○2% さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:7)
- 暗喩ベースで構成されていく物語というのは、文章ならではの醍醐味ですね。とても綺麗なおはなしでした。作品の配置は偶然の結果とはいえ、こういったポエティックな作品はリストの最初にこそ相応しいと思います。
ただ、このテーマだからこそ、普段なら気にならない些細な言葉遣いが気になったりもします。例えば、序盤の「目線」――ラフな作品なら普通に使われるスラングですが、綺麗な物語の雰囲気作りにはマイナスです。そういった細部が貫徹されていれば、もっと魅力的な作品になったのになぁ、と。
- 02 黒船 (採点:9)
- 笑! テンポの良い会話、脱力を誘う駄洒落オチ、大好きです。や、元々落語みたいなものが割と好きなんですが、すごくそういう雰囲気が出てました。知ったかぶりの先生というネタは伝統的な「ちはやぶる」とか「転失気」の系統ですが、「黒船」という歴史上の一大イベントを持ってきたあたりが効いている印象(こういう小噺ってどこかにありましたっけ?)。これに、噺家が喋っているかのようなメタなノリが少し入っていれば言うことなかった、かなぁ。
【紹介文】確かに、この内容なら紹介文はこれしかない……使い方が洗練されている感じです(「続きを読む」の小さな枠で長文を読むのは割と大変だったりもしましたが……!)。
- 03 遵守 (採点:6)
- 旧世紀の雰囲気とベタな展開が大好きです! ただ、(邪推してしまいますが)作者さんは普段は違う文体でお書きになっているのでしょうか。読みにくいわけではないけれど、ところどころ、地の文の簡素で硬めの言葉遣いが破綻しているように思えました……や、そういう印象があるというだけなのですが。
- 04 海神の矛 (採点:5)
- テーマは凄く興味深いのですが……! 残念ながら、説得力が感じられませんでした。このテーマは、相当知り尽くしている書き手が、相当注意深く色々な要素を切り捨てない限り短編では書き切れないテーマだと思います。それでいて、書き切れないからといって長編にすると魅力が薄れてしまうテーマだとも思います。
【紹介文】「人が担ぐに」は「人が担ぐにゃ」の方がリズムが良くないですか?
- 05 理屈じゃないこと (採点:5)
- 理屈じゃないけど二人は別れます、という点について素直に飲み込めるだけの説得力はありましたし、ラストの「愛しています」はベタながらも好きな演出でした。
でも、少し物足りないところも。具体的にいうと、「小さくても何故か腹が立つ事」や「不満があったってどちらかが受け入れたり譲ったり」のエピソードを具体的に紹介して欲しかったなぁ、というあたり。
- 06 For tune the rainbow (採点:7)
- 知ってはいけないことなのかもしれませんが、やっぱりお嬢様とピアノの関わりについての具体的なエピソードを読みたかったなぁ、と思ってしまいます。でも、素敵なおはなしでした。普段は百合を敬遠している私が楽しんで読めたのですから間違いありません。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:4)
- 読んでいて、王道だ! と感じました。や、こういうのが「王道」だと思えてしまう現代は病んでいる、と思わなくもないのですが……こういった(ある意味で)真っ直ぐなストーリーは大好きです! というか、勇者と魔王ネタが大好きです!
でも、私の感覚ではタイトルの語呂が良くないように思えます。真実上ってなんやねん。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:8)
- まず、ここまで文字を詰め込んでおきながらスムーズに読める文章に仕上げてくる技量と注意深さが凄い。段落毎に視点が変わるうえ、段落間の繋がりを直接示す接続語さえないのに、曖昧性なく場面が繋がる(どこかに騙しがあって私がそれに気付いていないのでなければ、ですが)――書き慣れた人でも、かなり注意して構成しないとこれは作れないんじゃないかと思います。
で、内容について。勝手な決め付けですが、私はこのおはなしを「分からない」を分かるための作品だと受け取りました。描写されなかった事件の内容を深読みしたいならいくらでもできますが、傍観者でさえない「通りすがり」の視点に終始しているのは、現実世界に遍在する「認識と理解への断絶」を描きたいのだとしか思えなかったからです。このおはなしにミスリーディングがあるとすれば、読者に「作中人物には理解できないが、提示された情報を俯瞰して組み合わせることのできる自分には理解できるかも」と錯覚させる点でしょう(あるいは、作者さんがそうした俯瞰と解釈を望んでいらっしゃるのだとすれば私は早々にリタイアした悪い読者ということになりますが……)
- 09 テロリスト長沢 (採点:6)
- うわ、もう、汚いなぁ……!
――と、率直な印象はさておき。内容の割に描写を抑えすぎではないでしょうか。ギャップを狙っているのかもしれませんが、一読者としてはもっと暴走した語り口で同じストーリーを読みたいと思いました。
- 10 いろはの森 (採点:7)
- 舞台をSFにした意味がないとは思いませんが、その設定を生かし切れていないとは思いました。残念ながら、現状ではSFならではの「ノスタルジック」に届いていない、という印象です(実在の地名を出してくるあたり、惜しいところまで行っているんですが……あとこれ、近未来じゃなくて遠未来ですよね?)。
でも、少女期の普遍的な切実さは伝わってきましたので加点します。あと、作者さんは蟲師とかお好きですか?
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:6)
- 特に前半、持って回ったような表現を使いすぎじゃないかなぁ、と思いました。あるいは思春期の気恥ずかしさを表わしたいのかもしれませんが、ストーリーが素直なのに地の文まで回りくどい言い回しになっていると違和感があります。でも、後半は読みやすかったし、全体としての物語も爽やかでした。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:5)
- キャラクターは紋切型ながらも魅力的だし、非常に「良い話」ではあるのですが……なんだろう、ジーンと来るものがありませんでした。物語に入り込めていれば、ラストの「点へ昇ったのだ」でジーンと来たはずなんですが。実際には「誰が上手いことをry」と思っただけでした。惜しい。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:4)
- 読み進めるまで、こんなにシリアスなおはなしだとは思いませんでした(申し訳ありません)。洗髪の最中に後ろから視線が! という普遍的な錯覚を起点をしてコミカルに繋げるのかなぁ、とばかり。多少読みにくい文章なのですが、パラノイアっぽい雰囲気を出そうとしているのであれば成功だと思います。
ただ、「」を使う台詞と使わない台詞の物語における役割の違いが分からなかったので、私はこの作品を読み切れていないのかもしれません。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:5)
- ハッピーエンドが好きなので、このラストを支持します(ページ分けのタイミングから考えると、2ページ目は作者さん自らの手による二次創作のような位置付けなのかもしれませんが……)!
誤字や用語の誤りが多かったり冒頭の説明が冗長だったり「交通事故」という安直な小道具を使用していたりといった欠点もありますが、精霊「ナイトメア」という設定と夢らしく繰り返される夢の描写が切実で印象深い作品でした。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:6)
- 各所で「ハルヒみたい」という意見を目にしてから読んだのですが、キャラクター的にもシチュエーション的にもあまり「ハルヒみたい」とは思いませんでした。むしろ「星之スミレ(@菫画報)みたい」と思ったり(マイナーで失礼。というか、名前が似てるだけだ)。
「26発なんて、あっという間だった」が妙に印象深かったので少し加点を。
- 16 さくら (採点:7)
- ラストがきちんと締まっているし、必要以上にグロテスクな描写に流れていないあたりが好印象です。この狂い方を見るに、少女たち以上に「僕」の方が操られている、というかむしろ「僕」は桜の化身なのかな、とも思うのですが……(そうすると最後の2行で「桜」をも超越した存在が暗示されてしまうので、やっぱりそれよりは緩い想定なのでしょうか)。
- 17 19140901 (採点:7)
- 雰囲気が濃くて、印象深い作品でした。超絶に高級な着物を纏った少女を浜辺に無造作に座らせてしまうあたり、正木氏も大出氏と同様、最初から半ば以上取り憑かれていたということなのでしょうか……?
ただ、終盤のアナグラムは蛇足だったかもしれません。彼女と彼女たちとの繋がりが強引に示されてしまうと、物語の美しさが削がれてしまうようにも思います(あるいはそこが作者さんの狙いなのかもしれませんが)。
- 18 生命 (採点:6)
- ヤバい。読んでいるうちに頭がおかしくなりそうでした。不思議な空気。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:8)
- ひたすら描写が淡々としているためか作中で起こる事件の割にインパクトは弱めでしたが、ストレートに面白い話でした。お約束なキャラクター+シチュエーション+展開なので安心して読めます。流行なのかライトな死神モノが毎回のように登場するのですが、きちんとまとまっていれば飽きません。
- 20 今日見る明日 (採点:4)
- ピュアだ……! なんだか、内容も文章も純粋で。これを素直に楽しめない自分に気付いて打ちのめされます。皮肉ではなく、とても真っ直ぐなおはなしだと思いました。
でも、ストーリーらしいストーリーもないし、インパクトもないのであまり高く評価はできません。ごめんなさい。
- 21 雪国 (採点:4)
- 「列車」に寓意を持たせて深い内容を語るというのはとても小説らしい題材だと思いますが、ラストで「私」がその寓意の方をダイレクトに喋ってしまってい(るようにみえ)て少し興ざめでした。徹頭徹尾、暗喩で進めてほしかった……
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:5)
- 「また別の話」の方を読んでみたいです。出会い編もクサい台詞の応酬で楽しげでしたが、別の話の方が面白そう。
【紹介文】初挑戦でこの内容なら、そりゃ赤面もするでしょう……拍手!
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:6)
- 序盤と中盤に出てくる丁寧語の語り口の意図は測りかねますが(とても読みにくかった)、ラストは……ええ、確かに衝撃でした。これは切ない(ただ、「せつない」と明言しない方が良かったと思います>ラスト)。
- 24 結婚適文句 (採点:7)
- 言葉が浮かばない……! や、こういう無茶なノリを無性に好きな自分が割と嫌いなんですが、それでも好きなものは好きなんです。海苔が口の中に貼り付かないようにとか、小ネタのセンスにも非凡なものを感じます。オチにも気持ち良く脱力しました。ただ、散々突っ走ってすっきり落ちるソツのない展開のためか、読後の印象はちょっと薄めかも……
【紹介文】実は紹介文にかなり萎えつつ本文を読み始めたんですが、読んでいるうちにこれで良いのかもなぁと思えてきました。白々しい感じが本文の妙なノリにマッチしているような。
- 25 マージアここに在り (採点:5)
- (切れないナイフとか)妙に神話的な小道具が出てくるあたり、深い含意があるのかもしれませんが、よく分かりませんでした……ただ、物言わぬマージアの圧倒的な異種性は感じました。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:8)
- まず、「死のうと思い立ち」「南十字星」から「総武線」に繋がるギャップで物語に惹き込まれました。あまつさえ列車と会話まで始めてしまって、このストーリーはいったいどこまで飛んで行くのか、と。最後に「小岩」を持ってくるセンスも秀逸。なぜかこの企画では「不思議電車」系の作品を良く見かけるのですが、その中でも特に面白いイメージを形成していたと思います。
とはいえ、聖書関連の固有名詞と総武線沿線の固有名詞を説明なく使っていて、さすがに少し敷居が高いかもしれません。あと、ラストの「[〜] is end.」はダメでしょう。変なところで変なものをリスペクトしなくて良いです。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:6)
- 分かりやすくて読みやすくて、楽しげなおはなしでした! 漫画みたい。石郷岡さんより森田さんの方がワルっぽく見えたりするあたりもお約束。ここまでコテコテに書くならいっそラストも「豆腐のカドに頭をぶつけて」くらいまで定型フレーズにしてほしかったところですが、面白かったからOKです。
【紹介文】ストレートな紹介文で好印象です。捻った紹介文も良いですが、こちらの方が読み手には優しいですね。
- 28 Forest Note (採点:4)
- うーん、舞台設定は凄く魅力的なんですが……やっぱり消化不良気味です。曖昧な物語というのも良いものですが、この舞台と人物だとストレートで具体性のある筋書きを期待してしまいます。
- 29 Blind (採点:8)
- 1ページ目の日常会話だけは、もう少し書き方を工夫できないかなぁ、と思いました。テレビドラマのタイトルを出さず、「トリビア」の名前は出すのに内容は出さず……こんなおしゃべりはあり得ないでしょう。登場人物たちが明確な固有名詞を持っているだけに、そのあたりのリアリティのなさが目立ちます。
とはいえ、気になったのはそのくらい。4ページ目、まったく救えない展開をあっさりと書いてしまえるあたり、(かなり強引でしたが)勢いで押し切られました。5ページ目、タカくんの思考にもミキさんの思考にも、同意はできないのに、酷く共感してしまったり。
や、ラストを読み切るまでは4点くらいかなぁ……と思っていたのですが。「どうにもならない」としか言い様のないラストに妙なインパクトがあったので加点します。このストーリーで読後感が悪くならないというのは凄いです(各所で「ラストが物足りない」というコメントを目にしたので追記してしまいますが、個人的にこのラストは現状で過不足ないと思っています)。
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:7)
- 読み込めば深いテーマが見えてくるのかもしれないとも思ったのですが、表層が親の借金で水商売という紋切型なので読み込む気になれませんでした(それにしても、未成年+水商売+傷痕って……)。
とはいえ、キャラクターやシーンにはそれぞれインパクトがあって印象に残っています。崖上のシーンとか、ベッドシーンとか(笑)、読んでいてかなり盛り上がりました。潔癖症の異常性の描写も、適度に面白く仕上がっている感じです。
- 31 正義の味方の悩み (採点:4)
- 優等生でエキセントリックなヒロインは割と好きですし、どこかで見たようなお約束な配役も好きです。ただ、ちょっと台詞回しがクドすぎるのと展開が唐突すぎるのとで、物語に入り込めませんでした。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:9)
- 男の子可愛いよ男の子。ホントにキュート! や、先生も由紀ちゃんも可愛いけど……!
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:6)
- >ギャルゲーにありがちな
お前が言うなお前が! や、もう、バカすぎて、ついていけません(良い意味で)!
【紹介文】
>語るべきことは一つ
何を語りたいのか分かりませんでした……ごめんなさい! やっぱりアレですかね、世の中ツンデレ幼馴染だよ君ィ、ってことですかね。
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:4)
- オーソドックスながらも、深い題材。ただ、設定のインパクトで勝負できるようなテーマではないので、このベーシックな設定を生かしてどうストーリーを描写していくかが決め手になると思うのですが……残念ながら、その点では少し物足りない印象が残ります。タイトルと紹介文から容易に予想される展開を超えた何かが欲しいところ。好きな題材だけに、惜しい。
- 35 西と東、白と黒 (採点:6)
- 興味深い舞台設定。主張があからさますぎて少し押し付けがましく感じることもありましたが、一種の童話だと思って読めば飲み込めます。
ただ、白い国の方で事件らしい事件が起きないのはやっぱり物足りないかも。容量も余っているようですし、後半にも何らかの(白い国ならではの)アクシデントが起こればバランスが良いのではないでしょうか。
- 36 ソラアイ (採点:3)
- これ、舞台はどこなんでしょう。現代日本でないのは間違いないにしても、時代を匂わせる描写がないので……パラレルワールドかな、とも思うんですが。世界設定の説明が少なすぎて、最後までどういうおはなしなのか分かりませんでした。
……あ、でも、タイトルは目立ってました(今回、このタイプのタイトルは他にありませんでしたね)!
【紹介文】世界に入り込めなかったので、ハートがフルにはなりませんでした……申し訳ありません。
- 38 山田仁の行き先 (採点:7)
- なんだこの山田とかいう男はっ、幽霊とはいえ老人に対して居丈高に振る舞ったりして(しかも、口調だけ丁寧なあたりがタチ悪すぎ)! とか、なんだこの大橋とかいうジジイはっ、初対面の人間の知り合いをケシカラン呼ばわりするなんて失礼な! とか、礼に欠ける登場人物たちのことはあまり好きになれなかったのですが。そのへんは、幽霊業界は殺伐を信条としているのだろうということで飲み込みました。
何よりシチュエーションが面白かったし、登場人物たちの動機にも筋が通っていて、(人物の性格の件を差し引いても)分かりやすく読後感の良いおはなしだったと思います。「旅はまだ続く」という雰囲気の語り口も、ストーリーの広がりを感じさせて好きです。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:6)
- ためになるなぁ……高校時代にこれを読めていれば、化学がもっと好きになっていたんじゃないかと思います。ネタそのものは親父ギャグの好きな化学ティーチャーが授業中に垂れ流す与太話級なのですが、BL結合するとこんな凄いことに!
ところで、作者さんは中高一貫校の御出身ですね(……あるいは在学中)?
【紹介文】全然、ほどよく、ないです。
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:4)
- これは確かに凄い! ぜんぜん尺が足りてないよ! 長編で書いてください!
でも、藤咲さんは素敵でした!
- 41 No River to Cross (採点:8)
- あー、なんだっけこういうの……あ、すれちがい通信だ! と、蛇足はさておき。プロの演奏家に対して「誰が聴いたか知れ」と命じる男は現代の感覚からすると少々気色悪いのですが、そのへんも時代の違いだろうということで、さておき。
音楽共有機能という小道具の設定とその使い方が粋でした。ただ、「ノルウェイ(ノルウェー?)の森」を未読なので詳細なコメントは避けます。
あと、純粋に設定に対する疑問。作中のiPodの無線LAN関係って具体的にはどういう機能なんでしょうか。認証+購入とありますが、作中で流れる曲は、付近にいる他人のiPodが「お薦め」している曲ですよね? そうすると、主人公は曲を手当たり次第に購入しまくっているということですか? それとも、近くにいる間は試聴扱いになるとか?
- 42 焚火 (採点:7)
- 衝動と後悔と、二人の間の微妙な齟齬と。兄妹、暴力、火事と題材は軟派ですが、色々と深く考えてみたくなる作品でした。突き放した感じのタイトルも秀逸。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:4)
- いかにも「周りが見えません」という雰囲気で独善的に綴られていく地の文の語りが、「俺」の本質的な非社会性を象徴している感じ。その点、筋の通った物語だったと思います。
【紹介文】意味が分かりませんでした……ごめんなさい。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:9)
- うはー。この戦前の雰囲気、好きです。ちょいと誤字がありますが、ラフでもなく硬くもない文体が一貫していてお見事。相対性が云々とかいう、しょうもない駄洒落もそれっぽい感じ。オチに文化勲章かよ! という唐突さまでそれっぽい。「それっぽい」としか書けなくて恐縮ですが、素敵なおはなしでした。
- 45 おかえり (採点:7)
- 「良い話」でした。記憶をテーマにしたストーリーは巷に溢れていますが、綺麗にまとまっていれば素直に楽しめます。無闇に悲劇だったり安易に救済されたりしないラストが良い感じ。
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:7)
- 面白そうなのになぜか読む気の起こらないタイトル(良い意味でも悪い意味でもなく)だったので心配しながら読み始めたのですが、蓋を開けてみれば落ち着いた内容でほっとしました。でも、最初の3行に誤字らしき箇所が複数あったので、印象が……
- 47 ポテト (採点:5)
- ……や、ごめんなさい。どう感想を書いて良いのか分かりません。つまらなかったわけじゃないです。
- 48 タクシー (採点:5)
- ブラックなショートショートとして、よくまとまっているように感じました。でも、引用がノー・マンズ・ランドにドニー・ダーコだと、引用負けしてしまうような……! や、ドニー・ダーコは観たことないんですけど、多分。
あと、この作品、筋書き自体はベーシックなのですが、雰囲気が(前回までの)この企画ではあまり見たことがない感じで新鮮でした。
- 49 バレンタイン事変 (採点:4)
- うーん、ギャグ作品にこんな感想を書くのもどうかと思いますが、説得力がありませんでした。バカにはバカなりの論理が必要なんじゃないかと思います。このストーリーにはそれがありませんでした。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:5)
- 不思議で優しくて、読後感の良い作品でした。ただ、2人の性格が掴めなかったのが痛かったかも。チャコは不思議少女なのでそれでも構わないのですが、「私」が何を考えているのか良く分からなかったので(悪い読者で申し訳ありません)……このおはなしを素直に楽しめたとはいえません。
- 51 夏の風 (採点:4)
- 兄妹の仲の良さがひしひしと伝わってきました。楽しそう。クーラーが直ったら、二人で高校野球をTV観戦しちゃったりするのかなー、とか想像しながら読みました。
- 52 豚 (採点:7)
- 惜しい! と言いたくなる作品。終盤、「私」が田舎を離れるまでは、強烈におどろおどろしくも印象深い展開と描写でした。会ったこともない老婆を「殺そう」と何の婉曲もなく提案できる主人公がひたすら危うくて、いっそ清々しいくらいで(耳を切り取ったのは、遺体の損傷が激しすぎて「耳がなくなっていてもバレない」からだったのか、それとも単に常軌を逸した興奮の結果なのか……いずれにしろ怖すぎる)。
ただ、ラストの物足りなさは……やっぱり容量不足でしょうか? それとも、殺人鬼の末路は紋切型でしかありえないという皮肉……?
【紹介文】このタイトルと内容なら、確かに「紹介文なし」が正解だと思います。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:8)
- やっぱりハードボイルドは格好良いなぁ……自転車のくだりにはもう少し工夫の余地があると思いますが、しっかりサスペンスになっているし、ステレオタイプの混ぜ方も丁度良くて、完成度の高い物語だと思いました。
【紹介文】本文と合ってないですよー。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:6)
- 「どうして心は汚れるのかって? おかしなことを。世の中に汚れないものがあるなんて、どうして思えるんだ?」――と、なんとなく、そんな胡散臭い台詞が浮かびました。普通の感想が書けなくて申し訳ありません。
あと、
>「カゴメの」
>「野菜生活ね。はい」
は今期最も印象深いフレーズでした!
- 55 饗宴 (採点:7)
- 幻想と呼ぶには鋭敏にすぎ、寓意を読み取るには絢爛にすぎる描写。分からないのに感想を書き付けるのもどうかと思いますが、深く読み込むこともなくただ文章のリズムを楽しみながら読み進めました。「言葉使い師」「球体関節人形」といった長い単語がリズムを崩してしまうのを嫌悪しながら、あるいは途切れたリズムのために否応なく際立ってしまうそれらの単語を視神経の奥へ流し込まれながら。
- 56 Show must go on. (採点:4)
- 「二年」が「ニ年」になってる……! と、重箱の隅はさておき。10年も付き合っていて別れもせず結婚もしない人間が四人中二人もいるなんて割と異常なんじゃ……と、蛇足もさておき。
冒頭から幽霊だと分かるように書き始めたからには、ラストでもう一展開か二展開はほしいところ。でも、友情のイメージはとても素敵でした。
- 57 エース (採点:4)
- 青春スポーツ小説は貴重な存在。まずは、このテーマを選択なさった作者さんに拍手を。
ただ、理由は分からないのですが、このおはなしにはまったく爽やかさを感じることができませんでした。試合場面の描写が端的すぎたり、心情描写がクールすぎるからかなぁ、という気がするのですが……題材が題材だけに、その点が致命的。
とはいえ、試合展開のビジュアルは適切に浮かんできましたので、スラムダンクみたいなストーリーを目指していらっしゃるのだとすればある程度は成功していると思います。
- 58 飽くなき赤色 (採点:4)
- 大筋では特に「良く分からない」おはなしだとは思いませんでしたが、細かいところでは疑問点が多いです。3人の人物の名前にだけわざわざ(一見不要な)読み仮名が付いているのはどんな伏線なのか、とか。中盤、唐突に現れる丁寧語の3行は何なのか、とか。
あと、いくら何でも警察でのシーンが都合良く展開しすぎです。警官を出し抜くための作戦がもっと冷徹に、高度に練られたものであれば、終盤の衝動的なアクションとの対比でもっと面白くなったと思うのですが……
- 59 Day after tomorrow (採点:5)
- 母校にひとり忍び込みビールを飲む、という情けないビジュアルが好きです。
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:4)
- 突拍子もないタイトルというわけではありませんが、タイトルに惹かれました(オリジナルと思われる「9マイル〜」は未読なんですが)! 惜しいことに、謎物語としてはミスディレクション的な要素が何もないので少し盛り上がりに欠けるような気がするんですが……っ。
あと、主人公の性格が掴めませんでした。地の文とセリフで人格が違う……というか、作り物めいた感じ(や、フィクションが作り物っぽいのは当たり前なんですが)。
- 61 山小屋語り (採点:7)
- うへぇ、怖いよぅ……上手く表現できませんが、酷く無力感を覚える作品でした。文体の面での試みも興味深くて、この物語が他の方々にどう評価されるのか気になります。
- 62 格闘少女 (採点:4)
- 「格闘」は詐欺だーうわーん! というか、「私」の言葉遣いが凄く乱暴で怖いんですが、スケバンさんなんでしょうか……
- 63 未来視の見る夢 (採点:9)
- 風景、テーマ、構成、コノハちゃん――どれを取っても、私の趣味にピンポイントです。本当にありがとうございました! 内容も過不足なく書かれていて、分かりやすい印象です(普通に読んだら割と「投げっ放し」の要素の多い構成にも感じられるのですが、この作品に限っては不思議とそれが物足りなさに繋がりませんでした)。
や、確かに難点もあります。誤字とか。フルネーム連呼とか(狙って連呼してるのかなぁ……)。でも、それらは些細な問題で、ほとんど気になりませんでした。
【紹介文】そっけない記号の羅列だけで物語のスケールを倍加している感じ。少なくともこの欄の使い方でいうなら、他の作品を大きく引き離してこの作品がトップだと……や、でも、この使い方はちょっとズルいかも。この物語をハッピーエンドだと受け取るためにはこの帯を本文の一部として読む必要があるような気がしますがそれは反則ですし、しかしこの帯をあくまでメタなものとして解釈してしまうと酷く救えないストーリーになってしまうし、とはいえこの作品でいう「未来」はその程度の曖昧性は軽く包含しているように思えるし……わー、わー、わー。
- 64 ブランコ (採点:5)
- 「けぇ〜たいでんわぁ〜!」が素敵でした。公園でこんなひとり芝居を見せられたら間違いなく惚れます。FF以下の扱いをされて許しちゃうのは甘すぎだろ、とは思いますが。あと、ブランコは止めずに飛び降りて欲しかったです(ビジュアル的に)。
- 65 金曜日のつめきり (採点:7)
- 前半は乙一の「記憶」のような展開を予想しながら読んでいたのですが(彼女はつめきりにトラウマを持っているのかと……)、後半まで読み進めてそれが勘違いだったことに気付きました。フワフワというかサラサラというか、とにかくそんな柔らかく取り留めのない雰囲気と、良く読むと実は割と縦横無尽だったりする展開が素敵です。駄洒落オチにも一捻りあるようなないような感じで、唐突なのに押し付けがましくない。投稿No.002のような小噺のオチにも繋がる心地好さがありました。あと、「流しで煙草を――出し忘れたゴミを――」のような畳み掛けも好きなのですが、(少なくともこの界隈では)前例が多すぎるので食傷気味かもしれません。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:4)
- うーん、消化不良気味です。中盤までは幻想っぽいままで終わっても良いと思いながら読んでいたのですが、終盤で病名そのほかを具体的に出したからには完全に筋を通してほしかった。や、「α1――」で始まる段落をマンガやアニメにしばしば使われるようなコラージュ的なフラッシュバックの場面だと受け取れば、このままで構わないような気もするのですが……
- 67 世界一の小説 (採点:5)
- あ、この作品の作者さんには不本意かと思うんですが、これを読了したあとで「ありきたりだ」と点数を下げていた他のいくつかの作品の点数を上げに行ってしまいました……や、単純にコミカルな馬鹿話ではあるんですが、こういう競作企画のような場に出てくると思わず本気で反応してしまいますね!
- 68 両手いっぱいの花を (採点:6)
- こりゃ悲劇だ! ……ごめんなさい。「ヒルデぇぇぇぇぇぇ!」のくだりで爆笑してしまったバチあたりな読者は私です。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:8)
- も う 、 あ ら ゆ る 意 味 で 奇 跡 的 な 作 品 。
採点を放棄したくもなりますが、とりあえず8点。末広がりで縁起が良いように。
- 70 アリス (採点:8)
- トモ可愛いよトモ。やっぱり「ファックミー、ダーリン」は凄い威力です。あと「キモイとこ」も。
それと比較すると後半のインパクトは弱めでしたが、月並みな展開に落ち着くことで(第一印象では「エキセントリックすぎて理解できない!」というほかなかった)トモさんを身近に感じられたので、それほど悪いまとめ方でもないかなぁ、と。「僕」のですます調の語りもトボけた感じで効果的だったと思います。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:7)
- うっはー、ナンセンスかと思ったらナンセンスじゃない……?
(無茶苦茶な感想だと自分でも思いつつ書いてしまいますが)これ、投稿No.008に近い作品だと思いました。有無を言わせぬ、というほかない展開が素敵です。
- 72 月時雨 (採点:5)
- 冒頭の「ベアトリーチェ」で面食らいつつ、作品全体が「お芝居的な何か」なのだろうか、と予想したのですが……どうなんでしょう。
- 73 14文字の涙 (採点:7)
- 読んでいてドキドキしました! 特に中盤、ミステリっぽくて良かったです。「彼女」の性別とか、秘密とか。あと、相手の姿の見えない電話というテーマが大好きなので、読めて良かったな、と。
全体としては(「彼女」の病状の緊迫感があったり、文章のテンポが割と速めだったりしたにもかかわらず)三人を取り巻くゆったり感が印象に残っています。多分、メール→兄妹の会話という遅延がちなコミュニケーションに起因する、ゆったり感。
- 74 魔女の岬 (採点:8)
- 時間交錯系の設定が元々好きだということもあり、終盤の展開をひたすら楽しんで読めました。
【紹介文】単なる本文の抜き出しですが、「読もう」という気にさせてくれました。上手い選択だと思います。ただ、引用部が作中で最も小気味良い会話で、それに匹敵する箇所が他になかったのは惜しいような、物足りないような……
- 75 夜の夜 (採点:9)
- 最初、うわーありきたりな設定だなぁ、と思ってしまったのですが。その設定をこう持ってくるか! と唸らされました。死が見える人間は、なるほど「死なない」も見えます。終盤、幸と夜の関係の変化も、面白い未来を予感させて好印象。あと、おばあちゃんが妙に素敵でした。さすが、年長者は違います。
- 76 Another (採点:6)
- とても評価に困る作品です。ラストの一文を考えなければ、中盤のウジウジは魅力的だけれど締まりのないおはなしになってしまうし、ラストを考慮に入れるとオチだけで中身のないおはなしになってしまうし……
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:7)
- ここまで台詞回しが芝居がかっていれば、完全にフィクションとして素直に楽しめます。というか、幼い頃にクラスメートの女の子が書いたポエムを読まされた記憶がよみがえりました(良い意味で)。
【紹介文】「どこにでもいる」って、いないよこんなの! と、最初は考えたのですが。わざとらしい外観を剥ぎ取っていけば、コアの部分は意外と普遍的な内容だったかも。
- 78 君が星を手にするとき (採点:9)
- 安直な感想で恐縮ですが、これ、好きです。永遠の少年でもあり、立派な紳士でもあり。素敵な親父です。ロケットを打ち上げる、ただその瞬間を、当事者ではなく第三者でもない視点から紡ぎ上げる――10KBの掌編に相応しいテーマだと思いました。
【紹介文】ぜんぜん本編と関係ないと思うんですがこれ!
- 79 奥の細道 (採点:6)
- うーん、物語そのものの筋書きはだいたい分かっていると思うのですが……なんというか、中途半端な印象でした。感性を揺さぶるにも足りず、理性を納得させるにも足りず。作中を満たす危うい空気が非常に好きですし、今回の分かりにくい系の作品の中では最も再読を誘うものだったのですが……
○Aki さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:採点なし)
- 書きたいものを好きなように書くことが可能な場ということは重々承知しているけれど、他人に見せることを意識していない作品を読むのはちょっとしんどい。
オチてないのが残念。
- 02 黒船 (採点:採点なし)
- 落語調に話を作るんだったら表現と言葉そのものの数に気を使ってほしかったなぁ。会話のみで話を進めるのってものすごい難しいので。
あと、ネタにオリジナリティが足りない。
○Foolis さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:7)
- 世界の美しさ…というと少し大げさかもしれないですが、それをうまく表現してくれたSSでした。
読んでいて世界のきれいな情景が浮かんできました。
よかったです。
- 02 黒船 (採点:5)
- 何はともあれなんとも大胆な作品だと思いました。
いや、まさかほとんど台詞で埋める作品がくるとはなぁ…。
私が記憶している限りそういう作品は今までなかったかと。
テンポがよく楽しい作品でした。
- 03 遵守 (採点:8)
- 展開としては王道だと思いますが、やはりいいなぁと思うのは作者さんの腕がしっかりしているからだと思います。
丁寧にかかれていて非常にきれいな物語でした。
よかったです。
- 04 海神の矛 (採点:3)
- 個人的にはなんとなくしまりが悪いように思われました。どうも途中で終わったというか話の流れとしてすっきりしないというか。
文章自体は上手かったのでそれが残念でした。
……私はこういう軍事ものが苦手なのでそう思ったのかもしれないですが。
- 05 理屈じゃないこと (採点:9)
- 二人のつきあいはじめてから別れるまで、特に付き合い始めてしばらくしたときの雰囲気がほんとにいいなぁ、と思いました。
また、最後の「俺の部屋がなくなっていることに気が付いた。」という表現がものすごくステキでした。
よかったです。
- 06 For tune the rainbow (採点:5)
- 話の筋としてはすきなのですが…ちょっと文章がいまいちかなぁと。
ややこなれていない印象を受けました。
そのせいで二人の関係について描写はされているけどイマイチ伝わってこないというかなんというか。
それが残念でした。
いや、ほんとに話としては好きなんですけどね。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:6)
- そうきましたか。(感心
とにかく構成にやられました、よかったです。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:3)
- とにかく読みにくい、と思いました。
そのせいで、文章自体はいいのですが、頭の中に入ってこなかったりしましたたのでそれが残念でした。この話をよくわかっている自信がないです…(汗
- 09 テロリスト長沢 (採点:4)
- ネタの着想は割かしいいんだろうけど…個人的にはなんか苦手でした。
文章自体はどこかユニークな感じがうまくでていてよかったです。
そ
- 10 いろはの森 (採点:6)
- 短いながらもほんとによくまとめた物語だと思いました。
雰囲気もよくでていましたし、よかったです。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:7)
- > 当然の結末だった。ぼそっと陽太は付け加える。
>「僕のこと好きだって言われたって」
このシーンがほんとにいいですね。爆笑しました。
とにかく終始にやにやしっぱなしの作品でした。
また、最後の〆がほんとうによかったです。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:4)
- もうちょっとなんていうか、ヒント的なものが欲しかったかなぁ、と。
いきなりあの展開はないかなぁ、と思いました。
どうもおいてきぼりにされた感が(汗
それが残念でした。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:5)
- そうきたかっ。
多面性をもつ人間の面白い表現の仕方だなぁ、と思いました。
が、もう一息ほしかったかなぁ…。それが残念でした。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:7)
- タイトルの使い方が面白かったです。とにかくあのシーンはほんとにやられましたし非常にステキでした。
また話もナイトメアをうまく使ってなかなかまとまっていたと思いました。
よかったです。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:6)
- この二人のピュアというかそんななんともいえない関係がいいですね。
読んでいてほのぼのとした気分になれました。
よかったです。
- 16 さくら (採点:7)
- じつにいい雰囲気が出ていたと思います。いい感じでした。
また、最後の〆もなかなか不気味な感じが出ていてよかったです。
ただ
>おぎばなしでしかないはずのその話を思いだし、僕は質問を繰り出した。
この脱字はやめてほしかったかなぁ、と(汗
- 17 19140901 (採点:6)
- お約束的展開をうまくまとめた作品だなぁ…と読み終わった直後に思い、しばらく考え、コメントをみたら。
なるほど、なるほど、そういうことですか。
(…いや、やっぱりお約束的展開そのまま?)
ま、まぁどちらにしろいい雰囲気がでていましたし、よかったです。
- 18 生命 (採点:4)
- 世界観の形成は間違いなくうまいんですがっ、上手いんですがっ。
どうもよく内容がわからない。わかりそうでやっぱりわからない。
理解できませんでした(汗、ごめんなさい。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:5)
- 話の筋が王道なだけに一ひねり、もしくはこれでもかっというくらいの描写がほしかったかなぁと思います。
そういう意味で悪くはないんだけどちょっとあっさりしすぎかなぁ、と。
- 20 今日見る明日 (採点:6)
- 描写はなかなか上手いですし、二人のやりとりがよかったですが…。
もう少しなにか欲しかったかなぁと思います。
16KBでそれを求めるのは酷なのはわかるのですが…。
- 21 雪国 (採点:3)
- 余韻を残そうとして失敗してしまったのでしょうか。
書きたいことはまぁわかりますし、面白いテーマだとは思うのですが…。
これはあまりにも中途半端だと思います。
ぞれが残念でした。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:2)
- はじめてなのでしょうがない部分は多いですが。
とりあえず描写をもうすこししっかりするよう心がけてください。
あと展開が急かなぁ、と思います。
>「笑わないでくれ、直樹…お前は私に希望をくれた…それに心も。」
こことかいくらなんでも展開が速すぎます(汗
あとサキュバスについての説明を紹介文でもいいから少しほしかったかなぁと。
文章規則に関して。
・文頭は一文字開けて下さい。
・鍵括弧のおわりには句点(。)をつけないのが一般的ですので気をつけてください。
厳しいことをいいましたが頑張ってください。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:2)
- んーーー、なんだろ、悪い意味でもどかしいなぁ。
すっきりしないというかなんというか。
短編ということを考えると一番はじめの前置きがちょっと長すぎるように感じました。また最後も尻切れとんぼのような感じがして残念でした。
- 24 結婚適文句 (採点:4)
- なんなんだこれは(汗
うーーんノリが微妙に悪いですね。
ネタにも多少嫌悪感を覚えましたしね…。イマイチでした。
- 25 マージアここに在り (採点:6)
- こういう話はすきなんだけどなぁ…。
はじめがすこしだらだらしすぎかな、と思います。難しい問題ですが。
あと最後のオチも見せ方にもう一工夫ほしかったかなぁ、と思います。
いや、ほんとにこういう話は大好きなんですが。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:1)
- まったくといっていいほど意味がわかりませんでした(汗
ごめんなさい(汗
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:8)
- >なんか納得がいかねぇ。
そ れ は こ っ ち の 台 詞 だ。
と激しくそうおもったんですが…これはこれでいいのかなぁ?
いや、普段不良っぽくて好きな人の前で純真っていうの結構萌えじゃん?(死
だから個人的にはあのままハッピーエンドの方が間違いなくすっきりしたんですが、したんですがっ、これはこれでいいとおもってしまいますね、これは(苦笑
やっぱりなんか納得がいかねぇ(w
- 28 Forest Note (採点:8)
- 設定は面白いですが、ちょっと調理不足か。
もう少し工夫がほしかったところ。
でもほんとに面白い設定だったと思います。
- 29 Blind (採点:1)
- 設定大好きなのに、設定大好きなのにっ、設定大好きなのにっ。
このオチ&料理はどういうことよorz。
ほんっとに心の底から残念です。ああもう(汗
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:7)
- 二人の夏の間の閉じた世界がほんとにいい感じで表現されていると思いました。ただ、ラストが少し尻切れトンボかなぁ、と思います。
もう少し何かほしかったかな。
- 31 正義の味方の悩み (採点:8)
- この作品の作者、雨音さんだとかなり自信をもっていえるのですがいかがでしょう?
短くコンパクトにまとめた作品だと思いました。
安心してよめたというか、なんというか。
よかったです。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:5)
- 紹介欄みてはじめのほうよんで…どこをどうまちがったらこういう話になるんだ、と思ったけど最後がかわいいのでよし(いいのかよ
でも最後がほんとかわいらしいです。
ただ途中少し中だるみしたかなぁ、と。それが残念でした。
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:7)
- いいノリですね。そして最後にラブコメらしいオチ。
いい感じにまとめてくれていると思いました。
よかったです。
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:9)
- なんなんだろう、ご都合主義なはずなのになぜかそういうことは微塵にも感じませんでした。
ほんとにそれが意外。雰囲気がそうさせているのかなぁ。
とにかく最後まで引きこまれました、よかったです。
演出としては1ページ目ラストの演出が好みでした。
- 35 西と東、白と黒 (採点:5)
- この作品のテーマ的なものは好きですが、もう少し魅せ方を凝ってほしかったかなぁ、と思います。
演出は結構好みでした。
- 36 ソラアイ (採点:5)
- 嫌いではないのですが、最後のまとめにもう一工夫ほしいかな、と。
設定とかは大分好きなだけにその辺が惜しかったです。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:2)
- なんていうか…どうもすっきりしない話でした。
微妙だったというかなんというか。
- 38 山田仁の行き先 (採点:5)
- こういう3人のちょっとしたやり取りっていいですよね。
みていていい感じでした。ただもう少し丁寧にかいてほしかったかな。孤独の部分とかちょっと唐突だった感じがするので。
まぁ中だるみしそうではあるのですが。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:9)
- 馬鹿だ、ものすごく馬鹿だ、と簡単にいえるくらい馬鹿ですね。
よんでて非常に面白かったです。
まさか化学のあれをここまでうまく使うとは。
脱帽でした、そしてほんとに面白かったです。
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:4)
- ネタはいいとおもうのですが、やや調理不足。&文章がこなれていない印象を受けました。
最後のほう好きなだけにもう少しその辺を頑張ってほしかったかなぁと思います。
- 41 No River to Cross (採点:6)
- ノルウェーの森はよんだことがありませんが、いい雰囲気が漂っている話だと思いました。ほんとに何気ないやりとりがいいですね。
- 42 焚火 (採点:5)
- 設定はなかなか面白いですし好きなんですが、中途半端な感じがしたのが残念。もう少しなにか最後のほう描写が欲しかったところ。
それが残念でした。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:5)
- ネタは好き。
ただ、やはり調理の仕方がかなりまずいと思う。もう少し魅せ方を考えて欲しかったかな、と思う。
最後の一言は洒落がきいていていい感じでした。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:6)
- なんつーか、すごいですね…。
よくここまで時代がかった文体で書くことが出来たと思います。
ノスタルジィ的なものを感じられ雰囲気がよくうまくまとまっていたと思います。
相対性理論もなかなか洒落ていましたしよかったです。
- 45 おかえり (採点:9)
- 美生と主人公とのやりとりがほんとによかったです。
記憶を失っても主人公が毎年美生に会い続けると思うと…。丁寧に書かれていましたし、いい雰囲気が漂っていました。
ちなみに一年に一回記憶を失う少女というのは某ゲームにいたりするのですが(w、これはこれでいい感じです。
記憶に関して、あれとは違う感じで描かれていますしね。
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:5)
- なんともまぁ洒落ていますね。よかったです。
ただすこし文章がこなれていないような感じがしました。
それが少し残念だったかな、と。
あとロケフィンと略すのはいいですが、地の文で補足が欲しかったかな、と。
…それも微妙か。うーむ…。
- 47 ポテト (採点:6)
- 地の文がやや足りない気はしますが、独特な雰囲気がながれていますね。
それが非常によかったです。
- 48 タクシー (採点:4)
- 雰囲気はすきなんだが…このオチはどうかなぁ?
もう少し書き込んで欲しかったかな…。
- 49 バレンタイン事変 (採点:5)
- なにこのアホな設定w
流れはお約束的ですがほんとにアホな設定だとおもいました。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:9)
- いいね。
子供時代の体験がなかなか面白く表現されていると思いました。
丁寧にしあげられていていい感じです。
よかったです。
- 51 夏の風 (採点:3)
- 二人のやりとりはいい感じでしたが、もう少しなにかほしいかなぁ…、と思いました。
- 52 豚 (採点:8)
- ああ、黒い、黒いです。
最後の一言がいいですね。
また
>これが、初めて見た人間の死だった。
この読点の使い方が非常にいいです。
よかった。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:5)
- 最初に流れている雰囲気がいいですね。
ただこの展開はないかなぁ。
もしくは説得力を持たせるだけの描写が欲しかったです。
それが残念でした。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:5)
- 雰囲気はすきなんですが最後が説明不足かなぁと思います。
それが残念でした。
- 55 饗宴 (採点:3)
- 文章力はあるとおもいます。ただあまりにもわかりませんでした(汗
難しい(汗
- 56 Show must go on. (採点:5)
- このオチいらなかったのではないかなぁ、と思います。
それまででうまくまとまっていますし。
まぁびびったのは事実なんですけどね(苦笑
小ネタとかうまい感じでまとまっていると思いました。
- 57 エース (採点:6)
- 感情表現&試合描写がよかったです。
引き込まれました。ただちょっとだれたかなぁ…。
- 58 飽くなき赤色 (採点:5)
- 材料はそれなりにいいですが調理に失敗している感が。
もうすこしなんとかしてほしかったです。
>「狂ってるとか、イかれてるとか、異常だとか。そんな飾りはいらない。
>
>
>ただ、こうしたかっただけ」
こことかすごいすきなんですけどね。
- 59 Day after tomorrow (採点:7)
- 何がステキかって文体が一番ステキですね。
こういう文体は結構好みです。
二人の昔のやり取りもよんでいてにやりとさせられました。
よかったです。
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:7)
- 何このバカなやりとり(w
ステキすぎますw
でもまぁ高校時代はこんなもんですよね♪
- 61 山小屋語り (採点:4)
- 斬新だなぁ、と思いました。というか今回ほんとにそういう作品多いな(汗
ただオチにはもう一押しなにかほしかったかな、と。
ちょっと弱いかなぁ、と思います。
- 62 格闘少女 (採点:6)
- うーーーん…、なんなんだろう。最後がもったいない、と感じました。
どうも最後で失速したようなイメージをもちます。
理由はわからないんですけどね(マテ
設定がほんとに面白く、途中まではほんとによかったです。
ただその分最後がなんか変に感じられた…のかもしれません。
- 63 未来視の見る夢 (採点:3)
- どうもイマイチ設定をいかしきれてない感じがしました。
それが残念です。
面白い題材ではあるのですが…。
- 64 ブランコ (採点:5)
- 雰囲気はなかなかいいのですが、どうも文章がこなれていない印象をうけました。
それが残念だったかなぁ、と。
ブランコをつかったのは面白かったです。
- 65 金曜日のつめきり (採点:10)
- 独特のリズムがありました。ほんとによんでいてよかった。
いい雰囲気が漂っていましたし、彼女の台詞がほんとにいいです。
>「他人との距離を測り間違えなくてすむから」
こことかものさしのシーンとか最高でした。
よかったです。
ただ文頭は一文字開けてほしかったかなぁ。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:6)
- うーーん、面白いことは面白いんだけど肝心なところが抜け落ちている印象を受けました。
どうも読んでいてそういう違和感を覚えたのが残念だったなぁ、と。
いや、自分では説明できないのですが。
- 67 世界一の小説 (採点:7)
- 途中でオチはよめたけどほんとにいい皮肉が利いています。
まぁほんとにわがままだと思います、読者は。(もちろん、私含めて)
それに作者の方も相当大変だろうと。
いいバランスで仕上げないとダメですしねぇ…。
まぁそれを見極めてこそのプロなんでしょうけどね。
- 68 両手いっぱいの花を (採点:6)
- ちょっとラストが安直かなぁ、と思います。
悪くはないんだけど…。
ストレートでいい、とも思いますしね。
表現等は綺麗でよかったです。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:2)
- なんなんだこれは(汗
馬鹿すぎですねー。
自分は下ネタきらいなんでイマイチダメでしたが…。
- 70 アリス (採点:6)
- こういうバカップルをみせつけてくれるSSっていいですよね。
読んでいて楽しかったです。
よかったです♪
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:7)
- オチがほんとにユニークだと思いました。
今までまじめな話でオチがこれかよっ(いい意味で)て感じで。
実際問題、どんなことがおこっても案外こういうもんですよね…。(っていうかそうありたいと思います)
そういうことを感じさせてくれた話でした。
- 72 月時雨 (採点:7)
- 描写がほんとに綺麗でした。
ほんとに静かで綺麗な物語ですね…。うん。
- 73 14文字の涙 (採点:8)
- 非常にうまく、短い間でまとめた物語だと思います。
二人のやり取りがほんとによかったですし、題材も非常に面白かったです。
16KBでここまでできるんですね…。よかったです。
- 74 魔女の岬 (採点:6)
- この物語の主題的なものは好きですし、上手くまとまっているとおもいました。
ただ文章が一部こなれていないかなぁ、と思うのが残念でした。
でも全体的には上手くまとまっていたと思います。
- 75 夜の夜 (採点:9)
- 死がみえる、というのをこう使うかぁ…とただただ感心。見事。
二人のやり取りはほんとにうまいとおもいました。
あと個人的にはここの文章がほんとに好き。
>どうして、死にたいという人間が居て、生きたいという人間が居て、なのに、無差別に人は死んでいくのだろう、と思う。
>ちょっとだけ涙が出ていた。なぜなのかはわからなかった。わからないことだらけだ。
ほんとによかったです。
- 76 Another (採点:6)
- やられたーーー。そう落とすかっ。
途中までごくごく普通の話しだなぁ、とおもっていたら…。
ほんとにやられました。
でもこの誤字が残念。
>「けど、そんぐらいしかなくね。あとは委員会が同じとか、家庭科の班が同じとか、あとは出席番号が同じで隣に座ってた奴とかっての『決行』あんな」
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:7)
- 二人のどこか淡々としたやりとりが結構好みだったり。
これはこれでいいと思うんですよね。
なんていうか…静かでよかったです。
- 78 君が星を手にするとき (採点:8)
- 両親の描写がいいですねー。子供の描写をしないのも個人的にはよかったです。その分物語により深く入り込めたというか。
よかったです。
- 79 奥の細道 (採点:8)
- 世界がどこかこわれている(こわれていく、と書いたほうが適当か)描写はいいのですが、どうも話がわからなかったのが残念。
ただほんとに描写は秀逸でした。
よかったです。
○Manuke さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:4)
- うーん、どう評価したら良いものか……。
雰囲気は優しくて好きです。ただ、物語としてはこのお話特有の何かを感じ取ることができませんでした。
- 02 黒船 (採点:7)
- 良いんじゃないでしょうか。(オチはなんとなく想像が付いてしまいましたが)
落語とはなかなか異色の手ですが、面白いと思います。
- 03 遵守 (採点:6)
- うーん……。
悪いお話ではないと思うのですが、予想通りの展開だとさすがに楽しめませんでした。
- 04 海神の矛 (採点:8)
- 極限状態におけるミカの、大局的な視点から目を逸らす様が恐ろしいです。
実際、こうしたものなのかもしれないと考えさせられますね。
- 05 理屈じゃないこと (採点:5)
- うーん……。
前半は「ゲーム本編のシナリオを主人公が回想しているアフターストーリー」のような印象を受けてしまいました。キャラクタ的にもオリジナリティが感じられませんし。
後半の展開のさせかたは面白いですが、ストーリーとしては今一つインパクトに欠けるように思います。
- 06 For tune the rainbow (採点:6)
- つまらないわけでは決してないのですが、ショートショートには向いてないお話に感じられました。もっと平穏な日常を長く描かないと、余韻を残すのは難しいのではないかと。
タイトルも少々無理があるように思えます。("Fortune"とかけてあるんですよね?)
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:3)
- ちょっと安易すぎる展開ですね。冒頭でストーリーが読めてしまうのはどうかと。
歴代の魔王の方々、あまりに独善的だと思いますし(^^;)
あ、もしかして『ソウルイーター』を使っていたために勇者も魂を喰われていた、というのが真相だったりするんでしょうか?
だとすると、『ソウルイーター』の呪いに取り込まれた無間地獄という陰惨な世界になりますね。もしそうだったらごめんなさい。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:7)
- 文章には感心させられますが、いくつかの文で読点の振り方に違和感を覚えました。読点の付け方に確固としたルールはありませんけど、意味的な区切りを少し意識した方がリズムが良くなるのでは?
最後の段落の繋げ方は面白く感じました。
*コメント乗っ取りSS:自殺行為ふたたび
「……『もう、わりにしましょう』の部分、これは『もう終わりにしましょう』で間違いあるまい」
警部がそう開陳するのを、探偵は安楽椅子に身を任せて静かに聞いていた。
「それから『手を、わせてください』に当て嵌まる言葉は、『手を合わせてください』以外には考えにくい。そうなると、一つ前の読点は『墓前で』辺りになるのではないかな? 冒頭の『ごめんなさい』に続く言葉は『と仰ってくれれば赦します』と埋めることができる。ここまで判明すれば、文意は明らかだ」
探偵は組んでいた指を解き、警部に尋ねた。
「つまり、故人に対しての謝罪を求める文章だと?」
「いかにも」
頷く警部に、探偵は肩を竦めた。
「ではお尋ねしましょう。何故そのような文が書かれた紙が存在するのです? 口頭で告げるべき内容なのではありませんか?」
「そ、それは、あらかじめ夫婦が青年宛てに出した手紙かもしれん」
たじろぐ警部に、探偵は首を左右に振る。
「たまたまその手紙が風に飛ばされる、というのは少々無理がありますね。夫婦が持ってきたとするのが筋です。
そもそもタイトルが『パースペクティブ過剰』なのですよ。ミスリードを狙ってくるはずです」
「だが、他にどんな解釈ができると言うのだね?」
探偵は人差し指を立て、そして言った。
「まず、警部のおっしゃった『もう、わりにしましょう』ですが、他にも当て嵌まる言葉はあります。例えば『もう西瓜わりにしましょう』とか」
「す、西瓜っ?」
「続いて『手を、わせてください』ですが、区切り方が間違っています。これは一続きで『ただ、で御勝手を使わせてください』と見るべきです」
「しかし、だな……」
「老夫婦の態度にもヒントがあります。夫人は菩薩のような笑みを浮かべている一方、夫は緊張した面持ち。娘の嫁入りに際しての両親の反応そのものではありませんか。ですから、『します』の前は『結婚』となる」
「何がどう繋がるのか私にはさっぱり……」
淡々と述べる探偵に、警部は困惑気味だった。
「では、全文をお聞かせしましょう――『我が儘ごめんなさい。父と戦ってくれれば結婚します。もう西瓜わりにしましょう。ただ、で御勝手を使わせてください』――いかがです?」
探偵は両手を広げた。
「意味が全く分からんのだが……」
警部は不服そうな様子だ。
「簡単ですよ。つまり青年は以前、夫妻の娘さんに求婚をしたのですね。この紙はその返事となります。娘さんは何らかの理由で来られず、ご両親が代理としてそれを届けに来たのです」
「それで、どうして父親と戦うことになるのかね?」
「推測ですが、父親が『娘が欲しいのならワシを倒してからにしろ!』というノリの人なのでしょう。しかし娘さんは父親の年齢を考えて、勝負に西瓜割りを提案しています。お優しくも聡明な方です。
文末の『御勝手』は西瓜を洗うことを指しています。ここで重要なのは『ただ』を強調していること。つまり青年はかなりのしみったれだと判明します」
「それなら、パトカーと救急車はどうなんだ?」
警部が発した問いへ、探偵は待っていたとばかりに頷く。
「そこですよ。青年が鉈を振り下ろすのを少年が垣根越しに目撃していますが、これは西瓜割りのシーンです。しかし、青年は西瓜を割ることができなかった。次は老人の番ですが、青年はケチですから鉈を貸してはくれない。弱った老人の目に入ったのは、道ばたに落ちていたナイフ――」
警部が探偵の台詞を遮った。
「ちょ、ちょっと待った! それは少年が落としたナイフかね? それなら少年が既に持ち去っているはずだ」
「いえ、少年が『手を伸ばした』とはあっても、拾ったとは書かれていません。膝の血が気になって失念したのでしょう。
で、老人はそれを拾って西瓜を割ろうとしたのです。しかし、ナイフは錆び付いていて西瓜を切ることは不可能。叩いた拍子に手からすっぽ抜け、おそらくは青年に当たったのでしょう。切れないとは言え鉄の塊ですから、青年は昏倒し、慌てた夫妻は警察と救急車を呼んだ――これが事の真相です」
「そ、それなら『死刑確定』はどうなるんだ?」
「明白なミスリードです。たねお婆さんは勘の鋭い方ですから、死刑が彼等と関わっていたら見逃すはずはありません。青森のりんご農家こそ、青年と夫妻を指しているのですよ。
いかがですか? これで全てつじつまが合うはずです」
探偵はまた安楽椅子に身を沈める。
「ふむ、確かに全て説明が付く……って、納得できるかーっ!」
警部は探偵を椅子ごと蹴り飛ばした。
「うわ、警部がまた壊れたっ」
「壊れているのは貴様の頭だ!!」
げしげしと警部は探偵を足蹴にしたのだった。
- 09 テロリスト長沢 (採点:3)
- うーん、長沢君がもの凄くちっちゃい人間だということは分かりましたが、だからどうなのか首を傾げてしまいます。
(正義感あんまり関係ないですし)
それから、「すべからく」は「すべて」の高尚な言い回しではありません。ご注意あれ。
- 10 いろはの森 (採点:8)
- なかなか幻想的なお話でした。
ただ、桐絵の正体はもう少し隠して欲しかったように思います。(最初の村で、老婆の姿は出さない方が良かったかも)
また、舞台設定に二三、引っかかる部分がありました。
いろはの森は「春と秋の満潮期には海に沈む」とのことですが、そんな状態でサンゴ虫が生きているとは思えません。(かつて原生林だったのですから、その後に珊瑚は成長したのですよね?)
寒冷化が進んでいるようなのに、海が拡大しているのもちょっと不思議です。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:8)
- なるほどなるほど。
二人とも可愛い感じが良いです。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:10)
- 爽やかなお話でした。
カメラを軸にして語られるちょっと不思議な物語、面白かったです。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:5)
- 構図がなかなか面白いですね。
保険の先生がちょっと簡単に見透かしすぎのような印象を受けました。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:2)
- このオチはちょっとどうかと……。
つまり結局、彼は夢魔でもなんでもなかったということですか? あれだけ前半を夢や夢魔の説明に割いたのに。
かなりバランスを欠いた展開かと思われます。
また、誤字も多いようです。校正はしっかりと。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:4)
- 魅力的に描けてはいるんですが……。
二宮スミレ嬢は作中で「周りの迷惑顧みず好き勝手やってきた」と述べられていますけど、読者側にはそれが見えません。単なる設定止まりで、キャラクタの特徴になりきれていないわけです。
中盤で彼女が弱気なところを見せる部分も、傍若無人なキャラクタが立っていれば対比となりうるはずですが、本作ではそうしたアクセントが付けられていません。
キャラクタを新規に定義する必要のない二次創作でならアリですけど、一次創作としては少々厳しい評価になってしまいます。
- 16 さくら (採点:5)
- 醜悪なのはある意味気持ちいいんですが(^^;)、あまり怖さは感じられませんでした。
オチが定番過ぎるのが残念。
- 17 19140901 (採点:10)
- すみません。読む前にWikipediaでリョコウバトのことを見つけてしまいました(^^;)
その件を抜きにしても、ちょっとタイトルは頂けないかな、と感じます。
それ以外は素晴らしいですね。堪能させていただきました。
- 18 生命 (採点:6)
- 幾度も挿入されるタイトルが絶妙に不快感を煽ってくれます。
主人公の壊れ具合と合わせて、計算された危うさが感じられました。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:2)
- どうにもアンバランスさを感じてしまいました。
お話の展開もそうですが、地の文章の視点がぶれるために安定感がありません。
(特に冒頭は一人称的な印象が強いです)
メリエルは可愛い感じでした。
- 20 今日見る明日 (採点:6)
- うーん、爽やかで可愛らしいお話だとは思うのですが……。
ごめんなさい、ちょっと自転車系ショートショートは食傷気味なので(^^;)
- 21 雪国 (採点:5)
- えっと……。
描写は悪くないですが、「だから何なのだろう?」という感想しか思い浮かびませんでした。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:1)
- えーと、これで終わりなんでしょうか?
申し訳ないですが、小説の体をなしていないように感じます。
シリーは可愛らしく描けていますから、次は何かしらストーリーを展開させていくと面白くなるかもです。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:9)
- これは可愛くも切ないお話ですねー。
一人称の地の文がテンポ良く、軽快でした。
- 24 結婚適文句 (採点:8)
- お馬鹿なのが楽しいです。ただ、部長のキャラクタは少々羽目を外しすぎに感じられましたが。
それから、「すべからく」は「すべて」の意味ではありませんのでご注意を。
(ギャグかもしれないですけど、一応)
- 25 マージアここに在り (採点:6)
- 舞台設定は面白いですが、展開が冒頭で読めてしまいますね。
火星版『夕鶴』っぽい印象です。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:3)
- んと、ごめんなさい。面白く感じられませんでした。
ナザレの大工さんを登場させた割には、ありきたりな質問ですし。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:7)
- 森田舞嬢が魅力的です。性格悪そうなところが(笑)
ただこれ、ハッピーエンドと言っていいんでしょうか? 微妙にすれ違ってる気がします(^^;)
- 28 Forest Note (採点:7)
- なかなか良い雰囲気のお話でした。ただ、もう少し意外な部分が欲しいかな、とは思います。
それから、重力が強い星に大気がなかったというのはちょっと不自然に感じられました。
- 29 Blind (採点:3)
- うーん、何と言うか……。
ごめんなさい、趣味から外れていて楽しめません。
印象を端的に表すと、「何このアホの子?」という感じでした。(変な感想ですみませんです(^^;))
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:5)
- うーん……。
終わりが唐突で、今一つすっきりしない感があります。
もう一文二文でもいいから、美優嬢の心情が描かれると良かったのですが……。
- 31 正義の味方の悩み (採点:4)
- うーん……。
まず、地の文に書いたものを主人公が発言していたことにする手法ですが、多用するのは良くないかと。
おそらくある作家さんの影響だと思われますが、マイナス印象です。
それから、キャラクタが非常にステレオタイプで、オリジナリティに欠けています(特に笹原君)。
お話自体は明るくて読後感も悪くないです。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:10)
- た、楽しそう……(^^;)
雰囲気やテンポが良いですねー。エミ先生がかわいそすぎなのもGJ(笑)
一つ指摘を。「須く(すべからく)」は「すべて」とは意味が違います(「〜するべきである」という意味)。この場合、「悉く(ことごとく)」辺りの方が適切では?
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:5)
- うーん……。悪の組織はいらなかったのでは?
つまらなくはありませんが、全体的に今一つ笑えませんでした。
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:7)
- オチはちょっとだけ安易な気もしますが、悪くないお話です。
ただ、男達がクウの正体を知らなかった部分が、
>ある手違いから外界に放り出され、そのままわけもわからずに黒服の男達に拉致されてしまったこと。
の一文で済まされてしまったのは少し残念かも。
- 35 西と東、白と黒 (採点:4)
- んと。ごめんなさい、面白く感じられませんでした。
紹介文と冒頭で、ほぼ内容が想像できてしまうのはどうかと。髪の色も文中で全く意味を持っていませんし。
現実とリンクした問題提起をされたいのでしたら、もっと踏み込むべきです。
あと、「土の地面で自転車は却って危険なので」というのはどういう意味ですか? 黒の国の少年は未舗装道路を知っているようですから、無知故に誤解しているというのも考えにくいですし……。
- 36 ソラアイ (採点:3)
- うーん、単なる誤解で終わりですか……。
状況がちょっと現実的でないのも気になりました。
アキヒト君の説明だけで「間違いなく空の知っている雪美だった」と確信できるようには思えません。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:6)
- うーん、冒頭でネタバレしすぎですよー(^^;)
面白いですが、ちょっと設定に無理矢理感を覚えました。(シチュエーションのために設定を作り過ぎている感じ)
それから、イタリックを多用しているのは少々印象が悪いです。
- 38 山田仁の行き先 (採点:4)
- 雰囲気は悪くないんですけど、物語性には欠けているように感じました。
それから、会話文で誰が発言した台詞なのか分かりづらい部分があります。
(山田君と大橋老人は一人称が『僕』で、話し方も丁寧ですから)
台詞だけでお話を進めるのではなく、間に地の文を挟んで状況説明した方がより分かりやすくなるはずです。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:1)
- うーん、ごめんなさい。つまらなく感じてしまいました。
会話文のみで進行する部分が多いため少々読みづらいですね。もう少し地の文を挟んだ方がよろしいかと。
あと、同じ人物の台詞を続けるのは御法度です。
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:3)
- うーん……、無理をし過ぎていますね。
16000バイトしかないのですから、無駄な部分をそぎ落としていくべきでしょう。
あと、『××能力者』のような言い回しは少々安易に感じました。
ネタ自体は面白いと思います。
- 41 No River to Cross (採点:6)
- オマージュと言われても、村上氏の作品を読んでない私にはどう受け取ればいいのか分かりませんでした。
わざわざ近未来のiPodなどを使わなければいけなかったのでしょうか。そうは思えないのですけど。
逆に「全てが共有される世界」における価値観こそが主体なのでしたら、面白い思考実験だと感じますが。
#しかし、商品名を出すのはどうかと思いますよー。
#『オーディオプレイヤー』辺りが無難だったのでは?
#(あるいは、いっそ"iriver"を使うとか(^^;))
- 42 焚火 (採点:4)
- えっと……。
シチュエーションだけで、物語になりきれていないように感じられてしまいました。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:2)
- 容量が足りなくて改行を削った……ってことはないですよね? 基本的に、会話文のカギ括弧部分は改行して別段落にしましょう。
全般的に理不尽な点が多いです。
小学校一年生が、果たして「あんなにまで協調性とやらを強要されるとは思わなかった」などと考えるでしょうか。また、この場合つとむ君は保育園/幼稚園に通ったことがないと思われますが、少しくらいは文中でそれに触れるべきでは?
つとむ君がかおる君を見るのが久しぶりのような描写がありますが、同じ家で暮らしている以上、顔を合わせる機会がないはずがありません。
結局、かおる君はどうなったのですか? そこを描かないと物語としての決着が付きません。
つとむ君の心情描写は悪くないと感じました。もう少し、盛り込む内容の取捨選択をすれば良くなると思われます。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:7)
- 書式としては面白いですが、内容の方は今ひとつ楽しめませんでした。
何より、薫氏の言葉がそれこそ一面的に思えますので。
- 45 おかえり (採点:9)
- boldの段落は、同じ季節でも二年前の話なんですね。
ちょっぴり切なく、優しい物語でした。
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:4)
- ?
このお話をどう取ればいいのか、分かりませんでした。
「原稿用紙上での再開(再会の誤字ですよね?)」という表現が面白いです。
- 47 ポテト (採点:5)
- 真理亜嬢は魅力的ですが……。
展開が色々と唐突で、どう捉えたらいいのか困惑しています。
雪の結晶はレプリカだったんでしょうか?
- 48 タクシー (採点:1)
- えっと、ごめんなさい。面白くありませんでした。
もう少し物語性を盛り込んでほしいです。
それから、映画の台詞の引用は良い印象を持てません。借り物ですし、未見の私にはどんなシーンなのか想像も付きませんから。
- 49 バレンタイン事変 (採点:4)
- まあ、みの氏ならあるかもしれませんしね(^^;)
それはともかく、出だしに対して展開が大人しすぎるように感じました。
宮田嬢は可愛いです。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:8)
- 良いお話だとは思うのですが、結局チャコがどういう存在だったのか気になってしまいます。
気にしちゃいけないのかもしれませんけど……。
- 51 夏の風 (採点:2)
- 気温が40℃オーバーなら、扇風機を付けても涼しくないどころか熱風で余計に暑くなるような気が……。
(汗の気化熱で多少は効果があるでしょうけど)
ほのぼの加減は良いのですが、「暑いから扇風機付けてアイス食べた」だけでは、正直物語とは言えないと思います。
- 52 豚 (採点:4)
- 主人公の考える「最悪の形」が村八分というのは、彼女の貧しさを表していますね。
ただ、お話は特に意外な部分もなく、あまり面白くありませんでした。すみません。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:9)
- ハードボイルドですねー。面白かったです。
シニカルですが、不思議と陰惨なイメージがありません。
ひとつ気になったのが、「遮蔽物が途切れたのを見計らい、サイドブレーキを引いた」の部分。車を止めずにいきなりサイドブレーキを引いたんでしょうか?
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:5)
- ごめんなさい。このお話で語られるものが私には理解も共感もできません。
と言うより、理解したいと思うことすらできません。
(冷たい印象のコメントでごめんなさいです)
- 55 饗宴 (採点:6)
- んー、ちょっと理解しがたい部分が。
地下室に満ちていたのは主として青い光ですよね?(天井からは赤光も差し込んでいるようですが、描写から見て光は散乱していないと思われるので)
この状態で、果たして鮮やかな色が認識できるでしょうか。青い光しかなければ、描かれるイメージとは裏腹の青ざめた味気ない光景になってしまうはずです。
(CRTで『青い光』を作ってみて何パターンか実際に試しましたが(^^;)、『血のような赤』は無理でした。どす黒い血の色ということでなければ)
そうした辺りを念頭に置かれた方が良かったかと。
それから、「百億の昼と千億の夜」の表現を使ったのはどうかと思います。
この美しい表現をオリジナル然として描写に織り込むのは光瀬龍氏に少々失礼ではないでしょうか。
- 56 Show must go on. (採点:7)
- オチは読めてしまいますが、お話は楽しめました。
達也君の友人達がいい感じです。
- 57 エース (採点:9)
- 爽やかで良い感じでした。
スポーツものという路線は少ないだけに、新鮮味があります。
- 58 飽くなき赤色 (採点:5)
- うーん。警察官がこうなることを予測しないはずがないと思うのですが。
親しい友人が殺された後、夜間外出を止められているにも拘らず外を出歩いて犯人と遭遇、かつ家族が殺人犯に皆殺しにされている状況です。秋介君の真意とは無関係に、警察側は彼に復讐心があるものと想定するはずです。
神原一家惨殺後、警察を介さず直接対峙させるべきだったのでは?
- 59 Day after tomorrow (採点:4)
- その『明後日』にはもう……ってことですか?
序盤で台詞によって状況説明する部分が少々良くないですね。
二人のやりとりは微笑ましい感じですが、全体的に今ひとつオリジナリティに欠ける印象があります。
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:1)
- えっと、ごめんなさい。面白く感じられませんでした。
コメディと言うより、ただ仲間内でダベっているだけにしか見えません。
ミステリとしてもちょっとどうかと思いますし。
- 61 山小屋語り (採点:6)
- うーん、導入部から中盤はとても恐ろしげで良かったのですが……。
どんでん返しを狙ったために、最後は逆に怖くなくなってしまった感がありました。
命が安い状況だからこそ、旅人さんが追い詰められたように思えないんです。つまり、このままバックれても誰も文句を言わないのでは?(^^;)
- 62 格闘少女 (採点:8)
- タイトルや冒頭とは全く異なる印象の、凄いお話でした。
重いお話なのに、後味が爽やかなのが見事です。
- 63 未来視の見る夢 (採点:10)
- 素晴らしいお話でした。
避けられる未来でありながら、避けないことを二人は選ぶんですね。
アプローチの仕方が見事です。
- 64 ブランコ (採点:2)
- んと、ごめんなさい。面白く感じられませんでした。
何かしらこのお話ならではの部分があると良かったのですが。
- 65 金曜日のつめきり (採点:5)
- ごめんなさい。
独特のリズムが悪くはないと思いますが、私には楽しめないお話でした。
「つめきりはどこですか?」と尋ねて、店員が怪訝な顔をする部分がちょっと分かりません。何か意味があるのでしょうか?
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:7)
- ショッキングな結末ですが、ちょっと唐突すぎますね。
もう少し、前振りがあると良かったかも。
- 67 世界一の小説 (採点:2)
- うーん……。ごめんなさい、つまらないです。
- 68 両手いっぱいの花を (採点:3)
- ……あれ?
紹介文が意味ありげだったので、何かどんでん返しがあるのかと期待していたんですけど……。
二人とも死んじゃって終わり、ですか。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:5)
- アホ過ぎるオチが面白いですね。
ただ、一部の文をboldにする必然性が全く感じられませんでした。こうした強調方法は好きではないので、その分点数に反映させていただきます。
(自分勝手な採点で申し訳ないですけど)
- 70 アリス (採点:3)
- とても可愛らしい二人ですが、お話は面白く感じられませんでした。ごめんなさい。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:1)
- かなり誤字が目立ちますね。
文章も悪文が多いようです。主語や目的語をもう少し意識しましょう。前後の文章で同じ表現の繰り返しになっていないかもチェックしてみてください。
小説としても、正直なところ面白くありません。IFの世界を構築することだけに終始するのではなく、何かしら展開があると良かったのですが。
- 72 月時雨 (採点:3)
- 冒頭の段落は、明喩が直接的すぎて今一つに感じられます。
ストーリーもほとんどありませんし、楽しめませんでした。
- 73 14文字の涙 (採点:4)
- うーん……。こう言っては何ですが、ちょっと後半が安易に感じられました。
タイトルはとても良いと思います。
- 74 魔女の岬 (採点:9)
- これは面白い。
『私』は願いを叶えてもらう側ではなく、願いを叶えるための対象だったんですね。
- 75 夜の夜 (採点:8)
- 面白かったです。
『死が見える』という能力をあまり前面に押し出さない使い方が秀逸ですね。
ただ、タイトルはちょっと頂けないかも(^^;)
- 76 Another (採点:2)
- オチがイマイチ……と言うか、ちょっとガックリ感が(^^;)
それから、誤字や言葉のおかしい部分が目立ちました。しっかり校正しましょう。
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:3)
- うーん……。
前半と後半の繋げ方にちょっと理不尽さを感じてしまいました。
もう一工夫(例えば、前半から見ても後半が作り話に見えるとか)あると良かったように思います。
個人的には、前半の彼女が魅力的(^^;)
- 79 奥の細道 (採点:5)
- 内容より先に、マナーの悪さが気になってしまいました(歩きタバコとかポイ捨てとか)。
一歩引いてしまったため、トーンが変化してもインパクトは今一つ感じられませんでした。
そうした個人的な印象を除けば、醜悪さが面白いお話だと思います。
○Natsu さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:4)
- 絵本風の穏やかで優しい雰囲気は出ています。
ただ主人公たちに感情移入できないというか、そもそもどういう生物なのかがわかりませんでした。
虹の向こうというのも絵本というより冒険もののようで、全体の雰囲気にマッチしていないかと。
- 02 黒船 (採点:3)
- 飾り気のない作品でした。
内容以前に小説としてどうかと思います。
- 03 遵守 (採点:9)
- 完璧です。
深みのあるキャラクター、重々しい文章、そしてオチ、今回もっとも隙のない話だと思いました。
読んだ後は話の内容と完成度の高さと二重の意味で感動しました。素晴らしい。
- 04 海神の矛 (採点:4)
- 極限状況における人間の心理は上手く描けていると思います。独特の魅力のある作品。
専門用語が多くて退屈でしたが。
- 05 理屈じゃないこと (採点:7)
- 悪くないです。構成の勝利ですね。
キャラも魅力的だし、余計な説明がないところも好感が持てます。
というか必要以上に感情移入できて悲しい(笑)
- 06 For tune the rainbow (採点:7)
- 今回最も紹介文がよくできてると思いました。
主人公の語り口と独特の雰囲気に高得点を出します。
ストーリーは平凡だと思いましたが、だからこそ良さが際立つのかもしれません。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:5)
- ストーリー展開とオチはベタですけどそれを完成させたのは評価できると思います。
不満点はジャンルが曖昧であること。シリアスなのかギャグなのか、両方を取り入れるならともかく、どっちつかずでは読んでて戸惑います。
笑いにくいし感動しにくい、そういった感覚でした。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:1)
- 読むのには苦労しますが採点には苦労しないので助かります。
- 09 テロリスト長沢 (採点:2)
- 皮肉が利いた内容ならいいと思いましたが、ただ世間に罵声を浴びせるだけですね。
アレルギーが出たわけではなく、単純に面白くなかったです。
オチも今一つ。
- 10 いろはの森 (採点:4)
- 作中で設定があまり明かされておらず、童話のような内容で、近未来と言われてもピンとこないです。
地味なのが欠点と言いましょうか、ノスタルジックな雰囲気はあるものの、あまり魅力は感じませんでした。
ラストもちょっと。文学的にまとめておりますが、作品には合っていないと思います。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:4)
- 内容は悪くないですが集中できませんでした。
二人の会話が横道にそれすぎでテンポが悪いです。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:6)
- 必要最低限のキャラ、過不足なくまとまったストーリー、幽霊ものらしい静かな雰囲気、パズル的な構成、どれもよく出来てます。
地味なのでなかなか高得点はつけづらいですが。
良くも悪くも王道といったところでしょうか。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:2)
- 一体どういう意味でしょう?
テーマも内容も、何が書きたかったのかわかりませんでした。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:6)
- 読みづらさはありましたが、構成が素晴らしいです。改行とタグの使い方はセンスを感じました。
この手のタイトルは大嫌いですけどこの作品に限っては上手いと思いました。
しかしオチは今一つわかりません。結局彼は生きてたんでしょうか?
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:5)
- タイトルから岩井俊二監督を思い出しましたがそれはさておき。
途中で回想シーンを入れる意図がわかりません。
そのせいで文章のリズムが変わりすぎで読んでて戸惑います。
スミレのキャラは読者を物語に引き込むだけのパワーがあったと思うので、構成次第ではノリのいい作品ができたと思います。
- 16 さくら (採点:1)
- どういうお話だかわかりません。
- 17 19140901 (採点:3)
- 一体何が書きたかったのでしょう。
リョコウバトはストーリーの本筋にまったく関係ないと思うのですが。
鳥羽胡涼がリョコウバトと言われても「だから何?」としか……。
- 18 生命 (採点:3)
- だんだん狂ってく一人称という試みは面白いです。
でも主人公はともかく、読者からも状況がわからないのはどうかと思います。
タイトルが何度も出てきたりするのは演出なのかどうかすらわからないです。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:6)
- なかなか面白かったです。
論理展開が複雑で、読んでてわかるようなわからないような妙な気分ですが、そこがこの作品の魅力だとも思います。
そこかしこにギャルゲー的要素が見え隠れしますが、個人的には余計だと思います。
- 20 今日見る明日 (採点:5)
- センスと初々しさと荒さが感じられる作品でした。おそらく書き始めて日が浅い人でしょうね。
- 21 雪国 (採点:5)
- 文学的な雰囲気だけの作品ですね。周りの空気をすべて無視して雰囲気だけを作ってる。街中で観客もいないのに芝居をやってるような感じです。
何というか、理由もわからないのに笑えてきました。こういうのをシュールレアリスムというのかどうかはわかりません。
おそらく作者の意図したものとも違うと思います。
美人でも何でもない女に一目惚れしたというべきか。
一般受けする作品だとは思いません。私好みの作風でもありません。でも何か好きです。
いい意味でもなく、悪い意味でもなく、とにかく印象に残る作品でした。こんなコメントで申し訳ありません。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:3)
- 書き進めるうちに迷走した跡が見られます。
推敲の段階でまとめてほしかったです。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:5)
- コミカルな一人称とわかりやすい構成はよかったです。気軽に読める作品。
難点はジャンルが統一されていないことです。美香と遠藤の立ち位置がバラバラで青春ラブストーリーになってません。これでは青春とラブストーリーですね。
あとラストは急ぎすぎです。容量は余ってるので工夫してほしかったです。
- 24 結婚適文句 (採点:7)
- 笑えました。
最後までギャグを貫いたのは好感触です。
- 25 マージアここに在り (採点:7)
- 無駄のない構成ですね。
展開はややベタではあるものの、やはり種族を超えた愛というテーマはなかなか感動させられます。
テーマの質と、それを表現しきった技量に高評価を出します。
余談ながら、新井素子ちゃんの「グリーン・レクイエム」を思い出しました。この作品における「緑幻想」は書いてくれるのでしょうか(笑)
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:1)
- 理解不能です。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:8)
- 面白いです。
主人公がいいキャラですね。ややステロタイプな他の二人に対し、主人公には特にセンスを感じます。
文章もギャグも手馴れてるし、言うことありません。
- 28 Forest Note (採点:4)
- 容量不足でしょうね。
彼女との生活が濃密に描かれていればそれなりに感動もしたと思います。
- 29 Blind (採点:2)
- テーマはわかりますけど描ききれていないと思います。
主人公にまったく共感できませんし、途中の展開もラストも意味不明。
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:6)
- タイトルから作風は大体想像つきましたが、これは評価に困りますね。
AVみたいな内容です。ストーリーはおまけで性的描写が命。その描写がよくできているので、やはりそれなりの点数は出すべきかと思いました。
しかし出す場所が間違ってるような……いっそ18禁にしてそれなりの場所へ出すべきだったのでは。
- 31 正義の味方の悩み (採点:4)
- 容量不足ですね。
メインと思われた正義の味方の活動内容が大幅に削られてるのは残念です。
テンポはいいのですけどキャラもストーリーも薄いです。コメディとしても普通の日常としても印象に残りませんでした。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:5)
- テーマはないんでしょうね。単純に読んで楽しめるかどうか。
まあそれなりに面白かったです。
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:6)
- 楽しめました。
主人公たち二人はギャルゲーっぽくていい感じです。
個人的にはラストは露骨に甘くしてほしかったです。
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:4)
- オチは失敗だと思います。
血なまぐさい世界観でありながら毒気が感じられませんでした。
- 35 西と東、白と黒 (採点:3)
- テーマはわかりやすいのですが、面白味が感じられません。
テーマのためにすべてを犠牲にしてる感があります。
平凡な日常、無個性なキャラクター、これで高得点は出せません。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:2)
- ごめん。全然、分かんない
エロシーンだけはわかりました。
- 38 山田仁の行き先 (採点:1)
- 設定の見せ方がダメ。
人間関係やキャラの区別がまったくできないまま終わりました。
地の文を多くして読みやすいように整理してほしいです。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:2)
- 化学だけでなく、文章作法の勉強もしてください。
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:3)
- キャラの名前と性格がいかにもエロゲっぽくて好きになれませんでした。
それはともかく、秋人と芹緒はメインキャラにしては存在意義が薄いです。いなくても成り立ちます。
エピローグで子供の名前どころか、母の名前や祖父母の仲違いの内容すら出てこないのは容量不足で描ききれなかったのだと思いますが、他の部分は削ろうと思えば削れます。
秋人と芹緒と藤咲さんとのやり取りなどはほとんどがオチとは関係ないですから。
この説明不足ぶりや枝葉末節の多さはシナリオの一部分を切り取ったかのようですね。短編としてはまとまりに欠けてます。
- 41 No River to Cross (採点:1)
- さっぱりわかりませんが文章は何となく上手そうでした。
- 42 焚火 (採点:5)
- タイトルが秀逸。
短いながらも完結しており、なかなか楽しめました。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:3)
- オチに唖然。
読み終えた瞬間、具体的な感想を書く気がなくなりました。
文章は上手いと思ったんですけど。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:5)
- ジャンルはラブストーリーと言っていいでしょうね。
時代を感じさせる文章はわかりにくくもなく、上手くできていたと思います。
美術に関する薀蓄はやや退屈ではありました。もう少し短くまとめていればよかったと思います。
- 45 おかえり (採点:7)
- 面白いです。タグの演出は秀逸。
感動というには少し押しが弱いとも思いましたが、全体的には十分良作だと思いました。
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:3)
- 物語はそこそこ読めるのですがテーマが見えてきません。
障害者について書きたかったのでしょうか? それにしては中途半端なような。
- 47 ポテト (採点:5)
- 鬱っぽい雰囲気でしたが、それがキャラの性格と周りの情景とマッチしており、悪くなかったです。
エイズという要素は余計だったような。それともこっちがメインでしょうか?
- 48 タクシー (採点:5)
- 怖さの余韻が残る読後感はよかったです。
しかしなぜぶつ切りの構成にしたのでしょうか。普通に読みにくいと思うのですが。
- 49 バレンタイン事変 (採点:1)
- 壊れギャグは制御する人が不可欠ですね。
チョコレート中毒の村石君が暴走しすぎです。笑いを通り越して本気で不快でした。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:10)
- 文章が素晴らしいです。自然体で非常に読みやすい。個人的には小難しい耽美もどきよりこっちの方が断然好きですね。お手本にしたいぐらいです。
内容も実に説得力がありました。大人にとっては他愛ないけど子供にとってはかけがえのない、そんな難しい内容をよくここまで書けたものです。
- 51 夏の風 (採点:3)
- 容量少ないやつに限って無駄が多いのはなぜだろう。
それはさておき、意味なし物語ですね。
ワンシーンとしてならともかく、一つの作品として出されても困ります。
- 52 豚 (採点:4)
- サイコな雰囲気はよく出来てます。
指摘できる点は特にありませんが、全体として好きになれなかったので。
これは読者を選ぶ話でしょうね。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:5)
- 無駄のない文章、構成は凄いと思いました。
面白かったですが、やはり馴染みがないというか、読んでてわからない部分も多いです。
私自身がハードボイルド好きではないので点数は低いかもしれません。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:3)
- オシャレな文章が面白いです。
内容はついていけませんでした。
- 55 饗宴 (採点:1)
- 内容も難解ですが、作者の意図も負けず劣らず難解です。
これを真面目に評価する人が何人いるか、そっちの方が興味ありますね。いや、嫌味じゃなく。
- 56 Show must go on. (採点:4)
- 4人に個性がないので、会話文は誰が話してるのか区別がつかないです。
それが狙いなのかもしれませんけど読んでてすっきりしませんでした。
それから一発ネタにしては長すぎます。途中の会話は退屈でした。
- 57 エース (採点:7)
- 面白かったです。
ここまで徹底した路線だと気持ちいいですね。
一本の線に繋がった構成と試合シーンの描写力に高得点を捧げます。
- 58 飽くなき赤色 (採点:3)
- 主人公にも他のキャラにも共感できず。
なので読んでて他人事という感想が抜けませんでした。
持ち物チェックもせずに被害者の遺族と犯人を会わせるなんてあるんでしょうか?
- 59 Day after tomorrow (採点:3)
- 彼女が自殺しようとした理由と死んだ理由は何でしょう?
ずっと引っ張ってきたので何らかの伏線かと思いきや、拍子抜けでした。
全体的にも今一つ平凡な感が拭えません。
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:5)
- 日常のミステリといったところでしょうか。
起承転結はしっかりしており、一定の評価は出せますが、何気ない日常の域は出ません。
ミステリの部分を前面に押し出すか、びっくりするようなオチでもあれば評価は高くなったと思います。
- 61 山小屋語り (採点:2)
- 普通にグロいですね。読後感最悪です。
グロもいっそ突き抜ければ清々しいのかもしれませんが、この作品にそれはありませんでした。
- 62 格闘少女 (採点:5)
- 主人公の心理描写は上手いと思いました。
戦うようにという例えはどうかと思いますが。
- 63 未来視の見る夢 (採点:1)
- 読者の理解力を超えた作品は評価しようがないのです。この点数はそういうことです。
出来が悪いと言っているわけではありませんのでお気になさらないでいただけると嬉しいです。
- 64 ブランコ (採点:4)
- ワンシーン物や平凡な日常の作品にも面白いものはあります。この作品は違いました。
まとまってはいるものの、加点するような要素がありません。
- 65 金曜日のつめきり (採点:6)
- ものすっごい倦怠感。文章から作者の怨念を感じます。出来云々は置いといて、これほど魂のこもった作品は珍しいです。
面白いかどうかで言えば全く面白くなかったです。私は作者とは合わないようでした。
点数は完成度のみを評価しました。ストーリーも評価できてたら満点だったと思います。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:3)
- 全体的に不明瞭な作品。
設定を隠しすぎだと思いました。
そのおかげで読んでて状況がつかめず、途中で設定を明かされてもどの部分が明らかになったのかわかりませんでした。
- 67 世界一の小説 (採点:5)
- ショートショートとしてはそれなりにまとまってると思います。
ただ肝心のオチが弱いですね。
小説の内容を引用すると、神秘性がなくなって安っぽくなると思います。
- 68 両手いっぱいの花を (採点:4)
- バッドエンドが作品の雰囲気に合ってないですね。
不要な部分が多いです。最後に死なせるなら無意味だと言いたくなるシーンが。
文章は読みやすいと思ったのですが。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:7)
- 笑えました。
でも前回の「雨ごい」に似てるような。
- 70 アリス (採点:5)
- 不条理ギャグというのでしょうか。
意味不明なキャラのせいでストーリーも意味不明になってます。
文章のテンポは素晴らしいのですが。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:2)
- タイトルと紹介文から某剣士を思い出したのですがそれはさておき。
ラスト20行程度だけのお話ですね。それ以前の内容はどうでもいい構成です。
- 72 月時雨 (採点:2)
- 話の内容そのものは繋がっているし、読めないことはないのですが、全体的に退屈でした。
それほど古い時代ではなさそうですが、台詞回しが何かの劇みたいなのはどういう意図でしょうか?
