)
4.来店したのは、Aにとって客とペットに見える何かの二人(?)以上のようだ
5.Bは、自分がペットに間違われたのだとは思わなかったように振る舞っている
6.Bは、連れ(以下、C)を妻だと宣言している
7.Bは、Cがペットに間違われる可能性を理解し、それを失敬だと思っている(あるいは、そう振る舞っている)
8.5および7から、Bは二人連れの可能性が高い

こんなところでしょうか。(まだ思いこみがあるかも)
そこから発展させるとなると、「Bはペットだった」、もしくは「実はAがペットだった」とかでしょうか。
うーん、我ながら発想が貧困だ。

ただ、気のせいかこのネタ、一コマ漫画で見たことあるような気がするんですよね。
単なる既視感かなぁ……。

74 ヴァンパイア狩り (採点:5)
作中でヴァンパイアと呼ばれているのが人間なのだろうということは序盤で察しが付きました。
そのこと自体は構わないのですが、それに続く見せ方が今一つ上手くいっていないようなのが残念。
最後の説明文で一気に種明かしをするのでは、お話を読む楽しみがありません。ストーリー中でそれを徐々に明示して欲しいと感じました。
あと、

> 俺が今までの狩人人生で遭遇した最多数のヒトのコミュニティは、確か22匹だった。

の文章はおかしいのでは? ここはヴァンパイアもしくは人間とするべきかと。
お話の仕掛けや展開自体は面白いと思います。

75 ムーンサルト・ブルース (採点:10)
これは……とても面白かったです。
プロレスはほとんど分からないのですが、興業の裏事情や試合の運び方・技の応酬・登場人物の有り様と、非常に密度が高く、堪能させていただきました。
加えて、柿崎にとても好感が持てますね。お話の最後も爽やかです。

76 シャーベット (採点:8)
寺岡さんの恋心を、寺岡さん自身どころか柚木君まで誤解したまま付き合い始めてしまうというのは、滅茶苦茶で面白いですね。
ただ、嫌いだと思ったまま「彼氏彼女になりましょう」と自分から言い出すのは、いくらなんでも性格設定に無理がありすぎるかと。楽しいですけど(^^;)
心臓バクバク状態が全く表に現れない寺岡さんは魅力的でした。

77 ナイチンゲール・メール・サービス (採点:3)
え、えーと……。結局、冒頭のイメージは何だったのでしょう。ただの妄想?(^^;)
メールでの人と人との距離というテーマは悪くないのですが、ナイチンゲール・メール・サービスが今一つ機能していないように感じられました。
また、知花嬢が無事だったのは良かったとしても、亜麻色の髪+羽根付き帽子の眼鏡っ子(ヘルメスさん?)がその後登場しないのは納得いかないです!

78 音響室B (採点:3)
キャラクタや状況等は面白いのですが、こんな中途半端なところで終わってしまうと消化不良です(^^;)
音響室である必要性もあまり感じられませんし。
あと、地の文が一人称寄りだったのが少し気になりました。

79 ユメオチ「 (採点:3)
うーん、仕掛けがちょっと見え見えかな、と。
例えば“ユメオチ「”ではなく、“「○○○”(○○○は何か地の文章)等にしておけば、「題名の括弧を閉じ忘れたのかな?」とミスリードできたのではないかと思います。
現状だと、さすがにあからさま過ぎて警戒しちゃいますから(^^;)
一発ネタ系ではありますが、試みは面白いのではないでしょうか。

80 リング (採点:6)
真新しさはないでけど、ストーリー自体は悪くないです。
ただ、やはりこの長さでは色々と食べ足りないですね。父親の死とかの設定も唐突に思えますし。
キャラクタが生き生きとして魅力がありました。

81 ずっとずっと前から (採点:4)
『正統派』というのは文脈次第でしょうから、何に対する正統派を目指されたのかは分かりませんけど、取りあえずギャルゲ系的なものを踏襲できているとは思います。
ただ、これだけでは特に面白いとも、逆に詰まらないとも感じず、ほとんど印象に残らないというのが正直なところです。

82 あまいあいまいなあいまに (採点:5)
いわゆる『萌え属性』としてのソフトな百合ではなく、本気の同性愛に関しては、ちょっと分からないとしか答えようがないです。
そういう恋愛もアリでしょうし、もちろん恋愛小説としてもアリでしょうけど、それが楽しめるかと問われると、かなり困惑します。
うー、デリケートな話なので、とても書きづらい(^^;)

83 変わった趣味の男 (採点:1)
不条理系のようなので、笑いを狙っているのでしょうか?
ごめんなさい。特に何も感じませんでした。

84 ちかちゃん、甘えんぼ。 (採点:5)
う、うーん……。後味悪いですね。清水君、それで納得してるんでしょうか(^^;)
いっそのこと開き直ってタレントとかモデルにでもなってしまえば、逆に後ろめたいこともないんじゃないかと。演技力ありそうですし。