- 73 14文字の涙 (採点:3)
- 会話文が短すぎて味気ないです。
なのでキャラが悪い意味で作り物のようで、メール相手が死んだときも虚無感や喪失感があるわけでもなく、何も感じませんでした。
- 74 魔女の岬 (採点:6)
- よかったです。後半の展開はかなり好み。
あとは魔女が人の命を救えないことについて説明がほしかったです。
- 75 夜の夜 (採点:5)
- 試みは面白いと思いました。いろいろ考えさせられる読後感は悪くないです。
ただ、文字にすると読みにくい関西弁にしたのは謎。
- 76 Another (採点:4)
- どんな人を対象にしてるかわかりやすいですね。私は妹好きではないのですが。
全体的にはまとまってますが、オチが読みやすいのが難点です。
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:5)
- 適度に甘いですね。
ラブストーリーに余計な要素を排除してるのは好印象。
難点はキャラに感情移入できなかったのと、視点変更の意味が感じられなかったことです。
- 78 君が星を手にするとき (採点:7)
- 馴染みのない題材で戸惑いがありましたが、面白かったです。
アイディアは平凡なのに心理描写だけでここまで書けるとは、その技術力に感服しました。
- 79 奥の細道 (採点:1)
- 話の輪郭が見えるような見えないような、不透明な作品です。
この不条理さは夢か、もしくは死後の世界でしょうか。
いずれにせよ、何が書きたかったのか肝心なところは見えませんでした。
○PFR さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:6)
- 厳選された美しい言葉で、堅牢に組み上げられた幻想世界は、実に美しいものであったと思います。そしてそれを絵として明瞭に思い浮かべることができるのは、光景の想起を読者に促す単語や言い回しを物語全体に効果的に鏤めたり、その想起が容易なよう世界観それ自体を類型的なものにしたりするなど、作者様の確かな技術によるものでしょう。
しかし、主人公二人の人物設定や、その死などは、それに反して薄っぺらなものでしかないと感じました。詩的な雰囲気を生み出すため、作者様は作品全体を綺麗なものにしすぎたのだと思います。ただ綺麗なだけの登場人物にもストーリーにも、あまり魅力を感じませんでした。
- 04 海神の矛 (採点:4)
- 残念ながら、米海軍の戦略原潜に搭乗する若い日系人女性、という主人公の設定が、軍事ものに必要不可欠なリアリティを完全に削いでいます(ミカが女性であるという明確な記述はないですが、性別誤認の叙述トリックが仕掛けられているわけでもなく、名前や口調から女性であると判断して差し支えないかと思います)。そしてアメリカ人の艦長が、あたかも日本人の生得的気質であるかの如く「神風」を語り出すという果てしない陳腐が、それに拍車をかけています。
兵器の描写などは巧みなのですが、根本的なところで何かが間違っている、と感じました。
- 05 理屈じゃないこと (採点:4)
- よくわからなかったです。どうして「愛してるぞ」『愛しています』なのに別れるのか。男女の関係とはそういうものなのだよと言われればそうかもしれませんねと答える他ないですし、題名が『理屈じゃないこと』である以上、物語の核心部分が非論理的に組み立てられていることは作者様の手によって事前に宣言されていると言ってもよく、したがって理解できないのは仕様なのかもしれませんが、それでも私は理解が及ぶものを読みたかったです。というか、この作品に一番必要だったのは、本来理解できないようなことをも無理矢理に理解させてしまうような膂力だったと思うのです。しかし、文体もキャラクターも淡々としているためでしょうか、そのようなものは存在しなかった、と言わなくてはなりません。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:5)
- 中盤から終幕へ至る過程において、価値観が百八十度転換する切れ味は、良質なショートショートの条件を満たしており、とても良かったと思います。しかし一見斬新な筋立てではあるものの、何処か既視感を持たざるを得ない話ではありました。そもそも、「勇者が魔王になる」という設定それ自体が、スクウェアの某RPGで見たことあるものですし、「平和を望む気持ちが強すぎるあまりに悪と化す」という倒錯的心理も、それを延々としつこいくらい追求し続けた作家を知っているがために、目新しいものとは思えませんでした。もっと長い話ならばともかく、この長さのショートショートでは、これは致命的な欠陥でしょう。
出会い方が違っていれば、評価もまた違っただろう、と感じた作品でした。
- 10 いろはの森 (採点:7)
- 「崩壊した世界」という設定は今まで数多見てきましたが、それが和風の作りをしているのはかなり珍しく、未来でありながら何故か懐かしさを感じさせる点も相俟って、かなり巧妙に造形された世界観だと感じました。主人公も等身大の一人の人間として、感情の機微や物思いといったものが丁寧に描かれ、「人を書く」という当たり前になされるべきだけれども実は相当に難しいことを、平然とこなしている感じがします。
というわけで欠点は特に見当たりませんが、ただ、そのことが逆に欠点であるとは言えるかもしれません。衒いのない素直な作品であるが故に印象に残らず、低得点を付けることはまずありえないけども、ずば抜けて高い得点を付ける気にもなれない。そういう作品であったと思います。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:5)
- できれば点ではなく天に昇っていただきたいものです。
父が母の幽霊と出会う→父が母の幽霊と一緒に洋館で過ごし始める→父が、母に会わせるため、息子を洋館へ向かわせる→息子が母と出会う(=冒頭)。という流れだったのだと思いますが、それがいまいちわかりにくかったです。一読後、考え込んでみて、初めて納得がいきました。そして未だによく理解できないのは、どうして父のカメラが母の視界を映し出したのだろう、という点です。終盤の記述から、そこに母の魂が宿っていたのだと仮定しても、そもそもどうしてカメラマンでもない母の魂がカメラに宿るのか。カメラに魂の宿ったはずの母がどうして森の中の洋館にいるのか。
なまじ「謎の提示→解決」というミステリ的手続きを踏んでいるだけに、この曖昧さはかなり致命的であったと思います。いい話ではあるのですが、感動よりも、釈然としない気持ちのほうが強く残りました。
- 17 19140901 (採点:6)
- まず感じたのは、文体が普通すぎる、ということでした。第一次大戦前の知識人階級の人々の話だと冒頭で説明していますが、実際のところは、デモクラシヰとかプロレタリアートとか、それっぽい言葉を並べるだけにとどまり、文章それ自体は一向に時代の空気を出すことができていないと思ったのです。有体に言えば、現代を舞台にした普通の小説を読んでるのと変わらないじゃないか、と。
種明かしの箇所まで来て、この時代でなければならなかった必然性は理解しましたし、リョコウバトと大出の描く絵との関連付けや、紹介文の意味が読後に判明する構造などは、実に上手いと思いました。しかしそれでもなお、前述の不信感は最後まで残ってしまい、素直に楽しむことはできなかった、というのが本当のところです。
後は細かな指摘を二点。まずは「まだ若い頃の話である。」などと回想風に始まりながら、それに何の意味もない点。回想的に始まったのだから同様の終わり方をするのだろうと思っていた私には、少々肩透かしであったと申し上げておきます。もう一つは「鳥羽胡涼」という彼女のフルネームを明かすタイミング。遅すぎて伏線として機能していないかと。最初の方で提示しておけば「ああ、リョコウバトの意味だったのか!」といったふうにラストの衝撃が増したような気がしました。
- 21 雪国 (採点:3)
- × 国境の長いトンネルを抜けると雪国だった。
○ 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。
この違いは意図的なのか否か。そこでまず迷いました。それとも私のあずかり知らぬところで前者のバージョンが存在しているのでしょうか。
内容については。何かが間違っているはずだけど、何が間違っているのかわからない。そんな「ぼんやりとした不安」とでも言いたいものの雰囲気は、上手く表せていたと思います。が、問いの具体性も問いに対する回答も何一つ書かれないのでは、それ以上の評価はしようがない、と言わざるを得ません。
- 24 結婚適文句 (採点:7)
- コメディ調からいい話に移行しようとして、結局最後までそれができていない辺りがとても好感触です。最後の一行は爆笑しました。しかし、七歳から付き合ってるとか、生まれたときから知り合いであるとか、苗字同じとか、幼馴染み萌えの要素を詰め込みすぎて、幼馴染み好きの私でもさすがに引いた、と申し上げなければなりません。一言で言うなら、そんな餌で俺様が釣られクマー(AA略)。
……。
ごめん。
ぶっちゃけ。
萌えました。
- 29 Blind (採点:2)
- 私が考える「最も悪い恋愛小説」の見本のような作品でした。
「好き」とはどのような感情や思考のどのような契機や原因によるどのような発露や作用なのか、その説明を欠落させたままに、「好き」という言葉を乱発すべきではない、と思います。「私はタカくんのことが好きだ。」とは書かれていても、「私」が「タカくん」のことを好きな根本的な理由が一切説明されていないのでは、描写は何処までも上滑りするだけですし、本当に「私」は「タカくん」が好きなのかすらも疑わしく思えてきます。その上で語られる性愛や身体論っぽいものに、一体何の意味があるのでしょうか。「好き」を説明せずして「私は、一つになれないココロとカラダに、ただ涙することしかできなかった。」と言われても、そのココロって具体的に何? としか問い返せないのです。
国語辞典の見出し語の解説に、その見出し語自体が用いられていないのと同様、本当に語られるべき言葉は、その言葉自体を用いずしてこそ表現されなければならないのだと考えています。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:5)
- 阿呆ですねこいつら。
というわけで、前半から中盤にかけて、矢継ぎ早に繰り出される抱腹絶倒のギャグは、実に楽しく読んだわけですが、後半から唐突にいい話になるのはどうしたものか。前半コメディ、後半シリアスという構成は、ぶっちゃけちょっと見飽きたかもしれません。コメディのまま突っ走ってしまえばよかったのに、と思いました。
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:5)
- 射的のシーンが馬鹿すぎて大好きです。射的屋専門のガンナーって全然格好良くないよ、とか、装填速度0.2秒ってどんだけ速いんだ、とか、野次馬の口調が説明的すぎるだろ、とか、ショット・トゥ・ショットまじあり得ない、とか、そんなテンプレそのままの諭され方で号泣してるんじゃねえよ店主、とか、突っ込みどころ満載で爆笑しました。何かがおかしいにもかかわらず、そのことに対する補足やフォローがまったくなされないで事態がそのまま進行していくことの面白さが、とてもよく表現できていたと思います。
ただし、それ以外のシーンは、可もなく不可もなくという出来でした。
- 35 西と東、白と黒 (採点:5)
- 寓話にしては表現が直接的すぎるのではないかと。
もう少し、詩的な衣でくるむことはできなかったものでしょうか。
- 41 No River to Cross (採点:6)
- 新機能を搭載したiPodは、魅力的な小道具であると同時に、テーマと強く結び付いていて単なる小道具にとどまっていない、優れたモチーフだと感じました。この手の現代的なモチーフは、「孤独な人間」という保守的なテーマに向かいがちですが、それとはまったく逆を行っていたのも斬新でよかったです。
が、序盤の情景描写がさほど面白みもないのに長々と続いていき、かと思えば重要であるはずの演奏シーンがあっさり終わってしまうのは、容量の配分を間違えているとしか思えませんでした。情景描写のほうは、淡々とした虚無感の演出であると思えば納得はできないことはないですが、音楽によって人と人とがつながる話である以上、音楽の描写が甘いのは見過ごせない欠点です。音一つ一つの質感までをも文章で再現できてこそ意味を持つ物語なのではないかと思いました。
もっとも、先ほど「音楽によって人と人とがつながる話」と書きましたが、世界中と「間を隔てる河はどこにもない」彼は、しかし家族からは疎外されている感があるのですよね。「あなたが奏でたい音楽は、私には聞こえない」のですから。すると実はやはり、この作品は孤独を描いたものであり、さっき感じた斬新さも幻でしかなかったのだろうか……などと、ちょっと迷いました。
- 42 焚火 (採点:4)
- 素材はいいものだから、後は書き込むだけだと思うのです。
以前の生活が如何に幸せなものであったか、それに反して母の死後の生活がどれだけ悲惨なものであったか、主人公はどんな目にどんな思いをしながら遭ってきたか、妹が酷いことをされているのを主人公はどういう思いで見てきたか、火中の父を見捨てるという考えが浮かんだ瞬間の主人公の心理は如何に恐ろしいものであったか、そしてどんな飛躍が生じて二人は遂に父を見捨てたか――それらの心理描写が完璧に足りていないと思いました。
逆に言えば、その辺りさえしっかりとしていれば、個人的には傑作であった、ということでもあります。その意味で、非常に残念な作品ではありました。
- 45 おかえり (採点:3)
- 同一時制内での視点のみの切り替えに見せかけた、視点と時制の二者同時切り替え、というのは、ぶっちゃけ叙述トリックの中でも初歩中の初歩であって、単品で用いても最早ほとんど効果はないと思われます。その辺り工夫が足りていないと感じました。叙述トリックで読者を騙すことを、必ずしも第一の目的とはしていない作品でしたので、ダメージは少なかったですけれど。
少女と桜の化身との交流という本筋は、定番のストーリーを手堅くまとめたという印象。いい話ではありますが、インパクトに欠ける嫌いがかなりあるようです。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:6)
- 何の前触れもなく唐突に、主人公が母親になった時代にまで飛んでしまうのは、いくらなんでも脈絡がなさすぎやしないかと思いました。
絵本もなんとなく蛇足かなと感じます。特殊な能力を持っていたり、家族構成などが不明だったり、突然姿を消したり。その辺りの曖昧模糊さが、チャコが実在の人物なのかそれとも主人公だけが見ていた不思議の国の住人なのか、判断がつかないようにしている点が、幻想的でいいなと個人的には思っていたのです。が、絵本が毎年贈られてくるということは、チャコは実在しているってことじゃないか、といったふうに冷めてしまいました。
後、「未知の領域」を示すのに、「2月30日」という言葉を持ってきていますが、いまいち必然性がなかったと思います。魅力的な言葉なだけに、勿体無い。
しかしそれらの欠点は、ある意味どうでもいいわけで。風の描写がとてもとても素晴らしかったです。折り鶴の群れ、花冠を作る天使、雨粒を反射する白い網目模様など……それらが、海原のような一面の草原に、満ち溢れる。なんと鮮やかで幻想的なヴィジョンであることか。感服いたしました。
- 52 豚 (採点:5)
- 冒頭の段落ですが、指示語が多すぎです。文意が掴めないわけでは無論ないですが、スマートとはとても言えず、出鼻を挫かれた感じです。
で、肝心の内容はというと、楽しめましたが、かなりの荒がある、容量が足りていない、その二点が惜しいと思いました。
荒というのは、妙なものを口に突っ込んでいたり、口にテープを張った跡があったり、耳が切り取られていたりする義母の死体は、明らかに事故や自殺によるものではなく、そこを疑った警察が本格的に捜査を開始すれば、家庭環境から動機はすぐに判明するし、靴痕跡は室内外の各所から得られるし、鑑捜査か地取り捜査のいずれかによって主人公の存在も瞬く間に浮上するだろうし……というわけで、ぶっちゃけ主人公が捕まらない見込みがありません。
その辺りに目を瞑れば、義母殺害の過程はかなり面白く読めます。が、それ以外の犯罪の様子や、普通の人だったはずの主人公が狂っていく過程など、その他の要素はほぼ描かれていないに等しく、個人的にはそれらの描写こそ欲しかったと思います。私事ですが、小説という道具を用いて犯罪者の心理を探求していく作業には、かなりの興味があります。だからこそ余計に、この容量故の中途半端さが勿体無いと感じられました。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:7)
- 「爆轟っていう反応を引き起こすものだよ」って全然説明になっていないと思うのは私だけですか。ともあれ、火薬類にはあんまり詳しくないので、専門的な記述は「おお、なんかそれっぽい」と思いながら読んでいるだけでした。ただ、「それっぽい」描写は、リアリティを出すには欠かせないものだとも思うわけで、いっそのこと大半の読者を置き去りにしても、爆弾の構造とか仕掛け方とかをもっと細密に書き込んだほうがよかったのではないか、と個人的には考えます。現状では少々物足りない。
それと大変申し訳ないですが、あらゆる要素が実に陳腐だと感じました。アル中だが腕はいい技師、彼のところに依頼にやってくる美女、組織とのつながりそして裏切り、程よいハードボイルドさを発揮して淡々とそれを切り抜ける主人公。中央部だけを残して橋を綺麗に爆破してみせた主人公はとても格好良かったですが、大方は何処かで見たことある筋立てでしかないと思います。もう少し、何らかの工夫をできないものでしょうか。結構高く評価しているだけに、いろいろ残念でした。
- 57 エース (採点:7)
- 背負えるか、エースの宿命(違)
バスケは詳しくないどころかルールすらまともに知らないので、作中で乱発される専門用語など理解できるはずもなく、わけわかんないまま勢いで読みましたが、それでも普通に読めたし楽しかったです。
技巧を前面に押し出さない素直な作風である上に、登場人物たちの信念や哲学といったものも非常に真っ直ぐで、読んでいて実に気持ちのいいお話でした。試合が最高潮に達していく描写と、四番に惹かれていく主人公の心理描写とが結節した瞬間、「『真の』エース」という物語の核心が、自然に印象的に、そして力強く巧みに浮かび上がってくる――この一連の流れが素晴らしい。これで安易に恋愛に流れると途端に駄目になりますが、それもないですし。
惜しいのは、決勝の日に彼女が現れるのが唐突すぎたり、夏彦視点なのに何故か高品の思考が地の文に紛れ込んだりと、細部に多少の難点があること。それと、堅実な作品であるが故にインパクトが薄くなってしまった感は、残念ながら否めません。
- 63 未来視の見る夢 (採点:8)
- 二人が仲を深めていく過程とか、ウイルスに感染する契機とか、病魔に侵されていく過程とか。そういったものが悉く欠落していながらまったく不自然でないのは、「未来視」という設定を用いて、「未来を断片的に視ている」という形式で話を進めているためだと思います。穿った見方をするならば「未来視」とは、容量の問題をクリアするために作者さんが発明した装置なのではないか、とか考えてみます。外れですかそうですか。
とても好きなお話なのですが、上手くその魅力を言葉にすることが、どういうわけかできません。悲痛で陰惨な未来を視ながら、待ち受けるのが死とわかっていながら、なおも二人は出会う。優しくて聡明で、だからこそ悲しくもある二人であると、そう思いました。
ただ、心理描写が意想外に少なく、文体も主人公の造形も冷めた感触のものであるために、全体的に淡々としすぎてしまっている点は、個人的な好みからは完全に外れました。言うなれば全体的に綺麗すぎて、死へ向かう人間故の壮絶さというものが極度に欠けるように感じられたのです。もっと「人間を書くこと」に力を入れて欲しかったです。
- 65 金曜日のつめきり (採点:2)
- 平日の物憂い午前に彼女が彼に何の脈絡もなく「つめきりを買いに行こう」などと告げる、現実性も現実感も皆無の意味不明でしかない展開ですが、読み手によってはこれを「センス」や「感性」といった言葉で評価することもあるのでしょう。残念ながら私にはそのまま意味不明としか感じられませんでした。登場人物の言動および思考にも、ストーリー展開にも、せめて最低限の論理性は欲しいと思います。
- 67 世界一の小説 (採点:5)
- 二人合わせて馬鹿なんですね(笑)。
飾らない文体、単純な思考様式の登場人物、そしてアイロニカルすぎるラスト。とても良質なショートショートだと思いました。
疑問が残るのは最後、「世界一の小説」の内容です。方向性は違えど、この程度の奇抜さの作風を持った作家なら幾らでもいますし、それ以上に、プロの水準に遠く及ばない低レベルな物書きが適当に書き散らした駄作未満の小説は山のように出版されているわけで、それらを遥か彼方に置き去りにする勢いで駄目な小説というのは、書ければ逆に才能あるんじゃないかというくらい、次元の違う存在だと思うのです。したがって自称「世界一の小説」の中身を書いてしまったことは、本当に不用意と言う他ありません。
――と、ここまで書いて思ったのですが、二人が書いた小説は、無論「世界一の小説」ではなく、かといって「世界一の駄作」ですらなく、実はひたすら凡庸な「ただの駄作」だったのだ、という意図の隠された結末なのでしょうか。だとしたら、最初に感じたのにも増して相当に皮肉なラストだと言えるような気がします。
- 72 月時雨 (採点:8)
- ストーリーが散漫すぎます。何について語ろうとしているのかよくわからない。加えてそれ以上に、語られていない部分が多すぎです。敬語だったり「母さま」だったりする辺りに複雑な家庭環境が潜んでいそうですし、冬夜の死とか、義足が何を象徴しているのかとか。そして、愚かなまでに「普通」でしかない「彼」が、しかし春香に与え得た癒しとはなんだったのか。私の読解力ではちょっと読みきれなかったです。
しかしまあ、その辺は気にしないでいいんじゃないかと(笑)。この作品の見所はひたすら文体だと思いました。綺麗さや流麗さを狙って作られた抽象的で詩的な文章は、逆に作り物っぽい胡散臭さを発散してしまったり、映像の喚起力が決定的に欠けてしまったりすることが多いと常々感じていますが、同じものを指向していながら、この作品にはそういったあざとさや欠点が存在しませんでした。「空色の真珠」とか「黒瑪瑙の鏡」とか、普通に考えたら明らかに格好付けすぎでしかない単語選択も、絶妙なコントロールの下でなされているのか、ぎりぎりで嫌味になっていなかったです。驚異的な文章力だと思いました。
○REV さん
- 36 ソラアイ (採点:7)
- ハピーエント、イイ。
○Revin さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:2)
- 自分はこの物語の対象年齢に入っていない気がした。
- 02 黒船 (採点:8)
- 締め以外全部会話文というのに、全く不満なく状況を把握でき、頭の中にイメ
ージを描くことが容易かった。非常に読みやすい。ウィットにも富んでいて楽し
かった。
- 03 遵守 (採点:8)
- なるほどなるほど。これは読めなかった(笑)。言い回しが頭に入りにくい箇
所は幾つかあったが、ストーリーとしては完璧に近いと思う。気に入りました。
- 04 海神の矛 (採点:3)
- 少し設定が分かりにくい。艦長の問いかけもあまり重要な意味を帯びておら
ず、受け取りがたい。こうした感情的ドタバタが起こりうる教育・人選に不備が
あると思うが、それを言っては始まらないか。断片的に「六十トンずつ軽くなっ
ていく」のような描写が好きだ。
- 05 理屈じゃないこと (採点:6)
- その複雑そうな理由を全く公開しようとしないのは大変よい。ただただ自分の
思いを垂れ流し、感傷に浸り、人に見られたらヘタレと称されよう男の私生活を
神の視点でこうして晒すというのは面白い(笑)。
という見方をすれば最後のフレーズは笑う所なのだが、作者の意図はもしかす
ると男への感情移入なのだろうかという思いもある。序盤の彼女の『茜』的振る
舞い(ノイズ語)を見るとその疑念は強まってくる。はて、どうか。
という見方をしながら考えているうちに「どうでもいいな。なかなか面白かっ
たので6点」と手が動いてしまった顛末であります(笑)。
- 06 For tune the rainbow (採点:4)
- とても綺麗な話。ありそうな話なのに少しいいと思ったのは、かつて自分が萌
えたものだからだろうか(笑)。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:3)
- 笑えるぐらいステレオタイプのRPG的ファンタジーが出てきたので、てっきり
ギャグやアイロニーに走るのだと思ったが、そうではなくその路線を突っ走って
いたため、逆に驚いた。ソウルイーターまで出てきたので、どういう方向性で来
るのか先を読めなかった。ひっくり返すのか、このままのノリで行くのか(笑)。
勧善懲悪へのアンチテーゼと考えるには拙い安直な構造で、何より主人公らの
心理が軽すぎる。あくまで役割に徹しようとする志向性が見え、すごく非人間的
に思えた。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:7)
- うわー変態的だなぁと思い、その異常さに圧倒され、読み終わるまで緊張感が
絶えることはなかったのだが、クオリティを保ちすぎた(笑)。
友人と話していたのだが、この種の小説は彼を含む一部の読み手に絶大な麻薬
的快楽を生むらしい。その構造や感性のあり方は大変理解できる。が、俺という
一つの繊毛には生憎だがあまり触れなかった。
確かに噛めば噛むほど面白いタイプのスルメ的小説ではあるのだが、何らかの
(俺に読解可能な)意味付けは欲しかった。友人の談によれば恐らく全体として
の意味はないという話であるし、俺もそう思った。
ただその描写手法を捕まえて絶賛するには、俺は文章を読み慣れていないこと
もあってかそのアンテナが欠けているようだ。
- 09 テロリスト長沢 (採点:7)
- 後の展開を考えながら笑ってしまう後味がいい。「書いた人もこんなネガなこ
と考えてんじゃねぇの・・・」という決して事実ではない想像をしてしまう(笑)。
誉めようのない無味な荒廃っぷり満載なのに、きちんとした掌編小説として楽し
めたのだから不思議。
良かったです。
- 10 いろはの森 (採点:4)
- 言葉づかいにリアリティを感じた(厳密でなくとも少なくとも俺は騙された)
が、それ以上の衝撃はない。「Kanon」というゲームで部分的に似たような設定
を見ている。
主人公の振る舞いは非常に好感を持てたし、上手いし感性も好きだが、題材が
よくなかった。そうさ俺は悪食!
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:3)
- 途中、想像したはずのキャライメージが崩れるような語調の乱れを感じた。紋
切り型でないキャラの演出だとしたら失敗なのだろうし、単に俺の誤読かもしれ
ない。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:1)
- 食傷しております。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:2)
- 不発というか煮え切らないというか、とにかく読み終わって気持ち悪さが残っ
た。導入部で位置エネルギーと運動エネルギーを初期化したのはいいが、そのま
ま何の外力も働かずに自由落下し、別段驚くに値しない結果が得られたという感
じだった。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:1)
- 長いタイトルは、その特殊性が新しいなら面白かったと思うが、残念ながら過
去の企画において比較的用いられて来た手法であった。もしご存じなければ残念
ということで諦めて頂きたい。
あと誠に失礼なことを申し上げますが、クサすぎて焦った。展開というか因果
自体もどこかで見たようなものだった。クサさが合わないのは好き嫌いの問題だ
が、鮮度についてはもう少し客観的になる。
全体として新しさがなかった。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:4)
- ガハハ。なんてラノベ的なんだ(笑)。
面白いことは面白いが、オリジナルの小説というよりは一発キャラもののネタ
を読んだような気分だった。
- 16 さくら (採点:5)
- なるほど。桜の木の方が主体という訳か。てっきりサイコな女の物語なのかと
思ったが、それよりは納得が行く。
あくまで桜のせいにする最後の2行がいい。
- 17 19140901 (採点:3)
- その符合はどうかなぁ。
そのアナグラムは誰が考えたの、とか考えてしまう。考案者にアポを取って取
材したい気持ちになってしまう。
鳥の絵を描いてたからその画家の所に行こう、という鳥の意志なのか神の意志
なのか、はたまた意志同士の引力なのか分からんが、なんで画家の所へリョコウ
バト(幽体か実体か分からんが)が来たのかな・・・とも考えてしまう。
美談にするには想像して補填するべき背景が大き過ぎると思った。
- 18 生命 (採点:10)
- 一人目を流産して、今二人目を身篭っているってことでいいのかなぁ。林檎が
匂わないというのが読み取れなかった(笑)。妊娠している間は嗅覚が鋭くなる
はずだが、一回目によるトラウマの暗喩なんだろか。
手法としてのタイトル連呼は実によい。何の面白味もないタイトルだなぁ帯も
ないし、と思っていた俺を馬鹿にするようにタイトルは上手かった(笑)。
流動的な思考をいちいち文章にアウトプットするとこうなるんだろうねって感
じの地の一人称が脱力を誘ってよかった。途中でも何度か『何か黒いものを持っ
てるな』と思わせ、匂わせる所はまさしく文学的で好みだった。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:1)
- これは正しくありがちだと思う。ありがちなのの何が悪いかというと、新鮮で
なく面白くないことがよくない。ありがちな設定をインターフェース・架け橋・
煩雑な主題でない設定を省略するための基盤として用いるのなら構わないのだ
が、テーマ自体をありがちの中に埋め込んでしまうといけないと思う。
- 20 今日見る明日 (採点:1)
- 内容がない。
- 21 雪国 (採点:4)
- 状況がおよそ現実とは思えないので、何らかの寓話であるに違いない。しかし
謎だ。訳知り顔の女も謎だし、主人公も謎だ。人生でも誤ったのだろうか。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:1)
- テンプレートそのままという印象。
これ5年はちょっとヤバい。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:4)
- おお、それで終わるのか(笑)。
このパターンはまた楽しく朗らかに終わるんだろうな、と思ってただけになか
なか良かった。
- 24 結婚適文句 (採点:5)
- うはーこれ16000bytesピッタリかぁ(笑)。お見事。
シチュエーションはありがちだが、ギャグが面白かった。ギャグとオチまでの
流麗さを評価したい。
- 25 マージアここに在り (採点:3)
- この手の異星人との邂逅を扱った話というのは、少なくとも俺が頭の中で想像
し、いくつかの例を口にすることができている時点で、特異な素材ではないと思
われる。展開もいささか陳腐に思え、読んでいるうちに緊張感のある好奇心が刺
激されたり驚きを感じることは残念ながらなかった。
小道具が切れないナイフというのも都合のよさを感じた。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:2)
- 見ている方角は好きです。が、世界観が最初から変であるために、どうも落ち
ていくような感覚も衝撃も感じられなかった。
使っているカッコ記号や文章の配置などにもマイナス要素を感じなかったとい
えば嘘になります。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:3)
- 笑った。主人公の方が悪い奴じゃねぇか(笑)。
- 28 Forest Note (採点:1)
- 既に似たようなボーイミーツガールを何作か読んでおり、新鮮味に欠けた。
- 29 Blind (採点:5)
- 惜しい。面白そうなテーマだったのだが、深さに満足いかなかった。もっとド
ロドロとした考察の末に、考えて考えた結論を出して欲しかった。レイプの後だ
というのにやけに淡白なのも気になる。そんなものだろうか。
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:3)
- 執拗な程に強調される淫らな単語に、文章全体から漂ってくる性臭を感じずに
は居られない。が、それも奇異を狙った故のものかなぁと訝ってしまって熱中度
半減。最終的には家庭事情の縺れという想像に易い結末になって残念だった。
- 31 正義の味方の悩み (採点:4)
- こういう軽いものは嫌いではない。デジャヴはもちろん甚だしいが、読んでい
てちょっといいなと思ってしまうのだから仕方がない。テンプレートの域は出な
いためにオリジナリティを感じないのではあるが。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:3)
- 人物が多くて複雑。
ノリは好き。
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:2)
- 『ひぐらしのなく頃に』というゲームのワンシーンのように思えた。
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:1)
- よくある登場人物のバランス(クールな女と優しい男の子)、アンドロイドだ
から心が読めなかったという単純なトリック。素朴とは言えるかもしれないが、
面白いとは思わなかった。
- 35 西と東、白と黒 (採点:2)
- 「よかった」と思う根拠となるような物が描かれてはいかなかったと思う。も
っともそれは16KBでは難しいだろうし、きっと途中でオチがバレてしまうだろう。
- 36 ソラアイ (採点:1)
- 俺がこんなこと言うのも何だけど、主人公の倫理観、最悪じゃない?(笑)
いきなり元カノの唯一の肉親の妹捕まえて、殺すとか赤ちゃんとかを口走る
(しかも事前に話していいことと悪いことを熟考することなく臨んだ上で)なん
て、ちょっと普通の感覚とは思えない。
しかも相手の生活がかかっている商売をやめろなんて軽々しく言った挙句、
『結婚してくれ、生活は俺が支える』などという無責任すぎる発言を平気でする
クラナド的ありえなさ。考えられんぐらい低い生活水準を相手方姉妹に強いよう
とするその傲慢さは全く理解できなかった。
養われの身で、バイトの一つも満足にしてないような者が吐くこういう台詞こ
そ、一時の気の迷いだろうと言わざるを得ない。彼がそうでない証拠が作中で一
切説明されていないからだ。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:10)
- 最高に馬鹿だがこの上なく純愛だ(笑)。俺も今回はキングオブシモネタを投
稿したつもりだったのだが、この作品の完成度には勝てん(笑)。シモネタと純
愛が両立を見れて嬉しい気持ちです。
- 38 山田仁の行き先 (採点:4)
- ワンシーンを切り取ったものとしては上質。必要最低限の説明で設定を読者に
理解させ、感動という無粋な要素を意識することなく話を展開させることに成功
している。主人公の行動動機も理解しやすく、キャラクターもそれぞれが特徴的
で理解しやすい。
難となるのはやはり刺激の少なさ。ぼんやりと読み終えるのではなく、興奮に
打ち震えたいと思う。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:6)
- 登場人物がウザすぎたが(笑)、バカ理論がかなり面白かった。これほどきち
んと受験的知識を利用している作品はそうなく、密かな著者の知性が見受けられ
て興味深い。
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:1)
- ネタもオチも陳腐。
- 41 No River to Cross (採点:3)
- 発想は面白い。そんなシステムを待望する。
だが刺激が足りなかった。
- 42 焚火 (採点:4)
- 題材が陳腐なのを除けば、なかなか面白かった。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:4)
- 劣等感から来る益体のないウダウダとした悩みに耽溺し、その葛藤こそが自分
の向き合うべき重要な問題だと錯覚し、自己の正当性を確信しながら平気で恥ず
かしい言葉を羅列してしまう連中というのは、この作品で描写されているように
現実でも意外に多い。
その辺を扱ったことを俺は評価したいが、一方では凡庸だとも感じた。こうし
たシーンや構造をわざわざ掌編として文字媒体に表現する必要があったろうか
と。例えば聡明な人物による断罪がなければ、話に締まりがないと感じるのは俺
固有の苛立ちだろうか。その役割はゆいかが担っているようでもあったが、彼女
ではいささか弱く、結果として問題の解決に至らせるわけでもなく、メタ的に読
者に納得を与えるでもなく、主人公の自己完結で終わっているのが残念だった。
物語の最初と最後を比較して、動きがない。
思考の流れ自体は、人間をトレースすることに比較的成功しているように思え
て好感を持てた。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:9)
- 硬質というわけではないが堅い言葉を使った文章は、雰囲気を演出するのに実
に効果的。醜女が主人公という(コンペでは)意外な設定だけで評価しているわ
けではなく、全く違和感なく全パーツが作品に馴染んでいるのがよいと思う。
16000byteのサイズを使い切っていない余裕も、「超過→削る」の工程を思わせ
る他の作品と違って、周到にこの企画向けの掌編として作られている、とさえ思
ってしまうのは流石に贔屓目に見過ぎだろうか?(笑)
やはり惜しむらくはルビシステム。俺はコンペにぜひともルビを導入して欲し
いのだが、この作品もルビを振ることができればより「美しく」なっていたこと
だろう(笑)。それが少し残念だが、そんなもの作品の所為じゃないよね。
実にお見事でした。
- 45 おかえり (採点:1)
- 刺激がなかった。
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:4)
- 何がどの時点で進行したかの判断がなかなか付きにくく、話の輪郭がぼやけて
いる印象を受けた。
- 47 ポテト (採点:2)
- 読み終えて特に何も思わなかったのは作品として失敗だろうか。主題のように
社会問題が持ち込まれてはいるが、特に深くない描き方をされているので主題に
もなり切れず、被害者の一ケースの身辺を綴っただけに思えた。
- 48 タクシー (採点:6)
- 情けなさ、不意の展開が楽しめた。
- 49 バレンタイン事変 (採点:4)
- ギャグが微かに面白かった。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:3)
- 筋は通っている、理解もできる、部分的な共感もできるなあ、と確認するよう
に作品のよい所をいろいろ列挙していてやはり気付く。面白くなかった。合わな
かった。
- 51 夏の風 (採点:2)
- 内容は狙って無くしているのだろうから無くていいんだろう。では面白いかと
言われると、面白くはない。しかし帯に書いていたような爽快感は多少感じた。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:3)
- 今回、ハードボイルドはこれが唯一か。雰囲気は非常によいが、面白いとは思
わなかった。ハードボイルドというジャンル自体にそういう感想を抱いている。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:7)
- 抽象的だなぁ(笑)。比喩・単語のチョイスが常に意外で刺激的。面白い。
- 55 饗宴 (採点:5)
- ここまで理解が及ばないともはや清々しい。これ以上書くことが見当たらない
(笑)。
- 56 Show must go on. (採点:4)
- 少し意外な落とし方だった。なるほど、と思った。
- 57 エース (採点:2)
- スポコンを活字でやるのはやはり難しいのではないか。いやこれはスポコン部
分に重きが置かれているのではないのかもしれないけど。字から絵としての状況
を追うのが苦痛だった。
- 59 Day after tomorrow (採点:3)
- やっぱりその後で自殺してしまったのだとするなら、女の方を美化する訳には
いかなくなってしまい、男の感傷が不可解になってしまう。それだけ人を巻き込
んでおきながら、結局は自殺した彼女をどうとも思っていないのはおかしい。件
の帰り道に事故に遭ったのだとするにしても、描写が不自然だ。確率的不自然さ
を作者が全く隠蔽しようとしていないし、されていたらされていたで「生きる希
望を見出した矢先に不幸な事故」というありがちな構図になり、やはり陳腐にな
っただろう。やはり自殺したと考えるのが自然だが、それならばアンコの入って
いないタイヤキのようなもので、その辺を読者としての俺は一番知りたく、書い
て欲しかった。何故彼女が自殺願望を持っていたかという理由の説明はぶった切
ってよいのだが、なぜワンスアゲインが発生したのかこそを書くべきだ。むしろ
それを主題にしたらいい仕上がりになっただろう。
素材としては高得点を差し上げるべき非常によいものを選んだと思うのだが、
調理の仕方によって凡庸になってしまったと思う。
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:4)
- 原作に比べると論理性が弱く、+αも今ひとつだった。
それでもエンターテイメント然とはしていて、楽しむことはできた。
- 61 山小屋語り (採点:1)
- 少々の表現手法的拙さ(技術的ではない)と題材の陳腐さ、何を描いたのかが
今ひとつよく分からない点、[作者の意図したであろう読者への爆撃ショックポ
イント]――[読者としての俺の感覚]間にあるズレ、が作品をつまらなくしてい
ると思う。
- 62 格闘少女 (採点:2)
- 「お前誰だよ(笑)」って言いたくなってしまうほど主人公が無駄に偉そうだ
った。俺が普段叩いている奴がいかにも言いそうなほど嘘と欺瞞に満ちた科白だ
が、これがこう誂えられた作品であるからという作者の設定によって事実と一致
することができたため、主人公は大衆性を何とか得ずに済んだというだけの話
で、つまり作品全体の思想が破綻した博愛主義を基にしているように思えて気持
ちが悪かった。
- 63 未来視の見る夢 (採点:1)
- 好きではなかった。
- 64 ブランコ (採点:1)
- あまりに内容がなさすぎた。
待ち合わせて、来なくて、怒ったぞ! やっと来た。こら! ごめーん、奢る
から。しょうがないなぁ。えへへ。
これでは余りにも面白くない。
- 65 金曜日のつめきり (採点:5)
- 「つめきり」と「ものさし」という二人を象徴するアイテムを上手く使ってい
る。リスカが出てきて少し陳腐コースへの道が見えたが、そう没個性化すること
もなく終幕へ突っ走ることができている。最後のシャレも実によい落とし所だ。
逆に何が悪いかを言うなら、この手の小説の空気自体があんまり好きじゃなかっ
たことだ。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:1)
- デジャヴが過ぎた。
不足→脱却→ささやかな幸せ(思い出作り・・・[A])→逆転・喪失→回顧([A]の確認)
このパターンの話として今までに様々な作品を見てきたし、このコンペでも見
た。もはや俺は、こういった話が世の中に多いことからいかに人々がこの手の話
を好きであるかを確認する以外に、こうした話に価値を見出せなくなっている。
- 67 世界一の小説 (採点:4)
- 皮肉が弱いかな、と思う。
馬田と鹿野は笑った。
- 68 両手いっぱいの花を (採点:1)
- 題材的にまともに読むのが非常に苦痛だった。が、これはコンペティションな
ので読んだ。
綺麗にしようしようという意識が迸りすぎていたのが原因だ。帯は割と合理的
なことを言っているので期待したのだが、内容はヒロイックな人たちによる演劇
だった。残念だ。
- 70 アリス (採点:5)
- ビジュアル的にはローゼンメイデンの主役の子みたいなイメージ(笑)。楽し
く読めた。
ただ、メールの問題は結局何だったのだろう?
その辺のカタルシス部分が気になった。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:6)
- 説明は詳細ではないがとにかく「非常事態」「歴史の分かれ目」とでも言われ
るべき事態に陥っているのは理解できる。それを遠い出来事のようにぼんやりと
受け止めながら買い物に外出し、友人に安いメシを奢らせるために牛丼屋に向か
いながら「動物園に行きたかった」などと考えるのは、国家の騒動と一般人の認
識の間にある溝を描いていて面白い。
でもどうせなら、オチより前の軽薄なやり取りを持ってくるべきではなかった
と思う。最後のインパクトが相対的に弱くなる。
- 72 月時雨 (採点:1)
- 綺麗なだけだと思った。文章の端々から気取ってる風が見てとれて苛々した。
- 73 14文字の涙 (採点:2)
- 携帯電話というガジェットは面白いのだが、内容が綺麗にまとめようとする意
志を強く感じさせて萎えた。
- 74 魔女の岬 (採点:5)
- 魔女というからにはいかにもファンタジーな空気になるのだろうと思ったが、
やけに平均年齢が高くて堅い話だった(笑)。仕掛けはなかなか考えられてい
る。
- 75 夜の夜 (採点:9)
- 設定を上手に使いこなしている印象。京極堂のような相談役であるおばあちゃ
ん(もっとも、快刀乱麻を断つというタイプではないし、あんまり干渉せずに挿
話的に出てきてるけど)がいい味出してる。幸という名前をつけておいて一番不
幸な役回りにしていたり、夜というまるで能力を象徴するようなネーミングは分
かりやすくていい。しかも記号を感じさせなかった。
幸の実にむかつく切り返しは、夜の持つ能力によって不親切に対する罰のよう
で皮肉的だった。泰然としているおばあちゃんもよい。だが母親との応酬だと
か、能力の開花を説明する所が話としては無駄に思えた。そこも予断を許さない
ぐらい面白く描いてくれたら、この作品は最高水準たりえた。
あと、関西人としては関西弁の作品というのは嬉しい(笑)。たとえ俺の地元
の関西弁とは多少ずれていようと(笑)。
- 76 Another (採点:3)
- よく見て見て見すぎたような情景から始まった為、全く食指を動かされなかっ
た。それでも、二人がどういう間柄なのかを語らない切り出し方がやや凡庸さを
抑えた結果となるのかどうかは分からない。
最後の最後まで王道というか凡庸だったが、最後で軽く革命的なコペルニクス
的転回を果たちょっwwwwwww禁断の愛モエスwwwwwwギロッポンでシースーwwwwwwwww
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:1)
- 結局は色恋沙汰のワンシーンに過ぎない。俺が読者参加することに躊躇する原
因の一つとさえ言えるほど面白味がなかった。恋愛レポートを読んだ感じだ。
俺なら「伸ばす。かわす。」の連続のところから二人の戦闘オーラを増幅させ
ていき「世界で会おう」と別れる話にする。
- 78 君が星を手にするとき (採点:6)
- 親心の描写がよい。一番最初のインタビューの所などは特に面白く、マスコミ
の求める薄っぺらな表層的イメージ的な絵と、その内実の木目細かさが克明に描
かれている。話題の中心である「サム」など台詞どころか姿さえ見せず、ただ両
親の感情が訥々と述べられているのには好感が持てる。
しかし内容自体は後半に向けて段々と失速していき、最終的には完全に予想の
範疇内に入ってしまった。そこで何かもっと激しい動きはないのか、と思った。
- 79 奥の細道 (採点:10)
- 何だろうな。
素晴らしく読ませる文章で、中島らもが示したような無根拠の薬物的狂気的酩
酊状態とはまた異なるような、千鳥足の言葉遊びとでも言うべき不思議な感覚。
描写の一つ一つが丁寧で具体的。「その拍子に蓋を開き、中から白い煙草を何
本も何本も零れさせた」という記述には少し唸った。
でも例によって寓意は分からん(笑)。ただただ2回も3回も捻ってる変な切
り返しがいいなぁと思ってこの点。逆に言えばそれだけでこの点。
○Wayne さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:3)
- 綺麗だなとは思いますけど難解でした。
- 02 黒船 (採点:2)
- いや、本当に落語家に演じていただきたいものですね。お話は非常に面白かったのですが、ちょっと小説としてはどうかな、と思うので申し訳ないながら評点は低めです。うーん、小説としてこういうのもありなのかなぁ。
- 03 遵守 (採点:9)
- いい起伏と先が気になる救いようのない展開、それでも最後には後味を締める。見事でした。敢えて言うなら村の名前は実在してもしなくていいから適当になんか入れるか、村の名前を使わずになんとかして欲しかったかな、と。文章中に黒塗りの■はかなり異質に感じられました。
- 04 海神の矛 (採点:7)
- なんだか死刑執行人みたいな雰囲気がありますね。この場合だとそんな規模じゃあないはずですが。リアルではこんな場面は訪れないようにしてほしいものです。
- 05 理屈じゃないこと (採点:7)
- 思い出語りという形式でやったのは悪くなかったと思うのですけど。なんで別れることになっちゃったんでしょうね。理屈じゃないことで納得できちゃうんですけど、実のところ別の理由がありそうな気はします。
- 06 For tune the rainbow (採点:4)
- 正直に言ってしまうとピアノとお嬢様から伝わってくるのが薄いような気がします。組み合わせは無難だと思いますしお話も悪くないと思いますが、ちょっと高い評価は付けづらいです。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:3)
- なんとなく「もう勇者しない」を思い出してしまった私。いや、あんまり関係ないんですけども。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:2)
- この話を楽しめる能力が私に備わってなさそうなのはちょっと残念です。
- 09 テロリスト長沢 (採点:3)
- いやー面白いんだけどちょっとオチが弱いと思います。スクロールバーを眺めながらテロるのはいつかテロるのはいつかおいおいもう終わっちゃうぞと待っていて、これはもしかして結局実行しないのか、等と思いつつ読み進めていたら最後がそれ。うーん捻ったのはわかるんですけど、ここまで溜めたのならもっと溜めたものをひっくり返すか爆発させるようなどでかいインパクトのオチがあったら、と思います。しかしあのあとどうするんでしょうね主人公。
- 10 いろはの森 (採点:4)
- お話もすっきりしていて読みやすいし悪くないとは思うのですが、結局いろはの森って何だったんだろう、というのがわからなかったのが気がかりです。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:6)
- いやあ、ベタだとは思うけど上手いなあ。でももうちょっとはっきりしてくれてもいいかなと思います。あと、二人しかいないから明らかのはずの二人の会話文の区別が付きづらいのは私が悪いんでしょうか。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:8)
- 短編用の無駄のないスリムな文章にきちんと考えられている起承転結とか良く出来てると思います。しかし父さんが謎いです。うーん?
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:4)
- なんとなくわかるんだけど、わからない。うーん、何がいけないのかわかるとアドバイスになると思うのですけど。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:1)
- タイトル長すぎて切れてますねん。それはともかく、延々説明文読まされても困ります、というのが正直なところでしょうか。話のコア部分は悪いわけではないと思うので、そのあたりをもう少し精練して、あとは延々説明調にならないように気をつけてみればずっと良くなるんじゃないでしょうか。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:8)
- ミスコンつぶして花火かあ。結構好きですこういうの。主人公たちのキャラもなかなか。
- 16 さくら (採点:4)
- ホラーというには中途半端かなあ。怖いし気持ち悪いんだけどどの気持ちも中途半端。無駄にさくらが綺麗過ぎるんじゃないでしょうか。あるいは「僕」がもうちょっと怖がってくれても良かったと思います。あと「髪の綺麗な彼女」はそのままさくらに使っても良かったと思います。いや、そんなことをするとまったくもって酷い話になりますが。
- 17 19140901 (採点:6)
- リョコウバトを知らなかったのは失敗でした。あと史実の知識がさっぱり無いのも。今思えば十分に書いてあったはずなのに胡涼の異常さを読んでる当時に思わなかったのは私の至らなさでしょうか。
- 18 生命 (採点:4)
- わかるような、わからないような。色々狂気じみた表現は良いと思うのですが、全体としてはイマイチはっきりしないのが残念です。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:4)
- えー、最後無理に恋愛に持っていかなくても! とはいえ他のオチも難しいのは事実かもしれません。ただ、オチを変えないなら過程でもうちょっと恋愛色が見えないとオチに無理が見える気がします。AngelとScytheの組み合わせは良かったと思うんですけども。あとこの表示形態だと「?」は所謂全角を使った方がバランスが取れると思います。全角にしてもSizeの余裕はありますよね?
- 20 今日見る明日 (採点:7)
- ベタ文脈な気はするんだけどこれだけベタでやり通されると私の負けかなあ。サイズに余裕がある気がするのでもうひとひねりで+1点。
- 21 雪国 (採点:5)
- あー。うー。何か思うことがあるような気がするのにそれが言葉になりません。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:2)
- 展開が速すぎると思います。16KBフルに使う必要性があるわけじゃないですけど、せっかくサイズに余裕あるんだし、「どう」出来損ないなのか「どのように」立ち直らせたのかそのあたりをもっと詳しく描いて欲しいです。突然大好きはもったいないかなと。あと帯は(書けなかった自分が言うのもなんだけど)今ひとつかなぁ。ロリとか出来損ないとか入れなくていいと思います。タイトルが結構雄弁に内容を語れているので、むしろなくても良かったくらいかもとか思ってしまいます。ところで本文中の三点リーダーの個数は偶数、ってあたりにこだわる人って最近少ないのでしょうか?
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:3)
- えぇー。可愛らしい主人公に普通の恋愛話が続くかと思えば最後にそれですか。捻りが利いているというのは認めますけど、ちょっと捻りすぎじゃないかな、と。
- 24 結婚適文句 (採点:8)
- なにこのベタギャグ小説。ベタだけど全体通して笑いまくっていたので私の負けです。欲を言うと、もっと文章がこなれると更に良いものができるんじゃないかな、と思います。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:5)
- 私には難解でした。ただよくわかんないんだけどよくわかんないのをよくわかんないまま書ききっちゃったあたりはちょっと評価対象かも。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:5)
- 豆腐の角ですかね(笑)。正直に言ってしまうとあんまり好みではないのですが、設定そのものはアリかなあと思います。
- 28 Forest Note (採点:5)
- 評価しづらいなあ。というのは他の人の感想を見てから読んでしまったことによるものですが。女の子の突然性はさておくとしても、なんにも分からないと言うにしては分かっているあたりになんとなく違和感を感じます。サイズに余裕もあるし、その辺を含めてもうちょっと途中の展開を書き込んでくれると良かったかなと思います。
- 29 Blind (採点:7)
- なるほど。うーん、ネタとして書ききったか、というとちょっと疑問ですけど、でもかなり良い線まで書けてると思います。
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:6)
- 読む側に回るとオチが惜しいなあ。遺言自体はありきたりでいいと思うのですけど、そこで「それだけ?」じゃなくて何かを感じ取って欲しかった。しかし私も書く側に回るとこういうオチが大好きなので人の事はいえません。
- 31 正義の味方の悩み (採点:6)
- 恋というよりは愛ですね(最後の疑問文に応答)。ギャグっぽいんだけどギャグとしてはちょっと中途半端かなあと。小説らしく突飛なキャラクターたちは良かったと思います。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:6)
- アホだなあ(笑)。アホだけどこんなもんだよね、男って。みたいな。それで「男子ってアホだなあ」と眺める女子がいる、という至って普通の小学校というか。まあもちろん大分普通じゃないのですけども、普通エッセンスの拡大解釈としてはこんなもんかな、と。
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:8)
- 笑ったので私の負け。通話中にジャックする母親何者。ただの1ギャグだと思ってたけどこの母親があるからこそあのこっぱずかしい射撃が生きるんですね。
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:8)
- よく出来てると思います。さらにページ区切りの効果に衝撃。ところどころの表現にどきっとさせられたりも。
- 35 西と東、白と黒 (採点:3)
- 白と黒の対比は面白いとは思うのですけど、うーん。それ以外にじゃあ何か、と言われると困ってしまうというのが正直なところです。
- 36 ソラアイ (採点:8)
- ちゃんとまとまった綺麗なお話でよく出来てると思います。勘違いはありがちだけど、別段悪いわけではないかな。7点と言いたいところですけどけなげな雪美と空に+1。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:8)
- 綺麗にまとまっててなかなか。もうちょっと話に起伏があるとインパクトができてよかったかも。帯は……ちょっとどうかなあ(笑)。ところで作者さま本当に13歳でしたら相当すごいです。と同時に私相当へこみます。私が13歳当時に書いていた話なんか……いやもう思い出すまい。
- 38 山田仁の行き先 (採点:2)
- なんか山田君を淡々と綴られてしまいました。地の文がある山田君はいいのですけど、大橋さんと宮沢くんがちょっとわかりづらいかもしれません。二人についての説明がもうちょっとほしかったなあ。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:7)
- アホか(爆笑)。いや褒めてます。しかしまあ、化学の授業にでも使いたいネタですね。電子(でんこ)ちゃんと陽子(ようこ)ちゃんが云々、なんて授業をしていた先生が高校時代いましたが、そんなのを思い出します。6点といいたいところですけど笑ったので+1。
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:7)
- 本文の出来と比べるとタイトルと紹介文をもうちょっと考えて欲しかったかなあ、とちょっと思います。こう言っては何ですけど、タイトルの魅力がちょっと薄いかなと感じます。せっかく良く出来た本文なので、読んでみようと思わせるタイトルと紹介文があれば、と思います。それにしても毎朝共心してもらうはどうか、と思いますよお母さん。
- 41 No River to Cross (採点:8)
- んー、上手いなあ。本来音楽ってのはこういうもんですよね。まったく最近の業界はけしからん。とはいえiPodである必要はあまりなかったと思うのですけど、そのあたりの背景とか必然性は私の知識不足でしょうか。
- 42 焚火 (採点:2)
- ちょっと何が書きたかったのか理解しかねたのが残念です。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:2)
- ゆいかの存在がちょっと謎かなあ等と思ったりします。オチもわかるような気はするんですけど、どちらかというとそんな行動を取る主人公に違和感を感じます。あと三点リーダーの数は偶数にする、とかいうあたりが気になる人なんですが、あんまりこの辺はこだわっても仕方ないのでしょうか?
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:9)
- 小説としてよくまとまっているし独特の言い回しも悪くないと思います。人生の妙とか芸術とかよく語ってくれました。強いて言うならあとはもっとインパクトがあれば、というところでしょうか。あとはもう好みの問題かと思います。
- 45 おかえり (採点:6)
- 綺麗な話だと思います。でもなんで美生なのかなーとか語り語られの関係が少し分かりづらいかななんて思ったりも。1年毎に出会いと別れを繰り返すというのもお話としてはなかなかですね。
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:5)
- ふーむ、ネタもオチも文も悪くないと思うんですけど。もうちょっと何かインパクトがあると良かったかなーと思ったりします。ロケフィンの中身は気になりまくりですけど。
- 47 ポテト (採点:3)
- んんん。文章は普通に読めるし言いたいことも言ってる気がするのですけど、展開か状況説明が弱いのか、何かが不足している気がします。
- 48 タクシー (採点:2)
- できれば三点リーダーは偶数にして欲しい人です。あと疑問符は全角に揃えてもいいんじゃないでしょうか。まあこういう細かいところは評点に影響はさせてませんが、本文も正直なところ何をしたかったのかな、というのが正直なところです。まったく酷い運転手です。
- 49 バレンタイン事変 (採点:8)
- いや、大変だですね。チョコレート中毒。誰かこの奇病を治してやってください。しかし部外者には笑いもの以外の何物でもないのでした。7点。と思ったけど最後に本物を渡す宮田に+1。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:10)
- なんかいいなあ。2/30って何の意味があるのかな、と思ったら、そういや閏年ですら30日にはならないのですね、なるほど。
ただここまで綺麗なチャコに「魔法使い」はちょっと似合わないような気がします。でも妖精とか言ってしまうわけにもいかないと思うので、「なんかよくわかんない単語」を持ってくるのが良かったんじゃないかな、等と思います。マキとかチャシとか適当に。「チャコの魔法」っていう文脈の魔法はそのままでいいので。
例えば『チャコはよく、自分のことをマキだと言っていた。悪いマキに追われて、今は身を潜めているのだ、と。私は、マキって何? と聞いたこともあるけれど、チャコはしばらく説明しづらそうにしたあと、「にぱっ」と笑って誤魔化したのだった。』とかどうでしょう。って他人の作品を勝手に弄っちゃダメですねごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
色々言いつつ9点。と思ったのですが、にぱっと笑うチャコに+1。
ところで<title>タグを使ってないのは何か理由があるんでしょうか。
- 51 夏の風 (採点:1)
- むむむ。申し訳ないですけど小説としてはちょっと評価しかねます。嫌いじゃないんですけどね。それにしてもホント気温40度は地獄ですね。毎年夏は40度な土地在住の私。最近はめっきりクーラーなんですけど。
- 52 豚 (採点:7)
- 強烈。お話としては好きになれませんけど、小説としては良く出来てると思います。こういうのは評価に困りますね。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:4)
- 平気で橋壊そうとするなよーと思いつつ途中まではこなれた文章という印象で読めたのですが、最後が惜しい。というかごめんなさいよくわかりませんでした。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:9)
- 俺は梯子も使わず、の節でドキッとしてしまった私。評価眼に自信はまったくありませんけど、素直に読めたし全体的に好印象です。なんでだろう。
- 55 饗宴 (採点:5)
- ごめんなさい、読めません。漢字が。饗宴というとプラトンのを思い出しますね。この情景の綴り方はインパクトがあるし、私にきちんと読める力があればもっと面白いのかなとは思います。評価に困りますね。
- 56 Show must go on. (採点:5)
- うーんちょっと状況がわからない部分が。失礼ながらちょっと拙いかな、とは思うものの、文に力があるのは魅力です。
- 57 エース (採点:6)
- バスケットボールがよくわからないのが残念。どうやって登場人物たちの「かっこよさ」を描くかは結構悩みどころですね。バスケをちゃんと知っていればもっとかっこよく見えたのかなあと思うと勿体無かったのかも。確かに漫画で読みたいです。
- 58 飽くなき赤色 (採点:3)
- んー。ちょっと三点リーダーがくどいかも。話の流れ自体は悪くないと思いますけども。
- 59 Day after tomorrow (採点:3)
- あれ、「君」の名前一度も出てきませんでしたっけ。雰囲気は好きだけど、「君」がどうしていないのか非常に気になります。読者に投げるのは別にいいのですけど、この話からだけではどうなったのかの手がかりが乏しいように思います。それがちょっと残念。
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:9)
- ツンドラ笑った。それ寒冷地だからね! いや、うん、オチも悪くないし流れも良いし。読みやすいし。高評価です。
- 61 山小屋語り (採点:2)
- 老婆のような語り口ですが、話の内容から察するに違うのでしょうか。読むには困らないし状況もなんとなくわかるのですけど、うーん。帯の通り自分語りということで解釈するのならこれはこれでアリかもですが、一応短編小説を前提ということで点は申し訳ないながら評価は低めです。
- 62 格闘少女 (採点:4)
- こなれた文章で読みやすかったんですけども、途中までの展開と最後に溝があるような気がします。違和感の理由をしっかり説明できると良いんですけど。
- 63 未来視の見る夢 (採点:10)
- エンターテイメントとして完成された本文に紹介文の使い方まで完璧。文句なし。夫婦や親子の愛とか、変えられるはずの知っている未来とか、でも変えない未来とか、愛する人と一緒に行く悲しい幸せと愛する子を置いていける優しい不幸とか、色んなものがないまぜになってなんだかよくわからないけどやり切れない切なさとなぜか感じされる暖かさが最高です。そして、私たち読者にも、未来視をさせるその手腕。脱帽です。感動しました。
- 64 ブランコ (採点:2)
- FFの新作が面白くて遅刻、というのが言いたくてこれを書いたならそれはそれでアリかな、等と思ってはしまうのですが。
ブランコに乗ってちょっと違う世界が見えるというのはなんとなく分からないでもないのですが、しかしそっち方向で書くつもりだったのなら、もうちょっとブランコや違った世界のことを書き込んで欲しかったなあ、と思います。
- 65 金曜日のつめきり (採点:6)
- ちょっと不思議だけどなんとなく気に入ってしまいました。でももうちょっと語ってほしかった。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:5)
- はるな嬢が死んだ理由の部分が分かりづらいのが非常に残念です。重要な文なのは事実なのでインパクトを狙ったのかもしれませんしそれは正しいと思うのですけど。
- 67 世界一の小説 (採点:4)
- いやまあ、そりゃあ何が世界一かは人それぞれですよね。語りとしてはこんなものかなとは思うのですが、評価はむつかしいです。
- 68 両手いっぱいの花を (採点:6)
- 綺麗な話でいいと思います。んー、でもありきたりと言ってしまえばそうなのかな。評価は難しいところです。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:7)
- いやそのオチはどうなのかと!(笑) 評価はこのアホっぷりに。
- 70 アリス (採点:8)
- いやあもう、この極端なアリス&トモのインパクトは最高。さっくりキモイの一言を言われる「僕」もなんともいえないいい味が出てますね。文もこなれてて読みやすいので高評価。でもオチ付近に違和感があるのはなんでだろう。
ところでファックミーダーリン試験クソだりーのメールは今後おりこん参加者の中で語り継がれることでしょう。こいつはスゴい。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:1)
- うーん、正直なところさっぱりわかりません。何が書きたかったのかもうちょっとはっきりするといいのかなあと思います。
- 72 月時雨 (採点:7)
- よくまとまった綺麗なお話でした。欲を言えば声をかけた男の人がもうちょっとかっこよければと思います。
- 73 14文字の涙 (採点:7)
- 最近の携帯電話ってやたら音質いいんですよね。昔の電話だと声で相手が誰かわからないくらい音質悪かったのに。「彼女」がどのように番号を選んで真樹のところに辿りついたのかとか、「彼女」の行動理由とか、ちょっとだけ気になるところもあるのですけど、なんだかんだって気に入りました。
- 74 魔女の岬 (採点:6)
- なるほど。全体の流れとか文章とかしっかりしていると思います。ただ時間系のネタを扱う場合はやっぱりパラドックスをちゃんとなんらかの形で解決してほしいなあ。ルシール嬢がなんとなく言っているような気はするけど、ちょっと消化不良。ところで一箇所だけアルに促音があるのは一体。
- 75 夜の夜 (採点:10)
- しっかりとしたキャラクターたちに、ちょっと暗いけど不思議な魅力のあるお話に引き付けられました。お見事。
- 76 Another (採点:5)
- なんでー。なんでお兄ちゃんなのー? 話の流れ自体は魅力的かなとは思いますけど、結局じゃあなにがしたかったんだろうというのが不明瞭(というかもしかすると久美にお兄ちゃんと言わせたかったのでしょうか)なのが残念なところです。でも話の流れは評価。
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:5)
- 曇りの描写もいいと思うし晴れのオチも期待を裏切らないというよさがあると思います。でも何かが足りない気分。
- 78 君が星を手にするとき (採点:5)
- ごめんなさい、本文より紹介文の自殺ロボットの方が面白いです。
それはともかく、子供の成長を見る親の気分の複雑さはなんとなく伝わってきますね。
- 79 奥の細道 (採点:3)
- 私には難解でした。でもインパクトはあるので、私にちゃんと読める力があれば何かが見えてくるのかもしれません。
○mightywings さん
- 02 黒船 (採点:7)
- 長屋の隠居と粗忽者のやりとり、ボケ倒す粗忽者、落語の王道を行く作品。
オリジナルでこの完成度は割と良い線なのではと思うが、まあ小噺の域かも。
今回ギャグでトンでもないのが幾つかあるので、対しては少し味付けが薄く感じた。
- 04 海神の矛 (採点:10)
- 世界の緊張は、何気ない日常のひと時の中で、こうもあっけなく崩れてしまうのだろう。
アメリカという大国のリアリズムをさらけ出す力作。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:5)
- オチが見えてから長い。一人称は説明的になりがちなので、そこも注意を。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:7)
- 横光利一の「蝿」のような雰囲気を感じた。しかし折角の作品も、一つ一つの文章が
長すぎで、内容を思い描く以前に読み疲れさせる。どうか完読させる工夫を。
- 09 テロリスト長沢 (採点:5)
- テロ(と書いて嫌がらせと読む)は、「人を呪わば穴二つ」の決意が不可欠。
- 10 いろはの森 (採点:10)
- コンペ中の生き死にネタ話ではピカ一かと。エピローグの美しさが圧巻。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:10)
- とにかく放課後の教室ディテールが素晴らしい。もしかして現役学生?
- 16 さくら (採点:8)
- 美と醜悪のコントラスト。桜はよくこんな風に生と死の輪廻に絡んでくるが、よもや吸血願望があるとは。
- 17 19140901 (採点:9)
- 京極夏彦を彷彿とさせる描写力はとても素晴らしい。しかし何故だろう、
オチがついたが故に、まとまり過ぎてしまったような。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:5)
- 後半に相手を持ち上げるのはフラグが立ってきた時の常套手段です。
- 21 雪国 (採点:6)
- 銀河鉄道雪国版でしょうか。違うか。
自分探しって、人に訊いても旅に出ても見つかるものではないと思う。
- 24 結婚適文句 (採点:10)
- 今回のコンペのギャグはたまーに抉る笑いが来る。堪らない。
- 25 マージアここに在り (採点:7)
- サイファイの形をした昔話なのでは。どこかの国にプロトタイプがありそう。
別に作者がパクリをしたと言っている訳でなく、素朴にそう思っただけで。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:4)
- 「レティクル座超特急」って知ってますか?あれ位の世界観を出せれば良かったかも。最近なら「乗車権」辺りが認知度高いか。
- 29 Blind (採点:6)
- まあ直球な題材。しかし、精神と肉体は不可分だと中尊寺も言っていたが。
誤解は人生を彩るというが、曲解は人生をくすませる。勿体無いなあ彼女。
惚れた相手を抱きしめた時の、この人を護ろうという決意とかを少しでも感じる
ことが出来ていたら、捻くれたプラトニックに奔ることも無かったろうに。盲目。
- 31 正義の味方の悩み (採点:6)
- どうしてストーリーテラーの友人の女の子に破天荒が多いのだろうか。
デレだか萌えだか知らないが、誰かテラーを女子、友人を男子で設定したら
マンネリズムを打開できるのでは。
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:8)
- 「大変! お巡りさんが変態っ!!」
「すいません、翻訳すると『大変、お巡りさん! 変態がっ!!』です。
ってシーン最高。翻訳とは言わないだろう、並び換えただけだし。
- 35 西と東、白と黒 (採点:6)
- 貧富の差というのは最も分かり易い格差であろうが、それ以外の要素をうまく盛り込めなかったのが残念。
警察・治安といった要素の対比は、西の国サイドで出ていない。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:6)
- きつい。しかし、下とサイファイって割とよく見る組み合わせなのだが何故なのだろう。
- 41 No River to Cross (採点:8)
- 林檎コンペがあったら、そこでも上位に入るだろう。アダルトな雰囲気が素敵。
- 42 焚火 (採点:10)
- 後味悪いのも好きになったのは、ワルイオトナになったからでしょうか。
まあ、もっと強かに考えれば、虐待の真実と己の復讐感を、兄が今後赤裸々に
然るべき相手に語れば、二人は正当な保護下に置かれるのだろうが。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:10)
- 終始変わらない穏やかさが心地よい。己次第で世界の価値を変える姿勢もまた良い。学ぶべき要素の多い秀作。
- 47 ポテト (採点:10)
- ちょっと他に見ない切り口。なんでしょ、これ。
- 48 タクシー (採点:5)
- 逆ハンドル・ノーブレーキでは、現場検証で故意の転落と判断されるのでは。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:9)
- テンポ良し。映像映えする展開。オチも良し。
しかし<完全なる自由>を得たのは、彼女だとは思うが少し分かりつらいのでは。
- 55 饗宴 (採点:6)
- 実験的作品なのか。カフカとかポーとかみたいな、デカダンな感じは嫌いではないが。
- 57 エース (採点:10)
- 世界が確実に、この人が動かしていると感じる時がある。
羨望も嫉妬も無く、ただ一途な感動を皆に呼び起こす、夢見た可能性の具現化。
永久に光放て、ファンタジスタ。
- 61 山小屋語り (採点:5)
- 拷問とか、かごめかごめとか、無理に恐怖感を煽る材料で出しているような気が。
語り部の話の展開も不自然で、ラストでは「そりゃアンタが悪い」と普通につっ込んでしまった。
口調が方言なのだが、ただ婆さんが喋っているみたい。でも「私」とか「恋愛」とか言っているし、年齢も時代考証もあやふや。
- 63 未来視の見る夢 (採点:7)
- 残念、今回のコンペが生き死に話にまみれてなかったらインパクトはあったのに。
あと、出会いをラストに持ってくる手法、何かの洋画であったような気が。
離婚した男女の過去をさかのぼる内容だったかな。別にここで減点した訳では
ないのであしからず。
- 65 金曜日のつめきり (採点:8)
- 何というか、やはり距離感に惹かれたようで8点。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:7)
- 世界観は「鳥の詩」に通じるものを感じた。
しかし、大切な存在が失われる的展開は今回食傷気味なので、次回は安易に
喪失に逃げない作品を希望。
- 68 両手いっぱいの花を (採点:6)
- 海外の童話、児童文学のような作品。
しかし何度も述べているが、安易に死の喪失で感動させようと思わないように。
瀬名秀明でさえ、その処女作では主人公を最後に殺すのは安易すぎると、巻末批評にバカスカ書かれていた。
- 70 アリス (採点:4)
- 下妻物語風味かと思ったが、下妻の方が正直面白いので。
- 72 月時雨 (採点:7)
- 大正ロマネスク。生き死に話の多い今回のコンペでは筆力高い方では。
でもネタが生き死になのでこれも辛い配点。喪失感を用いたがるコンペ呪縛から
次回は解放されてください。
- 74 魔女の岬 (採点:7)
- この作品、途中までオカルト路線であると勝手に期待していたが、老人登場から
どうも無難にまとめられてしまったように思えた。「猿の手」みたいに引き換えで
祈願成就していたら後味の悪さに酔いしれられたのだが。捻くれた感想で失礼。
- 75 夜の夜 (採点:7)
- 死の影みたいな非日常要素を用いないでも、この筆力なら面白い作品が他にも書けるのでは。
彼女達の生き様は等身大の命に満ち満ちている。
- 76 Another (採点:8)
- よくあるパターンでは序章にしかならないのだろうが、ここでオチにした事に
自分は潔さを感じた。でも大半が続きを期待するんだろうなあ。
- 78 君が星を手にするとき (採点:9)
- 世の中には光を放つ者・ファンタジスタと、熱を放つ者・ロケッティアとがいる。
どちらも人類のエネルギー。小さな星を回していく力。
小さな所で、「いくつになってもハンカチを持ち忘れる私」という表現が
さりげなくも個性的で良い。自身の涙を拭わずにハンカチを差し出す母の
行動もそうで、日常の小さなところに目を向けられる感性が無いとこういうのは
書けないと思う。もっとも作品全体が真っ向ツボなのですが。
しかし、内容が良い時にタイトルにけちを付けるのが自分の悪い癖で、
親子、ないし男と男のスタンスを取った登場人物と、「君」が醸し出す語幹に
僅かなズレを感じてしまった。もっと堅い、ガッチリしたタイトルでも良かったのでは。
- 79 奥の細道 (採点:9)
- 作品は10点。でもタイトルが既存のものなのでマイナス。
重い作品。現実感を揺らがせる全体の中で、織り込まれた幼年期の想い出が恐ろしい位に
生々しく色を放っている。迷路とは彼岸のことなのか。
○mu さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:2)
- 「にじのむこう」がもっと鮮やかに描写されていればと思います。
- 02 黒船 (採点:4)
- もっとリズムがよければ……。さすがに落語家じゃないんで音読でちょっと手こずりました。
- 03 遵守 (採点:7)
- タイトルタグ使ってないのが萌えます。あとはオチが予想できなければ……。
- 04 海神の矛 (採点:3)
- 「なのに、私の体は震えだす」僕はそこでは震えなかった……。でもサムには震えました。惜しい。
- 05 理屈じゃないこと (採点:6)
- なんか終わりと言うよりは始まりな感じがしますね。そうなると愛し合っているのに別れたと言う背反が今後の伏線になるのかなって思えるんですけど、完結とした短編としてはちょっとそこに引っかかってしまって。
- 06 For tune the rainbow (採点:4)
- 実に繊細。前半のブツ切り感がなければもっと高得点でした。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:1)
- 私的には分かりきっていることだったので、今更感が強く、他に見出すところも無かったのでこんな感じになってしまいました。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:10)
- テクストの快楽にどっぷり浸らせて貰いました。今回のコンペに参加しての最大の喜びはこの小説が読めたことです。
- 09 テロリスト長沢 (採点:4)
- 惜しいなあと思う。なんかもっと突き抜けて欲しかった。文章も安定しているし、決して嫌いじゃない。
- 10 いろはの森 (採点:7)
- 素晴らしいと思う。特に冒頭までの引き込みが。琴線に触れたし、勉強させてもらいました。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:5)
- 思ったより手堅いな、と全部見てから思いました。触れ幅そんなにないけれど天子からキューピッドに鮮やかに移行しててなかなか安心して楽しみました。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:6)
- このレベルの小説が非常に多いなーと思って苦労しましたが一歩前に行った感じ。これみよがしなカメラが神秘現象と無関係なところとか、あと後半の言葉の感じが凄く気に入りました。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:3)
- 僕が俺になっちゃうのよりも僕が分裂症を抱え込むのの方が興味がありました。残念です。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:5)
- 普通の文章はいい感じだったんですけどタイトルと要所のセリフでどうしても陶酔が解けてしまいました。あと何事も無かったように女の子の視点に切り替わるところも躓いてしまった。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:3)
- 嫌いじゃないんですが読めば読むほど既視感があふれてしまって、それが私的な評価のポイントでした。
- 16 さくら (採点:4)
- 面白かったのは女の子が僕のセリフを捏造するシーンでした。あとは後半の迫真さが前半にもあれば……。
- 17 19140901 (採点:6)
- なかなか小手が利いていると思いました。胡涼の舞が、僕にはそこまで迫真するものでなかったんですが、そこに踏み込んだことに好感が持てました。
- 18 生命 (採点:9)
- 暴走するイメージとテクストの鬩ぎ合いに感服しました。よく書き切ったもんだ。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:1)
- ちょっとどころでなく物足りなかったかなあと思う。多分中篇程度に膨らませれば天使の子に愛着を持てるんだろうけれど。
- 20 今日見る明日 (採点:2)
- 何も始まっていないし何も終わっていないと言うことが清涼感より先に感じられてしまって、帯で補完できるのかと思ったら帯も無く、なるほどこれ全体が帯のようなものなのかと納得してしまった。このベクトルのテクストには不可避的に孕まれる問題なんで、ぜひ次はその辺に意識を飛ばしていただければ。
- 21 雪国 (採点:1)
- この種類の文章としては、一文一文があまり面白くないのが致命的だと思った。物語としても主人公がひたすら空回りしている感じがしてなんとも。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:2)
- シリーがかわいいのが美点なんだけれどもご都合主義にすぎたかな。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:2)
- これは何か薄いと思う。好きと言われた後キラいと言われたら、言われた方は困惑して、さらにその「先」が生まれると思うわけで、それが生起しないんであれば最初からしょんぼりだし、するとすればやっぱりこの収まりは不満なわけで。
- 24 結婚適文句 (採点:7)
- 色んな意味でシャレてたと思う。読めそうで読めない先の展開に翻弄されるのが楽しかった。はっちゃけぶりにも実は抑制が効いてるなと感じたのが余計に好感。
- 25 マージアここに在り (採点:5)
- 実によく出来ていたんですが新しいものを何も発見できなかったのが残念です。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:1)
- 広い世界観を感じるとは言っても、やっぱりツギハギのバラバラとしか思われなかった。散文詩なのかな。だとしても。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:4)
- バカバカしいオチだった(笑)楽しめました。主人公がSなのは仕様ですよね!
- 28 Forest Note (採点:5)
- 実によく出来ていたんですが新しいものを何も発見できなかったのが残念です。
- 29 Blind (採点:5)
- 一定の思弁が見受けられてよかった。もうちょっとで突き抜けていたと思う。
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:3)
- 比較的注力して読み込んだんですが、残念ながら意図を読みきれなかったようです。それ以外ですと構成と挟まれる気取った言葉に不満でした。
- 31 正義の味方の悩み (採点:1)
- 「自分から加わらなければ、物語の登場人物にはなりえませんからね」と言う一文がその他全ての文章より面白く思えてしまったので総合としてはこの点。その方向に進んでいったらガンガン点数を上げられたんですが……。デジャヴュも多かったです。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:5)
- 面白かった(笑)
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:1)
- デジャヴュしかなかったです。具体的にはひぐらし。
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:4)
- 能力ものとしては見るところがさほどあるとも思えなかったんですが、というか既視感が強かったんですが、死んだと思った彼がアンドロイドだから大丈夫、と言う設定ではなくて、見せ方が気に入りました。
- 35 西と東、白と黒 (採点:3)
- 前半は面白く、後半には何も思いませんでした。この作品の場合、そういう非対称的な感想を覚えてしまわれるのは最大の致命傷だと思うんですな。惜しい。
- 36 ソラアイ (採点:5)
- 実はよその感想を見てちょっと自分の感覚に疑問を覚えたんだけれど(苦笑)、それでも再読してみてもやっぱりこの雰囲気に持っていかれるところがあったのでこの評価。好みでした。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:8)
- いや素晴らしい。タイトルも練られているし、本編は言わずもがな。いやまさかあんなことになるとは思わなかったけど切実だし惹かれた(笑)読後感もさわやかだけどちょっぴり切ない感じで、抜群だったと思う。
- 38 山田仁の行き先 (採点:3)
- 超能力ものとしてありがちなのは浮世離れしすぎていてご都合主義を感じる場合だけど、むしろこれにはある遊離感が足りなかったというか、総じて物足りなかったというか、長編ならばあるいは、という感じでした。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:6)
- 抜群のバカが来たと思いました(笑)ホントにモニターの前で腹を抱えて笑ったわ(笑)
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:1)
- 全編エピローグの調子で書いてもらった方がよかったです。ちくしょー。
- 41 No River to Cross (採点:7)
- よかった。ある意味で似たような方向を目指していた作品が何個かあったかと思うんだけれども、その中でも抜群だった。寂寥感とは違って、それこそ村上春樹的な透き通った感じがあった。音楽に触れたテクストは少なかったけど、マッチしていた。他の人にだったらぜひその「音楽」なるものを描写して欲しかったと書くところだけど、これについてはそれによって全体がぎくしゃくしてしまった可能性が高くて、色々難しいと思いました。
- 42 焚火 (採点:1)
- 都合よく妹の主観に変わるところやせっかくの火事を全て回想で語っていることに躓いてしまった。であるならこの先を読みたかった。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:5)
- 結構好感を持ってたんだけれども、最後のタコ殴りのシーンでもっとなんか突き抜けて欲しかったなあ。ちょっと萎んじゃったかな、って。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:5)
- 女性一人称が苦手なんですが、なかなかよく雰囲気を作っていたかな、と。
- 45 おかえり (採点:3)
- 感動が主眼なんでしょうが、そこまで持っていかれませんでした。残念。
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:6)
- お気に入り。彼の小説とこのテクストの関係がもっとよく構造化されていたら僕はもっと高得点を出しましたっ。
- 47 ポテト (採点:5)
- 最初の失恋を直接引きずってないのがよかった。いい言葉がある一方で唐突なところに嘆息する部分もあるんですが、最後の結びが抜群によかったのでこの点。
- 48 タクシー (採点:5)
- 巧みの技だと思う。結末は分かりきっているけどそこから抜け出せない拘束力を感じたのが良。
- 49 バレンタイン事変 (採点:6)
- よく出来ていたと思う。これを病気と言い張る胆力が私的に気に入りました(笑
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:6)
- 魔法使いという設定に躓いたんだけれども、あるところまで踏み込んでいる感じがしたのでよかったと思う。大した魔法ではないんだよね。それがよかった。
- 51 夏の風 (採点:3)
- 帯を見た。目的はある程度達成されたと思う。よろしければさらに精進を。
- 52 豚 (採点:6)
- 豚より相応しいタイトルと結びがあったに違いないと思えてしまったことが最大の難点。ある気持ち悪さを喚起させられたのでなかなかのものだと思った。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:6)
- 結構好き。クサい描写があるけどそれが全て許せる、カッコいいと思えたのでこのような評価になりました。いささかご都合主義の風味が見えますが、ギリギリ許容。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:6)
- 何がいいかって言葉がよかった。心に残るワードがたくさんあった。「彗星はきっとこない。」をぜひ結びに配置していただきたかった。
- 55 饗宴 (採点:5)
- 楽しくサクサクと読めたけど、「思え」が成功していたかどうかについて未だに判断を保留しております。はい。あと帯に書かれていることはほとんどが嘘だと思った(笑)
- 56 Show must go on. (採点:3)
- 習作としてはいいミステリだったと思います。ちょっと圧力が足りなかったかなとか、デジャヴュがあるかなと思ったけれども。
- 57 エース (採点:4)
- この題材と長さとしてはこれ以上は見込めないかもしれないと思うところはあった。抑制されていたし出来はよかったです。
- 58 飽くなき赤色 (採点:4)
- 色々な欠陥や書き慣れの問題があると思うんだけど、現代における敵討ちを真っ向から書いてくれたところを評価。
- 59 Day after tomorrow (採点:3)
- やはり回想は楽だと思うんですけど色々犠牲が多いと思うんですよね。主人公の気持ちを共有できなかった。
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:3)
- なかなかスラップスティックな感じで楽しかったです。
が、何か今回は妙に笑えるのが多かったので相対評価でこんな感じに。あう。
- 61 山小屋語り (採点:5)
- 惜しいと思う。せっかく聞き手が読者と一体化してたのに、彼が勝手に動き出してしまったのが白けた。むしろ彼は身動きとれない方がよかった。
- 62 格闘少女 (採点:2)
- 構成がよくなかったと思う。格闘少女の日常が見たかった。
- 63 未来視の見る夢 (採点:7)
- 実は全体よりも冒頭の方が心に残ったんだよね。みんなの未来予知で被害が最小限に食い止められたってところ。そのせいで以降の物語の触感にちょっとした感覚のズレがあった。ただ何度か読んで「もともと、そのための人材、物量の大量投入だった。それは、未知のウィルスに感染した二人の人間を助けるための戦いだった。」この文章を発見してそれがよいと感じたので、こんな感じの評価に。
- 64 ブランコ (採点:1)
- さりげないものを描こうとして失敗した感じ。変わった光景がもっと鮮やかであれば。
- 65 金曜日のつめきり (採点:9)
- これはある種の到達点だと思う。褒めるポイントを上げるとキリがないんだけどとにかくよかったし好みだった。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:4)
- 79本を読んで思うのは結構この手のものはありがちで、いかに他と差異を出すかが勝負ってところですよね。それはコンペ自体どころか読者がこれまで読んできた色々な物語の勝負でもある。死亡因の描写にちょっと可能性を感じたんですが、振るわなかった印象。ところどころの気取った言葉にも躓きました。
- 67 世界一の小説 (採点:4)
- アイロニカルな小説なんだけどどうしてもそのせいか狭い物語になってるんだよね。それも含めてアイロニカルなんだろうけれど、その出来だけを評価するとすればこのような点数になってしまいます。実際に世界一と思わしき小説にアンチをしかけるとかの方が面白かったかもしれないっすね。何を選ぶかは趣味。
- 68 両手いっぱいの花を (採点:2)
- これはつらかった。ナルシスティックな文章だからだと思う。決して書けないとは思えないんだけれども、今回の試みは失敗だったかと。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:6)
- ライトな感じだけど小手が利いていてスッと中に入っていけた。名前をアルファベットにするのも妙手だったと思う。オチもまあよかった。面白かったです。いや違う、笑えたんだ(笑)
- 70 アリス (採点:6)
- 「ファックミー、ダーリン。試験クソだりー」は神だと思った。しかし「あたしは、あたし」と自分で言わせちまったことがあああああああああ、ああああああああああああああ
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:4)
- やっぱり単体で落とすには欠損が多いよなと思う。そういう物語の冒頭と言う感じが凄くして、予感させるものはあったけれど、そういうわけでこの評価。
- 72 月時雨 (採点:4)
- きつかった最初!むしろ何でこんなに読めないんだろうといぶかしむほどでした。が音読して最後まで読みきって結構オーソドックスだなあと思いこの評価。最初の読み難さが何かツボに嵌ってくれればよかったんですが。
- 73 14文字の涙 (採点:5)
- 描写としては目を引かなかったんだけれど、相手と兄と妹の間に非対称性が生まれているところに「おっ」と思ったのでこの評価。
それとは別に個人的な語り。実は僕もこういうメール来た事あって、結局無視してしまったんだけれど、もしかしたらこういう可能性もあったのかもしれないなあ、と思うと感慨深かったです。
- 74 魔女の岬 (採点:6)
- xxxholicを思い出した。その他にもデジャヴュ。けど出来のよさは疑うべくもないし、あと始まりも終わりもよかったのでこの評価。「そして」から始まるのはなかなか。
- 75 夜の夜 (採点:5)
- 夜が自分への疑いを微塵も持っていないことにちょっと躓いてしまって、このような評価。お婆ちゃんを安直に死なさずにある種の不安定さをそのまま持ってっているところがよかったと思います。
- 76 Another (採点:3)
- 読めなかった(笑)だけれどそれだけで収めるにはちょっと遠投すぎたかなと言う感じがする。
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:3)
- この手の恋愛話は非常に共感できるんだけれどもだからと言ってそれをそのままに書かれても困るというところがある。個人的な体験に依存した評価は除外すると、最後の捻りをもっともっと工夫していただければっ。
- 78 君が星を手にするとき (採点:4)
- サムが全く出てこないところがよかったんですが、ロケット発射の当たりは予定調和で、描写の圧力と言うか、工夫が足りなかったかなあと思いました。
○muni3 さん
- 21 雪国 (採点:3)
- 「雪国」かと思ったら「銀河鉄道」で、「銀河鉄道」かと思ったら「夢十夜」だったという印象です。
言わんとすることは感じられるのですが、「それで?」としか思えませんでした。
- 48 タクシー (採点:4)
- 悲惨で不条理な話ですね。
でも、それだけの話に思えたんですね。
ホラーというには息苦しいだけだし、悲劇というには不条理すぎて滑稽ですし……
○nickel さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:5)
- 単純に作品世界の好みの問題で、僕にはソフトすぎました。ただ技巧的に減点したくなるような点もないので、5点を。
- 02 黒船 (採点:7)
- これをネタに一席打っていただければ満点差し上げたいなぁ、と思うわけですけども、つまり一席打っていただかないと満点、というかどうにも点のつけようがないわけで。でも実際落語として聞いてみたいとも思うので、7点。
- 03 遵守 (採点:9)
- 僕的には上位入賞者候補である気がしているわけで。そつのないこなれた文章で、ネタもほどよく手垢がついてないし、短編としてもうまくまとめている。ただ、多少パンチに欠ける。9点。
- 04 海神の矛 (採点:5)
- 短編で選ぶべきネタではなかった、というのが正直なところ。エンターテイメントの立場から言えば、軍事モノで兵器、戦争に対する作者の価値観を前に前に出す、それだけの作品というのは退屈でしかない。文章はよくこなれていただけに、残念な作品でした。
- 05 理屈じゃないこと (採点:8)
- 切なっ。
ただ、「両思いのまま別れさせた」というのが、ちょっと妥協してしまった点なのではないか、と思います。時には非情であることも、恋愛モノには必要なんじゃないかなぁ。
- 06 For tune the rainbow (採点:5)
- 何も感じなかった、というのが正直な感想です。人死にを出すことには肯定派ですが、あまりにSSライクにシナリオ的過ぎ、無難に過ぎ、特筆できるところがない。これは僕の感受性の問題でもあるので、特に順位に影響しない点をつけさせてもらいます。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:5)
- ネタが微妙でした。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:採点なし)
- もう技術で言ったらこれに最高点つけても他のが5点以下になってしまうくらいの神構成。
ただ、音楽で言うとこ「16分の17拍子」的な感じが否めません。何度も何度も読み返して、何か時系列的なミスリーディングを狙ってるのではないか、自分の読解力では見落としてしまう「何か」があるのではないか、と疑い続けてしまいました。改行のないスタイルもその猜疑心を助長しつつ、10回ほど読んでようやく、何もそれらしいトリックはなかった、っつーかあっても永久に俺には読み取れん、という結論に達しました。
面白くもあれば腹立たしくもある、この感じをちょっと点数に換える事ができないので採点なしとさせていただきます。
- 09 テロリスト長沢 (採点:7)
- ヒマな大学生だなぁ、と思いつつ読んでるわけですが。そろそろ僕も大学卒業ですよ。切ないなぁ。テロるか。
あ、オチが欲しかったです。
- 10 いろはの森 (採点:5)
- 人死にの出る話は、涙腺が緩まなかった時以外低い点つけることにしてます。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:5)
- ぶっちゃけた話陽太君の寝取り未遂話と現在の史美たんの会話は無理やり繋げた臭かった……あと、会話文が背中の痒さを誘引します。総じてオナニープレイであったと言わざるをえません。媒体が文章でなかったらもっと違った評価が出来たかもしれませんが。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:8)
- この長いタイトルにそんな使い方があったとはー! びっくり8点。
- 17 19140901 (採点:8)
- この企画に出ている作品群の中で「ああ、もっと容量広く取っていればもっと面白かったよなぁ」と思うものがいっぱいあるわけですが、これもそのひとつでした
- 24 結婚適文句 (採点:10)
- すっげぇギャグセンス。序盤から新幹線のように突っ走りつつも、終盤からのラブな徐行運転もそつがない。面白かった。笑った台詞を挙げると指の数が足りない。
- 29 Blind (採点:2)
- まとめ切れていないというか、容量のせいもあるかもしれませんが、ただ単に出来事のダイジェストにセックス観貼り付けただけな感じになってしまっていました。展開も速くて無理があったように思えます。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:7)
- ほのぼの感たっぷりで少し癒されました。でも、マガジンの読みすぎはよくないと思います。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:10)
- 個人的にトップ3候補。エロとラブとSF。つーかすごい。SF設定作りの手間を考えれば、これを16kbに収めるその心意気は素直にすごい。面白かったです。
- 58 飽くなき赤色 (採点:1)
- 残念ながら、つまらなかったです。あまりにもオナニープレイが過ぎ、しかも下手でした。間を空けるたびに性格変わってんじゃないか、ってくらい主人公のキャラが一貫してないし、台詞回しは悪い意味でオサレすぎだし、展開は唐突だし、現実世界を描いてるくせにあまりに現実から離れて、書き手の都合のいいように警察や世間が動いていくのにはうんざりしました。時間を無駄にしたと感じるレベルの作品。なんつーか、もっと頑張れよ! と言いたい。
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:6)
- ぱんつぅ(゜∀゜)ぱんつぅ! 僕は黒派です。
- 61 山小屋語り (採点:1)
- なぜ純愛が嫌いだからこの話を書くのか分かりません。紹介文さえなければ評価が変わったのかもしれませんが、書くからには紹介文であれども手を抜いたり、自分語りに終始せずに面白いモノを書いてほしかった。作品の印象ですら変えてしまう辺り、酷い紹介文であったと言わざるをえません。
- 62 格闘少女 (採点:3)
- 何度恋の話と、お手軽に人が死ぬ話を読んだんだろう。もう正直読むのが疲れたというのもあり、それでも何らかの+αがあれば「面白かった」の賞賛とともに高得点出せたんですが。
- 65 金曜日のつめきり (採点:8)
- お手軽に退廃を演出する小道具(リストカット跡、レイプ、煙草、麻薬等々)を、そのお手軽さゆえに安っぽく感じて、基本的にそれだけで一読したら無駄な時間過ごしたと忘れる事にしてるんですが、たまに、その小道具を使うのに面白い、という話もあるわけで。というわけで面白かったです。
○stein さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:5)
- きれい。
- 02 黒船 (採点:4)
- ネットラジオで音読させてもらいたくなりました(笑・この感想が公表されることにはしてるかもしれません)
やはりこういった形式のものは「話す方が面白い」と思います。
- 03 遵守 (採点:6)
- なるほど!いい話。でも恋人同士が引き裂かれる原因として戦争を持ってこなくてもよかった気もする。とはいってもこの場合戦争じゃなくちゃダメかな。どうでしょう。
- 04 海神の矛 (採点:4)
- むずかしい。用語が。
悪くないけど、私のような海軍やら何やらに興味を持たない人にも読んでもらおうという配慮に欠けているように思う。もうちょっと噛み砕いてほしかったです。
- 05 理屈じゃないこと (採点:4)
- 野暮だとは思いますがなんで別れちゃうのか気になります。
- 06 For tune the rainbow (採点:5)
- ちょっと二人が接近しすぎかなあ、と思いました。狙ってる感じがしてしまう。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:4)
- うえーん、どっかで見たことあるお話ですう……。
あと固有名詞には気を使って欲しい。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:採点なし)
- すいません。いろんな意味で読めませんでした。
- 09 テロリスト長沢 (採点:4)
- 全体的にぬるい感じですー。
でもカッコ悪い「ブバッゥ」という擬音と「思っていたより早くドアが閉まった」というラストはかなりいいと思います。
- 10 いろはの森 (採点:8)
- いい話。完成度高い。世界ができてる。「色葉」とかなるほどと思った。ちゃんとノスタルジックな感じになってる。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:7)
- 青春恋愛系なのに珍しく割と好きです。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:7)
- いいですーーー。雰囲気とかいい。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:3)
- びっくりするようなオチを期待していたのでがっくりしました。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:6)
- タイトルの長さにかなりひきましたがこうやって使うとは。お見事です。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:5)
- タイトル岩井俊二ですか。
- 16 さくら (採点:5)
- 一昔前のビジュアル系の歌みたいな感じがする。
- 17 19140901 (採点:7)
- いい感じ。でもなんかオチの付け方が惜しい。説明的過ぎる。胡涼が舞うシーンはすごく素敵です。
- 18 生命 (採点:5)
- ふむー。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:5)
- 悪くないけどよくもない。惜しい。展開が早いっス。あと透は順応早すぎ。
- 21 雪国 (採点:3)
- え、えー……。よく分からない、です。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:4)
- シリーはかなり好みのタイプのキャラなのですが話の展開がちょっと早すぎると思いました。
シリーの独白の前にもっと、二人が仲良くなる過程を書いて欲しかったです。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:6)
- いい!かわいい。くっつかないのは残念だけどこれはこれでいい。
- 24 結婚適文句 (採点:8)
- 面白い!
最後の一文はマリみてですよね?
- 25 マージアここに在り (採点:5)
- 設定が面白い。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:4)
- 現代版銀河鉄道の夜?
電車の台詞とか面白かったけど、全体としてよく分からなかったです。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:5)
- 意外性を狙ったのだと思いますが狙いすぎというかなんというか。石郷岡さんはかわいかったです。素敵。
- 28 Forest Note (採点:4)
- 途中をはしょりすぎですよ!
- 29 Blind (採点:4)
- 切ない話です。主人公がすごくいい娘なのに幸せになれなくてかわいそう……。
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:4)
- 百合が書きたいだけのように感じてしまいました。
- 31 正義の味方の悩み (採点:5)
- 悪くない。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:5)
- まぁまぁ。
長編向きの設定に感じました。長編というか連載もの。
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:4)
- うえーんすいません私の笑いのツボには入りませんでしたあー。
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:6)
- なんだそりゃーーーーー!!!!
でもいい話でした。アリです。
- 35 西と東、白と黒 (採点:6)
- 西の国の描写がもっと欲しかったです。でもおもしろい。非常に興味深い。
どちらかというと作品自体より作者さんがどうしてこういう題材を選んだのかという少々下世話な方向ばかり気になってしまいます。すいません。
- 36 ソラアイ (採点:5)
- 紹介文から博愛主義者の話かと思いました。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:8)
- 最初難しそうな言葉ばかり出てきてすごく読むのが辛いと思いましたがどういう話なのか分かってから俄然面白くなりました。確かに下品ですが、ある意味ほんと『ほしのこえ』超えてると思います(笑)
オチも上手いです。そうかー、おじいさんになっちゃったからかー。
- 38 山田仁の行き先 (採点:4)
- シックスセンス……。そつのないお話でした。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:6)
- 面白かったけど腐女子的には全然萌えませんでした(笑)
個人的に、BLには禁じられた恋への葛藤を求めるので……。
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:5)
- 紹介文で期待したほどオチにビックリしませんでしたが、「恋した日のことを共心して貰う」というのは素敵なアイデアだと思いました。
- 41 No River to Cross (採点:8)
- 上手い。かっこいい。このiPod欲しい。
家にひきこもってるだけじゃ書けない小説だと思いました。単純にヒコーキに惑わされてるだけかもしれませんが。
ジョンFケネディ空港とかじゃなくてシャルルドゴール空港なところも個人的にポイント高いです(オマージュだからなのかもしれませんが、春樹読んだことないんで分からないです)。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:4)
- 「それは今になってみても分からない」と独白している「今」って一体いつなんでしょう。
最後まとめに入って「明日からは素顔の俺で勝負したい」って言っててそれはいいんですが弟の問題は解決していないような……。
あともっと改行した方が読みやすくなると思います。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:7)
- いい話。
- 45 おかえり (採点:6)
- 百合!百合!!
すいません。
よかったです。でももしかしてボールドタグ使い間違いですか?
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:3)
- あんまり面白くなかったです。
- 47 ポテト (採点:4)
- 綾波!しかもとってつけたようにエイズ!唐突に感じました。
- 48 タクシー (採点:3)
- 最後の文で「インド人を右に」を思い出しました。どうでもよくてすいません。
- 49 バレンタイン事変 (採点:5)
- やや荒唐無稽な設定にヒきましたが、でも面白かったです。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:5)
- すごく優しい雰囲気のするお話でした。
- 51 夏の風 (採点:3)
- けだるい雰囲気(だけ)は好きです。
- 52 豚 (採点:7)
- かなり秀逸。パワーがある。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:6)
- かっこいい。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:6)
- よく分からないけど結構好きです。でも固有名詞の使い方が鼻につく。
- 55 饗宴 (採点:7)
- ぱっと見滅茶苦茶ヒいたけどちゃんと読んだら面白かったです。
はちみつの匂いが漂ってきそうな濃密な文章だと思いました。
- 56 Show must go on. (採点:7)
- 上手い。帯上手い。いい話。
- 57 エース (採点:5)
- 専門用語いきなり使われるとつらいっス。
- 58 飽くなき赤色 (採点:3)
- 自分の作品に酔ってる感じがします。
- 59 Day after tomorrow (採点:5)
- え、何、死んじゃったんですか?
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:5)
- 面白い題材を選んできたと思うがお話はあまり面白くなかったです。
- 61 山小屋語り (採点:5)
- 雰囲気はかなり好きなのですがオチがよく分からなかった……です。あとでチャットで説明されて分かりましたが。
- 62 格闘少女 (採点:5)
- あんまり格闘関係ないですね(笑)比喩としては面白いけど。惜しい。
- 64 ブランコ (採点:3)
- こ、これで終わりっスか?
- 65 金曜日のつめきり (採点:7)
- いいですねえ。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:7)
- 凄く好みのタイプの舞台設定と語り口ですがかなり唐突に酷く悲しいオチ。そんなあ。
- 67 世界一の小説 (採点:2)
- 面白くなかったです。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:4)
- あんまり抵抗なく乱交するなあ……と眉をひそめつつもオチには笑いました。
- 70 アリス (採点:6)
- かわいいけど私が面白いと思うタイプのお話ではありませんでした。でもファックミーのメールは最高。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:5)
- よく考え付くなあ、と思いました。かなり興味深い。
- 72 月時雨 (採点:6)
- 綺麗。
- 73 14文字の涙 (採点:6)
- よかった。
- 74 魔女の岬 (採点:5)
- いい話。
- 75 夜の夜 (採点:7)
- 面白い。
ヤニ吸うおばあちゃんがかっけえ。
- 76 Another (採点:2)
- 「生まれた時からの知り合い」って表現は無理ありすぎ。
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:2)
- 結局幸せそうで何よりですが全然面白くもなんともなかったです。
- 79 奥の細道 (採点:10)
- 大変好みのタイプのお話でした。
○toto さん
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:8)
- キャラが良いし(ヒロインが委員長キャラってもうそれしかないって感じ、あとエミ先生に萌えた)、小道具良いし(コクドーに萌えた)、小ネタ良いし(ゼンゴロシ)。
そして舞台が良いです。もうこの舞台だけでおなかいっぱい。
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:6)
- 良く纏まっていていい感じ。あくまでベタを地で行く展開が好みです。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:3)
- 化学ネタがよくわかりませんでした。バカですみません(笑)。
あと、BLがややとってつけたような感じに見える。
○GYA さん
- 24 結婚適文句 (採点:7)
- 散々笑わせて、最後に綺麗にまとめたのは見事でした。面白かったです。
- 25 マージアここに在り (採点:8)
- 手堅く、完成度の高い作品だったと思います。良かったです。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:3)
- 読んでいて良く分からなかったというのが素直な感想です。単に僕の読解力が低いのかもしれませんが、背景が全く見えてこなかったです。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:7)
- 最後まで気持ちよく楽しく読めました。面白かったです。
- 41 No River to Cross (採点:7)
- 良い空気でした。大好き。読み心地が良かったです。
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:4)
- 足りない、ですね。書ききれていず、最後の方が良く分かりませんでした。情報不足だったように思えます。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:9)
- 文章が凄く滑らかで魅力的でした。この文章力だけでも読む価値があったと思います。とても良かったです。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:9)
- タイトルがよう分からなかったですが、何か好きです。文章もとても好みでした。センスの光る、良い作品でした。
- 65 金曜日のつめきり (採点:9)
- 話の雰囲気がとても好きです。気だるくて、力が抜けていて良い感じ。面白かったです。
- 79 奥の細道 (採点:10)
- 最初は変な感じがしましたが、途中から読んでいるうちに雰囲気にあてられて鳥肌が立ってきました。
素晴らしかったです。
○あおき哲夫 さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:6)
- 綺麗にまとまっています。読むのに引っ掛かりを覚えさせず、平易な言葉で書いていくというのはなかなか難しいんですが、うまく書き込みましたね。言葉の端々からいろんなものを連想させることで深みを引き出していますし、創世の物語を多く読んでいる読者の方がより楽しめるんじゃないでしょうか。
反面、難点になっているのが世界観そのものです。あらゆるところから描写を借りてきているような物語なので、純粋なオリジナリティに欠けます。後日、あんな作品があったな、と思い出されることはないでしょう。
- 02 黒船 (採点:5)
- ご定番のご隠居、八つぁん、熊さんの流れですが「ペルリ」と「ぺろり」って、少しは捻りなさい。捻りなさい。
- 03 遵守 (採点:4)
- 中途半端にいいひとなんて描写はしなくても良かったんじゃないか。「悪人には違いない。でもどこか憎めない」という人物にしておけば最後の台詞がもっと生きてきたと思う。「笑ゥせぇるすまん」みたいな感じだろうか。心底、悪人であれば、最後に見せる良心(と言うか否か)がより輝いて見えたりする。もちろん皮肉を忘れないのが大切ではある。
- 04 海神の矛 (採点:6)
- 壮大な愚挙の始まりか、それとも世界の終わりか。長大な物語の一部分を切り取って――はたして読者は楽しめるのか。嫌いじゃないんですよね。いろいろと想像するのは好きですし。一士官の視点ですから物語り上、真実を知ることも出来ないわけですしね。
とはいえ果たしてこれを短編として済ませて良いものかどうか疑問は残ります。作者は良しとしたんでしょうが、その独善を読者は好んで消化してはくれないでしょう。文章それ自体に文句はありません。
- 05 理屈じゃないこと (採点:3)
- 理屈はなくてもいいですけど、別れる理由か動機ぐらいは描写してもいいんじゃないでしょうか。なにもないんですよね。付き合うに至ったところもかなり曖昧でしたが、それ以上になんで別れるに至ったのかがちっともわからない。一緒にいると居心地が良すぎて駄目になる、とか(ありがちだね)抽象的なものでも構わないのでなにか欲しかった。確かに核心を描写しないというのはひとつの方法ではあるのですが、この作品では有効に作用しているとはとてもいえません。
- 06 For tune the rainbow (採点:3)
- 良い物語とはただ安易に言葉を重ねれば出来上がるものではないです。ピースを重ねればそれらしいものは出来上がるかもしれませんが、読者は騙されません。冒頭の一文を読んだだけでこの作品は低評価になるだろうと予想しました。あきらかに文章として変でしたから。
また紹介状を頂いたというピース。これを巧く使えたなら心臓の病という隠されていたピースをより効果的に見せられたはずです。お兄さまが「私」を選んだ理由にも使えるし、「私」というキャラクターに深みもでるでしょう。それになにより物語の伏線になる。設定の話ですが考えてみてください。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:2)
- どうしてもループする話が書きたかった。そのためには物語に齟齬ができても、唐突さがあらわれてもやむを得ない。ループするのが大事だから。――などと思いながら書き上げたりしたのでしょうか。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:6)
- 視点が多くなると真実なり事実なりがわからなくなる――という物語手法への遠回しな批判だったりするんでしょうか。宮部みゆきは好きだけど話が長いから嫌だ、みたいなレベルの(笑)
読むひとによって解釈が違うんでしょう。過剰と付けたタイトルもダブルニーミング的で面白い。
ただし現時点では興味深くはありますが楽しみは損なわれていると思いますね。
- 09 テロリスト長沢 (採点:1)
- モヤモヤとしますね。ダウナーですね。自爆乙。
釣られて言うなら、もっと面白いの書いてよ、と言いたいです。
- 10 いろはの森 (採点:9)
- 巧いですね。技術的には申し分ないです。ただ読みやすさを優先したからでしょうか方言(もどき)をもう少し使っちゃっても良いと思います。冒頭での会話の雰囲気が一番お話に合っていましたね。
(帯を読みました)近未来なんですか、これ?
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:6)
- 若干、表記の揺れ(もうちょっと形容詞を減らすか、文節を改めるほうがいいと思います)が気になったのと、どちらの台詞か分かり難い部分が散見されたのが残念です。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:7)
- テンポの良い地の文に比べて会話の一部がぎこちない。キャラの作り込みが甘いかも。「納得こそ前進」の使い方がささやかながら良い感じ。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:3)
- >ただ、自分が正しいと思うことをしなさい。
結局、これが書きたかっただけじゃない。ちゃんと段階を踏まえていた前半はそれなりに興味を持って読み進められたが、保健室以降は急降下。なんも考えてないよねこのオチはさ。綺麗な言葉って楽だよね。言うだけなら。
期待した部分があっただけに評価にマイナス補正が掛かりました。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:5)
- 長々と続いた「夢」についての蘊蓄ですが。効果はそれなりに認めますが、もうちょいスマートに出来なかったのかな。結局のところ一人にしか取り憑いてないのに種族がどうとか、絶滅とか、お前それホントかよ、という気分になったわけです。種明かしの方法としては良くない部類なんじゃないのかな。
むしろ自分が夢魔だと思いこんでしまったエピソードが必要だったんじゃないだろうか。自分が事故に遭ってしまった場面を繰り返し繰り返し確認してしまうとか。それを見ることで彼女が弱っていくとか。まあサイズが足らないかもしれないな。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:5)
- タイトルは「真下」じゃないの?
話題沸騰中の「涼宮ハルヒ」を彷彿とさせるドタバタストーリィなんてのを狙ったのかしらん。手堅くまとめてるので悪くはないんですが、オリジナリティは皆無なので記憶に残ることはないでしょう。そもそも決定的にエピソード不足だよな。題材的に。
- 16 さくら (採点:6)
- 首つりじゃなくて生き埋めの方がもっと恐怖感を味わえるんじゃないか。「僕」が傍観者に過ぎるから怖さはほとんどない。「僕」が結婚して娘が生まれて、十年後くらいにその娘が桜の下で、となるなんてどうでしょう。ベタなんですがね。
- 17 19140901 (採点:8)
- 滅び行くものの美しさ。そして失われたものは美化されて残される。だがその記憶もまたやがて風化していき、失われる。目の付け所はよかった。だからというわけではないが安易すぎる結末には一考を求めたい。所詮は他者なのだ
- 18 生命 (採点:6)
- 友人が流産したとき、あるはずのものがない、という虚無感に襲われたと聞きました。言語化するとこの作品のようだったのかもしれません。心に空いた穴というのはなにものでも埋まるものではないですが、次の命というものが蓋はしてくれるのかもしれませんね。
ただタイトルをいくつも置くという試みはあまり成功しているようには思えませんでした。せめてふたつにしておけば意味あるように見えたのにな。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:5)
- 正体が母親だったりするわけじゃないのか。伏線ぽい言葉があったのでそう予想していたのだが。このオチならコメディのままのノリで押し通しても良かった気がする。
- 20 今日見る明日 (採点:3)
- 若いなぁ。作品も作者も。今後も創作を続けていくのなら作品事に目的を持った方が良いでしょう。自分にしかコレは書けない。そんな作品が読みたいですね。
- 21 雪国 (採点:7)
- >白鳥のように美しい啼き声を響かせて、列車はゆっくりと動き出した。
川端康成はともかくとして、回りくどいのか直接的なのか、よくわからない作品でしたね。好き嫌いが別れそう。暗喩って難しいですね。滅多に鳴かないと言われる白鳥。そして白鳥が鳴くのは生命の火が燃え尽きる直前だけだと聞きます。その駅で降りていった老人。乗り込んできた母娘。想像すると切なくなる。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:2)
- これなんてエロゲ?
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:5)
- 前半のたどたどしさはテンパってる表現でしょうか。後半部分は滑らかな記述になってるのでそのように書いたようにみえました。違うのでしたらもっと推敲しなさいと言うところですが。再読しました。推敲不足です。明らかに流れを阻害しています。誤字脱字も多すぎます。反省を求めたい。
話の流れ自体は悪くないと思います。悪くはないですが良くもない。そういうことあるよね、と共感はもらえるかもしれませんが、それで終わりです。世に数多ある失恋話のひとつ。それだけでいいのでしょうか。その先に踏み込むのが創作なんじゃないでしょうか。少しばかり高い要求をあなたには求めます。
- 24 結婚適文句 (採点:7)
- ひとこと。アホすぎる。
- 25 マージアここに在り (採点:6)
- 地球外生命体とのコミュニケーションというのは向こうから来るばかりなんでしょうかね。エドもマージアに取り込まれて、過去に飲み込まれたひとたちがどうなっていたか、というところを見てみたかったかも。もしくはエドの恋人あたりが飲み込まれて、彼女の形をした誰かがかえってきた、とか。飲み込まれた子供が成長して戻ってきた、とか。SFなんだから想像力をもっと働かせてもいいと思います。不思議な女、だけでは駄目ですよ。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:5)
- キリスト以降がどうしてこんなにも不親切なのか。いまひとつその理由がわからない。そもそもマゾと死にたがりって両立するのか?
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:2)
- 面白いとは思わなかったですね。この手の作品では致命的でしょう。
- 29 Blind (採点:4)
- もうちょっと台詞に気を遣って欲しいと思う。この手のお話だと「センチメントの季節@榎本ナリコ」あたりが思い浮かびますね。心と身体の乖離ですが最終的に別れるという選択肢を選ばせなくてもいいかな。あんまり潔すぎてかえって不自然でした。女の子はもっと強かですよ。
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:5)
- まずネーミングセンスをなんとかして頂きたい。無理に結びつけようと考えるものだからかえって不自然なものになる典型ですね。物語の方も目新しさがない。自らの潔癖性が相手を死にやるようなお話なら良かったかもしれません。本多孝好とか好きなんでしょうか。
- 31 正義の味方の悩み (採点:6)
- 谷川流が巧いのは記号の援用とその行動が一致している点です。そして普通を普通と思わせないこと。実は一番簡単なことが一番難しいのです。短い物語では記号にしろ設定にしろ人物にしろ言葉にしろ、どのように援用できるかが鍵であるように思います。北条万里というキャラクターを男性にしてみたら物語の欠陥が見えてくるかもしれません。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:8)
- 楽しそうでいいね。その路線を極めればいいんじゃないでしょうか。需要はありそう。
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:5)
- 変に色目を使わないのは良しとしたいです。そーゆーものとして読めばいいんですが、シチュエーションで笑わせるのって難しいと思いますよ。
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:3)
- 都合の良い能力そのものが伏線だったのか。なんて感心すると思いました?
物語に虚構を加えるのは構いません。「能力」だけならそんな設定なのだと飲み込むことが出来ます。そう書いてあったから。そうしないと物語が始まりそうにないから。書くべき所と書かなくても良いところの峻別さえ出来ていない文章ですが、読むのには支障はありませんでした。
「能力」だけならばともかく科学技術が現在よりはるかに発展した世界というわけじゃないようなのに「アンドロイド」なんてものが突然出てくる。唖然としましたね。死んだふりしてた方がなんぼかマシに思えます。
物語を書くには最低限のルールというものがあります。それは読者に必要な情報を与えると言うことです。物語を理解する為の最低限の情報。そのルールに則って書かない物語は物語としての体をなしません。単なる文字の羅列です。世界観の説明がない以上、現代とほぼ同じぐらいの世界だと読者は考えます。虚構として「能力」なんてものが主人公にある。そこまではいいです。心がないという彼の謎。主人公はその理由を探らなければいけなかった。その課程で積み重ねられる情報を元に主人公と共に読者も考える。作者はここでアンドロイドが存在してもおかしくないという伏線を作り上げる必要があった。虚構に虚構を重ねるのはタブーの極みですが、そんな物語を考えた作者が悪い。根本的に破たんしても不思議じゃない物語でしたね。
- 35 西と東、白と黒 (採点:7)
- なかなか面白げです。住めば都というところでしょうか。餓死者多数というくだりがいまひとつ腑に落ちませんでした。設定の煮詰めの甘さだと思います。西にも優位点をつくって、どっちもお互いの国に優越感を持っている、としたほうがよかったかもしれませんね。
- 36 ソラアイ (採点:4)
- もう少し現実に根ざした設定にした方がいいんじゃないかな。舞台に特殊な設定も伺えないので。貧乏なのを強調するにしてもやりようがあると思う。気になって物語どころではなかった。現代日本じゃない舞台にすれば良かったのに。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:9)
- 「糖タンパク4ml」で一番に思い浮かんだのがそれでした。そのまんまだった。なんというか高度な科学技術の本当の使い方を見せられた気分。素人だからこそ書ける創作作品でしょう。褒めています。
- 38 山田仁の行き先 (採点:3)
- まさか論語が出てくるとは思わなかった。それ以外の感想は持ち合わせなかった。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:4)
- アホですな。
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:2)
- 焦って書き上げたんでしょうか。締め切りに間に合わせる為に。読みにくい文章には眩暈がしました。誤字脱字もですが、根本的な文章技術に欠陥がありそうです。残念ながら内容以前の問題ですね。
- 41 No River to Cross (採点:7)
- 音楽の素養がないのと、iPodを使ったことがないのでいまひとつピンときませんが、悪くない作品だと思います。面白いかと聞かれたら微妙と答えますが。解り合えるっていうのは幻想の言葉かもしれませんね。
- 42 焚火 (採点:1)
- 出直してきなさい。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:1)
- たぶん評価なんて必要ないよね。それでいいんじゃない。道はいくつもあるから。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:9)
- アインシュタイン音頭大人気。
感想? ないよそんなの。
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:7)
- 最後に誤字はないだろう。
- 47 ポテト (採点:6)
- エイズでもキスぐらいできる、なんて賢しげに書いているひとがいたら笑ってあげて。
実のところ友人にひとり同じような境遇の子がいます。男性なんだけど、彼が知ったのは子供が出来てからでした。薬害エイズは恐らく一般の人が思っている以上に重大な問題です。
ただまあ学校に忍び込むとか、いくらなんでも飛躍しすぎ。雪の結晶とか、時期的にも?だし、プレパラートにそのまま? 歯科衛生士という職業にしたことも?
物語の綺麗さを優先したのかもしれないけれど、単純に設定を練り切れていないだけにしか見えなかった。雰囲気は上々だったんですがね。
- 49 バレンタイン事変 (採点:6)
- 学校、バレンタイン、女の子。テンプレの塊ですが、さすがにレバーのゼラチン寄せコーヒーパウダーは想像しただけで青くなるね。
一定のレベルは超えてると思いますが、それだけですね。きっと明日には内容を忘れているでしょう。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:8)
- いいですね。言葉というものは現実に存在しないものを創造できる。作者はひとりひとりが創造主であることを自覚すべきだと思います。生み出した世界に対して責任があるはずですから。作品を疎かにしちゃいけません。妥協もまた。
- 52 豚 (採点:5)
- 最後が駆け足すぎかな。狂っている、とするにしてもそのまま素直に書かなくてもいいんじゃないかと思う。そのあたりが技術の差かな。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:6)
- 作品単体として見れば悪い作品じゃないです。文章も十分に合格点です。ですけど読んで少しも心を動かされません。それは興味であったり、面白さであったり、切なさだったり。きっと明日には内容を覚えていないでしょう。もっと高いところを目指してください。
- 55 饗宴 (採点:8)
- 好きなひとは好きなんだろうな。こんなの。私も嫌いじゃないです。過剰な形容詞がいかにも素人っぽいところとか。それだけに気合い入れて書いたであろうところとか。好きなように書くってのが一番だと思いましたね。これでこそ創作という心意気が気に入りました。
- 56 Show must go on. (採点:4)
- あんまりあからさまな伏線を引かれると先が読めちゃってつまんないです。伏線には必ずふたつ以上の意味を持たせなければいけません。冒頭の進が驚いたところは「達也の顔が変わっていない、又は、変わっててわからなかった」だから驚いたんだとミスリードできた。ここは巧く張っているといっていいでしょう。逆に駄目なのは足りなかったグラスのところです。四つ頼んで三つしか来なかった。ここが明らかすぎて駄目でした。フォローも逆に目立ってしまっています。一考してください。この手の作品はネタがばれたら評価はどうしても下がってしまいます。
- 58 飽くなき赤色 (採点:1)
- 受け付けないんですよ。厨臭って。
- 63 未来視の見る夢 (採点:8)
- また微妙な球を放ってきたね。
全世界的規模の風呂敷を拡げながら包んだのは個の惜別。あるいはこれもセカイ系というのかな。キャラクターに命を吹き込む技術は一級品ですが、あざといともいえる。エピソードを重ねられないのだから仕方ないとは思うけど。話の流れにも言えることですが規定してから逸脱を許さないというのは割合と肩の凝ることなのです。読む方にとって。
いやそれにしてもパターンの一形態とはいえ引き出しが多いね。
- 64 ブランコ (採点:4)
- なんだか間に合わせに書きましたという感じが拭えないんですが。
参加することに意義があったんでしょうかね。文章はまあ可とします。あとは物語ですね。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:7)
- 隙のない作品に仕上がっていると思います。タイトルは一考の余地がありそうですね。
ただやはりこんぺで多いタイプのお話ですよね。ちょっとノスタルジーで切なくさせて。それだけではやっぱり埋もれますよ。
- 72 月時雨 (採点:6)
- もしかして近親殺しの物語だったのかな。深読みかもと思いたいが。
義足という設定はあんまり必要を感じない。「足が悪いんですか?」なんて普通は面と向かって聞けないぞ。助け起こしてから聞くとかやりようもあるだろうに。設定は要領よく使ってもらいたい。海にまで追いかけてくるとか、ちょっと考えたら薄気味悪いひとでしかありません。
- 75 夜の夜 (採点:7)
- あんまりネガティブじゃないところがいいですね。死の影なんていうパーツを組み入れているのに物語を下手にしないのは流石だと思います。中学生という設定もちゃんと物語の寄与していてしっかりと練り込まれている。
優しくするだけが「優しさ」じゃないですよね。
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:3)
- 物語というものはそれ自体で完結しているものは少なくて、概ね長い長い物語(主人公がいるならばその人生)の断片を切り出して記す場合がほとんどといってもいいでしょう。つまるところ読者というのは(作者が考えた)彼らの人生におけるほんの一部分を垣間見ているに過ぎないわけです。作者は好きな場面場面を切り出して小説にしますが、読者は見たい読みたいという部分を主体的に選ぶことは出来ず受け止めることしかできません。しかも見せ方というのは作者の腕によって良くも悪くもなるわけで、それがどのようなお話であれ与えられるまま読むしかない。
ふたりの馴れ初めはたぶん物語的に必須でしょう。例えば一文で事足りるとしても書くことは避けられない。始まりを書かずして終わりは書けないから。しかしそれは大事ではあってもあくまで始まりでしかないはずです。たしかに出逢いを綺麗に描いてみるというのは悪くはないです。ふたりのすれ違う思いを切々と歌い上げるのもいいでしょう。ですがそれだけを読まされる読者はどう思うのでしょうか。読者が期待することとはなんでしょうか。
私はこの作品をひとことで現すならば「浪費」と呼ぶでしょう。「物語の浪費」と。
- 79 奥の細道 (採点:2)
- INCESTのお話でしょうかね。ちょっとスルーします。
○えむけーつー さん
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:6)
- オチは途中でわかりました。
お話としてはきっちりまとまっていると思います。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:9)
- 具体的にこのお話のなかでなにが起こっているのか、つまりなにがどうなっているのか、またタイトルはどういう意味があるのか、私にはわかりません。おそらく必要な情報は提示されていると思いますが、一読してわからなかったので、それきりです。
とはいえ、思わず冒頭に戻って読み返したくなる、微妙にちりばめられた要素の数々。そしてべらぼうな文章力。これはすごいですね。描写のブレのなさといい、的確なセンテンスの長さといい、ときどき意図的に崩れるリズムといい、これは完成されています。その意図的な崩れが「おっ?」と読む人に思わせて、注意力を喚起する、という効果もあると思います。これだけの完成度があれば、満点以外つける点数はありません。ただし、一般性という観点から考えると叙述方法に疑問は残りますので、マイナス一点です。
もっとも、商業作家でない以上、大衆性なんて考慮に入れても意味はなく、このマイナス一点は基本的に無意味で、私の個人的な価値観の反映ということもできます。
- 09 テロリスト長沢 (採点:9)
- なんだろう、この……何?
結論からいってしまえば、非常におもしろいです。
いってみれば、非常に気分の悪い世界観です。大多数の人が似たような感じを抱くとは思うのです。ただ不思議なことに、描写が非常に乾いています。一人称であり、だれにも愛される可能性のないような歪んだ世界観を抱く主人公でありながら、叙述は完全に客観的です。そこのところに諧謔としか呼べないようなものが発生していて、なぜか主人公に好感がもてるとまではいいませんが、とにかく拒絶感は抱けません。目的とする行動のアホらしさも一役買っているでしょう。
また文章がうまいです。書き慣れている印象ですし、一人語りに近い内容なのに、意外にも状況説明が簡潔で理解しやすいです。
とにかく内容や文章、いろんな部分を含めて、オリジナリティという点では今回トップレベルにあるものと思います。満点をつけなかった理由は、この作品の出来のよさが、作者本来の実力ではなくて、たまたま題材のよさを得た偶発的なものである可能性を否定しきれないからです。
以下個人的な感想。
しかし「ブバッゥ」は、腹の底から爆笑しました。オチのキレも最高です。もう大好き。たまんねえ。
- 10 いろはの森 (採点:10)
- ああ、これはすごい。このきらびやかな文章表現の手数。文章そのものは、完全に素人の域をブチ抜けています。このよどみない描写。すごいなこれは。素人でここまで文章を自分の制御下に置いている人もそうは多くないでしょう。
作品の大きな背景は説明されていませんが、万事にわたって抜かりなく構築された美しさの前には、必要ないものかもしれません。個人的にはそうした作品世界の背景をきっちり説明してほしかった気はしますが、その代償として、この端然としたたたずまいが失われる可能性が高いと考えると、野暮というものでしょう。
ストーリー自体はベタですが、些細なことです。
参考になる感想を書けなくて申し訳ないですが、この作品はこれで完成形と考えます。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:8)
- 良質です。ふつうこの手の「なんとなく」なタイプのお話は、本当になんとなくで終わってしまうことが多いわけで、そこのところを、細かいエピソードをきちんとつないで丁寧に描写していることに好感が持てました。
下から読んで、現在ここですが、女の子がはっきり「かわいい」と思えたのは、これで二作品目です。それだけキャラクター像が作者の方のなかでしっかりしていて、それが読む人に伝わったということでしょう。語り手である陽太もしっかりと作られていると思います。
これで、放課後の教室に二人きり、という微妙な雰囲気をもう少し強めに描写してくれたらな、と思いました。もっとも個人的な願望かもしれませんが。
以下個人的な希望。できればもう少し長い話で、よりキャラクターを明確にする方向で書き直していただけたらな、と思います。できれば二人をくっつける方向で。うん。すごく好きです。この作品。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:9)
- ああ、これは上手です。
やはり語るべき題材を持っている人は強い。
この作品においては、フィクションという嘘が、きちんとした虚構に昇華しているように思います。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:7)
- ああ、これはスマートで上手ですね。一人称の唐突な変更による違和感をよく生かしていると思います。発想もいいですし、落ちるところにちゃんと話が落ちているのも好感をもてます。保健の先生ものわかりよすぎ、という気はちょっとだけしました。
文章はよくこなれていて上手だと思います。流暢ですし、長さも適度で読みやすい。リズム感よく読めます。
ただ、それ以上の感想をもてるか、というとこれが微妙なところで。具体的に「俺」のせいで問題が起こって、しかし「僕」自身の力で解決する、みたいな山場があればもう少し読後の感想というものも持ちやすかったのだと思います。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:4)
- これは読み切るのに精神力を消耗しました。エピソードをベースにしてお話を展開できなかったものでしょうか。百の説明を費やすよりも、実際に主人公の「僕」が他人の夢を操作している場面を描写したほうが、ナイトメアというのがどういう存在であるのかは伝わりやすいと思いました。
以下は保守的な小説好きの人間の個人的見解ですが、お話の主人公は「人間」であるほうが共感は得やすいと考えます。人間の行動に即して描写がなされたほうが、だいたいの人間は理解しやすいと思うのです。また「ナイトメア」という存在の説明であるにしても、前半の文章はわかりにくいと感じました。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:7)
- お話としてはわりときれいなかたちを保持していると思います。ストーリー展開そのものは納得のいくものです。ただ、説明がくどいように感じられました。また、読みやすさということを重視するのであれば、センテンスは長すぎるように思います。少なくとも、むりやり一文で回すことないのにな、という印象が、特に冒頭部分に感じられました。もっとも文章そのものはかなり上手だと思いますが。
あと、二宮のキャラクターにリアリティがありません。少なくとも、今回の学園祭に限って大暴れしなかった理由はよくわかりません。読んでる最中「この根性持ってる人間だったら、おとなしく引っ込むはずがないだろうに」とずっと引っかかってました。最後の最後にどでかいことカマすつもりを最初から持っていた、というのならまだわかるのですが。
あと、たぶん、主人公語りすぎ。
全体的にはソツなくまとまった作品だと思います。
- 16 さくら (採点:8)
- 桜の美しさを表現するのに、グロテスクな描写を利用する手もありましたね。気がつきませんでした。ぞわぞわするような快楽を感じながら読みました。
ただこれ、足りてないですね。グロの要素は別にいいと思うんですが、エロ分が足りない。これ以上はコンペの制約上、どうにもならないというのは承知のうえで。もっと残虐で、どうにもならないくらい醜悪で、血液や粘液や、肉体を満たす生ぬるいものすべてを吸い上げて、今日も桜は禍々しい緋色を振りまく、みたいな。
個人的に好きなので、ちょっと語ってしまいました。失礼。
- 17 19140901 (採点:7)
- ぐあっ。オチないほうがよかった。一気にダジャレになっちゃいました。かといって代案が提案できるわけでもなく、ないものねだりなんでしょうけれど。要するに、説得力のあるオチをきっちり提示できたとしたら、この作品は相当のものになった、ということなんでしょう。そう簡単に思いつくものでもないから、この種の作品は難しいのでしょうが。
文章はまったく危なげないです。ただ「美しいもの」に対する解釈がやや通俗的(この場合、たとえ演出であろうとも、だれも理解できないようなもっともらしいだけの超理論とかで乗り切ったほうがよかったように思います)であったり、「思想」というものに対する解釈が浅薄に感じられたりしました。ふつうに考えて「思想」というものは、現実に対する体系的な解釈である以上、その発生からして曖昧なものではありえません。重箱の隅をつつくような指摘で申し訳ないんですが、題材が題材だけにどういう手段を使ってでもこの種の「ありきたり」な感じは避けなければならないところだったと思われます。
- 18 生命 (採点:8)
- えーと。マタニティブルー? 知りもしないでしないでとりあえず言ってみました。
個人的にはタイトルをこういうかたちで差し挟むような細工はあまり好きではありません。そんなことをしなくても文章だけでどこまでもやれる方なはずです。
文体は統一したほうがよかったように思います。冒頭だけが比較的整った文体であることの意味がわかりません。ほかが思い切りぶっ壊れていて、そのことが読む人にある種の快楽を生み出すようなタイプの文章ですから、全編それで通したほうが効果は大きかったように思います。
「死んだもの」「生命」「死にたい」などのイメージはうまく機能していると思います。全体として盛り上がってくる「生命」に対する異物感は悪くないです。
しかしべらぼうな文章力ですね。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:8)
- あー、これは調理のしかたが微妙。
お話としては完全に成立してます。それもかなりのレベルで。ストーリーがきちんと主人公にとって意味のある流れになっています。ただ、細かい部分での説得力がいろいろと欠けているため、全体として感情移入しにくくなっています。
まず、メリエルのキャラがラノベっぽいノリなのに地の文が説明的すぎること。状況描写は最低限に、会話主体で進めたほうがよかったでしょう。
あとは透がメルを好きになることに関して、少々唐突な印象があるかと。もちろん地の文ではきっちり「偶然」と説明されているし、それはそれで納得できるんですが、地の文で説明されてしまうと印象が薄くなります。
てゆうかこれ、透の一人称のほうがよかったんじゃないかという気がします。
あと「結果論」ってこういう使いかたする言葉だったっけ……?
実に惜しいです。うまくすれば読んでる人を泣かすことができるくらいには、読んでる人の心に届くお話になっていたと思います。
- 20 今日見る明日 (採点:6)
- あー、弱いんだよなあ、こういう話。
客観的に評価するのならば、お話としては成立していないと思います。青空、自転車、疾走感などの要素も使い古されていると思います。あえてそれを使ってまで書きたいだけの特殊ななにかがこの作品にあるとは思えません。しかし、通り一遍ではあるものの、日常のなかの切り取られたたいせつな一瞬を、実に素直に表現できているし、また、読む人にもそれは伝わると思います。
とはいえ、主観を抜けば点数としてはこれくらいになりますが。
あー、でもなあ。好きだなあこういうの。もう一押しされたら泣いちゃいそうですよ。
- 21 雪国 (採点:6)
- 文章はわかりやすいです。作品がなにがしかの比喩を形成していることもわかりますし、わりと伝わりやすい性質のものでしょう。ただ、これ、オチてませんよね。「何かいけなかったというのだ」「あなたが列車に乗っていることそのものが」「しかし列車に乗ったのは私の意志だ」「それは本当にあなたの意志なのか。そうであるならば、何がいけなかったのか人に聞くべきではない。選択したのはあなただ」という感じで無限に続けられます。
着想そのものが安易であった気がします。点数は、文章と内容のわかりやすさを評価しました。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:4)
- 先に個人的な感想を書いておきましょう。
妄想は好きです。よってこの作品も俺的にはまったくの無問題です。七転八倒もまた妄想を読む楽しみのひとつです。お話のなかで起こっている出来事を読んでいる人に伝える能力という点では、まあ及第点といっていいと思います。それゆえに、より七転八倒できました。
しかし、作品として見た場合、それがそのまま欠点となります。
お話というのは「ここではないどこかで展開されている現実」ですので、お話なりのリアリティを備えているべきだと考えます。以上のことを踏まえたうえで、シリーが直樹を好きになるだけの決定的なエピソードを用意し、もうちょっとエロくして、長めにして書き直してみてください。そして俺がそれを読みたいです(どういう結論だ)。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:4)
- えーと。ラストがいかんです。嫌いは嫌いでかまわないんですけど、オチがついてないのがまずいです。
オレンジレンジやレミオロメンが出てくるあたり、リアルな感じを狙ったのだと思いますが、たぶんですます調は逆効果です。女の子の一人称で進めるのであれば、もう少し情緒過多なくらいでちょうどいいんじゃないでしょうか。一人称である利点は、語り手の心情を違和感なく追えるあたりにあると思うので。
むしろこの内容ならば「実は高瀬のことが好きな遠藤」から見た「高瀬のワケのわからない行動」を描写したほうがよかったように思います。遠藤の一人称で。そのほうか高瀬って女の子が生きたと思います。
- 24 結婚適文句 (採点:8)
- ああ……ギャグのまますっぱりと終わらせてほしかったな……。
前半は非凡だといっておきます。笑いをとる効率が非常にいい。「笑わせる」という一事だけとってみれば、プロのレベルといっていいと思います。もちろん、笑いをとるために必要な簡潔な描写、極端なキャラ立て、すべてが高いレベルでできているという前提も含めてです。
結婚できる、ということそのものは一種の予定調和ですから、最後にオチのようについていればよかったんだと思います。
- 25 マージアここに在り (採点:6)
- 設定が固まっていないようなフシが窺えました。いちばんの問題はそれかなあ。エドって名前でなんで漢字の名前つけるかなあ、とか。オチがまるわかりなのは大した問題ではないと思います。
お話としてはきちんと成立してます。
ただ、この内容であれば、長さはかなり減らしたほうがよかったのではないかと、と思います。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:6)
- もったいない! 今回最大級のもったいないかもしれません。
発想は悪くないんです。どころか、すばらしくいい。猩々蠅から総武線の落差。そして説明もなしに飛び出してくる妄想じみた光景の数々。そして小岩駅に着くも進んでいない時計。
にもかかわらず、この作品に説得力がないのは、そもそも完成させるのにすさまじい力量を必要とするタイプの話だからです。シュールであるのならば、徹底的にシュールに。サドなんか持ち出すんだったら、彼が単なる変態性欲者ではなく、徹底したリベラリストで、徹底して自分のモラルだけに忠実だった破壊的なモラリストであったことくらいは知っておくべきです。シュールであることは、持ち出される素材に対して無責任であっていいことにはなりません。その逆で、シュールであるからこそ、絶対の知識の底支えが必要です。
なまじのお話としての整合性なんて必要ありません。徹底的に奔放に、徹底的に自由に。それでいて隅から隅まで計算ずくで。もしそのように書けたならば、この作品はまちがいなく傑作になっていたと思います。
あまりにもったいないのですげー長文になってしまいました。ご勘弁を。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:6)
- 語り手のキャラが安定してないのが痛いです。発想そのものは悪くないのに。
主人公が非常に常識からかけ離れたキャラなんですが、そういう存在については、それを読者に受け入れさせるための説明が不可欠であると考えます。
あと、この設定だとギャグっぽい展開以外考えられないんですが、中途半端だったと思います。主人公のモノローグは極力削って、そのぶん、主人公の非道さを表現するエピソードが入っていたほうが魅力的だったと思います。
不良たちに襲われるところまで含めて、すべてが主人公の画策であったほうが、話としてはすんなり飲み込めるでしょうね。
- 28 Forest Note (採点:6)
- お話としてはきれいにまとまっていると思います。
この作品の雰囲気に詩情を感じる人もいると思います。
- 29 Blind (採点:8)
- 前半、あまりの恥ずかしさに卒倒しそうになったんですが、後半、いきなりヘビー。前半の描写が非常にリアルで説得力があっただけに、後半の展開が効きましたー。実に気分の悪い説得力がありました。これはページで分割する意味が確かにあったと思います。
お話はすべてハッピーエンドであるべし、と思っている保守的で心の狭い考えかたの私としては、この結末は受け入れがたいですが、残念ながら説得力はありました。受け入れがたい結末を人に受け入れさせる力。強いですね、これは。
技術的な面としては、まだ削れる文章はあったと思います。特に主人公のモノローグ部分は長すぎると感じました。
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:7)
- 通常、この手の閉じきった話は、うまく描写しきれないで破綻する例が多いと思うのですが、適度にエロティックな要素を入れたことで、読ませる力を得たと思います。ややもすると気取っていると思われそうな文体も効果があったように思います。とはいえ、前提なしの同性愛は読む人をとまどわせるでしょうし、作品の持つ雰囲気そのものが、一定の人々に嫌悪感を抱かせることも想像に難くありません。地の文による圧倒的な説明量で読む人に理解させてしまう、というのもひとつの方法だったかもしれません。容量的に可能かどうかはわかりませんけど……。
不満なのはオチ。これしかなかったんでしょうか。
そして以下は個人的な感想。ごめん。これ大好き。なんで謝るか自分。
- 31 正義の味方の悩み (採点:6)
- 笹原のですます調の言葉づかいがちょっと違和感ありました。笹原が奇特な人間なのはわかりますが、読んでいる限り、いちばんわかりやすく奇特なのは言葉づかいであるように感じました。そのへんに一言説明があると印象が変わったのにな、と思いました。
全体的に、作品を「外側」から見ておらず、客観性に欠けるような印象がありました。
この明るい雰囲気は魅力的ですね。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:6)
- 個人的にはまったく波長が合いませんでした。
ただ、この作品を好きな人はけっこういるでしょうね。雰囲気がいい。
由紀はかわいいと思う。
ひとつだけ気になったのが、この手のどちらかといえばコメディタッチの作品で、副詞を漢字にするのは、どうも雰囲気とそぐわないような気がします。
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:9)
- えーと、個人的にこういうノリが大好きなので、客観的な評価ができなくなっているかもしれません。
「だからお前が入れ!」で爆笑しました。
私にはどう考えてもおもしろいとしか思えないので、この際、技術的な評価とかをいっさい考えないで、主観だけで点数つけときます。
とはいえ、この激しくエロゲ/ラノベ気なノリは評価が分かれるだろうなあ。
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:6)
- ああ、悪くない。悪くないのですが……。もったいない。
ほとんど先読みをせずにお話を読む私のような人間にしてみれば、クウの正体がなんであるか、ふつうに気になって読み込んでしまいました。アンドロイドであるというオチも「ああ、なるほどー」とふつうに納得しました。
ラストがこのようなかたちであるのならば、美夜の本質的な孤独というものは、言葉による説明ではなくて、なにか具体的なエピソードとともに語られるべきだったでしょう。ラストが生きてこないのは、美夜のキャラというものが、少なくとも私という読者によって共感されなかったからだといえます。
ストーリーがわりとしっかりしていただけに、このキャラの弱さが残念です。
- 35 西と東、白と黒 (採点:7)
- アイディアが秀逸です。
ただ、もう少し登場人物の視点を重視して描写したほうがよかったと思います。「財政面で厳しい」という俯瞰したような表現は、おそらく西の国の世界観に生きるような人からは出てきにくいように思えるのです。あと西の国の惨状を表現するエピソードとして「学校まで大変な思いをして歩く」というのはやや弱いように思います。
あと、文章がわりと読みづらいです。
にしても「終わったな」は強かった……。印象に残ります。
- 36 ソラアイ (採点:4)
- いちおうお話としてはかろうじて成立しています。しかし、キャラクターの印象がうまくまとめられません。雪美は天然さんのぽやーっとした雰囲気の子に思えますが、そういうタイプの女の子に説明なしに「しおらしい性格というわけでもない」という形容をしてしまうのはどうかと思います。あと、いちおう舞台は現代日本であると仮定した上で書きますが、中学にも行かずに働く、という状況はそう簡単に実現できるものではないと思います。そこのリアリティのなさが最後まで引っかかって、お話に入ることができませんでした。
以下はごく個人的な感想ですが「他にいないんだろ?」はちょっとあんまりだと思った。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:9)
- なんだか無性に生ぐさい気分のする話ですが、これはネタが秀逸です。短編として充分に成立していると思います。SF的設定の部分は、私がアホなのでよくわからないんですが、少なくともこのレベルのアホな読者をうまく騙せるくらいにはそれっぽかったと思います。
本来なら満点かな、と思ったのですが、どことなく全体の流れのスムーズさが足りないような気がしました。もっともその根拠を示せないので、個人的な印象かもしれません。
しかし空間を超えた手コキってすごいな……。
- 38 山田仁の行き先 (採点:4)
- かなり厳しいです。作品として成立しているかどうか微妙なところです。おそらくですが、書いた人の真情が素直に出ているように思うので、読んでいて不快な気分にはなりません。ああ、そういう悩みもあるのだろうな、と素直に納得できます。ただそれでしたら、登場人物が複数いる意味が本質的にはないと思います。
実際、読んでいて各登場人物が、それぞれ固有の考えを持って生きてきたようには思えませんでした。会話として成立していないと思います。それぞれの発言に、人間としての重みが感じられませんでした。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:7)
- これは「化学反応で説得する」というアイディアそのものが秀逸です。ただ、オチとしては主人公がクラリスくんとくっついちゃうと弱いような気がしました。容量の問題もあるでしょうが、主人公がはるかくんをてきとーに言いくるめてゲットしちゃうほうが、話としてはおもしろかったのではないか、と思います。
あと、人によっては話の内容そのものに拒絶反応がある可能性がありますが、そこのところはどうしようもないですね。恋愛は男女で行うことが正常であると見なされがちですから、だれか一人は明確に「俺は男の子にしか興味がない」と断言できる人間を配置しておいたほうが、読む人の抵抗感は減るんじゃないだろうか、と思いました。この作品は、いってみれば「男が男の子を好きで当然」という世界観のもとに成立してますから。そこに対する説明は欲しかった。
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:5)
- まず文章がわかりにくいです。文意を把握するまで何度か読み直さなければならない文章が散見されます。そして圧倒的に説明不足。読む人が、作者とあらかじめ多くの情報を共有していることが前提になっているような印象があります。脳内で完結してるような雰囲気もうかがえる。
とはいえ、お話としてはかろうじて成立しているように思えます。また、この雰囲気が好き、という人は決して少なくないように思います。
- 41 No River to Cross (採点:10)
- うまいです。完成されてます。
感想は、作品を書いた人にとって改善点を提案できなければ意味がないと思っているのですが、これは無理です。改善すべき点を提案できません。
題材も、その生かしかたも、主人公の設定も、すべてがきっちり生かされています。褒め言葉しかない感想って意味ないかもしれませんが、それだけおもしろく読ませてもらったということで。
- 42 焚火 (採点:7)
- 妹スキーの私としては9点くらいつけたいですが。
妹さんがお兄ちゃんのこと大好きだったら19点くらいつけたいですが。
実際のところ、そうした要素を抜きにしているから成立している作品だと思います。暗澹たる小咄としてはきれいに成立していると思います。最後の一文は実に効いています。ただ、小咄であることから一歩が踏み出せていないため、この点数とさせていただきました。もちろん題材に対する自分の嗜好は評価から抜いてあります。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:7)
- な、なんつーかすごいですねこれ。
基本的には文章を書く力量はかなり高い方だとお見受けしました。文章に圧倒的な力があります。ただ、実際は読みやすさを意識したほうがいいんでしょう、たぶん。そうすると今度はこの怒濤のような迫力は演出できなくなりますので、そこで技巧というものが登場する余地があるわけですが。
しかし、文章の統制がとれていません。バランスも悪い。冒頭のカラスが云々などは完全に不要な描写のはずだし、「やっぱりゆいかは良い」なんて笑うところかとすら思いました。前後との脈絡がなさすぎる。しかし、単なる自分語りと紙一重のところにあるはずなのに、不思議と物語としてはきちんと成立しています。
才能のある方だと思います。もし書き慣れていないのであれば、とにかく大量に作品を書いてみてください。必ず、多くの人を納得させられるような作品が書けるはずです。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:8)
- 本来なら7点と思いましたが、この勉強っぷりに畏敬の念を込めてプラス一点です。実際、旧仮名でないことが不自然に感じられるくらいよく再現できていると思います。少なくとも演出効果としては充分です。漢字の使いかたくらいならともかく、セリフの言い回しまで再現するのは並大抵じゃないですね。
採点のポイントは、この凝った文章を評価の対象から完全に外して、なおお話として読む価値があるものかどうか、でした。結論はイエス、です。
ただ、お話全体に、どこか「借り物」のような雰囲気が感じられました。可能性としては「この文章を生かすためにお話を作った」か「思いついたお話がこの時代だったため、文体をこうした」か、どちらかだと思うんですが、読んだ側の印象としては、前者の雰囲気が濃厚でした。
- 45 おかえり (採点:6)
- 個人的には好きな作品だ、と先に明言しておきます。
作品のアイディアも悪くないです。「忘れてしまう」ことをテーマにした作品は多いですが、桜が散ることと絡ませたところが卓見だと思います。冒頭「記憶喪失もの? また難しい題材を…」と思ったのですが、それが桜の木の精のようなものであることがわかり「ああ」となにか納得したような気分になりました。
にもかかわらず6点であるのは、この手の作品は、描写のしかたが非常に難しく、その点で成功しているとは言い難かったからです。この手の改行が多い書きかたは読む人を選びますし、センテンスを短くしないとさまになりませんから、単語の選びかたもシビアになります。その点について、まだ改善の余地はあると判断しました。また、個人的にはキャラクターにリアルさを感じませんでした。
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:4)
- こういうのって言わないほうがいいのかもなんですけど、日本語的にまちがいがいくつかあります。ふだんは気にしないようにしてるんですが、さすがに冒頭から単語の意味をまちがえてるとなると、ちょっと気になります。
また、冒頭しばらく一人称なのか三人称なのかわからなくて混乱しました。
「先輩」の一人称による、かなり距離をとった描写という選択はまちがってないと思うんですが、小倉くんの個性がこの作品から読み取りにくいため、先輩の心情面に重きを置いたのか、小倉くんのことを描写したかったのかが、いまひとつ不明瞭になっています。
あと、どうにも。登場人物に人間としての厚みがありません。いろいろ上滑りしてます。全体的に若さを感じます。
- 47 ポテト (採点:4)
- 難しいところです。やや厳しい感想になると思います。
お話としては、スレスレのところで成立していると思います。展開が唐突だという問題はありますが、そこはさりげなく伏線を前半に張っておくなどの技術でどうにでもなることです。もっともこれは、小説はまずちゃんとした構築物であるべきだ、という主観によるものかもしれません。
前半の過剰なまでに技巧に凝った文体が成功しているとは言い難いです。それは、お話の構造が、別に冒頭が凝った文体であることを要求していないから。また、これだけの比喩的表現を多用するには、やや技術が追いついていないように感じられます。
そしてなにより致命的なのは、これだけ内省的な雰囲気をもった作品にあって、肝心の「人間」というものの内面が把握できていないように思われることです。お話としての「リアル」を支えるだけの底支えがないというか。
ただ、それはそれとして、不思議に光る描写がいくつかあったようにも思います。単なる書かれた文章が物語的光景に浮遊しそうな一瞬が、確かにあったように思えるのです。そこのところに魅力を感じましたので、あえて長々とコメントさせていただきました。ぶっちゃけ、客観的(であるべきだと努力している)評価はどうあれ、個人的には嫌いではない、ということです。
- 48 タクシー (採点:7)
- うっわー。後味わるー。
この場合、褒め言葉にしかなってないと思いますが。
個人的にこの手の小咄系のオチが勝負みたいな作品は苦手なのですが、読み終わったあと、充分に後味が悪かったということは、この作品は成功しているのだと考えました。
成功の要因についてですが、一見、無意味な運転手の話が、徐々におかしくなっていくその流れが、読者の読むリズムときれいに一致して、ズレを感じさせなかったからだと思います。
- 49 バレンタイン事変 (採点:8)
- うまいです。読めやすいとはいえ、きっちりきれいにオチてますし、なにより描写のいちいちが上手です。題材がさりげなさすぎるので、一般的な評価は高くないかもしれませんが、私は主として技術を評価します。
難点としては、センテンスが長すぎて文意をとりにくいと思えた箇所がいくつかあったことくらいでしょうか。
楽しく読めました。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:9)
- ああ、これは一人称の独白でなければならないですね。
そして、軽やかでグラフィカルな描写。文章はうまいです。このうまさは圧倒的です。子細に見てみれば、必ずしもお話の内容を伝えるために必要不可欠ではない文章も混じっているのですが、あまりにうまいため、するすると読んでしまいます。
満点ではない唯一の理由は「2月30日」という魅力的なキーワードを提示していながら、それについての説明がないことです。もちろん情緒的には理解できますが「そこのところさえうまく処理されていれば!」と惜しむ気持ちが非常に強かったため、あえてマイナス一点とさせていただきました。感想だけ書いてればいい人間の気楽な無責任さにまかせて、容量のことは考慮しておりません。あしからず。
- 51 夏の風 (採点:4)
- え。終わりですか。
まあ、妹スキーの私としては、妹さんさえ出ていればオールユーニードイズラブで万事解決という気がしないでもないのですが、それではなんの参考にもならないと思いますので。
やはり小説である以上、もう少しストーリーはあってほしかったように思います。もちろんどんな形式でもアリなのも小説というものですが、もし一エピソードだけを切り取ったかたちで提示するのであれば、そのエピソードそのものが読む価値をもつような、特殊なものであるべきだと思います。
その意味では、この作品は普遍的な価値を獲得するには弱いと思います。
- 52 豚 (採点:7)
- 読ませる力はありました。題材としては不快に思う人も多いでしょうし、私も確かに気分がよかったとは言いません。しかし、選んだ題材もあいまって、最後まで読ませる力は確実にありました。それは非常に重要な能力だと私は考えます。
ただ、いいにつけ悪いにつけ、気の利いたオチは欲しかったなと思いました。こういうタイプの作品だからこそ、必要なのだと思います。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:6)
- きれいにまとまっていると思います。お話としての結構は備えていると思います。ただ、ふだんラノベしか読んでない、軟弱で、悪い意味で夢見がちな読者である私としては、この女性が生きて動いている存在にはあまり思えませんでした。いちおう、かろうじて批評としての意見のつもりですが、ひょっとしたら個人的な好き嫌いの範疇かもしれません。
お話をお話として成立させるだけのリアリティは確かにこの作品にはあります。しかし、人間にあまりリアリティを感じることができませんでした。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:5)
- ああそうか。読んでいてよくある一種の「素人くささ」を感じたし、読み終わったあとも「なにも解決されていない」作品特有の「それがどうした」的なものが残ったのですが、それでもこの作品に抗えないような魅力を感じるのは、テーマが自分にとって極めて近しいものだからだと気づきました。
だとしたところで、テーマを魅力的に描写できているかというと、あまり成功していないようにも思えます。客観的にはそう判断できるのに、なにか納得したような気分になってる自分がいます。嫌いではないです。
- 55 饗宴 (採点:8)
- この点数は圧倒的な文章力そのものに捧げます。この隙のなさはすさまじいものがあります。
個人的には、こうした言葉の大伽藍は嫌いではないです。と同時に、いまとなってはこうした重層的な言葉の世界に食いつくだけの知的体力が当方にありません。敷居が高いとはいえるでしょう。もっとも、これに食いつけるだけの力を持った読者だけを相手にするというのも(商業作家ではない以上)アリだと思います。
ただし、この作品は、小説ではなくて、おそらく詩です。
- 56 Show must go on. (採点:7)
- オチはさすがに見えました。とはいえ、オチで驚かすようなタイプの話でもないので、それは問題ないと思います。
この作品でいちばん評価したいのは「10年後の再会」の雰囲気がいかにもそれっぽくてリアルなところです。こういうのって書けそうで書けないものだと思います。楽しく読めました。
- 57 エース (採点:8)
- お手本のようなスポーツものだと思います。これはよくできてる。
私はバスケには興味もないし知識もないのですが、描写が的確だったせいか、するすると読めてしまいました。しかも確かにおもしろい、と感じていました。
「真のエース」というキーワードもよく機能していたと思います。いい作品だと感じました。
これで、キャラなり設定なりにもう少しオリジナリティがあれば満点だったと思います。読後感はさわやかですが、もう少し手のなかに残るものが欲しかった。
- 58 飽くなき赤色 (採点:4)
- いまひとつうまく読みとることができませんでした。
結局、悲しいのか悲しくないのか。「だって、俺はまだ一回も泣いちゃいない」というセリフがなにやら暗示的に響いてしまったため、これが解決されないのはもったいないな、と感じました。
主人公の心理が、ふつうの人間の感覚としては理解しにくいもののように思えます。
- 59 Day after tomorrow (採点:6)
- 死のうとしてる人間をさらに煽るような精神というのは、相当な虚無に蝕まれているものでしょう。また、昨日死のうとしていた人間がそうやすやすと立ち直れるものでもないと思います。読んでいて感じた不満は、つまるところこのお話の根幹をなすそのエピソードに説得力を感じられなかったことに起因しているように思います。
あと彼女がいなくなった理由ですね。あえて理由は書かなかったのかもしれませんが、読んでいる側としては、なんらかの解決が与えられなければ落ち着かない気がします。
苦言は呈しましたが、お話としてはきれいにまとまっていたと思います。
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:6)
- 構成的にはちょっとしまりがないかな、と思いましたけど、なんだかんだでするすると読んでしまいました。たぶん「特にやることのない男子高校生」の雰囲気が実によく出ていたからだと思います。
あと、結末がよかったでしょうね。個人的には姉のいるランジェリーショップで勝負下着を買うっていうのはいろいろな意味で考えにくいとは思いますが、このワクワク感からガッカリ感への落差はなんかいい感じでした。
- 61 山小屋語り (採点:8)
- ごめんなさい。オチがよくわからないです。
ただ、この語りの力は圧倒的だと思います。一気に最後まで読んでしまった。
- 62 格闘少女 (採点:7)
- 特に前半部分にお話の構成だけ考えれば決して必要とは言い切れない文章があったように思います。全体的に冗長であるような気もします。細かい部分で指摘できることは多いと思いますが、この作品には「書かれるだけの理由」がちゃんとあるように思えてなりません。
主人公を通して描かれる「アイツ」の姿が、たぶんすごく魅力的だから。こういう構成の作品だからこそよりその魅力が際だっているように思えるから。技術的な瑕瑾を差し引いて6点。でも個人的には好きなので1点加えてしまいました。今回、それやらないようにしてたんたけどなあ。この方の書いたほかの作品も読んでみたいと思いました。
- 63 未来視の見る夢 (採点:7)
- 申し訳ないのですが、この作品の感想は書けません。書く能力が当方にありません。というのも、明確に物語として成立していることは理解できるのに、内容が理解できないからです。完全に読み手としての力量不足です。
点数は、小説としての技術的な部分(文章やキャラクターなど)についてだけ考慮したものです。ただ、事実としてアホには理解しづらい作品であった、ということだけ書いておきます。
- 64 ブランコ (採点:5)
- 短いながらもきれいにまとまっている印象です。ただ、短さのゆえか、やはり物足りない印象は残ります。読み終わったあとに淡い好感のようなものが残るのは、そうキャラクターの描写に手間をかけているわけでもないのに、なぜか女の子の姿がくっきり見えるからでしょう。点数はネタのあまりのさりげなさでやや下げてあります。
以下は作品の評価とは無関係な個人的な感想。
とはいえゆうちゃんだめすぎ。こんな彼女をFFごときのために一時間も待たせてはいかん。下から順に読んできたのですが、なぜかこの女の子が無性に好みです。いちばん好きかも。さもしいお願いですが、この女の子に名前をつけて、もっと長めのお話を書いていただいて、読めるところに公開していただければ嬉しいです。
追記。29あたりまで読みましたが、やっぱりこの子が好きらしいです。
- 65 金曜日のつめきり (採点:7)
- こうした空気感と、なんとはなしに遍在しているような絶望感といったものは、読む人との相性が大きく影響します。そして私は基本的にこうした世界を理解できない人間です。そういう人間の感想としてお読みください。
まず「つめきりを探す」「ものさし」などの使いかたが上手だと思います。ものさしの有無と、フローリングの床の下にぺったりと張り付いているような絶望感とはワンセットのもののように思えますので。こうした「どうにもならない」ような空虚さというものは、それ自体が薄味で作品としてすくい上げるのは確かに難しいのだと思います。ただそれにしても死に対する態度が、やや趣味的に過ぎて軽すぎるようにも思えます。
見当外れのことを言っていたとしたら申し訳ないです。
技術的には過不足ないと思います。会話が特にいいと感じました。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:5)
- 個人的にはたまらなく好きな世界観です。夏、ノスタルジー。しかし、ガジェットとしてはありきたりなものが並んでいるように思います。そうしたものにこそ意味を見出す私のような読者は別として、どうしても「どこかで見たような」という印象は避けることができなさそうです。
もっとも最大の問題は、ありきたりとはいえうまく使えば効果的であるはずだったガジェットに、印象的なエピソードを絡めることができなかった点にあるかと思います。
物語の主人公は人であるべきですが、この作品においては、世界の一部に子供たちが組み込まれているように思います。それで成立するためには、オリジナリティをもった詩情が足りないと感じられました。
好きな世界観ですんで、余計に語ってしまいました。駄文失礼。
- 67 世界一の小説 (採点:4)
- 「大人気、これぞ世界一の名作!」というオチは効いていると思います。アイディアとしても悪くないのですが、このネタで読む人を納得させる内容にするのは、かなりしんどい作業ではないかと思います。
- 68 両手いっぱいの花を (採点:6)
- お話としては悪くないと思います。文章力はあるし、お話をお話としてきっちり語りきるだけの力もあると思います。キャラがぼやけてよく見えないのが不服ではありますが、それもキャラ至上主義者のぼやきにあたるものでしょう。
しかし、すみません。個人的にこの結末は受け入れられない。
ヒルデとアレフは精神的に不健康な人間には見えません。この結末は、健全な精神を持った人間が辿り着いていいものではないと思います。点数は、個人的な不満は排除して考えてあります。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:9)
- 参った。これは参りました。オチですべてが許せます。
技術的なことをいえば、M男のセリフのもっともらしさがいまひとつ足りなくて、若干説得力に欠けるとか、逆に真実に至るまでの数々の仮説が、うまくオチに向かって近づいてるあたりがうまいとか、主人公の設定がこうである理由はきっちりあるな、とかいくつか思いつきましたが、些細なことです。
一発ネタとしてのキレは最高ですが、一発ネタに満点つけてしまっていいものかどうか、マイナス一点はそういう心の迷いの表れです。
- 70 アリス (採点:7)
- もったいない!!というのが感想のすべてかもしれません。
冒頭からしばらく、爆笑しながら読んでました。しかし中盤からペースダウン。あとは「もったいないもったいない」と呟きながら読んでました。
とつぜん彼女がアリスに、というこの奇抜な設定を生かし切るためには、まともな着地点ではかえって説得力が欠けるように思います。たとえ荒唐無稽でもなんでもかまわないから、彼女がアリスになってしまったことだけに関しては合理的な説明が必要で、あとは全部ギャグでかまわないんだと思います。学校に来ない理由だって「ウサギを追いかけてたら…」でもかまわないんでしょう。
点数の7点は、この奇抜なアイディアに捧げます。学校の話題になるまでは完璧でした。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:4)
- 大がかりな設定と、それとは無関係なある女の子の話、という落差で狙ったところはよくわかるのですが、生かし切れていない、もったいない、という印象ばかりが残りました。お話としてこの落差を生かし切るためには、女の子の日常生活が、私たちのよく知っている「日本」とは、似ているようで根本的に違う、という設定にしたほうがより説得力はあったのではないかと思います。
目のつけどころがよかっただけに、もったいなさひとしおです。
- 72 月時雨 (採点:5)
- 冒頭を読んだとき、どんなファンタジーが始まるのかと思いました。
最後まで端正さをほとんど崩さない文章力は相当のものだと思います。このような文章でありがちな「調子を崩す」ような隙がほとんど見あたらない。
ただ、なまじ完成度が高すぎたため、ほとんどリアルさを失っているのは、どうにもならない点でしょうか。文章か、内容か、どちらかを妥協させないと難しいのではないかと思います。
- 73 14文字の涙 (採点:10)
- これは満点。
長さと題材のバランスがいいです。
短編できっちりとキャラを立てているあたりも大した腕です。
以下はあくまで重箱の隅をつつくような指摘です。主人公の達観しすぎている感じがやや居心地が悪かったです。お話の都合上そうである必要があることは重々承知のうえで。それと、これだけお話の根幹がしっかりしていれば、さらに削れる文章はあるような気がします。もっともこれも「小説に使われる文章は少なければ少ないほどいい」という個人的な趣味でしかないかもしれません。
- 74 魔女の岬 (採点:7)
- 導入部が少しもたついていたように感じられます。いきなりヨハンの手紙に関する記述から始めたほうが、スムーズに話に入れるのではないか、と感じました。
あと、老人が「年老いた自分」であることに気づくくだりか少々強引に思えました。理解納得できない範囲ではないですが。
お話そのものは、読んでいる人に一定の感興を呼び起こすに充分な強度を持っているように思えます。きちんとした作品だと思います。
- 75 夜の夜 (採点:8)
- ああ、これはうまい。
最初、状況の把握に少しだけ手間取りましたが、読ませる内容でした。
あえて苦言を呈するとすれば「夜」という主人公の特殊な名前にあまり必然性が感じられないこと。そして「死ねへんのやったら、生きるしかないんやで」というセリフが、夜の特殊な能力を背景にしていることによって、説得力が薄れていることくらいでしょうか。とはいえ、これは受け取りかた次第だとは思いますが。少なくとも私はそのようなことを言った夜は、もう少し深い自己嫌悪を感じてしかるべきではないかな、と感じました。いちおう、個人的な感覚だと明言しておきます。
- 76 Another (採点:6)
- ぎにゃあああああああ。オチで絶叫。
ごめん。属性。妹さん大好き。
とかゆってもなんの参考にもならないでしょうから。
血縁のある兄妹だと仮定するなら、冒頭の「生まれたときからの知り合い」は構成上のミスということになります。もし「お兄ちゃん」と呼ぶだけの幼なじみであるとすれば、説明が足りないということになります。
また、冒頭からしばらくの久美のセリフは若干の不自然さを感じました。ふつうこういうふうな話しかたする人いるかなあ、という疑問。
語り手である主人公はともかくとして、久美のキャラが弱いのも気になりました。全体的にはオチが生かし切れていないのが残念かな、という感じです。私のように妹さんならそれでよし、という人ならともかく。
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:4)
- 描写が恥ずかしいのは、それを含めておそらく意図されたものだと思います。というか、そうでないとお話が成立しないでしょうから。
ただ、この手の独白ものというのは、書く側に相当のスキルが要求されると思います。通常、お話ではキャラを外側から描写することかできますが、独白ではそれができない。人間性のはっきりしないキャラに感情移入することは難しいですから、会話などにかなりの工夫が求められることになります。
書きたいことは明確に伝わってくるのに、そして個人的にこういう書きかたは嫌いではないのに、いまひとつ伝わってくるものが少なかったというのは、上記のような事情が関係しているのではないか、と思いました。
- 78 君が星を手にするとき (採点:6)
- すんなり読めました。安定した技術だと思います。
発射が失敗する可能性を念頭に置きながら読んでいたので、先を読みたいという気持ちにさせられました。また父親の微量な葛藤を織り交ぜての描写も説得力がありました。ある種の満足感のようなものも読んだあとに残ります。
ただ、短編としてこの題材を選んだ意味を感じ取るためには「あと少し」が足りなかったような気がします。題材に対して長さが足りないような印象を受けました。
- 79 奥の細道 (採点:6)
- 個人的には著しく好きなタイプの話です。
ただ、こういう夢幻的なイメージが交錯するような話だからこそ、構成は、わかりやすく、細心の注意を払ったほうがよかったのではないか、と思いました。
あと、もう少し徹底的にひどい話だったほうが、余韻が強かったのではないか、とか思いましたけど、私の個人的な趣味の可能性が強いかも。
比喩的なイメージが散見されますが、そういう重層的なイメージを狙うのであれば、文章はもう少し装飾過多のほうが望ましいと思いました。
○えりくら さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:5)
- 可も無く、不可も無く……ってどっちなんだ。どっちかにするけどさ、多分。
良いお話でした。
とりあえず、それ以上の言葉は僕の貧弱な語彙では見当たらないようです。
- 02 黒船 (採点:5)
- おお、こんな人たちいたっぽい。
学がありますな(?)
- 03 遵守 (採点:8)
- 短編でストーリー性のある話を書くのは大変なことです。それを解決する手段として『語り』の形式を取るのは非常に上手い方法だと思いました。
『幸せになれるのなら、それでいいじゃないか。』
全くその通りですよね。
- 04 海神の矛 (採点:8)
- 『私がやらなくても、結局誰かトリガーを握る』
抗い難い命令への対処法とは、思考を停止すること。
素晴らしかったと思います。
ただ、この緊迫感や世界観、人物の心理描写を不足なく伝えきるには16Kでは厳しすぎると感じました。
- 05 理屈じゃないこと (採点:5)
- ちょっと冗長だったかなぁ。
しかも思い出話をしている割にはその後の二人の生活感がいまいち感じられなかった。
最後に「愛してます」って言われても、本当に愛してたのかよお前とか思ってしまいました……
- 06 For tune the rainbow (採点:5)
- 特に僕が言えることは何もないです。
文章は整っているし、感情もきちんと伝わってきます。
ただ読んでて「おおっ」とは思いませんでした。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:8)
- 終わりなきループ。螺旋のように途切れては繋がる「魔王」。
しかし、歴代の勇者たちが一様に辿り着いた結論が「平和のためには悪が必要」だというのは少し悲しいですよねぇ……
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:2)
- すいません、理解しようと頑張ってたんですが、中盤くらいで脱落しました。堪え性のない僕には無理。文間を読んでさらに想像し補完するとか、本当無理。無理な人に無理強いする作品でもないと思うので、ここは素直にごめんなさいの一言で許してください。
これだけの情報を詰め込んだ作者さんお疲れ様でしたという意味も込めてプラス1点。
- 09 テロリスト長沢 (採点:3)
- 『思っていたより早くドアが閉まった』
どんまい長沢w
- 10 いろはの森 (採点:8)
- 紹介文で設定を説明するのは良い手だなぁ。
少女との別れで幕を引いたのにも中途半端な印象はなく、逆に好感を持ちました。
強烈な衝撃はないけど、さざなみのような余韻を残す優しい幕切れに拍手。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:7)
- 普通の青春恋愛物かと思って読み始めたらやっぱり普通の青春恋愛物で。あーうーとか言いながらも結局終始ナイスなテンションを保ったまま読み終われたのは作者さんの技量やセンスが僕の感性と合致したせいなのでしょうか。
面白かったと思います。「好きになっちゃうくらい――」っていう台詞はかなり説得力がありました。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:7)
- 若干中盤の展開に強引さを感じるけど、これはこれで。
『納得しても前進できないこともあるわ』
この台詞の哀愁をもっと活かせると、もっと良くなったような気も。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:3)
- 背後に誰かいるという恐怖感は、ある程度誰でも持ったことがある感情。
それだけに、その恐怖感を「恐怖」として見せられなかった点はちょっと減点対象ですかねぇ。
まぁ、そういう話でもないんだろうけど。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:5)
- イタいタイトルだなぁと思ってずっと敬遠してたんだけど、読んでみたら中々良い感じだったので一安心。
タイトルは、中々インパクトのある使い方ですな。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:6)
- よく出来た青春物だと思います。
- 16 さくら (採点:6)
- グッジョブ。
だけど、惜しい。
もう少し、もう少しだけ、さくらの『魔力』を感じさせてもらえたらっ
僕もさくらを見るたびにトラウマになってたかもしれないっ
- 17 19140901 (採点:5)
- えっと、僕はあまり物を知らないのでアレなんですが、これ史実ですか?
まぁそれはいいとして。
少し欲張りすぎたかなという印象。魅力的なピースはいくつもあるのですが、いずれも上手く活かせないままに終わってしまったような。
文体は読み易いので結構好きです。
- 18 生命 (採点:4)
- タイトルは別にそういう使い方をしなくても良かったのでは? そんなことをしなくても、きっと伝えたいものは伝えられるんじゃないかと思います。技量はかなり持っている方だと思うので。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:4)
- 人のこと言えないけど、容量に泣いた感がちらほら。
人を好きになるのに理由はいらないけど、それなりの時間くらいは欲しいですよねぇ。
- 20 今日見る明日 (採点:2)
- うーん。
普通の会話の羅列だったような気が……
- 21 雪国 (採点:5)
- 語り手の憤りも、名も知らぬ女の哀しみも、不条理。
だけど、僕には彼らの絶望がわかるような気がした。
作者さんも僕らにそんな感覚を求めていたんじゃないかと思った。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:2)
- うーん。
まず僕はサキュバスのことを知りませんでした。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:5)
- 文中の言葉遣いの件は脇に置いておくことにしまして。
しかし、ああ、なんだ、この、くそ。
言っちまえ! と思ってしまう。
- 24 結婚適文句 (採点:7)
- 序盤で軽く吹き出すも、中盤で軽くダレ、後半で普通にいい話。
『非の打ち所がねえ!』
『今回はいけそうだぜ!』
突っ込みがいないってある意味恐怖ですよね。
- 25 マージアここに在り (採点:9)
- 完璧。
無駄が一切ない構成と文章は正に芸術。
ぶっちゃけ羨ましいです。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:3)
- 別に理解を求めている話ではないと思うのだが、こういうのは採点に困る。
言いたい事が分からないというのは、自分の理解力がないせいかと考えてしまってびくびくしてしまうのです。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:5)
- まぁ……良かったんじゃないですか?
石郷岡さんのほうは真性のSじゃないなら、Mの竜くんにがっかりされてしまうかもしれないとか思ってしまいますけど。
- 28 Forest Note (採点:5)
- 淡々と生き、淡々と死んでいく彼女はまるで森のようで……ってそんな感想は求められてないと思うから別にいいんですけど。
しかし、やっぱり淡々と語りすぎたなぁという感じはあります。
- 29 Blind (採点:7)
- ラストで失速した感じ。
そこまでのミキの心理描写は見事でした。
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:6)
- 僕は人一倍現実逃避のケはあるほうですが、凍夏の「限りない夏」願望にはいまいちシンクロできず。彼女達が望んでいるものを、僕が読み取れなかっただけかもしれませんが。
個人的にはこういう話は嫌いじゃありません。
- 31 正義の味方の悩み (採点:6)
- 読みやすい文だったと思います。
やっぱり読みやすいのが一番です。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:9)
- こ、こいつら……
大好きダ――ッ!!
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:5)
- そういえば、祭り、行ってねぇなぁ……
- 35 西と東、白と黒 (採点:9)
- これは、すげぇ。
参りました。
一つだけ惜しむとしたら、東に比べて西の描写が弱くなってしまったことかなぁ。
- 36 ソラアイ (採点:3)
- 何か文学的な、それでなくても何かの含意がありそうな主人公の名前にすわカブったと思ったり思わなかったり。まぁそれは冗談なんですけど。
一つ一つの流れが唐突過ぎて、減点対象になりました。こいつ何にも考えてないんじゃないかなぁとか思わせてしまう主人公も、中々にキツイものがあります。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:9)
- いやぁ、面白い。
こんなエロ素敵ちっくなラブストーリーを書ける作者さんにちょっと嫉妬してみたり。
僕ならこんな可愛い彼女は張り倒してでも行かせたくないですな。
- 38 山田仁の行き先 (採点:3)
- 途中誰がどの台詞を喋ってるのか分からなくなったことがあったり。
山田仁くんは、どこかに行こうとしたんだけど、結局どこにも行けなかったような。
そんな感じですかね。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:7)
- ぐあっ
も、もえー……
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:4)
- ん?
ちょっとすいません、話が良くわかりませんでした。
似たような能力者系の話を書いた人間としてはかなり気まずいのですが……
- 41 No River to Cross (採点:8)
- 未来型iPodの音楽をシェアするという機能はちょっと面白いかなと思いました。近い未来に実現したりして。
誰とでも音楽の感動は共有出来るのに、一番身近な人には届かない。
その対比が見事でした。
- 42 焚火 (採点:6)
- 分かりやすいし、雰囲気もいい。
続きが読みたくなる話ですね。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:5)
- ちょっと描写がくどすぎるかも。
ラストの独白とも絡めてこの主人公の醜悪さを引き立たせようとする試みであったならそれは大成功だと思いますが。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:7)
- 完成度、高し。
過不足なく書き上げられたその技量は見事。
非の付け所がありません。
- 45 おかえり (採点:5)
- 短い容量で良く書き切れていると思います。出会いと別れは桜のようにパッと咲いてパッと散ります。
ただ、ちょっと文がくどかったかなぁ。
たまにどっちが喋ってるのか分からなくなる時がありました。
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:3)
- 完結してない作品という印象でした。
- 47 ポテト (採点:7)
- こんな可愛いタイトルが似合う作品じゃないよなぁ。
「結局、誰かが苦しんだって喜んだって、心の底ではみんな、他人事だと思ってるじゃない」
若いなぁ、と思った。
- 48 タクシー (採点:7)
- この話に限って、余計な描写を一切省いたこの文体は好感触。情感溢れりゃいいってもんじゃないんだ。
ラストも僕はかなり緊迫してました。
- 49 バレンタイン事変 (採点:7)
- 正統派ドタバタギャグという印象。
テンポも良かったし、グッジョブ。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:6)
- 年相応に描かれた主人公に、魔法使いのチャコ。彼女らの描写は無駄がなく無理がなく、作者さんのレベルの高さがうかがえます。
欲を言えばそれ以上の何かが欲しかったなぁという感じです。長編で読みたい作品でした。
- 51 夏の風 (採点:2)
- あ、でもちょっとハーゲン○ッツ食いたいかも。
- 52 豚 (採点:9)
- 狂気。
その恐るべきリアリティは今回の作品の中でも群を抜いている。
お見事でした。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:8)
- すげぇ。
でもこの話は長編で読んだほうが楽しいと思う。
多分書ききれない部分が多かったと思うし。
長編ハードボイルド物をあらすじを追いかけるように読んでる気になりました。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:8)
- 非常に真っ直ぐな部類の青春小説、とこの話を紹介するのには抵抗があるけど、そんな感じが一番似合ってい
る気がする。気がするだけ。多分。
ただ、ここではないどこかも扉の向こう側も新しい迷路に過ぎないと言った彼の行き先を、もう少しだけ見ていたい。
そんな気になりました。
- 55 饗宴 (採点:1)
- ???
- 56 Show must go on. (採点:8)
- あー。
僕はこういう友情モノに弱いんだなーと改めて思い知らされる。
本気で語り合える仲間がいるってことは凄く幸せなことなんだ。
- 57 エース (採点:6)
- いいなぁ。いいんだけど惜しい気もする。もっと良くなるような、そんな予感。
「勝つことに誠実でありたい」って凄い惹かれる言葉だった。
- 58 飽くなき赤色 (採点:4)
- 全体として語りたいことが何なのかわかりませんでした。帯にそういうのを狙ったと書いてあるので、これで大成功なのかもしれませんが。
- 59 Day after tomorrow (採点:4)
- 曖昧な点がかなり多くて、しかもそれが意外とクリティカルな設定の部分だったりして、ちょっとそれはどうだろうという話になりました。
しかし、不良って設定の割りに「酒は20歳から」なんて今時PTAでも言わないこと言うんだなぁとちょっと苦笑。
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:7)
- ほのぼのだなぁ。
確かに1万2000円は高いよねぇ。
しかし、どんな下着だったんだろ?
- 61 山小屋語り (採点:9)
- 常闇から語りかけてくるような、その声が聞こえるような気がしました。
語る人間の顔も見えず、語られる人間の恐怖が膨らんでいく様は、まさにホラー。
感服いたしました。
- 62 格闘少女 (採点:6)
- なるほど。
一点に絞って語りたい部分のみを、というのは潔いと見るべきか。
しかし、僕らがいまいち乗り切れないのは、タイトルの少女の姿が読者の中に無いせいだと思います。
最後の想像の中の彼女の台詞も何だか浮き上がって見えてしまいました。
- 64 ブランコ (採点:2)
- 青春万歳!
- 65 金曜日のつめきり (採点:9)
- センチメンタルな話だ。
感傷的過ぎるような気もするけど、そんな空気感が気に入ったから問題なし。
ゆびきりとつめきりをかけてにやにやする彼女の仕草が、二人の部屋のほのかな温かさが感じられるようで好きです。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:5)
- おそらく狙ってやったであろう会話文なしの主人公の独白のみという手法。
でも、やっぱり状況を上手く把握させるのが難しいんだろうなぁ。
結論。
一人称は難しい。
情景描写は見事だと思いました。
- 67 世界一の小説 (採点:8)
- 笑いたい……
でも笑えねぇ……(泣)
- 68 両手いっぱいの花を (採点:4)
- この話の面白さを僕が読み取れていないだけかもしれないけど。
いわゆる普通というラインから最後まで脱却出来なかったように感じました。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:8)
- これが起こったら僕は……!
……なんでもありませんorz
- 70 アリス (採点:6)
- バカッ○ル!!
オーイエー!
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:5)
- 若者の政治に対する無関心っぷりに警鐘を鳴らす傑作。
……え? 違うって?
- 72 月時雨 (採点:5)
- もうちょっと読み易い文を心がけたらいいんじゃないかなぁと思いました。
あまり飾りすぎるとストーリーが頭に入ってきにくくなるような気がします。
- 73 14文字の涙 (採点:採点なし)
- さらっといい感じにまとまっていたと思います。
ただそれ以上の物を感じることが出来なかったのが残念。
- 74 魔女の岬 (採点:10)
- これはすごい。参りました。
死から目を逸らすのではなく、受け入れて昇華させていく彼の強さに感動しました。
最後の二人とは、マリアのことか。それとも老いた自分か。そんな想像をしてみるのもまた楽しいですね。
- 75 夜の夜 (採点:2)
- 一発ネタを狙ってたと思うんで、点数はこんな感じだと思います。
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:4)
- くもりのち〜は〜れ〜でも〜♪
はれのちく〜も〜り〜でも〜♪
シャム○ェイドを思い出したのは僕だけ?
甘かったです。
- 78 君が星を手にするとき (採点:5)
- 息子の永遠のライバルはいつだって親父ですからね。
息子だって親父の背中はいつまで経っても追い越せないものだと思っている筈なんです。
- 79 奥の細道 (採点:5)
- 迷路。
入ると二度と出られないのが迷路だとするなら、この話はまさにそれ。
不思議な背徳感や罪悪感、寂寥感に囚われ絡め取られたような気がしました。
○おりびい さん
- 02 黒船 (採点:10)
- まさかおりこんでこんな落語風の話が見ることができるとは思いませんでした。
けれども普段落語風の話が見ることができるのはさらにありえないと思いますし、
そうなるとやはりこれはおりこんらしい話ということになるのだろうか。
5月26日23時58分朗読によって1点プラス
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:1)
- これは読者が試されているのでしょうか。
私は全員の関係を把握するには読む技術がたりないため楽しめませんでした。
技術がある人の評価が気になるところです。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:8)
- 私も異能を特別なことだと考えず軽い障害だと考える話を書いたのでこれは気に入りました。
しかも短編向きでない設定の私と違い短編らしい内容だと思います。
ただ容量にまだ余裕があるのだしもう少し書き込んだほうがよかったのでは。
- 17 19140901 (採点:9)
- 読んですぐリョコウバトについて調べてみました。
少女が何かの化身というのは当然気付きましたが何かわからず最後衝撃でした。
- 20 今日見る明日 (採点:9)
- 人外との恋愛より普通の少年少女の恋愛の方が好きなので
今回恋愛系では一番のお気に入りです。
俺もこういう青春体験したかった。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:8)
- 凶悪なインパクトがあるな
とりあえずエミ先生に幸あれとだけ言っておきます
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:8)
- どうつっこめんばいいんだ!?
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:1)
- おりこんで多くの作品に女の子が出てるから何となく出した。
ゆいかがいた意味がそうとしか感じられなかった。
少なくとも弟と会う場面では無意味な叫びでしか存在をアピールできていないのでいない方がよかったと思う。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:10)
- 物がどう映るかは観測者によって違うというのは古典的ともいえる題材だが、
そこにおかめの主人公という要素を入れることでオリジナリティのあるものに変わっている。
脱帽します。
- 45 おかえり (採点:6)
- 文の技術力もすごいし話の筋道も非常に綺麗だと思います。
ただ上手くは説明できませんが何か決定的に自分の好みと違うんです。
あえて言うならば綺麗過ぎたになりますがそれが自分の受けた印象を正確に言い表してるとは思えなくて。
なぜ自分に入り込まないのかがわからず今のところ一番多く読み直してるのですが……
答えが出ないのがもどかしい。
- 47 ポテト (採点:8)
- 最後薬害エイズというのは唐突という印象を受けたが、
二人が付き合いだすというベタなオチよりはいいと思います。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:9)
- 女の正体に完全にやられました。
そして自転車の表現が見事でした。
- 56 Show must go on. (採点:5)
- 最後主人公が既に死んでいたというのは驚きはしたものの、
正直無理矢理な感じがして大きな減点となりました。
- 57 エース (採点:8)
- 途中試合のシーンで用語がわからず混乱したのがちょっと残念だが
それでもさわやかないい話です
- 62 格闘少女 (採点:8)
- ほとんどは主人公と少女の母親の会話で少女そのものはわずかしか出てきてないが、
それでも型破りかつ輝いていたオリジナリティのある少女の姿が想像されます。
- 63 未来視の見る夢 (採点:10)
- 構造の特殊さからかなり読むの大変でした。
ただそれでもよい作品だと思います。
「きっとね、わたし、始めからあの子にそういう教育をするんだと思う。だからあんなに聞き分けのいい子になったんだと思う。期待通りに育っちゃったんだと思う。だから、心おきなくコダマさんと一緒にいることができるんだと思う。
きっと、いい子に育っちゃったから、子供を作らないって選択もできなくなっちゃったんだ──なんだ、わたしのわがままで全部説明ついちゃった……」
このセリフは今回のおりこんの中で一番印象に残りました。
- 67 世界一の小説 (採点:8)
- マリアナ海溝にいる円楽師匠が砂糖壷に落ちた曙の投げたエッフェル塔を打ち返したような素晴らしさです。
- 75 夜の夜 (採点:10)
- 最初いじめの話が出た時ああ自殺話かと簡単に考えてしまったが
見事作者の仕掛けに引っかかってしまったみたいです。
ゆっくりと確実な死を待つ祖母。
終わらない苦しみの中の生を歩む幸。
この二人の対比は見事でした。
○かき さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:3)
- 優しくて穏やかな空気がふわふわ漂う、まるで絵本のようなお話でした。
綺麗です。とても綺麗です。
でも、確かに綺麗なんだけど、それ以上の何かを感じることができませんでした。
そんな僕はもう心が汚れてしまってるんだろうなぁと思いながら。
- 02 黒船 (採点:3)
- 会話だけで全てを表現するのはかなり難しいことで、それをこういう場でやってのけたこの作品は、それだけで評価に値するものだと思います。
でも、ごめんなさい、自分にはこの作品はあまり合わなかったようです。
落語など、教養が身についていればまた違ったと思うのですが……
- 03 遵守 (採点:7)
- 純粋に、面白かったです。綺麗な掌編でした。
ちょっと突飛な設定で読み手を引き込んで、十分に引き付けたところでバッドエンドを匂わせ、でも最後に逆転、綺麗に着地。
見事だなぁ、と。構成としては割とよくある形だとは思うのですが、それがきちんとはまることはなかなか無くて。
作者さんの力量を感じます。嫉妬していいですかー?(笑)
でも、やっぱり「魔法使い」という言葉にはちょっとひっかかりを覚えました^^;
- 04 海神の矛 (採点:5)
- 文が巧みで、それを追うだけでも楽しむことができました。
内容は非常に重く、またそれにしっかりと合った文章で。
かなり書き慣れた方だと思うのですが、じゃあ僕にとってこの作品が面白かったり心を揺さぶられたりしたか、というとそういうことでもなく。興味深かったのは確かなのですが。
本来こんな点数をつけるべき作品ではないのでしょうが……嫌な読者でごめんなさい。
何となく前回覇者のひでさんさんのような気が……でも幼女が出てない……
- 05 理屈じゃないこと (採点:8)
- ジャスト好みでした。せつねーよぅ。
軽快な文章。テンポの良い会話。いや、本当に好きな要素ばかりでした。
多分、作者さんと僕とで、感性みたいなの似てるところがあるんだろうなぁ、なんて思いながら。腕はもう明らか過ぎるほどに違いますが(笑)
交流所で言われていたなげさんの作品、知ってはいましたが、それとは切り離したところで普通に楽しめました。
似てるとは確かに思いましたが、似てる作品なんて探せばいくらでもあるわけで。
本当は9点つけたいところなのですが、読み始めて早々にオチが読めてしまったので。
……もしかしたら序盤からそれを狙って書かれていたのかもしれませんが。
- 06 For tune the rainbow (採点:9)
- 愛してます。
文章も上手ですし、展開もベタとはいえだからこそ力があって切ないですし、何よりお嬢様が愛し過ぎるっ。
いやはや、丁寧語でこれだけリズムのいい文章(合わない、という方もいらっしゃったようですが)になるのはすごいなぁと。
相当意識して一文一文紡がれたのではないかと思います。
んー、そんなこともないよ? とか言われたら、もう嫉妬のあまり、うがーです。うがー。
最後、「、」が多くなるところとか超好きです。ああいう文章書きたいです。
あ、このお嬢様欲しいんですけど、どうしたらいいですか?
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:4)
- うーん……ありがちな展開、に思えました。
勧善懲悪を否定、疑問視するものとして、こういう話どこかで見たなぁと。
それと、登場人物、特に主人公にはもっとしっかりとしたキャラクタが欲しかったです。
「勇者」という型にはめるために狙ってキャラクタを無くしたのかもしれませんが、少なくとも僕は、登場人物に魅力を感じないと話を楽しめないので……
でもこの尺でこの内容を納めたのはすごいなぁ。是非別の作品も読んでみたいです。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:8)
- さて……何を書こうかな(笑)
本来ここに書いていたことも含めて、日記で長々と触れてしまったのでどうにも。面映いというか(笑)
具体的な内容はとりあえず置いておいて。
これだけの人物を出しながら、その全てのキャラがしっかりと見えてくるというのは、いやもう、凄いの一言。
意味が無いようであるようで無いようでやっぱりあるようで。多分この話は今回最も「再読率」が高い作品だと思うのですが、そういうのって、いやもう、凄いの一言。
- 09 テロリスト長沢 (採点:3)
- ネガティブでうじうじした思考と、それ故のオチ。
そういったものを上から見て笑うお話なのでしょうが、どうもそれができず。
全体的に中途半端だったような気がしないでもないです。
マイナス方面の笑い、嫌いではないのですが……
- 10 いろはの森 (採点:9)
- 素敵。とても美しい掌編。
高い文章力、ちょっと特殊な(少なくともこの場で被ることのない)設定、読者を驚かす仕掛け、それを生かした切なさ、印象的な終わり方。そして何より幼女(笑)
こりゃもう上位行っただろう、と。おめでとうございます(笑)
切なさの感じとか、桐絵と朔の別れのシーンとか、前回匿名のあの方な気が……
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:6)
- あーいい青春してるなぁ、と。ちょっとの嫉妬を織り込みながら(笑)
軽くて読みやすい文章、天使という突拍子の無い話題の中での、お互いちょっと気の利いた会話。
好きな話です。良作だと思います。
でも物足りなさも結構あったり。もっとこの話を特徴付ける何かがあれば、また随分と変わったのでしょうが。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:7)
- 全体的なまとまりの良さ。
読んだ後にいい気分を味わわせてくれる爽やかさ。
欠点の見つからない手堅い出来。
万人に愛されるであろうこのお話。
突き抜けたものは無いけれど、その分全てが高いレベルで落ち着いていて、すごく安心して読めました。
広瀬さんかな?