85 童話 (採点:3)
ガリレオ・ガリレイ氏が望遠鏡で月面を観測したその年に、最後のうさぎが亡くなるわけですね。意味深なような、関連が良く分からないような……。二千万年前というのもどこから出てきたのか不明ですし。
現代に生きるうさぎ達に近親交配への抵抗がないのは、月のうさぎの呪いによるということなのでしょうか。ただ、うさぎが元来シビアなら、そんなに強固な憎しみを抱くことなく地球の意向を理解してくれそう……と考えるのは当事者でないからかもしれませんけど。
あと、つまらない茶々ですみませんが、スペースデブリというのは通常、人工物を指します。

86 NEET (採点:4)
うむむ、なんか恵まれ過ぎててムカつくんですが(^^;)
主人公はかなり状況に流されているように見えました。彼女は飄々としている様子が魅力的です

87 黒揚羽と蜜柑の花 (採点:7)
うん、なかなか悪くないです。
これが彼女達なりの『デレ』分なわけですか。屈折していてもまっすぐなんですね。
ただ、ラストの一文は少々味気ない感じがします。

関係ないですけど、お隣同士でバイト数がぴったり同じだったのはちょっとびっくりしました(^^;)

89 午睡 (採点:4)
記憶障害のある人間の書いた手記のようですが、状況が良く掴めませんでした。
もしかしたら、別人の書いたものが紛れ込んでしまっていて、それを当人が気付けないというお話なのかな、とも思いましたが……。
『僕』と『私』の違いや、『君』と『あなた』あたりが連続しているようで、やはり違うようですね。
正直、訳が分かりません。

90 R・P・G (採点:10)
これは面白い。着眼点が冴えてますねー。
いわゆる、作者とか読者を作中に引き込むメタフィクション系のお話は珍しくもないんですが、本作の神視点さんはあくまで「三人称の地の文」なんですね。
その不条理感が楽しめました。

91 鈴の音 (採点:4)
内容は悪くないですし、鈴も魅力的だと思います。
ただ、これだけで終わってしまうと、お話としてはほとんど印象に残らないですね。
もう少し二人の間柄を丁寧に描写して欲しかったと感じます。

92 神の子 (採点:5)
う、うーん。これはどう受け止めたらいいのでしょうか。
イメージとしては面白いのですが、ちょっと意味を汲み取ることができません。
盗賊の回想からするに、何らかの寓意が込められているようにも思うのですが……。
それとも、気にしちゃいけないのかな?

93 妖精離れ (採点:1)
うむむ……。
きつい言い方になってしまって申し訳ないですが、こうも支離滅裂な文をフォローなしに終わらせてしまうと、ただの『電波系文章』以上のものとは受け止められません。
一人称が僕だったり私だったりとぶれているのも、台詞が微妙に破綻しているのも、おそらく意味はあるのでしょうが、深読みする気にもなれませんでした。
出だしのフレーズは悪くないのですが……。

94 Eternity (採点:7)
無茶苦茶な展開だけど、面白かったです。
妹に対して謝る辺りが、潔くていいですね。
ただ、5歳児ぐらいなら別段珍しくもないんじゃないかな、と。

95 何かの間違い (採点:2)
うーん、アイディアは買いますが……。
脳死を引き起こす薬のオリジナル設定が先行し過ぎて、お話としてはやや問題かな、と。
「人間の身体を瞬間冷凍するときに脳が止まってると、身体へのダメージが少ない」等に意味があるわけでもなく、まず脳死薬ありきな強引さが否めませんでした。
あと、「のど乾いたときにコーヒーって、微妙じゃないか?」の台詞が分かりません。伏線でもないようですし……。

96 走るッ! (採点:2)
うーん……。申し訳ないですけど、面白く感じられません。
登場人物達(あるいは作者さん)は楽しんでいるようですけど、それがこちらには伝わってきませんでした。
警官が追いかけてくる理由もちょっと……。もう少しひねりましょう。『トモハル』のミスリードも、ほぼ冒頭で推測できてしまいますし。
何より、キャラ立てに意味がないです。あっという間に終わってしまう掌編では、たくさん人物を出しても仕方がないと思うのですが。

97 やさしい猫 (採点:4)
侠気のある猫君が格好いいですね。
ただ、疑問点が一つ。ストーカー氏、どうして警察官に連行されていったんでしょう? 夜中に猫と戦ってたから?

98 足跡 (採点:7)
小ネタですが、面白いです。
ただ、最後のシーンでは主人公が足跡の場所までやって来ているのに、そこから離れた位置にあるトラックの正面にへこみができているようなので、単純に「存在が空間的または時間的にずれていた」というわけでもなさそうですね。
できれば状況説明をお願いしたいです。
あと、説明文と本文の関連性が分かりませんでした。

99 繋がっているものたち (採点:6)
悲しい結末にならなかったことに安堵しながらも、「こう上手く行くものかな?」と感じないでもなく。
思いを伝えるのはとても難しいですからね。

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