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:5)
- 文章はお上手で、内容も興味深くて。
でも最後がちょっと不満というか。うやむやーな感じで終わっちゃったのが。
わがままな読者としては、そこでかっちりとはめて欲しかったです。読んでいて、そういう終わりを期待しちゃいました。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:5)
- タイトルの使い方、すごく面白い試みだなぁと。
でも、ちょっとそのタイトルの中身が、うーん……
ストーリー自体は結構好きなのですが、この尺でやるには設定語りがちと多過ぎて肝心の、話そのものが薄くなってしまったような。
あと、最後の部分は無い方が物語的にも好きかも。ハッピーエンドが嫌いとかそういうことじゃなくて、予定調和過ぎてちょっと陳腐になっちゃうかなぁと。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:6)
- これは明らかにハルヒを意識されてますね。これぐらいやっちゃえば逆に気持ちいいぐらい。
尖った作品が多い中、これぐらい純粋に「楽しい」話は貴重で。いや、本当に楽しかったです。
>「今、エッチなこと考えてるでしょ」
この台詞にやられたのはきっと僕だけではないと思います(笑)
- 16 さくら (採点:8)
- 強烈。好き。
ホラーってよく分からないからホラーなんですよね。
最後まで読んでも、結局少女たちの行動に論理的説明はつかなくて。
主人公が突然感覚的な理解を得たというところもこの話なら好印象。
作品全体のグロテスクさ。さくら。終盤のエフェクト。
そして何よりラスト二文。素敵。
個人的に上位行って欲しい作品です。
- 17 19140901 (採点:7)
- 上手いっす。文章も、話の作りも。
正体不明の少女に狂い死ぬ男の話というのはまぁそう珍しいというわけでもありませんが、芸術というものを介して、全体的に危うくていい感じの空気が。
でもラストはちょっと……読者に理解できない話、という形にしたくなかったのでしょうが、それにしてももうちょっとやり方があったのでは……
そして、ろりぃ(笑)
- 18 生命 (採点:8)
- 切れてる。すげえ。
読んでいてあまりの鋭さに寒気を覚えました。
どんどん丸出しになっていく文章とタイトルの使われ方。
鳥肌立ちまくりです。
何か言葉が見つからない……とにかく、びんびん感じましたです。イヤらしい意味に取らないでー。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:4)
- 割としっかりまとまった「いい話」だと思います。
でも、どうしても、ありがちなキャラ、ありがちな展開が目に付いてしまいました。
もうちょっと何か欲しかったなぁ、と。
その「もうちょっと」こそが一番難しいことだと分かっていても、読者としてはそれを期待してしまうもので。
あと「"運命"」の連発は正直イマイチだったかなぁ、なんて。
- 20 今日見る明日 (採点:3)
- あー、いいなぁ。いい感じの青春。
文章は軽くて読みやすいです。ちょっとこなれてない感じを受けなくもないですが。
全体的にそう悪くないのですが、でも終始「どっかで見たなー」って。
それを突き抜ける何かが欲しかったなぁ、と。難しいことですけど^^;
- 21 雪国 (採点:5)
- しっかりとした文章。間違いなく力のある方なのでしょうが、ごめんなさい、僕には読み取ることができませんでした。
何かをマイナスな意味で暗喩したもの、というのを何となく感じましたが、それ以上はどうにも。
人生とかそういったものの話なのかなぁ。
例えば8「パースペクティブ過剰」や54「メルヘン〜」79「奥の細道」のように、分からないなら分からないなりに楽しめるものもありますが、この作品は、僕にとってそういうものではないようで。
情けないとはつくづく思いますが、申し訳ありません、逃げの点数で。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:2)
- 初めてでこれですか。うわあ、自分を思い返して凹むー。
文章的には特に問題無いと思います。初だということを考えると十分に及第点。
よくあるキャラ、よくあるストーリー。一つの小説として見た時、そこに何らかのオリジナリティが欲しいところ。まぁそれってすごく難しいことなのですが^^;
この話において一番マイナスに取られるのは展開の性急さだと思います。サキュバスの独白、そこからの流れに違和感を持たせないぐらいの、しっかりとした書き込みが必要だったかなぁ、と。
これからがんばってくださいー。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:4)
- 軽くてノリのいい文章。好き。
まぁよくある青春恋愛すとーりーかなぁと思わせておいて、ラストでびっくり。
読者の予想通りには終わらせない、それはそれでいいと思うのですが、うーん……
個人的に、最後の展開は、読者を驚かせる以上の効果が無かったような気がします。
驚かせてなおかつ……みたいなのがあれば、ぐぐーんと好印象だったのですが。
実際、いきなり「大嫌い」とか言われる遠藤君もかわいそう(笑)
- 24 結婚適文句 (採点:8)
- 何だあの始まり方は。引き込まれずにはいられないじゃないですかい(笑)
今回一番楽しめた作品でした。こんだけ純粋に「面白い」作品はなかなか貴重だなぁと。特に今回でいえば。
いい味出しながらするするっと読みやすい文章。この話にジャストフィット。素敵。
ラスト、「いたい、いたいって」からのやり取りが致命的に好きです。結婚してください。
竹仙人さんだろうなぁ。
- 25 マージアここに在り (採点:7)
- よくまとまった良作。
ちょっと変わった出会いがあって、平和な日常があって、でもそれが突然崩れて、切ない終わり。
いやー、うまくできていると思います。完成度の高い綺麗な掌編でした。すごい。
ただ、所々、一文だけ浮かせた表現(「こんな奇妙な共同生活〜」「日常はただの日常〜」など)にちょっとあざとさみたいなものを感じたり。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:6)
- よく分からなかった、というのが正直な感想です。
でも何か好き。独特の文章、それが作る空気。そういうのを楽しむ作品なのかなぁ、と。
僕は某氏と違ってMではありませんが、それでもこの女の子はすごく魅力的に映りました。女の子に負けないよう、Sの心を強く持っていこうと思います。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:5)
- 軽い。いいなぁこの軽さ。
個性豊かな三人の中でも、一見普通で本当は一番普通じゃない森田さんが好きです。
だから僕とカップルになればいいと思います。
最後の一言が好き。
- 28 Forest Note (採点:5)
- いいお話だとは思うのですが、うーん、ちょっと物足りない……
何ていうか、ある物語を要約したものを読んでいる感じ。
容量にもまだ余裕ありますし、もっと書き込んでほしかったかなぁ、と。文章も上手いですし。ちょっとわざとらしさみたいなものを感じましたが。
とりあえず、No.025「マージアここに在り」の方との交際をお勧めいたします(笑)
- 29 Blind (採点:3)
- 言いたいことが分からないわけではないのですが、うーん……
男の勝手な言い分でレイプを容認してしまう女の子がどうにも、うーん……
初めてがレイプで、それで感じて、人の体と心がどうこう、っていう展開にどうにも現実味を感じられませんでした。紙の上でそれっぽい言葉を並べただけ、みたいな印象が。
僕の想像力が足りないのかなぁと思いつつ。ごめんなさい。
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:6)
- 終始漂う危うい空気が好き。痛いけど、好き。
ぞくぞくするぐらい二人とも危うくて、それが魅力的で、もう夢中で読み進めていきました。完璧に引き込まれてました。
でも凍夏の「限りなき夏を〜」あたりでちょっと違和感を覚えてしまったり。あまりにも台詞的で。現実感の無さ、という意味でそれを狙ったのかなぁ。
幸せな二人が見たかった……なんて思ってみたり。
- 31 正義の味方の悩み (採点:5)
- 軽い文章ながらしっかりとしていて、話の構成も綺麗で全体的に淀みなく。
書き慣れた方だろうな、と思います。キャラも、ステレオタイプながら魅力的ですし。
でも、やっぱり、どっかで見たなーな感じがどうしても。
特徴的な何かが欲しかったなぁ、なんて。いや、自分にもできないことなのですが^^;
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:6)
- ぶっちぎってんなぁ(笑)
テンポの良い文章で序盤から笑わせといて、でも最後に少ししんみり。
きっちりはまっていたと思います。ちょっとありがちな形ではありますが。
ただ、ちょっと登場人物が多過ぎたような。名前が出てくる度に、えーとこれ誰だったかなぁと前を読み返してみたり。
そういった部分で完全に話に入り込むことができませんでした。
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:3)
- 軽い文章、軽い話。
今回の企画でも多く見られましたが、その中でもこれはちと暴走気味な感じが。いい意味でも、悪い意味でも。
こういった軽い話では特に序盤で主人公と読み手がある程度シンクロする必要があると思います。でも、今作ではどうにもそれができず。
最初に「ギャルゲー」とかいう単語が出てきた時点で読者はちょっと引いちゃうんじゃないかなぁと。いや、ギャルゲー自体は好きですけど(笑)
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:6)
- 設定が面白いです。
心が読める故に冷めた感じの主人公。でも何故か心が読めない少年。理解しようとする。だから、親しくなれる。
よく設定が生きていて上手いなぁ、と思います。
お話としても綺麗にまとまっていますが、でもちょっと綺麗過ぎてご都合主義的な感じが。
この尺で収めるために終盤走らざるを得なかったのが痛かったかなぁと。
- 35 西と東、白と黒 (採点:5)
- 面白いことされてるなぁ。
立場を変えて交互に紡ぐことで分かりやすく対比する。テーマも興味深いものです。
でも、うーん、容量にもまだ余裕があることですし、もうちょっと書き込んでほしかったかなぁなんて。
もっと描写を重ねてそれぞれの国の生活に愛着を抱かさせてもらえれば、その後に同じ言葉を重ねるシーンが、より効果的になったんじゃないかと思ったり何たり。
- 36 ソラアイ (採点:4)
- 落ち着いた描写。ちょっとこなれてない感じを受けなくもなかったですが、こういう文章、好きです。
ちょっとキャラが浮いていたような。現実味が足りないというか。
文章が少し落ち着き過ぎてたのかな、と。十五歳という二人の若さを考えても、もうちょっと力強さというか勢いというか、そういうのがあって良かったと思います。
ベタといえばベタな話ですが、結構好きでした。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:9)
- 手コキひゃっほーう!
いやあ、これは良かった。
伏線の張り方が素敵。手コキまでをも伏線として使うなんて。普通そんなこと考えません(笑)
主人公の焦りとか上手いなぁ。それで最後に「いっぱい……いっぱい、届いたね」ですもん。すごすぎる。
話の締め方も見事。それまでの伏線を一気に回収しつつ綺麗にまとめる。ナイスエンタメ。
本当に面白かったです。ありがとうございました。
手コキひゃっほーう!
- 38 山田仁の行き先 (採点:3)
- どの台詞が誰のものなのかちょっと分かりにくかったり。
地の文を増やして、キャラの書き分けをもう少し意識してもらえたら。
設定、お話、どちらも悪くないと思います。
ただ、どちらかというともっと長い尺で読みたかったかな、と。
主人公が色々なところを旅して、色々な人や幽霊に出会って、少しずつ成長していく、みたいな話。
作者さんもそれを意識されたのかな? でも短編でやるのはちょっと無理があったかなぁなんて。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:2)
- こういう作品はつまり笑えたか笑えなかったか、ということで。
ごめんなさい、僕にはこの点数で。
発想は面白いです。そして式や図の書き方がネタボケ界隈の人っぽい(笑)
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:6)
- 好き。ちょっと分かりにくいところもあるけど。
キャラが全て魅力的。主人公以外はそれぞれ少しずつしか出ていないのに。すごい。
特に最後に出てきた二人はいいなぁ。終わり方も素敵。
ただ、容量が足りなかったのでしょうか、駆け足過ぎるような。
もっとどっしり長い尺で楽しみたかったです。キャラ造形もそれができるぐらいしっかりしていますし。
- 41 No River to Cross (採点:7)
- これ10kb無いのか……
雰囲気が好きです。飲まれました。
「そうですね、私も淋しくはないです」この台詞を出させたのがすごい、と。
淀みの無いこなれた掌編でした。
タイトルも素敵。『間を隔てる河はどこにもない。』かっけー。
個人的には、演奏するところをもう少し長く描写して欲しかったです。一つの見せ場だと思うので。
- 42 焚火 (採点:3)
- 状況説明の割合が高いかなぁ。
もうちょっと中身が欲しかったところ。
最後の視点切り替えもちょっと唐突過ぎて、効果は薄い気がします。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:2)
- 仮面がうんちゃらっていうのはまぁよくあるネタで。
それをどう料理するかというところにポイントがあったと思うのですが、うーん……
会話文や地の文を改行無しで連続させる、という手法に効果があったとも言い難いですし、逆にただ読みにくくなっただけのような。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:9)
- あー、面白かったです。
波の少ない安定した文章。古めの言葉の使い方。いやー、かなり雰囲気出てました。
話としても綺麗にまとまっていて、読後感も非常に良い。
何か、読むことによって自分の心まで美しくなったような気がします。もちろん、気がするだけでしょうけど(笑)
素敵な話をありがとうございました。
- 45 おかえり (採点:8)
- うーん、いい話です。限りなく優しい。
読みやすくて、感情がストレートに伝わってくる素直な文章。無駄な装飾が無いというか。
王道を地で行くような展開。でも、マンネリとかそういうのは感じず。魅せ方が上手いんだろうなぁ。
ただ、ちょっとだけ、あざとさというかわざとらしさというかそんなものを感じてしまいました。
今回も上位おめでとうございます(笑)
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:6)
- 読み終わってから10kbしかないことを確認してびっくり。
なくした小指、いいなぁ。意味があるようでないようで、何か好きです。
ただ、ちょっと初っ端が辛いかなぁという気がしないでも。一気にがーっと説明がきてて。
あとは、最後がちょっと唐突な感じ。前年の文学賞を先輩が受賞してて、受賞者は翌年の審査に携わる、みたいなのを考えましたがどうでしょう。
下読みのバイトとかだとは思いたくないなぁ……
- 47 ポテト (採点:6)
- 好きな話です。
終始ふわふわした印象。意味があるような無いようなやり取りも好感触。
ただ、エイズのことはちょっといきなり過ぎたような気が。伏線らしきものもありますが、それにしても少し唐突な感じ。
終わらせ方、超好みです。びっくりさせて、その余韻が残ってるうちに曖昧に引いていく、みたいな。
失礼かもしれませんが、何となくこの作者様とは近しいものを感じます。少し浮かせたキャラとか、文章の作り方とか、少しずらした会話のテンポとか。
- 48 タクシー (採点:2)
- 話のネタ、面白いと思います。
短いパラグラフを幾つも連ねるという手法も掌編に合っていますし。
でも、うーん、最後にぞくっとできるほど話に入り込めなかったです。
紹介文と本文の最初にある引用の効果も感じられなかったり。雰囲気を出したかったのだとは思いますが……
- 49 バレンタイン事変 (採点:5)
- 何だその中毒(笑)
いやー、楽しかったです。上手い具合にきっちりまとまってますし。
それぞれのキャラがいいですね。特に宮田さん。
「えへ」とか「おっし」とか「〜ですよー、ね?」とか、もう愛し過ぎる。
ただ、・・・とか……とかは統一した方がいいんじゃないかなぁ、と。
宮田さんください。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:8)
- タイトルで最中さんのあれを思い出したのは僕だけじゃないだろうなぁ。
まぁそれはさておき。最初の段落を読んで僕は思いました。ああん、これ好み。
爽やかに流れていくような文章。まるでチャコと手を繋いで魔法を見ているような、そんな感触。
物語は全く動いてなくて、乱暴に言ってしまえば、ただ主人公がチャコのことを思い出しているだけ。
それだけでこんなに素敵な話になるのは、やっぱりセンスの違いなんだろうなぁ。
- 51 夏の風 (採点:2)
- 爽やかさ、感じました。
何でもない極当たり前の日常。あー、いいなぁ。
ですが、うーん、相対化して点数をつけるってことになると、これだけではどうしても落ち込んじゃうかなぁ、と。
今度はもっと長い尺で読んでみたいです。
- 52 豚 (採点:7)
- 濃い。寒気がするぐらいの悪意。すごい。
糞を口の中に押し込んだり、老婆の頭を地面に擦りつけたり、耳を切り取ったり。よく書けるよなぁ、と。
描写もいやにリアルで、作者さん、本当に自分の経験をそのまま書いてるんじゃないかと思うぐらいでした(笑)
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:8)
- かっけー。超かっけー。
いい感じの固ゆで。雰囲気すっごい出てます。
すこしずつずれた(ずらした)会話も大好物です。
ただちょっと終盤走り気味だったかなぁなんて。
この尺でハードボイルドやるならしょうがないのかなぁと思いますが^^;
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:9)
- あー、文章が致命的に好みです。読み進めること自体が楽しい。
話の全てを受け止められたとは思いません。思えません。でもそれでいいんじゃないかな、と。
それでも、少しでも作者さんに近寄りたくて何度も読み返す僕がいます。それがまた楽しい。
切れ味のある言葉とは裏腹に、物語全体はふわふわとしていて、何度読んでも掴みきれない。掴もうとする。掴めない。それがまた快感で。
考えるんじゃない、感じるんだ。僕にとって、つまり、そんな話でした。ありがとうございました。
最中さんでふぁいなるあんさー。
- 55 饗宴 (採点:6)
- 難解な文字群。でも文のリズムは良くて。
相当時間かけて書かれたんじゃないかなぁ、なんて。
内容は……竹仙人さんの『ドラクエだ! ドラクエでしょこれ!』という表現がちょっとあまりにもしっくり来ちゃって噴いたんですが(笑)、つまり大聖堂へ入って色々イベントがあって、タイトルでもある『饗宴』の最中に水に飲み込まれ、大聖堂以外の全てが一度破壊され、新しい世界が始まるよっ、てことで、うーん、やっぱりドラクエっぽい(笑)
伝承、みたいなものなのかな。……って、最初に『傳説』ってありますね^^;
もちろん、この話の全部は分かってないと思うのですが、多分そんなに突飛なことやってなくて、とにかく描写を凝らしてみた、それによって雰囲気を作ってみた、ということかなぁと勝手に納得。
眠り姫はエロスになり損ねたのかな、いや、あるいはああやって身体を滅ぼすことでなり得たのかな、とか思ってもみたり。
- 56 Show must go on. (採点:4)
- いい話だと思います。男四人の何気ないやり取りも見ていて爽やかで気持ちいいです。
でも、うーん、この話の場合特に致命的なことになっちゃうと思うのですが、オチが早々に見えてしまって……
こういう作品を他にも知ってたので、ちょっと伏線があからさまに見えてしまって。
もっと嫌らしく(笑)隠していいんじゃないかな、と。
- 57 エース (採点:7)
- あああーバスケしてええぇ。
いやー、ずっとバスケしてた身としては、終始うずうずして堪らなかったです。いつかバスケしましょう(笑)
爽やかで、眩しくて。いいなぁ。いいなぁ。こんな青春したかったなぁ、ちくしょう。
キャラも描写も生き生きとしていて素敵でした。スポーツものって書くの相当難しいと思うのですが、少なくともこの話は成功してるんじゃないかと。
スリー入り過ぎでありえない、とか意見が出たら速攻で擁護に回りますので待っててください(笑)
井上雄彦先生も、現実では漫画よりももっとドラマティックなことが起こる、とおっしゃってますしね。僕も実際そういうの見たり経験したり。
ああー、バスケしたい。
- 58 飽くなき赤色 (採点:3)
- 話のネタ、好きです。ダークな展開も、好み。主人公にも結構共感できてしまったりします。
でも、全体的に、いかにもかっこつけてる、といった感じがしてしまって。
暗くてかっこいい主人公を描かれたのだと思いますが、うーん、ちょっと足が地に着いてないような。
あと、「……」で間を取るのは、便利ですが、やり過ぎると見た目的にも文章的にも何か薄ーくなってしまうので、少し使用を控えた方がいいんじゃないかなぁと思ったり。
- 59 Day after tomorrow (採点:2)
- 序盤の主人公による語りがちと辛いです。
そこで五歩ぐらい引いてしまって、素直に中身に入り込めませんでした^^;
最後の部分も、どうも浸り過ぎな気がして。
綺麗にまとめようというのは分かりますし、最初からきちんと着地点を決めて書かれたんだとも思いますが、どうも料理の仕方が僕には合わないみたいでした。ごめんなさい。
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:5)
- ほのぼのちょこっとミステリー。
面白かったです。ミステリーと呼ぶには少し弱いですが、楽しかったのでおーけーおーけー。
でも、書きたいことが多過ぎたのでしょうか、ちょっと雑然としてたような。
もっと絞って、お姉さんを書いて欲しかったです(笑)
てか、この椎名さんみたいな素敵な彼女はどこにいったら見つかりますか?
- 61 山小屋語り (採点:5)
- こえー。超こえー。雰囲気出てます。
童謡の使い方が上手い。最初から計算されてたんでしょうね。
でもちょっと後半走り過ぎたような。
それまでゆっくりじっくり作り上げてきた空気ですから、そのまま我慢して我慢して、ひたひたと押し進めて欲しかったです。
「顔色が悪いで?」を作中でもう1、2回使ってたらより効果的になったんじゃないかなぁ、なんて。
- 62 格闘少女 (採点:3)
- 恋人を百人作る。妙な設定ですが、だからこそ、インパクトもあったと思います。
問題は、やっぱり、いきなり「アイツ」を死なせちゃったことかなぁ、と。
語り部の彼女とそして作者様には「アイツ」の生前の姿が鮮明に残っているからいいのですが、読む方にはそれが全くと言っていいほど無いわけで。作中の描写ではちょっと明らかに足りないと思います。
だから、「アイツ」がどんなことを考えていたのか、それをどう考えるのか、終盤で語られる恐らくは話の中心であるその部分を、読み手はなかなか共感できません。
生きた「アイツ」が見たかったなぁ。
- 63 未来視の見る夢 (採点:10)
- 完成度たっけー。何かもう圧倒的です。
未来視って設定をこんな風に使うんだ……
切ない。切ないよぅ。
「こんな悲しい幸せもあるんだと知る。」まさしくそれ。読み手にとっても、つまりそういうことなんだと。
静かな文章。うら悲しさがにじみ出てくるようで、この話に合致してます。
紹介文。読んだ後に見て、鳥肌立ちました。何て使い方されるんだ……
これをどう取るかはまた色々とありそうですが、まぁ普通に考えたら……切ないよぅ……
もう10点つけるしかありません。是非一位を。二位狙ってそうですが(笑)
- 64 ブランコ (採点:4)
- ほのぼのー。
微笑ましい二人。何も無いけどしあわせーな気分になれました。
ただ、話としては単にシーンの切り抜きでしかないので、こういう場での点数は落ち込んでしまいます。ごめんなさい。
ほのぼのーでふんわかーな話なので、「暗鬱」とか「錆びて塗装の剥げた鉄の鎖」とかの表現はちょっと雰囲気を壊しかねないなぁ、と。
優花可愛かったですー。
- 65 金曜日のつめきり (採点:10)
- 好き。超好き。
あやふやーな雰囲気がいい。二人の名前も出てこないし、二人の設定もきちんと出てこないし、ストーリーらしきストーリーもない。
そう深く考えず、単純に楽しめたか楽しめなかったか、そういう話だと勝手に思っているのですが、うん、僕は文句なしに楽しめました。
微妙に片言な文章。何ともいえない味があってもう味があって、ああん、もろ好み。
ところどころすっごい好きな言い回しがあって、できればそれを挙げていきたいのですが、いちいちあげてたら切りが無いのでやめときます(笑)
二人のやり取りもぼんやりしながら心地よくて。
いいなぁ、このセンス。
これ匿名とかだったら超恨みます(笑)
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:6)
- 結構好きです。
ちょっと浮き気味、かっこつけ気味かなとは思いますけど、文章洒落てました。好み。
終わり方も余韻がきいてて結構いい感じなんですが、ちょっと唐突過ぎたような。
全て思い出すようにして書かれていたのが、大きな伏線ではあったのでしょうが。
どことなくノスタルジヤ〜の匂いが。意味分かんねーってことでしたら単に僕の気のせいだということなので、その時はごめんなさいです。
- 67 世界一の小説 (採点:2)
- 皮肉はしっかりと効いてると思うのですが……
うーん、ごめんなさい、内容がそれだけに終始している感じで、正直楽しめませんでした。
もしかすると、それすらも作者様の計算なのかもしれないなぁと思いつつ。
- 68 両手いっぱいの花を (採点:4)
- 綺麗な文章で綴られる綺麗なお話。
少々浮世離れした会話も、よく雰囲気に合っていて。
でもちょっと綺麗過ぎたというか。入り込む隙間が無いために、少し離れた場所から物語を眺めて終わったような感じが。
上手く入り込めた人は良かったのでしょうが、うーん、僕にはそれができず。申し訳ありません。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:2)
- 男子たちの行動に嫌悪感が来てしまってどうにも。
絵とか確かにアホ過ぎて笑えるし、タイトルも面白いのですが……
- 70 アリス (採点:6)
- まず出だしがすごい(笑)
文章はとても上手で、前半なんて文単体で主人公の哀愁が。
設定も突飛かつ魅力的です。ヒロイン、愛し過ぎる。ラブ。
でも、着地の仕方がどうにも。あまりにもそこが普通過ぎて。期待してた分、あれれ? と。
トモさん欲しいんですけど、どうしたらいいですか?
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:4)
- 何これ(笑)
ちょっとあんた、動物園とかいくらなんでも唐突過ぎるって(笑)
オチの衝撃は今回一番かもしれません。
でも、それ以外の部分に特筆するようなところが無くて。
そこがちょっと残念でした。
- 72 月時雨 (採点:6)
- 上手いです。けどちょっと浸り気味で演出過多なとこがあるから、アレルギーな人も少なくないかも。
でも好きだなぁ。どっぷり浸かれました。
既にいない冬夜に語りかける春香が何とも切ないです。
普通ならただの「痛い奴」なのに、そうはならないのは、それだけ描写が切だからでしょう。
ただ、最後はちょっと拍子抜けした感じです。もっとしっくりくる終わり方は無かったのかなぁ、なんて。
- 74 魔女の岬 (採点:9)
- あー、これはいい。いい話です。すごくいい話です。三回も言いました。
上手いなぁ。プロットがあまりにも素敵。
文章もお上手なのですが、でも、この話の素晴らしさはとにかくプロットの部分にあると思います。
魔女をこんな風に使うんですね。ちょっと僕には思いつきそうにないなぁ……
気になったのは、主人公が魔女と会っていきなり言い放った台詞と、怒りの具合。年齢からすると随分と若く見えて。
あとは、序盤、ちょっと物語の速度がバラバラでついていくのがきつかったです。
まあ、そんなの読み終わった頃には忘れてるぐらい、素敵な話なんですが(笑)
- 75 夜の夜 (採点:7)
- 「ごっつ、しんどいわ」主人公の言葉通り、ごっつしんどい話のはずなのに読後そんなに滅入ることもなく。
もやもやしたものが残るけど、そのもやもやを楽しむための話のような。
一つ一つの会話や、正義の味方にならない夜の行動がすごくリアルで。
やっぱり死が見えちゃうと冷めた感じになっちゃうのかなぁ。
- 76 Another (採点:7)
- あー、まぁよくある話だなぁ。うん、悪くはないんだけどね。でもそれにしてもよくこんなど真ん中の超ストレート投げ込んできたなぁ幼馴染で互いに意識しつつなんて有り触れたネタじゃんよぅもうちょっと工夫とかあればなぁうんうん。
とか思ってました。思ってましたよ、ええ。
なのに、オチで、オチで――
くそ、コーヒー噴いた(笑)
騙されましたよちくしょう。でもとても気持ちのいい騙され方でした。ありがとうございます。
上手いなぁ。間違いなく、読者が「ありふれた感」を抱くことを計算されていたのでしょうね。そこを逆手に取るなんて、取ろうとするなんて。
結果的にはやっぱり「ありふれた話」なのですが、それをこういう風に見せるとは。素敵です。
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:2)
- あまぁあぁあぁあーーーーーい(笑)
痒かったです。特に終盤なんて、うがーーーー(笑)
こういう話、嫌いじゃないです。ふんわりーで。幸せーで。
ただ、ちょっと都合良く甘過ぎたし、終始感情の丸出しで何となく幼稚な感じを受けちゃいました。
自制の効いた文章を書くこと、それを心がけてみるといいと思います。
評価は辛くなってしまいますが、へこたれずにがんばって欲しいです。……って、偉そうにごめんなさい^^;
- 78 君が星を手にするとき (採点:7)
- とても綺麗な掌編。
どーん、と突出したものがあるわけではないけれど、安定してました。
読ませる文章で、打ち上げの瞬間にしっかりと読者のピークを持ってこさせるように。上手いなぁ。
そして親父。親父かっけー。
>「……私を超えて行け!」
の部分にちょっとわざとらしさを感じないでも。
てかこの作品、標準偏差すっげー小さそうなんですが(笑)
- 79 奥の細道 (採点:9)
- うわー。恐かったです。あまりにも不気味で。狂気的で。
妹は今は存在しない、もう亡くなってて、話のほとんどは主人公の妄想(夢?)でできてる、でいいのかな。
後半にあるいやに生々しい描写はやっぱり近親相姦を表してるんだろうなぁ。
煙草、煙に執着する妹から考えて、主人公の煙草が原因で家に火がついて焼死。多分、主人公に襲われてる最中。
主人公、命は何とか助かったけど、今もまだ目覚めずに夢(悪夢になるのかな)を見ている。(と、考えると、本当は妹死んでない、というのもありえそう。主人公がそう思ってるだけで)
だいたいこんな感じで解釈しましたが、まぁ、正直、これが合ってるかどうかはそんなに重要じゃなくて(笑)
分からなくてもいいと思うんですよね。それでも十分楽しめる。
作者さんも最初から、全部が伝わると思って書かれてはいないんじゃないかな、と。違ったら超ごめんなさい^^;
文章が素敵過ぎ。不気味さ、狂気的な雰囲気がよく出てます。センスすっげー。
それと、何と言っても、お兄ちゃん〜が続くところ。鳥肌立ちました。
匿名だったり、掲示板開かれなかったりしたら超恨みます(笑)
○くわね@まるち さん
- 02 黒船 (採点:6)
- 故事の引用を含め、直球で創作落語。
あまりに直球過ぎて逆にどうしようという気分に。
- 04 海神の矛 (採点:6)
- よくも悪くも淡々とまとめられた印象の作品。唯一、他の多くの同テーマの作品ではあまり超えられる
ことがない引き返し可能点がさらりと踏み越えられているのはかなり意外だった。
蛇足ながら、文中のLARPはLRRPの誤植ではなかろうか。ディティール命な芸風なだけに、惜しい。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:8)
- ラスト。ヒロインの女の子が、たぶんすごくいい笑顔なんだろうなぁ、と。
評点はほぼそのシーンが目に浮かんだことによるもの。
○じゅう さん
- 02 黒船 (採点:7)
- テンポのよい落語で面白かったです。
でも落語だけにオチはもっとエスプリを利かせて欲しかったです。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:7)
- 魔王という共通の巨悪がいなくなったことで、世の中が悪くなっていく、というところはアイロニックでよいです。
魔王となる決意から、だんだん勇者が真に魔の存在になっていく過程がやや強引なのが残念なところです。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:10)
- 横光利一の『蝿』を思い出しました。似ているというわけではないですけどね。
読むことに意味があり楽しめる文章です(映像化しても面白くない)。
余談ながら、この作品は縦書きのほうがより魅力的になると思いました。
- 09 テロリスト長沢 (採点:7)
- 馬鹿な奴と嘲笑うのはたやすいですが、なんだか他人事とは思えないような内面描写がリアルで良いです。
- 10 いろはの森 (採点:5)
- 時代がかった話し方と、現代的な話し方。方言と、標準語。それらが特に演出意図も感じられないままごちゃまぜになっていて、戸惑いました。
『蟲師』のような舞台装置は悪くないと思います。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:1)
- ナイトメアに関する独自設定に納得できません。穿った見方をすれば、
「彼女を助けるために、俺が犠牲になる!」というシチュエーションのためだけに都合よく合わせただけのような気がします。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:5)
- 高市くんの説明があるだけで、実際の二宮スミレのお姫様っぷりの描写が少ないと思います。
そのせいで、今ひとつ、彼女の魅力が乏しく、話もコメディともほのラブとも言えない微妙なものになっているようです。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:1)
- サキュバスというのは、夢精しちゃった男の子の言い訳から生まれた魔物ですから、あらゆるエロシチュが可能な便利キャラクターではあります。
が……。自分をレイプした女の子に優しく暖かい言葉をかける主人公というのが理解できません。その心境の変化がスッポリと抜け落ちているので非常に不可解な話となってしまっています。
- 24 結婚適文句 (採点:7)
- 人に散々迷惑をかけておいて、自分だけ幸せになっている主人公の外道っぷりが良いです。
- 25 マージアここに在り (採点:4)
- 人間には無害でマージアだけを切るナイフ、というのが
ちょっと便利すぎるアイテムですね。
SFよりファンタジーにしたほうが、納得できたと思います。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:7)
- お約束な話といえばそうなんですが、
「私」の一人称が面白く、お話を盛り上げてくれました。
- 28 Forest Note (採点:6)
- 作品世界はとてもいい雰囲気なのに、お話は随分とはしょられてしまったような気がします。
惑星の重力は伏線かと思ったのですが。
- 29 Blind (採点:5)
- 性に対する怯えと幻想と嫌悪が入り混じっているところに、
小六くらいの女の子が親の目を盗んでドキドキしながら読むお話、という印象を受けました。
経験がないのに好きでもない男との性行為に感じてしまうのはやや(お話として)出来すぎな気もします。
余談。彼女は性のタブーに関しては色々思い悩むのに、
飲酒のタブーはあっさりスルーなんですね(苦笑)。
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:7)
- 情欲に身を任せる二人の描写が、匂う様にエロチックで素晴らしい出来です。
今回のコンテストの中では最も優れていたと思います。
最後の死(物語上、意味が分かりません!)が無ければもっと高評価だったのですが…。
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:4)
- なんというかバラバラ
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:2)
- パクノダさん(仮)の自己中っぷりが鼻につきました。
自分の仕事の汚さと危うさを自覚しているのだったら、クウが非常に危険な立場にいるのは分かっている筈。なのにロクに彼を庇おうともせず、殺されたらキレて依頼者を廃人にする。これじゃ、パクノダさん(仮)も彼らと大して変わらない悪人です。
これでクウが死んだままなら、自分のやってきたことの報いを受けた、という意味のある話となったものの、都合のいいオチでめでたしめでたし――。うーん。
- 35 西と東、白と黒 (採点:5)
- 描こうとしたものはよいと思います。
しかし、東西どちらのパートも、結論に向かっていく流れがあからさますぎたと思います。
東パートを読み終わった時点で、大抵の読者は西パートが読めてしまったでしょう。
- 36 ソラアイ (採点:3)
- 作者さんには悪いですけど、この作品全体に漂う「嘘くささ」が、何とも鼻持ちならないです。点数が低くないのは、話のおおまかな流れはそんなに嫌じゃないからです。
現代日本を舞台にしていると思われるのに、義務教育中の女の子が働いて二人暮らしをしているというのは、かなり特殊な状況ですから、少し説明が欲しいです(福祉施設や、中学の先生、空の親等は何をしていた?)。
また主要キャラクターもよくわかりません。
空は、性交をしたり、好きな子が水商売をしているようだと聞いても、大して動揺もしておらず、随分ドライなのが気になりました。それから、堕胎の話を学校に上がる前の子供にするというのも、常識では考えられません。
それに対し、自分がいなくなればいいと、平気で自己否定する千春も恐ろしいですね。
雪美はといえば、妹のすぐ目につくところに妊娠検査薬を置いておいたり、水商売をするからと彼氏と別れたのに、その彼から仕事やめろとか、結婚しようとか言われると即OKし、人生を考えているのだかいないのだかわかりません。
実は「ソラアイ」とは「空々しい愛」という意味だったのでしょうか。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:5)
- 物体の運動を波動として計算した場合、古典力学によって計測される位置に最も高い確率を示しますが、どうやって都合よく目的の位置に観測するのかしら、ということと、
亜光速で等速直線運動をし続けているのならお互いの時間がゆっくりに見える筈ではないのか、ということが気になってしまいましたが、
こういうことは気にしないで読んだほうが楽しめたのでしょうか。
- 38 山田仁の行き先 (採点:3)
- それなりの世界観をお持ちの作者さんのようですが、
容量制限のためか、設定の説明が占める割合が多すぎて
お話の面白い部分を失ってしまったように思います。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:5)
- 私も高校生の頃、後輩の女の子にこんな教え方をしてたなあ、と懐かしくなりました。
この作品で挙げられたものの他には大勢の仲間でワイワイ騒ぐ金属結合や、孤独を愛する希ガス元素とか。
HClはイオン結合ではなく共有結合ですから、
洒落にするなら、そこも合わせたほうがよかったと思います。
ところで、市販の塩酸と水酸化ナトリウムは濃度が異なるので同量混ぜても中性にならないのでは?
ギャグには無粋なツッコミですけどね。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:7)
- グズグズグズグズ……。
根暗くんの心情描写が素晴らしいです。
- 45 おかえり (採点:8)
- 超自然現象を話の中に取り込むとき、
独自性を強調しすぎると、読者がついていけなくなり、
共通した認識のある現象では、興を乗せられなくなります。
この作品では、桜というものに対して、ひとが漠然と抱くイメイジを形にしつつ、独自のストーリーに無理なく組み込んでおり、その巧みさに感心しました。
よい“桜の精霊”でした。
- 47 ポテト (採点:3)
- 主人公の祐紀くんはなんとなく流されているだけでした。
何か一つ、作者さんの訴えたいことを示す言動をとらせて欲しかったです。
- 55 饗宴 (採点:2)
- まるで「この単語は○回使え」というノルマがあるかのように、
省略するところで省略をせず、指示語を使うべきところで使わず、徒に同じ表現を繰り返しているところが美しくないです。
- 61 山小屋語り (採点:5)
- んん……。暗闇や語り口調で折角雰囲気を整えておいたのに、何故それをぶち壊してしまうのでしょう。
危機に直面した状況で、何ひとごとみたいに自分の実況中継なんてしているのですか。
>生きたまま私の腹を裂くなんて、なんてことしよるんや。堪忍してえな。
これではギャグです…。
- 63 未来視の見る夢 (採点:6)
- 良くも悪くも「これだけじゃ物足りない」話でした。
しかし、この切ない物語を紡ぐには、規定の容量では足りないのかもしれません。
美しい文章を書ける方だけに、余計に惜しまれるのです。
- 67 世界一の小説 (採点:1)
- 「そりゃだめだろう」と思っていたら、本当にだめだったという間抜けなお話。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:4)
- ああ、タイトルと紹介文がヒント(答え)だったのですか。
オチである最後の一文が直截的な内容なのは失敗ではないでしょうか。分かっていることをわざわざ明言するのは野暮でしょう。
飛ばされる人間の法則がわかったところで「あ、コイツは」とニヤリとさせるのがキモだと思うので。
- 76 Another (採点:3)
- 最後に久美が妹であることを明かす意義が分かりません。
愛に強欲な女性を描きたいのなら、幼馴染と思わせたままで構わない筈なので、
やはり、近親者への恋慕の背徳性を描こうとしているのでしょうか。
しかし其れにしては爽やかすぎるような。
これが、例えばベッドの上の二人の会話であったとかいうのならば、ダークで面白いのですが(戯言失礼)。
○すなふ さん
- 02 黒船 (採点:採点なし)
- ちょうど良い箸休め、という感じで。やりとりがテンポ良く脳内再生されて、なかなかに楽しかったです。
斬新でしたし、好感は持っているのですが、個人的には、場にそぐわないかなあ、と思いましたので採点はしません(笑) たとえば短編集を買ったときにこの作が入っていたらショック受けると思うので。素直につけたら6点くらいでしょうか。箸休めですし、と過小評価しているわけではないのですが、過大評価もしづらく。
- 05 理屈じゃないこと (採点:6)
- あんにゅい。
あんまり閉塞感のない後退感っていいですよね。この空気感、好きです。
これはほんと、かわいそうかなあ、と思います。もろ被ってしまいましたもんね。私も某作品の影が振り払えませんでした。おねこんでは高得点つけておいて、今回この点数っていうのも不公平な気はしますが、相対評価でこんな感じ。
- 06 For tune the rainbow (採点:8)
- あ、よいです、この関係。不思議なタッチで、下手するとあざとくなったりするのかもしれないですけど、文章は妙に心地よかったですし、なにより二人のやりとりとか交感みたいなものが、少しずつ染みてきました。ありきたりな言葉を使うと萌えでした(笑)
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:1)
- 読み解けません!
ということで、1点付ける理由をいろいろ考えていたのですが、うーんうーんうなって各所の感想とか解説を見に行って、あれ、到達点同じじゃん、とか、ちがくね? とかなりましたので、読み解けたことにします(笑)(もちろん、読み解いたとは思ってません。ことにするだけです)
パズル的な楽しみ方をする以上の作にはなりえませんでした、私には。文学は人間を描くものだと――あくまで個人的に勝手に――規定するなら、この作は弱いんじゃないだろうか。人情の機微とか村人意識とか……犯罪とか死刑関連とか、そういうものが仮に入っていたとしてもです。適当に挙げたので、それらのものが入ってるとは断言しませんしできませんけど。
あるいはパズルを全部解いたら、ものすごい真理が降ってくるのかしら。ナイフを持った少年は青年の過去の姿で世界はくるくる回ってるけど猫になったらみんな幸せじゃん、とかまで行くのかしら。
- 09 テロリスト長沢 (採点:6)
- なんとなく阿部和重のニッポニア・ニッポンを思い出しました。と書くと文学志向の方から怒られるのかしら。どうしようもない主人公の内面を延々と見せられている割にはすらすら軽快に読めるのが不思議というか、作者の力量なのだと思います。題材はまあ、人を選びますよね。反逆は、もっと大きなところに向けられて欲しかったです、というのが個人的な見解。
- 10 いろはの森 (採点:8)
- むししみたいな世界。文体と、人物たちの語り口調(なんかいろいろ混じってましたけど)と、よくマッチしていたと思います。きれい。
なんとなく線が細いなー、と思うのです。好きな人は好きなのでしょうけど、かすれるくらい淡い作風か、あるいはもっと質実に描くか、どちらかに寄ったものが個人的には好きでした。多分に感覚的で申し訳ない上に個人的な好みなのですが、文体の軽重が微妙でした。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:5)
- 次ページ以降の展開に加点です。まんまな感じで落とさなかったのは、サプライズとして非常に有効に効きました。ただ、前半の長説明が、もう少しなんとかならなかったものかなー、と。ただ、ああいう語りでツボに入る人もいるので、賛否分かれるのでしょうけど。お話の作り自体はとても好感が持てました。予断を与えるのも、効いていると効きますねって当たり前か。
これは触れておかないと作者さんにとって意味無いと思うので。
タイトルの使い方ですが、これはちょっとなあ、と。否定派です。別に容量稼ぎとかそういうのは、この作の場合いくらでも削れるでしょうからいいんですけど、ただ、タイトルってとりあえずはIDなんだ、というのが私の考え方で。もちろん単なるIDにとどまるものではないでしょうけど、正直引きました。
- 16 さくら (採点:7)
- 綺麗で、書き慣れてる。ダークとしてよくできていると思いました。結構好きです。とはいえ、生理的にはこの作品が上に行くのもいやだし、下に行くのはもっといやなんですけどね。
というか、ん、もしかして桜に憑かれてるのは主人公なのかな。同棲相手は桜の精、なのか‥‥。とか。
- 21 雪国 (採点:5)
- お、終わってない‥‥。
最初の数十行はすごく良い感じで、文体なんてとても好みだったのですが、ファンタジックになり始めてなんとなく雲行きが怪しくなり、あれ?という感じでした。
途中から、おそらく多くの方が銀河鉄道をイメージすると思うのですけど、きちんと差異化を図ってあったのは良かった。良かったのですが、やっぱり落ちてない。不条理感を残すのが悪いのじゃなくて、うーん、作中の男の理解が唐突で、怒りがやはり唐突な気がしたのです。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:4)
- 期待点も含めて。
素直に良いラノベになる予感がします。あとは、ちょっと手慣れてない感じの文体が、何か自分の味があるテクストになれば。今回、なにげにキャラが立ってないものが多いので、逆に新鮮でした。面白いと思うんだけどなあ。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:4)
- それでええのだろうか(笑) や、ホームラン狙っていたと思うので、この落とし方はアリかと思います。文章自体は手慣れている感じですので、キャラがツボにはまれば――無念。多分に男性視点からで申し訳ないのですけど、女の子の内面描写が、なんだか、しょぼん、としました。割と典型で喋らせているような感じでした。
- 24 結婚適文句 (採点:9)
- 穴がない、という点で素晴らしい。非の打ち所がありません、が、それって手放しの褒め言葉じゃない気がします(笑) んーと、ことごとく要素がえろげ的なんですよね。フィクションだから、もちろんそれでいいですし、むろん面白かったのですけど。調和しているというか狂ったところが無いというか、とはいえ直しようもないのでぬむむ、と唸りつつ8点。
- 25 マージアここに在り (採点:4)
- なんとなく火の鳥を思い出しました(笑)なので、あの脚みたいな植物を想像しながら読みすすめてました。ついでに、あの手塚治虫が描きそうな、つるりとした顔の女性を思い浮かべつつ(笑)
どう種明かしをするんだろうなあ、と思ったら、タネを明かしなおかつナナを死なせてしまう、という一石二鳥のものでしたね。ただ、うーん、あまり感動的(というと語弊がありますけど)ではなかったな、という印象でした。文章全体についてもそうです。質実な文体は好感が持てるのですが、ラスト近辺に関しては、もっとあざとく、感情に訴えるように書いていただければ、と愚考する次第です。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:3)
- もうちょっと、読者を気持ちいいくらいに酔わせてくれないと、この種の物語は難しいと思います。作品がときおり、ちらりと見せてくれる世界はとても魅力的なストーリーでしたし、壊れた構成も好きなんです。わかりやすくしなくても良いので、もう少し洗練された文章であれば、と思えて残念でした。キリストを出したところだけは、ちょっとあざとかったかなあ。
- 28 Forest Note (採点:6)
- 文章がとても好きです。だからなんかもったいないー。世界もよく描けていて、視点も優しくて、だからあと一点、安易に持って行ったのががが!
(ここでリストを確認しに行く)
容量はありますよね。ということで、もう少し彼らの、あるいは両親の、あるいは父との、絆を描いて欲しかったです。別離に心動かされるのは、やっぱりそれまでの積み重ねがあるからこそなんだと思うんですよ。今作は、着地点に向けて、とにかく急いだ感じがしました。いい感じなのになあ。
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:6)
- 『夏祭りの『な』ぁぁーーーーーーー!!』
ここで笑ってしまったので私の負けでした(笑) その後の展開も面白かったです。確かに文章はそのものですけど、単なるギャルゲー風味に落ちなかったのは○。
- 35 西と東、白と黒 (採点:5)
- 西の主人公はそれで納得できるの?というのが第一感でした。価値観の裏に切り捨てられたものを描きたい、というのは理解できるのですが、それが感情的なものとして伝わってこなかった。ですので、最後の畳みかけるような短文の連発も、私には不発、という感じ。冷静な筆は、成功している部分と、読者を動かしづらい面とがあって、今回はちょっと効いてないかなあ、と思います。アイデア的に、なるほど、と思わせれば勝ちなのでしょうけど、惜しい。
- 36 ソラアイ (採点:3)
- 決して嫌いな訳ではなく、むしろ好きな作かもしれません。屈託のないキャラクターたちには、変にドロドロ悩むキャラよりもよほど好感を持てました。発想の飛躍も、ある意味中学生っぽいのかなあ、とも思います。
やはり、リアリティには幾分か欠けました。子どもだけの二人暮らしなど、背景については、大嘘ついてもいいから、ある程度は納得させて欲しかったです。
- 38 山田仁の行き先 (採点:8)
- 落ち着いていました。素直に良い話、で良いかと思います。真っ当な作は、それだけで強い。
- 42 焚火 (採点:3)
- 惜しいなあ、と勝手な読者は感じます。余韻や、淡々と進んでいく筆は好きなので、あとはもう少し読者に引っかかるものを作って欲しかったです。具体的には、たぶん、エピソードが足りないんだと思います。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:2)
- 「ひぃ!」に笑いました。
なんだか、まとまっていない感じがします。結論もそれでいいの?という感じで。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:9)
- これは唸りました。真っ当な小説ですけど、きちんと完成させるのはまた難しい。飾らずに伝えたいことを過不足無く、技術、内容ともなって高レベルに描いていたと思います。最後に後日談、という形で語らせるのが、また印象を良くしていました。
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:6)
- ちょうど最近『薬指の標本』という作を読んだばかりで、なので、いろいろと身体の欠損について考える機会がありまして、それを元にいろいろ考えながら読んでいたのですが、不満だったのは、彼の悩み、そして吹っ切れ具合があまり描かれなかったことかなあ、と。直接に描くのはむろん引くのですけど、伝聞形式のせいかは分かりませんが、遠かったです。霞んでいました。
高校卒業して、即審査できる立場にって、無茶じゃないかなあ、と、細かいつっこみを。出版社勤務か、あるいは作家デビュー後に選評者か、ひょっとしたら下読みバイトか、そのいずれだったとしても、ちょっとロケフィン読む立場になるのは難しいのでは。
- 47 ポテト (採点:4)
- 散漫としてるなあ、というのが第一印象でした。そういう狙いなのでしょうが、散文的なスタートで、いつの間にか女性と仲良くなり、差し挟まれたネタは笑い難く、あっという間に衝撃的な告白を残して居なくなる。何かを感じるべきなのでしょうが、暗黙の了解事項が暗黙過ぎて、読者には触ることができなかったです。
- 48 タクシー (採点:4)
- ハンドルを左に――――――!の一文が妙におかしみがありました(笑) 文章的にはぎこちないと思うのです。が、それが味になっていたように思います。そのおかげで、というのもなんですが、あまり深刻な気分にはならずに済みました。
しかし、借金不幸系多い気が‥‥。
- 49 バレンタイン事変 (採点:6)
- いやー、面白かったです。混じりっけなしのコメディですが、やけに新鮮に見えました。しかし、この手のって本来はモテナイ系のお話のはずなのに、登場人物の男どもは許せませんね。けしからんですね。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:7)
- ダンドー‥‥というのは置いておいて。
文体好きです。ただひたすら、チャコと世界を共有した、という話ですけど、空気感抜群でした。
- 51 夏の風 (採点:2)
- ほのぼのなので、とりたてて何か言うのも野暮ですけど。
決して悪いわけではないのです。が、良かった、と他と差別化できるほど抜けるのは、なかなかこの分野では難しいと思いました。
- 52 豚 (採点:6)
- 面白かったのですが、後半萎えました。私もあなたも、社会全体もみーんな豚、というのがあまりにもなんだか、着地点として安直な気がして。抜ける素地があっただけに、なんとなく無念です。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:7)
- 骨太ですね。文体のせいで、つい、格好つけてるなー、という主人公に見えてしまうのですが、最後までなかなか格好良かったのでよしです。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:7)
- 保健室はアッパーなのか(笑)
端的に言ってしまうとモラトリアム不安定感で疾走しているだけの物語のような気もしますが、そこの部分が好みな感じに仕上がってしまっているので加点せざるを得ません。あやふやな感覚を感覚のままとどめて修飾するセンス、羨ましく。
関係ないですけど、非常口表示の『彼』(人影が走ってる絵)、彼はいつもどこへ走っていくのだろうと想像して、常々吹き出してしまうのですが、今回もタイトルを見て、オレンジ色背景の彼を想像して、吹き出しそうになりました。そしたらラストほんとにオレンジ色に。がーん。
- 55 饗宴 (採点:5)
- 人間って知らないものはイメージできないんだな、とふと思ったのは、場面がことごとくどこかで観たものに置き換えられて展開していったからです(笑) 読者の貧困な想像力を笑ってください。
で、ビジュアルをきっちり示せているという点で、この作は一つ強みを持っていると思いますが、いかんせんお話というものではないですよね。書きたかったのは創世?輪廻?メタ世界?なんでもいいのですが、あんまり読み解く気にはなりませんでした。ただカメラがあって、カメラをゆっくり回しているだけの作品。たぶん、少なくとも物語ではない。
文体でハッタリ掛けよう、という作戦は成功していると思います。が、名指しアリのシステムでは損する作品でしたね。なんせ、予想外に読みやすかったので(笑)
実は、紹介文読んでません。で、読み終わってから紹介文に戻って、この使い方は卑怯なんじゃないかなあ、と感じました。本文には関係ないですし、私の勝手な印象なのですけど。
- 56 Show must go on. (採点:5)
- ネタばれてしまうときついなあ、というのが第一感です。あとの尺全部が居酒屋での思い出話に費やしているので、読者としては追確認をしているような気に。描写も少なめな気がしますしね。
- 59 Day after tomorrow (採点:2)
- 長い台詞での背景説明は苦し紛れなのでしょうけれども、安い。二人称のようにもとれるけれど、基本的には完全に一人称小説で、いちいち自分が自分自身に説明してくれるような文章ってどうも合わないんですね。
内容も、普通のボーイミーツガールを超えられず、という感じに見えました。明後日?と読み返して、ああ、なるほど、と一応は納得して、さて、彼女の身に何が起こったのだろう、と考えて。
うーん、いずれにせよ、あまり思い入れは‥‥。
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:2)
- ちょっと読みづらく感じました。これは多分に読者の方の問題なのですが、状況整理の仕方が、私の感覚と少しずつずれていて、場面把握が難しかったです。スムーズでなかったというか。
1万2000円は高すぎるよね(笑)
うーん、キャラ同士の掛け合いを見るべきなのか、シチュエーションを楽しむべきなのか、いずれにせよちょっとパンチ弱かったなあ、というのが感想になってしまいます。申し訳ないです。
- 61 山小屋語り (採点:採点なし)
- するりと逃げられた感じがしてもどかしいというか、読者としても正面から向き合いづらい作品に感じました。婆さん語りが延々と続いているなあ、と思ったら、実は!というのは驚かされましたけど。女性若いんですね。
刺激されるものはあるのですけど、内容なのかこの時代がかった語り口なのかが判別できない。読者の中に、ある種のマイナス感情を呼び起こす、というのが目的であるのならば成功していると思います。
- 62 格闘少女 (採点:3)
- 語り口軽妙。
切り口がどことなく自作と似ているので、やりづらいのですが‥‥。
結局『アイツ』の素顔が全く見えてこないのがこの物語の最大の弱点だと思います。小母さんが懺悔、後悔しているように「見えた」のも、アイツがどう「答えた」のかも、全て語り手の少女の思考なので、もう少し説得力があれば、と。容量は余ってるようですし(なかなか難しいでしょうけどね)。この文体ではキャラ小説の皮を脱ぐのは難しいので、彼女の生き様をメインに語る以上、伝聞型のみで物語を描くのは無理があったんじゃないかなあ。
- 63 未来視の見る夢 (採点:8)
- 完成度高いのかどうか。なんとか、もちろん描きたい部分であるのですが、その感動要素を混ぜ込めた、という感じに読めてしまって(作者視点ですいません)、なんだかツギハギした作に見えました。とはいえ、語り口も視点も面白かったです。作りはともかく、二人の意志もまっすぐで心地よかった。
もっとゆったりと書かせてあげたかった第二弾ですね。
- 64 ブランコ (採点:2)
- 彼氏家出る前に電話しろよ(笑)
ほのぼのできました。ただ、待っている彼女の内面を描いただけだとちょっと弱いですね。短いですし、強烈なキャラ付けでもありませんし、文体で魅せる、という感じの作でもないでしょうから、79作の中に埋没しちゃった感じです。
- 65 金曜日のつめきり (採点:10)
- 抜群の予感がします。洒脱ですね。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:4)
- 綺麗です。ノスタルジーは勝ちやすい素材だと思いますし、それに見合う筆力はある。もっとも場面がぽんぽん飛んで、把握しづらかった面はありますけど。読者は割とアホなので、もう少しペースを落としてくれるとありがたい。
点が伸びないのは、私に何かを残せなかったからですが、何がダメだったのだろう。ありがち、というのもあるし、お話としてなんだか普通に終わった、というのもあるかもしれません。あるいは、綺麗に描きすぎ、ストーリーに一個の人間の思想みたいなものが見えなかったからかもしれません。
- 67 世界一の小説 (採点:1)
- アイデア一閃、の辛いところです。ちょっと安直だった気が。
いかんせん、小説を題材にしたのが拙かったかなあ、と思いました。これが絵画とかムービーとか、もう少し自分たちが居ない分野が題材であれば、あはは、と笑えたのかも。
- 68 両手いっぱいの花を (採点:4)
- 普通、と言ってはなんですが。文章は巧みな方だと思うし、描くべきは描いている。ただ、そこから一歩話として出るものがあったか、というと難しいところです。生死を直にテーマにしたものなら、たとえば前回の『ローランダ、空へ』などが話としてよくできているのですが、それらから比べると、一本調子で、まさに予定調和。天国へ、のくだりは、なんだかおとぎ話っぽいなあ、なんて感じました。
どことなく日本的な感じも受けました。花鳥風月とか。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:7)
- アホだ(笑)
文章で、ふと浮遊感が生まれるって不思議ですよね。壁面が床な感覚をさっと持たせられたのは面白かったです。なので、途中で部長が示した図は、少し不満かな。自分たちを中心に描いてくれれば良かった。
あと、一般相対性理論云々は蛇足でしたね。
- 70 アリス (採点:10)
- 完全にキャラものなんですが、大好きです。嗚呼パンキッシュゴシックロリイタガール。いやもう、大好きです。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:2)
- 読者になんらかの前提を委ねているのだと思うのですが、典型日本人の私には国土が分断されることが実感として薄いので、解決編だけ見ても納得しづらいのです。統合(?)が果たして良いことなのか悪いことなのかさえ、判断しづらい。晴れた日に動物園に行きたかった、というのは同意です。ていうか、行ったらあかんの? ラスト一文に至るには、数エピソードごそっと抜けてる気がします。
- 72 月時雨 (採点:1)
- 告白すると、文体がまったくうけつけず、「読みましたが‥‥」というレベルでしか読めていません。これ、文語文で書いてあればむしろ好きになったと思うのですけれど、なんかちぐはぐでした。作者氏は勝負に出たのだと思いますし、筆を変に気取る、あるいは逃げるよりはよほど好感なのですが、合わなかったので本当にすいません‥‥。
- 74 魔女の岬 (採点:8)
- うん、快作。胸に残るものがありました。この作の後ろ配置ってやだなあ‥‥。
で、物語の構造が分かりづらかったのが難点です。バランスもテンポもちぐはぐな感じは受けましたけど。
- 76 Another (採点:2)
- 雰囲気良かったです。ねらい目をあざとく感じてしまったのが残念でした。
あ、オチは衝撃的でした(笑)
- 78 君が星を手にするとき (採点:6)
- ああ、これは。
宇宙開発はロマンです。個人的にいろいろな思い入れがあるので、すっと読めました。題材、登場人物の心情の機微、タッチ、みんな好みであっただけに、最後、物語が急角度で上っていけなかった点が惜しまれます。今回、一番尺を上げたくなった一作ですね。ゆったりと、背景まで含めて描くだけの余裕があれば、あまり気にはならないと思うのですが、ちょっと臨場感に欠けましたね。結果、カタルシスを感じるには一歩及ばず、という感じで。
- 79 奥の細道 (採点:9)
- べらぼうに上手いと思います。テンションコントロールも文章それ自体も。
あとは、小説が示す内容ですね。ホラーホラーしているものより、よほど出来が良く思えます。というか、個人的には難解でほのめかすくらいでちょうどいいんだと思いました。犯して殺して(でいいんでしょうか、そもそも‥‥)迷路にはまりこんで、さて。というところで終わっているのがちょっと残念な気もしますが、詰まらない正義や変な後悔を見せられるよりはよほど好感です。ただし、そこが今後の課題になるのだろう、とも感じました。作者さんが正面切ったものを書けるのかどうか、ですね。
さて、実際に主人公が居るのはどこなんだろうなあ。
○のど さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:6)
- 少し難解な絵本、そんな印象を受けました。
故に、文章だけではどうしてもこの作品の世界が想像できず、読後になんかしっくり来ません。
短編、しかもオリジナルという枠組みですから、その中で話の設定、舞台、背景をいれるのは至難なことだと思いますが、文量からみるとまだ何とか出来たような……。
でも、この作品に設定などの解説を入れてしまうと作品の空気を壊してしまうような気がします。
好きな作品ではあるがもったいない作品でした。
- 02 黒船 (採点:7)
- ちょいとここらで小噺を一つ。テンテケテンテケテケテンテン。
そんなBGMと共に聞きたいお噺です。
うん、これは小説かなと思いますが、有りなのでしょう。アイディア勝ち。
二人の掛け合いも落語家さんの語りを聞いているようでよかったですし。目を瞑ればそこに落語の席があるようでした。
あ、でも、目を瞑ったら読めなくなるか(苦笑
何はともあれ、斬新かつアイディア賞でした。
- 04 海神の矛 (採点:5)
- それはヒトが持つには過ぎたる矛だったのだろう。
極限状態に陥ったヒトは自分を殺すか、自分を壊すしかないのだと思います。
そういった考えは見え隠れしていたのですが、物語とするとなんとなく物足りないような気がしましたので、うーん、微妙。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:1)
- うーん。
物語を淡々と語っている感じ。
ぶつ切りした作品を聞かされても正直きついです。
- 09 テロリスト長沢 (採点:2)
- ふむ。
タイトルからコメディと予想したのだけど、いい感じに裏切られました。内容は別として。
文章は上手だなぁ、思いました。ただ、主人公に共感できませんでした。読みほぐせない。
こういった精神破綻系なら自己の理屈だけで塗り固めるのでなく、ざるのようにどこか抜けている精神破綻のほうがすんなりと話に入り込めたと思います。
同じタイプの作品があるだけに、どうしても比較してしまうので評価がより下がってしまった。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:4)
- 命短し悩め若人よ。
前半から中盤にかけてのくだりは読んでいて引き込まれました。
ただ終わりに進むにつれて、「ああ、結局そこに落ち着くのね」とがっくりしました。
話の進め方から見ると、真っ直ぐな感じで終わらない風だったので、その辺が残念。
フォークを投げたつもりなのに落ちなくて棒球になってしまったと言うべきでしょうか。
文章の上手さが際立った分、非常に残念でした。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:2)
- うーん。
盛大な前編におまけな後編な感じに思えました。
タイトル前に物語の全てがあるのだと思うのですが、後編の短さにどうも割に合いません。後編の質が低いような気がします。
ナイトメアの説明の長さに少しうんざり感も。もう少し短くしてタイトル後のお話に実が欲しかったです。
あと、タイトル。なげぇ。
インパクトがあって目を引きましたが、話を読んでみるとこのタイトルに意味があったのかと思いました。なんとなく肩透かし。
- 18 生命 (採点:3)
- スクロールをすればそこにタイトルがいる。
なんか人生絶望系がやたら多いなぁ。
どうせ絶望するならコメディに絶望するなり、とことん突き詰めたりして欲しかったです。中途半端は嫌です。
- 20 今日見る明日 (採点:6)
- 幼馴染バカップルコースでよろしいか。
ワンパターンといえばワンパターンなのですが、この辺りのワンパターンにははずれがない。洗練された王道でも言いましょうか。
目新しいのは何一つないのですが、かといって非難するところもなし。
うん、いいな。作品の空気とか読了感とか。
- 21 雪国 (採点:2)
- 問題を提起して投げっぱなしのジャーマンスープレックスをされても困ります。
『起承転』までいったなら『結』もつけて下さい。
この話はここからが肝だと思います。それなのにそこでジャイアントスイングされると痒いところに手が届かないもどかしさにいっぱいになってしまいます。惜しいなあ。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:2)
- ラストを投げっぱなしジャーマンスープレックスにするのはいけないと思います。
まあ、結局何が書きたかったのかが分かりませんでした。
どこへ向かうのか、どこに落ち着くのか、どこで終わるのかが分からず、ぐだぐだしたところで「ああ、終わったなぁ」って感じです。
- 24 結婚適文句 (採点:7)
- なんかもう、笑った。もうそれだけ。
ノリと勢いと作品のインパクトがとても強く、読んでいて所々のユーモアに笑わされた時点でわたしの負けです。
あえて言うなら、主人公、ヒロインのキャラ性格設定がありきたりだったところでしょうか?
こういったドタバタプロポーズ話では男=暴走、女=冷静にカウンターが常ですので、二人にもう少し斬新な設定が欲しかったです、贅沢なお話ですけど。
でも、主人公の相談相手が主人公以上に暴走しているのは新鮮でした。そこは読んでいて新鮮さを感じました。
- 25 マージアここに在り (採点:8)
- ああ、なるほど。
マージアの存在が出たところで彼女の正体は分かりましたが、それでも良かった。現代風鶴の恩返しというところでしょうか?
何に対しての恩返しとかはないですけど(w
うむ、これは深い。さらっと読めてしまうが、根底に深いメッセージ性が含まれているような気がする。
まるで人種、国籍、宗教で争い続ける人類への柔らかな皮肉。
作者様にその意図があったかどうかは分かりませんが、読了後に心に残る作品でした。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:4)
- なんだろう。さっぱり読めなんだ。
面白いのに読めなんだ。
難解すぎてわたしの2ビットの脳みそはついていけませんでした。
- 28 Forest Note (採点:5)
- エンドレスワルツ。
綺麗なお話でした。空気感は素敵でしたけど、父親との回想のくだりでなんとなく展開が読めてしまったのが残念。
時折見せる心に響く表現が素敵だったので、予想をいい意味で裏切る展開が欲しかったです。
- 29 Blind (採点:1)
- んー、どっかで見たことあるような気がする。
話の展開的には好きなんですけどね。
でも、同じ展開をした似た作品を見た記憶が脳みその隅っこで主張してきます。
いやね。冒頭のくだりとか、ラブホテルのくだりとか、別れるくだりとか。ほとんどデジャブに近かったです。
故に評価を下げさせていただきました、ご容赦を。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:6)
- コメントしづらいけど、面白かったです。
専門用語的なものは粒ほども理解できませんでしたが、フィーリングがあいました。
なんというか、この男女の組み合わせが物語にあっていたと思います。
エッチなんだけどエッチとは感じさせない。その辺りがとてもいい感じでした。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:4)
- 化学の知識がないため、よく分かりませんでした。お話は面白かったんですけど。
それにBLならば、とことん突き詰めて欲しかったです。中途半端は嫌。
後、話のテンポが良いのか悪いのか微妙です。化学式はあー、うん、賛否両論でしょうですね。
- 41 No River to Cross (採点:8)
- 不思議と情緒感があるお話。
とりわけ目立つところがないけど、じんわりと染み渡ってきます。
何もないからこそある、何もない良さが十二分に出ていたと思います。
- 42 焚火 (採点:9)
- テーマが重い。でも、そうさせないのは文章力がさせることなのでしょう。
結構すんなりと話に入れて、すらすらと読めました。
文章量が少ないのは難点なのかもしれませんが、でもこの話はこれくらいが丁度いいのかもしれません。
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:9)
- ご馳走様でした。
や、好きです、このマッタリ感。
温水プールで浮かんでいるような空気。
単純に好きです。直感で好きになりました。
文法やら、文章力やら、構成やら、表現やら、そんなことはどうでもよく好きです。
ただ、ラストの『再開』が誤字なのかどうかが気になってしまったのでそこだけマイナス。
- 48 タクシー (採点:7)
- うは、やられた。
完璧にやられた。
正直最後のシーンまではあんまし期待せずに読んでました。
それなのに、それなのに、最後のシーンで完全にやられました。
物語としてはオーソドックスなんですけど、むしろそれが最高。
よき読了感でした。
- 51 夏の風 (採点:3)
- ただなんとなく始まって、ただなんとなく終わってしまった感じ。
爽やかな風が、すーっと流れていって、気づいたらもう無いような、良いのか悪いのか非常に困ります。
ただ内容が無いようと古典的ギャグを言いたくなるぐらいの物語なので、空気だけでなく物語のしっかりと作ってもらいたかった。
- 52 豚 (採点:8)
- 昨今の犯罪者の心理はこういったものなのでしょうか?
犯罪を犯す人の心理状況は常人では計りきれないところにあります。それなのにテレビに出てくる勘違いしたコメンテーターが普通の正論を話しているのを見ると、犯人にとってそんなことはどうでもいいことなのだろうと思ったりします。
故に、唸らされました。楽しいとか面白いとかそういうのを超越してよかったです。
ただ、主人公が殺人にいたる動機が拙速すぎたところと論理破綻性に欠けていたのでその点がマイナス。
もう少し、殺人に至る経緯に破綻が欲しかったです。
- 55 饗宴 (採点:10)
- 解説とか、そんなものはどうでもよい。
唯一ついえることは、ありがとう。
面白かった。難しかった。目の奥で花火が打ち鳴らされた。それぐらい面白かった。
はじめは理解しようと思っていたけど、それを諦め物語の情景を脳内で構成していった瞬間。何かがはじけました。
中世辺りの語り部が世界の始まりと終わりを民衆に叫ぶような世界。
自分の語彙の少なさが恨めしい。
文句なしの十点でした。
- 58 飽くなき赤色 (採点:5)
- 破綻しているようでなんとなく繋がっていて、繋がっているようで破綻している。そんな感じの作品でした。
うーん、なんとなくしっくり来ませんでした。
精神の破綻具合はいいのですが、自分の嗜好と合わなかったのか、どうもダメです。
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:5)
- 派手な下着を勝負下着というけれど、男からしたらそんな下着ドン引きだよね。
正直、可もなく不可もなく。
彼氏への秘密⇒浮気かよっ⇒ミスリード⇒実は誕生日プレゼント
よくあるパターンではありましたが、楽しめました。オーソドックス万歳。
けど、最後の◇以降は余計かと。その辺がもったいない。
- 62 格闘少女 (採点:2)
- 冒頭がメインで後は単なるおまけって印象を受けました。
とりあえず、何も説明がされてなかったら主人公は男の子だと思いました。
キャラの掘り下げもイマイチ。折角面白い性格の子がいるのに――けど、死んでんだけどね。
コメディで落ち着きたいのか、シリアスで落ち着きたいのか優柔不断。
アイツがユーレイになって、コメディタッチに進んでくれたほうがまだ良かったかも。
- 63 未来視の見る夢 (採点:3)
- 完成度が高いけど、頭痛い。正直理解するのに一苦労です。
優しい文章で気軽に読める分、難解な物語に置いてけぼりにされる自分がここにいます。
あとはコダマとタマキ。読んでいて最初は二人とも女だと思ってました。読んでいくうちに、「あれ、コダマって男?」と自分勝手にミスリードしてました。先入観怖い。もう少し男らしい名前にして欲しかったです。
物語の完成度が高い分、読み手に対する不親切感も微妙。
未来視と現実との物語なのだから、時間設定だけでも章区分にして読み手に分かりやすくしてもらいたかったです。読み手としての単なる我侭なんですけど。
もっとわがまま言えば、短編でなく中編ぐらいで読みたかった。
- 64 ブランコ (採点:3)
- うん。これはどうしよう。
いや、読んでいて女の子は可愛かったんですが。けど、それだけだし。
これからの物語が期待できるか、と言われると。これからどう繋げられるかも分からないし。
非常に評価に困りました。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:3)
- 空気感と物語があってないような気がします。
嫌いではないけど、好きとも言えない。難しいなあ。
全てにおいて唐突過ぎて、なんとも歯の隙間に玄米が残ってしまうような変な読了感でした。
- 67 世界一の小説 (採点:6)
- 一人よがりもここまで来れば喜劇である(褒め言葉
読んでいく内に後ろで誰かが私の書いている作品を見て苦笑しているのではないかという錯覚に陥りました。
創作活動へのアンチテーゼというか、なんというか。
物語を書き終わった後の「おお、いい作品が出来上がったっ」という気持ちにむかってシャイニング・ウィザードをかましているような、そんな読後感。
や、これ好きです。意味も理由とかも何もないけど、本能で好きです。
- 70 アリス (採点:7)
- んー、ラヴィだ。
多分こういうのがツンデレというのだろうな。ツンドラでなく。
中学生の恋愛としてはなんとなく大人っぽいかもしれないが、でもその辺りのアンバランスさが中学生なのかもしれないですね。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:4)
- この世界観は好きです。
ただ、そこから広がりが無かったのが残念でした。
折角面白い設定があるのだから、もう少し物語にかましてくれたら良かった。
非常に微妙です。
- 75 夜の夜 (採点:6)
- 表の表情と裏の声。本音と建前は表裏一体でいずれは嘘もホントになり、ホントは嘘になる。
テーマは「死」なのに、それを感じさせない文章。方言ってずるい、でも良い。
「死」は未来永劫難しいテーマだと思うのでこれに挑戦した作者様は立派だと思うけど、根本的なテーマの解が見えてこなかったのが残念かな。
- 76 Another (採点:1)
- さて、これはツンデレなのか、ツンドラなのか。後者はまず違うか。
とりあえず、プロローグだけで終わってしまったような気がします。『起承転結』で言うなら『起しょ』まで。
もったない、正直もったない。ここからがドラマのいいところだと思うのデスが、ここで終わってしまったのがもったない。
ここまでの物語が良かっただけにがっくり感の分だけマイナス。
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:5)
- 難しい。
喉の奥に秋刀魚の小骨が刺さっているような読後感。
妄想話と現実の割合が逆だったらよかったのかもしれない。
恋愛のお話としては面白かったです。ですからその言いようのないすっきりとしない読後感が気になりました。
- 78 君が星を手にするとき (採点:6)
- そこで終わるのかっ!
でもいいなぁ。男の夢って感じがびんびんに伝わってきます。
もしかしたらもしかしたらという、どんでん返しがありそうでなかったのが心惹かれました。
まあ、ここでロケットを爆発させたら目も当てられないです、ジェーンが。
- 79 奥の細道 (採点:3)
- ミステリー調独白。
けど、何を書きたいのか。何を言いたいのか。何を伝えたいのか。その意図が見えなかった。
物語の焦点がぶれ気味。その辺りが物語を読んでいて、今ひとつ楽しめませんでした。
○ふうがみこと さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:6)
- 雰囲気一発の優しい話だとは思うのですが……
あまりにもインナースペースを垂れ流しすぎちゃったかな。気に入る人もいると思いますが、残念ながら私にはあまり合いませんでした。
会わなかった点は、主人公達の設定を明言せずにいて、しかも通常とは違った姿形にしちゃったところでしょうか。どちらも明示しない必要性が見出せなかったのです。
このような雰囲気一発の作品であればこそ、読者の内面を崩さないようにすることが肝要で、作者さんのイメージの押し付けにならない配慮が必要だと思います。姿形に作者さんのイメージを用いている以上、明言しようがしまいがそれは既に読者のイメージじゃないのです。読者とは違ったイメージが中心に据えられているからこそ、明かさないだけの理由を読者に感じさせることが大切だと思いました。まぁ、ひょっとしたら何らかの神話にそんな姿形があるのかもしれませんが…
変なこというと、世界に関わらせずに長生きする鶏やペンギンにしてもよかったかな、何て思っちゃいました。
- 02 黒船 (採点:7)
- いや、上手いですw
でもなんというかなぁ、落語調にしているのは面白いし狙ったとおりだと思うのですが、個人的には同じ内容を小説的に読みたかったなぁ(これが小説では無いというわけではありませんが……。なんと伝えればいいのだろう。うう、難しい)。
落語は間の取り方や音の強弱のある「語り」があってこそ真価を発揮すると思うしね。文字にするなら文字ならではの面白みに特化してもらいたかったところです。
いや、ホント、面白い話だったんですけれど、ちょっと物足りなさと、私がこのこんぺに期待していたものと方向性が違ったのですよ。ごめんなさい。
- 03 遵守 (採点:3)
- 恐るべき個人主義。キャラクターではなく物語の底に横たわるものが。その所為でちっとも心に響いて来ませんでした。作者さん自身がそのことに自覚無く、違和感すら憶えていないとしたらマジで恐ろしいな、と思ってしまったり。
それに話の筋は夢幻紳士で読んだことがあったからなぁ。もちろん、夢幻紳士の話もとある童話を見チーフにしているんですけれど。
つうか考えてみれば能力や状況とか、夢幻紳士そのままですな。上手く料理してあるのならば別に構わないんですけれど、どうしても比べると見劣りしてしまう。作者さんはおそらく知らないで書かれているのだと思いますが。
感情的にちょっと辛めに採点しておきます。
- 04 海神の矛 (採点:5)
- うーん、これで終わっちゃうのか。安易に答えを出すよりも好感は持てるけれど、それじゃあ何のためにこの作品を書いたのか、って話になっちゃうなぁ。と、読者の勝手なESP。
失礼ながら、題材としてはかなりありきたりだと思うのです。だからこそ、こういったお話は作者自身の考えを込めなければ意味が希薄になっちゃうと思うのです。「この作品じゃなきゃダメ。同じ題材でもどこか違う」と読者に思わせないと。
神風を絡めても、まだ主人公に響いていないように見えちゃいましたし。そういった内面描写の点でも不満だったなぁ。
- 05 理屈じゃないこと (採点:4)
- んー、キャラの性格つけとか口調とか語り口とか、どこかで見られる形式に偏りすぎていて、作者さんの個性があまり感じられませんでした。かなりすんなりと読めて上手くはあるのですけれど。
以前はこういうキャラ描写は新鮮だったんですけど、今では既にステレオタイプと化してしまっていますから、何か他のウリを探さないと。自分の好きな話を書くだけならばそんな必要は無いのでしょうけど、これはこんぺですから、他作品との差別化を作者自らが図らなければ辛いと思います。
- 06 For tune the rainbow (採点:6)
- いい話だとは思います。淡々とした語り口も、読者の感情を揺さぶる効果として上手く使われていて、構成もそつが無い。トータルで目立った欠点はないと思うのですが……
セオリー過ぎる点が、どうにも。
作品内での「事実」が、そのまま予測どおりの経過を以って使われる。これだと安定はしてますが、インパクトには欠けると思うのです。それでも衝撃を与えようと思うのならば、これは文章力の問題になってくるでしょう。それよりはやはり構成で冒険した方がいいんじゃないかと思ってしまいます。
読者の予測よりも早いタイミングでばらしたり、或いは新事実を列挙して思考時間を奪ったり、そういった緩急をつけた読者操作をしてもらえたらな、と思ってしまいました。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:5)
- 笑いましたw 作者さんは狙ってるのか否か微妙で判断つきませんでしたが……しかし狙ってなければ中盤の路銀とか終盤の「ただ能天気に帰られても困る」などの文章は出てこない……と思いつつもマジでわかりません。
そしてそのどちらかわからない微妙なバランスがまた面白かったです。すんません、意地が悪い人間なもんで。
論法というかストーリーの見せ方はちょっと拙いと思うのですが、わざとやっている部分もあるのだろうし、ここまでベタだからこそ面白いのだし、うーん、本当に微妙です。
なんとも微妙なだけに、微妙な点数を付けておきますw
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:7)
- なんだか色んな掲示板で話題になっているのは知っているのですが、とりあえず解釈が問題になっている事を知った上で、しかし何が問題なのか知らない状況で感想を書いてみます(笑
一読したときは単純に「おたねさんがバスから降りる老夫婦を見て、10年前のデジャビュに襲われた。それは老夫婦(或いは婦人だけ)が青年に殺された事件につながる。しかしボケがきはじめてるおたねさんは、死刑確定の記事がその事件だと気が付かず、今日バス停で見かけた老夫婦と10年前の老夫婦とをごっちゃにしてしまって、あの夫婦と青年はどうしてるのかなぁ〜なんて考えた。ああ、痴呆過剰。」というストーリーラインだと思ったのです。んでもって確定的には書かれていない事柄(上記のストーリーラインもそれに含まれるでしょう)……本当に夫婦が死ぬつもりだったのかとか、青年は息子なのか否なのかとか、じゃあ今日降りた老夫婦の身には同じことが起きないのかとか、中途の話は今日の出来事か10年前の出来事かとか、そういった明示されていないことに関して憶測する読者に対して「パースペクティブ過剰」だと、罠と皮肉を込めてるんじゃないかと、そう捉えたんです。
でも、なんか見逃してるんじゃないだろうかと不安になったもので……もう一度読んでみました。縦書きやアナグラムがあるんじゃないか、実は登場人物を誤解するように書いていて、真犯人が他にいるのでは無いか。そう疑ってかかってみました。
……でもダメです。やっぱ私にはそれ以外の見方が出来ないみたいです。猫の加えている紙片の文面を考えたら色々面白そうではあるんですけど……後半は「もう、終わりにしましょう、ただ、仏壇で、手を、合わせてください」かなとか。でも、それはやはり過剰な部分なんでしょうね。答えが出ないものなのですから。
で、以上の私的解釈を勝手に前提とさせて感想を続けさせていただきますと、試みは面白かったと思います。ただあまりにも物語が整順としているので、読者が自らの思考によって陥穽に嵌まり込むような仕掛けが少なかったことがちょっと残念(いや、浅はかな解釈だったら浮いちゃう感想だけどさ!)。「こんな解釈でもいける」ではなくて「どの解釈をしてもわずかに矛盾を感じる」といった引っ掛かりを用意してくれた方が、過剰な罠に嵌まり込んだと思います。矛盾を感じながらも、その奥に真実が一本と追っている事を感じさせる、と。すんごい筆力がいるでしょうけど。
あ、文章自体は読みやすいし、登場人物の個性も少ない文章で上手く表していて、非常に上手かったと思います。
- 09 テロリスト長沢 (採点:7)
- 笑ったw 中途の小市民さが溢れる小物振りにも笑いましたが、最後のドラマも何も無い小市民的な失敗が何より笑いましたw いるよなぁ、こんなヤツ。
描写として平坦に平坦に自己完結に、そして他人へのテロをしくじる事へ読者の予感と期待を高めておいて、最後すらも主人公の内側で完結させた点が笑いを心得て居られるようで、非常に上手いと思いました。
なんか男も女もおばあちゃんも、本気で怒らず苦笑してしまい、周囲の客もくすくす笑って咎めないような気もします。救われないのは主人公独りだけ、と。
まあ、これを我が身に照らすと笑えないところが、また笑えるんですけどね。
ただラストに繋げるためだとはいえ、中盤少し飽きが入ってしまったのがちょっと残念でした。
- 10 いろはの森 (採点:7)
- 私が無学なだけかもしれませんが、ニニギという言葉はともかく尼の御役目の設定はオリジナルなのでしょうか、実在のものなのでしょうか。時代設定が(異世界なのか平行世界なのか現実世界なのかに加えて、未来・現代・過去なのか。基準をどこに持ってきているのか)がいまいちつかめない上に神仏同一視している気がして、しかも用いている言葉も統一されておらず(方言と標準語、現代語など。そこも時代や世界がつかめなかった理由)、上手く物語に入り込むことが出来ませんでした。
いやほんと、単に私が無学でついていって無いだけなのかもしれないけれど……特に神仏とか。それでも感想を述べるなら、舞台設定のつくり込みが甘かったと思うのです。現実に準拠させたかったのか、それとも独自の世界を構築したかったのか、どっちつかずの中途半端になっている気がしました。
この作品に上手く色葉をつけている大きな特色・魅力がまさにこの世界観だと思うのに、それ自体が同時にのめりこむのを阻害させているのが残念でした。
ストーリー自体はしっかりとまとまっていて良かったと思います。ただニニギの尼としての心情がもっと作品に反映されていれば、より私好みになっていました。現状ではただ雰囲気作りにしか使われていないような印象です。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:5)
- うーん、先が読める展開をこれでもかこれでもかと読ませられるのはちょっときつい。作者さんが演出したかった夕刻の教室という情景は上手く書けていたとは思いますが、同時にそのうだうだ感がちょっとくどかったです。
この雰囲気を崩さずに、読者を飽きさせない方法を模索していったら化けそうな気がしました。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:6)
- 申し訳ありませんが、初っ端の主人公が足をくじくシーンの描写で少し心が離れてしまいました。なんだかただ不貞腐れている不平屋に見えてしまったのです。
一度そのイメージが付いたもので後に頻繁に登場する「納得こそ前進だ」のキーワードも、「気に入ったことしかやりたくねぇ」に読めてしまって非常に軽く思えてしまいました。流されている自分自身に対する欺瞞のような。主人公が能動的な場面もあまり出て来なかったし。
で、ふと気が付いたけれど、これって同属嫌悪かw しまった。しくじった。
ファインダーを覗くと彼女の視界に変わる、というアイデアは好きです。違う世界が見えるというのはよくあるけれど、他人の視界というのは多くないと思う。しかもそれをさっさと切り上げて次のシーンに行くのがまたよかったです。あくまでも小道具としてすっぱり切り捨ててる感じがして。
月夜での撮影シーンや母親との会話は、もう少し幻想的に、そうでなくてもそれまでとは違う雰囲気を感じさせてもらいたかったと思いました。ここで酔わせた後に父親との会話を見せてくれたら、かなり違った印象を受けていただろうと思います。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:5)
- 保険の先生、カウンセリングの天才だ。
淡々と大きな出来事を起こすでもなくひたすらに主人公の内部で完結させるというのは作者さんの狙ったことでしょうけれど、誰にも経験があるものを、未体験部分を見出せないままに読ませられても、心を動かされたり驚きを感じたりする人は少ないと思うのです。それでも楽しませようとするのならば文章力の問題になってくるでしょうけれど、そもそもの淡々とした描写と短編というコンセプトがそれを許してくれそうにありません。勝負の賭け方を間違ったんじゃないかなぁ。
後ろの誰かが誰なのか、はかなりの人が読み始めですぐ気が付くと思うので、それも不味かったと思います。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:3)
- 長い長い設定紹介。最後のオチにつなげるにしてもかなり退屈でした。そこにくるまでに読者の心が離れてしまってはどうしようもない。
設定を紹介する手段をもっと考慮すべきだったと思います。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:5)
- >26発なんて、あっという間だった。
凄いな、早いな、マシンガンかよ。夏もマシンガン! セミオートで3発ごとに小休止ー!、みたいな。まあ出て散る様は打ち上げ花火に似てますよね。しおれる様は線香花火だけど。
これはキャラ描写やストーリーを気に入るか否かが全てな気がします。特に欠点らしきものがありませんから、この安定性が吉と出るか凶と出るか。
個人的にはスミレのはっちゃけ振りが物足りないことと、変に恋愛要素を絡めて話をまとめてしまったところが残念でした。
- 16 さくら (採点:6)
- うっわー、凄く期待して読んでたんですけど……主人公があっさりと枝に縄をかけた時点で、その期待がしぼんじゃいました。おそらく私が期待していたのは主人公や少女の異常心理の描写であり、それがこのシーンで異常心理を描くことが目的ではなくて異常な世界を描くことがこの作品の目的だと捉えてしまったからでしょう。
現実の谷間で綱渡りを楽しむのかと思っていたら、あっさりダイブしちゃった。しかも擦り傷程度でその後平然と崖を登って戻ってくる。「ああ、サーカスじゃなくて魔術なのかな」と。そのダイブの仕方が綱渡りが失敗して落ちたんじゃなくて、まさにマジック的なダイビングだったんでがっかりしてしまったんだと思います。結構ひどい書き方になってしまったけれど、手品であること自体は別段悪いことではないと思います。ただ私が勝手にサーカスを期待しちゃっただけなのです。ごめんなさい。
ホラーとしては序盤から中盤の衝撃に比べて、終盤の落とし方が感傷的・抽象的になってしまっているのが残念な点だと思います。シチュエーションがまず先にあって、それを優先させるために有耶無耶にされてしまった気がしました。
- 17 19140901 (採点:9)
- 良かったです。読み終えて軽く溜息を吐きたくなりました。
落ち着いた文体で終始安心して読め、またそれが作品の内容と非常に合っていました。リョコウバトが居なくなるまでの100年間。大戦が始まってから今日までのの100年間。そのことに思いを馳せてしまったほどでした。例え姿形を残していても、失われたものは非常に多いのかもしれません。
果たして胡涼にとって大出は傲慢な檻だったのか、滅びに憑かれた仲間だったのか、それとも単に付き添う傍観者だったのか。舞を止め帰る場所を諭そうとした主人公に向かい、最期に頭を下げた胡涼にその答えがあるような気もしますが、ここのところの作者さんの考えはどうなのでしょうか。問うべきことではないかもしれませんが、非常に気になってはいます。
すっきりとシンプルにまとまっていながら、その奥に思考を漂わせる余地が十二分にあり、そこにたゆたってしまう。本当にいい作品だと思います。御見事です。参りました。
あ、でも一つだけ。この時期に西暦を使うのは自然なのかな。文章に携わるブルジョワ階層、というのは確かに使っていそうなのですが……。まあ、実はそこんところあまり詳しくないんです。でも、私に突っ込めそうなところは正直ここくらいしかないのですよ。ははは。つまり、それだけ素晴らしかったということです。
- 18 生命 (採点:4)
- へんに理解しようとしてけっきょくなにもわかっちゃいない読者より、作者さんはきっとよっぽどわかっているのだった。ステキ。わかんないものはわかんないよねー。わかったふりすんな。
なんだか狙いに引っかかるのも嫌なんですよー、でもどうしてもねー。
はふ。
いや、正直疲れました。「生命」には笑いましたけど。ちくしょうw
- 19 エンジェル・サイズ (採点:5)
- これは個人的に苦手な範疇に入ってしまうのです。天使など人外なボーイミミーツガールは別に苦手ではないのですが、短時間で人間の意識が変革されてしまう、というお話がです。それを納得させるには、それこそ読者自身が変革を促されるようなインパクトが無いと難しいと思っています。
この作品も最後で主人公自らが己が変わったと振り返るのは(人生や運命ではなく、ね)、少しお手軽すぎます。比較すると母親を亡くしてからの鬱積が軽くなってしまう。ひいては、作品自体が軽くなってしまう。このラストで作品の主題が気軽な恋愛やコメディからそちらに摩り替わるからこその問題点です。色々逃げ道を用意しているのはわかりますが、吹っ切ってコメディ一辺倒にしてくれた方が私的に嬉しかったと思います。
ちなみにキャラや台詞は読み始め当初は違和感があってのめり込めませんでしたが、中盤あたりからはすんなりと受け容れられていました。だからこそ、その方向で終盤も締めてほしかったなぁ、何て考えた次第なのです。はい。
- 20 今日見る明日 (採点:6)
- いやあ、悪くはないです。むしろ今回のこんぺでは普通に青春してる話が珍しくて、新鮮に感じてしまう。
ほのぼのというにはキャラが前面に出すぎてるし、コメディというには掛け合いを引きずらない。何かを期待して読むと肩透かしになるのですが、そもそも過剰な期待をさせないという点では上手くコントロールできてると思います。ノスタルジーや甘酸っぱさを感じるにはちょっと足りませんけれど。それを出すには、台詞をよっぽど上手く計算して書くか、台詞以外の部分で青春特有の日常を出さなければならなくなるのかな、何て。
うん、息抜きさせてくれるいい作品でした。
- 21 雪国 (採点:5)
- STARDUST TRAIN. 「逃避」という名の列車。
残念なことにこれは読み手に委ねている作品ですね。作者さん自身の中に答えはあるかもしれない。しかし、読む人によって無限に、どうとでも取れる話になってしまっています。ここは作者としての自我と、読者が持つ自我の線引きをしっかりしておくべきではないかと。山に転がっている丸太を持ってきて芸術作品だと主張されても困ってしまうのです。どんな作品も解釈から逃れられないからこそ、あがく。死から身を遠ざけるのも、死の中に生を見出そうと死に臨むものもいいですが、自殺はいただけない。
私が好きな作者にフランツ・カフカがいるのですが、アレはちゃんと物語しているのです。
この物語だからこそ、あれともこれともそれとも、どうとでも取れる。
そういった作品を書かねば、文字を媒体としている意味がないと思います。
とまあ、結構ひどい事を書いてしまったのですが……
実はこれより先に「26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。」を読んでいたのですが、読んでて見事にかぶっているような印象を受けて楽しめました(もちろん私見です。申し訳ありませんがあちらの感想を……)。それぞれの作者さんの臨み方というのが別れていて(対するものは違うのでしょうけど)面白いような気もします。反発と迎合、嘆きと自嘲。でも比較しての面白みは、作品自体の評価とはまた違う。どちらを気に入るかは、単純に好みの問題なのかもしれないのであしからず、です。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:3)
- すんません。おいしいシチュエーションを書き綴るならば、「おいしい」オンリーだと感じさせないようにもうちょっと上手く隠すべきだと……
隠す方法が設定に頼るだけというのは、ちょっと拙いと思うのです。書きたい部分を押し隠して、耐えて堪えて頃合を見計らってから馴れ初めへ持っていかないと、単なるご都合主義に映ってしまう。
きっとガマンすればガマンするだけキモチイイと思うのです。そうでなかったら、めんどくさい事を享受して別の愉しみ方に臨むべきかなぁ。どちらが気持ちいいかは、正直わからないけれど。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:5)
- こらこらこらこら〜っ!
こういうオチにきたか。さすがに唐突感が否めません。
これはこれで面白いと思うんですけど、それまで「告白する」ために積み重ねていたものを、単なる思い付きで引っくり返されては、ちと納得できません。そりゃ告白までにかかった躊躇は描写されてますが、それを超えてバレンタインがあったのですから、それは言い訳の免罪符にはならんと思うのです。早い話が単に振り出しに戻っただけじゃ〜ん! 失敗して友達に戻っても何かしら得るものがあったのならば物語の意味はあるけれど、それは見当たらないし。単なるサプライズのためだけに用意されたように見えます。
それとキャラクターの語り口は中々に面白くて新鮮に感じたのですが、前半では読者に対して語りかけるようだった文体だったのに、途中からそれが有耶無耶にされて、後半――卒業式では普通の一人称に変化してしまっていたのも少しがっかりだったところ。変えるならば狙いを込めて欲しかった。そうでなければ、首尾一貫させて貰いたかったです。
いずれにしても、芯に通ったものが感じられず、中途半端な印象でした。
- 24 結婚適文句 (採点:8)
- 作者さん、あんたおもろすぎますw
不条理と呼ぶには力技過ぎて不適かなとは思うものの、脈絡の無い発想が次々と連携していく様は読んでて非常に楽しかったです。それでいて最後の高橋はちゃんと伏線してるしw。
プロポーズの場面がそれまでに比べて弱いのが難点ですが、それでも許しちゃえるほどにけんじ君が馬鹿馬鹿しかったです。
ちなみに一番笑ったのが
>「出れねえ。たすけてくれ」
の部分。でもその後繰り返し利用されるので、ちょっと飽きましたが。なはは。
なんにせよ面白かったです。こういうインナースペースを持ち、しかも書き綴ることが出来る作者さんが羨ましいです。なりたいかと問われると、微妙ですけど。
- 25 マージアここに在り (採点:7)
- 定石通りに、しかし上手くまとめられていたと思います。普通ならばこれだけ先が読めれば文章を読むのが億劫になるものですが、むしろ引き込まれて読めたところが作者さんの文章の上手さかと思います。
ただ、あまりにも都合のいい設定と小道具が出てくるのが、ちょっと。火星という環境は異世界というだけであり、それでいながら異世界を感じさせない点も不満でありました。出会いや交流や別れにしても楽な方向で解決するのではなく(二人の生活に関しても)、可能な限り頭をひねって欲しかったと思います。
…………凄く勝手で我侭な物言いだとは、我ながら思いますけれど。あはは。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:8)
- 卑猥な比喩で直接的にも間接的にも自己完結を目指したお話しかな。いやまあ正直言うとわけがわかりませんでした(笑
深く考えたら何か罠があるのかもしれないけれど……電車を男性器だと捉えたらもうそれまで、どうしてもそこから考えが動きませんw。アンドロギュヌスもそれで納得できちゃうし。
つうかこれ、さらにはメタ的に作者さんの4文字自己完結でしたー! とかいうオチだったらもうなんともなぁ。それいっちゃったら創作自体が自己完結ですしもうどうしたらいいのやら。
アル・カボネの火を消すって事は、世論に迎合しちゃうということなのかなぁ。やっぱわかりませんですぅ。
でもそんなこと書いちゃう人は大好きですw
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:5)
- 納得いかねぇ! マゾは暴力に憧れるのではなくて気質に惚れるんだろうが!
薫ちゃんはどう見ても受けです。破局の未来しか浮かばねぇ。いや、薫ちゃんが無理すればOKか。でもやっぱいつまで保つかだな。
ギャグとしてはパターンにはまりすぎていて物足りないっす。主人公の語り口など、登場人物のキャラ性で押しているけれど、それすらパターン内に収まっちゃってるからなあ。
ラストのオチにしても、落とす前の舞台が整えきれていない印象。最後までイマイチ感が抜けませんでした。もう少し突き抜けて欲しかったです。残念。
- 28 Forest Note (採点:5)
- 冒頭の主人公の生活を読んでいて、「この主人公結婚できそうに無いな……」と考えていたら、それがまさに物語りに繋がっていて、ちょっと吹きました。くそう、やられた。
物語としては納得いかない部分が残ります。最愛の人が亡くなったのに、それに関する主人公の洞察も感情も描写不足に感じました。赤ん坊に対する行動だけでは読者として納得行かない。星や木々に対してあるがままを受け止めて禍根を残さない人間として主人公が描かれているかと言えば、そうは思えないし。ストーリだけでなく、その内面描写ももう少し掘り下げてもらいたかったです。
それとラスト近くの締めの一つ、
>そんな僕の背中はあの日の父さんの背中に似ているような気がした。
はちょっと無理があるかと思いました。視点が無茶のように感じたのです。読者にとって読み終えた直後に頭に残る場所なので、かなり気を遣うべきだったんじゃないかと思いました。
- 29 Blind (採点:3)
- うおーいちょっとまて〜っ!
うだうだした心情を引っ張っておいて、脈絡なく捨てさせて、そしてまた脈絡なく主張に繋げて、最後にまたうだうだに戻る……
構成の筋を変えないにしても、比重を置くところを変えないと、これを魅せるには辛いと思うなぁ。
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:6)
- 作者さん狙ってるな、とは思うものの、その狙い以外に何か在ったのかと自問してみると答えが返ってこないことに気が付きます。
遺書の言葉にしてもそう。そこから主人公に繋げずに尻きれトンボで終わらせたのは作者さんとして何らかの考えがあるのかもしれませんが、読者としては物足りなさが残りました。思わせぶりな設定や言葉。でもそれはしっかりと消化しなければ、作品としては余計な負荷になってしまうと思います。
- 31 正義の味方の悩み (採点:3)
- 状況の不備や展開に難がある部分を言葉や台詞を先行させて繕ってるように思えました。
それも手段の一つではあるだろうけど、依存しすぎるとストーリーを紡ぐ意味がなくなっちゃうような気もします。
キャラ性を言葉で直接表さずとも伝えられる状況を作り出す、そんな構成を練っていったらいいんじゃないかと思いました。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:8)
- >その全員が須く自転車に乗りながら、ぶんぶんぱらりら
なぜかちんちんぶらぶらとイメージかかぶった。暴走族が珍走団に脳内変換されてた所為だろうな。でもきっとかぶってない。被ってないんだってば。いや、小学生は多分ガキだろうけどね。何で俺は必死なんだ。
まあそれは置いといて。
なんというかな、話の内容もギャグの内容もほのぼのとしていて、幸せな笑いがこみ上げてきました。こういうシチュエーションで笑わせてくれる話はかなり好きです。……まあ、そのシチュエーションに最初は引きそうになってしまったのですが、その後がうまかったと思います。
おもろかったですよ〜
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:3)
- ごめんなさい。趣味に合いません。
脈絡の無い台詞や展開は作者さんの頭の中では繋がっているのでしょうけれども、私との個人差が大きすぎました。こういう作風が好きな人もいるのはわかっていますが……申し訳ありません。
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:7)
- すいません、非常に失礼な事を承知で素直に感想を述べさせていただきますと、驚きました。この話を、この方向でまとめてしまったことに。
さらに正直に言うと、中盤のクウの死や実は生きていたというシーンなどでは、「ああ、これきっとまとめきれないな」と感じていたのです。しかしそれを実はアンドロイド、という力技でねじ伏せた上にまとめてしまった。力技じゃなくて、先にこの設定を用意していたからこその急展開では在ったのでしょうけれど、豪腕だと感じたのは確かです。これはもうやられちまった、と。
文章はまだ未完成なところが多々あると思います。個人的な趣味で言うならば、緩急を空行空けに頼っている点などはあまり褒められないと思います。また構成も雑なところがあると思います。でもこのサプライズに関して白旗です。あ〜う〜
- 35 西と東、白と黒 (採点:6)
- 生まれてよかったと結論付けるには描写が足りなかったかな。それぞれの郷土が楽園では無い事を描いてはいても、郷土に対する愛着を描くには至っていません。そこは単に読者の好意的な共感に任せるだけになっている。少なくともその共感を喚起する地点まで物語を運ばなければ、作品世界としては不完全なものにしかならないと思います。
描写や台詞などは好きです。一番好きなのは「我慢なんてしてこなかったでしょ?」の台詞。こういう台詞をさらりと書ける(書く状況を作るという意味も含めて)のは羨ましい限りです。
ただそれだけに前述の物語の主題の不完全さが、どうにも残念です。
容量が少ないのはもとから知れていることなのですから……
- 36 ソラアイ (採点:3)
- たぶん多くの人から突っ込まれるだろう事を。
風営法改正で5月1日から客引きはいなくなっちゃいましたー!
と、まあ単なるうっかりなのでしょうけれど。ついでに言うと、他にもうっかりが見受けられました。
内容に関しては若いなぁ、と思いました。別に私みたいな人間が言える台詞でも無いんでしょうけれど、うん、まあ、そんなこと言ってみたい気持ちになったんですよ。うん。
追記:この感想を書いたあとで、風営法の改正通りにポン引きが禁止されているのは別に全国一律一斉ではないのだと知りました。うっかりは私のほうでした。てへ。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:9)
- すげぇバカな話だw 理論を理解しようと一生懸命文字を読んでいた俺がホンマ馬鹿みたいですw
今のこの気持ちをなんと表現したらよいのだろう。技術の無駄遣いというか、知識の無駄遣いというか、文章力の無駄遣いというか、62歳4mlの無駄撃ちというか。
とにかく素晴らしい。愛は距離も時間も越える。感動した。思わず腰が動いた。
新しいデリヘル嬢にも使えるナイスな点もポイント高いです。未来世界は夢が一杯だ。オリジナル溢れる話。誰かはわかりませんが、こんなアホな話を書ける零光年先の、作者さんなどいないと思いますw ……多分。
- 38 山田仁の行き先 (採点:3)
- うーん、話の筋は嫌いじゃないんですが……物語としての体裁が、まだ整っていない印象です。幽霊が見える人たち、悩んでいる幽霊、主人公の未来像。それらの道具を用意したのならば、生かして何かを作り上げる事を考えねば。
作者さんとしては会話の中に書きたい事を綴ったのかもしれません。しかし書きたい事を会話や思考で表すのではなく、状況や行動で表す手段も考えたらいいと思います。そしてその上で、読者を楽しませる手段を。
キャラクターはそれぞれ個性が出ているので、少し工夫すれば、それだけで大分変わってくると思います。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:6)
- 謝ることではないけれど、謝らせて下さい。ボクの良心に。道徳という名の羞恥心に。
面白かったんです。あはははは。 はぁ……
化学式で恋愛要素を説明する点が中々面白かったです。ただこのあたりの会話の進め方は(作者さん自身も作中で言われてますが)強引に過ぎて、この辺りをさらりと上手く誘導するような話術を見せてくれたら、もっと良かったのではないかと思います。台詞も大仰過ぎるしね!
まあ、その強引さが面白さの一つではあるのですけれどw
主人公があっさりと変節するオチは、力みが見えず個人的に好きでした。
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:5)
- 能力を単純なテレパシーではなくシンパシーと控え目なものにしたところに、能力は物語の小道具にしか過ぎないのだろうと思って期待して読んでいたのですが……。う〜ん、違ってたみたいです。
能力が幹でストーリーは派生する枝葉なのか、それとも物語を根にして能力はその上に伸び茂っているだけなのか。短編で両立させることが難しいのならば、どちらかにすっぱりと偏らせた方がいいと個人的には思うのですけど……
ちょろっと出された伏線や設定が未消化なままで終わると、どうしても不満を感じてしまいます。う〜ん。
- 41 No River to Cross (採点:5)
- 想像ですけれど、作者さんが描きたかったであろう世界は私好みでした。……だったと思います。
でもそれを表現しきれていたかというと、否、かなぁ……。
描こうとしている世界に比べて、字面がくどすぎるように感じたのです。様々な名詞が溢れていて、しかも漢字やカタカナ、アルファベットと、ごちゃごちゃとしている。それらを延々と繋ぐことによってある種の雰囲気を演出したかっただろうことはわかるのですが、名詞や動詞を重ね合わせているだけで、文章として読むと早々に飽きが来てしまうのです。それに前述の「ごちゃごちゃ」によって、視覚的に統一感が無い。
好意的にみると、これはその「字面」で人種や文化が入り乱れる雑多な空港のシーンを表現した試みかもしれませんし、だとしたらその試み自体は非常に面白いと思います(「閑散」と表現されているから違うと思うのですが。まあ、一方で「すし詰め」ともあるんですけど)。
ただ、それは果たして物語で語りたかった内容に合っていたのでしょうか。
空港の場面などならばそれは活きたでしょう。ですが、最後の段落において主人公が独りで過ごすときにも雑多が続いています。世界のあらゆる場所からやってきて、足跡をつけ、通り過ぎていく。その川の流れを述懐するにはせせらぎとして聴いたほうがいいのか、それとも濁流として聴いたほうがいいのか。私には後者の方がいいとは思えなかったのです。
その為に、表題のテーマが私の中に響いてこなかった。
演出したい世界にあわせて文体を工夫するのは、かなり重要なんだと思います。単に好みの問題なのかもしれないんですけど。あはは。
- 42 焚火 (採点:7)
- うわー、むっちゃ好きなんだけどなー。
状況と文章だけで魅せて、残念ながらオチを用意しそこなったという印象です。これで涙だろうと笑いだろうと、或いは迷いだろうと、しっかりと物語を締めてくれていたら、と残念でなりません。
「迷いだろうと」と書いたように、形としてはこれで終わってもいいと思うのです。しかし、ラスト数行だけではまだ文章としてまとまりきっていません。
ラストまでの流れに匹敵する重みを読者に感じさせないと、ここはダメなんだと思います。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:4)
- 伝えたいことはわかりますが、人物の性格付けや構成、伏線や演出などが上手く噛み合っていないように感じました。
ゆいかの存在やくどいほどの主人公の内面描写などは、その必要性が理解できるとともに必要性が感じられないという、非常にちぐはぐしたものになってしまっていると思うのです。
まずは一本、絶対必要不可欠な要素を中心に据えて終始ストーリーや描写に意識した上で、作者さんや読者が惑う要素や、用途が終わった小道具の排除などを断行したら、ちぐはぐ感は薄れるんじゃないかな、と、自信無さげに提案してみます。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:4)
- 古風を気取るならば、貫いて欲しかったところ。表面をなぞる位置にすら届いていない気がするのです。それとも私が無学なんだろうか。それならそれで「世間一般的な読者のイメージに合わせろ!」と叫んでしまいそうですけれど……う〜む。
結構他の考証部分は整合取れてるように思えるしなぁ。
- 45 おかえり (採点:10)
- いいです。好きです。この話。
穏やかで、優しくて。
この物語自体が、とても気に入ってしまいました。
作品……手法や技術としてはまだまだ甘いと思います。女性二人の差別化が不十分でしたし、黒字と細字の差別と合致も、もっとスマートに出来そうな気もします。しかしそれらをひっくるめてどうでもいいほどに、大好きになりました。
余韻がいつまでも残り、野暮な事は言いたくなくなっちゃうほどに、良かった。恥ずかしくなっちゃうほどに、心動かされました。
もし自分に子供がいるのならば、読ませて聞かせてあげたいのはこういうお話です。素晴らしいお話をありがとうございました。
点数に関しては……その、ごめんなさい。
と書いたものの、やはり感情に任せて10点にさせていただきます。
もとの点数は秘密ということで(笑
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:7)
- >再開が待ち遠しい
これにちょっとやられました。ここに思わず1点加点。単なる誤字なら加点は無しでw
私自身の趣味から言うと、実は嫌いな部類の話です。切り捨てているものと加えているものと、その選択が見事に好みと正反対。キャラクターに魅力があるものの、その魅力要素も気に入らないという、なんとも困った状況です。アンビバレンツ。作品全体になんともいえないもどかしさがあって悶えました。
これが好きか嫌いかどちらかに傾いているのならば、もう少し高く評価できたのですけれど。逃げるならば初めから出すなよ、と言うのが、更なる正直な感想。
題名は面白いなとは思いつつ、ここでも二律背反。余談ですが私にとっては「恋のダイヤル6700」ワーオ! でした。
あー、もう! 別の意味で感想書きづらいなぁ。あまり覗き込みたくない自分自身の心だぞい。
- 47 ポテト (採点:8)
- うわ、細かく上手い。
微小に散りばめられてる、いったいどんな会話したのか後になって窺い知れる伏線など、本筋と関係ないところで非常にツボに来ました。
キャラもこの短い物語の中で生き生きと動いている。場面転換も数回あるのに性急には感じさせない。本当にさりげなく上手いです。つーか、非常に好みです。
ただこの手の物語で、どうしても避け得ない宿命……主人公、何もしてないのにもててんな、という嫉妬心がメラメラとw
それと最後のエイズという設定は本当に必要だったのかとちょっと首を傾げます。作中のキーワードを消化するためとはいえ、むしろこの一設定だけで説得力を持たせようとするのは無茶じゃないかなと。
んー、でも最後の一文から主人公の手紙に対する感慨を窺うと、これまた微小にダークにも思えますし、そう思わせるには(狙ってはないと思います。むしろ逆でしょうけど)エイズは中々に効果的でしたし、よかったのかな。
ちょっとおまけです。
- 48 タクシー (採点:5)
- >借金の連帯保証人になったんですよ…
この部分は素晴らしいと思いました。ゾクリときた。
しかしなんというか、盛り上げ方がイマイチであったと思います。各章で区切ることに雰囲気作りの大部分を任せてしまっている。会話も運び方がストレートすぎるうえに淡白。描写のほとんどが会話なのですし、主人公がどの話題に持っていこうとしても、運転手がいつの間にかその話をしている……といった、タクシーという閉鎖空間に見合った「逃げたくても逃げれない」空気を演出して欲しかったな、と思います。
もっとも、この一見ホラーとは思えない淡白な書き方が、中途まで先の予測を困難にさせて意外性に繋がっているんですけれど。
でもそれが仇になってラストは勿体無かった。左を右だと、一瞬疑いました。中盤からはやはりホラーらしい盛り上げを心掛けてもらったほうがよかったかな。
とと、書き忘れるところでした。
冒頭の映画の台詞、何故引用されているかわかりませんでした。???。
- 49 バレンタイン事変 (採点:5)
- 設定のめちゃくささが活かされてなかったなぁ。現実離れした「発作」を設定し提示した時点でこの話は著しくファンタジーなのですから、そこに起る騒動もファンタジーに見合ったどでかいものを期待してしまいました。なのにあたふたするのは主人公の心の内だけで、ちょっと肩透かし。あまりにも荒唐無稽なのは読者が引きますが、それを警戒するならば普通の青春物でも良かったんじゃないかな、と。
終わってみれば全然どたばたもしてなければ、学園生活の楽しさも、バレンタインの甘さも中途半端。作者さんが書きたかったものというのがいまいち伝わって来ませんでした。ちぐはぐな印象でした。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:9)
- うわぁ、いい話です。
文章自体も柔らかくて優しいですし、話の内容も喜怒哀楽の怒以外を感じさせてくれる素晴らしいものでした。書こうとされている内容に全体のバランスが丁度合致していて、終始心地よかったです。
魔法の内容も、それが幼心に与えた影響も、そしてそれが解けて、魔法より素晴らしいものにかかってしまうのも、非常に私好みでした。風を見る力から台風のエピソードを表し、それをチャコとヒロインの消えない友情の源へと繋げる部分に特にやられた。畳み掛けられた。
ぶらぼーです。子供のためではなく、おっきなこどものための素晴らしい絵本でした。
- 51 夏の風 (採点:3)
- ほのぼの日常一コマなんですが・・・・・・
コメディ部分がきついなぁ。「ここが笑うところですよ」と知らせなくても笑ってもらえるようなコメディを心掛けた方がいいと思う。また心地の良さ、で締めるのならば、もっと暑苦しさと、その後の涼とを比較させた方がいいと思うし。どちらの点にしても、主人公の独白や台詞以外の方法を模索した方がいいんじゃないかなぁ。
- 52 豚 (採点:8)
- 凄い作品を書きましたな。最後のオチまで変わらずストレートに表現されているのが惜しい気もするけれど、変節せずに書き終えたところは見事です。
惜しいというのは、オチだけはそれまでの表現を変えてインパクトを残して欲しかったな、ということです。この調子に慣れてしまっていたので、すんなりと頭に入りすぎて、序盤や中盤のインパクトに比べて物足りなかったんです。単に作品の強烈さに頭が痺れていた所為なのかもしれないけれど。
結婚後にこのような地獄に嵌まり込む、というケースは結構多いもので、正直笑えません。それに対する直接的な怒りと、やり場の無い不満と、そんな自分を卑下する気持ち。それを正面から書いたのは凄い。やられました。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:8)
- 展開としては定石どおりですが、15KBの制限でこの話を書ききったのは凄いと思います。それを思えば主人公が万能だったり推理の筋が軽すぎるのも仕方ないことでしょう。つーか、それでもこの主人公には魅力が感じられるあたり、改めて凄いなぁ。
欲を言えばひねりが欲しかったんですが……それを求めるのはさすがに酷ですよね。欲張らなかったのが勝因かも。うん、この系統で、容量の壁をはじめて突破できた作品だった気がします。ぐっじょぶ。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:6)
- 直球なお話。単語は奇麗だし共感を呼びやすい内容だしで、気に入る人はいると思う。でも私にとってはただ主人公が心情を直球で吐露しているだけで、掘り下げる行為を放棄しているように映ってしまって好きにはなれないのです。
もちろん、そういう掘り下げることには意味は無い、感じるままに描いた方がいいんだという考えや作風があるのもわかります。でもそれは私の趣味では無いし、仮にそのスタイルで感想をつけたとしても、結局は「感じるまま」好きになれないんだということだと思います。
他人の言葉を聞くとき、他人を理解したいときと自分を知りたいときとがある。自分を知るとき、素直に肯定したいときもあれば、懐疑的に否定したいときもある。私は疑いたい時間が長い人間なのでしょう。
雰囲気作りは上手かったと思います。
- 55 饗宴 (採点:8)
- 大仰だなぁ、というのが20行ほど読んで思ったこと。
ところがそれを過ぎるとだんだんと飾る言葉に勢いがなくなっていきます。最後まで続かなかったのかな、と、ちょっと残念。これが最後まで続けば素直に感心したと思う。単に言葉に慣れてしまっただけとはない、と思うし……でも少しほっとしてる浅ましい私がいます。ははは。
それとラスト数行、ここでさらに平易な言葉になってしまうのもまた残念なところでした。
つうか、最初は大仰さに嫌悪感抱きましたが、読み進めてるうちに引き込まれちゃったのですよ。くそう、ちくしょう、くやしいぞ。
この作品はイメージ勝負な気がします。読み手にどれだけの映像を浮かばせられるか、その一点。ある意味雰囲気一発かと。そしてイメージを呼び起こす筆力は確実にあると思います。
内容に関しては……色々と喚起されるものはありますが、作者さんの世界と読者の世界が合致する必要の無い作品だと思います。読者に委ねてる。
ただし、映像そのものを読者に委ねはしなくて、素材を文字ではっきり示しているのは好感を持ちました。抽象的なのか具体的なのか、よくわからないのですが。抽象的に重ね続ければ具体的に映るのかなぁ。名詞の頻度や種別の明確さが鍵なのかな。ここらへん、とりあえず幻想的でした。
楽しめる作品なのか、と言われたら私個人は否です。でも面白い作品だったのでこの点数を付けておきます。
単に好みの問題かも。
- 56 Show must go on. (採点:6)
- 基本的にいい話だったと思います。
ただ幽霊として会うだけじゃなくて、皆がそれに合わせてくれるという点が、もう好み。
文章はまだ甘いところがあると思いますし、会話などにも大きな魅力は感じませんでしたが、ラストのオチを読んでから振り返ってみるとその物足りなさすらもが友人としての優しさを表しているような気持ちになれました。
ただグラスが4つという定番ネタで、予想がついてしまう点はかなり勿体無かった。最初の台詞のような、もっとさりげないものを散りばめて欲しかったです。
個人的に気に入りましたです。
- 57 エース (採点:6)
- 現代っ子と年寄りの差なのかな。試合に臨む意識が私の個人的なソレとちょっと違っていたのがう〜む、と。特に試合のクライマックスシーンで集中力のようなものが感じられなかったから、そう思えました。
クライマックスで短い表現でぽんぽんつなげるのは、いかにも試合中という感じが出てたとは思います。ただそれが淡々とした物足りなさにも通じていました。試合でのボール運びや叫びだけでなく、中間達のプレイ中の表情やタイムアウト中の会話、観客の声なども描写すれば会場全体の熱さ、ゲームとしての面白さがもっと得られたのではないかと思いました。
ちょっと惜しい、もう一歩! という印象でした。
いま気が付きましたが、現代っ子という表現が既にじじむさいなぁ、俺(笑
- 58 飽くなき赤色 (採点:5)
- うーん、病的な雰囲気を作り出すことにはそれなりに成功していると思うのですが……悪い意味でリアルじゃないお話でした。
主人公の動機や犯人の動機に謎があり、提示はしても説明を初めから放棄していることがこの作品の肝だと思うのですが、それが映えるには読者自身に説明放棄の部分を照らし返してこそだと思うのです。しかしこの作品ではそこまでいかず、どこまでもフィクションどまりだった。
現実に即す必要はないのです。ただ、犯人や主人公、或いは世界に存在感がなかったのです。主人公の内面を描けないのなら、それを取り巻く人々の内面や生活をリアルに隙なく描く。或いは或いは犯人の病的な面をリアルに描くために異常性や不可解さを徹底的に描写する。或いは不可解さだけを前面に出すために、主人公と犯人の会話を一言一句その息遣いさえ聞こえるほどに書き綴る……手はいくらでもあると思います。最後を赤で締めるのならば色彩にこだわるのも良かったかもしれません。とにかく「ただこうしたかっただけ」の理不尽さを前面に押し出す理の部分が無かった。または逆に終始一貫する理不尽差がなかった。
「なんでそうなっちゃうの?」「なっとくいかねー!」「俺だったらこうなのに」と読んでて自分の中の引き出しを探るところまでいかず、作品から徹底されたものが見受けられない中途半端なフィクションになっている印象でした。
まあ、それを「筆力」というのかもしれません。
雰囲気は結構好きなんですけれど……ちょっと残念でした。
- 59 Day after tomorrow (採点:4)
- 主人公の一人称で物語を進める場合、その視点そのものが主人公の性格付けになってしまうのです。それから考えると、屋上のシーンでは腰が据わらないし、問題児にしては優等生的だしで設定がぶれていて、一貫した魅力に欠けている気がしました。語尾から来るイメージも、ちょっときつい。
最後の「また明後日に、な」というのは、締めの台詞としてかなり好きです。もう少しこの台詞への積み上げがあればなぁ……
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:5)
- 1万2千円近辺のオチや会話は好きなんですが、そこに向かう電車内の会話が……そんな引っ張るような会話じゃないんじゃないかなぁ。推論はさらりと流して、キャラ同士の掛け合いにシフトしたほうが良かったんじゃないかと思いました。
アンテナが立たないことから相手の居場所を察する、というアイデアは結構気に入りました。私は携帯電話をあまり活用して無いし、電話が古くてメールが打てないしで、そういう発想はなかったです。あう。
- 61 山小屋語り (採点:9)
- 暗闇で、二人っきりで、いきなりばあちゃんに性体験の告白なんぞされたらすげぇ身の危険を感じると思います。いやいやごめんなさい。冒頭読んですぐに抱いた感想がこれでしたw
しかし読み終わると……
こわっ!
これは凄いわ……
語り口も上手くて、合間合間に入ってくる歌や余談にも引き込まれる。闇も雨も稲光も、シチュエーションも定石でありながら状況を引き立て、背筋が凍る物語だったと思います。
でも一番驚いたのはこの語り口の女性がお年寄りではなく、年若く上家のお嬢様だったということでしょうかw。逃げ惑ううちにスレるには、出産時期から考えてまだ早い気がするしね。
ただし、そこを深く、ひねくれて考えると、単純明快に恐ろしい話が、さらに怖く不可解な物語になってきます……
この女性は本当に若いのか、とか
気が触れているのではないか、とか
水子の霊が男の目には映っているのではないか、とか……
伏線らしきものは見当たりませんし、本来はこのような事を想像する話ではないと思います。ですが、もっと恐ろしい何かが秘められているような、そんな尾を引く恐ろしさを感じさせてくれる作品。人の恐ろしさも、霊の恐ろしさも、言葉の恐ろしさも闇の恐ろしさも己の恐ろしさも……色々な恐ろしさを感じさせてくれました。
素晴らしいです。私の趣味にどんぴしゃりでした。ぶらぼーっ!
- 62 格闘少女 (採点:3)
- ストレートに話を持っていき過ぎですよ〜
舞台を整えることと、その舞台の上で演技をすることは別問題です。お客は「舞台を見る」と口にしても、見に来ているのは演技を見に来るのですから。もちろん諸々含めて舞台を見に来る人も居ますけれど、う〜ん、言葉のマジック。
同様「この設定面白い」「キャラクターが面白い」と評判になっている作品があっても、それは作品内でストーリーとキャラクタが動いているから読者にとって面白いのだと思います。
- 63 未来視の見る夢 (採点:9)
- いい話でした。うん、ストーリーラインや構成はかなりのものだと思います。
ただ作品の完成度からみれば些細なことなのですが、不満点が三つありました。一つは序盤の文章。容量の問題もあるのでしょうが、一文で表そうとする説明が非常に過多で、テンポが悪く感じてしまいました。また空気を作り出すためなのか、読者を引き込む事を意識した表現を使おうとするあまりに作者さん本来の文体とは違った文体になってしまってはいるんじゃないかな〜と思えました。それが事実か私にはわからないのですが、かなり強く違和感を覚えてしまったのです。
そしてもう一つは、グリッドコンピューティングの描写。これも容量的な問題があるでしょうが、描写不足じゃないかと。まずグリッドコンピューティングがどのようなものか、予め知識として持っている人間にしか理解しづらいですし(文系の私は、知識があったのにかなり戸惑いました)、またウイルス塩基配列解析においても横文字が当たり前のように出てきて、しかもその説明はされない(『『それ』のほとんどにはエンベロープがあり〜中心的な役割を果たすと『予想』されている。』の部分です)。これも予めある程度の知識がある事を前提としなければきついと思うのです。「解析は大変なんだ」ということさえ理解すればよく、本編に大きく影響しないことだとしても、それならばそういう書き方があるはずと思うのです。特にこの作者さんならば。ここはかなり読者を突き放しているように感じました。
正直なところこの二つの点から、読み始めの頃の作品に対する印象はかなり悪かったです。体調が悪いときに読んでいたのならば、読む意欲を失っていたかもしれません。
そして最後の一つは、最終の段落。いや素晴らしいんですよ。終わり方として素晴らしいとは思うんですよ。でも、文章量としては重みが消えてしまったように感じてしまったので残念なのです。「文章を読んだ」という満足感が味わえなくなってしまっていたのです。これは読者をシーンに引き込むために作者さんが仕掛けている、終盤の改行の多さが仇になってしまっていると思いました。
ここらへん、短所と長所が表裏一体とは思うのですが、説明過多や説明不足での読者を突き放した描写を用い、また句点ごとの改行を行わずに数行分意識を引き離さずに「まとめて文章を読ませる」事を強いていたのに、終盤ではそれをやらなくなってしまった(会話文が増えることもあるでしょうが)。それは登場人物の心理に読者をシンクロさせ易くする効果が確かにあるでしょうけれども、同時にその「まとめ読み」に慣れきってしまった私にとって、文章を読むこと自体の楽しみを最後に感傷で誤魔化された印象が拭えなくなってしまったんじゃないかと思うのです。
序盤〜中盤では文章を読んでいた。中盤〜終盤は感情を読んでいた。ならば、ラストでは文章を読んだ満足感と感情を読む満足感の両方を味わいたかったのです。簡単に言うと、読み始めたときに抱いた読者側としての「覚悟」に比べて、ラストの文章量が足りなかった、尻つぼみに感じたということです。この作品ページを人間の体に喩えると、頭が肥大していて、足がか細い。据わりが悪い。最後の段落に一箇所、4〜5行程度の改行が無い文章を挿入して、そちらも満足感を味わわせて貰いたかったです。
いやほんとに自分という人間は、物語を読むとき、そのラストの締めに遣う文章量というのが気になって気になって仕方が無い人間なんです。さらりと数文字で終わらせたほうがいい作品も在る。逆にくどいほどに言葉を重ねた方がいいと思う作品もある。でもって、この作品はそうした数行ほどの改行無しの文章が最終段落にないと据わりがなくて落ち着かなく感じた、と、そういうことなのです。どうしてそう感じたのかなんて後付けで、とにかくそう感じた、それが非常に惜しいと思った、という事実があるのです。
我ながらみょ〜なイチャモンだと思うんですけれどね。感想書いてるうちになんか混乱してきたし(苦笑
特殊すぎるおかしな感想書いてごめんなさいです。
- 64 ブランコ (採点:3)
- うーん、これだけではあまりにも弱すぎるなぁ。
ブランコに乗っての世界の変化と、ゆうちゃんの隣にいることの世界の変化をリンクさせたいのならば、ゆうちゃん側の世界変化を、言葉だけではなく出来事を交えて描写しなければいけないと思うのです。
語りたい内容を積み上げていくことは、長編短編問わず大事だと思います。
- 65 金曜日のつめきり (採点:6)
- ごめんなさい。こういうスタイルの小説があるのはわかるんですが、あまり趣味に合わんのです……
結局なんというか、日常を描写してその描写から主張につなげるんじゃなくて、良くある日常とそれと無関係に主張を組み合わせて形にしているように見えてしまう。
誰もが日常的にふと思うことがあっても、その思いついた理由に思いを馳せることは少ない。心の中で繋がりはあるけれど、それはその人の中だけのもので、他人に説くようなものでもない。それを説くために筆をとるならいいけれど、説く気が希薄のままに日常として書かれてしまうと、「ああわかるなぁ」と共感は出来るけど物足りないだけなんですよね。同情してもらいたいだけなんかあんた、と突き放したくなってしまう。
とまあ、ここまでは作品に対してというより文章スタイルに対してのきわめて個人的感情ですけれど(笑)。……いや、申し訳ありません。
それを是とするならば作品に関しての出来としてはいいと思います。ただ個人的には、物差しに関してはどこかで聞いたようなネタなので、使い方をもう少し凝ってもらいたかったです。上記の理由の次第で、物差しを出すまでの掘り下げ、出してからの解析を説いて欲しかった。
後半の描写は物差しを用いてはいても、すでにその感情を当たり前の日常として組み込んでしまっていますから、説く場所ではないと思うんですよね。結局乖離したままで繋げられずにいる印象です。
繰り返しますがこういうスタイルがそもそも嫌いな人間の感想ですのであしからず……です。ごめんなさい。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:8)
- 好きです。
彼女の内面描写は足りないと思います。説明不足。納得にも遠い。
でも好きになっちまったのだから仕方が無いです。
まず文章が私と波長が合って、すんなりと読みやすいのが大きかったと思います。状況の描写も妙に凝った比喩などもなく、子供の素直な視点という気がして感情移入しやすかったのでしょう。短文がぽんぽんと続くリズムも小気味よかった。もの寂しい郷愁を味わえました。
冒頭にも述べたとおり、これであとは少女の内面とそれに対する主人公の思いを強く訴えかけてくる構成ならば、もっと満足感があったと思います。一つの手段として確立されている作風だとはいえ、雰囲気を味わうだけの作品になっているのが個人的には残念でした。
- 67 世界一の小説 (採点:2)
- かなり実験的な作品なんでしょうけれど……
すんません、面白くありません。
実験をする事は大いに結構。しかしそれは小説を書いた上でのこと。
メタ的なものを狙っているのだとしたら、なおさらつまらない。免罪符にもなっていません。
一点をつけるのは一点をつけた作品に申し訳ないので、2点にします。
- 68 両手いっぱいの花を (採点:4)
- うーん、まず状況ありきで主人公の思いの深さが書かれていない印象を受けたので、主人公に感情を乗せられませんでした。
それにラストは……何のために物語を紡いでいたのかが窺えませんでした。感傷だけを目指していたとするのならば、私の趣味には合わないのです。申し訳ありません。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:7)
- 邪教徒という時点でオチは察しがついたけど……いやあ、バカですね。凄まじくオリジナリティ溢れる発想ですけれども、高い点数は付けたくありませんw でもこの点数です。わはは。
しかし……いや、やめておこう。
どのような感想を書いても下世話な方向にしか行かない気がするのが困りものですね。やられたという感じです。ちくしょうw
- 70 アリス (採点:6)
- なんだかなし崩し的に終わってしまったなぁ。そこが残念。
弱気なくせに、あらゆるメディアで禁句とされている「外見的変化後の君は嫌い」と主人公に意思表示させたのは素晴らしいと思います。でもそれが結局ロリイタ(ロリータに変わっている意味が掴めませんでした…)を変えず、また彼女を大好きでい続けているラストの所為で、理解を深め合った単なるのろけ話で終わってしまっている気がするのです。
「……わたくしのメール、見てないのね」や「僕は、きみなんて、知らない」の場面から、ラブラブ以外の要素……ミステリー面や陰の心裏描写に流れる事を期待してしまったのかもしれません。そしてその期待をストレートに微笑ましい主人公だからこそどう表現するつもりなのか、と勝手に膨らませてしまっていたのが、肩透かしを感じて満足できなかった大きな要因かもしれません。
ただ主人公達のほのぼのとした恋愛描写は好きでした。ところところで控えめなギャグの挿入の仕方も、かなり好感度が高かったです。この作品に関しては変に露骨なヤマを用意する必要はなかったんじゃないかな。
読者に対する“期待の持たせ方”の操作だけが惜しくって、しかも致命的だったなと思いました。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:1)
- 本日、最後の感想付けと思って、夜遅くにこのページを開きました。
正直、15KBとはいえ長い作品を読むのはきついと思って、詳細版で容量の少ないものを選んで、このページを開きました。
結果、私は途方にくれてます。
……わかんねぇ。わかりたくねぇ。わからんでええ。
作者さんがどんな気持ちで書いたのかはわかりませんが、文章的な意味だけでなく体力的にも精神的にも色々と無理がきました。雨に濡れるし停電するし、ネットに繋げば動かねぇしでなんか疲れがどっと来ました。ちくしょう、気が付けば感想書いてる時間の方がこれ読む時間よりも長くなってるよ。ここまでたったの数行なのに。
どこまで狙って書いてるんだ。中途半端に凄い気もするし、凄いのに中途半端な気もするし。もし大真面目にこの話を書いているのならば、私は裸足で逃げ出します。それは無いにしても、やはり滑っている。感想書くのを困らせようとしてこの作品を書いたのならば、お手上げです。参りました。屈服です。
だから許して。
ある意味貴重な一点を進呈させていただきます。
- 72 月時雨 (採点:6)
- いや〜申し訳ないのですが、表現が過剰すぎて趣味に合いませんでした。読んでて恥ずかしくて……。
それが冬夜との思い出に対してだけ遣われているのを見ると何らかの差別化を図りたかったかのようにも思えますが、場面転換に章節をつけたり中盤の情景描写が淡白だったりする事から、どうにもアンバランスにしか映りませんでした。一人称の語り手の主観を通して過剰な比喩を多用するのは、主人公の独り善がりを演出する手法として面白いと思うけれども、作品全体として成否を論じると失敗してるんじゃないかなぁ。
主人公の感傷こそが作品のメインであるので、ここがしっくりこなかったのが、個人的には痛かったと思います。
- 73 14文字の涙 (採点:9)
- 1点。いや、2点おまけかな。
文章はもうちょっと洗練できると思います。特に序盤、コメディ的なやり取りの場面でのテンポにちょっと引っ掛かりを覚えてしまって、非常に勿体無く思いました。ここでの評価は「7点ぐらいかな?」でした。キャラの台詞なども少し無理しているようにも見えました。
しかし中盤、「男の子じゃないかと思うんだ」あたりから滑らかになり、物語も動き出し良好に。おそらくこちらが作者さんの持ち味なのだろうな、と。或いは筆がノッてきたのかしらん、と。
そして「彼女」からの連絡が途絶えた場面までに評価は上昇、これは9点いくかな!? と思ったのですが……
最後の墓前での場面。アイデアなどは良かったのですが、少し無理に詰め込みすぎた印象がありました。ここで評価はちょっと落ちて8点になりました。
彼女がメールできなくなるシーンまでに、私がこの物語から感じていた魅力とは、おそらく重く湿った話をメールという無味乾燥なツールを媒介にして表現しようとした点だったんじゃないかと思います。触れ合いたくても触れ合えない、その感情にすら気付けない現代的なジレンマを感じたのかもしれません。しかしそれが最後の最後で「電話番号の保存」と「蝉」の解説によって壊してしまった気がしたのです。
アイデアは良かったと思います。娘と同じくデジタルな機器でしか母親の情が物語中で示されない点も、携帯やメールを蝉に例え、それが精一杯の叫びだったという点も。なにかこう、胸に痛いです。
ですがそれを顔をつき合わせている二人の会話として、互いに触れ合える二人の間で、普段から離れずに接している二人の交流に組みこんで描かれてしまったために、互いに通じ合えずツールを介してしか叫べなかった人間の悲しみが、通じ合うことが出来る二人の幸せな状況に呑まれてしまった気がしたのです。今まであった、心を通じ合わせるために設置されていた電話・メールという舞台が、ここに来て失われてしまったと感じたのです。
この舞台を壊すことなく番号の保存や蝉のアイデアを活かすことができなかったのか。主人公達二人をこの舞台に上がらせたうえで、さらにこのアイデアに繋げることは出来なかったのか。
そう考えると、容量内に納めるため安易な会話に走ってしまったかもしれないこと(実際に作者さんがどのような考えかはわかりませんから…)が残念でならず、もしそうであるならば、個人的にはアイデアよりも雰囲気・ステージを通して欲しかったと思わずにはいられず、そうした意味で、「詰め込みすぎ」として悔しいのです。
悔しい、本当に悔しい。
ですがこの舞台を中途までとはいえ作り上げ動かし読ませてくれたことに、狙ったにせよ偶然にせよノックダウンでやられちまったということで……おまけなのです。
まあ要は気に入ってしまったということでw
- 74 魔女の岬 (採点:6)
- ストーリーラインは好きです。未来の自分に死にゆく妻の絵を描いてくれと頼まれる主人公。
ただそれを伝えるための描写が少々惜しい気がしました。主人公の妻に対する思いや魔女とのやり取り、未来の自分との邂逅。また中世という時代設定を感じさせてくれない淡白さなども、物語を薄く感じさせてしまっていると思います。ストーリーに加えて別の時代や世界を説得力を持たせて書き綴るには、短編はかなり難しいんだと思います。う〜ん。
現代を舞台に、ファンタジーではなく主人公の葛藤をメインとして描いてくれたら、また違った面白さが出て私好みになったかな、とも思いました。
- 75 夜の夜 (採点:8)
- 読み終わって「惜しいなー!」と強く感じました。うん、死が見える事をこういう方向の話に持っていくことが、そしていじめられっ子の強さと主人公の優しさとが私好みでした。
生き続ける人に普通無下には当たれんよ。言葉だけでも取り繕う。死んでいく人に親身にはなれんよ。表面だけ取り繕う。幸を生き続けさせてるのは、屋上で手を振り払った主人公のおかげだと信じてやまない私です。
ただこのお話で惜しいのは、その主人公の暮らし方に対する作者さんのスタンスが、物語から伝わってこない点です。想像は出来るけど、それは想像。明示せず匂わせもしないなら(誘導というには仕掛けに乏しいと思います)、それは帰結させて示して欲しい。文体というか視点というか、上手い言葉がみつからないのですが、長編を前提としたような書き方になってしまっていて、短編としてまとまりきっていない気がしました。あああああ〜
- 76 Another (採点:4)
- あまりにもセオリー過ぎて、もうどうしたらいいのか。
そして最後の一言にぐっと来たこの高まりを、もうどうしたらいいのか。
そんな病んだ心から、一点プラスw
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:3)
- うわーうわー、読んでて恥ずかしくなってくるほどラブラブですぅ。
まぁラブラブというのはアバタもえくぼで、思いっきり相手を肯定できるものなのかもしれない。それを客観視して描くならOKで、主観的に書いたら趣味から外れちゃうのかもしれないなぁ。でも主観的なのは主人公ではないですよ、と。
余裕の無い人間ですいません。
- 78 君が星を手にするとき (採点:7)
- >「……私を超えて行け!」
おそらくこの部分が一番の見せ場だったと思うのですが、この言葉に続く「設定」が少し軽すぎました。それまで打ち上げの様子や主人公の心情を余すことなく伝えていた地文。そこからは、自己を振り返り、おそらくはこの物語が始まるずっと前から自身に疑問を投げていた主人公が窺えます。
それなのに、この見せ場で続く言葉が
>やっと気づいた
だったとは。
これは読者としては父親が拳を振り上げるよりずっと前に気付く事だと思うのです。それこそ、地文である父親の自己分析の述壊によって。
だからその当然な事をオチに持ってこられても、あまりにもインパクトが薄すぎると思うのです。読んでいた私は、その羨望の感情と、超えられた事実の先に、物語が何を用意しているのかを非常に期待していたのです(正直、シャトルが爆発するのでは、と疑っていました。そう読者が心配するように書いてあるし)。ところが父親が受け容れて、そこで物語は止まってしまった。それが残念でなりません。「当たり前すぎるその事実を、私はようやく受け入れることができた」の文章だけでこのフォローをしようとするのは、ちょっと無理ですし、むしろそれがわかっているのならばこの文とは違った方法で、この作者さんならば策を練れると思うのですが。
ここで止まってしまうのが短編によるどうしようもない弊害ならば、個人的には息子と自分に対する違いの事実に対して「何故今まで気付いていなかったのか」をメインに描写して、受け容れること自体にドラマを作ってほしかったです。
うーん、面白かったけれど、そこが大きく残念でした。
- 79 奥の細道 (採点:5)
- 今回のこんぺでは読者に解釈を強いる作品が多い気がしますが、これはあまり好きになれないなぁ。この物語全体が兄の後悔の深さだと考えることも出来るけど、結果として後悔を描かれても、後悔そのものが伝わってこない。それは「出来事」そのものに対して、読者にあらかじめ存在する想像や経験から引き出してくるしかないのですから、それをテーマにするのならばそこから感じる物は作者の力量じゃなくて読者の力量ということになると思うのです。
ぶっちゃけ素材だけ出されても困っちゃう。食材はちゃんと調理しましょうよ。でなければ料理人としての評価は下せません。他の作品の感想にも同様のこと書きましたけれどw
素材だけを見せる手法というのは確かにあるけれど、素材たる「出来事」自体に読者の解釈を強いる=読者の想像に任せるスタイルをとられると(ここは個人的に重要)、それは単に作者としての「仕事」を放棄しているように映っちゃうのです。
読者に料理を任せるのならば、素材は作者が用意しましょよ〜。料理人でないのならば、農家になりましょうよ〜。
売られてる種を買うならばまだいいけれど、種を撒けと指示されるならば、私の趣味ではないのです。
作者さんは力量がある方だと思いますが、始まりから何一つ変化が無い(始まりの状況そのものを理解するために作品がある)のに加えて解釈しなければならない(物語自体を自分の中で作らなければならない)のは個人的にダメなのです。感情的に点数をつけさせていただきます。申し訳ありません。
○ふぶき さん
- 02 黒船 (採点:8)
- 落語調かー、いい感じだと思います。
- 10 いろはの森 (採点:8)
- 帯のほうで世界観を簡潔明確に伝え、本文では説明を最小限に言うわやすしですけども、なんともまぁ、良くぞこの容量で綺麗にまとめたものだと感心してしまいました。
印象としては和風ナウシカでしょうか。
○ぽー さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:3)
- 創世神話、というよりおとぎ話ですか。巨大な木、そこから生まれた命たち。
うーん、似たようなものが前回にもあった……という感想は多分に失礼かもしれませんが、つまるところありふれたネタであるというのも事実なわけで。植物の擬人化というのは新しいものを織り込まないと、読者は関係ないところの既視感が気になってしまい、作品はちょっと損をしてしまうなあ、と感じました。
とはいえ優しい物語です。
コンペなもんで点数低いですが、個人的には和んで読ませていただきました。
一本目がこういう作品というのは、ちょっと嬉しかったです。
- 02 黒船 (採点:7)
- よろしおました。
ちょっと長いかな、と思わなくもないですが思わないわけでもないわけでもなく、どっちだ。
しかしまあ今回は色んなもんが出てくるなあ、面白い。
とはいえ、こんなの批評できるか! ってなもんで、へへ、今日はこれでおいとまさせていただくことにしまさ。
っと、ここにそっと、七点置いていきますんで、勘弁してくだせえよ旦那。そいじゃごっそうさん。
- 03 遵守 (採点:6)
- 面白かったです。細かい所でちょっと気になるところはあったのですがほとんど許容範囲内でした。
記憶を操作する、してしまったことで巻き起こった事件の顛末はありふれたものではありますが、語り口の味がそれを気にさせません。改行と「――」がうるさく感じられましたが、このあたりはまあ人の好みでもあり。
作者さんの安定した力がはっきりと表れた作品かと。面白かったです。
- 04 海神の矛 (採点:7)
- 被爆国にルーツの一部を持つ日系アメリカ人のミカがヒロシマ型の三十倍の威力を持つミサイルをその手で発射させる。淡々と打ち続けていく描写が秀逸でした。惜しむらくは、艦内の描写がやや貧弱で、軍隊然とした雰囲気があまり感じられなかったことです。実際の潜水艦内も映画のようにサーイェッサーの世界なのかは我々にはわかりませんが、とはいえそのイメージがこべりついているのは確かなもので。あと薀蓄の伝え方が非常に、なんというか、詰めが甘いと感じられました。
あと艦長のデザインを筋骨隆々にする必要はあったのかな、と。ステレオタイプとはいえ、作風を鑑みるに、リアルに近づける猶予のある場所は近づけるべきだと思うので。ラストシーンでも存在感はバッチリなのですが、その容姿を想像すると酷いミスマッチ。
最後にですが、イージーミスが多すぎました。推敲が足りなかったのがあまりにはっきりとわかります。誤字もひとつふたつなら気にならないのですが、助詞を何度か、そしてセンテンス自体の構造が何か変なやつもありました。人のことはあんまりいえませんが、やはり注意して除くべきところだと思いました。
- 05 理屈じゃないこと (採点:8)
- 安定してるなあ。上に行きそう。それがなんか悔しいのは負け惜しみです。
うーん、隙がない……うあー。嫌だ、なんか嫌です。これ以上負け惜しみを書いてしまうのは(そっちか
面白かった。不覚。ありふれたキャラ、どっかで見たキャラだけどまあ、そういうのは私はあんまり気にしないので。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:4)
- また一筋縄でいかないのがきたなあ、今回のコンペは本当に面白い(笑)
なんだか途中から引き込まれていく感覚が面白かったです。序盤での「ソウルイーター」とか勇者がどうだとかのあたりはあんまり気合入らなかったのですが、中盤からコロコロと話が転がっていくにしたがって面白みが増えていきました。
シーン単位では面白い場面がいくつかありました。冒頭と末尾をそっくりそのまま被らせてしまったのはちょっと、と思わなくもないですが。ほんの少しくらいなら変えてもよかったかと。
ただストーリーの根本にある構図が曖昧であり、力技に過ぎたのが残念です。
「魔王がいないと人同士での争いが起きる→魔王は人間を一致団結させるための装置である」
ドラクエ世界でもカンダタ(懐かしい名だ)がいたように、魔王が十全な装置として稼動するというのはいささか安直すぎたのではないかと。ファンタジー世界とはいえこれほど単純な構図に還元してしまっては、作中で色々と無理が読み取れてしまいました。
- 09 テロリスト長沢 (採点:7)
- このルサンチマンに直面し、我は一体何をすべきか。
笑った。
なんだこれ。中盤までははっきりいって、つまらん! とだらけながら読んでいたのですが、終盤にさしかかるにつれて緊張し、手に汗握りました。姿勢を正しました。緊張が伝わってくる。汗。画面を前にして、私は拳を握りこんでいた。場面が切り替わる。進んでいくセンテンス。私は息を飲んだ。長沢、いくのか。いまだ! いった! 一体なんなんだ!
そんなこんな。
しかしまあ、こんなにもダメなやつをマジに書かれてしまった……アホじゃ。
オチがちょっと弱い気がするのがすごい勿体ない。なんかもっと、もっとなんかなかったのかと。「ブバッゥ」は笑えたのに。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:2)
- なんだろよくわかりません、結局心の中のもう一人の自分、といったところなのでしょうか。もやもや。
場の問題提示は良かったのですが、解決策が先生の助言イッパツ、というのがなんとも物足りません。そんな簡単なものだったのか、と期待を裏切られてしまった格好に。もっとこう、ファイトが望まれました。いや別にどつかなくてもいいんですけど、葛藤というか、そういう。
あとディテールがちょっと弱いかなとも。描写の工夫をもっとしてほしいと思いました。ホラー(というほどでもないけど)やちょっとした怪奇もの、不思議系はディテールや雰囲気が五割がた作品の質を決めてしまうと思っているので。
追記。
帯文と本文乖離しているのでは、と愚考。
- 17 19140901 (採点:7)
- 惜しい惜しい。むしろ口惜しい(えー
中盤までの雰囲気では今回コンペ最高なのではないだろうか。がー、が。それゆえに惜しまれます。オチが散漫……
まず一つ目の不満として、リョコウバトのもじりはちょっと安っぽかったのではないかと。むしろ名前をつける必要はなかったように思えるほどで、いささか安易さを感じました。
構図を簡単にしてみます。
「伊豆に来た小説家」
「現れた旧知の画家、しかしなぜかガリガリで見知らぬ娘連れ」
「過去、二人の間で交わされた美についての議論」
「滅び行くものが究極的に美しいという合意」
「衣服を脱いで舞う少女。統帥せずにはいられないほどの美しさ」
「後日発見される画家の死体。そしてリョコウバトの絶滅の知らせ」
なんというか、直接たどるには無理があるのですな。浮かぶ疑問が解消されないまま次の疑問にあたり、それもまた解消されない。前述のオチが散漫、と感じられた理由は構成が甘かったのがそのひとつと思います。
「滅び行くものは美しい」ことと踊ることの相関関係が見えないのです。そしてオチの死も、鳩であったというネタ晴らしも。
また単に美を表現するのなら幼女が踊ってロリータを表現することはいいと思うけれど、なぜ鳩が踊る必要があるのだという疑問は消えない。究極の美を滅びと定義しているのなら、ただ朽ちていく鳩が、もしくはただ少女がそこにいるだけでもいいと思うので。
クライマックスの踊るシーンも、その美しさは確かに賭け値なくすばらしいと思うのですが、それが物語の評価に直結しない。シーンを生かしきれていないとも、状況が物語りにマッチしていない、とも取れます。悪い表現が許されるのならば鶏肋とでも申しましょうか……確かに難しいところではありますが。
容量配分のミスなのかな、と思ったりもします。序盤をもうちょっと削ることはできたはず。丁寧な雰囲気作りは良いのですが……このあたりが容量制限の難しいところなのかなあ、ほんに書いても読んでも思う問題です。
大空を舞う鳥の群れを表現していた画家がいつしか、一まで減り、またゼロになろうとする五十億の命だったものに傾倒する耽美的なその様と、無垢な裸体で舞い踊る散り行く命の危うさが作中で完全にマッチしていたのなら、読み終えたときの私には相当な衝撃だったのではないか、と思うとやはり、惜しい。
- 18 生命 (採点:8)
- こいつはまたごっついのが出てきました。すげーのう。高得点入れるのはなんか悔しいんですが、それもまたよしか。
別にいうことはないというか、こうまで勢いとパワーでごりごり押されたらもういいや、と思ってしまいました(笑)
出来が良かった分、描写面での細かい所の安さが目に付いてしまいました。いやここまでくればもう重箱の隅を爪楊枝にほじくるようなものですが、期待度満足度の裏返しということでどうか一つ。
- 20 今日見る明日 (採点:3)
- くさっ! 青くさっ! 好きです。(あいさつ)
私も似たような話を書いたことがあり、まあそれはどうでもいいんですけど、つまるとこやっぱ二人乗りはロマンだよなってことで。学校抜け出して無為に二人乗り、迸る汗、青春の鼓動、はつらつとした台詞、素直じゃない二人。
青春の匂いが漂います。
ゆえに、ある種もはやテンプレに近いこの形式なのだから、もう一つ何かほしいと思いました。もう一つ、何か。一つといわず二つでも三つでも、ですが。空気だけではもう満足できない体になってしまったのです(誤解を招く文章)
好きだからこそ要求が高まるという心持ちです。
- 21 雪国 (採点:2)
- 落ちてない。
放り投げられた結末で、心地よい呆然自失感を味わうことも出来ない。
なので作者さんの目論みは外れたのではないか、と邪推します。
導入をそのまま持ってきたのは、ここまで開き直れるのならと心地よくさえありました。作中の描写も軒並みマッチしていて、特に減点するところも見当たらず。ただ加点するほどでもなかったところが、中々に、オチに至る経緯を十全に表現できなかったのだろうかと思ったりも。雪。雪国。その単語だけで郷愁や懐古、その他諸々の感情などを私は想起できませんでした。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:2)
- いや落ち着け女子高生、その回答はどうなんだ! アリか!? 無いはずだ!
帯文が中々目を引いて、むしろ帯で「……ん、読もう」と思ったくらいなんで評価は高いんですが、本文とのギャップが。が。が。このオチはさすがにちょっと受け入れられませんでした。最後までさーっと読めていたので、終わったとき、えっこれで終わりかそんなはずわ! と「next」を求めるほどでした。
これはもう改善というか、ぶち壊しなのでは、と思ってしまったのですが。いわれた男の方としては鬱陶しいだけっぽい……
むしろ女子高生、アンタがメダパニ食らってないかと思ってしまったりも。
- 35 西と東、白と黒 (採点:4)
- 西の国のよさがあんまり出ていないのが残念。
物質的豊かさ(東)と精神的満足(西)の対比かあ……安易かな。ごてごての政治ものにならなかったのはよかったような気がします、読みやすかったですし。
ただどうも後半の描写が薄いような……東のシーンと比べてどうにも良さが表れていない。神様、というネタもただ放置してしまいもったいないなあと……
こういう構図は秤を慎重に、平行にしないと威力が減るのが危ないなと思いました。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:4)
- こいつぁイケ☆ませんね。
化学ネタはちょっと懐かしかったですね、やったやった、結合とかやったやった。でもBLで結合って出てきたらちょっとアレですよね、生々しくてね、イケ☆ません。
んー、でもキスまで行くのはどうなのかなあ。ていうかオチも、はるかが可哀そすぎるんではないかと。大石派です。
式に名前を当てはめるのはちょっと狙いすぎかなって気もしました。それがなくてもはるかは十分アホな子なので面白かったです(文章変)
- 42 焚火 (採点:4)
- 手堅くまとめてきた作品。事件の経緯は中々興味深くあるのですが、序盤の描写がちょっと目に付いてしまいました。
ラストシーン、ラストパラグラフに移行する際、妹の心理がよく読み取れなかったのでもうちょっと詳しく書き込んでほしいと思いました。改行前とちょっと乖離しているのではないかと。兄のそれは狂気だったのか、兄は自覚していないようだがいつからその狂気に足を踏み入れていたのか、そこに妹は父の幻影を見たのだろうか。
陰惨な事件の割りに掘り下げが浅く、ストーリーを追うだけでなくもっと深い、暗いものを書き出してほしかったと思いました。
- 51 夏の風 (採点:2)
- 夏。とはいえやはり物足りず。
- 61 山小屋語り (採点:6)
- 結構な力作。ラストの落ちはちょっと見えなかったかな、安直なほうだろうと見くびってました。失礼。
「――。」や「……」がないほうがよかったかも、と。話の性質上これは安すぎる。おどろおどろしい雰囲気を出そうとするのは結構なのですが、なんでもかんでも手を出しすぎたのが逆に失敗ではないかと。淡々さはさらに徹底すべきだったと思います。空気は行間から十分滲んでると思うので、蛇足と呼べる文章が目に付きました。
帯コメントはかなり目を引きました。でもちょいと肩透かしだったような気も。もっと濃度の濃いものを期待してました。なのでちょっとがっくり。こういうところが帯システム怖いよな、と何となく思った次第です。
- 62 格闘少女 (採点:5)
- ううーむ、どうなんだろうこれは。要所要所で面白く、要所要所で滑っている。もったいないなあ、と思わずにはいられません。
>考えろ。思考しろ。
>私は知っているはずだ。
>アイツは何時だって―――効率を優先していたのだという事実を。
こういう奈須きのこチックな描写が出てくるとちょっと萎えてしまう私は悪いやつなのですが、とはいえそれも事実。もったいなし。
中盤から終盤にかけて、しんみりとした描写、生前の彼女に対する母の懺悔が続くのですが、いささか長すぎる。食傷、といってもいい。また故人の性格を後で断定することはいささか傲慢じゃなかろうかとも思ってしまう性質なので。最適解のないほうが美しい、と思ってしまうわけです。
全体的にもうちょっと短く切り詰めてくれたら、冒頭のパンチが効いたまま終われたようにも思います。とはいえ、
>『野郎じゃないよぅ、お嬢さんだよぅ』
これには感謝。グッドでした。
- 64 ブランコ (採点:2)
- うーん、捻りがなさすぎる。
ゆうちゃんはだめなやつ過ぎると思うんですがどうでしょう、優花もよく許すもんです。
情景描写だけで乗り切ろうというシーンがありますが、絵とは違い文章では、それがよっぽど技巧に富んだものでなく、ただ置いてあるだけならば、それは単なる言葉の連なりに過ぎません。描写の中に何かしらの意味を埋没させて始めて描写は単なる文章ではなく、読者側に対してアプローチするのではないかと愚考します。読者をだまくらかし、翻弄し、模索させるべき、と大仰に吹いてみますが、ありきたりな作戦としては「思い出」とかでしょうか。ともあれこれからのご健闘をお祈りします。
- 67 世界一の小説 (採点:4)
- 確かにアイロニカルではあるけれど、こじつけの「馬鹿」二人があまりにも素直すぎるかなあと。引用されている「斬新な工夫」とやらがあまりに安っぽく読めてしまったからかもしれません。
前述されている鹿野の台詞によれれば、比喩。ストーリー。構成。その全てが奇抜で斬新であり、なおかつ巧みでなければいけないのでは? 馬鹿なだけではちょっと面白みに欠けます。それこそ
「だめだ。こんなに安直なアイロニーをつかっていては、コンペ一にはなれない。
もっと深い、あっと驚かせるようなオチを書かないと、ウェブの目の肥えた読者は仰天してくれないよ」
借りまして失礼。
- 70 アリス (採点:7)
- ふおおおお、面白かった。笑った笑った。
パンクって好きなんですよ、あの種の台詞回しはずっこいくらいに面白いし。
読みはじめから中盤までの盛り上げ方はシロマユ。楽しむだけ楽しめてしまった分、後半の失速ぶりが厳しく感じられました。
ダーリンとアリス(もしくはトモ)の二人のやりとり、およびダーリンの軽妙な語りが中々にツボったのですが、後半の真面目なやり取りに突入すると、ちょっとどうにもテンポが止まってしまったように思えました。シリアスなシーンに入るところから、テンポやギャグがなりを潜めてしまうのは避けようがないので、あとひとひねり何かが欲しかったと思われます。
あとトモの変貌ぶりを一言で済ましてしまうのはちょっと勿体ないというか、そういったところを後半持ってきても面白いかなと思ったりしました。
でもばっちり楽しめたりしました。好きですコレ。ファッキンバカタレ!
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:2)
- もやっ。
うーんなんだろ、特異な背景であるはずなのに一切説明されず、さりとてそれがパンチ力を伴っているわけでもなく、ちぐはぐな二人の会話はありていといえばあまりにありていで、オチの台詞の感慨にほとんど繋がっていないように思えます。
もうちょっと背景、小道具、描写などでがっつり雰囲気を作っていたのなら、あるいはかなりの作品になっていたとも知れないので、もったいなし、ということで一つ。
- 76 Another (採点:5)
- 妹スキーを狙ったきたかっ。だが甘い、私は実妹持ちだ、そんな攻撃はきかんぞ!(あいさつ)
でもスキーな人に派手に効きそうな予感です。「かいしんの いちげき だ」
ある意味正統派だなあ、この作品が一体どの順位までいくのか割りと興味あります。オリコン参加者のおたく度というか、こういう萌え系を希求する層がどれほどいるのか計る指標になるのでは、と勝手に思っております。
閑話休題。
話の構成はめっちゃ手堅いというか、本当に正統派。オチの一言の捻りがいいと思います。ただやっぱり妹スキー以外にはダメージ半減になるのかも。とはいえそれが悪いとも思いません。もはや潔し! ブラコン兄貴も中々いいやつ、っぽい。ですし。
- 78 君が星を手にするとき (採点:6)
- 紹介文乗っ取りはまじ自殺行為だったような。なんか不快です。残念ながら減点。
本編はかなり好きです。触れるんだよなあ、琴線に。よかったなあと思いつつ、やっぱり私も老スタインバーグ氏のように悔しくあるので、点数だけつけて終わります。
○ぽた さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:2)
- 壮大で優しくて、暖かいおはなしだと思いました。こういうジャンル好きです。HTMLではなくて、柔らかなタッチの水彩画と一緒に絵本にしたいところです。
こういう場所ではなかなか評価されにくいかもしれませんが、応援しています。
- 02 黒船 (採点:2)
- 落語的でなかなか楽しめたので、満足です。同じぐらいの面白さを、次回はオリジナル小説で頼みます。
- 03 遵守 (採点:7)
- いい話ですね。憑き物、とかいう表現や舞台設定がどことなく京極夏彦っぽい気がしますが、文体が素直な感じなので、そこまで影響を感じない。上手くまとまってると思います。
- 04 海神の矛 (採点:2)
- 戦争物はこの枚数では難しいでしょう。キャラクタ数も枚数に対して多すぎる気がします。キャラ立てはされているようですし、取材もしていそうな雰囲気なので、この三十倍の長さにして、エンタメ系の文学賞に出すのが良いかと。
- 05 理屈じゃないこと (採点:3)
- 妥当で好きですが、描写の密度が若干薄い気がします。もう少し部屋の描写やキャラクタの描写があると、いいと思います。
- 06 For tune the rainbow (採点:7)
- 冒頭から百合萌えの予感。そして的中して嬉しい。主従関係は従攻めで下克上が基本ですよね! いや、堪能させて頂きました、が、ラストはハッピーエンドが良かったです……。あと、時々、美文すぎて意味の通らない文章がある気がしました。彼女の孤独に関する統一された見解も上手く読み取れませんでした。あと、時々メイドの口調が乱暴な気がするのは仕様ですか。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:3)
- 妥当な話のような気がします。
が。
魔王ネタは前回の「魔王」との既視感で思わず冒頭で噴いてしまいました。笑う話じゃないのに。どうもこういう設定はリスキーな設定な気がするんですよね……。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:2)
- やりたいことは分かるが、美文的悪文のような気がする。冒頭から違和感がびしびし来て、なかなか読み進まなかった。不潔な笑顔ってどんなだ、とか、そういう描写としての違和感。寸『分』の狂いもなく、ではないのか、とか、そういう誤字による違和感もある。雲から水気が消えたら雲が消えてしまう、とか、一行ずつツッコミ始めるときりがないので、ざーっと流し読みするに留めようと思うが、ああ、それにしても「緊張と期待と不安が入り交じった顔」とあるが、少なくともいくらかの緊張を帯びた顔が私には弛緩しているとは思えない、とか、声は空気の振動そのものであり、声が空気を振動させるわけではなく、振動させるのは声帯である、とか、その手のツッコミを入れていると本当にキリがない。
で、内容。切れ切れになりながら匂ってくる事件の予兆というか、振り下ろした鉈の行き先というか、蔭の含ませ方、オブラートに包ませるやり方は上手いのだろうけども、いかんせん、上に挙げた文章の拙さから、なかなか読み取るのが難しい。私にはどうも伝わらない。
- 09 テロリスト長沢 (採点:5)
- 頭悪い感性は好きだし、コンセプトとか勧善懲悪なところも案外好き。
- 10 いろはの森 (採点:4)
- 冒頭一行目から、違和感が。『きし・む【×軋む】 [動マ五(四)]物と物とがすれ合って、きしきし、みしみしなどと音を立てる。』というYahoo!辞書の定義から考えると、ストーブ上のやかんが軋むというのはおかしいのではないかと。
あと「…」三点リーダは複数個つなげて使うのがセオリーです。
方言の地方が混在している気がします。冒頭近くは博多弁ぽいけど、しばれるは東北の方だった気が。あえて場所によって使い分けているのだとしても、分かりにくい。
バーチャル・ハコネというか、和風ファンタジー・ハコネのコンセプトは面白いし、とても個性的だと思うので、もっと続きが読みたいです。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:6)
- 文章素直だし、キャラクタも素直だし、いいんじゃないのかとは思う。とりあえず粗はなさそう。空気感があって、いいと思う。あさのあつこよりは石田衣良みたいな感じかな。ただ、粗が無い代わりに、とっかかりというか、心に残るべきものがあまりない気がする。キャラ萌えもしないし(笑)
- 12 フォーカス・レンジ (採点:5)
- おろぼげ? 磨り替わる? シュチエーション? 点へ昇った?
誤字の多さで気が散って、ちゃんと読めなかった気がしますが、話の組み立てなどはいいんじゃないでしょうか。ところどころ、なんとなく森博嗣リスペクト? なフレーヴァが。でもなんだか、ぴんとこないというか、感情移入を妨げるのはなんだったんだろう。よくわかりません。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:8)
- 怖い。すごい。これは、短いのに素直に怖くて面白い。少し文章にあらが見られるのが残念。スポーツドリンクを「一口で」は飲み干せないだろう、「一息で」なら分かるけど。あとラストは「従順」ではなくて、従属ぐらいが妥当なのではないか。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:6)
- あんまりよく分からなかったというか、萌えなかった。
最初の設定語りが長すぎる気がする。頑張って書いたのは分かるような気がするけども、もうちょっとストーリーや描写で読ませて欲しい。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:4)
- タイトルは岩井俊二、中身は涼宮ハルヒ、エピソード過多。でも文章はこなれていると思うしきっちりまとめる力はあると思うから、あとはネタというか、日常観察というか、そういうところから攻めていくとよいのではないかと。
- 16 さくら (採点:6)
- 桜の色は本当に『緋色』だろうか? 緋色というのはもっと赤みの強い、「火」色であると思う。(参考:ひ‐いろ【緋色】1 濃く明るい赤色。深紅色。緋。2 銅器につける赤く鮮やかな鳶(とび)色 Yahoo!辞書)
少女の死後硬直について。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%BB%E5%BE%8C%E7%A1%AC%E7%9B%B4 彼が桜の下を再度訪れたのが死後24時間と仮定すると、死後硬直はまだあまり解けていないため、もう少し違った描写になりそうだが。いや、汚物が乾いていないことを考え合わせると、それほど時間は経過していないと見るべきなのか。
理解が吹き出した? など意味が分からない美文的悪文が比較的少ないのは、良いと思う。
この手の少女幻想は良い感じに萌えられたので、好感。
- 17 19140901 (採点:8)
- 妥当すぎるきらいはあるが、舞の描写が美しかった。文体も美しい。
- 18 生命 (採点:6)
- この感性は好きだなあ。町田康みたいな。
ところで婆さんと主人公で百合萌えしましたが、ダメですかそうですか。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:4)
- エロゲ的ですねえ(暖かい眼差し)
「生きれます」はATOKに怒られるぐらいの標準的なら抜き言葉ですが、それはそれで萌え(違)
ところで、句読点などが半角なのは仕様ですか? 気になってきちんと読めた気がしないので、次回から全角でお願いします。
- 20 今日見る明日 (採点:5)
- さらっと爽やかコカコーラ。喉越しすっきり過ぎて何も残りませんでした。でもまあ、適度に萌えるから良いかも。
- 21 雪国 (採点:3)
- 幻想を書くには文章が薄すぎる気がするし、リアルな話を書くには筋が無さすぎる気がする。文章力自体は普通にあると思うので、むしろリアルな方向に進んでしまう方が楽だと思う。個人的には「私」が女だと百合萌えして◎(笑)
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:6)
- いんじゃね? OKじゃね? むしろイケイケじゃね? 適度にえろくて蝶萌えましたすんません。つーかもう、えろくてもえる以外のコメント書けなくねーか?
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:7)
- お前はそれでいいのかよ、主人公っ! と読後0.5秒でツッコミを入れてしまいました、が、むしろそれでいいのかよっ! と突っ込んでしまうほど、感情移入出来たってのがよく考えてみたらスゴイことだと思った。高校生にもなってジャニオタかよ、って思ったけど、テニミュよりマシか、うん(独り言)とか、読みながらキモイ自分に気が付きましたので、同時代性の出る固有名詞の使い方が私は好きですハイ。
- 24 結婚適文句 (採点:10)
- これは上手いです。笑ったし、ほんのりした。こういうのが書きたかったですねー。いや、書けないですけど。
- 25 マージアここに在り (採点:4)
- うーん。もう少し何か、個性的な何かがあってもいいんじゃないかとは思ったけど……。文章は拙くないと思うんだけど、何が足りないんだろう、うーん。うーん……。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:8)
- 不条理なギャグとして面白かった。オリジナリティがある不条理さだと思う。冒頭の「猩々蝿が〜」で惹きつけられる。途中のジーザスさえ無ければ完璧だと思ったのに。宗教はデリケートな問題なのでもう少し気を付けて欲しかったです。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:7)
- ショタ女装っ子で百合萌えしました。腹黒女主人公とで三角関係萌え。キャラは立ってるので、あとは描写などの問題な気がします。こういうスラップスティックなノリも好きなのですが、だとしたらもう少し荒唐無稽でもいい気がします。ストーカーシーンは、花とアリスみたいな感じだったかな。
- 28 Forest Note (採点:4)
- コンセプトと文体は好きです。筋も妥当だし。柔らかい感じのする話だったと思いますが、いかんせん妥当すぎる気が。
- 29 Blind (採点:1)
- 分からない。身体と精神の可分不可分の話をしたいならもっと説得力のあるシチュにすべきだろうし、処女はそもそも感じないものなのだし、エロが書きたかったならもっと何か他にあるだろうと思うし。
文章自体はすっきりしていて読みやすかった。
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:6)
- 百合好きなのに、萌えませんでした……。百合は伝統的に心中モノが多いジャンルなので、救いが欲しいなあと思いました。
耽美路線で行くのなら語尾に「ぉ」は止めて欲しいところです。地の文は良い感じなんですが。
すいません、好きジャンルは点が辛くなります。
- 31 正義の味方の悩み (採点:5)
- 涼宮ハルヒシリーズに似ている気がしますが、主人公の立ち位置がちょっと違うところがオリジナリティの鍵だと思うんで、その辺を追求すると面白いんじゃないかと。
というのは、主人公がキョンより倫理的に正しい人っていうか、fate/stay nightのシロウと同じモノを感じたので、その辺を掘り下げてみると面白いのではないかと。
今後に期待します。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:7)
- 小学生かわいい。先生可愛い。萌え。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:9)
- アイデアすごいです。感心しました。文体もすっきりしていて好きです。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:6)
- ギャグとして面白かったです。萌えキャラとしての立ち方・描き方はもう少し工夫出来る気がします。
- 41 No River to Cross (採点:8)
- 良かった。描写が静か、穏やかでいい。派手なところは無いけれど、勇気づけられる。
- 45 おかえり (採点:5)
- 百合萌えしてごめんなさい。
話の筋としては妥当なんですが、表現がちょっと薄い感がアリ。
- 52 豚 (採点:5)
- うーん、あまり面白いと感じないのは何でだろうか。萌えない。ユヤタン(佐藤友哉)に萌えるのはきっとあの人の人生に萌えるからなんだと思う。介護疲れは分かったが、時代の特異性の固有名詞などが無いせいか、同時代性を感じない。文章は普通に書けてると思うんだが、やや書き割り的かもしれない。
個人的には同じ母殺しなら、アレだ、ピーター・ジャクソン監督の百合映画名作「乙女の祈り」が好きです。関係ないけどね。
- 55 饗宴 (採点:6)
- 素敵な散文詩です。次回はこの文体で小説が読みたい。
冒頭付近が若干、美文的悪文で、主語述語ねじれている気がしました。中盤以降、盛り上がってくるところの畳みかけるようなリズムは心地よかったと思います。
- 56 Show must go on. (採点:7)
- グラスが3つしか来なかったということから連想して自分の立てたストーリーがそのまま当たって嬉しかったです(笑)
妥当にいい話だし、伏線も張ってていいんじゃないかと思います。
- 61 山小屋語り (採点:5)
- 方言がどこの方言なのかよく分からないというか、本当に実在する方言らしさ、というのをあんまり感じない。あと、よく分からない。この形式は岩井志摩子の「ぼっけえきょうてえ」がすごく怖いので、それと比べるとどうしても。
- 63 未来視の見る夢 (採点:9)
- 美しいです。構成も文体も穏やかに静かに美しい。あまりに悲しいですが。
- 65 金曜日のつめきり (採点:9)
- これは、良いな。感性と筆致がいい。彼女が可愛い。こういうのを書きたかったんですよ、私は。いや書けませんけども。
- 67 世界一の小説 (採点:4)
- ギャグとして普通に好きですね。落語的なショートショートだと思います。ただ話の流れ自体は妥当なので、もう少しひねりが欲しいような。映画「プロデューサーズ」ぐらい、ギャグセンスが光っているといいかなあ。いや、あれも微妙かなあ。あと、最後の例示の小説がちょっとありきたりすぎるかもしれません(笑)
ただ、おりこん限定で言うなら、この手のネタは反感を買いやすい気がするので、避けた方が無難かもしれません。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:2)
- 面白いとは思えない。アイデア自体は悪くないと思うんだけど。下品であることに抵抗があるわけではないんだけど。書きたかったのは筒井康隆っぽい感覚なのかもしれないが、もう少し話に必然性が欲しい。
- 70 アリス (採点:5)
- えー、作者なので控えめに、でも誰も点付けてくれなかったら寂しいので5点だけ付けておきます。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:3)
- オチまで読んだら、なんだかホラーだと思いました。小市民の絶望に近い平穏。もしもホラーだと思って書いているのならもう少し上だと思うのですが。
- 72 月時雨 (採点:3)
- 最初ギャグかと思ってしまいました。しょっぱなから「僕のベアトリーチェ」て。
美文的悪文の嵐で、だいぶ読みにくいというか、「空気を呼吸する」とかは、意味不明というか、空気以外の何を呼吸するのか教えていただきたいというか、無生物主語が多いというか。とにかく、なんだか読みにくかったです。
- 73 14文字の涙 (採点:6)
- 百合萌えしましたごめんなさい。
……それはともかくですね。基本的なアイデアは上手いと思うし、良い感じにまとめてると思うのです。ただ、病院って携帯電話禁止じゃないかと思うのですが。
文体は軽快で、好感が持てました。昼飯代の小ネタが日常感あって上手いな、と。
- 74 魔女の岬 (採点:3)
- うーん。全体に表現が薄い気がするのは、平野啓一郎の「日蝕」との既視感で比較してしまうせいなのかもしれません。例えば、「身を乗り出しそうになった」程度の低い憤りなのに、「指の間から血が滴る」ような高い憤りも同時に持ち合わせている。どうにも落ち着かないです。構成その他は良いと思うのですが。
- 75 夜の夜 (採点:8)
- 実はけっこういい話だと思いました。ごめんなさい百合萌えしました。関西弁も良い味だしてるし。森絵都とかの系列かなあと思う。この話のオチは、ある種、幸の逆襲でもあるんだよね、と思う。完全な救いが存在しないことにリアリティを感じる。
- 76 Another (採点:2)
- てっきり幼なじみだと思ってワクテカしてたのに、妹か……(←幼なじみ属性アリ)
それはともかく、軽快な文体で良いと思います。ただ、誤字が多いのがちょっと。錆びをいじる描写が好きです。
ああでも妹なんだ……妹なんだぁ……。すいません。萌え系は萌えツボを外されると凹むので正当な評価が出来ません。
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:5)
- 絶対ブラックなオチが来ると思ったのに!(笑)
それはともかく、爽やかな文体でいいと思います。でもやっぱりなんだか怖いです。このままホラーでダークでストーカーな彼女と彼氏とかだったら、もっと意外性があって面白かった、かも。ああでもそれはそれで妥当過ぎるかなあ……。悩む所です。
- 78 君が星を手にするとき (採点:10)
- 美しい。とても感動しました。淡々とした文体が、その感動を引き上げてくれます。リフトオフ直後の描写が大好きです。
- 79 奥の細道 (採点:6)
- 面白かったです。文体が美しい。
自分、妹属性は無いんですけど、ホラーでサイコな妹ってアリかも、とか思っちゃいました。話の展開がちょっと妥当過ぎるのが唯一の難点かもしれませんが、でもそれを含めてこの作品なんだよなあ、とも。あと、タイトルがよく分からない、かも。
○ぽん太 さん
- 02 黒船 (採点:6)
- 「さあ読むぞ」、と気合い入れて挑んだら見事にかわされました。
落語は全然知らないけど、普通に面白かったので。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:7)
- 後半からはずっとなんとも言えない微妙なこっぱずかしさを抱えながら読んでました。
妄想してるとどうしても期待が出てきちゃうよな、と思ったり。
読み終えてからも明日陽太はなんて呼ぶんだろう、と想像して甘酸っぱい気持ちが溢れ出します。
面白かったです。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:5)
- ナイトメアの説明が長くて、話の内容がいまいち掴めないうちは冷めた目で見ていたんですが、話が動き始めてからは面白く読めたかなー、と。
ただ、あの長い台詞でタイトルタグを使うとちょっと見栄えが悪くなってしまった気がします。作中でのインパクト的にも他の印象的な二言のどちらかの方がよかったんじゃないかなー、と思いました。
思いっきり自分の好みで、ですが。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:5)
- 死神可愛いですよねー、と書いてから天使だった事を思い出しました。
大鎌はやっぱり死神イメージ抜群だと思いました。
話はまとまっていたし、読みやすい文章でさらっと最後まで読めました。
ただ、その分印象に残った所がなかったです。主人公の「不良」な部分が感じられなかったからかもしれませんが。
でもやっぱり天使が可愛かったから好きです。
- 24 結婚適文句 (採点:10)
- 最初の一行で吹きました。
ギャグはほとんど全部ヒットして笑いっぱなしだったんですが、気がついたらシリアスモードに入ってて読み終わったらさっぱりした気分になってました。
不思議だ。
雰囲気も会話のリズムもギャグも内容も好きなので、文句なしです。
- 56 Show must go on. (採点:7)
- あー、やられました。今思えばグラスが三つしかなかったときになぜ気付けなかったのか。
話の流れも無理ないもので普通に楽しみながら読めました。
終わり方も爽やかでよかったかな、と。友情万歳です。
- 61 山小屋語り (採点:6)
- かごめ歌の解釈はなんだか色々聞くんでどれがほんとだかよくわかんなくなっちゃいました。
夜一人で部屋で読んでたら後ろを振り向けなくなりました。
机の陰になってる足元も見れなくなりました。
怖っ。
- 70 アリス (採点:9)
- アリスに萌えました。でもダーリンにはもっと萌えました。
勢いのある一人称にぐいぐい読まされて最後まで一気に読めたかんじで良かったです。
アリスのメールとダーリンの困惑っぷりに笑わされっぱなしでした。
オチは、妙に凝るよりはこっちの方が好きなんだけど、でもやっぱりなんか凝ったのが見たかったなー、とすげぇ勝手な事を思ってしまいました。
何が言いたいのかっていうと、面白かったです。
○まてつや さん
- 02 黒船 (採点:4)
- 会話分だけのお話。落語のバカらしい勘違いがそのまま強引に進むのは興味深かったのですが思ったより普通のオチでがっかりしました。
- 04 海神の矛 (採点:5)
- 文章自体はとても読みやすく設定自体もとてもいいのですが16000バイト以内に収める話としては魅力的すぎて勿体無い。
主人公がこだわる理由にももっと触れてほしい。切り取られた長い話の1スパンみたいでした。
短編としては厳しい採点をせざるをえない。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:8)
- 面白いです。なるほど、そういう意味で魔王は決して死なないわけですね。
このお話と関係ないですが「必要悪」という言葉もありますしね。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:5)
- すらすら読めました。
読みやすい文章は好印象ですし、そこそこ面白かったんですけど。うーん、なんか物足りない感じでした。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:7)
- 何かを参考にしたのか作者自身の考えなのか知りませんが、私が聞いたことのない夢に関する情報の説明、それ自体は好きだったのですが、後半になると説明でなくストーリに入っていくので逆に前半の説明語りすぎというか過多だったのではないかと。バランスをもう少し後ろに向けたらどうでしょう。
少なくとも皮肉的な彼の存在語りでなく、ああいう方向に持っていくのならなおさら後半に力を入れてほしかったです。
私としては序盤の雰囲気で最後までいって欲しかったんだけど。
タイトルの使い方については別に採点には影響せず。
>まったくもって夢の無い奴らだ。
何、その皮肉(笑) あ、褒めてますっ。
- 18 生命 (採点:6)
- タイトルの繰り返しの出し方良いですね。
実は最初は一読して1点にしたのですが、何度も読み直してこの点数になりました。この文章なんだか病みつきになってきた。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:5)
- 紹介文の通り、初めて書かれた文章なんですね。
読みやすい文書だったので意外と気にならなかったのですけど、セリフの終わりの閉じ括弧の前の読点はない方が良いかもしれません。ポリシーであるならご自由に、学校で習う国語ルールでは正解ですし。
- 24 結婚適文句 (採点:10)
- 何、この変な話(笑)
出てくるボケの数々にはほとんどニヤっとできました。
うむ、わけわからないけど読めてよかった。
紹介文を見たら汐とんこつラーメン食べたくなりました(笑)
- 25 マージアここに在り (採点:6)
- んー。採点甘めかも。
設定は好きなんですけどね。あまりにも展開が予想通りというか、それでいてヤマもあまり盛り上がっていないような……。あの都合よすぎるナイフでてきたら逆に冷める。
何にしろ、勿体無い。もう一味も二味も欲しいところ。
- 35 西と東、白と黒 (採点:7)
- 良い話だと思います。
しかし、16,000バイト……こういう話。で終わっても短編としては問題ないのでしょうけど。二つの国がもっと絡むような事件が起きて欲しかったです。
そう。
この話は差異を書いて、でも住んでいる人はこう思っている。あんたはどう思う? みたいな作品なのである。
その描写を減らせば絡むような話ができないわけでもない。でも、作者の意図ではない。うーん、勝手な私の希望と言うことだ。
倍くらいの容量でもっとつっこんで書いてあるのを見てみたい。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:9)
- ごめんなさい。私が悪かったです。野暮なツッコミは棄てます。
作者さん、<i>馬鹿</i>すぎます。
真ん中で最大級のオチきたぁ! イタリックはそんな伏線かよ、騙されたぜ。と思ったら。
最後に核爆弾のオチかよ。
そりゃ、反応鈍くもなるよ62歳!
というわけで、途中部分の説明とか私には全部フェイクという結論に達しました。このお馬鹿さん! あんた最高だ!
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:5)
- すっげぇ馬鹿ですね。
だが、それがいい。
- 42 焚火 (採点:4)
- 折り畳み傘をうまく扱えない理由のところは良かったです。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:8)
- とても雰囲気が出ていた作品だと思います。
オリこんは舞台設定をいろいろとできる分、その感じを出して内容もあるものを出すというのは16,000バイトの中ではなかなか大変でしょう。
その中で独特な雰囲気を作り上げることに成功している作品のひとつでとても好印象でした。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:3)
- 最中さん?
相変わらず、部分的にすげぇ表現くるなぁという切り抜き的素晴らしさはあるのですが、話全体で見ると私には合わないなぁ。
魚と水と空と鳥のくんだりは好きです。
>脳内留学
ちょっと吹いた。
やー、こっち方面でもよくこんなワード持ってきますよね。相変わらずセンスビンビン。
……最中さんじゃなかったら、ごめんなさい。
- 55 饗宴 (採点:1)
- えらくトンがってますね。
やー、すごい。なんかお経でも読んでるみたいでした。なんか坊さん気分です。
点数は1点ですが、どちらかというと駄目だった、というよりはよくやったなぁと思いました。
- 61 山小屋語り (採点:7)
- うん。面白かったです。
だから最初から濡れていたのですね。
切られたシーンは結構唐突に感じました。その辺りが残念。
- 67 世界一の小説 (採点:5)
- 途中まではオリ肉のときの世界まずい味みたいで期待したのですが、うーん、普通だったと言うか、甘かったと言うか、キレがなかったです。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:8)
- バカすぎる(笑)
まぁ、これでもいいのですけど設定自体がものすごく面白かっただけに、もっと素晴らしい展開とオチを期待したんですけど……残念。
でも、こういう方向の終わりに持っていくカタチならかなり成功していると思います。
そして、紹介文を見直す。
アカン、吹いた。
私の負けだ。1点加点します。
- 70 アリス (採点:6)
- 残念です。読んでて途中が面白かっただけに。
オチてません。あー、残念。
- 74 魔女の岬 (採点:7)
- 雰囲気出てますね。ちょっとパンチ足りないんですけど、好きなお話。
ツメが甘いのが残念でした。
途中まで読んでて作者はちょっとだけ広瀬さん? と思ったけれど、終盤をみて違う気がした。誰だろう。
- 75 夜の夜 (採点:6)
- なかなか惹かれるお話でした。屋上であのセリフに笑わない(笑えない)反応が残酷で良い。
最後の締めが微妙でした。でも、なんか好きな作品。
○りょと さん
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:3)
- シニカルな内容の割に、描き方が素直すぎてどうにも面白いと感じることができませんでした。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:4)
- ハルヒ劣化版という印象がどうしても拭いきれませんでした。どうにも読んでてもオリジナルを読んでいるというよりは二次創作読んでるのに近い印象。
劣化版、と称したのは突き抜けるものがなかったからです。あくまでもキャラクタを描くことのみに特化してしまってるところが、余計に辛かった。
- 24 結婚適文句 (採点:10)
- いや、本当に面白かったです。一つ一つのセンスがありえない。完全無欠に負けました。誰が書いたかわかりやすいし、普段なら絶対に悔しくなるはずなのに、悔しいとかそういうのを通り越して称えます。
つか、これ賞出したらいい線行くと思うんですが、どうか。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:3)
- 手コキひゃっほーう。とかでヘイヘイできるほど、私はもう若くないようでした。
どうにもその手コキが書きたかったってのは伝わるんですが、なんか浮いてますよその部分。いいSFしてただけに、なんか余計浮いてる。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:5)
- タイトルがミスってるなぁと思います。というより、印象としては書き始めは確かに持っていた本題を後半になって忘れてしまった、という感じ。
2月30日って単語から、チャコという人間はそもそも存在しなかったんだ、幻のようなものだったんだ、というストーリー上の意図やら、主人公の気持ちやらが連想できるんですけど、ただチャコは結局幻ではなく、現実に存在している。正直なところ、一体存在させたいのか、それともさせたくないのか、この二つが揺れていて、はっきりとしたテーマが見えてきませんでした。同時に雰囲気や流れ上、恐らく『存在させない方向』であったものを急転換させてる印象が拭えません。
そういったところで、後半は本当に蛇足に近いというか、そこから話自体が変わっててて、個人的には大変ありがたくなかったものでした。話自体が好きな系統であるため、勿体無いなぁ、と思う次第。
- 55 饗宴 (採点:1)
- 華美な文章に彩られた世界、堪能させて頂きました。
正直なところ、読んだ限りでは大長編のファンタジー小説のプロローグかエピローグを描いただけ、という印象です。
というか、問題作出すっていう自覚が少しでもあったのなら、帯で日和らないで欲しかったです。
「1点上等! お前ら全員ファックだぜ、ヒャッハー!」みたいな心意気を感じさせてくれる帯なら、「おう、そのケンカ買ってやんよバーロー!」みたいに少し爽やかな気持ちになれたのですが、この内容でこの帯だと。
- 70 アリス (採点:7)
- 前半の面白さは神がかっていたと思います。パンキッシュなメール文は素で吹きましたし、他の細々としたネタも逢わせて5回くらい吹きました。
ただ、後半、どうも失速気味というか綺麗に終わらせすぎというか、日和すぎというか、ともかく物足りませんでした。
○イチゴ太郎 さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:4)
- 柔らかい世界観は好ましかったけど、最後の行為は生の放棄になっているような。
- 02 黒船 (採点:6)
- 上手くまとまってると思う。異人さんとの絡みがダジャレだけで終わったのがもったいない。
- 03 遵守 (採点:4)
- 話の顛末が、私にも分かりました。
- 04 海神の矛 (採点:7)
- 政治的な説明まるでなし、潜水艦中の閉鎖空間だけが舞台というシンプルさが良かったです。
○エムダヴォ さん
- 02 黒船 (採点:8)
- 描写がないのに浮かんでくる情景。
一言。上手い。
- 03 遵守 (採点:6)
- 大事なこと、伝えたいことはなんでしょうか?
戦争が悪いという事?魔法を簡単に使うなということ?
文章はすごくかっこいいと思いました。参考にさせていただきます、といいたいくらいです。
- 04 海神の矛 (採点:5)
- 難しい。
船の名前やら戦争のことを全然知らない私としては、カタカナが分かりにくかったです。
話が分かる人はこの濃さがいいと絶賛するのではないでしょうか?
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:5)
- 最後の『反発も従順もしなくていい。ただ、自分が正しいと思うことをしなさい。』という部分。どこぞの魔法使いな先生を思い出させてくれたのだけれどかっこいいからよし!
本文もすらーっと読めて個人的に好きデス。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:3)
- 最初で疲れてしまいました。
そして後半スクロールで疲れました。
まぁ改行はもしかしたらなんらかのエラーかもしれないけども。
読むリズムがもっとよかったらいいなと思いました。話自体は嫌いじゃないです。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:2)
- とある○宮さんのパラレルワールドを書かれた作品かな?
それはそれでおもしろかったです
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:4)
- 中盤まではニヤニヤしながら読めました。
ラストの会話文の表現が個人的に合わなかった。終盤なだけにつらいです。
- 31 正義の味方の悩み (採点:3)
- ハルヒみたいでおもしろかったです。
○キィル さん
- 20 今日見る明日 (採点:3)
- まぁ、一言で言えばありきたりなお話
最後まで読んで「だから何?」的な感想を抱く、王道で読んだままストレートな日常を書けていると思います
率直な感想を言えば、良くも悪くも王道だなぁと。僕も時々こういうの書きたくなる時があるなぁ
「良くも悪くも王道」という内容から「王道だからこその良さ」という内容にレベルアップさせるにはなかなか難しいと思うのですが、個人的には起承転結の転を注意して書けば良いかと
要約すれば一捻りほしいなぁ、ということで
- 55 饗宴 (採点:1)
- 帯は的確に本文の内容を伝えているなぁ、と
描写は非常に綺麗です。読んでいて疲れるくらいに(苦笑
上手い下手で言えば、文章自体は上手いんですが、面白いかと聞かれれば面白くないと即答してしまうわけで…。正直、僕にはあわなかったです
綺麗な描写によって幻想世界を頭の中に思い浮かべさせるというのは良い手法だと思いました。これだけ丁寧な文章は少なくとも僕には書けませんし、読んで大体の光景は想像できました
ただ、これを物語とするなら、話の筋が見えませんでした。情景が浮かぶだけだとある意味写真集でも”読んで”ような。何回も読み直す気にはなれませんし
ただ主題が読みにくい難しい話というのはありますが、これはそれとも違う感じです。折角の綺麗な描写でも、怒涛のようにあれば主題を流してしまうわけで…。それが狙いの一部であるなら読解力の無さを謝りますが、バランスも大事ではないかと思います
○サトツ さん
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:10)
- 非常に読みやすかった。話の緩急のつけ方が上手い。
話の内容も、こんな考えもあるのかぁといった感じ。他の人は聞いたことあるかもしれないけど俺は綺麗に読めました。
ただ短編では短い気がする。中篇、もしくは長編でゆっくりと乱世→平和(乱世)→乱世(平和)を描いて欲しいと思いました。
- 31 正義の味方の悩み (採点:8)
- 元気!
そしてちょっぴりやさしい!
そんな万里がいい感じでした。
○闇斎 さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:4)
- ビジュアルを想像すると素敵センスの文章。だけど一人称でそこら辺ほとんど書いてなくて、勿体無いなあと思いました。語り部の心情表現も、表層をなぞる淡いものに留まっているし。この作品の場合には、そここそいいのだという感じもしますが。
- 02 黒船 (採点:7)
- 面白いー。けど、出来れば音で楽しみたかったー
- 03 遵守 (採点:7)
- 終わってみればどこかで見た話なのだけど、文章の読み易さと構成の巧さで、読んでいる最中はすっかり新しい気分で楽しめました。
- 04 海神の矛 (採点:7)
- 「どうして自分が死ぬとわかっている命令に従えたか?」でいいのかな。この長さで書くには重い主題(核だからではなく)で、実際物語自体も上滑っています。軍事関連の描写がそれっぽいのは美点ですが、その量に圧迫されて、「人を書く」という意味では肝であるはずの撃つか撃たざるかという部分が、疎かになっている。ミカという人物像が詳細に明らかになればなるほどラストが重くなって素敵なので、うんと長い尺で読んでみたい、という印象でした。ハードカバー級の。点数は期待値込みで。
- 05 理屈じゃないこと (採点:5)
- 説明台詞の多い物語は、回想しているというオブラートに包んでもあまり好きではないのですが、この作品のゆるい雰囲気は好きです。なんとなく、二人に生気を感じなくて、それがちょっと残念でした。生々しくない。
- 06 For tune the rainbow (採点:5)
- 死にそうだなあと思っていたらその通りで。穿った読み方の読者でごめんなさい。やっぱり、好きの感情について掘り下げが浅いと思うのです。「何故好きになったか」、「どのように好きなのか」についてうんと書かないと、好きは記号になってしまって、つまり展開のための小道具です。個々のエピソードはきれいなんだけど、それぞれを繋いで盛り上がらせるものがなかったなあ、という印象。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:4)
- 新味を感じない、というのが第一印象です。一番気になったのは、主人公が短絡的な選択をしたこと。通常であれば、もっと社会的アプローチを考えるのではないかな、と。その辺り、どうも人間味を感じなくて残念でした。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:4)
- ちと読みにくかったです。段落がえの少ないことよりも、一文がだらだらと長く、似た長さの文章が続いてテンポが悪いところに読みにくさの原因があるように思いました。個々の村人についての描写と主軸となる老夫婦と青年の物語との相関が希薄で、かといってどちらが主体となっているようにも見えず。散漫な印象を受けました。
- 09 テロリスト長沢 (採点:8)
- 何でもない事を何か意味のあることのように書くのは割と難しくて、この作品はそれが良く出来ているように思いました。内容はつまらないけど、読んでいくのが楽しい文章でした。最後のオチがかなり好きです。
- 10 いろはの森 (採点:6)
- 設定とかキャラクター造形とか展開とか、要素にばらすと特に新鮮味のない話だけれど、ビジュアルが素敵な作品でした。短編よりも長編の方が得意な方なのではないかしら。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:6)
- 一人称の物語で、導入に不安を持ってくるのは辛いです。どうしても、何冷静に描写してんだよ、という視点になってしまう。2,3は正直、展開早すぎないかこれと思ったけれど、4の意外性と明かされる展開の必然が素敵なのでチャラです。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:4)
- 保険の先生ってカウンセリングの初歩とか習ってないのかしら、とか。物語的にどうでもいいことが少し気になったり。統合失調症なのかな。「本音に目覚める」という、一番難しい部分が導入で簡単に流されているので、何となく残念。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:6)
- タイトル。媒体をうまく使った表現が大好きなのです。ナイトメアを定義する分量が、物語の展開に対して明らかに過多で勿体ない。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:6)
- 一生懸命生きる人の様は、それだけで面白く感じます。既視感が強かったり、分量の割にイベントが多かったりしてガチャガチャしてますが、そこら辺が逆に好き。
- 16 さくら (採点:4)
- 滑ってる。狂った人間を語り手に据えるのであれば、せめて狂っていない読者にもそれを了解させる描写が必要だと思うのです。2日目に再び行ったのはどうしてだろう、とか。何で殺すのを了解したのか、とか。後者は文があったけど、どうにも意味が取れなかった。死体損壊を躊躇わないように壊れていく様を書きたかったのか、微グロだけやりたかったのか。よく分かりませんでした。
- 17 19140901 (採点:7)
- 話が好きです。地の文が内容に対して明るすぎるかなあと思いました。
- 18 生命 (採点:8)
- 大好き。勢いに乗って一気に読んで、何となく心に残るいい作品だと思いました。上品に順序だてて物語としての体裁を整えるのではなくて、出来事を鮮やかに描写しようとしているように感じられて好きなのです。
そういう意味では、写真を使っているのも内容に合致しているように思います。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:6)
- 適応力の高さと普通っぽくない思考は個性として。運命の修正者に再会するには負の運命要素になるのがベターだと思うのだけど、それでは出会えた運命を冒涜する、ということなのかも。読みやすくて良いと思った。
- 20 今日見る明日 (採点:3)
- 実際問題として、本当にこんな台詞喋る? という疑問がふつふつと。物語である以上、全くリアルである必要はないし、リアルだからっていいという事でもないけれど。生々しさのないやり取りは、素人の芝居を見ているようでした。尺も半分くらい余っているし、そういった身近さを出す描写をガンガン突っ込んでいけば面白く感じられたと思います。
- 21 雪国 (採点:5)
- 好みの話なのだけど、情報を制限しすぎて想像の糸口がなくなっている感じ。教訓めいた話なのだとすると、最後の投げっぱなしが気になるし。ぼんやりとした不安定な感じをこそ表現したかったのであれば、見事にはまっていると思います。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:5)
- 行間が全体的に広いので、却って瑕疵が目立ちにくくなっているように感じました。初めての作品にしては、と注釈をつけてしまうけれど、面白かったです。箱の中のようなと書いた直後に地平が見えたり、細々とした矛盾は推敲の段階で気付いて欲しかった。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:7)
- クライマックスの飛び道具っぷりにビックリというか、ちょっと君もうちょっと伏線とか張ってから登場しなさいというか。大好き。彼の登場でガチっと切り替わってオチになるので、前が重すぎる気もしますが。でも好き。
- 24 結婚適文句 (採点:8)
- 雰囲気がシームレスにギャグからシリアスに移行していて、とても美味しい作品でした。前半のギャグは、おやっさんに相談を始めるまでのヒット率が異様に高かったけれど、その後失速していきました。
- 25 マージアここに在り (採点:4)
- 地球外知的生命体との邂逅物としては、すれ違いながらのバッドエンドなのでかなり好きです。Sad Endとか、そんな言葉がありましたっけ? 切ない。SFとして見た場合、マージアしか切れないナイフが、どうにもファンタジックで気になりました。人間に擬態したマージアの中身がマージアなのか人間なのかとか、そういう、細かい描写に説得力が欠けたなあ、という印象です。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:6)
- 不条理になりきれず理不尽なため、全体的に単なる説明不足に読めました。死のうと思い立った理由なんかはかなり不条理で素敵なのに、勿体無いなあと。電車周りの設定を、全く道理である必要なんかないから説明していてくれれば、不条理作品として完成したのに。惜しい。手の話とか、ナザレの子に対する偏見じみた見解とか、独特で面白いなあと思うのです。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:7)
- アバンタイトルが紹介文のお陰で全く機能しなくなっていること以外はかなり好き。お約束とお約束外しが適度に混じっていて、オチも面白い。
- 28 Forest Note (採点:4)
- あらすじを読まされても。父との別れから彼女との別れまで、飛び飛びになってしまうリスクを負ってまで一切合財を書く必然が在ったかしら、と。20枚には長すぎた話だと思います。もっと、どこを書きたかったのか絞った方がいいように感じました。
- 29 Blind (採点:3)
- 物語としては区切りがいいけど、提示された主題の解答はなかったような気がして、どうもぶつ切りに思えました。そういう意味で、長さに対して登場人物が展開のための小道具っぽくてイマイチ。
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:4)
- 絵的に印象的な場面が多いのに空回っている気がするのは、多分、私が彼女らのアクションの理由を想像できないから、だと思いました。電車で美優が凍夏を受け入れたことと、凍夏の自白のタイミングも良く分からなかった。すんなり分かる人には、ものっそい面白そうに感じました。
- 31 正義の味方の悩み (採点:4)
- 動機は語られないほうが好みだったなあ。この長さだと、しめっぽい部分が重すぎてカラッとした面白さが損ねられているように感じました。最終パラグラフも正義の味方からずれているし。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:9)
- 好きすぎて何も書くべき事がないのだけど、同じ話を二倍三倍の長さでやったら、単純に二倍三倍面白くなりそうでそれが残念。もっと読みたい。
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:4)
- 徹頭徹尾、微妙に古いギャルゲーの匂いがするのです。男も女も出来事も展開もテンプレートで、では何がしたかったのだろうと首を傾げました。楽しめましたが。
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:4)
- ファンタジーとSFを同居させるオチが微妙に卑怯くさいのは置いといて。心を読める人の感覚に対する掘り下げが甘くて残念。心を読めるのはもう彼女にとって感覚の筈で。読めない対象がいるのは、そうそう簡単に好意的なものじゃないんじゃないかなーと思うのです。
- 35 西と東、白と黒 (採点:4)
- 極端に記号的な世界観を作ったことが、最終的にうまく機能していないように感じました。デストピア物の表面をなぞっただけというか。読みやすいのですが、それは未知の事柄がなかったためのように思います。
- 36 ソラアイ (採点:4)
- これが今の15歳のリアルなのかなあ、と。もう年食っちゃったのでわかりませんが、共感するには、納得できる描写に欠けました。18歳にならないと結婚できないこととかにも、ちょっと触れて欲しかったり。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:5)
- 時間差に全く気づかないというのが、ちょっとウカツだよなあと思うのです。話のオチとしては好きなのですが。いや、科学技術って結局こういうことする為にあるよなあという点で、すごく共感したりしました。
- 38 山田仁の行き先 (採点:4)
- 全部、それぞれがそれぞれに喋りたいことを喋っているだけで、どうも関係性が希薄。年齢順に諭しているだけなので、ちょっと展開として面白くなかったです。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:6)
- 飛ばし方が面白い。ペテンが実にペテンらしくてすっと入ってきました。
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:4)
- 一目惚れは記号的に扱うしかないのでさておくとして、秋人との昼食と藤崎さんの話は最終的なオチに結びついていなくて勿体無い。中庭の彼女をミステリアスに扱うために全体がごちゃごちゃした印象です。
- 41 No River to Cross (採点:8)
- この話、iPodの斬新な機能が肝のSFなんじゃなかろうか。現実にありえそうな技術の場合は、SFとは言わないのでしたっけ。空気な展開はあまり好みではないのだけど、新iPodの販促用短編映像とかと考えると、すっごく嵌まっていて素敵。
- 42 焚火 (採点:4)
- 妹の意志を組む描写は、実際には兄が共犯者を欲しがったという弱い心で。ヒロイックになっていない生っぽさが好きです。ラストは絵的には美味しいのですが、ちょっとカッコつけてる気がします。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:3)
- 詰まっている割に読みやすく感じました。けど、会話を改行したりしなかったりというのは、何か意味があるようには思えませんでした。
ゆいかはきっと全部わかっててやってます。小学校入りたてから人間が嫌いとか、どうも想像しづらい人間像が多く、上っ面だけ読んだ感じになってしまいました。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:6)
- 地の文が古風を風味にとどめて読みやすくしているのだから、台詞も硬っ苦しいのはナシにした方がいいんじゃないかなと思いました。なんだかぎこちない。語り手の造形は好きでない粘着質なタイプなのですが、美の実感とラストのオチが大好きです。
- 45 おかえり (採点:5)
- どっちがどっちか、微妙に混乱することがありました。ほんのりいい話。
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:7)
- 小指がない事を忘れさせるような過ごし方ってあるのかしら。手袋したりしてたらイヤでも意識するし、さらしていればなおの事。利き腕なら四六時中ポケットに手を突っ込んでいるわけにもいかないだろうし。そこでちょっと引っ掛かったけれど、全体的にからっとしていて心理的に深い部分があって、好きな作品です。
- 47 ポテト (採点:7)
- 新鮮な視点があってすごく楽しめたのだけど、もっと細かい描写で読みたかったです。と思ったら容量いっぱいまで使っていてちょっと納得。
- 48 タクシー (採点:4)
- 短編映像作品の趣き。展開は好きでも嫌いでもなく、テレビをたまたまつけて流れていたら最後まで見る、くらいの好きさ。台本のような感じで、短編小説として体裁が整っていたら良かったなあと思いました。
- 49 バレンタイン事変 (採点:6)
- チョコアレルギーが壮大な嘘で、チョコを食べると暴走する病気が公認されている異常な世界観をサラリと構築するところにセンスを感じました。重々しい表現の部分にもっとハッタリが効いていると良かったです。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:7)
- 空想したものを文に乗せるのが巧くて素敵だけど、内気少女と不思議少女の組み合わせは、個人的におなかいっぱいでした。
- 51 夏の風 (採点:4)
- 短編で一幕ものだと、無条件に評価を上げる自分がいたり。徹底的に何も無い話で、すみません、どう判断したらいいのか困りました。40度超えてると熱風っぽい。
- 52 豚 (採点:6)
- 最終パラグラフが妙に男くさい気がする。何だろう、冷静に狂っている感じというか、理屈めいたというか、その辺りが。エグい話なのにあっさり読めるのは、いいことなのか悪いことなのか。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:8)
- 修羅場くぐりなれすぎだろう、という以外は、何もかもが好きです。徹底的にある雰囲気を出そうとしていて、それが成功していると思います。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:8)
- 読んでいくのが尋常じゃなく楽しい文章。巧いのかセンスなのかそれともこめた熱量の差なのかしら。
- 55 饗宴 (採点:8)
- ビックリするほど読みやすくて、でもたまに抽象語だけで修飾された物が出てきてイメージに繋がらなかったりして残念でした。一人芝居で見たい。
- 56 Show must go on. (採点:3)
- 登場人物がまるで生きていないように感じました。どこかで聞いたような話を、特別センスのある風でも無い硬い会話でやられると、拙い芝居を見ているようです。
- 57 エース (採点:6)
- バスケ部分は飾りだよなあというか、外さない3ポイントシューターでマガジンを思いだしたのはきっと私だけではないと思う。でもそういったスポーツ部分を外して考えると、スポーツやっている子らの素敵な感じが出ていて好きです。
- 58 飽くなき赤色 (採点:4)
- よく分からない、と書けばいいのかしら。ただよく分からないものをよく分からないままに書いたときでもよく分からないなりの面白さというものがあるわけで、これにはそれがなかったように感じます。よく分からないから怖いというのではなく。よく分からないけど怖いというのでもなく。ただわからない。
- 59 Day after tomorrow (採点:3)
- これで女の子の方、死んでなかったらかなりアレな話です。さておき。何が気に入らないのだろうと思ったら、多分、出会いのエピソードと約束のエピソードだけ思い出したような書き方だからです。出会いが一番鮮烈だったのならその後は尻すぼみだし。出会いと約束だけなら、彼はほとんど義務感でここに来ていることになる。なんというか、お前何がしたいのよ? とか、何でここにいるのよ? とか。そういう、キャラクターの人格部分が全く見えてこない。映像なら、役者に何とかしてもらう部分なのですが。文章ですし。
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:4)
- 日常ミステリーとして読むと、タネも解決も構成も温いなあ、という印象。たとえばキャラが別のジャンルとして立っている中のワンエピソードとしてなら、中々面白かったように思います。
- 61 山小屋語り (採点:6)
- ラストの返しが素敵です。キレイに騙されました。縦書きで読むと辛そうで、WEBの形式で生きる表現なのも好きです。
- 62 格闘少女 (採点:5)
- あの人の文体の模写がかなりうまくいっているというか、無意識だったら引っ張られすぎだろうというか。そのことばっかり気になった。タイトル前が完全に死んでるので、とっちゃったほうがスマートだと思います。
- 63 未来視の見る夢 (採点:7)
- 「運命の出会い」という、使い古されたというのも飽きたテーマをうまくひっくり返した作品。アイディアはかなり好き。だけど半ば以降、特別目新しいこともなく収束していくのが惜しい。ウィルスのディテール削ってでももう一つ、ドキドキする要素が欲しかった。
- 64 ブランコ (採点:4)
- 自分と付き合う女の子はこうあって欲しい、という妄想にしか思えませんでした。台詞も全体的に硬くて残念。
- 65 金曜日のつめきり (採点:6)
- 一歩さがった距離感が好きです。目の覚めるような表現というか、視座というか。そういうはっとさせる何かがあったら、もっと良かったなと思います。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:6)
- 病気が伏線なくでてくるのが気になりました。語り手はそれを嘘と認識しているからかな。夏の小さな冒険の幕引きに困って殺してみました、みたいな感じがしちゃって勿体無いです。
- 67 世界一の小説 (採点:4)
- ひらがなに開かれた漢字が多くて、文章に低年齢向けの意識があるように感じました。オチは登場人物の名前が出揃った時点で分かっちゃったので、それは残念でした。
- 68 両手いっぱいの花を (採点:4)
- 死が二人を別つ話で奇跡の回復は結構見るけど、手に手をとって天国へってのは新鮮でした。心中のパターンとも微妙にずれてるし。でも登場人物をまるで生きているように感じられなかったので、展開ばかりを追っていました。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:5)
- 仕掛けは好き。だけど、そのネタを割るための話の流れが強引で惜しい。コメディとして読んでも中途半端だし、はっちゃけるかどシリアスに持っていくか、の方が好みです。
- 70 アリス (採点:7)
- 面白い。パンクとロリータに共通するものがあるって事を、キレイに物語にはめ込んでいると思いました。主人公の語り口も好印象です。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:6)
- 勿体無いー。タイトルとテレビをつけた段階の展開で見えたオチにはまさかなるまいと思っていたらその通りでぐんにょり。「大事」の部分にハッタリ効かせるのは巧いので、あとはラストをもっと意外に、すとんと落とせたら大好きになれました。
- 72 月時雨 (採点:6)
- 何も新味を覚えないけれど。徹頭徹尾貫かれた雰囲気に、正直、圧倒されました。
- 73 14文字の涙 (採点:7)
- いい話だなあと思いました。ちょこちょこ出てくる本筋と関係ない描写でキャラを立てていくのが好きです。
- 74 魔女の岬 (採点:4)
- 展開は好き。だけど魔女との邂逅場面、アルフレドの感情がとびとびでつながっていない気がします。唐突で、説得力に欠ける。演技や絵で補うその部分を、小説では文章だけでやってやらないといけないと想うのです。読者に頼りすぎずに。
- 75 夜の夜 (採点:8)
- 方言の持つ柔らかさは絶対に狙ってやっているのでしょう。死が見えることをヒロイックにしないで物語に組み込んであって、とても身近に感じました。大好き。
- 76 Another (採点:4)
- ミスディレクションの為に、所々でキャラクターに齟齬が見られるなあ、と思いました。こういうのは細部でケチがつくと面白くないので、もちょっと気を使って欲しかったです。発想は好き。
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:6)
- こういう人が恋人だったらウザいだろうなあ。こういう、内罰的な女性というのは大抵の場合ポーズで、実際には男の方に気を遣わせようとしているのだと解釈しているのですが、さすがに穿った見方でしょうか? 最後の飛ばし方は、フィクション的に気持ちいいので好きです。
- 78 君が星を手にするとき (採点:6)
- むー。雰囲気大好きなのだけど、息子が宇宙飛行士の夢を叶えつつあった過程での父親の心情について書かれていないと、この話は片手落ちの気がします。どうしてこのギリギリまで彼は想いを引っ張ってしまったのだろうと、勝手に想像するのも楽しいのですが。本編で見たかったなあと。
- 79 奥の細道 (採点:7)
- 最終パラグラフがどういう意味なのか、ちょっと掴みかねたのですが。それはそれとして、読んでいて気持ちよかったです。
○雨音 さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:6)
- 感性だけで書いたようなこういう叙情的なお話は好きです。
読んでいて、とても優しい気持ちになれるお話でした。
ただ、こういうのは退屈さと常に隣り合わせなので、もう一工夫は欲しかったかもです。
- 02 黒船 (採点:2)
- うーん、まさか落語でくるとは……。
そのチャレンジャー精神に関しては評価したいようなしちゃ駄目なような、
っていうか、企画の趣旨を理解できてなかっただけっぽい気がしないでも(汗
そんなわけなので、小説として評価するとどうしてもこの点数に……。
まぁそれを無視しても、ネタ自体が微妙でしたが。
こういうのを見ると、落語を考えた人達って本当に凄かったんだなぁと改めて感動できますね。
いや、というか落語家という芸人を尊敬すべきなのかも?
- 03 遵守 (採点:6)
- 二年前に終わった戦争に出兵したその一年後が今年の八月???
まぁ「およそ二年」と考えれば……いやでも「今年の」というからには十二月までですから、どうやったって一年半としか表現できないような。
とまぁ、それはどうでも良いとして。
ラストはとても良かったです。
それまでの高階の性格から、てっきり『救いのない話』だと思っていただけに、非常に綺麗に決まっていたと思います。
読後感の良い作品と言うのは素敵ですね。
ただ、文章が回りくどい、というか表現がちょっと変な部分が多々見られました。
この辺りをもうちょっと気になりました。
- 04 海神の矛 (採点:8)
- 厳しいお話だなぁ……。
核兵器を搭載した潜水艦のお話は多々あるわけなのですが、実際に撃ち出したケースってあんまりないですよね。
だいたいが、それを未然に阻止する形で終わります。
そういう意味で、本来ならサムの方が主人公になるのでしょう。
それをこういう別の視点で描いたのは面白かったと思います。
潜水艦や発射手順の描写が詳しかったのも良かったです。
(生憎とそれが正しいのかどうかは分かりませんが)
そういう部分がテキトーだったら白けますからね。
ただ、この手の作品の場合、やはり美化されたヒューマニズムを強く求められるものなので、
その辺りをもっともっと押し出さないと、いろいろと問題が出るかもしれません。
- 05 理屈じゃないこと (採点:5)
- 美弥子、可愛いなぁ♪ 楽しい子だなぁ♪ 良いカップルだなぁ♪
って…………別れ話かいっ!!!(爆死
いや、もう……ショックすぎて何も語れません。
なに、このオチ……。何の嫌がらせですか? なんか恨みでもあるんですか???(馬鹿
心情的には「今すぐハッピーエンドに書き直して来い。話はそれからだ」って感じなのですが、まぁ痛くはあったものの、お互いに愛情は残っていながら理屈じゃない何かで別れる事を選んだ二人は綺麗でしたし、少なくともそれまでのお話は面白かったですし、その辺は評価できるだろうと思います。
あぁ、でも……やっぱりこれは辛すぎる(涙
- 06 For tune the rainbow (採点:8)
- とてもとても、綺麗なお話でした。
ネタ的には非常にベタで、最初から最後まで読めてしまうものでしたが、
「私」と「お嬢様」の関係はとても心地良く、読んでいて飽きさせませんでした。
「私」を男性にして変に恋愛要素を入れなかったのも良かったのだろうと思います。
姉妹のような、母娘のような関係はとても安心できるものでした。
非常に落ち着いた「私」の一人称も好感触ですし。
問題点としては、どうしてもダイジェスト版になりがちな点でしょうか。
短い尺の中で比較的頑張っていたとは思うのですが、やはり見せ場を抜き出したような形になっていると思います。
仕方が無かったんだと言われればそれまでですが、もう少しその辺りに意識を向けてくれていれば更に安心して読めたかもです。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:4)
- 古いRPG世界における勇者のその後、というのはなかなかに謎ですよねぇ。
一応ハッピーエンドで終わるわけですが、最後の最後までハッピーであり続けたかどうかは分からないわけで。
こういうお話は、結構好きです。
世界を支配できそうなほど強大な魔王を倒したからには、その勇者は魔王よりもずっと強い魔王になりうる……難しい問題です。
ただ、幾らなんでも主人公が魔王になろうと決心するまでの過程が簡単すぎるかも。
いくらなんでも、あれじゃあちょっと精神が脆すぎますよ。
しかも、何のために魔王になる(人々に絶望を与える)のかがイマイチ不明確ですし。
ネタ的には好きなんですけど、なんだか薄っぺらいような気がして楽しめませんでした。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:6)
- 読みにくいっ!(ぉ
いや、まぁそういう見せ方ではあるのですけど。
パースペクティブという単語は知らなかったので調べましたが、なるほどと納得です。
それに、確かに過剰なのかもしれません。
徹底的に主役に焦点をあてず、全体の、周囲の描写に終始していましたからね。
これはこれで短編として綺麗に纏まっていると思います。
外堀を埋める事で内にある物語を想像させる形式は、結構面白いですしね。
ただ、そういう形式であるからこそ、盛り上がりには欠けるなぁと。
読後に何の感情も残せないのは、作品としてちょっと致命的かもしれません。
過剰にする必要はきっと何処にもなかったのだろうと思います。
- 09 テロリスト長沢 (採点:2)
- うーん、空しいお話だなぁ(汗
とりあえず、ラストがもう少し笑えたならまだ救いがあったんでしょうが、
この状態ではひたすら「空しい」としか言いようがないです。
- 10 いろはの森 (採点:7)
- 過去のような未来のような、ナウシカじみた世界観に関して多少疑問符が飛ぶ部分がありましたし、朔の口調がバラバラなように思えて(途中途中に方言が入る)、その点もちょっと気になりました。
が、そんな部分を無視できるくらい、短編として綺麗に纏まっていただろうと思います。
非常に落ち着いた作品で、「ここが駄目」と指摘する必要がある部分は無いかも……。
ただこの作品自体は完成はしているものの、他作品に比べてイマイチ盛り上がりに欠けるので、更なる高得点はなかなか難しかったです。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:7)
- 青春だなぁ♪
いや、青春でなくともこういう話はあるんですけどね。
というわけでネタそのものは別段これといった見所はなかったのですが、
陽太は何というか凄く共感できると言うか、身近に感じられるキャラでしたし、史美も良いキャラでしたし。
そういった等身大のキャラクターがちゃんと作られていたのがとてもよかったのだろうと思います。
不満点といえばネタ振りがちょい強引気味だという事でしょうか。
もうちょっと自然にキューピッドの話に入ってほしかったなぁと思いました。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:4)
- >すぐに思い当たった。この視界は僕のものではない。そう、彼女のものだ。
なんで???(ぉ
たとえばカメラを覗き込んで違う光景が見えたとき、それが別の誰かの視界なのだと考える確率は限りなくゼロに近いように思うのですが、どうでしょう?
女性が母親である事は、まぁ良くあるパターンなので予想していましたが、
それにしたって「僕」の理解と納得の速さはちょっと異常だと思います。
その過程は物語を盛り上げる上で、きっと重要なものでしょうに。
っていうか、基本的に「僕」の一人称には説明が欠けてますよね。
意図してやっている……という感じはありませんし、そのあたりが凄く残念だったかもです。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:4)
- 神経症なのか単なる思春期における妄想なのか。
それは分からないのですが、むしろ分からない事がこの作品の致命的な問題なような気が(汗
前者なら一昔前のサイコホラーっぽく書いたほうが面白いでしょうし、
(タイトルからするとそれっぽい)
後者なら青春っぽい痛痒感と爽快感を求めたほうが楽しいでしょうし、
そのどちらでもなく、何だか凄く中途半端に感じてしまいました。
容量も余ってたんだし、もう一つ二つ、僕(俺)の心情が伝わるシーンが欲しかったです。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:5)
- タイトルとしては長すぎるんじゃないかと思っていたら、そういう使い方でしたか。
なるほど……これはこれで面白いなぁ。
っていうか、生きてたのねっ!?(ぉ
このラストにはビックリでした。
まさかまさか、生き延びていたとは……なんか理屈に合わない感じが……。
まぁ、ハッピーエンド至上主義者ですから、嬉しいっちゃ嬉しいのですけど。
しかし……このお話、ナイトメアの存在に意味があったのでしょうか?
別にその設定がなかったとしても、普通に成り立つと思いました。
また、その設定に拘るのなら、もっともっと「僕」の葛藤に焦点をあてるべきだったのではないかと。
余計な説明に尺を使ってしまっているのは、残念でした。
もう少し、構成を考えて欲しかったかもです。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:6)
- うん、良いヒロインだ。
どっかで見たことあるけど、良いヒロインだっ(笑
まぁ、そんなわけで、青春でしたねぇ。
設定も動機もベタでしたが、こういうのはあんまり奇抜を狙っても分かりづらくなっちゃいそうですから、逆に良かったのだろうと思います。
っていうか、ミスコン中止ってのは面白かったかも。
「今時ミスコンかいっ」とか思ってただけに、なお更に。
全体的にも、凄く安定していたと思います。
ただ、基本的に二宮の描写が中心だったので、僕についてはほとんど語られず、
なんとなく、凄く都合の良いキャラになっていたのは残念だったかも。
- 16 さくら (採点:3)
- 猟奇的な内容だ……(汗
けど、猟奇的な内容、だけでしかないのは残念かも。
もう少しホラーっぽく演出したほうが楽しめたのではないかなぁと。
ただ単におぞましい話を書くだけでは、読み手としては何の楽しみも無いわけですし。
構成しだいでは十分に可能だったと思いますよ?
ついでに、タイトルも微妙に失敗気味かと……。
- 17 19140901 (採点:5)
- ごめんなさい、よく分かりませんでした……。
鳥羽胡涼がリョコウバトだったのか、それとも大出が「滅び行くもの」であるリョコウバトの幻影を少女に求めただけなのか。
っていうか、アメリカの話である最後のリョコウバトと大出の繋がりは?
旅行先がアメリカだったのかもしれないですけど、その辺りの伏線が欲しかったです。
まぁ、どちらにしても。
大出の人格について不可解すぎて(同時に不快過ぎて)、まったく楽しめませんでしたが。
もう少し彼をフォローするシーンが欲しかったです。
- 18 生命 (採点:2)
- この混沌とした文章には見覚えが……。
単なる気のせいかもしれませんけどね。作者当てとか苦手ですし。
まぁ何にしても、特になにも言う事はありません。
あえて何かコメントするなら、とりあえず『生命』の文字がウザったかったという事くらいでしょうか。
意図してやったのでしょうけど、私には逆効果のように感じられました。
まぁ、逆効果といえば全ての文章がそうなんですけど……。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:5)
- >『一日分の命を引き伸ばすには代償が必要なので、今持っている物で一番大切な物を出して下さい』
いきなりの代償要求にちょっとビックリしたり。
鎌もってますし、天使と悪魔が同じものであるという考え方なのでしょうか。
でも、説明が無い……。
っていうか、割と全体的に自己完結型の作品ですよねぇ。
運命に関しても、ちょいと厳しいかなぁと。
そもそもの定義が良く分からないので、解決が凄くテキトーに思えてしまいました。
全体的に安定しているとは思うのですが……面白いと言うには少し足りていない感じ。
なんか、凄く惜しいです。
- 20 今日見る明日 (採点:3)
- 自転車もの……。
未だに、自転車もの……。
みんな、そんなに自転車に対して拘りがあるのか???
というわけで、自転車ものはもう見飽きていたり。
なのでよっぽどの上手さと斬新さがない限り、なかなか高評価は厳しいと思います。
この作品だからこそ、あなたが作者だからこそ書ける、
何かしらの見所が欲しかったです。
- 21 雪国 (採点:4)
- >「この列車がこれまで通ってきたのは、全て雪国でした。そしてこれから先も、この列車は雪国しか通りません」
>「どうして、どうしてそんなことがわかるというのだ」
メタなお話だとは分かっているんですけど、この会話はあんまりにも乱暴すぎる気が……。
そりゃ分かるでしょ、普通。線路の上を走ってるんだから、行き先くらい。
というわけで、終始そんな乱暴な感じが続いてしまっていて、今ひとつ楽しめませんでした。
やりたい事、というか書きたかった事は分かるんですけど……もうちょっと見せ方を考えて欲しかったかもです。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:2)
- 設定が分かりやすいので、説明が極限まで排除されている点については許容できるのではないだろうかと思います。
ただ、展開にはもう少し気を使って欲しかったと言うか、
一捻りとまで行かずとも、あと一考欲しかった感じでしょうか。
着想は五分で十分ですが、構想は五分じゃ厳しいのではないかと。
あと、こういう作品はキャラ萌え勝負ですから。
その辺りの描写にもっと力を入れれば吉なのではないかと思います。
ところでこのタイトル……三次元ではないドリームな文庫???(ぉ
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:4)
- そ、それで良いのか……???(汗
というわけで、ぜんぜんさっぱり分かりませんでした。
そりゃ多少は想像できますけど、幾らなんでも説明が足りてませんよぉ。
例えばの話、ラストシーンの地の文を全て排除したら、
告白したのに振られた(答えてくれなかった)から「大嫌い」と責める痛い女の図が出来上がるわけで、
現状でつまりその領域を完全に抜け出せていなかったと思います。
もっともっとラストに尺を使う形にして欲しかったです。
まぁ、たとえそうだったとしても、現状を改善するような『呪文』にはならないと思いますけど。
よっぽど遠藤君の人格描写をしない限り、気まずい関係を直すどころか逆効果になるとしか思えませんからね。
- 24 結婚適文句 (採点:5)
- こ、混沌としてるなぁ(苦笑
とりあえずクスリとできる部分はあったと思います。
っていうか、出だしのプロポーズの言葉は素敵過ぎですよ。
死亡フラグ以外の何ものでもありませんが、浪漫を感じます♪(馬鹿
ただ、その勢いを持続させられなかったのは残念かも。
この手の文章をやるにはちょっとテンポが悪いと思いました。
もうちょっと気持ちよく読める文章を心がけると吉かと。
- 25 マージアここに在り (採点:6)
- >ところで、火星で産まれたこの子は火星人と呼ばれるのだろうか。
この一文が妙にお気に入りだったり(笑
とまぁ、それはともかくとして。
うーん、タイトルでネタバレしちゃってるのは残念だったかも。
別のタイトルでも読めたでしょうけど、やっぱり初っ端から気付いしまうと微妙です。
っていうか、全体的に微妙だったかも。
というのも、凄く感情の無い作品だったので。
地の文は解説っぽいですし、エドは好きになった相手がマージアだったと知っても平然と受け止めてますし、なによりナナが一言も喋らず最後まで感情を見せず植物的なままだったので。
本当にただヒトを調べるためだけの枝なんだなぁと……。
なんとなく、ただただ不可思議で悲惨なお話にしか思えませんでした。
あるいは、もうちょっとラストに希望を持たせてくれれば嬉しかったかもです。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:1)
- これを果たして「難解」と呼んで良いものなのだろうか?
むしろ「不可解」といった印象です。
なので申し訳ないのですが、コメントはありません。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:5)
- 舞の性格が素敵過ぎる♪(笑
「キスするぞテメー」って、女性キャラの言う台詞じゃないしっ!
ラストの台詞からすると、上手くいかない事を望んでいたみたいですし、ホント、ドSだなぁ。
ただ、個人的にはもうちょいギャグに特化して欲しかったかも。
いや、現状ですでにクスリと出来るシーンが多いのですけど、もう一息と言うか。
もっと舞の毒な性格を楽しみたかったです。
ネタが王道な分、この作品独自の魅力を更に向上させて欲しかったところです。
- 28 Forest Note (採点:4)
- 究極的な森と人との共生の物語なのか、微妙な悲劇なのか……。
あんまり深く考えちゃ駄目なタイプのお話な気がしました(汗
いや、まぁ、それはともかくとして。
全体を通してあっさり風味だったので、今ひとつ楽しめませんでした。
っていうか、「彼女」には名前を上げたほうが良かったのでは無いかなぁと。
それの有る無しで、死亡シーンの盛り上がりが変わってきますし。
あるいは、この内容なら完全に雰囲気勝負に持ち込んだほうが吉だったかも?
何にしても、もう少し盛り上がりが欲しかったです。
- 29 Blind (採点:1)
- テーマは良いのに、やり方がえげつなさ過ぎる……(涙
……もう、なんというか。具体的な感想は書きません。
全否定しか出来ないので。
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:5)
- わ〜い、百合だ〜♪(馬鹿
というわけで、百合好きの私としては結構嬉しかったのですが、
残念な事に初っ端から美優の人格が鼻についてしまって、今ひとつ楽しみきれませんでした。
やっぱりこういうキャラはその過程か成長した後の姿があるからこそ受け入れられるわけで、
「汚い」「汚い」と連呼するだけのキャラを出されても読んでいる方はウンザリだったりします。
っていうか、別にここまで極端なキャラにする必要はなかったような気が(汗
まぁ、ラストに関しては、良かったのだろうと思います。
そりゃハッピーエンドに越した事はないんですけど、同性愛系はやるせないラストの方が良かったりもしますし、
少なくとも美優を死なせなかったのは大正解だったと思います。
- 31 正義の味方の悩み (採点:7)
- 笹原が「涼宮ハルヒの憂鬱」に登場する古泉に思えて仕方がない。
とか思っていたら、他にもそんな印象があったのですけど、どうなのでしょう?
単に今アニメが放映されて意識しているから、勝手に思い込んだだけ???
まぁどちらにしても、ネタ自体は別物でしたから問題にはなりませんが。
万里が正義の味方を求めた理由と、その姿勢は凄く素敵でした。
>戦闘機が飛ぶ事がない空。できるなら、それが世界に広がりますように。
という一文を出すにはもう少し重さが欲しかったところですが、まぁ構わないでしょう。
文章表現の面でちょっとばかり引っ掛かりがあったのですが、
それがなければもっと楽しめていただろうと思います。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:7)
- 平和だぁ♪
男子達のアホっぷりと、そんな男子達を笑って見守る由紀が、
実に古いイメージの小学生らしくて素敵でした。
実際の今の小学生は遠い異次元の、そのまた更に異次元の彼方なだけ(苦笑
こういうノスタルジックなお話は読んでいて楽しいです。
とても安心して読めました♪
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:5)
- うん、良い感じのほのぼのギャグだったと思います。
特別突き抜けた印象はなかったのですが、凄く安定していましたし。
悪の秘密結社(?)を出してきたのも悪くなかったと思います。
重苦しかったり痛々しかったり難解だったりする作品の後に読むと、なおの事良さが分かると言うかなんというか。
楽しめました♪
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:6)
- 生きてたー、と思ったらアンドロイドでしたか。
なんかいまいち唐突で驚きと困惑がありましたが、
まぁ、気持ちの良いラストでしたし構わないでしょうか。
その後発生するであろう様々な問題とか、考えたら色々と難しい話なんですけど、
多少のご都合主義には目を瞑れてしまうハッピーエンド至上主義者ですから。
ただ、万人がそうではないわけで、設定の薄っぺらさとともにちょっと注意しておくと吉かとは思います。
- 35 西と東、白と黒 (採点:5)
- どこで生まれても、それぞれ嫌なところと良いところがあるもんですよね。
単純な善悪や優劣では測れないものがあります。
そんなわけで、伝えたい事は分かるのですが……ぶっちゃけ、この作品を読む限り、第三者の立場では「どっちも嫌だなぁ」としか思えないです(汗
もっともっとそれぞれの良いところも描かないと、
見た目の上ではどっちも悪しかなくて、結局別の場所に「善」が出来てしまい、それだと微妙に説得力が弱いです。
「僕」と「私」がここで満足している、その理由を見せて欲しかったです。
- 36 ソラアイ (採点:2)
- ハートフルですねぇ。
確かにハートフルだ……。
けど……何コレ???(汗
いや、ちょっと待ってください。
結局、どういう作品を書きたかったのでしょう?
なんというか、凄くチグハグで、目的の伝わってこない作品でした。
っていうか、説得シーンの簡単すぎです。そんなに簡単に説得されるんなら、最初からやらないでしょう。
そこだけじゃなくて、他にも全体的に心情の説明が簡単ですし。
思い付きを書き殴るのは自由ですが、出来ればもう少し推敲して欲しかったです。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:8)
- 蛋白って時点でそれが何であるかは分かってたのですが、ただ持ち込んだだけじゃなくて、あぁいうやり方を選ぶとは……。
最先端技術をなんて事に使うんだ、と小一時間。
確かにちょっと下品ではあったかもですね(苦笑
けど、離れ離れになった恋人同士ってのは案外こういうものなのかもです。
ストイックなお話よりも、むしろ好感が持てたかもしれません。
- 38 山田仁の行き先 (採点:7)
- 何かしらドラマ性(というかエンターテインメント性?)があるわけでもなく、
けれど飽きさせずに読ませる事のできる作品って素敵だと思います。
っていうかホント、何が解決したってわけでもないお話なのですよねぇ。
三人がちょっとだけ出会って、ちょっとだけ話し合ったただけで。
でも、それだけでも三人とも今後良い方向に進むんだろうな、と予感させてくれる内容だったのは嬉しかったです。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:5)
- BLで良かった……。
BLだからギャグで済んだけど、これでもし男2女1だったら、洒落にならないお話に……(滝汗
と、それはともかくとして。
科学的知識のない人間には途中、ちょっと分かりにくい部分があったのですが、
オチはなかなか面白かったかも。
かなり目に無理やりですけど、そう悪くはないと思います。
ただ、地の文をかなり排除していて、どれが誰の台詞なのか分かりにくいシーンが多く、テンポが崩れていたのは残念かもです。
もう少し読みやすさを意識してくれていれば、評価は上がったと思うのですが……。
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:6)
- なんか……よくわからない(汗
とりあえず自分の存在を消してしまった特別な能力者とそれを共感する事で認識する事のできるシンパシー能力者のラブストーリー……の思い出話なのは分かりましたけど。
人の心を除き見るだけの能力に大きな意味があったのは素敵かと思います。
が……凄いオチってのは分かりませんでしたし、そもそもなんで母が消えなければならなかったのか分かりませんし、
っていうかこれってギャルゲーのシナリオのダイジェストというか、
エピローグを入れるよりむしろそこにはOPが入るべきでしょって感じですよね(苦笑
とりあえず、上にも書いたようにシンパシー能力のネタは良かったし、キャラもそれぞれ面白かったと思いますけど……やはりこれだけでは微妙でした。
- 41 No River to Cross (採点:5)
- ipodを知らない私にとっては難解な部分が多々あったわけで、
何でその辺りの説明を入れなかったのだろうと首を傾げてしまいました。
容量的には、十分に可能だったと思うのですが……。
説明しない事の美しさは確かにあると思うのですが、
この辺りの読み手に対する簡単な優しさは、また別の話だと思います。
また、文章が英文を直訳したような形だったのも残念かも。
特に台詞部分。もっともっと感情を込めてもよかったのでは?
もっともっと共感できる文章を心がけてくれれば、評価は上がったと思います。
- 42 焚火 (採点:4)
- なんだ、殺したわけじゃなかったのか……と思ってしまった私は人としてどーなんでしょう?(ぉ
っていうかあのラストはやっぱりそういう事なんでしょうか?
というわけで、なんとも遣る瀬無いお話でした。
このまま妹と二人で救いの無い逃避行へ、という展開は良くありますけど、
こういう結末の作品は珍しいのでは無いだろうかと思います。
ただ、ラストの残酷さは良いと思うのですけど、そこへ至るまでの道程が平坦なのは残念かも。
「俺」による状況説明に終始していたので、その辺りをもう少し心情の伝わってくる形に変えると吉かもです。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:2)
- で、弟くんはどうなったの???(ぉ
というわけで、読み終わった後、あんまりにも酷いオチに唖然としてしまいました。
いやいやいや、待って。ちょっとタイムッ!
仮面の話なんてどうでも良いです。素顔の「俺」なんて知ったこっちゃありません。
それよりももっと大切な事があるでしょう?
それを解決せずに自己満足して終わられても、こちらはどうしたら良いのやら分かりません。
「俺」にだけ集中せず、もう少し周りにも目を向けて欲しかったです。
あと、一文ごとにいちいち「俺」とか「弟」とか主語を入れなくても大丈夫ですよ。
よほど登場人物が多くない限り、ある程度は伝わるものですから。
また、一文中に主語が二回も出てくる文章は避けた方が吉です。
>どうしようもない俺の生活の事を俺は思う。
これなんか、流石に酷すぎますからね。要注意です。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:7)
- 時代に合わせて古い口調を表す漢字を使っていたので、雰囲気が出ていたと思います。
本当ならもっと徹底すべきなんでしょうけど……それをやると振り仮名がえらい事になりますからね(苦笑
まぁ……ぶっちゃけた話、わざわざ古い時代にする必要も無かったのでしょうが。
(今時の子供は「おかめ」を悪口に使わないかもですけど)
内容に関しても良かったと思います。
相対ぶしも面白かったですし。
非常に上手く纏まっている作品だと思いました。
- 45 おかえり (採点:7)
- 五月なのに夏??
と、思っていたら、立夏ってその時期だったのですねぇ。
まぁ、それはどうでも良いとして。
呼び方が「美生さん」から「美生ちゃん」に変わったのが一年目のお願いだとして、
二年目はどうだったんでしょう?
なんか、二年目のお話がまったく出てきていないように思うのですが……?
あと、ラストはもっと時間をかけて欲しかったかも。
高校卒業して翌年に、というのはちょっと盛り上がりが欠けてる気がして。
そりゃ記憶を失っている事実を告げたから、忘れないように頑張ったのでしょうけど、
「おかえり」の言葉はもう少し時間が経ってからの方が綺麗に嵌ったと思います。
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:9)
- 辺鄙な挨拶って、凄い表現だなぁと思いつつ。
とりあえず、とても面白かったです。
っていうか、なんとも鮮やかな構成だなぁ。
飽きる事なく先が読める事なく、最後まで楽しめました。
地の文が「わたし」の一人称で同情的な描写がなく、かなりあっさり風味だったのですが、
それがむしろ良かったのでしょうねぇ。
小倉君が書いた「ロケフィン」、私も読んでみたいものです。
- 47 ポテト (採点:6)
- 高校生の制服を着ていても問題ない21歳ってどんなだろう?(苦笑
まぁ、偶に居ますけどね、そういう人も。
内容に関しては……。うーん、微妙にあっさり風味だったかと。
とりあえず、恋愛に傷ついた少年に対して恋愛したくても出来ない女性の助言(?)は良かったのですけど、
少し遠まわしな形になってしまっているのが残念だったと思います。
もう少し直球でも良かったのになぁと。
- 48 タクシー (採点:3)
- とりあえず、ネタ的にはまったく問題が無いかと。
何の引っ掛けもないシンプルなオチですが、こういうの結構好きです。
ただ……やはりこの文章は厳しいですよ。
短い文節ごとに区切った形で、ぜんぜん盛り上がりません。
また、この形に拘るのだとしても、もう少しキャラの描写に力を入れましょうよ。
感情移入も出来ず、雰囲気も無く、それでこのオチだと、
「で、どうしたの?」という一言で終わっちゃいそうな軽さがありました。
- 49 バレンタイン事変 (採点:5)
- 季節感を徹底的に無視した作品に微苦笑しつつ、なんとも軽〜いお話で楽しかったです。
いや、なんか……重苦しい作品が多かったので。
こういう作品を読むと、ホッとしちゃいます。
ただ、思いついたネタを思いついたままに書いたような構成はちょっと気になりましたし、
個人的にはもっともっと壊れていても良かったのでは無いかと思います。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:8)
- 不思議な友人と一緒にいた少女時代。
その温かい思い出は、読んでいて楽しかったです。
魔法の存在も素敵でしたし、ラストも心地良かったと思います。
ただ、絵本に関しては少々唐突でしょうか。
何かしらの伏線が必要だったように感じます。
また、1シーンにかなり力を入れている分だけ、容量の問題からシーン間の繋がり方が唐突になっちゃってるのは残念かも。
チャコが居なくなってしまった部分なんか特に、あんまりにも唐突で少し困惑してしまいましたし。
もう少し繋げ方に気を配っていると吉だったと思います。
ついでに、細かい部分ですが。
>(後になってそのことを言うと〜)
の文章は、()内に入れるにはちょっと長すぎるかもです。
- 51 夏の風 (採点:3)
- 「ヤヴァい」って言うなぁ〜!(笑
と叫びつつ……どういうリアクションを期待しているのか分からないので、
どういうリアクションも取れないでいる今日この頃です。
っていうかホント、どうすれば良いんでしょう?
とりあえず面白かったか面白くなかったかで言えば、
面白くなかったの一点買いなわけなのですが……、
こういう始まりも終わりもないワンシーンだけを書くからには、
何かしらの意図があるのだろうと推察します。
まぁそれでも、やはりギャグ特化した方が良かったとは思いますが。
- 52 豚 (採点:6)
- うーん、えげつないなぁ(汗
義母の口に汚物を突っ込むあたりはかなり目に恐ろしいです。
でも、個人的にはもうちょっと冷静な狂気が欲しかったかも。
義母を連れて山中まで歩くってのは無謀が過ぎますから。(非現実的だし)
この辺りは車のトランクに叩き込むあたりやって欲しかったです。
後は……「豚」という表現が一般的過ぎる事も気になったかも。
もう一捻りくらい欲しかったところです。
しかし、何にしても。えげつないお話でした……。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:7)
- 爆破する本人が目標を堂々と調べている姿は、非常に間抜けだと思うのですがどうでしょう?
その時点で通行止めになっていたのだとしても、人目がゼロなわけではないでしょうに。
とまぁ、微妙な部分はあったものの、心地良い感じのハードボイルドだったかもです。
っていうか、職人カッコ良い♪
最後にわざわざ木まで倒して橋にするあたり、華麗すぎます♪
内容そのものは非常に陳腐だったのですが、爆弾関連の話も少なくとも素人目にはこれといった違和を感じさせないものでしたし、かなり上手く書けていたと思います。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:3)
- 痛い青春系のようなただの電波系のような。
たぶん前者なのでしょうけど……どう言ったら良いんでしょうね?
読んでいて、グッタリとしました。
別にこういうのが悪いとは思いませんし、ハッピーエンドである必要はないですが、
それでもやっぱり作品としての魅力と言うか、見所が欲しいところです。
凄く、平坦なんですよね。
「俺」の心情をもっとシンプルな形で表現するシーンがあれば、もう少し楽しめたのではないかと。
心が澱む、という言葉の意味をもっともっと伝えて欲しかったです。
- 55 饗宴 (採点:3)
- 思えません。以上。
……いや、冗句ですが(笑
けど同時に、この一言で終わってしまう作品でもありました。
いくらなんでも、挑戦的過ぎますよ。
もちろんそれがいけないわけではないのですが、低い評価を食らう覚悟はしてくれているのだろうと信じます。
読み手に歩み寄る意思を排除しているわけですから当然ですね。
なので、全ては上の一言。「思えません」で終わりです。
ただ、こういった挑戦をするに相応しい技術はあったので、その点は高評価です。
ラノベ畑の人間には読んでいるだけでグッタリとしてしまう文章ですが、
上手さが感じられたのならそれは評価されるべきでしょう。
なので、この点数です。
- 56 Show must go on. (採点:5)
- あー……なんか凄い損した気分です(汗
というのも、グラスのシーンでオチが読めてしまいましたから。
ぶっちゃけ、叙述トリックのヒントとしてはかなり目に最低レベルだと思いますよ、あれ。
まぁ、それでも分かったのはたぶん見慣れていたからで、だからこそ損した気分です。
オチが読めてしまう事をこんなにも苦痛に思ったのはなかなか無いですよ。
っていうか、このオチはミスリードに使うべきだったと思います。
また、オチ以外にも見所が見つけられなかったのは辛かったです。
なにせ、28歳くらいにしてはちょっと幼すぎますから。
もっと大人になった彼らを見たかったです。
- 57 エース (採点:4)
- なんか、週間少年漫画雑誌の読みきりっぽい……。
展開といい、キャラといい。
けどまぁ、漫画と小説じゃいろいろと違うわけで。
展開としては青春スポーツ系っぽさがあって面白かったのですけど、
文章にすると結構薄っぺらいのですよねぇ。
媒体による表現量(力)の違いについて考えさせてくれる作品ではありました。
- 58 飽くなき赤色 (採点:3)
- >「ただ、こうしたかっただけ」
語彙の少ない人間的に幼い発言ではあるのですけど、と同時に究極的に言えばこの世の全ての犯罪の根源でもある一言だと思います。
いや、この手のネタは大好きなんですよねぇ♪
主人公の家族が殺されてしまう辺りは、非常に報われなくて素敵でした(嫌な表現ですけど)。
ただ、だからこそちょっと……気になる部分が。
まず、『敵』という表現。この表現自体はまぁ良いと思うのですが、
この時点で『敵』と認識してしまっているのなら、ラストの、
>「……何がしたかったんだろう。俺は。殺したかったのか。殺されたかったのか。
>仇討ち? 復讐? そんな事一度も考えた事無いのに。
という発言は微妙におかしい気がします。
後、被害者家族が犯人と法廷以外で直接対面する場面はまずほとんどありえません。
っていうか警察があんなに簡単に会わせたりしません。
この辺りの非現実的な展開はかなり残念だったかもです。
- 59 Day after tomorrow (採点:5)
- 自殺しそうになっている相手に滅茶苦茶冷静な主人公……。
その後の展開も含めて非現実的過ぎて、いまいち楽しめませんでした。
まぁ、思い出を引き摺ったまま美化しまくった馬鹿な男の話、と考えれば分からないでもないですけど。
彼女の方はそんな約束忘れちゃってるのに……。
痛々しいお話ではあったと思います。
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:6)
- 確かにこれは知りたくもなかった真実だなぁ(笑
高校時代にこの手のネタに直面していたら、凄まじい勢いでグッタリしてたと思います。
「帯に偽りなし」な自業自得なお話でした。
ただ、ミステリっぽさは微妙だったかも。
まさか「1万2000円」から下着を買っているとは思わなかったので、その点では非常に意外性があったとは思うし、サプライズ誕生日プレゼントというミスリードも順当だとは思いますが、
もう少し早めに仮説を立てた方が吉だったのではないかと。
細かいところではあるんですけど、何となく中盤の推理シーンがダラダラとしていて、勢いを感じられませんでした。
ネタ的にもキャラ的にも大きな問題は無いと思うので、その辺りの構成にもう少し拘ってくれていたら、もっと高得点をつけていたと思います。
- 61 山小屋語り (採点:5)
- ホラー……なのでしょうか。
いや、むしろダークな部類でしょうか。猟奇的な内容だったと思います。
残念ながら、今ひとつ怖いとも残酷だとも思えなかったのですが、
ラストはちょっと良かったかもです。
なんとも悲惨で。
>……なんのために、私を殺すんや?
という質問はズシリと心に来るものがありました。
狂った世界観は、一応出せていたと思います。
ただし……たぶんですが、ちょっとばかりそれが意図的過ぎて、その所為で白けたのでしょう。
(上の、怖いとも残酷だとも思えなかった、の部分の事です)
もう少し意図を隠す形での文章を心がけると吉かもしれません。
- 63 未来視の見る夢 (採点:10)
- ただただ、レベルの違いを思い知らされました。
なんと言えば良いのやら、もう、10点以外の採点なんて考えられません。
まぁもちろん、かなり目に説明を排除した文章やら分かりにくい構成やら未来視の設定の弱さやら、ツッコミ所が絶無と言うわけではないのですが、
それでもラストの素晴らしさに全て掻き消されちゃいました。
素晴らしい! 文句なしの10点です!
- 64 ブランコ (採点:4)
- ゲームをやっていて遅刻したという理由を笑って許してくれる彼女……。
そんな素敵彼女が実在してくれたなら、きっと世界の恒久平和だって手に入れられるでしょう♪
……なんて、悲しすぎるお話はともかくとして。
とりあえず、ブランコを漕いでいきなり「世界が変わった」ってのはちょっと唐突すぎかも。
「世界が変わった」ように思えたその原因とか、そのとき優花に見えていたものとか、
もう少し詳しく書いてほしかったなぁと。
更に、世界が変わって見えた事を嬉しく思える事の説明も欲しかったです。
具体的に言うと、例えば勇樹と付き合い出すまでに色々と問題があったとか。
その辺りがあると、なお更楽しめたかもしれません。
- 65 金曜日のつめきり (採点:6)
- >つめきりなんてどれもたいして変わらないだろう、と僕は思った。
>「つめきりなんてどれもたいして変わらないだろう」
えぇぇぇっ!?(滝汗
と、思いっきり驚いてしまいました。凄いアグレッシブな文章だなぁ。
ギャグではたまにあるんですけどね、こういうの。
でも、あんまり褒められたものではないので、早めに直しておく事をお勧めします。
とりあえず、ラストは凄く面白かったです。
ゆびきりとつめきりの駄洒落オチ、凄く綺麗に嵌っていると思いました。
この発想はとても素敵ですね。
ですが、やはりそこへ至る道程は険しすぎるかも。
陰鬱すぎる「僕」の妄想的心象風景が延々と続くのは、読んでいてウンザリでした。
また、上に書いたような会話部分の不自然さやテンポの悪さも、大きな問題ではないかと。
もう少し、推敲して欲しかったです。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:7)
- >結果として、僕は彼女を救えたのだろう。
>その代償に、癒えることのない傷痕を背負う事で。
まさにこの一文どおりのラストに、愕然としてしまいました。
痛すぎる……っていうか重すぎる。
幼い少年の好意だったものが、彼女にその結末を決断させてしまった要因になってしまったのは、あんまりにも辛すぎると思いました。
この辛さと悔恨が作品の意味であるとは分かっていても、悲しいです。
とりあえず、幼い子供が効率的に自殺できる(臓器移植が可能な程度に)とは思えないので、その辺りの非現実さが気になったというか、年齢設定に微妙なミスがあったのではないかと思うのですが、
まぁ、ネタ自体は面白かったと思います。
- 67 世界一の小説 (採点:3)
- キャラの名前が「馬鹿」だった時点で、テンションは最低限に……。
作者さんがどういうスタンスで書いてるかが分かってしまう……。
そんなわけで、ありふれたオチでした。
まぁ、タイトルの時点で危ぶんではいたのですが。
流石に、もうちょっと捻りが欲しかったです。
ところで、
>『……そのひと言にぼくは、まるで月と木星と冥王星が同時に爆発したような怒りにおそわれたんだ!』
これはわりとありふれたレベルの比喩に思えるのですが、どうなんでしょう???(ぉ
- 68 両手いっぱいの花を (採点:5)
- ラストの一文がかなりめに余計だと思う今日この頃。
いや、なんかバッドエンドじみていて、ちょっと……。
全体の雰囲気からすれば、もう少し爽やかな形にした方が楽しめたのではないだろうかと思います。
なんとなく、狂気の愛の物語に思えてしかたありまえんでした。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:1)
- そもそも「圀弘」ってどう読めば良いのか分からない……(汗
というわけで、漢字そのものは調べればいくらでもわかるわけなのですが、
物語の内容はそうもいかないわけで、基本的に全てが全て分からないお話でした。
そのおかげで、この手の不条理系はオチを楽しめるかどうかが勝負所なのに、首を傾げるしかなく、楽しめませんでした。
まぁ、でも。とりあえず、分かりやすいキャラの造りは良かったかも。
余計な肉付けの必要ない分かりやすさは、こういう作品の場合非常にありがたいです。
一方で、太文字の入れ方は……かなり微妙でした。
あんまり多いとウザったくなる表現で、ピンポイントでやるのがベストなのですが、そのポイントを外すと致命的なダメージを受ける、諸刃の刃だと思います。
その辺り、もう少し考えてほしかったなぁと。
- 70 アリス (採点:6)
- 出だしは非常に良かったです。
「僕」の一人称もなかなか面白かったですし。
パンクな彼女がいきなりロリータファッションになって、その後どうなるのか、そこにどんな意図があるのか、凄く気になりました。
……が、そんな期待に反して、オチは凄く普通でしたねぇ(汗
>「僕の彼女はトモなんだ。アリスじゃない」
という「僕」の意見も、
>「スカート、はいてても、パンクぶってても、全部、あたしなの」
という「彼女」の意見も、どちらも正解で面白いといえば面白いのですが、
期待を裏切られる形になってしまったのは残念だったかもです。
たぶんネタの問題ではなく、見せ方の問題なのでしょう。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:6)
- 「……無い。」というアグレッシブ過ぎる紹介文に軽く感動を覚えつつ(笑
どういう意図で書いたのかは分からないのですが、
とりあえず「あたし」の無感動さが凄く印象的だったかもです。
テレビの向こう側で騒いでいる沢山の人たちよりも、
「アイツ」の事を考えたり、「動物園に行きたい」と考えたり、
国家の一大事、というか歴史的な出来事であっても、個人にとってはこの程度なのかもしれません。
ただし、裕福な個人にとっては。
そういう意味で、これほど残酷なお話は無いなぁと。
意図したものなのかは分かりませんが、現代日本人的な思考を描き出した作品だと思いました。
軍事的な部分に関してはツッコミを入れられるほど知識がないのでどうしようもないですが、
個人的にはもう少し詳しい説明が欲しかったかも。
っていうか、初っ端から読者置いてけぼりな展開は、色々とどーかと思います。
- 72 月時雨 (採点:4)
- 出だしのウザったいけど雰囲気はあるかも?な詩的な表現がそのまま続くのかと思ったら、完全に出だしだけでしたねぇ。良かったです。
まぁ、微妙に力尽きてる気がしないでもないですが(苦笑
内容に関しては……難しいなぁ。
テーマがいまいち良く分からないので、いろいろと判断に困ります。
ただ、個人的には男性を出して欲しくなかったかも。
また、出すにしても、あのバスのシーンはちょっと酷いかと。
あれじゃどう見ても軟派キャラですよ……。
おかげで、傷心の女性が見事にゲットされちゃった話になってました。
- 73 14文字の涙 (採点:5)
- 突然メールが送られてきて、その送り主は病弱で……って、何処かで見た事がある内容だなぁ。
具体的にどこで見たのかはちょっと思い出せないのですが、たぶん同じ様なネタは探せば幾らか見つかるでしょう。
そんなわけで、無難に纏まっているけれど、無難すぎて物足りませんでした。
もう少し、独自の魅力が欲しかったです。
- 74 魔女の岬 (採点:5)
- ラストは結構好きだったかもです。
>二人で描いている、そんな気にさせた。
は、凄く綺麗な締めでしたし。
老人と魔女の設定や思わせぶりな会話は、少し首を傾げる部分もありましたが、
まぁこれはこれで面白いかもしれません。
ただ、ペースが速すぎるのは辛かったかも。
容量的に限界ギリギリだったのは分かりますけど、やはり……ね。
もう少し丁寧に書いてほしいなぁという部分が多かったです。
書き出す前に尺計算をしっかりとしておくのが吉ですよ。(経験者)
- 75 夜の夜 (採点:9)
- >死を前にした人には、優しくなれる。じゃあ、確実に生き続けないといけない人には、私はどう対応している?
この一文はかなり厳しいなぁと。
いや、っていうか全体が厳しいお話なんですけど。
中学生が背負うようなものじゃないですよ、これは。
自殺しようとしている幼馴染にかけた言葉も痛すぎる……。
夜の心情を考えると泣けてきますよ。
まぁ、それでもラストはスッキリ……とまではいかないもののどこか開放感のあるものですし、
夜に感情移入してしまった私としては、お見事な作品でした♪
- 76 Another (採点:4)
- 灰色のパンツ……(謎笑
と、それはともかく。
幼馴染に好きな人が出来て軽く嫉妬しつつ大人になっていく少年のお話……かと思ったら。
まさかこういう形で落としましたかぁ。
うーん、どうなんでしょう?
寝取られ属性のない私としてはこういうオチはむしろありがたくはあるのですが、
その反面、いまいち意味のないお話になっちゃっているように感じました。
これならもっと萌えに偏った形にした方が楽しめたのではないかと思います。
ついでに、もうちょっと兄妹であるという伏線が欲しかったですね。
それの有る無しで、結構読後の印象が変わってきますから。
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:3)
- え……?
前半部分は全部彼氏さんの妄想???
なんというか、ビックリでした。
まぁ、所謂「友達の話」的な内容なわけですが、
いくらなんでも、ちょっとばかし想像力が豊か過ぎるでしょ(苦笑
そのせいか、話の流れが不自然で、前半と後半でブツリと切り取られた別の作品のように思えました。
また、彼女さんのキャラにもうちょっと魅力が欲しかったかも。
これだけ読むと、なんとなく凄い怖いキャラとしてしか思えなかったです。
- 78 君が星を手にするとき (採点:4)
- ……???
紹介文乗っ取りSSの方が断然面白かったという事実に、果たして私はどう反応すれば良いのでしょうか?(滝汗
っていうか、完璧にあれに本文が喰われちゃってますよ……。
何かしらの意図があるのではないかと読み返してみましたけど、どこからどう読んでも、ただ宇宙船が飛んで父親が子離れするだけのお話でした。
帯に騙される、というのはこういう事を言うのだろうと思いました。
まぁ、それでも安定してはいるので、次回作に期待。
- 79 奥の細道 (採点:5)
- 過去コンペにおけるダーク表記みたいに、帯紹介に一言コメントを入れるか、もしくはこの結末を想像させる内容にしておいて欲しかったです。
こういうの、駄目な人は絶対に居るわけですからね。
ちょっとした優しさだと思いますよ。
そんなわけで、帯やタイトルからは想像できないくらい非常に狂的な作品でしたねぇ。
とりあえずその雰囲気は十二分に出せていたので、その点は好感触かもです。
ただ、この手の作品にありがちな説明の不足はやはり辛いですね。
雰囲気を楽しむ事はできても、まともに読む気にはどうしてもなれません。
作者さんの中ではちゃんとお話が作れているみたいですし、構成も悪くないと思いますし、文章的には大きな問題は無いですし……後はもう少し読み手に対する優しさを意識すれば吉かと思います。
○猿元 さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:6)
- 文章と話の組み立ては悪くないと思いますが、私はあまり感じるものがありませんでした。しかし、「感性があう人にはアピールするところがあるだろう」という感じは受けます。
- 02 黒船 (採点:7)
- 落語で似たような話があったような気もしますが、コンテスト作品としては、狙ったところを外していないように思います。
- 03 遵守 (採点:5)
- はじめの数行を見ただけで、最後まで読む気が半減しました。こういった感じになるのは短編だと仕方ないところもあるのですが、もう少し「設定の出し方」を工夫した方がよいのかと。話のコンセプト自体は悪くないと思いますが、このサイズで書くのは無理があります。
- 04 海神の矛 (採点:9)
- 短編ものとしては比較的、書きやすいテーマであるとはいえ、きちんとまとまった良作だと思います。キャラクターや状況描写もこなれていますし、伏線もきちんと処理されてますし。
- 05 理屈じゃないこと (採点:3)
- はじめの方を読んだだけで投げ出しそうになりました。最後まで読みましたが、期待に違わず、何を言いたいのかわからない話でした。「おそらくこんな感じのものを書きたかったのだろう」というものは想像できなくもないのですが、どうにも話の構成が場当たり的過ぎです。
- 06 For tune the rainbow (採点:4)
- いわゆる「雰囲気小説」って奴ですか?キャラクターはそれなりに描きだされているようにも思えますが、話にどうも嘘臭さがぬぐえません。あと文章表現が微妙な所が散見されるような気がします。例:「お嬢様が一人」→「お一人」、「館の前」→「お屋敷の前」、「質問してみました」→「質問してみることにいたしました」etc。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:5)
- この短編に使われているモチーフは、けっこうありがちなもので、これと似たような構造のお話をいろいろな所で目にします。その意味で、あまりインパクトを感じない、平凡な話のように見えました。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:7)
- 一見するとうまっぽい文章に見えるのですが、きちんと読むと、なんか微妙にテンポが悪い気がするのは気のせいでしょうか。特に「初老の男が茶色のジャケットの内ポケットから取り出したメモ帳を開き、挟まれていた紙切れを広げて、周囲の景色とそれを見比べているところをちょうどトラックで通りかかった溝口はどうしたんだいと明朗快活な声を上げた。」って悪文過ぎで、何を言いたいのかわかりません。せめて文章の論理構成ぐらいはわかるように書いてください。ただし、コンペ向けという意味でのコンセプトそれ自身は悪くないのかと。
- 09 テロリスト長沢 (採点:2)
- なんか、リア厨が8月31日の夜に必死になって書いた「夏休みの宿題小説」って感じなんですけど。というか、どうせ下品なネタで攻めるなら、せめてオチぐらいつけましょうよ。「ツバ吐こうとしたら力みすぎて身が出てしまった」とか(お。
- 10 いろはの森 (採点:8)
- 雰囲気だけでも最後まで読めてしまいましたが、読み直してみると、きちんと考えて書いてあることがわかります。キャラクターが立っていて、かつ安心して読める短編というのは、この種のコンペの中では重要です。その中身を一言でまとめてしまえば、「幼女が氏ぬ話」っていうだけのものであっても。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:4)
- 一言でいえば「微妙」です。同じような話を書くにしても、もう少し表現を工夫すれば、何とかなったのかもしれません。が、それ以前の問題として、学生恋愛ものの短編小説としては、決定的にどこか何かが欠けている気がします。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:5)
- どういう話が書きたかったのか、というのはわかるような気もしますし、話の構成もそれほどおかしくはないと思います。でもどこか、話がうそ臭いというか、リアリティーを感じないんですよ。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:2)
- 地の文が多過ぎかつ説明的過ぎなように見えます。その割に、細かいシチュエーションやイベントが具体的に描かれていません。が、そういう表現上の技術以前の問題として、そもそも「お話」になってません。「そんな感じの俺との日々を、今の僕は楽しんでいる。」と言われても、「だからどうした?」という感慨しか出てこないんですが。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:5)
- とりあえず、「どういうものが書きたいのか」ということはわかりますが、表現力の方がついてきていないように見えます。特に説明的な地の文が多すぎです。プロットそのものは、どこかで聞いたような、あるいは誰でも思いつくようなものなのですが、これを短編でうまく書くのは、かなり難しいのではと思います。自分にできることと、できないことを見分けるのも、実力の内なのかなと。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:4)
- なんかステレオタイプなキャラクターですね>二宮スミレ。というか、これってキャラクターに心情移入できないと、何の価値もないお話だと思うわけですが、これで一体、どうしろと?いきなり「あのとき、ミスコンが中止になったって知って、本当はすごくショックだったわ。(以下略)」などと自分語りを始められても、正直、困ってしまうわけですが。
- 16 さくら (採点:6)
- 話の雰囲気作りはうまいです。が、それ以上のものを感じません。「あの桜に、何故彼女は血を捧げたのだろう。」という問いに、最後に答えるような構成になっているのですが、そこを強調するなら、ハムスターの下りを文頭に配置した方が、インパクトが強くなるような気もします。
- 17 19140901 (採点:8)
- 少々、説明的な所も目につきますが、全体としては良作だと思います。ラスト近辺の「数日後。」以下は蛇足に見えますが、話の展開上、何か必然性があるのでしょうか。
- 18 生命 (採点:3)
- 「文体を受け付けない」という、純粋に趣味的なところを差し引いても、あまりに微妙すぎな出来に見えます。一応、書こうとしているテーマらしきものはあるようにも見えますが、こういう奇をてらった表現を使わないと書けないようなものなのでしょうか。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:6)
- 「天使イラネ」と思って途中で放り投げそうになりましたが、最後まで読むと、少しは評価が上がりました。とりあえずお話としては成立してると思いますが、同じようなネタが、えんどコイチの「死神くん」か何かにありませんでしたか?あと、ラストの説明的な話は蛇足かと。
- 20 今日見る明日 (採点:2)
- こういう話が好きな人もいるかもしれませんが、私は「お話」を書くことを放棄している作品を高く評価できません。仮にSSだとしても、設定や表現が陳腐すぎです。
- 21 雪国 (採点:4)
- 文章表現にそつがないというか、けっこう上手なので騙されそうになってしまいましたが、冷静に読み直してみると、シチュエーションは不自然だし、そもそも「お話として成立していない」ように思えます。主人公が「電波系」にしか見えないのは、その思考のバックグラウンドが示されていないからでしょう。あと、はじめの2行は不要なのでは?
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:4)
- なんか、作者の頭の中で話が完結しているように見えます。というか、読んでいる方は、いきなり「私はサキュバス失格なんだ。」とか言われても困るわけですよ。彼女がなんでそう思うに至ったのか、というところをきちんと描いておかないと、「ご都合主義な話だ」で終わってしまいます。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:4)
- 「文体が好みでない」という趣味的な所を差し引いても、なんだか微妙な作品に見えます。プロットとしてはそれなりに成立していると思いますが、全体としてイベント配置や各部分の分量のバランスが取れていないところが気になります。
- 24 結婚適文句 (採点:3)
- 正直、「秘密兵器」のネタ以外に「上手い」と感じる点がありませんでした。コメディーとしては中途半端ですし、恋愛話としては、正直、伏線やヒネリというものに欠け過ぎています。
- 25 マージアここに在り (採点:6)
- 途中でオチが読めてしまいましたが、短編として、よくまとまっている話だと思います。ただ、私には「出来事を粛々と描いた」以上のものを感じ取ることができませんでした。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:4)
- 何回か読み直すと、「この辺のことを書きたいのだろう」といったものは見えてきますが、正直、「テンプラ」ですね。衣が厚く身が少ない。正直、「奇を衒った」作品という印象の方が強いです。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:6)
- 基本的に、こういう路線の話は好きです。が、お話そのものは、ご都合主義の塊ですね。オチを含めて、オリジナリティーもそれほどあるとは思えないし。
- 28 Forest Note (採点:6)
- なんか前の方で似たようなものを読んだ気がする・・・。なんで宇宙で出会うのは「女の子」なんでしょうか?「ショタ」とか「ふたなりっ子」がいてもいい気がするんですけど。それはさておき、これも「出来事を粛々と描いた」だけの作品に見えます。あと、「そんな僕の背中はあの日の父さんの背中に似ているような気がした。」とか唐突に言われても、感情移入できないんですけど。主人公なり、拾ってきた女の子なりが、「なぜ、そういう行動や感情を持つに至ったのか」という所をもう少しきちんと描いた方が、話に説得力が出ると思います。
- 29 Blind (採点:6)
- プロット、表現ともにそれなりに上手だとは思いますが、「これで終わりですか?」というのが、正直な感想です。お話はここから始まるのでは?
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:7)
- 好き嫌いが分かれる作品だとは思いますが、趣味的な所を差し引いてみても、過不足なく上手く書けていると思います。短編で書いたが故の成功だと思います。
- 31 正義の味方の悩み (採点:4)
- 前の方で似たようなキャラクターが出てくる話を読んだ気がします。もしかして「ハルヒ」の影響を受けている人が多い?というのはさておき、これって単なる「シーンの羅列」にしか見えないんですけど。少なくとも私には、キャラクターに対する感情移入は無理でした。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:7)
- 正直、こういう話はかなり嫌いじゃないです。コンペ向けネタ作品と考えれば、目の付け所も悪くないし、うまく書けていると思います。
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:5)
- ネタと割り切って読めば、それなりに面白いのですが、でも「お話」にはなってませんね。無理やり恋愛ものとして落とそうとしているみたいですが、正直、最後のオチが浮いて見えます。
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:7)
- プロットはよくできていると思いますが、正直、このサイズに収まる話ではないと思います。もったいないですね。
- 35 西と東、白と黒 (採点:7)
- 最後の方が「くどい」という感じを受けましたが、基本的にはよく考えて作られた話のように見えます。話の内容というか設定そのものは陳腐ともいえますが、短編で勝負する上で、その点はあまり問題にはなっていないと思います。
- 36 ソラアイ (採点:6)
- 文章はそれなりに上手というか、書きなれているように見えます。一応、話も筋は通っています。しかし、全体に漂う「ご都合主義的」な空気は何なんでしょうか。何かが決定的に足りない気がします。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:9)
- 「私はSFがよくわからないので、評価は甘めにつけています。」と前置きをしておきますが、これは良作です。文章の構成や伏線の処理もですが、それ以前に「これだけ大風呂敷を広げておいて、オチはこれかYO!」って感じです(←褒めているんですよ)。PS.2は蛇足か?
- 38 山田仁の行き先 (採点:7)
- なんというか、目の付け所と雰囲気はいいんですけどね・・・。文章も手馴れているし、安心して最後まで読めましたが、「ラストはこれでいいのか?」という感じが拭えません。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:5)
- いや、発想は面白いんですよ。一応、伏線も処理されているし。でも、イロモノだしね・・・。
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:6)
- 「このエピローグを書きたいがために、延々と前振りを書いていたのかYO!」という点のインパクトはありました。そこだけは、他の学園恋愛もの作品と差別化できていると思います。
- 41 No River to Cross (採点:5)
- 情景はうまく描けていると思いますが、典型的な「雰囲気小説」ですね。最後まで読んでも「だからどうした?」という感想しか出てきません。余談ながら、「『ザ・ベストテン』でも使われていたシステムだ。」って言っても、今時の若者には何のことかわからないのでは?というか、全体的にセンスが古いですよ。
- 42 焚火 (採点:7)
- 設定と場面の切り取り方は、コンペ向け短編小説としては間違っていないと思いますが、ボリューム不足感が否めません。地の文で説明されているところを、もう少し膨らませるなり、会話に落とすなりすると、話にもっと説得力が出るように感じます。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:5)
- とりあえず、会話文のところには「改行」というものを入れてください。全体を通じてですが、特に最後の11行のブロックは、説明的すぎではないかと思います。せっかく「ゆいな」ってキャラクターを出しているのだから、ここでうまく動かしてやらないともったいないのでは。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:10)
- 正直、「うまい」の一言です。細かく見ていくと、表現とか設定に不自然なところも見受けられるようなのですが、それを差し引いても、短編として過不足なく成立していると思います。なお、一人称は「わたし」よりも「わたくし」の方が合っているような気もします。
- 45 おかえり (採点:8)
- ネタとしては全く新しさはないわけですが、短編としてはきちんと成立しています。文章、プロットともに手馴れた感じを受けます。ここまで「安心して最後まで読める」作品は意外と少ないので、その意味では評価が高いです。なお、途中の「ボールドタイプ」の部分をプレーンタイプで書いていれば、もう一点、高い評点をつけていました。
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:9)
- プロット、表現ともに上手です。きちんと落ちる所に話が落ちているし、いかにも「手馴れた仕事」って感じを受けました。細かい所では、「一昨日偶然再会した後輩だった子(今は副部長)が」の( )内の補足は不要では?あと「限りなく真実に使い回答を提出するだろう。」って意味不明です。
- 47 ポテト (採点:7)
- 話の組み立て自身はしっかりしているように見えるわけですが、なんというか、この全体に流れる「うそ臭い空気」は何なのでしょうか。どこか「ご都合主義」的な所が目につきます。気にせずに読み飛ばせば、良作のようにも思えますが。
- 48 タクシー (採点:5)
- このネタってどこかで読んだ気が・・・。あと、レイアウトが崩れているところがあるように見えます。
- 49 バレンタイン事変 (採点:4)
- 「おしまい」って言われてモナー。というか、設定に無理があるでしょう、これは。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:6)
- お話としてはありがちながらも、よく書けていると思います。また「年月が過ぎるのは早い。」以下のブロックは蛇足のように見えます。あと、会話文は「 」に入れてください。
- 51 夏の風 (採点:1)
- はじめ5行目まで読んで、最後まで読もうという気が半減しました。が、しかし、最後まで読んで驚愕いたしました。「これで終わりかYO!」・・・というか、「ヤマなし、オチなし、意味なし」を地で行くような作品だと思いました。
- 52 豚 (採点:5)
- テーマ選択の良否を議論する気はありませんが、あまりにも掘り下げが浅すぎるように感じます。あと、登場人物の描写にリアリティというか、「狂気」を感じ取ることができないのもマイナスです。目の付け所は悪くないと思うのですが・・・。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:9)
- プロットがよく練られている作品です。最後までダレることなく読むことができました。良作です。なお、火薬や発破の細かい点に関して?な部分があるように見えるのは気のせいですか。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:5)
- テンポはいいので、最後まで軽快に読めはしましたが、なんというか全体に「脳内垂れ流し」感が漂っているように感じられてしまうわけですよ。読者を放置して、キャラクターが勝手に動いているというか。あと、今時、「変体少女文字」だの「綾波レイ」はないでしょう。
- 55 饗宴 (採点:5)
- 「なぜに般若心教?」というのはさておき、場面の描写という一点のみからすると、ほぼ完璧と言ってよいと思います。文章のテンポ、切れもよいので、苦痛なく最後まで読めました。「物語を書く」ということは最初から放棄しているのでしょうから、そこにクレームをつけても仕方ないでしょう。ただ、幻想文学の背景には、「一定の象徴体系への照合の原理」ってものが控えているはずなんですけど、作品中にそういうものを十分に読み取れないのは、私の力量不足ですか。
- 56 Show must go on. (採点:7)
- 基本的に、こういう話は嫌いではないです。ラストのどんでん返しに至るまでの所が、どうも「ツギハギ」っぽくて、「全体の見通しなく話を書いて、オチを後付けしたのでは?」という感じを受けました。この辺にさりげなくラストへの伏線を入れておけば、もっと良くなっていたのかなと。あと、いつの間に「ビール」から「チューハイ」に飲み物が変わったの?
- 57 エース (採点:6)
- 中編の一部分として見ると、かなり高い完成度のものだと思います。場面の描き方やキャラクターの動かし方も上手です。が、「話はここから始まるんじゃないのか?」というのが、正直な感想です。
- 58 飽くなき赤色 (採点:4)
- なんか安易に人が死にすぎです。というか、「人が死ぬのはもう、飽きた」って感じです。プロットも微妙さが漂ってますが、それよりも描写が平坦でメリハリに欠ける点の方が大きいのかも。
- 59 Day after tomorrow (採点:4)
- なんか皆さん、「屋上」が好きですね。というのはさておき、なんか微妙な作品です。彼女の「幽霊」が出てこないあたりが、「せめてもの良識か?」って感じを受けます。というか、「わかれた後、彼女に何が起こったのか」、一つシーンを入れておくだけでも大分、違うと思うわけですが。
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:5)
- 「『半ドン』って、今時のナウなヤングも使う表現なんでしょうか?」というのはおいといて、微妙に会話のテンポが良くないように感じられました。お話の発想というか仕掛けは面白いのですが、全体的に冗長な感じを受けます。
- 61 山小屋語り (採点:8)
- 話としてはよくできていると思いますが、微妙に語り口がおかしいというか、不自然なように見える所が散見されるようです。というか、始めは「ウホッ」な話なのかと期待してしまいました。
- 62 格闘少女 (採点:3)
- なんというか、全体として話に説得力を感じません。「(著者の代理たる)キャラクターが、勝手に自分の思い込みを熱く語って、それでおしまい」といった感じを受けました。
- 63 未来視の見る夢 (採点:8)
- 「また屋上キター」と思いましたが、そういう話なわけですね。ウイルス周りの話を細かく書き過ぎかなという気もしましたが、全体としてはよくできている短編だと思います。あと、「見えた未来を実現するための美智」って何ですか?
- 64 ブランコ (採点:3)
- ここで「END」って言われてモナー。というか、これって場面をスケッチしているだけで、「雰囲気小説」にすらなっていないように見えるのは気のせいですか。
- 65 金曜日のつめきり (採点:4)
- 単純に私の趣味と合わないだけなのかもしれませんが、なんだか微妙です。文章そのものは書きなれているようにも見えるのですが、どうにも話が薄く、登場人物の行動や台詞に説得力が感じられないのですが、これって気のせいですか。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:3)
- なんというか、情景、それもステレオタイプなものばかりを、ツギハギで描いたもののように見えるわけですが、一体、このお話では何を描きたかったのでしょうか。ラスト付近を読めば想像はつくのですが、でもこの結論に至るには前振りがあまりに不足していて、なんか唐突な感じを受けました。
- 67 世界一の小説 (採点:3)
- 一応、ショート・ショートとしては成立していますが、あまりにオチが素直すぎです。「あらゆる要素において「ありきたり」を受け入れ、斬新な工夫を排除しまくった」世界一の小説でも目指したものなのでしょうか。
- 68 両手いっぱいの花を (採点:5)
- 情景はきちんと描けていると思うのですが、正直、登場人物に感情移入ができませんでした。キャラクターの行動や感情の描写もそれなりに上手なんですがね・・・。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:5)
- 正直、こういう一発勝負は嫌いではありません。コンペの作品としては、こういうのもアリなのでしょう。あと、ネタばれ風味なので、もう少しタイトルを工夫してはいかがでしょうか。
- 70 アリス (採点:2)
- 一行目で投げ出しそうになりました。正直、「お話」として成立しているとは考えにくいし、「雰囲気小説」の域にも達していないように見えます。キャラクターの行動は場当たり的で説得力が感じられないし、「……わたくしのメール、見てないのね」みたいな不自然な表現も目につきます。というか、ロリイタ、特に女性がはまるそれって、「甘ロリ」がデフォルトではないと思うのですよ。パンクからだと、むしろゴスの方に行きそうな気もするのは私だけですか。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:1)
- 「ふと起きて時計を見ると目覚ましが騒ぎ出すより早起きだった。」の一文を読んだところで投げ出しそうになりました。「句読点」云々以前の文章も散見されるようです。が、そういう表現上の問題点よりも、むしろ「何を著者が書きたかったのか」ということが全体を通して見えてこないことが大きい。何というか、描写の焦点が絞り込まれていないみたいに感じられます。
- 72 月時雨 (採点:7)
- 文章は書きなれているご様子なので、ストレスなく最後まで読めました。が、全体的に、話の展開が唐突すぎるように見えます。全体の構成としては、それほどおかしい所はないみたいなので、おそらくこのサイズに押し込めるには少々、無理があるということなのでしょう。
- 73 14文字の涙 (採点:6)
- コンペ作品としての狙いは悪くないように思えるのですが、全体的に漂っている不自然感は何なのでしょうか。多分、描きたかったのは後半の展開の部分なのでしょうが、この辺もなんか嘘臭く感じられて、感情移入が困難でした。
- 74 魔女の岬 (採点:10)
- メリハリのあるキャラクターおよび場面の描写、納得できるプロットと無駄のない話運び、どれをとっても言うことなしです。
- 75 夜の夜 (採点:6)
- ありがちな設定の生かし方という点では、見るべきところがあるのかもしれませんが、全体として話が散漫としている印象を受けます。ラストの締めもこれでいいのでしょうか。
- 76 Another (採点:4)
- こういう話(←「ぱんつ」ではない)はかなり嫌いじゃありません。が、趣味的な所を度外視して読むと、場面を粛々と描いた以上のものではない。ラストの一文に全てを賭けている節が見られますが、残念ながら「生まれた時からの知り合いだ。」の一文でネタは割れてしまっているし。
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:3)
- 導入部にインパクトが足りません。というより、全体的に「どこかで見たようなシチュエーションを並べてみました」という感じを受けます。あと、途中から急に男性側視点に変わりますが、この辺からの展開はあまりに唐突なように見えます。というか、前段と後段で女性が変わるに至った理由を、適当なエピソードを交えて文章に落としておかないと、全体として何を言いたいのかわかりません。というか、作者の頭の中で作品が完結している印象を受けました。
- 78 君が星を手にするとき (採点:7)
- テーマなりプロットなりといったものは平凡ですが、最初から最後まできちんと過不足なく描けていると思います。でも、話に無駄がなさ過ぎで、「花」というものに欠けているように思えるのは私だけですか。
- 79 奥の細道 (採点:8)
- 「妹もの」の中では良い出来の作品だと思います。特に状況描写は上手だと思います。が、設定に「ONE」の匂いを感じてしまう点が、オリジナルとしてはマイナス評価です。
○希望的観測 さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:5)
- 本当に童話のようで、暖かい絵があれば非常にいいなと思いました。
悲しくも、優しいお話ですね。いいお話だと思います。
ただ、絵本的な話なのに、若干難しい部分があり、それが少し気になりました。
あと、どうして彼女が木になったのかなど。細かい部分かもしれませんが。
- 02 黒船 (採点:7)
- かくして、歴史的な大事件も、陽気な庶民にとっては笑い話になってしまいましたとさ。
非常に完成度が高く、面白い話です。会話だけでここまで作れるものなのだと感心しました。
- 03 遵守 (採点:6)
- いいお話だと思います。
いいお話だと思うのですが、どことなく世の中を悟りきった人物の語る話という状況のせいか、どこか一歩引いた目で見てしまい、話に入ることが出来ませんでした。
しかし、その方式でなければ、間違いなくこの容量では書けない話かもしれませんが。
惜しいなと思います。
- 04 海神の矛 (採点:5)
- 後半の専門用語の波に圧倒されました。
個人的には、そこの部分は簡略化して、もっとミカさんのミサイルを撃つ前後の心情描写や、タトルさんとの会話の意味に文章を使ったほうが、よりこの話の意味を理解できたのではないかと思いました。
- 05 理屈じゃないこと (採点:5)
- 途中までのなんだかよく分からないけど、ぐだぐだながらも穏やかな雰囲気にどことなく引かれつつも。最後の展開はやや意外でした。
悪くはないんですけど……うーん、単に好みに合わないというのが正しいです。理屈じゃありません。
ただ、こうしたたんたんとしながらも、奥が深い雰囲気のお話を書けるのは、単純にすごいと感じます。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:6)
- うーん、非常に悲しいというか、考えられるお話です。
本当の正義とはなにかがテーマでしょうか? しかしスレイルさんがかわいそうです。この感じだとおそらくアストラルさんも同じ運命を辿るのでしょう。
悪夢の無限ループでしょうか?
どこかでこの連鎖が断ち切られることを願います。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:採点なし)
- む、難しい……
私の読解力のはるか上を行っています。
作者さんには申し訳ありませんが、採点をパスさせて頂きます。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:9)
- >「『六角形時間差26連打上花火 ヘキサゴン26連』!」
この台詞に思わず笑みが。
そんな物どこに隠し持ってた! しかもライターまで持って、あんた最初から準備してただろ!
こういう雰囲気大好きです。
なんというか、少し似た話を書きましたが、負けた気分がします。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:6)
- これも形を変えた一つのボーイ・ミーツ・ガールでしょうか?
話としては、ありがちかもしれませんが、悪くないと思います。
ただ、途中まで淡々とストーリが語られ、最後の締めで主人公がメルさんにあそこまで明確な好意を抱くという展開は、少し流れが悪いかもしれません。
ただ制限から考えれば仕方ないと思いますし、人の感情にとやかく言えるものでもないですし、一目ぼれというのも実際にあるかもしれません。
あと、天使の固有名のくだりがよかったです。
- 20 今日見る明日 (採点:9)
- ほのぼの青春話。さわやかな描写と会話がすごく好きです。
内容は、と聞かれるとちょっと疑問ですが、そんなこと関係ない言えるくらい突き抜けて雰囲気がいいと感じました。
タイトルも好きです。センスあります。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:6)
- これがはじめて書いた人の作品なのか……と少し敗北感。私よりずっと上手いです。
基本的な文章作法が守られていないところが見られるものの、実際の文章の方は読みやすく、お話のテンポもよく、安定したコメディだと思いました。
文章作法のほうは、インターネットや本を探せばすぐ見つかります。
そうしたルールは、それこそすぐ勉強できますので。
続編の構想もあるのでしょうか? もしそうだったら頑張ってくださいね。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:8)
- >式の最中に二度ほど眠気にKOされましたが、どちらとも校長先生の話だったりどっかのお偉い議員さんの話だったので問題はなかったでしょう。
この一文に苦笑い。私は寝てはいなかったものの、真面目に聞こうとしながら実際まったく覚えていないことが多かったです。
ああ、この作者さん上手いなあと読みながら感じました。ユーモアあふれると感情豊かな一人称の文章に、ぐいぐいと引き込まれて行きました。
――ラスト直前までは9ないし10点だと思っていましたが、このラスト、どこかは思い出せませんが、非常に見覚えがあります。
うーん、たぶん作者さんは知らないのだと思いますけど、ここまで同じというのは悪い偶然です。
- 24 結婚適文句 (採点:3)
- なんというか、評価しづらい作品です。笑いを狙おうとしたのか、それとも作者さんが、登場人物におばかな行動とらせるのが好きなのでしょうか?
とりあえず、下品なネタが多いことや、主人公が悪い意味でアホな行動とることなどがマイナスです。それに親父さんにひどいことしてますし。
ああ、この主人公には共感できない、と最初からそう思わされ、最後までそれが続いてしまうと、結構厳しいと思います。いえ、主人公に欠点があってもいいのです。むしろ完璧超人だとそれはそれで共感できません。でも、欠点があるなりに、またギャグストーリだとしても、なにかしら主人公に共感できる美点を持たせるというのは、物語に入る上での重要ポイントと愚考する次第であります。
こんなこと言っておいてなんですが、
>「10とんで8年です」
>1.中島が弱すぎた
>2.彼女が強すぎた
>3.彼女が強すぎた
>4.おやっさんに彼女を惹きつけるだけのフェロモンが備わっていなかったうえに、彼女が強すぎた
>5.そういえばお腹がすいてきた
>6.彼女が強すぎた
の部分は面白かったです。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:4)
- 登場人物がみんな、常識という道からずれてしまっているのがすごい。
発想とかは面白いと思うのですが、ギャグがほとんど、悪い言い方をしますと、登場人物を小ばかにして笑うという性質のためか、いまひとつのようなきがしました。
- 28 Forest Note (採点:7)
- 純粋な性格の『僕』の一人称と、独特なSF世界観に好感が持てました。
ストーリのほうは、お父さんの回想が出てきた時、お母さんと『彼女』は同じような存在で、そのあとの展開でああやっぱりと思いました。
ストーリではなく、完全に雰囲気で楽しむお話なのかもしれません。
文章全体にあふれるせつなく、どこかやさしい雰囲気はとてもよかったです。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:7)
- アホ子達がとっても面白い。
このずれながらも、ほのぼのした雰囲気がとてもいいです。
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:6)
- >「あんた二年前くらいに長期の家出してたけど、まさか」
何してるの君?
正吾さんと皐月さんの性格としては、ありがちだと感じましたが、悪の組織の方たちが面白かったです。
いや、普段君たち何しているのかと。むしろ君たちの話が見てみたい。そんなことを思いました。
- 38 山田仁の行き先 (採点:9)
- 素直に良いお話しだと感じました。
それとともに、私自身の価値観がぴったり合っているような気がします。
見ず知らずの人に親切にする。簡単に思えるけど、とっても難しいことです。よくあとで後悔しています。
かっこいいなあ、仁さん。見習いたいと思わせるような主人公です。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:6)
- 思いっきり打ちっぱなしな話と、化学の話のコンビネーションがすごいと思いました。普通考えつきません。
最近化学の本を読んどいてよかったです。じゃないと理解できなかったかもしれません。
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:5)
- 人の心を理解することが大切だとする祐矢さんの考えや、また個々の登場人物はとても魅力的だと感じました。
ですが、わずか16KBの中で、主要人物六人、一人称での視点切り替え三回というのは少し詰め過ぎのような気もします。
長編の最後、しかるべき材料を用意した後で上手くやれば効果的かも知れませんが、短編でやるには少し無理があったかもしれません。
特にラスト近くは難解で、上手く理解できない部分があります。
祐矢が『女生徒』のことを忘れていたのは、『女生徒』自身が世界から消えることを望んだから? ならば、何故祐矢さんに忘れられたことでショックを受けたのか? 『女生徒』は自身の力を無意識のうちに使っていた?
――と想像してみましたが、当たってますでしょうか?
ともかく、ひとつひとつの要素は興味深いのですが、あれもこれもと詰め過ぎのような気がします。長編向きのお話だと感じました。
- 42 焚火 (採点:4)
- 考えさせられるお話ではありますが、ただ悲しいだけのお話しという面もぬぐいきれません。
ただこれだけで終わるというのは悲しすぎる気がします。
- 45 おかえり (採点:10)
- 冒頭から話に引き込まれ、最後まで一気に読んでしまいました。
すごくいいお話としか言えません。ありがとうございました。
ああ、私もこんな作品が書けたらと思わされた一作です。
えっと、もしかして阿部碧郎さんですか? 違ったらすみません。
- 48 タクシー (採点:4)
- そこで終わり!?
「あはは、冗談ですよ」という落ちを予想してたんですが。
ある意味裏をかかれました。
- 51 夏の風 (採点:6)
- 夏のほのぼのなお話し。
で、と聞かれると困りますが、ああいいなあと思わされてしまったのだからしかたありません。
なんでもないような出来事を面白く、日本の夏を感じさせるように描いたというところはすばらしいと感じました。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:4)
- 難しいです……作者さんに文章力があることは一見して分かるんですが、それを物語を理解しやすいようにではなく、かっこいい言い回し、言い方を変えますと難しい言葉をあえて使っているように感じました。
話そのものが難しく、深いものを扱っているので、私には結構一杯一杯になってしまいます。
ただ私にはまずかけない話ですので、そういう意味ではすごいと感じます。
- 57 エース (採点:7)
- かっこいいなあ、夏彦さんも、白の4番さんも。
読みやすい文章とさわやかなストーリで、安定していると感じました。
試合のほうも、動きのある描写でよかったです。ただ、私はバスケットを知らないので、少しわからない言葉があるところだけが少し引っかかりました。
- 61 山小屋語り (採点:2)
- まさに典型的な昔話風のホラーといったところでしょうか。
作品本体だけならそれだけなんですけど、説明文に作品とあまり関係のない文章があり、それを見ると明るい話が嫌いだから徹底的に暗く、醜い話を書いたんだ! と言っているようにも思えてしまいます。
説明文は点数に影響させてませんが、それでもただありふれたホラーにしか感じられませんでした。ただあえて、説明文を加えて、悪い印象を与えやすいような話に挑戦したことは純粋にすばらしいと感じました。
- 63 未来視の見る夢 (採点:8)
- 普通の物語なら、悲しい未来を避けるために主人公が東奔西走するところなのでしょうが、あえてその方向に進むのが作者さんのすごいところだと思いました。
ですが、コダマさんがタマキさんと一緒に、その未来を避けようとするお話が見たみたいと思ったのもまた確かです。
それはともかく、作品全体から作者さんの上手さが感じられるような作品でした。
- 67 世界一の小説 (採点:7)
- 途中でオチはなんとなく予想できましたが、それでも面白かったです。
やはり小説において、分かりやすさは大切だよね、と思いました。そのテーマが難しければ難しいほど。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:5)
- うむむ……コメントしづらいです。
ちょっと歴史の違う日本の、少し昔のお話。
日本で大事件が発生しつつも、一般の人たちは平凡に生きて、晴れた日には動物園にでも行きたいなあとふと思う。
共感するところはあります。
- 76 Another (採点:6)
- うーん、オチがいまいちよく分かりませんでした。
これはある意味双子みたいに育ってきた仲の良い兄妹が、自分の片割れを取られるのを嫌がっているのと同じような状況なのでしょうか?
……ん? そう考えると仲の良い兄妹でほほ笑ましいような感じがしてきました。
とすると妹さんの話は、作り話なのでしょうか?
- 78 君が星を手にするとき (採点:6)
- 夢を手にしたのは、自分ではなく、息子であることに嫉妬しながらも、私を超えていけと叫ぶチャールズさんがかっこよかったです。
- 79 奥の細道 (採点:5)
- 文章、および情景描写は非常にうまいと感じました。
話全体から寂寥感、というのでしょうか。そんな寂しさを感じました。
本来こう言った話は好きじゃないのですが、この話は途中の質問攻めを除いてすんなりと話に入り込めました。これも文章が上手いからでしょうか。
ただ、一読しただけでは話の内容が上手くつかめませんでした。
何があったのか、ということが見えてこず、ただ読後に寂しさが残される、私にとっては、そういう印象でした。
○熊川 さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:8)
- ああ、何だろう、この説明できないけどいい雰囲気。二人の正体について説明を極端に省いているのも、童話のように優しく分かりやすい言葉で世界を表現しているのも、よりその世界の可能性を広げていて素晴らしいです。上手いなあ、と思いました。
- 02 黒船 (採点:8)
- 上手い!お後がよろしいかどうかはともかく(苦笑)、本物の落語も顔負けのテンポの良い会話とスムーズな展開に惹きこまれました。生き生きとしたキャラクターたちも魅力的ですが、気の利いた軽さを何気ない風に描ききる筆力には脱帽です。
- 03 遵守 (採点:8)
- う、上手い!最初のベタな展開から二転三転させて、まさかハッピーエンド方向に持っていかれるとは思っていませんでした。時代や能力の設定についてはまだもっとひねれるような気がしないでもないですが、このどんでん返し方に感銘を受けたので高評価で。
- 04 海神の矛 (採点:8)
- 今回の並び順、ほんとに初っ端から飛ばしてくるなあ……。戦争ものはあまり読まないのですが、やわらかい一人称のせいかスッと世界になじんで読むことが出来ました。キャラクターが少ない描写の中で見事に立っていて、とくに艦長の格好よさは尋常でない。最後の余韻も含めて素晴らしい完成度の作品だと思います。ただ、これは個人的な解釈の素養の問題ですが、「神風」の扱いが読み取りきれなかったのが残念かな……。
- 05 理屈じゃないこと (採点:5)
- 物語の中に流れる空気が良い作品ですね。穏やかな会話から穏やかな別れに至る意外性もありました。でも最後の手紙がなんか微妙。こういう雰囲気を読み取る感性の足りない人間からすると、「お互い好きならくっつき直しゃいいじゃん」と思ってしまいます。別れる理由は言ったら不粋だとは思いますが、お互いの気持ちが沿っているなら、それでももう関係を続けられないような何かがあることを暗示する描写が欲しいと思いました。
- 06 For tune the rainbow (採点:4)
- ごめんなさい、ものすごく簡単に言うと好みじゃない。主人公が女性なのは恋愛を抜きにした心の交流を書きたいから?それとも単なる趣味?今のところの描写ではあえてそう設定する必然性が余り見えないです。メインにならなくてはいけないはずのお嬢様との交流が、特に大きな山場もなく落ち着いてしまったのも残念。意味深な父親の描写も投げっぱなしだし、おしゃれしない理由も明示されていないし(察することは出来るんだけど)、うーん。回収されない伏線があるのは邪魔だしもったいないな。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:5)
- 何でだろうな、巡り合わせのせいかどうか、個人的にはこのテーマの作品よく見るんですよね。類型から突出しているかというとそうでもないし、どうせならもっと独自の設定を出すなり、人間の邪悪さやら傲慢さやらを如実に見せつけるなりして欲しかったかな。文章自体は非常になめらかで、欠点は見当たらなかったので、基準点をつけます。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:9)
- これは良い!淡々とした夏の情景の中、視点を循環させつつ密かに物語が進行していくさまは、全てが分かったあと読み返して改めてゾクリとしました。何度読んでも味わいのある作品だと思います。一読では非常に読みづらかった(内容は仕方ないとはいえ、文面が。雰囲気に合った文体ですが、もうちょっと改行がほしい…)のと、オチが何度も読み返してやっと分かったので1点減。後者は個人的な理由ですみません。あと、これも個人的嗜好ですが、題名はもっと大真面目で短い感じのものがよかったな。大岡昇平みたいに。
- 09 テロリスト長沢 (採点:1)
- すいません、それこそが作者の意図するところだとは分かっていても、嫌悪感が止まりません…。薄っぺらな思想で悪事を働く者が報いを受けないというのはどうもいけないです。いや、話によってはいけなかないけど、この作品の終わり方ではいけないと思います。作者の方には申し訳ありませんが、作品の出来如何以前に私には受け付けませんでした。
- 10 いろはの森 (採点:4)
- 正直に言うと、世界の設定が分かりませんでした。すごく作りこまれているのは感じるんだけど、時代が古そうな割にはストーブ使ってるし。端的に言うとなんか蟲師っぽい。文章の雰囲気はいいですが、方言がなんか微妙(ご当地の人間でない私ですら何か違和感を感じる)なのと、ニニギとか余命見とかいう専門用語がナチュラルに出すぎて戸惑った、その二点が特に気になりました。長編物の第一話といった印象かな。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:3)
- 結局川那部さんは主人公が素直に話題に応じたとしてどう会話を続ける気だったんだろう……。二人の微妙な距離感の会話は多分面白いんだろうけど、私にはその面白さが分かりませんでした。キューピッド云々の比喩表現がよく理解できなかったし、ぶっちゃけていうとまどろっこしい恋愛話は苦手なんですごめんなさい。導入部からどういう話に転がるのか見えなくてモヤモヤしながら読んでしまったせいもあるかもしれません。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:9)
- ああ、この作品すごく好みです。説明口調のようなそうでもないような不思議なリズム感がある文体といい、ちょっとご都合主義だなあと思ってたら最後の最後でとんでもない一撃でまとまりを見せた展開といい、全ての要素が一個の物語として完成している印象を受けました。大好き。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:6)
- 暗示的な話ですね。アイデンティティー確立の物語として面白く読めました。が、何か、上手く説明できないけど何か最後が物足りない。保健の先生に解決策を提示されてからの、僕と俺の順応が早すぎるように感じたのかもしれません。序盤を削ってでももっと自己の対話に回して欲しかったかな。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:2)
- とんでもないタイトルだと思ったら、そんな使い方をしましたか。視覚的なインパクトがありましたし、ページの変え方も合わせて、読み手を意識していることが分かります。ただ、その分の評価と合わせても、流石に本題に入る前の文章が迂遠過ぎる。正直に言えば全体の文章の内、半分近くは雰囲気作りとしても必要ないと思いました。内容と分量のバランスが悪いし、話のラインだけを追ってみれば内容自体も目新しいものではない。ナイトメアとか浮いてるし。文章の力に頼るだけでなく、プロットと構成にも力を入れるべきではと思います。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:4)
- ヒロインの暴走が予想してたよりは規模が小さいかな。こういう展開はもっと閉塞感にあえいでるけど普段は何もしないような人がやらかした方が映えるかなあと思います。ヒロインの(読んだ限りの)行動力をかんがみるにさして特別なことではなさそうというか何と言うか。「生徒会役員」とか「お嬢様で才色兼備」とか、この物語に関係のない設定もやや気になりました。
- 16 さくら (採点:4)
- 個人的にはホラーもグロも「耐性はあるけど好きじゃない」という微妙な存在なのですけれど、この話については文章に力があるので読みでのある作品になっていると思います。でもあそこまで具体的に残虐にしなくても話は作れたと思うから、読む側のハードルを上げてて勿体無いかな。読んでて主人公側の狂気が中途半端だなあと思ったので、主人公がまた協力する流れにするとか、もしくは多少ベタだけど娘が桜に呼ばれるとかしてほしかったかもと思います。で、ちょっと気になるのが、冒頭部分のところ、桜は緋色とは表現しないと思うんですよ……緋色の方が雰囲気出るけど読んで違和感を感じました。誤字や変換ミスが多かったのでそこも残念。
- 17 19140901 (採点:8)
- こういう雰囲気小説は得意じゃないなあと思いながら読んでたのですが、これは上手い!幻想的なままで余韻を残して終わるのかと思ったらとんでもない所でガツンと食らった気分です。少女の意味なく変な名前にやや引っ掛かってたので、特に。文章も達者で構成も完璧、時代と舞台もばっちり合った見事な作品だと思います。ただ、タイトルがあんまり内容の雰囲気と合ってない気がして好みじゃないかな……
- 18 生命 (採点:4)
- うーーん……評価の難しい話ですね。ぐたぐだしゃべる独特の一人称は比較的好きな部類ですが、やはりところどころ目が滑る。特に最後の怒涛のような語りは内容が本題に絡んでるとはいえ余りの無駄な情報の奔流にめげました。物語自体も、死に魅かれる主人公がやけにポジティブな(やけっぱちにも見えるけど)せいか、最後の生に目覚めるところがあまり強調されなかった気もします。ご婦人の正体全くわかんないし。あとこのタイトルの使い方はいいのか悪いのか分からないけど、私は好きではないですとだけ。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:2)
- ……ありがとうの意味が良く分からない……確定した運命はあるって最初に言っておいて後で変えられるとか言ってるのは天使のブラフだったのかなあ……と何かところどころでもやもや。天使がなんか類型的っぽくて個性が薄い気がしてそれもちょっと。話の流れはベタだけど良いものなので、書き方しだいではないかと思います。
- 20 今日見る明日 (採点:2)
- 何かあるのかと思ったら何もなく終わってしまった……。物語に山場を求めてしまうのは私の悪い癖だと承知しているのですが、流石にここまで何もないと寂しすぎる。作者の中でこの二人はある程度しっかり形作られているのではと思うので、その個性をもっと押し出して欲しかったかなと思います。
- 21 雪国 (採点:2)
- 暗示的な物語は、何を暗示しているのか最低限分かるようにしないと、雰囲気だけの小説になってしまうと思います。この作品で何を言いたいのかが全く分からなくて、読み終えてイライラモヤモヤとしてしまいました。意味深が過ぎて作品から何も受けとれないと言うか。ちょっとテーマを示唆する言葉を入れるだけでも違うと思うので、どうにか読み手を導いて欲しいところです……
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:1)
- ごめん、こういうの嫌い。単に可愛い女の子が現れて初っ端からいい感じにエロエロで最終的に都合よくいい仲になって、ってだけで、話に物語がないんだもの。そういう部類の話を否定はしませんが、この作品にはキャラクターにしろ展開にしろ独自性が全くうかがえないので印象は凄く悪いです。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:5)
- 「呪文」のアイデアがとてもいいですね。せつないながらも前向きな感じに終わって、とても好感の持てるラストだと思います。そこへ持っていくまでの過程がやや回りくどいように感じてしまったのと、女の子の性格と丁寧な語り口がちょっと合ってないような気がするのがちょっと残念。
- 24 結婚適文句 (採点:7)
- 何だこのシュールな世界。ギャグは好みの差が出るので定まった評価は難しいと思いますが、私個人としてはこのテンションは決して嫌いではありません。むしろ好きな部類。流石にやりすぎでは…とも思いましたが、最後の一行に吹いたのでちょっと点数を上げます。
- 25 マージアここに在り (採点:3)
- え、これで終わり…?という印象が一番でした。ナナの正体はすぐに察せてしまったので、そこから更に何かひと転がしあることを期待していたせいだと思いますが。個人的には「エドが選ばれた理由」「ナナの真意」の二点をもっとちゃんと知りたいかな。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:2)
- 何でこの人こんな変態なんですか……。急に電車を「彼」と表記するのに違和感を感じたし、義理の父子にする理由もよく分からない。ユダの話が出てきたのはダヴィンチコードの影響?話のいろんな場面で脈絡の無さを感じてしまって、結局何が何なのか全く分かりませんでした。多少ベタになってもいいから話に流れが欲しかった。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:7)
- ちょっと変な人のほのぼの話で終わるのかな、と思っていたら、変態小僧のカミングアウトと最後の暴言にしてやられました。起承転結もしっかり収まっているし、キャラクターも、石郷岡さんがやや典型的な分残り二人のキワモノぶりが際立って、個人的には好印象です。ただ、平凡に見えて毒舌な主人公の一人称の雰囲気がどこかで見た気がする(失礼なことを言ってすみません。多分私がそういうのが好みで読み漁ってるせいだと思います)のだけが気になったかな…。
- 28 Forest Note (採点:6)
- 良い話ですね。一人称の良さと雄大な森、穏やかな日々の描写が相まって、とても良い空気をかもし出している良作だと思いました。ただ、中盤で気を持たせた割にヒロインの名前について何も触れられなくてちょっと拍子抜けかな。
- 29 Blind (採点:1)
- 無理。ごめんなさいこういうのほんと無理。ホラーやグロは平気だけど、理不尽に邪悪がのさばる話は受け付けないんです。心と身体のすれ違い、というだけでも物語は作れたと思うので(そりゃインパクトは薄れるけど)何でこんな展開に、という感じでいっぱいです。せめて襲う男の描き方をもうちょっと何とかしてくれたら受け止められたかも知れませんが……。あと、これは個人的拒否感は抜きにして、改ページの多さがちょっと引っ掛かりました。
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:4)
- うわー、後味悪いなあ……。こういうタチの悪い感じの終わり方は嫌いじゃありませんが、露骨な性描写は苦手なのでもっと精神的なふれあいの描写が多かった方が良かったな。好みの問題かもしれませんが。あと、物語の展開について、どうしても「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」を思い出してしまって驚きが生まれなかったという点で(虐待話だと思ってたのでちょっと驚いたけど、っていうか水商売で傷つくるのは不自然では?)損してるかもと思います。
- 31 正義の味方の悩み (採点:6)
- 一読して良作だと思いました。キャラクターも話し運びも非常に手堅いし、雰囲気もほのぼのと可愛らしい。惜しむらくは、その土台から更に発展して何か予想外のものが出て来ることを期待していたため、やや肩をすかされてしまったところでしょうか。これは好みの問題かもしれませんが。あと、ヒーローを目指す女の子がかなり可愛いですが、台風少女にしては行動のインパクトが弱めなような。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:8)
- ああ、可愛いなあこの生き物達。アホの子連中にちょっと大人な女の子にマジ泣きエミ先生に田舎ののんびりとした空気も含めて、この作品全体の雰囲気が大好きです。読んでてものすごく心があたたまりました。ほんわか。タイトルからの意外性が強かったけど、読み終えてあらためてタイトルを見直したらキュンとしてしまったので、良い効果が出ていると思います。
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:4)
- 射撃の妙なテンションの高さは結構好きです。でもそこがメインだとすると、導入部がなんか長すぎるし浮いている気がする。母親の妙な特技とかあれは一体何なんだ。祭り以降は妙に楽しく読めたので、もっと夏祭りそのものの描写を増やして欲しかったかな。
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:7)
- しまった、まさかハッピーエンドになるとは思わなかったからうっかり感動した。設定自体はそんなに目新しいものではないしやや無茶な気もしますが、一回どん底まで落とした上でのオチなので何やらとても幸せな気分になれました。この構成は作者の力量でしょうね。
- 35 西と東、白と黒 (採点:5)
- 面白い構成の物語だと思います。けどもっと細かいスパンで対比された方が面白かったかな(どこまで対応してるかスクロールして読み返すのがちょっと手間だったので)。あと、西の女の子がしょっぱなから幸せそうに見えてしまい、物語上の対比をあまり感じない印象を得てしまいました。ていうか本当に両者の幸福感の対比をするなら、ちょっとそれぞれがかみ合っていない気もします。
- 36 ソラアイ (採点:2)
- あれ、何でそれでハッピーエンドになるの……?淡々と別れに応じた主人公が急に積極的になっててちょっと違和感を覚えたし、そもそも水商売を始めるから別れたっていうのにあっさり水商売やめるって宣言してるのが分かんない。妹養うならお金が必要だろうにその程度の覚悟だったの?釈然としなさばかりが表に立ってどうにも楽しく読めませんでした。ごめん。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:7)
- 壮大なSFなのにしょーもない、しょーもないけどいい話だなあ。こういうテンション大好きです。でも彼女の独白に地球での時間経過に気づいていそうな部分と気づいてなさそうな部分の両方があって、少し矛盾を感じてしまいました。いや、後者は彼女が単に天然だったのかなあ……。あれだけ固執しといて用途が「とっとくだけ」なのもちょっと拍子抜けかも(その方が気負いがなくて好きだけど)。てっきり使うからだと思ってた。
- 38 山田仁の行き先 (採点:5)
- 雰囲気とキャラクターたちはものすごく好きなのですが、ちょっと微妙。話に一本筋が無いというか山場に欠けるというか、とこどこいい話をしているのに結局何の話だったかよく分からないのが残念です。多少ベタでも大橋さんを成仏させる努力をしてみて欲しかった(単純に成仏させなかったのは良いところだと思うけど)。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:4)
- 何だこのカオスな世界……。途中の化学モドキの会話にはこいつら馬鹿でいいなあ、と思いましたが、何でだろ、ちょっと受け付けませんでした。ギャグは好きなんだけど、相性の問題かな。あと、どうでもいいけどクラリスって女の子の名前じゃない?
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:4)
- うーーん……何だろう、色んなものが分散しすぎて何がどうなのか理解しづらい感じ。物語に必要な駒と考えると友人二人は一人で済むと思うし(むしろ無駄に長くなる分邪魔)、逆にヒロインを目立たせるための駒がほとんどないのが気にかかります。色んなエピソードに紛れてメインテーマの影が薄れているんではないかと思うので、もっと記憶を刺激する場面を増やすべきかと。
- 41 No River to Cross (採点:7)
- 何と表現したらいいのか、感動とか起承転結を求める類の話ではないですが、読んで気持ちのいい作品だと思いました。文体も文章によく合っていて、流れるように頭に入ってきたし、ほんのちょっとのSFが物語にしっくりとなじんでいるのも素晴らしい。でもipodの機能をよく知らないから描写が引っ掛かったのと「ノルウェーの森」を読んだことがないのが個人的に痛いところなんです…
- 42 焚火 (採点:6)
- これはいい後味の悪さですね。個人的にはこの先兄が妹の始末に入る(か共に火に飛び込む)と信じていますが、「それに何より〜」の一文でブレているように感じてしまったので、私の推測が違うなら違う、そうならそうで(多分どちらにせよ話は上手くまとまると思うので)もうちょっと描写があった方が良かったかな。兄の独白から最後だけ妹目線で兄を見る、という構成はかなり面白いと思います。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:3)
- そのオチはないだろう!ヒロインに諭されたと思ったら唐突に感情が爆発して、かと思ったらいきなり良く分からないうちに悟ってしまっていて、話の積み立て方にものすごく不安定さを感じてしまいました。対人関係について主人公−弟−ヒロインを対比させる構図は良いと思うんだけど、何分この長さなので、ヒロインは捨ててでも兄弟の対比と相克をメインに据えて欲しかったです。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:9)
- 上手いですねえ。作品を流れる空気と文体と展開と、全てが渾然一体となって完成度を上げている印象を受けました。最後は多少壮大になりすぎてる気がしたけど、ラスト一文のためと思えば美しい予定調和です。ただ一点、仕方ないとは言え、ところどころ漢字表記に目が引っ掛かってしまいました。ルビがあればクリアできる問題だけに残念。
- 47 ポテト (採点:2)
- ごめん私にはこの作品は無理。彼女と別れた→ヒロインに出会う→学校にも来た→妹の友人と判明→手紙が届く→告白って展開に流れが見えないし、ヒロインが何を考えて行動しているのかも分からなかった。唐突な告白も重い割に全体のテーマにはなっていないし、結局何なんだという印象が強かったです。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:6)
- チャコやチャコとの思い出の描写はすごくいいんだけど、その分「その後の主人公」のことを考えて悲しい気持ちになりました。いくらチャコとの友情が大事だからって、そのせいで18歳まで心を閉ざしてたなら、たとえ本人が納得済みだとしても私には良い友情には思えない。人生に長々と影響を与えた、という事実が物語として必要なのはわかるけど、もうちょっと短い期間でも良かったんじゃないかな……。ていうか何で18になって唐突に毎年絵本が届き始めるのか。ほんとにフォロー遅いよチャコ。
- 51 夏の風 (採点:2)
- 話に山場がない……。夏の一場面を描いたものだと割り切ってはみたものの、それでも作者が何を書きたかったのか分からないのでどうも面白く読めなかったです。妹が書きたかったの?最後の清涼感がよく出ているだけになお残念。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:6)
- ハードボイルドな雰囲気ですね。「大いなる眠り」なんて入っているあたりからすると、意図的なものかな? 会話の格好よさと醸し出される空気感は門外漢の私もなかなかしびれましたが、話の筋自体はとなると、意外性にはやや欠けるかな…。ハードボイルドはえてしてそういうものですけどね。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:3)
- 結局何なんだ、というのが一番でしょうか……。こういう系統の作品が得意じゃないというのもありますが、タイトルも何のこっちゃ分かんないし、ヒロインの正体も吉川君のものの考え方も結局よく分かんないし、まとめればどう感想をつけていいか分からない。文章の変に高いテンションと全体の空気がちょっと合ってないように感じてしまったのが一番気になるかな。
- 55 饗宴 (採点:2)
- 独特な世界をしっかり持った作品だな、とは思います。ただ私には入り込めなかった…。「〜使い」と「〜師」って併用するとおかしくない?とか、仕方ないとはいえこの文章でカタカナ語は浮いて見えるなあ、とか考えつつ読んでいたら、般若心経を唱え始められて完全に冷めてしまいました…。そこでそれを持ってくることに妙なセンスを感じはしましたが。この微妙な違和感は、語り手の知識がところどころ現代風で専門的なのに妙なところでぼかしてるバランスのいびつさも影響してるかな。後半部の怪奇的な雰囲気は良い意味で気色悪くてかなり面白かったです。
- 56 Show must go on. (採点:6)
- 多分結構な人数が指摘するのではと思いますが、メインとなる隠しが速攻で分かってしまうつくりなのが少し残念でした。伏線の分かりやすさ辛さは、書いてる側には判断がつけづらいと思うので、難しいところですが…。3人のそれぞれの話も、個性は出てるものの「再会」「友情」という物語として強調すべきポイントからはやや外れているような印象。でも最後の余韻の良さと、題名と紹介文の含みに気がついた感動はかなりのものでした。
- 57 エース (採点:7)
- ああ、いい雰囲気の作品ですねえ。青春と部活という独特の空気が爽やかに描かれていて、非常に読んでて気持ちが良かったです。あえて難を言えば物語の起伏が少ないところですが、これはそういうものを求めて読む作品じゃないと思うので、マイナスには思わなかったです。
- 58 飽くなき赤色 (採点:6)
- 作品に力はあるのは感じましたが、如何せん私にはそっち方面を受け取る素養がないので、流石に現実味に欠けるかなあ、とやたら冷静に考えながら読んでしまいました。ただこのテーマで現実味を出すのは至難の業でしょうね。主人公の心の変容と狂気が、こちら側にも理解できるように丁寧に描かれていたのでその点はかなり好印象です。が、好みじゃないのでちょっと点数は低め。作品自体の完成度は高いと思うので申し訳ないところです。
- 59 Day after tomorrow (採点:5)
- うーん、スタンダードな話をスタンダードにまとめたかな、という印象。欠点は見当たりませんが、突出したものがあるかと言われると首を傾げてしまいます。しいて言うなら物語自体がありきたりな分マイナスか。回想形式にしたせいか話の山場もあまり盛り上がらなかったし。瑕疵のない作品だということで、基準点をつけてみました。
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:8)
- あまりにしょーもない「9マイルは遠すぎる」の変化球で、非常に楽しく読ませていただきました。ミステリ風味の(と言いつつ意外とまともに推理しているのにびっくり)コメディ短編としてのまとまり方が素晴らしいです。真相も雰囲気に合ったしょーもなくもほのぼのとしたもので、読み終えてニヤニヤ笑いが止まりませんでした。個人的にはかなり好き。
- 61 山小屋語り (採点:5)
- あれ?王道を中途半端に外されたせいか、何かオチが釈然としない……。語りを聞く側の男に感情移入して読んでいたためか、そいつが蛮行に及ぶに至ってちょっと置いてきぼりを食らった気分です。あと、こういう話を読むといつも思うんだけど、この方言正しい?地元言葉にやや似てるような違うような……と無性にモヤモヤしてしまいました。老婆の昔語りと思ったらちょっと前の話だった!という意外性はとても面白かったです。
- 62 格闘少女 (採点:7)
- 駄目だ、私はこういう話に弱いんです……。ドライなようで実は固い友情とか、一見浅そうに見えて深い生き様とか、もう駄目。設定的には満点ですが、文章構成がもっと伸びると思ったのと、格闘ゲームに造詣が深くなくてちょっと入り込めなかったので軽くマイナス。
- 63 未来視の見る夢 (採点:6)
- 不思議な余韻の残る話ですね。予知という要素を日常のものとして受け入れている姿、全てを受け入れて病に臨む姿も心にとまりましたが、何より最後の出会いの美しさがたまりません。
でもごめんなさい私は文系。ウイルスとか急に言われても分かんない。カウンターの仕組みなんて3回読まないと分かんなかった。「悲しい未来と分かっていても出会う二人」の物語なのだとしたら、そこまで専門的な科学じゃなくても良いんじゃ……と言ったら流石にイチャモンですが、理解する素養に欠けるという非常に個人的な事情で減点。
- 64 ブランコ (採点:2)
- まずごめんなさいこういう起承転結の特にない話苦手。その上で言わせてもらうなら、題名に持ってきた割にはあまりブランコの必然性がないかなあと感じてしまいました。何か無理に話と結び付けようとしているような印象。あと、どうでもいいけど何で主人公とヒロインの名前両方「ゆうちゃん」なの?字面だと区別はつくけど、何となく気になってしまったので。
- 65 金曜日のつめきり (採点:8)
- おお、上手い。こういう淡々とアンニュイな話は好きじゃない、むしろ苦手な部類に入る私ですら途中から物語に引き込まれてしまいました。文章自体が達者なのか、それとも状況のほのめかし方がスマートなのかな。会話のもって回ったぶり(上手く言葉が見つからなくて悪口みたいだけど)も良いですね。最初のバカップルにしか見えない描写がちょっと長いように感じてしまったのがちょっと残念。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:6)
- すいません、こういう情緒を理解する素養に欠けている自覚はあるのですが、何か釈然としない。女の子の自殺(だよね?)にいたる心情があまり読みとれなかったせいかもしれません。思い出作りなのだとしたら彼女自身の言及が少しなりとも欲しかったし、そもそも何で彼が責任を感じているのかがどうしても分からない。夏の描写と少年の独白は見事なので、読んでいる途中は勢いに飲まれましたが、落ち着いたらその辺が気になってしまいました。
- 67 世界一の小説 (採点:6)
- なんかショートショートっぽいなあ、というのが第一印象。最後のオチが気の利いた感じで、こういう起承転結の決まる話を書き慣れている人なんだろうなと思いました。ただ、ショートショートっぽい、と一度思ってしまうと、この文章はちょっと長いかなとも思ってしまいます。必要な部分だけを抽出すればもっとギリギリまで絞れるかも。
- 68 両手いっぱいの花を (採点:3)
- 正直に言うと、うん、まあ、そういう展開しかないだろうなあ、という印象。ベタというか王道話は嫌いじゃない方なのですが、ヒロインが死んでからの展開がちょっと急に飛びすぎているようにも感じました。ほんとに王道を目指すなら主人公とヒロインの独白の順序は逆でもいいかな。あと、名前がドイツっぽいのに王族がいて「花鳥風月」なんてどう考えてもヨーロッパにはなさそうな言葉まで知ってる点に違和感を感じました。いつの時代のどこでの話なんだ、これは(明言はいらないけど流石に混乱したので)。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:2)
- ブラックなオチには半笑いになってしまったけど、これって後味がいいのか悪いのか。妙な勢いのある作品だとは思いますが、ごめんなさい、私にはついていけない。異様なセンスは感じますが、好き嫌いがかっきり分かれそうですね。ところでタイトルネタバレしすぎてやいませんか。そこでちょっと勘付いてしまったので気になった。
- 70 アリス (採点:7)
- 設定とキャラクターがいいですねえ。一人称が良い感じにほんわかとしているので、こちらもほんわかとした気分でヒロインの可愛さに入り込んでしまいました。ただ、肝心の「彼女がアリスになった理由」がうやむやなのと、ちょっと中盤から後半にかけての揺さぶり加減が微妙かな、というのが惜しいところ。でもラスト一行は好きです。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:5)
- 一種のSFなのでしょうが、世界観の提示の仕方がやや不親切かな……。東京の壁はともかく函館の壁ってどゆこと?とか、この時代コンビニそんなに当たり前だったかな……とか、枝葉の部分ばかり気になってしまったし、そういう独自の世界にあって主人公の思想がやたら今時かつ普通なのにも違和感。魅力的な設定なので、もっとガッチリ作りこんでほしかったと思います。
- 72 月時雨 (採点:5)
- 独特の美しい感じの文体は、技巧的な評価は私には出来ませんが(個人的にはちょっと苦手)、語り部の性質に合っている、印象的な文章であるとは感じました。普段あまり接しない類の物語なので感想には少しとまどいますが、内容はまあ置いておいて、「生まれた時から義足」という設定は物語として必要あったかな?てっきり事故かなんかで兄が死んだ時に一緒に、と思っていたため、ちょっと意外に思いました。
- 73 14文字の涙 (採点:9)
- 良いものを読ませていただいて有難うございました。見知らぬ人とのメール、を題材にした物語は何個か読んだことがありますが、スタンダードなはずなのにどこかひねりが利いていて(電話が出来ない理由や兄を設定したところ、あとは会話の上手さかな?)兄妹のほのぼのしたやりとりやせつないラスト(蝉の鳴き声が、また…)もあいまって非常に心が温かくなりつつ泣きました。読めてよかった。
- 74 魔女の岬 (採点:7)
- ああもう、こういう感動には弱いんだありがとう。でも心を落ち着けて読み直すと、魔女の力の基準が分からなくてちょっとモヤモヤしました。時空を超えたり宿屋を運営させることは出来ても病気を治すのは無理ってどういう力なんだ。そう設定しないと物語が成り立たないのでどうしようもないところなんだけど、そこが気になって仕方ないのでちょっと残念。あと、計算してみたら奥さん若すぎない?個人的には若く美しい妻よりも苦楽を共にした中年の妻の方が夫の愛情が引き立ってよかったな。
- 75 夜の夜 (採点:8)
- 前向きなようなそうでもないような、不思議な余韻の残る話でした。影が見えるという設定をこういう方向へ使うとは思わなかったので、その意外性にもやられたかな。あと、ところどころの文が鋭いのにぐっさりと刺されました。上手く説明できないけど、この絶妙な邪悪さが好きです。
- 76 Another (採点:3)
- そう来たか、という感じではあるのですが、どうコメントしたものやら……最後の一行で読者をのけぞらせる意図で作られた作品だとは思うのですが、それにしてはぼやかし方が上手くない。少なくとも自分の兄弟を「生まれた時からの知り合い」と表現する人はいないと思う。もっと細かに伏線を仕込んでてくれたら納得して驚けたかな(それも変な表現だけど)。
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:3)
- 何だこのバカップル!!ていうか当初の独白の彼女に感情移入し始めてたところに彼氏側の妄想だったと言われてしまい、この感情をどこへやっていいか分かりません。ベタでもいい、ベタでも少女漫画でもいいから彼氏側も不安を抱いてたために遅れるようになってたとかそういうオチの方がまだ良かった……まあ個人的な好みだけどっていうか話が全く変わってしまうんだけど。
- 78 君が星を手にするとき (採点:9)
- うわあ、良い話だ……。途中で「どう後味の悪い方向へ転がるのか」と想像をめぐらせていたため、素直な、でも熱い展開に逆にはまりこんでしまいました。羨望と諦めと、それ以上の感情のこもった独白のバランスが見事。表現の幅も多く、文章作りの上手い人だと思いました。
- 79 奥の細道 (採点:3)
- 作者の伝えたかった方向が分かんない……迷路の話や猫の話があまり生かされないで、テーマを引っかき回してブレちゃった印象。主人公が、やらかしたことの割に罪の意識が薄そうな感じなのもどうかなあと思いました。主題からするともっと悩むなりいさぎよく罪に服すなりしててほしい。中盤の「お兄ちゃん」の奔流はぞわぞわしたので、個人的にはそこを山場に持ってきて欲しかったです。
○宏方 智樹 さん
- 16 さくら (採点:6)
- 最初のとんでもない出だしにちょっと驚きました。
桜とつなげたダークものはいろいろあるし、グロ描写に嫌悪感覚える人も多いだろうけど、突き抜けっぷりが新鮮でした。タナトス。
死体が「自ら埋まる」っていう最後の一文がいかしてます。
僕が傍観者に留まっているところが不満でした。
- 55 饗宴 (採点:4)
- これはあくまで定石なのですが。例えば「赫奕と輝き渡る日蝕めいた物憂い赤光」ですが、「物憂い」という程度を説明する言葉が出た瞬間に、「赫奕と輝き渡る日蝕めいた」という描写が枯れ落ちます。
というわけで、私には言葉を積み上げて世界を表現しているようには読めませんでした。
- 65 金曜日のつめきり (採点:8)
- ずるいー、と叫んでおきます。
7段目のパラグラフがあざといんだけど、ばっちり決まっている。文体の緩急が素晴らしい。おかげで、最後の「帰ってきても良いのかな」って訊ねる彼女が可愛いですよこんにゃろー。
5段目の回想も、6段目の父親の話も、ニヒルな部分はどう書いても鼻についてしまいますね。仕方ないんですが。
とはいえ、今回のコンペの作品の中ではダントツに好きです。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:6)
- ひねりがない、というありきたりな感想が出てきてしまいます。
勿論、ありきたりさは作者の作為なのでしょう。ありきたりな出会い、ありきたりな小道具、世界の中で二人だけと感じる時間、そのありきたりさ=日常の再現が彼女を満足させ殺してしまうものだ、という仕掛けはわかります。ちゃんとコントロールして書かれていると思います。なので6点。でも、がつんと来るものがない。
僕が最後まで自分の視点で語っている限り、読み手も僕の自己憐憫に付き合わされているだけで何処にも行けない。日常を相対化し彼岸に行った彼女のことは分からないし分かる筈もない――それはその通りです。でも、僕は"世界の中心で"悲嘆に暮れているだけで、彼女のことを分かろうとしていない。そこが不満でした。
○広坂 さん
- 02 黒船 (採点:6)
- 落語か。その発想はなかった。いっそ八と熊にすれば良かったのに、とも。
知ったかぶりの大家と、それに振り回される町民。基本をちゃんと抑えていて。
肝心のくすぐりやオチが弱い気がしますが。まあ「千早振る」のオチもひどいものだから、それもまた落語っぽい。
- 03 遵守 (採点:6)
- 導入部分がもう少しスムースだと良かったかなあ、と思います。
高階の能力について、細々と書きすぎている印象が。
もっとさらりと「人の記憶を操作できる」という噂がある程度にとどめておいて、中盤以降でその能力を明かしつつ、山城と雪絵の話を語っていくという感じにすると、話を聞いている「私」と読者の一体感がもっと出たかも、と思いました。
終盤の二転三転していく展開は文章も相まって、なかなか巧いと思います。
- 05 理屈じゃないこと (採点:6)
- 男と女の間柄は「理屈」じゃなくて、好き合っていても別れてしまう、ということも確かにあるでしょう。
淡々と惚気話が進んでいくように見せかけての最後の展開は意外であると同時に、やるせなさを見事に表現してると思います。
無口でちょっと毒舌なヒロインは昨今の流行りに乗って魅力的に描けているし、この二人はきっと仲が良いんだろうな、と思わせる思い出話も良い。
単体として見れば、なかなかの佳作。
なのですが、他の方も書かれると思いますが、過去のこんぺにおいてよく似た話が投稿されてしまっているため、どうしても比べてしまわざるを得ません。
その点、ご容赦下さい。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:6)
- 噛めば噛むほど味が出るスルメのような味わいがあるのは確か。
ぱっと見、敬遠してしまいがちな詰まった文章も、実際に読んでみると読みやすい。
色々と計算して書かれているんだろうな、というのが良く分かります。
ただ、では「物語」として、何か面白かったかと訊かれると、良く分からなかったと言わざるを得ず。
うーん、多分私とは目指す地点が違っているのだと思います。良いとか悪いとかではなく。
- 09 テロリスト長沢 (採点:6)
- 檸檬、か。……違うか。
たったそれだけのこと、を随分とねちっこく書いたものだなあ。ダメ主人公に共感を覚えてしまう辺り、きっと自分もダメ人間。
ただ最後は、うーん。へたれて欲しかった。
- 10 いろはの森 (採点:7)
- 帯を後から読んで「ああ、近未来の話だったのか」と改めて分かったけど、帯を見ないままでも何となく「近未来っぽい」と思ったのは、ナウシカの影響かしら。
読み手の多くにあるであろう普遍的なイメージを上手く利用していると思いました。
硬質な文章も作品に合っていて、面白かったです。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:5)
- 学園もの、青春もの、男女ものは、今回のこんぺでも数が多くて。
そんな中では、ふたりの微妙な距離の取り具合がなかなか面白かったとは思います。
とは言うものの、突き抜けて何か良かったというところまで行くものでなかったのが残念ですが。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:7)
- 中盤でのカメラのファインダーの使い方が、上手いなあと感心しました。
伊坂幸太郎の雰囲気がどことなく漂っている気がします。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:7)
- なかなか好み。
惜しむらくは、なぜヒロインの名前を明らかに「あれ」を想像させるようなものにしてしまったのか、かなあ。
語り手、ヒロインともにあちらとは造形が違うし、無闇な批判を浴びそうなことは避ければ良かったのに、とも思う。
その辺りを考慮せずに評価すれば、さわやか青春系の王道。文章も手堅いし、佳作だと思う。
- 16 さくら (採点:7)
- 桜の下には死体が埋まっている。
ひとつひとつのモチーフはありがちではあるのだけど、全体を通じてかっちりと嵌っている印象。
桜に取り憑かれる、というのは描いてみたかったテーマの一つだったのに、先にやられてしまったなあ、という感じです。
序盤の展開がもったりしているのが、ちょっと惜しいかな。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:3)
- ご自分の欲望を素直にぶつけられてきたようで。
それは「創作」の原点のひとつであって、そこから生まれた作品も世の中には数多いのですが。
ひとつの小説として読むには、ヤマなし、オチなし、意味なしの三拍子揃ってしまっていて、ちょっとばかり物足りないのでした。
- 25 マージアここに在り (採点:7)
- 結構なSFでした。ラストにもう少し先を予感させるような広がりがあれば良かったかなあ、とも。
主人公は英語圏の出身のようだけど、なんで漢字の名前をつけるんだろう。それが気になりました。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:6)
- 僕らにふたつ手がある理由って言うのが、何となくそれっぽくて好き。
人間は元々両性具有だったのが分かたれて、男と女になった。だから、無くした半身を常に求めている。
って言うのは、なんかの神話だったかしら。
と、何となく色々とイメージはできるものの、全体としてはよく分からない……。
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:6)
- 心地よい腐臭漂う作風が良いです。
中盤がちょっとだれるものの、ラストのやり切れなさが好き。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:7)
- さわやかで、ちょっとほろりとして。好きだなあ、こういうの。
舞台が小学校の分校っていうのも新鮮で、なんか暖かみみたいなものを感じました。
作者の人は、きっとこの舞台を愛しているんだろうなあ、みたいな。
ただ、ストーリィとしては転にあたるヒロイン受難の部分が、あまりにテンプレート通りという気がするなど、もう少し考慮の余地がありそうです。
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:6)
- 空の正体という、一番の意外性は良かったです。
手違いで研究所から外に出て、偶々何かを目撃したせいで、ヒロインの所に連れてこられる。
黒服に殺されてからは、ヒロインが掘り出すまでずっと土の中で待っている。
うーん、ちょっとご都合主義に過ぎるかなあとは思ってしまいますが。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:10)
- 手○○、ヒャッホー。
いや、今回文句なしのNo.1でした。
はったりをかましたSF設定。理解できなくても問題なく読め、理解できる部分にはふむふむと頷ける。理想的。
終始にやにやさせながら、最後に感傷と意外性を見事に提示。そんな部分まで伏線になっていようとは。自分が理想とする形がここにある、と言っても過言じゃない。
下ネタに目がいきがちになってしまいますが、構成に長けた素晴らしい作品であったと思います。
最後に、もう一回。
手がみ、ヒャッホー。
- 41 No River to Cross (採点:6)
- 全体的に惜しい。
もっと流れを生み出す文章が欲しい。主人公の視点と文章を一致させて、現在進行形で書かれているようになっていれば、もっと雰囲気が出せるのに。
自分なら、ここをこう書くのになあ、というのが正解だなんてとてもじゃないけど言えないものの、なんか読んでいてもどかしくなってしまい。
『ノルウェーの森』を未読なので、なんとも言えないけど。五行目の「僕」は、そちらの主人公のことを指しているのかな。分かりにくくて、戸惑った。
ストーリーの醸し出す雰囲気はとても好きなので、文と話が一致していれば高得点だったのに。
- 42 焚火 (採点:5)
- 掌編として余韻を残すには悪くなかったと思います。
ただ、最後がいきなり妹視点に移って終わるのが、あまり綺麗ではない。
もっと書くとすれば、兄妹の視点で同じ事件を別の観点から描く、などすれば話に深みは出る気はします。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:8)
- 似たような時代設定を選んだ身として(17の作者です)、この味わい深い文体はとても魅力的に映ります。自分は端から放棄してしまったので。
何気ない芳乃の一言「マア」というようなところにまで心配りがされていて、非常に良い読後感を味わうことができました。
- 45 おかえり (採点:5)
- 美生と私のパートが実は時制が違っている、という構成は最後に来て、なるほどと膝を打つものでした。
ただ、最後の真相(美生は結局は生まれ変わって、また私の前に姿を現すことが規定事項である)に、感動のポイントをちょっとずらされてしまった感がありました。
- 48 タクシー (採点:6)
- 文章が拙くて、ちょっと損をしているけど。話は短い中に意外性があって、好みです。
ただ、もし自分が同じネタで書くなら、多分最後は逆にするだろうなあ、とか思いました。
最後の一文を「右」にするか「左」にするか。たった一文字で読後の印象が全然違ってくる。ショートショートの面白さと難しさのような気がします。
- 49 バレンタイン事変 (採点:7)
- バカバカしい。誉め言葉です。
そんな病気ねーよ、と思いつつも学生生活におけるバレンタインという特別な一日の狂騒を思い出しました。
最後の纏めもさらりと流すような感じで、好印象でした。
- 52 豚 (採点:採点なし)
- 一番気になったのは、事故死に見せかけるつもりだったのに、なんで耳を切り取ったりしたのか、という点で。
直前で発した私の狂気、という説明で良いのかなあ。
黒い話を書こうして、それはある程度成功しているとは思いますが、全体的に非常に男性っぽい視点を感じ、主人公の姿がよく見えてこないと思います。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:6)
- 前半の雰囲気作りに容量を割きすぎて、後半が見せ場がちょっと疎かになってしまったかしら。
自転車のエピソードにまつわる伏線が、なぜか印象に残りました。
16KBでやるには、ちょっと勿体ない話で、ぜひ何か中長編を。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:9)
- 言葉の魔術師、と呼びたくなってしまう程のセンス溢れる作品でした。
水に依存しなければ、のくだりとか。
そして何より、最後の一文が衝撃的。たったこれだけの言葉で、作品の雰囲気を端的に現していると思いました。
お見事、でした。
- 57 エース (採点:7)
- スポーツとほのかな恋心。青春ど真ん中っ、て感じですね。
眩しすぎるくらいに。
手堅い作風で読後感が、とても良かったです。
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:4)
- ありきたりな学園恋愛ものにせずに、ミステリィ要素を頑張ろうとした努力は素敵。
もうちょっと、こう山場が欲しかった。間違った推理をして振り回される、とか。
- 62 格闘少女 (採点:4)
- 友達なら百人同時に作れるけど、恋人百人作るには別れなきゃいけないじゃないか。
そこには、もしかしたら修羅場もあるかも知れない。……死を前にした少女が、そんなことを望むのかなあ。
語り手の顔も見えてこないし、ちょっと不満。
「頬を伝う涙のように呟いた」みたいな、表現方法はところどころ好みでした。
- 65 金曜日のつめきり (採点:8)
- 文頭一文字下げをしていないところを見ると、これまでのこんぺにあまり縁の無い方かしら。
どこかぎこちない文章が、幽かに漂う頽廃的な雰囲気を見事に醸し出している。
「微妙な匙加減」が無意識になされている感じで、センスで書いているなあと思う。7章の四行連続文にだけ、ちょっと違和感がありますが。
これからも変に擦れずに、感性を磨いていっていただければと思う。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:5)
- 体言止めを多用するのは止めた方が良いです。私も一時期、格好いいと思ってよくやりましたが。冷静に見ると、リズムが悪くなってかなり読み難いです。
- 70 アリス (採点:6)
- "早耳太夫"って言葉に惹かれてしまった。すごい、ぐぐっても一件もヒットしない。
全体的にポップなコメディで、悪くない。結局、男の子が女の子のことを好きだって言う話で、それだけと言ってしまえば、それだけなんだけどね。
目の付け所が面白かったです。
文頭が「ロリイタ」だったのに、文末は「ロリータ」なのが気になりました。
- 75 夜の夜 (採点:7)
- 手堅い出来。
死の影を見ることができる故に、友人の「嘘」に気づくというくだりが、なんとも上手い。
- 79 奥の細道 (採点:7)
- これはかなりの地力のある方の手によるものと思われ。
前半の軽い雰囲気から移ろっていく、後半の息の詰まる展開の仕方は見事だと思う。
ただ…最後が読み解けない。墓標と小屋、悪臭。ヒントは出されているのだろうけど。
○高梨呂舟 さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:8)
- (内容点:技術点)良:良
どこか童話を思わせる雰囲気の優しい物語であったと思います。
そしてそうした印象を読者に抱かせるのは、恐らく著者の予定したことであったのでしょう。
容量を上限ギリギリまで使い切る作品が多い中、本作「にじのむこうのおはなし」はその半分程度の文量で構成されています。
それでも他の作品に負けない密度と深みを感じさせるのは、無駄な描写を極力排し、それでなお独特の世界観を構築することを成功させている高い技術力によるものでしょう。
問題らしい問題は、ストーリーラインの一部が「虹」を題材にした既存の物語と共通する部分を持っていること……くらいではないでしょうか。
「世界のどこかに古くから伝わる似たような童話や伝説がありそうだ」という感覚を私個人は受けましたが、同じような受け止め方があった場合、評価が割れる原因に繋がるかもしれません。
その点が「本作は個性的といえるか」という命題と結びつき、今回の品評会において意外な苦戦を強いる要因になり得はしないか、と少し気がかりではあります。
あとは私のこうした危惧が、単なる取り越し苦労に終わることを祈るのみです。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:4)
- (内容点:技術点)可:可
テーマのハッキリした、非常に潔い作品であったと思います。
紹介文が示唆するところと物語の進行の素直さから、恐らく多くの読者が「オチ」ともいうべき結末部分にある程度の予想をつけることが可能なのではないでしょうか。
本来ならオチが読めるというのはネガティヴに働くものであると愚考しますが、本作においてはその限りではないのかもしれません。先の展開についてハラハラする必要がない分、物語が扱っている主題について集中して頭を働かせることができるからです。
――“本当の平和とはなにか。本当とはなにか”
文学が取りあつかうテーマとしては決して珍しいものではあませんが、本作はそれを非常に理解のしやすい方法で真正面から取りあつかっている辺り、繰り返しになりますが、やはり潔さのようなものを感じました。
次に技術面について、少し気づいたことを挙げさせていただきます。
個人的には中世ヨーロッパ風の――恐らくはTVゲームの世界観を意識した――ハイファンタジィ的世界観に感心したのですが、これが舞台設定としてベストの選択であったかについては意見が割れるかもしれません。
魔王や勇者といった記号化は、恐らく若い世代にはすんなりと受け入れられるでしょうが、逆のパターンも考えられるからです。「分かりやすく」という著者の心遣いが願わくば多くの読者に届くよう祈るばかりであります。
それからディテールについてですが、本編中では「魔王が存在する間、人々は互いを助け合った。平和が訪れると人々はいがみ合うようになった」といったような図式が真実として語られています。
こうした部分については読者によって受け止め方が違ってくるかもしれません。
たとえば「人類に共通する敵が出現しても、結局人間にとって最大の敵は人間」という見方にもリアリティがあり、より人間という生物の本質に迫っている、と捉えるむきもあろうかと思われます。
本作はそうした見解の多様性を犠牲にするとことで、主とする命題をより強くアピールする手法がとられておりますが、これが吉とでるか凶とでるかは結果を待つ以外なさそうです。
他に気づいた点といえば、物語を読み進める上では障害になりそうもない、ささやかなものではありましたが、何点かの漢字変換のミスが目に入ったような気がします。
- 09 テロリスト長沢 (採点:8)
- (内容点:技術点)良:優
語り手である主人公への嫌悪感。それを確かに感じさせながら、一方で彼が行おうとする自称「テロ」の顛末への興味関心を煽り立てる。この仕掛けについては、恐らく多くの読者に計算どおりの作用を見せるのではないでしょうか。
読み手のイマジネーションをかきたてつつ、読者の心理を上手に操っていく手腕には頭が下がるばかりです。
どこかネチっこさに似たものを感じさせる文体も、テーマにそった演出の一環であるのかもしれません。
要約すれば上限200字に設定されている「紹介文」で十分に表現してしまえる物語なのですが、どこか奥行きのある練りこまれた作品であるように感じられたのは、おそらく上記した要素に理由があるのではないか……と愚考する次第です。
それから、これは私の勘違いかもしれませんが――
上限ギリギリまで容量を使い切る作品が多いなか、本作は逆に文字数を水増しする方に神経を使われたのではないでしょうか。
中盤から終盤にかけての流れにそうした感覚を受けたような気もしたのですが、単なる思い過ごしであったのかもしれません。
最後に、ラストシーンのあり方について少し述べさせていただきます。
これについては、読者によって少し受け止め方が違ってくる可能性があるように思えました。
相手を刺激し、感情的にさせたところで逃げ出す――という手法は、まさに本作の内容に良くあった終わり方であります。反面、「もう少し先を読みたかった」「ブラックユーモア風の鋭く苦味のきいたオチを期待していた」といった要望が出てくることもあり得そうです。
いずれにせよ、個人的には非常に楽しめました。たいへん完成度の高い作品であったと思います。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:7)
- (内容点:技術点)良:良
少年と少女の初々しいやりとりと、何かの始まりを予感させる結末が清々しいお話でした。
個人的に、恋愛的な要素が物語の「核」として存在するお話は苦手なのですが、本作は恋愛小説でありつつ描写が控えめに抑えられており、その点が喉越しの良さのようなものに繋がっていたような気がします。
またそうした表現の抑制が、より高い年代の読者にも耐えうる幅の広さを生んでいたようにも思えております。題材やお話の流れなどは明らかに若者向きなのですが、工夫次第では対象とする読者層を広げることが出来るものなのかもれしれません。
今回の品評会においては、恋愛小説に分類される作品が多く見られた気がします。
そしてその多くで、若者同士の恋愛模様を極めて直接的に描写する手法が選択されておりました。そのことの是非は問えないものでありますが、この作品の存在はそうした流れに対する一種のアンチテーゼ(と言うと少し大げさに過ぎますが)として良い意味を持っていたのではないでしょうか。
本作を読了し、そのように感じております。
この作品は、男女関係の新たな局面を予感させる――その意味では王道的なお話になっていると思われます。
その事実が「歓迎すべきパターン」と受け入れられるか、「ありふれた展開」と見られるかは読者によって大いに見解が割れるところではないかと思います。
今回の品評会ではどちらが多勢を占めるか、いまから怖くもあり楽しみでもあるところです。
- 17 19140901 (採点:7)
- (内容点:技術点)可:優
舞台設定からの連想か、どこか文学的な香りのする作品であったように思います。
今日、ファンタジーといえば「指輪物語」や英国児童文学などから連想されるような、中世ヨーロッパの世界観を持ち込んだ“剣と魔法の物語”だとばかり解釈されがちです。
しかし本来、ファンタジーとは本作のような幻想的な雰囲気を持つ作品に対して、広く用いられていたジャンルなのではないでしょうか。
――さて、作品を拝読し、もっとも印象的であったのは突出した文章力でありました。
世界観の形勢から、それを支える情景描写、会話に至るまで高い技術力を感じさせる筆運びで、かつてこのような描写をされた文豪があったのではないか、と錯覚させられるほどでした。
反面、それは「どこかで誰かが著していそうな〜」といった受け止め方をされてしまう危惧を孕んでおり、その点において他の審査員の方々の反応が気がかりではあります。
これは筆力が高次元でまとまっている場合、時によって宿命的に生じるジレンマなのでしょう。
とはいえ、文章としての没個性は欠点ばかりではなく、時に美点ともなり得るもの。
私のごとき小心者の危惧が、単なる杞憂に終わることを祈ります。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:4)
- (内容点:技術点)可:可
命や生き方、運命といった古来からある哲学的テーマを扱いながら、いわゆるライトノベル風の文章でまとめてあったことが上手く働いたのか、非常に読みやすい作品に仕上がっていたと思います。
主人公の下に一種、超常的な存在が光臨し寿命について言及する――といったパターンの物語は多く、個人的にも幾つか心当たりがあるのですが、現れたのが死神ではなく天使であった、というのはいささか個性的な設定であったかもしれません。
とはいえ、主題をはじめ、文体、キャラクターの人格描写、世界観、物語の展開など、作品を構成する大部分の要素はこれ以上ないほど王道的なもので、その意味では大変に安心して読める作品であったように思います。
問題はその安心感を「刺激のなさ」というように解釈されてしまう場合ではないでしょうか。
本品評会においてはどちらの解釈が多勢を占めるか。今後、注目したいところであります。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:2)
- (内容点:技術点)−:可
タイトルどおり、一部の若い男性から大変な好評をもって迎えいれられているという「押しかけ女房」的な物語に仕上がっており、その面においてサービス精神とエンターテイメント性に満ちたお話であったように感じられました。
興味深いのは、本作に登場するサキュバスが少女の姿をとっており、しかも吸血するような描写があることです。
本来、サキュバスが男性と性的な交渉を持つのは「生殖細胞を手に入れるため」であると言われています。
そうして得た生殖細胞を男性版のサキュバス――すなわちインキュバスに渡し、インキュバスが人間の女性と交わって子を孕ませる、というのが伝統的なパターンであったと記憶しております。
近年においてはTVゲームなどの影響からか、活力やエネルギーを得るために異性と契るというような解釈が目立つようになって来ましたが、これはゲーム上においてはそのように表現しないと彼らの特性を上手く表現できないため――そしてヴァンパイアと混同されることがあったために生じた誤解である、と愚考する次第です。
こうした点を、本作においてはどのように解釈し、設定としてどのように昇華しているのか個人的には様々な想像を働かせ、楽しませていただきました。
ひとつ気がかりなのは、本作が恐らくは対象を男性に限定して制作されたであろうことです。
「今回の品評会の参加者は男性が多数を占めるであろう」という予測のもと、緻密な計算に基づいて方向性を定められたのだと思いますが、女性読者に当たった場合、どういった評価がなされるか――大変、興味をひかれるところです。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:6)
- (内容点:技術点)可:可
コミカルな語り口と主人公の微笑ましい言動がとても魅力的な作品でした。
個人的に関心を持ったのは、序盤における「憂鬱」という表現の乱用、ですます調の不統一などが、主人公の心理(心情)表現のひとつとして意図的に取り入れられた技法であるか否か、という問題です。
いずれにしても、この点が審査員諸兄にどのような形で受け入れられるかが、本作の位置を左右する一要素になるのではないか、と愚考します。
それから――本編のデキとは直接関係しないことで恐縮ですが――本作の紹介文は非常にユニークに思えるもので、私個人にとっては大変優位に働きました。最後にその事実をお知らせして、筆をおかせていただきます。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:6)
- (内容点:技術点)可:可
冒頭の一文や劇中に登場する固有名詞などでも強調されているように、一昔前の漫画の作風を意識されたのだと思わしき、大変コミカルな作品であったと思います。
漫画文化については浅学の身ですが、同じような演出によるコメディ漫画が実際にありそうな気がしてなりません。人物描写やストーリー展開なども含め、終始そうした感覚が強くありました。
また著者は、恐らく読者にそうした印象を抱かせるように計算をし、本作の世界観を構築されたのではないでしょうか。
ひとつ気がかりがあるとすれば、そうした世界観や作風、雰囲気を重視した読み物は受け入れられない時が非常に怖い、ということです。
好きな読者にはたまらないものがある反面、好まない読者からは辛めの評価が下される可能性があるためであります。
これは純然たる嗜好――つまり好みの問題ですので、作品の出来や水準とは別問題として解釈して良いものだとは思うのですが、老婆心ながら結果が気になるところです。
- 31 正義の味方の悩み (採点:6)
- (内容点:技術点)可:可
突然、「正義の味方」になることを宣言した少女――。
冒頭から引き付けられ、どのような結末が待ち受けているのか胸を躍らせながら読み進める、そんな素晴らしい作品でした。
初っ端の宣言から、常識や一般的な観念を超越した存在だと思われたヒロインが、実は分かりやすい動機からそれを行っていたことが判明するなど、展開としての意外性も良かったと思います。
とはいえ、ヒロインの破天荒さこそが本作を支える大きな柱の1つであることは疑う余地がありません。
――そんな彼女にとって最大の敵は、恐らく原稿枚数だったのではないでしょうか。
終盤に見られる怒涛の独白は、彼女の言葉に一種の迫力を持たせることに成功していますが、実際のところは文字数上限との死闘が生んだ結果だったようにも思えます。
最後に品評会における位置についてですが、これはやはりヒロインの受け入れられ方にかかってくるのでは、と愚考します。
破天荒なキャラクターは、常識からはもちろん、既存の物語に登場した数々のキャラクターと比較しても非常識であらねばならない。
そのような見解をもつ読者の前では、少し万里嬢は苦戦をしいられるかもしれません。
「あるいはヒロインや進行役の幼馴染、敵役の男子生徒たちにはモデルがあるのでは――?」と思わせるような既視感が私個人にあったため、そのように思えるのでしょう。
全てが私の錯覚や度の過ぎた危惧であることを祈ります。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:6)
- 子どもたちの微笑ましさに自然と頬がゆるんでくるような作品でした。
その年頃の少年がみせる活発さ、莫迦らしさ、無邪気さなどが良く表現されていたように感じられます。
また、反復などコメディとしての常道的技法が取り入れられていたことを考えれば、本作品は最初から「笑い」の要素を強く意識した物語として作られたのではないでしょうか。
とはいえ、決して「おかしさ」一辺倒なお話ではなく、ヒロイン的存在である少女を絡めたしんみりさせるシーンなども用意されており、その意味では様々な楽しみ方のできる作品に仕上がっていたようです。
反面、その多彩さがある種の読者に「中途半端さ」と結びつけて解釈される危険性を孕んだ作品ともいえるかもしれません。
笑わせるなら最後までそれをトコトン追及する。中盤から終盤にかけてのシリアスムードを大切にしたいのなら、笑わせる部分はあくまでワンポイント的なものとして存在感をおさえる。
そうしたサジ加減に関する見方がどのように点数に反映されるかで、本品評会での順位はダイナミックに変動してきそうな――そんな気がしております。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:7)
- (内容点:技術点)良:良
サイエンスフィクションの世界には、もともと優れた短編が――他のジャンルと比較して――多く見られるものだと個人的には考えているのですが、本作もその一例のように思われました。
半ば辺りから結末をほぼ正確に予測できるようなストーリー展開ではありましたが、その分、ユニークな空間接続のアイディア、最先端科学機器の意外な用途などディテールに意匠が凝らしてあり、最後まで楽しく拝読させていただきました。
空想科学的なアイディアやガジェットが作品と有機的に結びつき、かつコアとして自己を主張している創作物をサイエンスフィクションと便宜的に定義するならば、本作は私にとって紛れもなくSFであった、と考える次第です。
なんといっても、本作における超光速通信手段は――私の浅学もあってか――大変、新鮮なもののように思えました。
500年後、人体が通過できるようなそれに至った時の光景を思えば、胸が躍ります。
ところで、本作の最後に登場する「超長期コールドスリープ」システムですが、これは不確定性原理を応用した量子接続よりも実用化が困難な、技術的レベルの高いものなのでしょうか。
門外漢の勝手なイメージからすると、既に実用化に向けた研究が行われている「コールドスリープ」の方が超光速通信より幾分(あるいは数世代)早く実用化されそうだ、という期待を抱いていたのですが――
また500年という年月は、量子接続におけるゲートの物理的な拡張といった方向でしか進歩を約束できないものなのでしょうか。
この辺り、私のような無責任な立場からだと様々な方向性から様々な技術について、また恒星間航行船の観測方法、量子接続に必要なエネルギーの確保手段などについても想像を巡らせたくなります。
- 45 おかえり (採点:7)
- (内容点:技術点)良:良
幻想的かつ感動的なお話であったと思います。
確かにストーリーや結末そのものには、まさしく落花を髣髴とさせるような物悲しさがあります。ですが、主人公の一途さや前向きな姿勢が、読了感を非常に爽やかなものにしているように感じました。
本作は、技術的な観点――特に構成上の都合から多くの読者が結末やオチを前もって予測できるよう、計算されて制作されたのだと思います。
多くの場合、先の展開を読者に予感させることはマイナスの評価につながるのですが、本作はその稀有な例外であるのかもしれません。
その「読み」を作品のテーマと非常に上手く融合させているためです。
ある意味での悲劇を予感させる物語の展開は、我々がいずれ散ってしまう桜木に見る儚さと共通する何かを感じさせます。
上気したようなこととは別に、この作品を評価する上で大きな意味を持ってくるのが感情移入度であると考えます。
特に、ヒロインと桜の化身である少女との交流や友情にどれだけ入り込めるか。この点が非常に大きくものをいってくるのではないでしょうか。
この点、両者のふれあいに劇的な事件などがなかったことが災いし、読者の間でも見解が割れるようなことがあるかもしれません。
この問題をクリアすれば、本品評会において非常に高い位置を目指せる作品であると考える次第です。
- 57 エース (採点:8)
- (内容点:技術点)良:良
バスケットボールのスピード感、緊迫感、そして醍醐味。さらにそれに関わるプレイヤーたちの意識や一種の哲学、なにより交流。題材とテーマを明確に設定し、読者がそこになにを求めるかを理解した上で、ほとんど完璧に近い形でその要望に応えた作品であると思います。
恐らくは、同じようなテーマ、同じような分量(すなわち短編)で文章を書きなれている方の手によるものであると推察します。
さて、ここからは完全な憶測――というより妄想に近い話になりますがご容赦下さい。
作風から察しますに、著者は技術の向上に貪欲な方だと思われます。
しかしその向上とは、主として「書き手による書き手のためのもの」に特化されがちなのではないでしょうか。
本作に見られる圧倒的完成度の背景には、なにかエンターテイメント性の一部分を切って捨てることでしか得られない「潔さ」のようなものが感じられた気がします。
私個人には聞齧った程度ではありますが予備的な知識がありました。
そのため、本作を読み解くのに特別な努力はいらなかったのですが、まったくバスケットボールのルールや用語を知らない読者には、多少のそれが必要になるでしょう。
潔さは、恐らくその面での配慮を意図的に放棄した結果、生じたもののように思えます。
そのことが本品評会でどのように作用するか。個人的には大変、興味深いところです。
- 62 格闘少女 (採点:5)
- (内容点:技術点)可:可
非常に考えさせられるお話でした。
聞くところによると、古代の人類は多夫多妻制であったそうです。
しかし長く、深く、安定的に自分や家族を守るのならば、相手を一人に限定させ感情移入度を稼ぐほうが良い(合理的である)。
女性がそう判断したことにより、一夫一妻制の基礎が築かれた。
――嘘か誠か、そのような話を耳にしたことがございます。
「人を好きでありたい」という思いが即座に刹那的な恋愛感情に直結するあたりが、まさに16歳の若さといった感じもありますが、確かにこのような生き方もあるのでしょう。
医療や発達した文化を持たず、短命であったが故に一人の相手と深くふれ合うことを選び、現代にまで繋がる一夫一妻の精神を培った古代人。
短命であるがため恋愛遊戯に身を投じ、死に際の笑顔と引換えに、残った者には絆はおろか記憶さえ残せない少女。
人の生き様とはかくも多様なものか、と改めて思わされます。
- 63 未来視の見る夢 (採点:6)
- (内容点:技術点)良:可
「未来予知が公認されてた世界」というユニークな舞台設定を活かした、非常に個性的な作品であったと思います。
一文中に存在する情報量が多く、その意味でSFを髣髴とさせる文章には独特の味があり、またそれがひとつの演出効果として上手く機能していたのではないでしょうか。
現在と未来を交錯させながら――そしてもちろん両者に有機的な結びつきをもたせながら――進行していくという構成も面白く、物語に奥行きを与えていたように感じられました。
これらは間違いなく本作のもつ美点なのですが、読者の嗜好によっては必ずしもそう解釈されないかもしれません。個人的にはその点が非常に気がかりです。
ひとつの文章に多くの情報を詰め込むと、「読みにくい」といった印象を与えてしまう危険が生じてきますし、読者に作品としての「敷居の高さ」のようなものを感じさせてしまうことがあるかもしれません。
文章を短く区切り、なるべくシンプルな言葉を多用していくことでこうしたリスクは回避、あるいは軽減できるものですが、それは逆に本作の個性や世界観を少なからず損ねてしまう危険性を孕んでいます。
恐らく著者は全てを理解し、計算した上で本作のような技法を選択されたのだと愚考しますが、今回の品評会においてそれが吉と出れば上位に食い込むことも期待できる、そんな作品であったと思います
- 68 両手いっぱいの花を (採点:6)
- (内容点:技術点)可:可
ある意味で悲恋の物語であり、また悲劇であるはずなのですが、恋人たちの想い合いが全編通して強く感じられるせいか、重し苦しさのようなものが一切感じられなかったお話でした。
結局、ふたりは死を超越した場所で永遠に結ばれるわけですが、彼らにとってこれはベストとは言えないまでもベターな結末であったのかもしれません。
とはいえ、それは「添い遂げる」という言葉にどういった意味を持たせるかでも変わってくるものなのでしょう。「約束とは現世において生きているうちに果たすからこそ意味がある」と考える方もあると思われるためです。
劇中のふたりにとってはどうだったのでしょうか。生前交わされた約束が、天上世界で果たされる。彼らにとってそれが紛れもない幸福を意味することを祈るのみです。
さて、これは少し無粋な指摘になるかもしれませんが、本文を読み進めるうえで幾点か誤字脱字に類するようなミスを目にした気がします。もちろんこれらは些細なもので物語の進行を阻害するほどのものではありません。
ただ、話が短めであったがために印象として残りやすかっただけなのだろうと考えております。
- 70 アリス (採点:6)
- (内容点:技術点)可:可
個人的な話で恐縮ですが、普段選んで読む書籍のなかに本作「アリス」と似た傾向を持つ作品というものはなかなかありません。その意味において、この作品は非常に印象深いお話であったと思います。
ただ――これは私の浅学が全責任を負うべきことなのですが――、作中で何度か使用される「ロリータ」をはじめとした言葉に具体的なイメージを抱きにくく、結果として物語の醍醐味をきちんと理解できたかについては不安が残りました。
たいへん申し訳ない話であります。
問題は、私が極端な少数派であるか否かであるかと思います。
おそらく著者は「ロリータ」「フリフリでロリロリな」といった表記が即座に具体的なイメージと結びつく、そんな読者が本品評会で多数を占める――という計算のもと今回のような表現法を導入されたのだと愚考しますが、その思惑が外れた場合、私のような無理解が生じるおそれがあります。
それは別にしても、物語そのものは非常に興味深く楽しませていただけるものでした。
普段とはまったく違った側面を表に出していたとしても、あくまでそれは自分なのである。そうした主張を恋人に理解してもらうため奔走する少女というのは、見ていて微笑ましいものなのかもしれません。
……本作の彼女は、いささか極端な部類に属するのではありましょうが。
構成的には序盤から中盤へのながれと、用意された結末――いわゆるオチとの間に温度差が用意されており、これが意外性に繋がっているような気がしました。
この落差や温度差というものがどのように受け入れられるかは、読者の間でも大きく意見が割れそうなところであります。
- 74 魔女の岬 (採点:8)
- (内容点:技術点)良:良
余韻に浸ることのできる味わい深いお話であったと思います。
男は魔女に出会えるのか。彼の妻はそれによって生きながらえるのか――そうした興味関心をかきたて、読者を物語に引き込んでいく序盤。
もちろん、魔女の神秘性が上手にいかされた中盤から終盤にかけての展開も素晴らしく、作品としての完成度とそこから得られる感動をより高く大きなものにしています。
結びも非常にすばらしく、病床の妻とそれを描こうとする男の姿は、それそのものが絵画の題材となり得るような美しさを持っていたと思います。
ところで私は、主人公アルフレドを設定より幾分若く――20代か30代はじめくらいに――感じました。
恐らく劇中の設定では40半ば以降の男性となっているのでしょうが、感情表現の素直さや端々の細かな描写から、どこか若者をイメージしてしまったのだと考えております。
失礼ながら、著者ご自身の年齢に主人公が歩み寄ったような部分があるのかもしれません。
最後に技術的なお話を少しさせていただきます。
上記したことにも少し関連するのですが、今回の作品においては、男が妻の絵を描こうとしなかった動機や魔女から与えられた絶望、その他、主人公の心情が事細かに書き込まれています。
そのために文字数が肥大化し、結果的に規定文字数ギリギリの勝負をする展開になったのではないでしょうか。
心理描写の技法には大きくふた通りが存在します。ひとつはこの作品で用いられた「一から十までを書ききる」方法。そしてもうひとつは「必要な情報や背景のみを書き出し、心情そのものは読者の想像に任せる」方法です。
動作や場の空気、(やりとりの)間などで人間の心理を描写するのは極めて高等な技術ですが、こちらに挑戦してみると、また違った味わいを持った作品が出来上がったかもしれません。出過ぎた物言いになりますが、個人的にはそのようにも感じられました。
- 78 君が星を手にするとき (採点:7)
- (内容点:技術点)可:良
様々な意味合いにおいて「らしさ」というものが良く表現されていた作品であったように思います。
どちらかといえば語り手である主人公より、その息子である飛行士の方に年齢が近しい方の手によるものなのだと推測しますが、その面においても大変結構な描写がなされていました。
たとえば30歳の方が4、50代の人間を詳しく書こうとすると、どうしても自分の実年齢に引かれて若い人間描写になってしまいがちです。
主人公の男性は50歳前後という年齢設定だと勝手に考えたのですが、もしそうだとするならば、その年代の男がきちんと表現されていたのではないか、というのが私の持った印象です。
本品評会における評価の話になりますが、これに関しては予測が難しいところです。
本作は、落ち着きある味わいの深さが魅力としてあるわけですが、物語に手に汗握る緊張感や分かりやすい刺激、ダイナミックな展開などを求める読者が審査にまわった場合、多少の不利を覚悟しなくてはならないかもしれません。
そうした読者がどの程度の割合を占めるか。彼らが自らの嗜好とどのように折り合いをつけるかによって、本作の位置は大きく変わってくる可能性があるように思えます。
- 79 奥の細道 (採点:4)
- (内容点:技術点)−:可
どこか絵画的、それも抽象画に近いものが感じられた作品でした。
ピカソの抽象画が、理解できない者には幼児のラクガキに等しく見えるように、本作も著者の思惑にのらないかぎり脈略のないモザイクのような小説にしか映らないのではないでしょうか。
ただ、抽象画の場合は一目見ればそれであることがすぐに判明します。そして、それに即した見方を最初からさせることができるのです。
反面、小説の場合はそうした作風の宣言が難しくあります。本作の場合もそうで、途中まで読み進めなければ、暗喩を多用した暗号解読をさせるような物語であることがハッキリとは分かりません。
つまり、気づいた時点ですでに導入部に秘められた情報を見逃している可能性があり、多くの場合、読者に再読を強要するような造りとなっているわけです。
では、本作「奥の細道」は再読して全てを読み取ろう、と思わせるほど魅力的な作品でありうるか。
この点に関しては読者によって大きく意見が分かれてきそうです。
近年、脳の活性度を知ろうという試みが流行しており、様々な種類の「間違い探し」や無造作に並べられたように見える点の集合体から「浮き上がって見える絵」の発見などが人気を集めています。
ある意味この「奥の細道」は、そうした発見を喜ぶ種の遊びを提供しているのでしょう。いちはやく隠されたものに気づいた読者は、それが何か優れたことのように感じ、気分を高揚させる。他人にそのことを自慢したくなる――。
それは試みとして非常に面白くはあるのですが、この作品は題材が題材であるだけに読者の反応も割れてくるかと思われます。
煙草という小道具が登場人物が見せる幼さと不似合いである点。近親相姦や火事、人の死を強く匂わせる描写。結局はほとんど展開しない物語など、クイズを解いたときに得られる純粋な達成感や快感にはぞくわない演出効果が多用されているため、娯楽としてはどこかアンバランスな感じを受ける者も多くありそうです。
もちろんそうした不快感や不気味さを煽るような描写は意図的に行われており、構成要素をアンバランスに配置することもまた計算されてなされているのですが、それらは当然ながら読者を極端に選ぶ作風に繋がっていると考えられます。
また、本作は宿命的に「著者自身が本作をもっとも楽しめる読者」であらざるを得ません。そうした点が「書き手の一人遊び」といった印象と結びつく危険性も心配されます。
○最中 さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:3)
- いわゆるセカイ系(あんまり使いたくないですけど)のような作り。
なにかしらの寓意が含まれているのでしょうか……ちょっと読みとれませんでした。
帯に記された『絵本のような』の言葉ではないですが、『背中の羽根を一枚むしると〜』の文章を読んだとき、「絵が欲しいなあ」と思ってしまいました。
その前に背格好を描写する場面があるのですから、特徴的なその部分はその時や少なくとも前述の文章より前に描写した方がよろしいのではないのでしょうか。
絵本を意識した為にこのような文章になったとは思いますが……。
この手の躓きを減らしていくともっとよくなるんじゃないかなとは思いました。
- 02 黒船 (採点:6)
- あ、おもしろ。ほとんど会話だー。
落語みたいな作りですけど、こういうものを文章として読んだことがないのでなんか新鮮でした。
前半のご隠居と平助の掛け合いは若干テンポ悪いかなと思った所もあったんですけど、それ以降はさくさくと読んでいけました。
お後がよろしかったです。失礼しました。
- 03 遵守 (採点:7)
- 日本の戦争モノの王道のような話を使いつつも、その実変則的な、変わった話ですねえ。
面白いですけど、オチに行くまで随分回りくどいなあと思ったのも事実です。二転三転。
それでもラストがよかったので、楽しく読めたなあという気にはさせて貰えました。
高階の能力の妙な不完全さがいいのか悪いのかちょっと判断付かないです。
人間らしいのか、都合がよいのか。
正直、魔法使いぽくはないですけど、時代性を考えるとこの言葉しかなかったのでしょうか。
自分を女だと思い込ませて一体どうするつもりなんだろう(笑)
発想が面白いなあ。
- 04 海神の矛 (採点:4)
- 背景や目的の情報が少なく、またそれがかなり後手に回ったためか物語の筋が分かりづらかったです。
構成や情報の出し方が読み手に優しくなかったように感じました。
もう少しなんとかならなかったかなあと思います。
あんまり明るくない分野の話だったということも多分あるんでしょうけどね。
読者としての知識が不足しているのかもしれません……すみません。
- 05 理屈じゃないこと (採点:3)
- 他の作品に似ている云々は置いておいても、やっぱり登場人物に既存キャラの幻影がちらつきますね。
たまたま参加者さんに知っている人が多いのもあり、そこは運が悪かったのかもしれませんね。
俺はあんまり気にしないですけど、やっぱり新鮮味があった方が嬉しいのも確かです。
ストーリーもそんなに目新しさはなく、ラストはちょっと唐突。
こう落とすならもう少し雰囲気を作るとか、キメキメのシーンとか作ってもらえた方が嬉しいです。
いきなりがくん!と落とす意図があったのかもしれないですけど、ちょっと違和感。
思い出話は流れがちょっとわかりにくいかも。
もっと整理していけるような気がします。
>>でん、と座っていたのだ。
この一文だけで「美弥子さんぽっちゃり系!」と思ったのは俺だけでしょうか(笑)
- 06 For tune the rainbow (採点:4)
- んー、苦しい。
全般的に言えることなのかもしれないんですけど、登場人物が亡くなる話をこの容量で、っていうのは相当上手くやらないと厳しいんだなと思いました。
あんまり感情移入が出来ませんでした。女の人だからどうこうじゃなく。
文章が特に悪いということでもないので、登場人物の魅力の問題かなあ。
多少書き割り的には感じたのですが。
ううん、あんまり印象に残らないお話でした。すみません。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:3)
- あぁ、既視感が……すみません。
これが目新しい人も勿論いらっしゃるのでしょうけど、なにか新しい刺激があったなら……! そこは非常に残念です。
平和は争いの第一段階なのね、悲し。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:7)
- タイトルだけ見た時は「ナンバガシリーズ?」と思ったのですが、いやいやとんでもない。
正直、難解で最後まで分かった気になれませんでした。
これ、どうやって書いているんだろう。作者さんの創作スタイルが非常に気になる作品です。
ただこれ自体は、あんまり手元に置いておいても仕方のない作品だなあと思います。
楽しみ方が分かりやすいというのは好感持てますけど、元々そんなに理解したい願望がないんすよね(笑)
なんらかの答えがあるのだとしたら、それと一緒にならもっと評価できそうです。
今回はみなさんの解説が色々な所でありましたから、それでようやく楽しめた、という気がします。
一人だったら、ふうん、と流したまま忘れてしまいそうです(苦笑)
そんな訳でして、評価はあくまでこれを書ききることができる作者さんの力量のみというスタンスにならざるをえません。
点数を付けるとなると、扱いに少々困ったりします。
ただまあ、ここで手を拱いているような作家さんじゃねぇだろう、と思います(笑)
これからの期待も込めて点数を付けました。
例えばこれが何かの文学賞だとしたら、『適当な賞でっち上げて囲い込む』みたいな感じですかね。
- 09 テロリスト長沢 (採点:5)
- 妙に行動的なのが迷惑でもあり、光明でもありますよね。
古谷実の絵が浮かびました。僕系より俺系みたいな。ちょっと違うかな。
文章として読む分には楽しめる気が致します。
決して気持ちのいいものではないですけどね(笑)
- 10 いろはの森 (採点:6)
- 帯と本文を合わせたとしても、ちょっと説明不足かなと思いました。
読者の力量頼りな面があると申しますか。
それほど無理を強いるものではないですけど。
それと朔と桐絵の会話だけ世界観にそぐわないというか、浮いているなあと思ってしまいました(近未来ノスタルジック〜なので時代がどうこう言うのも変な話なんですが)。
他が合わせているからなのでしょうか、そんな風に感じました。
文章は好きです。言い伝えの言葉、綺麗ですね。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:4)
- なんだろう。意図的に回りくどく書いているのかなあ。
ちょっと流れがわかりにくいなあと思いました。
あっちに行ったりこっちに行ったり。
わりと素直なストーリーですし、この話ならもう少し短くしてしまってもよかったのかも。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:5)
- 前半の展開が早すぎると思いました。
1と2の間か、2自体にもう少しエピソードがあった方が優しい気がします。
いきなりのあの会話はちょっと難しそうですし、あの時点ではまだ相手に気づいていないと思いますし……。
あぁ、それともなんとなく分かってたとかかなあ。
描写、なかったとは思うんですけど。
それか容量の問題で省かざるを得なかったとか。
読者の想像力に任せたとか。
……ううん、自信なし。
それ以降は自然に流れていっただけにちょっと気になります。
あとどんなにささやかでもいいので、もっと早い段階に今置かれている場所の情報が欲しい気がします。
>>「まいったなぁ……」
の台詞の前後辺りにあるのですが、ちょっと遅いような。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:4)
- ううん、難儀な話だなあ。
その場その場でどうなのよ?ということを意識出来るっていうのは逆に羨ましいですけど。
分かった気になると面白い話ではあります。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:4)
- やっぱり前半が苦しい気がします。
もっと容量があればうまく物語に埋め込むことも可能なのでしょうが、この尺だと如何せん苦しい。
いや前半は本当に長く感じました……もっとバランスが取れていたら。
設定は面白くもあり、いかがわしくもある微妙な線。
もう少し上手くやれそうな気もします。
元人間の主人公はああいう知識をどうやって得たんだろう……ちょっと気になります。
視点が切り替わる所はどう判断していいか微妙な所なんですが……。
正直、一人称の切り替わりは好きじゃないですけど、これは上手くやっているなあと思いました。
タイトルを挿入する部分は「ありがとう さよなら」が別になってしまった分、台詞の重みがズレてしまったように思うんですが、どうなんでしょう。
あれも同じくらい重要な部分のようなので差を付けない方がよかったんじゃないかなあ……。
タイトルタグで文字が大きくなってしまうのでそんなことを思いました。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:5)
- 途中に入る短いエピソードが流れを阻害しているような。
スラッシュ頼りぽいんですけど、ちょっと厳しい気がします。
切れ目が分かりにくい。
それ以外はよく纏まっていると思います。
似てる似てると言われるあれですけど、俺もやっぱり似てるなあと思ったということだけ書き残しておきます。
あ、タイトルは……他の方が触れてますよね。きっと。
- 16 さくら (採点:5)
- ん、背景がよくわからないです。それだけの話なのかな。
最後の二行が素敵ですね。センスを感じます。
あと、これは褒め言葉になるのかよく分かりませんが、やっぱり読んで気持ちのいいものじゃなかったですねー。
>>「どうしても手伝ったほしいの」
誤字っぽい? 見つけたので一応。
台詞は特に躓く原因になるので気を付けたいです。
評価には関係ありません。俺もよくやります(笑)
それにしても『髪の綺麗な彼女』で抱く印象は人それぞれなんだろうなー。
- 17 19140901 (採点:7)
- あ、面白い。純粋にのめり込んで読むことができました。
普段あんまり読まない種類の物語ですので、やっぱりこの作者さんは上手いのだと思います。
拍手ー。
ラストは遂に確信めいた答えはでませんでした。
ただ合わせただけなのか……ううん。
『月が明け〜』の手前で終わっていたとしても俺は満足です。
そのくらいラス前までの流れはよかったと思います。
解説があったらぜひ読みたいですねー。
- 18 生命 (採点:8)
- おもしろっ。読み終わるまであっという間でした。
一見無駄の多い文章に見えるんですけど、なぜだかとってもスタイリッシュ!
情報の出し方が上手いのかなと思いました。
ちょっと参考にしつつ真似したい文章です。
二つ目のタイトルの手前にある段落だけ流れが澱んだ気がしましたけど、ほとんど躓くことなく読み進められました。
最後のシーンも綺麗だなあ。
タイトルの複数入れはどのような効果を狙ったのでしょうか。
よかったらお聞かせ下さいませ。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:5)
- あんまり上手さというか、書き慣れている感じは受けなかったんですけど、無難に纏めているなあという印象です。
これから独自性が出てくるともっと良くなっていくのかなと思います。
二重カギカッコやダブルコーテーション(名称曖昧……)などの記号は多用しない方がよろしいかもですね。
- 20 今日見る明日 (採点:5)
- あ、うん。
すぐに消費されてしまいそうなお話でしたけど、よろしいんじゃないでしょうか。
少なくてもこの濃ゆい面子の中では癒し系の部類でした。
さらっと読めますし。好感度はけっこう高いすよ。
- 21 雪国 (採点:6)
- あぁ、結構後引きそうな話だなあ。
夜に読みたい話です。
それか深夜にドラマかなんかで見たい。
あれなんだったんだろうなあと考えながら眠りにつきたいです。
朝には忘れてるんだろうけど、それでいいような、そんな話。
掌編というよりプロモぽいすね。レディヘとか。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:3)
- ううん、もっと長いお話の、プロローグ的な話でしたね。
ヒロイン、けっこうキャラ立ってます。
初めて書いたそうですが、それにしてはよく書けてます。
自分の最初のやつとか、思い出したくないっすねあんまり(笑)
あ、No.014と少し似てましたよね。
このネタ流行っているのだろうか……。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:5)
- あはは、ちょっと面白い。
着地点をずらしたことによる意外性は出てます。
ただまあ、これで現状回復となりますか否か。『系』ですしね。
これどうなのよ? とも思いますけど、こういうキャラ作りをしたんだなと考えれば頷くこともできますし。
……やっぱりこの後でまたうだうだ考えそうな気がするなあ(笑)
がんばれがんばれ。
- 24 結婚適文句 (採点:8)
- やっば、おもしろっ。全作品の中で唯一感情が表に出た作品でありました。
最初の三行には満点あげます。登場人物が憎めないし、生き生きしてる。
綾子も智子も奈緒子もジョナサンも、ラーメンさえも愛してる。
おやっさんのつっこみはなんであんなに律儀なんだろう。
笑いに波があるとか、あんまりタイトルキマってないとか、気になる部分もあるものの、この作品にはぜひ上位でふんぞり返っていて頂きたい。
よかったです。
- 25 マージアここに在り (採点:4)
- 物語の流れにぎこちなさというか、都合の良さを感じてしまいました。
ナイフの刺さるシーンは息を飲むというよりも若干シュールに。
チャーリー……。
やはり容量の問題なのでしょうか……。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:5)
- 今回電車ネタは難解ですね(笑)
情景の破綻具合は物足りなかったですけど、会話はけっこう面白かったです。
作者さんは何かを伝えようか伝えまいか、迷ったりしたのでしょうか。
なかなか難しいですよね。
>>一番好きな人と、一番嫌いな人と、手をつなぐためにあるんだ。
好きな文章。
余りそうですけど……。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:4)
- なんとなく「○の○○になってください」ネタだ、と思っていた所へまさにその台詞がきたのでちょっと嬉しかったです(笑)
時期的に、このネタは今が一番厳しいのかもしれない……。
そんなことを思いました。
ドSの気持ちはよくわかりますよ、ええ。
- 28 Forest Note (採点:5)
- ん、No.025と似てますね。
あまり説明を加えない方針なのか、世界観などわかりにくい感じを受けました。
雰囲気は好きです。
ヒロインの記憶は何かの伏線かとも思ったんですが、違ったようで。
匂わせるためだけものだったのかな……。
「ごめんなさい」からの展開はちょっと駆け足に感じました。
容量には余裕があったようですし、もう少しバランスを取っても良かったんじゃないかなと思いました。
- 29 Blind (採点:3)
- ふぅむ。テーマはけっこうよかった気がするんですけど、何故か滑稽というか、緊張感ないなーと(苦笑)
もう少し雰囲気かっちり作って欲しかったです。
>>「ここはラブホテルさ」
キャラの台詞で状況説明っていうのはあんまりやらない方がよろしいかと思います。
特にこういう使われ方は躓きを誘発しそうな気がします。
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:4)
- 惹かれる部分もあるものの、整合性がなさげな部分もあり……。
既視感のある不幸が数多く投入されているんですけど、ちょっと仇になっている所もありそうな。
水商売と虐待も親和性低そうだし……。
>>「私は、限りなき夏を探さなければいけない」
>>でもそれは、私や凍夏の求めている夏とは違う、汚らしい現実の夏であるはずなのに。
など、文章はきらりと光る箇所が確かにありました。
ここのシーンはかなり好きです。
その分ラストはちょっと物足りなかった気がします。
- 31 正義の味方の悩み (採点:5)
- あ、ちょっといい話。
登場人物少し幼いかなと思ったんです。テンプレぽいし。
でも万里とかいいやつじゃないか。ともかく行動するやつは偉いんすよ。
温度ぬるめだけど、好感度は高し。最後はもしかしたら余計かも。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:6)
- うーん、登場人物多いな!
途中戻ったりしながら読み進めました。
読む方としてはそれだけで上手く流れに乗れていないような感じを受けてしまいます。
あと後半「〜泣いた」で締める部分が二度続くんですが、それはあまり良くない気がしました。
意味は全然違いますけどね(笑)
物語はちょっといい話。
漫画の(絵があった)方が向いているのかもしれません。
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:3)
- なんというか、こういうぎゃるげーありそうすね。
恐らく目指したのはそっちの方向だと思うので、そういう意味じゃよく書けているような気がします。
私リカちゃんてホント懐かしいな……(笑)
しかしながら何番煎じと申しますか、あんまり新鮮味がないのは高評価しづらいです。ありがちなのが悪いという意味ではないです。
なんらかの独自性が見えたらよかったんじゃないかなあと思います。
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:4)
- うーん、展開の早さに置き去りにされてしまった模様。
驚きと言うより呆然と眺めてしまった自分がいます。
トリック自体は面白いと思うんですけど、なにが悪かったんだろう……。
容量も割とギリギリなんですよね……。
アンドロイドは……やっぱり気づかれないですかねえ。
そこはやっぱり微妙な気がしました。
- 35 西と東、白と黒 (採点:3)
- なんだろう。区別をする前に、東の国と西の国に白と黒ほどの明瞭で明確な差を感じなかったんですけど……あれ、ズレたこと言ってますか?(苦笑)
二項がそれほどうまく対立していないような。
そういうものだよなと思い、がつん! ときませんでした……。
- 36 ソラアイ (採点:2)
- これはちょっと厳しいなあ……。
登場人物の感情の流れがあんまり分かんない……。
最初から堕ろさせる気がないのなら、そんな簡単に軽はずみなこと言わないでよう!(笑)
しかも相手は六歳の女の子……ど、動転しているのか主人公……。
分からない……。
最後は雰囲気軽くなっていい話ぽく締めているんですが、それも何か違和感がありました……。
すみません……。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:6)
- こ、声で分かんないのかなあ(笑)
最終的に変な苦笑いの残る作品でした。
志は買います(笑)
おもしろい。
- 38 山田仁の行き先 (採点:7)
- あ、いい話だ。うまく纏まっているし。
連載に向いていそうな話ですよね。
山田仁シリーズ。日本旅情編。
もっと長い話の、ひとつのエピソードという感じ。
これだけで終わらせてしまうと深みが足りない気もします。
>>いきなり幽霊に出会った人と〜
結構いい勝負なんじゃないかなあ(笑)
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:6)
- あはは、わっるい教育テレビだなあ! 映像化して下さい。見ます。
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:4)
- 前半と後半が剥離しているように思います。
友人との話が軸になると思いきや、中盤の伏線を元に殆ど別の話に。
更にエピローグの急展開には一瞬何が起こったのか分からず読み直しました(笑)
構成が複雑というか、尺が足りないというか……。
エピローグだけを鑑みると、もっと上手くオチそうな話なのに……不思議。
あ、関西の方ですか?>ミンチカツ
- 41 No River to Cross (採点:6)
- 雰囲気は好きでした。あれ、ソラリーボードっていうんですね。初耳。
『ザ・ベストテン』の例えはどこまで通用するのか……ちょっと謎です。
ノルウェイの森は読んでいるんですけど、あまり覚えていないのかオマージュに関してはよく分かりませんでした。最初の部分で触れられていたりはするんですが……雰囲気や『あなたがそうしたいのなら〜』の文章など、ぽいなあと感じる部分はありました。
- 42 焚火 (採点:5)
- 短い中にもやるせない雰囲気がよく出ていると思います。
ただ、やはりこれは物語よりも一場面という感じを受けます。
ある意味、短いからこそ余計にやるせなさが出ているのかもしれませんけど、もっと書いてあげて欲しいなあと思いました。
あ、傘のエピソード、面白かったです。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:4)
- 終止どんよりとしたものが物語に漂っていましたね。
そういう意味じゃよく書けているのかもしれません。
ただ、最後、踏み出そうとしている様子は伺えるのですが、思ったより好転していないような気がします……。
し、主人公もうちょっと気張ってくれい……お願い。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:9)
- うわ、なんだこれ。無茶苦茶よかったです。
最初、ちょっと都合のいい話かなあと思ったりしたんですが、そんなことは吹き飛ばすような展開。素敵だ。
読めてよかったです。作者さんありがとうございました。
あ、カッコを使った読み仮名だけはなんとかなればいいなあと思いました。
振り仮名が振れればよかったですけどねー。
- 45 おかえり (採点:7)
- 視点がコロコロと変わるので分かりにくかったです。
フォントを変えて工夫は見られるのですが……三人称だと容量的に厳しかったのでしょうか。
>>「あなたの言う通り、私はこの桜です」
>>「え?」
>>私に声をかけてくれた彼女は、初めて戸惑ったように口をぽかんと開けた。
一年生の時のシーンならまだしも、設定的にこの辺の描写はちょっとずるい気がしました(笑)
それにしても、残酷な話だなあと思います。
今回でいうなら同じ桜ネタとしてNo.016を引き合いに出しますが、分かりやすく残酷さを描いたあの話より、こちらの方がよっぽど残酷な話だと感じてしまうというのはホント物語の面白い所ですよね。
もー二年間の想像力とか、欲しくねっすよ。泣きそう(笑)
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:6)
- 凄く惹かれるものがありました。
でもそれが形にならないまま終わってしまいまったという印象です。
容量を見るともう少し書けそうなんですけど、この話には一歩間違えると無粋になりそうですし、これでよかったのかな、とも思います。
タイトル。
どこかで見たことがあるなあと思ってずっと考えていたんですが、思い出しました。
金城一紀のレヴォリューションNo.3。全然関係なかったです(笑)
- 47 ポテト (採点:7)
- 導入部。
ポテチを頼んだのが誰なのか随分先まで分からなくて不親切だなあと思いました。
情報の出し方をもっと上手くやって欲しかったです。
それ以降、特に中盤とラストは凄く良かったです。好き。
テレビ云々の話とか雪の話とか興味深く拝見致しました。
手紙の話はどう判断していいか戸惑いましたけど、これは俺が無知だからですね。
決して傑作という話ではないですが、今回の佳作の中ではこれを一番に挙げたいです。
帯も洒落てました。
- 48 タクシー (採点:3)
- ちょっと途中から先が読めたかな、と。
文章より映像にした方が映えるかなと思ったりしました。
あと、これはあんまり褒め言葉にならないかもしれませんが、引用文が面白かったです。
- 49 バレンタイン事変 (採点:5)
- あんまり褒め言葉と捉えられないかもしれませんけど、普通に面白かったです。
ただまあ、やっぱり79本の中だと印象に残りにくい気はします。
「ゆっこって山下?」は二回はしつこいと思います(笑)
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:6)
- やっぱり2月30日の扱い方が不味かったように思います。
明確にしてしまった上に必要性があまり感じられないとなると厳しい気がします。
読み応えがあるし、上手く纏まっていたんですけどねー。
あと「にぱっ」は連続して使うには少々魅力が足りない気もしました。
タイトル、ちょっと懐かしいものを感じました。
っと、個人的な話っす(笑) すみません。
- 51 夏の風 (採点:5)
- 帯に偽りなし。なんというか、微笑ましい話ですね(笑)
それだけといえばそれだけなんですが、いや、いいんじゃないでしょうか、癒し系ということで。
点数は甘めに付けておきます(笑)
- 52 豚 (採点:6)
- うん、気持ちの良くない話だ(笑)
彼女達を取り巻く背景は色々考えさせられました。
最後の一語は思ったより爽快感がなかったです。
あと特筆すべきは段落の作り方、改行の仕方かなーと思いました。
文章が上手いとはまたちょっと違うのかもしれませんけど、読みやすかったです。
物語が暗い反面、こういう所は読者に優しかったと思います(笑)
点数、低いかなあとも思うんですが、すみません。
高評価がしづらいというより高い点数が付けづらい……話的に。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:6)
- お話として上手くできていました。
ちょっと帯と本文が剥離しているように感じます。
ひょっとしたら帯で本文を補助しようとして、あんまり上手く行かなかったのかもしれません。
主人公と娘の交流は目に見える形ではあまり描かれていなかったようですし。
そのせいなのか分かりませんが、正直あまり響くものはありませんでした。
ラストなんて綺麗なんですけどね。タイトルもいいし。
- 55 饗宴 (採点:7)
- うわ、凄え。読むのに一番時間のかかった作品でありました。
言葉が難しいんですけど、それを除けば意外と読みやすかったです。
そんなに変わったことはやっていないように思いました。
浮かぶ情景が綺麗で、ゆっくり読み進めた分、この世界をおそるおそる進んでいるような気持ちになれました。視点がムシに引き継がれる前までは特にそんな感じを受けます。
言葉使い師よ、終わる世界の後で新たに始まる世界を紡げ、みたいな感じなんでしょうか。
正直、疲れましたが、楽しませてもらいました。
時間がない人泣かせな気はしますけれど(笑)
帯はネガティブに捉えてしまう人もいるかもですね。
- 56 Show must go on. (採点:5)
- 見事に騙されました!
グラスの数とかね、気づくべきだったんだよ……お見事(笑)
種明かしの部分があっさりしすぎる気もしますけど、経過した年月とか考えると仕方ないかなとも思います。
ラス前は確かにじぃんとくるものがあったような気がしました。
例え数人だとしても、10年後にきちんと集まれているっていうことだけでもう素敵な話なのかもしれないなあ。現実は難しい……。
あ、帯いいですね。上手い。
- 57 エース (採点:6)
- 少年誌の読み切り漫画みたいですね。
物語も文章も素直で読みやすかったです。
擦れてない話がこんなにも貴重だなんて(笑)
爽やか癒し系。
- 58 飽くなき赤色 (採点:3)
- >>それから、五日が経ちました……。
を含む三行だけが何故か丁寧語になっているんですが、何か意図があったのでしょうか。
ここだけが妙に浮いているような気がしました。
物語自体はあまり深く考えず、こういう話なんだろうなあと。
特に理由はないのでしょうから、起きたことをそのまま受け止めました。
- 59 Day after tomorrow (採点:4)
- ん、書かないのかあ。どうなんだろう。
まあ理由がなんであれ、これ自体は意外とリアルなのかもしれない、とも思ったり。
自分の力で平穏を作ろうとするとけっこう大変なんすよね。
ただ、書かないのは俺は別にいいんですけど、読み手に考えさせようという気を起こさせる何かっていうのはやっぱり必要だと思うんですよね。
作者さんはそれなりに考えていらっしゃるのだと思いますけど、そのへん読み手さんとの温度差がありそうな。
ええと。
ありがちなガジェットで勝負した僕らに乾杯!(笑)
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:6)
- あ、これ結構好きです。日常に起きた小さな事件、みたいな。
完全にイメージが援助交際の方に向く俺は擦れているのでしょうか。
いや、よく考えたらおかしいんですけど、一言も挙がらない所にショックを受けました。あはは。
奈緒美さんがよかったです。今回妹ばかりだったこともあり(笑)
- 61 山小屋語り (採点:6)
- >そうじゃな、私が初めて男とまぐわったのは、忘れもせん、十六を数えた冬の日じゃ。
正直、吹きました。一体なんの顛末を話すつもりなんだ!(笑)
途中何度か話が脇道へ逸れていくことが多かったんですが、意図的だったのでしょうか。
それと『友達の家』という単語に凄く違和感がありました。どうしてだろう。
あまり時代性にそぐわないと申しますか。
帯はよかったです。
一歩間違えると悲惨そうですけど、これは成功例かと。拍手。
ただまあこれしょうがないんすけど俺がまた好きなんすよね! 純愛(笑)
多分、飽きる飽きないじゃないんすよ!(笑)
ホントすんません。マジすんません。
- 62 格闘少女 (採点:2)
- >「早過ぎですよ、それ」
思わずつっこんじゃいましたか! いやそれは実際なかなか難しくないすか……(笑)
登場人物がハリボテすぎたような気がするんですが、どうでしょうか。100人とか。
流石にもう少しいろいろありそうじゃないですか。そこが薄いかなあ、と。
色々と想像を巡らせてしまいます……。
- 63 未来視の見る夢 (採点:8)
- はは、馬鹿さ加減が身に染みますけれど……ぐすん。
遺伝子と機能が特定されるとどうなるのかということを分かりやすく示してしまうと陳腐になってしまうのでしょうか。
勿論どうなるのかは読めば何となく分かりますが、もっと優しさが欲しいと思ったのも事実です。
設定の緻密さ云々にはあまり評価を下すことが出来ませんでした。例え間違っている箇所があったとしてもそれを判断するものが自分の中にないので……。もっともらしければそれで満足な人です。
勿論、満足でした(笑)
後はやっぱり帯ですよね。見た瞬間は衝撃を受けるんですけど、読み返して冷静に考えてみるととってつけたような感じも受けます。
帯で示唆されているが故に、救いのないものだった未来が変わるさまを見てみたい、と思う人は少なくないと思うんですけどどうでしょうか。
それともそれは蛇足かなあ。迷います。
もっと容量があったらどうなっていたんでしょう。
作者さんはどこまで考えていらしたのでしょうか。
気になります。
- 64 ブランコ (採点:4)
- 世界が変わるとまで仰々しいことまでは思いませんけれど、確かにブランコはいいものです。そこはよかった。
やはり容量のせいか物語と言うより一場面という感じですね。
笑わせ所はむらがあり少し外れ気味。
全体的に若干物足りず、といった所(他の少容量作品と比べても)。
「・・・」よりも「……」の方がいいと思います。
- 65 金曜日のつめきり (採点:8)
- うわ、この手の雰囲気を持つ短編はこう書くのか、と。
自戒も込め、参考にしたい作品でした。
波が少ない分、展開が早くて軽妙。
文章は一見スカスカに見えるんですが、必要な情報はきっちり出してくる。
更に絶妙な文圧の強弱。7とかめためた好きです。
ものさしのくだりは少し既視感というか、ありがちかなとは思ったんですけど。
いや、読めてよかったです。
肩に力が入りすぎてもいけないのね。バランス大事。
反省しよ……。作者さん、ありがとうございました。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:5)
- 単純にちょっと話が分かりにくかったです。
結局、撃鉄を下ろすということは主人公が彼女の背中を押してしまった(と考えている)ということなのでしょうか。
彼女の描写が少なくて、主人公の感傷が多い分、ちょっと穿った見方をしてしまいそうです。
ただまあ、終盤の展開には少々退屈な物語運びが必要だったのかもしれませんけどね。
あの急落は決して嫌いじゃなかったです。
- 67 世界一の小説 (採点:6)
- 小説の中身を提示しただけでありきたりの仲間入りを果たしてしまったような。
なんとか隠して欲しかったです。
>>世間にはだれ一人、その最高のレベルを理解できる者がいなかったのだ。
それって実は凄くないですか?(笑)
それができるなら意外とゴールは近いんじゃないかと思いました。
頑張ってもらいたい。
身につまされるかどうかは判断に窮するところです。
- 68 両手いっぱいの花を (採点:3)
- あれ。ひょっとして皮肉が込めてありますか? 帯とか。
素直に感動ものとして捉えていいのか迷ってしまいました。
息を引き取る場面は唐突というか、展開早いなと思いました。
ただ、容量を見るとかなり使っていますし、仕方ない所なんですかね。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:7)
- おにんにんおっきしなかった……別に勝ちたくなかったのに……。
次はぜひ負かせて欲しいなと思います。
凄えシュールで面白かったです。
無駄に謎解きのような形を取っているのがまた。
でも思った以上に非道な話だ……(笑)
- 70 アリス (採点:7)
- メールの内容は謎のままなんですね……いいのか悪いのか。ううん。
やっぱりみなさん言われているようにラストというか、締めが今ひとつだなあと思いました。
「ぶっちゃって、ごめんね」の前まではよかったような気がするんですけど。
小道具はちょっとコテすぎます。なんとかして欲しかったです。
あと、これロリイタものとして読んじゃダメだなあと思ったりしました。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:5)
- ぐだぐたな雰囲気がけっこう好きです。
遠くの国で人が死んでも気にしませんみたいな。
そういうとこありますよね。
最初読んだ時は何故かえっらいぶっ飛んでるなあと思いました。
というか、未だにあんまり分かった気がしない作品でした(笑)
- 72 月時雨 (採点:4)
- 導入部だけ文体が感じが違う感じを受けるんですが、意図があってのことなんでしょうか。
難解な文章ということもあり、読者の導入にはあんまり成功していないんじゃないかなあと思いました。
物語はそれほど目新しさはなく、正直あまり響かなかったです。すみません。
今回死別ものが多いですしね。何らかの差別化はやはり必要なのかもしれません。
- 73 14文字の涙 (採点:7)
- あ、うまい。数ある死別モノのなかで安易に恋愛に流れなかったのは好印象です。
>>きつい仕事を残してくれた。俺はもういない彼女を思った。
この一文が好きです。
それにしても前半の展開が懐かしかったです。
昔、同じようなことがあったんですよ。
相手は男の子でしたけどね。
勿論、こんなドラマティックな話じゃありません(笑)
- 74 魔女の岬 (採点:7)
- んん、これも上手い。お見事です。
キャラの名前と、絵を描くというガジェットが、ありふれているものなのが残念と言えば残念です。
やはりどこかで読んだことがあるような物語になってしまうので。
頭一つ抜けるのは本当に難しいですね。
- 75 夜の夜 (採点:8)
- やっばい上手い。七十番台、俺にとっては当たりが多いです。
それほど突き抜けたものはなく、さじ加減を間違えるとぬるい仕上がりになってしまいそうなんですけど、登場人物の年齢設定が功を奏してか非常によく纏まっています。
安易な結論を出さないのも好感度高し。
デスノートよりは子供に読んでもらいたい話でしたね(笑)
- 76 Another (採点:4)
- あぁ、けっこう照れる。そこは上手いような。あざといのかもしれませんけど(笑)
まだ物語というより一場面という感じを受けるので、もう少しストーリーに波を立てて欲しい気がします。
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:4)
- 物語的にはあんまり他の作品との差別化が図れていないように思えたんですが、なかなかどうして結構ぶっ飛んでますね(笑)
>>わたしの本気はもうストーカーみたいなものだから。
これ言われたらある意味惚れるなあ。素敵だ。
>>「ない?」の「い」と「?」の間に〜
文章だから一見分かりやすいような気がするんですけど、実際は難しい気が。
いざ言葉にしてみると、どのあたりだろう、と(笑)
人称が途中で切り替わるようなお話は三人称などの方が向いているような気がします。
- 78 君が星を手にするとき (採点:7)
- あ、帯あんま関係ないんすね(笑)
面白かったです。よくできた掌編だと思います。
あまり訴えかけるものはなかったですけど、主人公と同じく見守るような気持ちでさくさくと読み進めることができました。
- 79 奥の細道 (採点:8)
- あはは。無茶苦茶おもしろかったっす。
壊れ具合だけみると、一番だったんじゃないかなあ。素敵です。
全ては分からないんですけど、なんとなく分かったような気にさせるという上手さがありました。
作者さんの解説があれば、聞いてみたい作品ですね。
○渋滞8km さん
- 02 黒船 (採点:8)
- 終始ニヤニヤしちゃいました(笑
- 03 遵守 (採点:5)
- 似てる映画だか文章を読んだ事がある気がします(そっちはバッドエンドでしたが)
非常に読みやすかったです。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:8)
- いやはや、楽しかったです。
なんで宿屋は苦しいんですかね?観光客とかいそうなものですが。くだらない疑問ですいません
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:9)
- 雰囲気が凄い気に入りました。楽しかったです。
- 49 バレンタイン事変 (採点:採点なし)
- バレンタインは、辛いです。
私には、厳しいです。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:7)
- 小ネタが多いですね(可愛いは(ry
「自分が愛しい〜」のくだりも同意できました。
- 56 Show must go on. (採点:5)
- 最初でオチがわかってしまいましたから…
途中は楽しめたので残念でした
- 57 エース (採点:採点なし)
- 青春物は、辛いです。
私には、厳しいです。
- 67 世界一の小説 (採点:4)
- 途中まではG戦場ヘヴンズドア、ラストではトリビアを思い出しました。
ただG戦場は全く漫画のストーリーが明かされなかったのがムカついてましたが、その点こっちはよかったです
- 73 14文字の涙 (採点:6)
- 上手くまとまってました。
ただ上手くまとまりすぎてて、逆にインパクト?が無かったです
- 75 夜の夜 (採点:9)
- 余計なオチをつけずに丁度良い所で終わってました。楽しかったです。
- 79 奥の細道 (採点:10)
- 雰囲気を楽しめました。映画で言う「マルホランド・ドライブ」みたいな。
今回のコンペでは一番印象に残りました。誰が書いているんだろう…
○春日 姫宮 さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:6)
- 何かの寓話だとしたら、読み取れませんでした。
セカイ系は難しい。
- 02 黒船 (採点:9)
- 面白かったです。べべん。
- 03 遵守 (採点:6)
- 面白い物語でした。……ただ、雪絵が記憶を失った後の筋は予想通りで、もう一捻り欲しかったところです。
- 04 海神の矛 (採点:7)
- 題材が凝っていて面白かったと思います。もう少し、絶望的な世界についてリアリティが出れば、と思いました。
- 05 理屈じゃないこと (採点:8)
- >俺の部屋がなくなっていることに気が付いた。
この一文は、今回のこんぺの中で一番衝撃的でした。単なる惚気で終わらなかったのも高評価。
- 06 For tune the rainbow (採点:9)
- 平易な物語でありながら、ここまで描ききった作者さんの力量に感服しました。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:6)
- 読みやすいのはグッド。ただ、これは全く同じネタをどこかで読んだ(あるいはプレイした)ような気がします。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:5)
- 段落が変わった後に、いつ、どこで、だれが、なにをしたのか、植物に水が必要であるように欠くべからざる基本的な情報を受け手が再び回収するまで、文字数が多すぎるように私が思ったその断絶感は、決して作者さんの意図だったのではなく、もっとも、その最も目を引く一文の長さについても後半に行くに従い他に従い始めるかのような短さに戻った点についても、彼の者の意図通りであったのか、私にはうかがい知ることはできないが、単にその者が生み出した作品に対して意識が、いつ、どこで、なにをには向いていなかったのみの理由に起因し、つまりだれが、にしか向いていないのではないかと思える程の深さであったことは、文章全体の突き放した感を増す効果があったとは言え、その効果自体にも意味があったのかは甚だ疑問であり、結果好ましいものであると書くことは、できないと言わざるを得ないのであった。
- 09 テロリスト長沢 (採点:8)
- 馬鹿馬鹿しくて面白い(笑)。
『人間はすべからく大嫌いだ』すべからくの用法間違えてます。
- 10 いろはの森 (採点:7)
- 丁寧にまとめられた良作だと思います。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:8)
- 数ある学生の恋愛話の中で、ダントツの完成度だったと思います。
グッジョブ!
- 12 フォーカス・レンジ (採点:7)
- 文章は慣れている感じがして、上手いんですけれど、少し物足りなさを覚えました。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:8)
- 幽霊は大抵(全部?)自分の心の持ちようから生まれるのだという点を、心の中の葛藤と絡めて上手に物語としてまとめたSSだと思います。
そこに気付くまでの過程が、やや物足りないです。保健室の先生と話したからというだけの理由では。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:7)
- なかなかインパクトのある構成でした。物語が動き出すまで、もう少し早ければもっと良かった。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:6)
- 綺麗に纏まっていました。会話をもう少し盛り上げられたかな、と思いましたけれど。
- 16 さくら (採点:6)
- なんだろう。オチに、とってつけた感が。
- 17 19140901 (採点:6)
- 大正の時代は、十三、四歳くらいの庶民の娘に手を出すのが、いけないことだったんでしたっけ?
娘の名前といい、どうも全体的に、浅い印象を受けました。
- 18 生命 (採点:6)
- 主人公の考えをそのまま描写する、という発想は興味深いのですが、そこに面白みも必要だと思うのです。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:7)
- 読みやすい文章でした。上手いことまとまってもいます。
もう少し題材にも捻りが欲しかった。
- 20 今日見る明日 (採点:7)
- 上手いことまとめやがったなぁコンチクショウって感じです(笑)。
- 21 雪国 (採点:5)
- ちょっと皮肉が直球過ぎない?
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:6)
- 男の欲望に素直過ぎです(笑)。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:6)
- 状況説明長いよ!
- 24 結婚適文句 (採点:7)
- 文章は読みやすい、構成もできている。
それだけで高評価を付けざるを得ないこんぺって、何か間違ってる気がしなくもないよね。
でも面白かったです。
- 25 マージアここに在り (採点:7)
- 偉大なソラリスに比べると、やはり見劣りする感は否めませんでした。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:7)
- 物語の繋がるべきところが繋がっていなくて、関係のないところで繋がっている。そんな感覚が面白かったです。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:8)
- 題材軽い割に物語としてはしっかり出来ています。
読んでいて楽しかったです。
- 28 Forest Note (採点:6)
- 最後にもう一捻り欲しかったです。
- 29 Blind (採点:8)
- 私はこの物語を評価します。
よくぞ安逸に流れず書ききったな、と。
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:9)
- 題材はともかく(笑)、物語として、とても面白かったです。
オチがストレートすぎて、やや捻りがない感じ。そこがもったいない。
時間切れですか?
- 31 正義の味方の悩み (採点:7)
- 文章は結構上手い。書き慣れている感じ。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:6)
- 現状の内容ですと人間関係の把握に疲れると思うので、もう少し整理して欲しいです。
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:6)
- あれ、この祭りのシーン、どっかで見たことあるような……?
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:8)
- 面白かったです。所々安っぽい表現があったので、その辺もう少し気を付けて欲しかった。
- 35 西と東、白と黒 (採点:8)
- 自分の生きる世界に疑問を投げかけるテーマという、このこんぺでもトップクラスに興味深いものを扱っていました。
情報の並べ方に、もう一工夫する余地があったかも知れません。
- 36 ソラアイ (採点:6)
- 会話にリアリティを持たせることは、文章を書く上で大切な事だと思います。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:9)
- オチは両方とも予想できました。私を褒めてください!
面白かったです。紹介文の使い方も一番効果的でした。
- 38 山田仁の行き先 (採点:6)
- 出だしと締めが良かったです。
中身は、結構ほかの出場作と被っていたのが残念だったかな。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:9)
- 吹いた。
アンタ天才!
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:6)
- レベルは高いのです。ただ、16kbという制限内でこの設定は無茶だったと思います。
- 41 No River to Cross (採点:8)
- 制作者はアップルの手の者か(笑)。
でも良かったです。家族のカットインも利いていました。燻銀の魅力。
- 42 焚火 (採点:6)
- この後妹と心中ですか。安易な感は否めないかな。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:6)
- 結構上手いです。もったいない。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:6)
- ちょっと背伸びのしすぎだったんじゃないかな。
- 45 おかえり (採点:6)
- 雰囲気の良い作品でした。
もう少し、何かが欲しかった。
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:7)
- なくした小指の方から発展して物語が発展していくかと思ったら、良い意味で期待を裏切られた感じです。
文章も上手い。
ただ、ちょーっと物足りなさを感じました。
- 48 タクシー (採点:7)
- 地味に構成が上手い。やるなぁ。
- 49 バレンタイン事変 (採点:6)
- 人様の作品を、ライトノベルと揶揄する人たちがいますけど、低レベルな人たちだと思います。
ライトノベルであることが問題なんじゃなくて、ライトノベルでやり尽くされた内容を繰り返して、創作気分に浸るのが問題なのにね。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:7)
- 感性だけでここまで物語を築き上げてしまう、作者さんの才能が羨ましい……。
- 51 夏の風 (採点:6)
- 夏の一幕が雰囲気良く描けています。
もうひとヤマ欲しかったかも。
- 52 豚 (採点:9)
- 凄い……。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:8)
- 感想は一言「もったいない」(笑)。
それから、この作品の紹介文が納得できません。彼女はもう1人の主人公と言うけれど、どこがそうだったのかさっぱり。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:10)
- 今回は感性合いましたヽ(>ヮ<)b
- 55 饗宴 (採点:5)
- ところで、これ、感想を書かない類の読み専が読んだらどう思うんでしょうね?
- 56 Show must go on. (採点:6)
- ひょっとすると、作者さんが一生懸命考えて作った題材だったかも知れません。
ただ、私は同様の作品を過去に少なくとも2つ以上、読んだことがありました。
- 57 エース (採点:6)
- 青春真っ直中のストーリーですね。もちろん悪い内容だとは思いませんでしたが、今ひとつという印象も拭えませんでした。
- 58 飽くなき赤色 (採点:6)
- 格好良さ、とはまた違う気がするのです。
ありがちに終わらせないところは良かったですが、心を動かされるまでには至りませんでした。
- 59 Day after tomorrow (採点:6)
- きっちりまとまっていますが、もう少し表現の角が取れると良いかも。
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:7)
- 面白かったんですが、もう一捻り欲しい。
- 61 山小屋語り (採点:6)
- もう少しスマートに、まとめて欲しかった。
- 62 格闘少女 (採点:6)
- もったいない!
設定の説明に終始しちゃだめだって!
- 63 未来視の見る夢 (採点:6)
- 壮大な設定の割に世界が狭い、という印象を抱きました。
十分に活かせなかった設定、回収されなかった伏線に思える部分、そういったものが積み重なって「物足りない」という印象を形成していると思います。
- 64 ブランコ (採点:6)
- この長さでも書くのには結構努力したと思いますが、文章のぎこちなさがまだ抜けていない感じ。
- 65 金曜日のつめきり (採点:6)
- 設定が面白く、とても興味を持って読めました。
あとは、もう少し上手に調理して欲しかったところ。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:6)
- 無理して書いてるなぁ、という印象。
もう少し、地に足の着いた文章を書いてはどうでしょうか?
- 67 世界一の小説 (採点:6)
- 「世界一の小説」の中身を出してしまったのが致命的だと思います。
- 68 両手いっぱいの花を (採点:5)
- 単に言葉を並べただけ、という印象を受けました。
私の読解力不足でしたら、失礼しました。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:6)
- オチ読めたよ。
自慰は勝手にすれば良いじゃないか、と思った(笑)。
- 70 アリス (採点:6)
- 下妻物語……。
こういう物語は、映像がないと苦しいですね。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:6)
- オチは結構好きでした。
設定と文章にもう一練り欲しいところ。まだこなれた感じが出てきていません。
- 72 月時雨 (採点:7)
- これはこれで一つの完成形ではあると思うのですけれど、自己陶酔の感がやや強すぎると、私は、感じました。
- 73 14文字の涙 (採点:7)
- 安易で、設定にもかなり無理がある感は否めませんが、物語としてみるなら良くまとまっていたと思います。匿名の方が「長さに見合った題材」と仰っていましたが、そこの見極めに優れた作品でした。
電話の向こうが、幼いと言っても良いくらい若い子だったという事は、物語で暗示されてますが、更に長髪色白痩せ型の美女だったに違いないと、男ならみんな考えるでしょうね(笑)。
- 74 魔女の岬 (採点:8)
- 一文一文は正直ぎこちなさを感じるくらいなのですが、全体として読むと、とても綺麗な物語に仕上がっています。
感動しました。私よりも力量は上だと思いますので、他に批評は致しません。
- 75 夜の夜 (採点:9)
- 死に対する漠然とした不安を、感覚的に上手く表現できています。
ただ、個人的にはもう少しだけ、それを掘り下げて欲しかったという印象を抱きました。この終わり方もアリだとは思うんですが、悪く取れば作者さんの思考停止とも受け取れます。
- 76 Another (採点:6)
- 表現力には目を見張るものを感じるのですが、青春ドラマで使い古された設定を2,3取り出して、並べただけという印象です。
この手の作品は過去のこんぺで多数出展されてきたため、どうしても評価は辛くなってしまいます。
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:6)
- 表現を頑張っているのは伝わるのですが、素直に賛辞を送れるレベルには達していません。そして表現に力を入れすぎた代償として、物語のテンポが犠牲になっています。
また、テーマがこれまでのこんぺで扱われ尽くしたものだったので、余計に過去の傑作との差異が浮かび上がってしまいます。
……と、不才ながらそれなりの期間、こんぺに関わってきた私などは思ってしまいます。
- 78 君が星を手にするとき (採点:8)
- 批判の言葉が思いつきません。
よくできた物語でした。
どんでん返しが欲しい、という意見も聞きましたが、この物語にそれは必要なかったでしょう。結末はこれで良かったと思います。確かに、物足りない印象は私も受けたので、何らかの形でそこは解消して欲しかった。
- 79 奥の細道 (採点:7)
- 文章力はかなりのものです。そして、前半の期待の持たせ方は、特筆すべきものを感じました。
後半の収束のさせ方にもう一工夫あれば、名作になり得たと思うのに。それだけが残念。
もう少し中身のあるものを期待していました。
○松瀬 さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:2)
- これは詩ですね。綺麗な世界を描いているようですが、すみません、最初から最後まで移入できませんでした。
それから小説で、ですます調を使うのは余程の実力が無い限り止めておいた方が無難かと思います。
- 02 黒船 (採点:3)
- こういう書き方も"あり"なんだろうとは思いますが、僕には合いませんでした。誰が誰だか分からないし、そもそも誰が誰なのか意識しなくても良いのかもしれませんが、やっぱり地の文は入れた方が良いと思います。会話は軽快な感じで心地よかったです。
- 21 雪国 (採点:1)
- 表現は綺麗なのですが、物語に必ず伴わなければならない必然性が欠けていたので、疑問を抱えながらラストまで行き着いてしまいました。何と言うか、村上春樹を意識して書かれたんでしょうか?そんな気がしてなりません。
冒頭から入っていけなかったです。赤の他人であるはずの老人に主人公がそこまで気に掛ける心理がまず分かりません。で、まあ、電車ん中での会話も意味不明です。結局作者がこの作品を通して何がしたかったのか分かりませんでした。ただ村上春樹的な雰囲気を出したかったのかな?とは思いますが、成功しているとは思いません。
- 41 No River to Cross (採点:7)
- 不思議で心地よい読後感でした。ありがとうごぜーました。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:7)
- 主人公とチャコの関係が素敵でした。こういう不思議な空気を伴い、且つ読者の心を温めてくれるような作品は好きですね。ただ、節々で使われる魔法という単語の意味がよく分かりませんでした。何かを暗示しているのでしょうか。まあ、それを抜きにしても十分楽しめました。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:4)
- ん〜?この結末はどういうことなんでしょ?
よくも悪くもラノベ的な語り口ですね。登場する女の子もラノベのテンプレートに沿った性格だなぁと思いました。後半、友達と何やら感傷的な雰囲気になってますが、個人的に共感できない部分の方が多かったですね。というか展開がどうにもちぐはぐな感じがして座りが悪かったです。
○仁也 さん
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:4)
- 最期に主人公を倒した勇者が今までの勇者とは違う行動をとって、連鎖を断ち切ってくれれば面白かったのに……。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:1)
- 読み難いし意味はわからんし。
せめて読みやすければ謎解きをする気も起きただろうけど。
作者さんそれらを意図してやってるっぽいけどさ。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:9)
- テンポのいい読みやすい文章はかなり好みです。
父は幽霊が見えていたのでしょうか? それも含め読者の解釈次第ということかな?
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:8)
- ヒトによってはご都合主義といわれるかもしれないが私的には好きな話ですね。
ラストの目覚めた彼女が彼のことを気にかけるシーンではリアルな悲しさが滲み出ていてさらにこの作品に好感が持てるポイントです。
裏技的なタイトルの使い方はフォントタグが使えない点を補ったのか、ただ単にインパクトを強くしたかったのか、タイトルの長さでまずこの作品を読ませようとしたのか、あるいはその全部か作者さんの意図が気になるところです。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:10)
- 涼宮ハルヒィ!!!
『ちょっと借りていきます。』の一文がやたら気に入ってます。
あえて難点を挙げるならタイトルにも捻りが欲しかったかな。
- 16 さくら (採点:5)
- 少女の服の生地を描写して服装を描写しなかったり、髪の色を描写して髪型を描写しないのは何故?
- 19 エンジェル・サイズ (採点:8)
- スタンプデッドを彷彿とさせるわぁ。
ラノベチックな読みやすい文章には楽しませてもらいました。
かなり駆け足気味の展開でしたが、しっかり描写するなら倍くらいの容量は必要になりそう。
せめて透クンがフリョーさんだという設定は最初からしっかり明示して欲しかったです。
いっそ透くんの一人称でいいんじゃないかと。
窮屈な容量制限に押し込められて描写不足が目立ったハナシでしたが、しっかり描写しきれれば文句なく10点だったと思います。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:6)
- 異様なテンションが妙に好みでした。
H+Cl-とか出てきたときは笑うしかないw。
ギャグのパンチ力に欠けていたことを考慮してこの点数。
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:7)
- ええ話や(つд`)
- 57 エース (採点:10)
- こういうハナシ好きやなぁ。
場所が場所なだけにもうちょっと専門用語を控えることはできなかったのかと思うとそれだけが心残りです。
- 63 未来視の見る夢 (採点:6)
- 卯木コダマが男なのか女なのか、そもそも学生なのか教員なのか全然わかりませんでした。
そういう人物に関する描写が決定的に欠けていたのがこの作品の最大の難点ですね。
容量が足りなかったわけでもないでしょうにし。
コノハに関してもそれは同じで、『七歳の女の子』て外見だけじゃ正確な歳はわからんだろうし、もっと別の表現で描写すべきだったかと。
それにあの塩基配列とかウィルスとかのわざわざ小難しい説明を入れる必要があったのかと……。
- 67 世界一の小説 (採点:2)
- 自分も小説を書く身として途中までは興味深く読ませてもらいましたがありきたりなオチに失望しました。
- 76 Another (採点:3)
- えっと……(;゜д゜)
それで結局何を言いたかったの?
○杉田俊輔 さん
- 63 未来視の見る夢 (採点:9)
- 私がなんとなく気になってしまってこの作品を最初に読んでしまったことも、悲しい幸せ。
なんてことだ、この作品、大好きです。ステキなお話でした。
敢えて難点を挙げると、最初の方、説明的で文章がくどかったかな、と。
- 76 Another (採点:5)
- 何ででしょうか、最後のオチは十分に予想出来たはずなのに、出来なかった……っ。
思わず吹き出しました。私の負け。
○星 さん
- 24 結婚適文句 (採点:10)
- いやー、笑わせてもらいました。
終わり方もかっきりしてて良いです。
○斉藤言成 さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:5)
- 童話のようなお話ですね。好みの問題であまり高い点数はつけませんでしたが、文章は読みやすかったです。引っかからずにすっと読ましていただきました。
- 02 黒船 (採点:7)
- 座布団一枚! いや、二枚!!
これは面白い。いい噺を聞かせてもらいました。まさに落語。噺家の姿が頭の中に浮かびました。
- 09 テロリスト長沢 (採点:8)
- ブバッゥ! 面白かったです。
- 20 今日見る明日 (採点:5)
- 音楽のPV。そんな感じを受けました。
- 51 夏の風 (採点:9)
- 読みやすく巧い文章ですねー。この短い中にもキャラクターの性格など見えてくるし、まさに無駄なし。しかもほのぼのしてて笑いもある。わたしは好きです。こういうの。ごちそうさまでした。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:10)
- 正直最初はついていけなかったけど、読み終わってみればこれはすごい。とくに最後の一言がすごくいいです。理屈抜きでわたしはこのお話が大好きです。
いいものを読ませていただきました。ありがとうございます。
- 76 Another (採点:9)
- 最後にそうきましたか。やられた。情景や感情を喚起させる文章力。上手いの一言。
しかし続きが気になる。どうするよお兄ちゃん!?
○浅月カナタ さん
- 16 さくら (採点:5)
- 出だしは素敵なんですけど、中盤以降魅力が少なかったかも
- 17 19140901 (採点:7)
- いい感じかも
- 24 結婚適文句 (採点:8)
- あかん。大好き
- 35 西と東、白と黒 (採点:?)
- 視点は悪くないですが面白みが足りない
- 55 饗宴 (採点:2)
- 語彙を使えばいいってもんじゃないです。
○倉科 さん
- 02 黒船 (採点:6)
- なんかくすくす笑ってしまいました。面白かったです。
- 05 理屈じゃないこと (採点:1)
- 読み終わったあと、あれ? と思って読み返してみても別れた理由がわからなくて感情移入できませんでした。
「理屈じゃない」のかもしれませんが、「理屈じゃない」ことを「理屈じゃない」まま読み終えることができなかったです。
あと、別れるときに思い出話を始める男の心情がどうしても理解できません。ごめんなさい。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:2)
- 面白くないわけじゃないんですが……
このネタ、どっかで見たことあるのでこんな点数です。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:4)
- うーん。タイトルの使い方は外してると思いました。だらだら長いだけにしか思えませんでした。
- 24 結婚適文句 (採点:8)
- 馬鹿だ(笑
かけあいがテンポよくって面白かったです。そしてけんじ君と付き合い続けることができるまみこさんに精一杯敬意を表してみたいと思います。
- 41 No River to Cross (採点:9)
- 理屈抜きで大好きです。でも、「ノルウェイの森」にしてほしかった(笑)
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:8)
- 素直に面白いと思いました。
タイトルも秀逸。
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:7)
- 正統派コメディ、という感じで楽しく読めました。
- 65 金曜日のつめきり (採点:9)
- センスダダ漏れ状態に見えます。計算してるのかなぁ。してたら凄いなぁ(笑
最後の「くっだらねぇ」が浮いてるような気がしました。いきなり粗野っぽい言葉になって違和感。それを狙ったのかもしれないけど、あれ? と思っちゃいました。
○倉庫番 さん
- 03 遵守 (採点:9)
- *点数は私本人の好みかどうかで主に決めました。
*気に入った作品、または気になった作品にのみコメントを書きます。
お手本のような掌編小説で、ものすごく気に入りました。物語の流れが私のような読解力がない人間には分かりやすかった。
もうちょっと尺に余裕があるもので、作者氏の小説を読んでみたい。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:1)
- *点数は私本人の好みかどうかで主に決めました。
*気に入った作品、または気になった作品にのみコメントを書きます。
解説をお願いします。4回読んだのですが、読解力皆無のわたしにはどういう風に解釈していいのかさっぱりわかりませんでした。
- 09 テロリスト長沢 (採点:8)
- *点数は私本人の好みかどうかで主に決めました。
*気に入った作品、または気になった作品にのみコメントを書きます。
大好きです。私本人が正義感のないやつのせいで、長沢には素直に感情移入できてしまいました(笑)。
- 18 生命 (採点:8)
- *点数は私本人の好みかどうかで主に決めました。
*気に入った作品、または気になった作品にのみコメントを書きます。
言葉の選び方が天才的。しかもそれが最後まで同じレベルで持続していて驚き。
最後まで手抜きせずによく書き切った、と感服しました。
- 24 結婚適文句 (採点:9)
- *点数は私本人の好みかどうかで主に決めました。
*気に入った作品、または気になった作品にのみコメントを書きます。
読みながら笑い転げてしまいました。部長とかがものすごく素敵。
一方で後半の展開は綺麗。苗字の一致なんか素敵すぎました。
作者氏のファンになりました。作者名が明かされて、もしも過去に何か書いていたりなさったならぜひ読みたいと思います。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:8)
- *点数は私本人の好みかどうかで主に決めました。
*気に入った作品、または気になった作品にのみコメントを書きます。
子供たちがすごくかわいい。子供好きにはたまらないというかエミ先生が羨ましい、とか言っちゃうくらい。
微笑ましい話でした。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:9)
- *点数は私本人の好みかどうかで主に決めました。
*気に入った作品、または気になった作品にのみコメントを書きます。
雰囲気、文章、物語の運びが高い次元で完成されていて、読み終わって思わず溜息を漏らしてしまいました。
昔の話というのが好きなせいもあって、心に残る作品となりました。
- 61 山小屋語り (採点:8)
- *点数は私本人の好みかどうかで主に決めました。
*気に入った作品、または気になった作品にのみコメントを書きます。
雰囲気出てますね。こういうの大好きです。
かごめかごめの解釈の仕方でなるほどと思いました。私の聞いた話とは細部が違いましたが。
後ろの正面にいるのは「つるりと滑らせた(=後ろから突き落とした)」人間というのが私の聞いた話でした。
が、この作者氏の解釈もなるほどと手を打てるもので、話を面白くしていると思いました。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:8)
- *点数は私本人の好みかどうかで主に決めました。
*気に入った作品、または気になった作品にのみコメントを書きます。
あくまでほめ言葉です、馬鹿小説ですね。
- 79 奥の細道 (採点:9)
- *点数は私本人の好みかどうかで主に決めました。
*気に入った作品、または気になった作品にのみコメントを書きます。
他にもたくさん不条理系の小説はあったのですが、その中でもこれが一番好きです。
私なりに一応の解釈はしたつもりですが、1021本タバコを吸っていた、というのがどうしても引っかかってます。
死んでいるのは「僕」だけだと思っています。妹と取っ組み合いをして、おそらくは犯しているときに火事になって、妹だけが逃げおおせて「僕」は死んだ。
のじゃないかと思うのですが、細かい部分で分からなくなってしまう。
作者氏の解説を願いたいところです。
○大葉 陽 さん
- 02 黒船 (採点:10)
- かなり笑いました。
- 04 海神の矛 (採点:4)
- 何かちょっと読みにくかったです。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:4)
- 字が詰まりすぎてて、ちょっと読みにくかったです。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:9)
- 結構好きです。
- 29 Blind (採点:8)
- 面白かったです。
- 48 タクシー (採点:7)
- こういう不気味なのは結構好きです。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:10)
- とってもよかったです。
- 57 エース (採点:5)
- スピード感が好きです。
- 67 世界一の小説 (採点:5)
- 結構好きです。
- 79 奥の細道 (採点:7)
- なんか好きです。
○竹仙人 さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:1)
- キレイすぎてやんなりました。
このお話から一体何を感じればいいのだろう。
読み終えて出てきた言葉は、はあ……次だ次。の一言でした。
- 02 黒船 (採点:6)
- 小気味いいなあ(笑)。
あっしもわらかしていただきやした。
おっとうつっちまったぜ。ごめんなすって。
- 03 遵守 (採点:3)
- 話の引っ張り方がいちいち鼻についてしまい、楽しむことができませんでした。「ほーれほれ」と読者の予想通りの結末に作者の予定通り誘導されているのがありありと伝わってきて、はいはい、いい話なんでしょう、もったいぶらないでいいよ、わかったから、はあ、やっぱりね、チクショウ、みたいな(笑)。
こういう読み手は少数だと思いますが、作中の言葉を借りるなら救いがないだけのつまらない話、それも最悪の結末に至っていたら最高でした。
- 04 海神の矛 (採点:2)
- 興味のないジャンルというのもありますが、なんだかどこぞのSF小説とか戦争漫画のどこかの章のほんの一部をくり抜いただけ、という印象でした。
すくなくとも、この密度は明らかに掌編向きではない(笑)。
- 05 理屈じゃないこと (採点:4)
- こざっぱりしていて好感が持てます。このままいちゃついて終わりなんかなーと思ったらこうきたか! 俺は人が付き合うきっかけよりも別れる理由が気になってしまうたちなのですが、その前後の機微を垣間見れて楽しめました。
しかし少し前に似たような話を読んでいるので新鮮味には欠けるところ(笑)。いや、話自体が似てても、キャラがここまで似てなかったら評価はまったく違ったと思うのですよ。それがキャラまで酷似していたものだから、どうしても頭の中をチラチラよぎってしまって。ONEというゲームのキャラ、まんまに見えてしまったのです。
- 06 For tune the rainbow (採点:4)
- 悲しい話ではありましたが、訴えかけてくるものがいまひとつ届きませんでした。うーん。なんだろう。どこが悪いというわけではないのですが、どこも楽しめなかったという。この手の話を点数をつけて評価するとなると、どうしてもこうなってしまいます。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:3)
- エンドレス。
ゆえに人間(笑)。
人間ばんざーい。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:5)
- 作品全体をして謎解きを仕掛けている話であると踏んで、計5読しました。
全部で11パラグラフありましたが、1〜10、つまり最後以外はすべて過去の出来事を追いかけているのだと、最後の一文から推測したうえで。
・キーマンは青年(東京さん)と老夫婦
この二者間で起きた悲劇を様々な角度からスポットライトを当てつつ描いてあり、それを読み解いていく……ということでいいのかどうか。
10年前の出来事を自分なりに整理してみると、
バスから老夫婦が降り立ち → 迷いながらトラックの運ちゃんに教えてもらい → 店に立ち寄り腹ごしらえをして→また迷いながらも中村に道を訊ね → そこに西山が自転車で通りかかり → 猫が鉈をふるって草刈りしている青年にエサを求め → 青年宅に老夫婦到着 → 猫が青年宅を出てそのはずみで少年転ぶ → 覗くと鉈をふるって殺害中 → 自首したのか、警察どやどや
……という形になりました。老夫婦が訊ねてきた直後にそれまでと変わらず草刈りを続けているのは不自然なので、二度目の鉈をふるう描写で殺害しているのだと推測しました。
青年は即座に自首……したのかどうかわかりませんが、すぐに警察が駆けつけ、両親殺害で逮捕。長い裁判のすえ、10年後に死刑判決――それを最後のパラグラフの新聞記事においてそれとなくにおわす、と繋げました。
こんなところでしょうか。いや、合ってるか非常に自信がないんですけど。
これが合ってると仮定した上でいくつか――
・青年の行動についての描写
なぜ青年が老夫婦を殺害しなければならなかったのかわからず、青年に関する描写から動機を探りました。
>月に何度か、彼が見知らぬ中年の男や女と一緒にいるところを見かける。どうやら町から一緒に戻ってきているようなのだ
中年であるし、迷いまくっている老夫婦とは違うのだと思います。ではなんなのか? この描写は何を示唆しているのか……単に友人を家に上げているだけなのか、それとも老夫婦のように殺害してどこかに葬っているのか……紐解く鍵がわかりませんでした。ヒントはどこにあるんだ……
・紙切れについて
キーアイテムのひとつなのは明白なのですが、攻略のヒントが見つけられませんでした。序盤に出てきた、
> 初老の男が茶色のジャケットの内ポケットから取り出したメモ帳を開き、挟まれていた紙切れを広げて、周囲の景色とそれを見比べているところ
この紙切れと、
>が、ごめんなさい、と、ってくれれば、します、もう、わりにしましょう、ただ、で、手を、わせてください。
この紙切れが同一のものであるとは考えにくく。前者は地図のようなので。
後者にどんな漢字が埋まるのか……ヒントはどこにあるんだ……ただ老夫婦のものとするなら、死を受け入れてるようなニオイがしなくもないのですが……
老夫婦と青年との関係が最後までわかりませんでした。来訪の直後にやられているので衝動的に殺されたとも取れるし、紙切れから推測して、みずから殺されにきて殺されたとも取れる。
考えれば考えるほど推測が推測を呼び、「これだ!」という正解にたどり着けませんでした。仮に自分の推測が合っているとしても、きっと腑に落ちないだろうと思います。推測だけなら、『そもそもその紙切れは老夫婦のものなのか? 神社の方向から飛んできたのではないか? なぜ少年は神社で遊ぶ? なぜ祖父のナイフを持ち出す? 神社には青年が葬った死体がいくつも埋めてあり、少年はそれを解体して遊んでいるのでは……?』と、いくらでもできるので。要するにヒントがないままあてずっぽうに言ってるだけなのです。
たぶん無理だろうなと思いつつ、解説を切にお願いしたいところ(笑)。
- 09 テロリスト長沢 (採点:5)
- ⊂ ⌒ ⌒ ⊃ ( ⌒ )
⊂_ ) ⌒) (_ ⌒ ⌒ソ ノ
| ( _ ) )ノ
ヽ \ | | / /
ヽ丶\ヾ ///
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- = - (:::::::::: ) -無茶しやがって - = ==- = ==-ヽ- - -
= . - (:○:::: ) - = = = =- = - - =
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≡≡≡ ≡ ::::|
≡≡ ≡ :::::|
≡≡ :::::::|
- 10 いろはの森 (採点:4)
- 完成度は高いのだと思います。
趣味には合いませんでしたが(笑)。
一読目は気になりませんでしたが、文体や設定を頭の中で構築して読み始めた二読目で、初っ端の「ストーブ」がえらく浮いて見えました。現実の未来の日本ではなく一種の非現実、御伽噺みたいなもの認識して再読したので、時代がかった語り口にあって片仮名の普通名詞がいきなり出てきてイメージが一気に揺らぎました。ストーブとやかんっていう庶民的というか我々の身近なものではなく、囲炉裏と鍋でも良かったかも……などと愚考する次第です。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:6)
- ここまでガキンと切り取られているといっそ天晴。
――感じる、感じるぞ!
始まりの予感というものを!!
俺も陽太にドン引きしたのは内緒です。
体験談でしょうか(笑)。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:6)
- 点へ!
何気なく読んでからぎギョッとなった(笑)。最後にやっちゃいましたね!
いいなあ。このちょっといい話っぷり。すくなくとも過度に減点する材料は見当たらないし、完成度も高い。適度に謎を追いかける形ではじまって少し広げて終盤ですっかり回収して。おまけに小粋なフレーズで読者の心をくすぐることも忘れない。12日現在ではあんま話題になってないですけど、確実に10位には食い込むとみた!
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:4)
- レッツ自問自答、若者よ!
はぐれちゃわないようにね。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:1)
- 小説を読んでいるというより講義に出席しているような気分になりました。もっとも、講義だとしても、大学教授にありがちな、聴講生の事をまったく考えてないような独り善がりな部分ばかり目に付いてしまい、開始5分で寝るか退室してジュースでも買いに走るかしているところです。興味を持てない題材をああもグダグダに語られたら、ついていくことはもはや困難でした。
使い方うんぬんを通し越して悪酔いしているとしか思えないタイトルも、見た瞬間「あーあ」となりました。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:5)
- ドタバタな一幕。うーん、楽しいお話でした。読みながら「花火に紛れて一発やれ! いや胸くらい揉め! 唇でいいから奪え!」とか考えてるところに彼女から指摘されてドキッとしてしまいました。
連載かシリーズで読みたいです(笑)。
- 16 さくら (採点:1)
- 事実と現象のみを記したきり最後に放り出されても、謎が晴れると同時に少なくない失望感と嫌悪感が残るのみでした。
- 17 19140901 (採点:3)
- 鳥羽胡涼……リョコウバト……うーむ。
作品に漂うかっちりした空気と比較して、なんか安直だなあ(笑)。
もったいない気がしました。
リョコウバトの最後の一羽が人間の姿になって、群鳥に特別な思い入れのある大手に連れられて残り少ない生をともにしていた……と一行で書くと無粋ですか。全部推測なんですけども、この推測の足がかりにする情報にも疑問が残り、またこの推測が正しいにしても、背景がよくわからない……というか腑に落ちませんでした。あと、作中で名前を出しちゃったのもずいぶんと無粋だなあと、俺にはそう思えてしまいました(笑)。
- 18 生命 (採点:8)
- 題材と文章に惹かれて轢かれてぺっちゃんこになってしまいました。はじめの一文を読んだ瞬間に惚れました。こんな切り込み方をする人の書く話がつまらないわけがあろうか? いやない。面白かったです。いや、面白い・つまらないとはまた違う次元で楽しめました。うーん、いい、これはいいぞ。まるで作中の彼女が死にかけたものに惹かれているように作品に惹かれました。ゴチャゴチャしていて、鍋料理を失敗したけど逆に、あれ?こういうのも意外といけるんじゃね?的な感じとでもいいますか、楽しめました。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:1)
- どこにでも転がってそうなキャラ造詣に心理の推移が極端すぎる荒唐無稽なストーリー、味のない文章、どれを取っても楽しめませんでした。
- 20 今日見る明日 (採点:2)
- うわあー。前々回(オリ肉)の俺の作品に似てるっ。似てるっても高校生の男女が自転車に乗ってアレコレするっていう一要素だけなんですが、話の大半がそれのみである、というところまで似てる(笑)。
気にする採点者の方は何名か出てくると思います。自転車は鬼門でしたね(笑)。
お手軽でしかも特化したネタを取り扱う場合は、それまでの傾向を調べてみるのもいいかもしれませんね。なぜならば一度使われていた時点でアウトだから(笑)。
とりあえず同じネタ使ったことのある身として一言、物申す!
若いうちに授業サボって自転車で旅してみたかったなあー(真剣)
- 21 雪国 (採点:2)
- はて?(´・ω・`)
何かの暗喩……いや揶揄かな。すんません、よくわからんかったです。
人生とかレールとかそのようなものだとは思いましたが、読後感としては、謎だけが残ったけど究明する気も起きないのでスルー、というのが率直なもので。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:3)
- >一般的にオタクと呼ばれる友人が一人いるのだが
聞かれる前から弁解しているようで笑えました。
誰に言い訳してるんだよ、これ(笑)。
ここまで急展開な色恋話は逆に新鮮でした。置いていかれるとかそういうのを通り越して、もう笑うしかなかった。じっさい腹の底から笑ってしまったので、点をあげないわけにはいかない。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:3)
- 出だしから「ああ、まあ、なるようになって終わるんだろうな」とまったく期待しないで読んだので、最後にちょっとだけやられました。そして直後にタイトルを見て、なるほどと思いました。
ただ、冒頭から最後までオーソドックスに尽きる話に退屈しっぱなしで、最後の最後もそれを破壊するだけの要素でもなかったので、この点数に落ち着きました。
つーか隣の委員長、空気読めよ(笑)。
ボインタッチダッシュとかそんなノリを思い出しました。
- 25 マージアここに在り (採点:3)
- >ヒトが近づくと問答無用で補足してしまう
常にこちらの発言に脚注をつけてくるような感じでしょうか……
「……どうしましたか、お嬢さん」
『※お嬢さんとは目の前の私のことを指しています』
……みたいな。
うざいな、これ(笑)。
記憶は定かではないのですが「どっかであったなこんな話」と思ってしまうということは、それ自体では勝負できない類の話なのだと思います。文章自体はオーソドックスであり味がなく、ゆえに惹かれることもなく。設定に興味をそそられなかった時点でなかば作業的に読んでしまうのですが、設定自体も上っ面の浅い部分だけで世界観に引き込まれることもなく、展開そのものも特に目を引くところもなく。肝心の山場にまで差し掛かっても感情移入はできず、終始表情が動く事はありませんでした。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:7)
- 終始訳がわかりませんでしたが、その訳のわからなさに、訳のわからないまま惹かれました。
媚びるわけではなく、かといって意図的に突き放すわけでもなく。自然体で紡がれたような個性には強く惹かれます。
強烈!
あと俺もドMなので何度も勃起しました。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:4)
- これ、マゾマゾカップルじゃないのかな。
そのうちこの3人で3Pに走りそうですね。
攻められるふたり。
興奮します。
あと、俺もマゾなので、攻められが足りなくて不満でした。
- 28 Forest Note (採点:3)
- 主人公の半生を描いた作品なのですが、尺が足りなかったと見受けます。味を噛み締める前に、消化不良のまま読み終えてしまいました。
彼ら一家の生き様を描いた話にしては、いささか盛り上がりに欠けるのではないかと思う次第です。或いは掘り下げが足りなかったとも。エピソードが全体的に駆け足で、事柄を伝えることに終始してしまっており、悪く言うならダイジェストを見ている感覚でした。いずれにせよ、ひとつの読み物としてみた場合、平坦すぎて面白味に欠けた、という所感です。
- 29 Blind (採点:3)
- この女うざっ! 性格的に一番イライラするタイプだ(笑)。
いい意味でも悪い意味でも登場人物の若さが出ている作品でした。
強姦マンにやられる展開は噴きました。なんだよあれ(笑)。
強姦マンと気が合いそうですね、彼女。
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:2)
- まるで人形のように可憐な少女が、意識の失った背の高い少女を、電車の中まで運んだ――? 人に手伝わせようにも病院とか警察とかかかわってきそうだし、よっぽど怪力だったということか……?
消費者金融の借金で親に水商売させられていた少女が生傷だらけ? 仕事になるのか……
など、ノンフォローで無視できる展開ではありませんでした。
この取ってつけた感や粗の多さからいって設定は後付けで、書きたかったことは少女2人の関係性そのものだと思うんですが、残念ながら絡み自体もそのへんのエロ雑誌にありそうなもので、興奮もしなければ共感もせず、台詞の不自然さも相まって、演劇部員が台本片手に喋っている図しか思い浮かびませんでした。タイトルでもある限りなき夏のくんだりがとりわけ酔いすぎで、いきなり何を浮きまくった台詞を……と引いてしまいました。
百合自体は好きです。
- 31 正義の味方の悩み (採点:3)
- いや、なんか、まさに主要キャラが出揃ってこれから話が盛り上がっていくんだぜ――! というところで唐突と終わりましたね。
くどいくらいの徹底したキャラの差別化といい、設定のつけ方といい、ジャンプか何かの週刊少年誌の第一話を見ている気分でした。差別化はできてても、個性的だとは思いませんでしたが。
たとえば、同じくらいの長さの続きがあるとして、そこでキャラがもう2人くらい増えそうな気が、すごくする(笑)。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:5)
- ドタバタコメディとしては良質で、まったく毒性のかけらもないアホさと怒涛の勢いで突っ走って最後にはちょっといい話にして締め。掴みもいいしこれといった粗はないとは思うものの、半端すぎるのが大ダメージ。この話を読んで笑うのは、お約束をお約束として再認させられることによって生じる、安心感を背後から突いてくるような笑いなんだけれど、そこに安定感はあっても破壊力はない。「可笑しい」ではなく、どうしても「微笑ましい」になる。俺はそっち方面はあんまり好きじゃないのです。
こういう連中に限って10年後にとびっきりのいい男になったりするんだよなあ。うーん、ちょっと懐かしい気持ちになってしまった。
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:2)
- コッテコテだあぁぁぁぁ
>ギャルゲーにありがちな
この主人公からこのような表現が飛び出すと、なにかパラドックスとかそんな単語を彷彿としますね(笑)。
敢えて王道のレールのど真ん中を打ち抜いてきた、といったしたたかさを感じないわけではないのですが、俺が疲れているからか、片頬を歪めてしまう文言が多く目についてしまい、素直に楽しむことができませんでした。
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:2)
- クウが殺されたところでは「お!」と思ったのですが、やはり予定調和的に収束していくのが残念でした。アンドロイドオチ……。いや幽霊でもトリックでもおんなじなんですけど(笑)。実は死んでなくてめでたしめでたし。
カイって名前を見た瞬間、阿藤快の顔がチラついてしまい、オッサン顔の少年がなかなか頭から離れてくれず、どうにも困りました(笑)。
- 35 西と東、白と黒 (採点:3)
- 話の筋としては避けられないところかもしれませんが、登場人物がやたらと西だ東だと比較しているのを見て「いや、意識しすぎだろ」と眉をひそめることがしばしば。特に東の男、んな考えてもどうにもならないことより、もっと重要なことがいくらでもあるだろ(笑)。
どこかの国家、地域間への皮肉と取れなくもないですが、邪推が過ぎるのでやめておきます(笑)。
- 36 ソラアイ (採点:3)
- おや、と目を引く冒頭だっただけに、だんだんとお約束へ収束していく過程が残念でした。
展開は用意されているのだけれどキャラクタの心理がまったくといっていいほど描写されてないので、なにか人形劇でも見ているような感覚に陥りました。読者との距離が近いはずの物語なのに、果てしなく遠かったです。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:6)
- 手コキひゃっほーう!
手コキひゃっほーう!!
思わず二回言ってしまったではないですか。
自宅のふすまで試しそうになった……とか書いたら怒られるでしょうか。ぶるぶる。
手コキひゃっほーう!!!
- 38 山田仁の行き先 (採点:2)
- 推理探偵ものかな、とタイトルから推理して読み始めたのですが、どうやら俺は探偵には向いてない様子。
特殊な三人の普通な会話を淡々と聞かされた末におもむろに散っていったもんで、えっこれだけで終わり?とびっくりしてしまいました(笑)。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:4)
- >もはやはるかなんて関係ない。
なんだよ、この男(笑)。気づくや否や速攻かよ(笑)。
あまりの欲望と行動の直結っぷりに笑いました。
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:4)
- わかった! いや、わかったのか?! わかったのかどうかわかんない!
エピソードがあとふたつ、いやひとつでもあれば、スッと馴染んだと思うのですが……
腑に落ちないのは母についてで、いきなり「人の願いをひとつ叶えられる能力など持ち合わせている」って紹介されても、ポカーンでした。えーと、学校で消えるか消えないかでフラフラしているところを旦那に共心されてからくも生き残ってくっついて結婚までした、つうことなんでしょうか?
てっきり超能力の持ち主は祐矢一人だと思い込んで読んでいたので、一読目は何が起きているのかわからんうちに置いていかれてしまいました。
情報の出し方に問題があったか、尺が足りなかったかいずれかである……と邪推します。エピローグ直前まで正体不明のキーマン的人物がいきなり妻になってるのは、いくらなんでも突拍子なさすぎる(笑)。
- 41 No River to Cross (採点:7)
- 落ち着いた雰囲気が好きです。はじめから終わりまでどっぷり浸かることができました。
文章の馴染みっぷりが他の作品とは一線を画していました。掌編好きな方とお見受けします。
- 42 焚火 (採点:1)
- 野垂れ死に、に一票。
79に繋がったら面白いかもしれない、と思う自分がいます。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:4)
- ダメ人間の集まりだ(笑)。
けれど、ダメなだけに、嫌いにはなれません。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:6)
- ナントイウコトデショウ
劇的BeforeAfter!
彼に会った事によって自身、いや自信を持つことができたのですね。もったいない誤字でした(笑)。
学の浅い俺のような読者でも、「ああ、当時の文章なのだなあ」とやみくもに信じさせるだけの魅力的な文章でありました。
それにしても、ひょっとこはいい口説き文句だ! いや、参考にするかもしれません(笑)。
もっともそそられたタイトル5つうちのひとつです(笑)。
- 45 おかえり (採点:3)
- 今度こそは!と思ってテンション高いときに読み始めたものの、やはり変わらず_ト ̄|○
読んでいて終始、黒板を爪で掻き立てられるようなもどかしさを感じて叫び出したくなってしまいました。
はじめ小学生かと思いました。そして、小学校の6年間でやってみたらどうだったろう、などと考えました。いや、俺はそっちの方がいいかもしんない、と思ってしまったので。よりハッキリわかりやすい形で成長を伝えることができるような、そんなような。
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:7)
- ロケフィンが読みたくて読みたくて仕方なくなっちゃったんで、書いてください(笑)。
ああくそ、なんだろう。痒いところに手が届きかけてるのに敢えて触れずに終わったようなこのもどかしさ。とりあえず、小指にめちゃくちゃ惹かれました、とだけ書いて筆を置きますね。
で、ロケフィンどこに売ってますか?(笑)
- 47 ポテト (採点:5)
- 惜しいけど今ひとつ!
文章自体は好きな部類に入るのですが、思っていたよりも波風立たないまま進んでしまったのがちょいと不満でした。この頭のいい捻くれた男子高校生の煤けた恋愛事情をもっと見たかった(笑)。
- 48 タクシー (採点:2)
- おーい(笑)。
左に――――――! じゃねえよ!(笑)
この出来事が妻との馴れ初めになろうとは知る由もなかった――
などと続いていけば面白いんですが。
- 49 バレンタイン事変 (採点:2)
- いかにも勢いで突っ走ったふうなコメディ。整合性がとれていればそれもいいんですが、不自然かつ強引な展開が目にあまってしまい、さりとて展開以外に見るべきところもなく。俺はちと楽しめませんでした。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:5)
- いい話だなあ、とは思うものの、他に残るものがない(笑)。
はじめ「2月30日に板チョコ!? 馬鹿な、これが噂の幻のバレンタインってやつか――?」と戦慄してしまいましました。いいんだ、チョコなんて食べたら太るじゃないか。
- 51 夏の風 (採点:1)
- どこのエロゲの体験版だよ、これ(笑)。
残念ながらプレイする気にはなりませんでした。
- 52 豚 (採点:5)
- ε ⌒ヘ⌒ヽフ
( ( ・ω・) ブヒッ?
しー し─J
いやー、手記だったとは。って一番はじめに書いてあるし!
退屈とは無縁で興味深い内容でした。独善が全面に押し出されていていいなあ。人間くさい。
もっともそそられたタイトル5つうちのひとつです(笑)。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:5)
- 今回唯一のハードボイルドかもしれない(笑)。
その手の話としてはノーマルな展開にも見えましたが、この作品群の中にあっては十分楽しめました(笑)。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:8)
- すなおに読んで思ったことを書くと「なんだかよくわからないまま終わってしまったけれどいい感じだった」という人生二回目の合コンの感想みたくなってしまいます。こいつは困ったぞ。
寓意については読み取れなかったし、そもそも込めているのかどうかもわかってないんですが、好みかどうかと聞かれれば間違いなく好みだし、読んでいて非常に楽しかったです。
作者さんの世界が独特すぎて突き放されている感がしなくもなく、踏み込みにくいんですけど、この流暢で洗練された日本語を遠巻きに眺めてるだけでも、かなりの役得でした。
もっともそそられたタイトル5つうちのひとつです(笑)。
- 55 饗宴 (採点:6)
- えーと……えーと……なんだったかな…………
…………
あ、そうだ、わかった!
ドラクエだ!
ドラクエでしょこれ!
なんかすげーしっくりきちゃったんですけど、どうしましょう。
現代文>>本作>>>>古文≧漢文
といった位置づけでした。はじめは、なんじゃこりゃ、わかんない単語だらけだ!ってなったんですが、漢文の試験の要領で読み解いていったらなんとかなりました(笑)。その、えと、多分。
- 56 Show must go on. (採点:2)
- ただダチが四人集まってワイワイやった、という話だった方が評価は上がってました(笑)。
真相に魅力がなく、最後で一気に興醒めしてしまったので。
- 57 エース (採点:8)
- うーん、ちくしょう、泣きそうになってしまった(笑)。
ミニバス時代を思い出して、こう、ホロリと。
くそ、いいなあ。懐かしい!
- 58 飽くなき赤色 (採点:1)
- 読んでいて終始、演技下手な声優を我慢しながら吹き替え映画を鑑賞しているような、そんなもどかしさが消えませんでした。
- 59 Day after tomorrow (採点:1)
- 冒頭で、お、劇の練習でもしているのかな、と思ってしまいました。
あれが素かよ(笑)。
この語りっぷりはすごいですよ。一人でぺちゃくちゃぺちゃくちゃよくもまあ……ちょっと尋常じゃない。絶対ナルシストだよ、この男(笑)。
このナルっぷりがひたすらアレルギーで、ある意味、一番読むのがたまりませんでした。
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:4)
- うわぁぁぁぁぁ?!?
誕生日に女ものの下着をプレゼントされるのか戸城このやろう――――!!
ゆ、ゆゆ許せねえ……!
羨ましさのあまりにどもってしまった!
いい彼女だなあ(´・ω・`)
- 61 山小屋語り (採点:6)
- はい、あなたがもってまわった話し方をするものだから、あなたが本当は人殺しで、私のことも殺そうとしているのかと思いました! だから殺そうと思いました! 悪気はありませんでした! いや悪気はあったけど、勘違いでした! ごめんなさい!
……とか何とか。
老婆かと思ったら、産み落とした血がまだ乾いてないくらい若かったなんて。堕ろした直後ということは、まだ17かそこらでしょうか? びっくらこきました。
でもこれは自業自得に思える(笑)。
- 62 格闘少女 (採点:3)
- 一番面白かったのが冒頭で、あと全部いらねえYO、と思ってしまったんですが、どうなんだこれ(笑)。
あんな濃いキャラ付けしといて懐古しかしないなんてあんまりだ(笑)。
- 63 未来視の見る夢 (採点:5)
- 完成度高いなあ、と思いました。こういう作品が1位の座につくのが相応しいように思えます。
俺はぼへーっと口を半開きにしながら読んでしまいましたが(笑)。完成度が高すぎるというのもまた不満なクチでして。嗚呼、読者ってなんてワガママ!
まあ、俺ひとりがこの点数でも上位いくでしょう(笑)。
- 64 ブランコ (採点:2)
- 夜更かしして寝坊したから遅れた、ではなく、翌日の待ち合わせの時間までプレイしっぱなしで遅れた、というところに芸の細かさを感じました。待ちに待って購入したRPGなら高確率でそうなりますよね。ぜんぜん浅くねーよ、これほど深い理由もねえよ!と男側が心の中で絶叫してもこの感情は同士にしかわからないのであった(笑)。いやーでもFF12は期待していたのにアレだったなあ、と作品に関係のないところで愚痴をこぼす俺。平謝。
作品はといいますと、ブランコと彼女との関連性が取ってつけたようで薄く、「ただ待ちぼうけを食わされた話」で終わってしまっているのが残念です。
- 65 金曜日のつめきり (採点:10)
- 空気に魅せられました。すげえ好き。
絶妙な語り口がたまりません。日常の気だるさがそのまま文字に乗っかっていて、なんとなく始まって、なんとなく進んで、なんとなく終わる。具体と曖昧の真ん中を右往左往している独特の浮遊感があって、何もかもツボでした。
センス抜群です。GJ!
もっともそそられたタイトル5つうちのひとつです(笑)。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:2)
- やっぱり会話文って重要だよなあ、と再確認した話でした。
一切の台詞を排して懐古調で語られているのは意図的なのでしょうか。その夏に何があったのかはわかりましたが、はじめから終わりまで、肝心の彼女の顔も観測者の顔もモザイクがかかったまま晴れることがありませんでした。百聞は一見になんたらと言いますが、事実のみをひたすら並べ立てる観測者から自身や彼女の断片的な情報は窺えても、それが映像に結びつかない。結果的に感情移入もままならないまま真相を迎えることになり、あー、そういう話だったのかあ、とぼへっと眺めながら終わってしまいました。
構成にも不備が見られるように思います。こういった真相を用意するのなら、せめて序盤にそれとなく匂わせる記述があればまた違ったのですが。爽やかな話かと思いきや、脱走から旅がはじまり、何の目的なんだろうなあと思っていたら捕まりました。そして彼女は死にました。それがあの夏でした。ときて、ラスト二行。急展開に過ぎてついていきかねました。
あと、文章が、なんだか無理して書いてるなあ、という印象を受けました。小難しくこねくり回した表現が目立ち、これ意味わかって書いてるのだろうか、と疑問に思いながら読む調子でした。手に馴染んでない感がたっぷりです。
- 67 世界一の小説 (採点:5)
- うはは、なんとも強烈な皮肉だ(笑)。
要するにふたりともマイノリティへ突っ走ってしまったわけですな。
合掌!
- 68 両手いっぱいの花を (採点:3)
- ちょっとうつくしすぎて、蹴散らしたくなりました(笑)。
ヒルデの死は実はハイン氏とグルのドッキリで、アルフだけが騙されたままポックリ逝ってしまった、という展開ならば最高でした。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:7)
- 読了直後に感想を求められたら「ギャハハハハハハハ」としか言えません。
久しぶりに爆笑しました。なんだこの絵は(笑)
結合したまま空に落ちていく光景が馬鹿すぎます。
条件1 セックス・オナニー経験済
条件2 童貞、処女、オナニー未経験
条件3 未精通、未初潮
ということでしょうか? 部員9人がみんな自慰してないってのはなんか不自然なんで違う気もしますが、まあいいか(笑)。貫通・射精したら空に落ちたって事実が笑えました。
タイトルの叫びが笑えて仕方ない(笑)。
もっともそそられたタイトル5つうちのひとつです(笑)。
- 70 アリス (採点:4)
- 前半のファックミーでめちゃくちゃ期待したんですが、竜頭蛇尾というか尻すぼみで肩透かし気味に読了してしまいました。特に最後が残念でなりません。思わず、だからなんやねーん、と関西人でもないのに突っ込んでしまいました。なんでそんな「やっちゃいけないラスト集」から選んだように安っぽいところへ着地なさるのか。作品自体もアリスみたくロックでパンクに、とまでは言いませんが、そんな彼女を書けるくらいだから、もうちょっとやりようがあったのでは、と思うところであります。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:4)
- なんだこれは(笑)。
いや、ほんと、なんだこのオチは(笑)。
動物園ってどっから出てきたんだ……
そんなに動物が好きなのかこの人……
俺のゾウさんでよければ見ますか……←
ここまで書き散らし感ただよう作品は初めてでした。「同でも良いい」。とかあったよ!
非日常性の演出のためだと思うんですが、珍妙な設定があって、それを語るのはいいんですけど、ラスト三行とまったく繋がってないのがどうも致命的でした。
「でも」じゃないよ(笑)。それまでの文章が逆説に対応してないよ。嘆いてないで行きたきゃ行けばええやん(笑)。いい天気なんだから。国に封鎖されてるとかそういう描写もなかったので、別に普通に開園してるんですよね?
キリンさんがすきです。でもゾウさんのほうがもっとすきです!
- 72 月時雨 (採点:3)
- 自殺願望者を止める事についての是非を、小学校の道徳の授業で議論したことがあるのですが、本作を読みながら、そのときの場面をなんとなく思い出してしまいました。確か俺は「止めるってやつは何様のつもりだ?」という立場だったかな(笑)。
余談になりました。さておき。
初っ端からものすごい酔っ払った文章に見えて瑪瑙とか読めねーよと切れ気味に読んでいったんですが、それは序章(?)だけで、あとは普通に読めました。文章は洗練されていると感じましたが、内容はないよう。この話はどこへ向かっているのかなーとつらつら追っていったけれど、静かに始まって静かなまま進んで静かに終わり、彼女の中ではなんか大変なことになってるみたいですが、それさえも静かに語られているのでいまいちピンとこず、終始半眼で眺めている調子でした。
- 73 14文字の涙 (採点:5)
- 変にとんがってなくて好印象でした。話そのものにはそれほど惹かれなかったんですが、台詞や文章が自制されながらも冴えていて好みに近く、読み進めること自体が楽しかったです。
- 74 魔女の岬 (採点:5)
- なんだろう。いい話なのだけれど、足りない(笑)。たぶん完成度が(笑)。
どこが悪いと指摘することはできませんが、おそらく筆者が一番わかっていると思うので(笑)。
- 75 夜の夜 (採点:6)
- おー。これは色々と考えさせられるお話でした。筆が抑え気味で落ち着いて読むことができました。いや、読みながら落ち着くことができました。
死というものが確実に見える。
人間全員がそうなったら、社会はどうなっちゃうのだろう。
なんて考えました(笑)。
10秒ほど考えたところ、うっわすげえやりにくいわー、という溜息が出ました(笑)。
- 76 Another (採点:1)
- オチで墜落(笑)。
寒気が走った……
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:1)
- な、なんてうざい女だ…………
何度拳を握り締めたことか(笑)。
- 78 君が星を手にするとき (採点:4)
- ぬーん。
実際に宇宙飛行士の息子を持つ親の気持ちはこういう感じなんだろうなあ、と素直に思えました。
個人的にはあまり宇宙に熱意はないので、父親のテンションについていきかねるところも。
- 79 奥の細道 (採点:5)
- なにやら空恐ろしい感情に教われ、いや襲われました。
作中で、どこからどこが回想なのかそれとも妄想なのか、兄妹が何歳なのか、時系列がどうなっているのかなど、何がなにやらサッパリわかっていないんですが、最後の光景だけいやにくっきりと脳裏に浮かび上がってきて、背筋が震えました。
○渡部初貴 さん
- 02 黒船 (採点:4)
- ジ:ジョン 学:学者 ト:トム
ジ「論理学ってのはどういうものなんです?」
学「やってみせましょうか?」
ジ「お願いします」
学「おたくの家には芝刈り機があります?」
ジ「あります」
学「ではおたくの家には大きな庭がありますね?」
ジ「YES! 大きな庭がありますぜ!」
学「ということは一戸建てですね?」
ジ「YES! 一戸建てですぜ!」
学「家族もいますね?」
ジ「YES! 妻も子供もいますぜ!」
学「ではあなたはゲイではありませんね?」
ジ「YES! ゲイじゃありませんぜ!」
学「芝刈り機からあなたがゲイでないことがわかりました。これが論理学です」
ジ「なるほど!」
深く感心したジョンは早速、仲のいいトムに教えてやろうと思った。
ジ「論理学を教えてやるよトム。君の家には芝刈り機があるかい?」
ト「あーないね」
ジ「……つまりあれか! 君はゲイだな!」
って話を思い出した。
文章が安定してて安心して読めた。会話文が自然でよかった。ただ、自然過ぎるせいで展開がまどろっこしく、転調もないので全体を通して退屈だった。
- 06 For tune the rainbow (採点:7)
- 抑えた文章が良かった。ちょっと描写を選びすぎてる感はあったけど、好きな系統の描写。
多分誰よりも、
「来るのは男の方だとばっかり。残念なような、嬉しいような――」
という文章にやられた。物語という必然ではなく、確固としたお嬢の心情と、作者の根底がここにあると感じた。むっちゃ好きだ。
残念なのがピアノなどの小道具が、いかにもお嬢然とした使い古されたものを持ってきたから。そこまでお嬢様然とした記号が彼女に必要だったのだろうか。そんなものなくても、俺はこの作品を評価したのに。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:2)
- 人物、物語とも致命的な欠陥あり。
キャラが物語を進めるためだけの存在になっている。人間味がなさすぎる。
物語としての一番の欠陥はソウルイーター封印の不自然さ。自分が魔王でいる必要があるのだから、自分で持っておくべきだと考えるのが自然。スレイルはたまたまそうでなかっただけかもしれないが、この作品の構造上、かつての勇者達の誰1人として刀を手元に置いておかなかったのはどうしても納得できない。勇者はアホばっかですか?
大根役者が演じてつまらない劇がより一層つまらなくなった、という以外にない。
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:6)
- えらいの持ってきたな、というのが素直な感想。
確か「ヌーヴォーなんとか」か「なんとかヌーヴォー」だとかいう手法(?)だったと頭の緩い俺は記憶してる。記憶のフチにひっかかってただけで生涯読むことなんてないと思ってたんだけどな。しか16KBで。ただひとつ言えるのは、なんとかってところに「ボジョレー」が入ることはない、ってことだ。正確な名前を調べようとググってみたが打ち間違えて「鬼の手」が一杯出てきたので今回は縁がなかったと思って記憶そのままにしておく。
俺は作品というのは完結してなんぼだ、というポリシーを持ってる。作者さんがヌーヴォーを意図して書いたのかはしらんが、俺はそう判断した。そしてそうであるなら、作品の過程や結末はいくつもみつかる。極論で言えば読んで考えた人の数だけ存在する。これを書いた手腕というのはもう絶賛物なのだが、この作品に10点をつけるというのは、自画自賛にも似た気恥ずかしさがあり、「作品は完結してナンボ」という信条に反する行為でもあるので6点とさせてもらう。
クソ、ポリシに反してるのに6点もつけるの悔しいな
- 09 テロリスト長沢 (採点:4)
- 中身はそこそこ面白かったですよ。ネガティブなキャラがね。ただまあ、これ一番重要なところ書いてないんだよね。身も蓋もない言い方すれば、この作品は誰にだって書ける。これをコンテストに出せたということと、思考アウトプットの流麗さに小さな個性は見られたが、まだ本物の個性だと断じることはできない。唾を吐きかけ扉が閉まったあの後をどうクオリティを保ったまま描写するか。この作品を書くのとは違いこれは相当に難しい。万が一それが作者に書けるなら、僕は新しい才能の発掘を心から喜びたい。ただまあ、やっぱあのオチは逃げ以外の何者でもない。あれからどうなり、この作品に何を込めたのか、明確な作者からの答えが欲しい
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:3)
- 若いね、うん。若々しいですね。でもそれだけだな。
こういうのがスレてるって言われる原因なのかもしれないけど、こういうのに、俺は決して郷愁を覚えたりしない。羨ましく思うこともない。綺麗過ぎて息苦しいからね。これを楽しめる時代をもうとうの昔に通りすぎたんだな、多分。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:3)
- よくできてるけど、飽きた。前もこういうのあったな、名前忘れたけど。なんだっけかな。ガルフォード空へ?
とにかく、異常な状態に対する異常性が一切感じられないのがつまらない。ただいい話であるのは退屈極まりない。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:4)
- 毎回毎回濃い作品の前後に置かれる男だな。
抜群に巧いとは言えんが、客観(と言っていいのかわからんが)を取得した僕の一人称としては充分に及第点に達していると思う。客観の意味が俺の認識する客観と違っていて距離感にどうしても納得できんが。
一応これは客観を手に入れることの成長小説ということになると思うのだが、勘違いのまま先走ってるように思うので言っとくと、客観ってのは本当に自分を一歩後ろから見ることじゃなくて、冷静に自分の行いやら考えやらを回りの人間からみてどう受け取られるだろう、とあくまで主観に則して考えることだ、と俺は思ってる。何がいいたいかというと、相当に作者の成長観歪んでますぞ。いや、あくまでこの作品の場合だが。
ただそういう風に書いた、という可能性を否定できんので先に進むが、保健医と話しただけで悩み解決、ってのは安易に過ぎる。保健医のセリフにそう思わさないだけの説得力もない。
あと、どうでもいいことだが「保険」の先生ってなってるのがなんか意味あるのだろうか。保健室って変換したあとに保険の先生だから気になる。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:1)
- タイトルのセンスのなさから予想はしてたが実につまらん。目立つ事が目的なら、俺が読んでしまったことで目的は達成されてるわけだが、意味があったのかは甚だ疑問。疑問といえば作中にやたら入る改行もそうだし(ナイトメア)もそうだしタイトルの挿入もそうだ。とにかく意図が掴めん。ギャグか? そうであっても『動物園に〜』より数段劣る。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:3)
- 良くも悪くも恋愛ラノベのテンプレだな。
可もなく不可もなく。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:2)
- 潔癖過ぎ、一義的過ぎ。それを面白いと感じさせる新鮮さも、納得させる説得力もない。
死を避けるには→正の運命要素を生み出す(いいことをする)というのは、「ああ、そういう設定なんだ」と理解できるが、たかだかガキの「ありがとう」の書置き程度にどれほどの価値があるのかよくわからん。
居眠り運転で事故、というのは確かに自業自得だけど、ドライバーは怪我してるかもしれないし、死の恐怖におびえてるかもしれない。救急車を呼んだ、と励ましたり安心させてやることは、ガキの風船よりも価値のない行動なん? 二時間黙々とゴミを拾い続けるのはそれほど無価値なことなん?
- 20 今日見る明日 (採点:1)
- 全ての面において及第点に達してない。どこみても欠点なので角度角度の相乗効果でつまらなさ倍、更に倍って感じ。
『話し』や『ニヤニヤと少女はからかうような笑みを浮かべているを見て』など書きなれていないことが明白な文章。
少年と少女の間柄からして不明瞭な設定。幼馴染とあるのに、
「はぁ、よく俺も同じだってわかったな。クラス違うのに」
「もちろん乙女のカンに決まってる」
とか不自然でしょうがないだが。アンタのことくらい顔みりゃわかる、とかのほうが色々と便益あるんじゃねえかというかそう言われたい。俺が。
内容はない、と言い切れるほどに希薄。
パソだから堪えたけど、文庫なら間違いなくぶん投げてた。そんくらいつまんなかった。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:1)
- これだけはあって欲しくない、と願ってさえいた紹介文持ってきてくれてありがとう。
つか、こういう初心者なんですぅって表記をするのって、初めてにしては上手いね、とか言ってほしいのか? それとも酷評は勘弁、ってサイン? 他の理由思いつかないんんだが異様なほどにムカつく。順序を間違えんで欲しい。作者は作品よりも後。作品を読んで、初めて作者に興味持つ。
今のままでも充分に、少なくとも俺よりは上手いけど、今回に関しては断トツの最下位候補。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:3)
- 序盤と中盤に丁寧語でやたら説明口調入るのはなんか意味あんのだろうか。かなり冷めた。あと、ラストが都合良過ぎるな。告白相手が他人と話してるときにいきなりよびかけて告白して去っていくって不自然すぎるんだが。
そこを除けばそれなりに書きなれた文章で、割かしスラスラと読めた。
よく言えばポップで、悪く言えば薄い。
- 24 結婚適文句 (採点:8)
- 俺が読んだ中では上位最有力。
ユニークでインパクトのある登場人物、小気味いい文章のリズム、考えられた素直な構成、纏められた会話、流れるように柔らかな空気と、減点の余地がない。作者が竹ちんでさえなけりゃ10点つけてたな。
竹であるが故に、ブランコの隙間に入り込むってとこと部長のとこだけがノイズ(世界にそぐわない)と感じる。各所にちりばめられた小ネタが柔らかい空気を作るのに一役買ってるのは間違いないが、やるなら統一すべきだと思う。それをするだけの力も十二分にあるんだから。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:2)
- よくも悪くも超王道。作品のキモは語り手にあると思うんだけど、それすらもテンプレの域を出ない。なまじっかおにゃのこを語り手にしてしまったせいでつまんなく纏まっちゃってんだな。
『ドMとショタコンのカップル爆誕。ゲロしゃぶだよキミたち。』
とか、普通使われない、意外な単語使って欲しかったな。
別に、おにゃのこにゲロしゃぶ、と言われたいという願望があるわけじゃないよ?
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:3)
- オチが陳腐。他にも気になった点がいくつか。
高校生を働かせるってことは真っ当な店ではなく本番もしくはそれに近い内容の店だと推理できる。真っ当な店だったらメリットほとんどないからね。で、風俗に売ったのが返済にほとほと困った親か消費者金融なのかはしらんが、後者は傷つけるような真似せんだろう。親の場合はなんともいえんのだが、そうなると心中相手がわからん。
あと、素朴な疑問として昼も夜もなく体を合わせていつ体売ってたんだろうか。
同情買うために考えついた不幸を詰め込んだだけにしか見えん。
- 31 正義の味方の悩み (採点:2)
- ラノベライズされすぎで登場人物に魅力がない。ラノベってのは結局のところカリカチュアの大小に行き着く。強烈な個性としての言葉遣いってのはそれの最も顕著な現れだろう。一概にラノベが悪いとは言わんが、今回のはラノベの派手な部分だけ抽出、劣化させたもんにしかみえん。台詞回しを除けば全員が同じ思考パターンだし。台詞回しのみで書き分けてるから、似たキャラがいれば設定とは無関係にソイツとダブる。あと、とあるキャラが古泉に思えて仕方なかった。
分かりやすい台詞回しによる書き分けでなく、単語のチョイスや思考による書き分けを学んで欲しい。
構成も相当酷いがまあキャラの造形に比べればまだマシか。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:4)
- 感想を一言でいうと「飽きた」。
本人もわかってると思うけど、もうテンプレ化してるんだよな。男とおにゃのこの構図もまんまゲイシャガールの焼き増しだし、タイトルがアホっぽくて読めばしんみり、って構図も毎度のことだし。数こなせば効用が下がる事考えれば劣化してる。
目を見張るような飛び抜け具合もないし心に響くようないい話でもないし中途半端。土台が出来てるだけに余計につまんないのが目立った。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:3)
- 名前なんだっけかな、頭の悪い下級生。彼は結構いい味出してた。けど、小ネタに化学使ってみたー、ってただそれだけだな。
BLにする意味もわからん。おにゃのこ出しても問題はなかった気もする。が、あえて需要のない方に走りこんでしまうバカさは好感触。
が、やっぱ下級生はおにゃのこの方がよかったと思う。
これは俺が頭の悪いおにゃのこが好きだというわけではなく、おにゃのこの告白というパフォマンスにより、BLの持つ忌避性ともいうべきタブーと、オチをより強調できたんじゃないか、と考えるからなんだよ?
- 48 タクシー (採点:5)
- 自殺+保険=保険金0ってのはどっかで決まってんのか? あまりにも多すぎて食傷気味なのだが。
確かに商法だと、自殺の場合は保険金を支払わなくていい、ということになっているが、大抵の保険会社は顧客獲得のために法緩和させてる。もらえないことがあるのは否定できんが、今回の状況での確率でいうなら最低でも7割超えるくらいの確率でとれるはずだ。多分オチの後の保険金は下りないけどな。
文章と構成に問題はない。自分勝手で浅はかな人物による後味の悪さってのは嫌いじゃない。
減点分は全てありきたりな設定状況からくるありきたりなストーリーによる面白さのなさだな。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:6)
- この作品とは全く関係ないけど、タイトル見た瞬間、最中さんの『13月になれば君に贈りたいものがあるんだ』を強烈に意識した。俺はあの作品が大好きで、タイトルを見た瞬間の、退廃性を孕んだ停滞への期待を今でも覚えてる。作品はその期待を裏切らなかったし、13月を語ることもなかった。俺にはそれが堪らなかった。
同じ、存在しない日付なのに、(仮置きされた位置は違うとはいえ)今作にはそれほど心動かされなかった。相沢の各作品に見られるように、文章はスムーズで雰囲気は抜群に好みだけど、上手い下手で言えば下手くそ。読めば2月30日がチャコと過ごした時間なことくらい誰にだってわかる。連呼する意味がわからんし、伝えようとする作者の意図が見えすぎて見苦しい。今までの相沢作のそここそが俺は好きだったんだ。
もっと読者を信じてもいいと思う。今、伝わらない言葉に辟易しているのだとしても、伝わる事がいいことばかりじゃないんだから。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:7)
- いいな、これ。
過度な装飾の中にチラリと臭わせる気弱な心情の変化がたまらない。
こいつに必要とされたい。必要とされる妃芽子であったなら、そんな妄想。いいね。全てがオナニーだという退廃性がたまらん。相変わらずツボついてくる人だな。
- 57 エース (採点:5)
- 野球とバスケ(ストリート)は本気でやってたので、アルバムをめくるように読めた。故障でプレイ出来なくなったので、スポーツさえあれば生きていけた時代が懐かしく思える。
けどそれだけで、作品を楽しめたとはいえない。俺が読んでいたのが俺の記憶なのか作品なのか。それがはっきりしない。試合の描写が淡白で、緊張の糸で縛りつけるような束縛感が皆無なのが理由なんだろうな。やっぱ真剣にプレイした者として、読者として、自分の記憶にない手に汗握る感じはほしい。
憧れが同居してるとはいえ中途半端に恋愛要素が混じったのは減点対象。容量的には仕方ないのかもしれないが恋愛もスポーツも試合も全部中途半端に思える。エースになりたい、誰よりも上手くなりたい、と焦がれる主人公を前にして、その中途さはあまりにも痛い。
スポーツに打ち込んでるとき、少なくとも俺はおにゃのこの事を考える余裕はなかったからそう思うだけかもしれないが。
- 65 金曜日のつめきり (採点:7)
- いや、なんてーかね、これすごいデジャヴ。
文章力とかは比べるのも失礼なくらい作者さんのが上なんですが、人称に「僕」と「俺」を入れちゃうミスにすごいデジャヴ。俺も一回目にやっちゃったんだよね、これ。
作品自体は、すごく好き。語り手と人物との距離感とか絶妙。なんでこんなの書けるんだろ。
- 67 世界一の小説 (採点:2)
- 文頭空けの不統一や不自然なほどに使われない漢字など、この作品こそが作中の作品を表しているんだ! とかいう事実もあるかもしれないが全力で釣られてみる。
簡潔に言ってつまらん。文頭の不統一や狙ったんじゃないかと邪推してしまうほど多い平仮名が読みづらい上、意味があるとは思えん。自信「まんまん」にはちょっと笑ったが意図した結果じゃないだろうな。
セリフがあまりにも下手。どうやったらこんな不自然な会話になるんだ。頭いい人物のセリフとは思えんのもよく出てくるし。プロをへたくそばっかりだと貶した相手からプロにだって負けちゃいない、とか言われて嬉しいか? 物語も実にありきたりで、創作してる人間なら一度は考えそうな話で面白みがない。
出来自体の評価は文句なく1点なのだが、
『……ある日ぼくは朝ごはんの食パンを見た瞬間、服を脱ぎ捨て全裸で旅に出ようと思ったのさ。』
『……そのひと言にぼくは、まるで月と木星と冥王星が同時に爆発したような怒りにおそわれたんだ!』
『……そしてぼくは最後に、じぶんで右腕を切り落としたんだ。なぜなら世界は、三角すいのようなものだからさ。 …End 』
逃げることなくその『世界一の小説』をピックアップしてくれた無謀な勇気は評価する。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:5)
- 書きなれていないのが明らか。前半と後半の重要度の差が大きすぎ、ペース配分を間違えている。簡単に言って前半いらない。最期の一文も余計。
もしかして、
「で、出る」
「は、早すぎる」
というあまりに冷静すぎるツッコミが表すように、もしかして全体を通してギャグとして作られた作品なのだろうか。名前もP子やらQ子やら適当だし。まあ俺はそう見なかったわけだが。
キャラの名前が適当なのは、自分で考えた名前のキャラが強姦やらの憂き目にあうのが辛かったから、という甘さを感じたからな。
ダークな終わりは結構好みだ。精通がまだ来てない彼が本番経験しようとしたら幼女と無理矢理するしかないってところの作者の黒さが垣間見えて楽しかった。
- 70 アリス (採点:採点なし)
- オチがいまいち。というかすごい不満。
なんでこんな当り障りのないところに着地してしまうんだろう。
せっかく他のラブコメと一線離れた空気持ってたのに、ただのラブコメじゃないか。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:5)
- 男前過ぎる。嫌いじゃないけど、深みがない。
- 74 魔女の岬 (採点:6)
- 個人的には、青い破滅ってオチを持ってきて欲しかった
- 75 夜の夜 (採点:6)
- 相当書きなれた作家さんだと予想。設定も構成もしっかりしてるし、結構上の方にいくと思う。が、俺には相当なストレスだった。
俺が関西のせいかな。セリフがすっげえ違和感。時代がかってるだけで関西弁じゃないのかもしれんけど、すげえ冷めた。
ドラマとかで妙な関西弁が聞こえるだけで全てがどうでもよくなる俺ですよ。
○匿名感想 さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:2)
- すみません、私には理解できませんでした…
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:?)
- 作品としてはいい。メッセージ性も伝わりますが。この作品は「小説」ではなく「詩・エッセイ」であるという見解です。単純採点では5点ですが、小説こんぺである以上、今回は採点を放棄させていただきます。
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:6)
- 描かれたものはとても綺麗だと思います。
- 02 黒船 (採点:8)
- とにかく、とても面白かったです。オチもついてるし。
こういう作品はweb小説界に珍しいので、応援します。
がんばってください。
- 02 黒船 (採点:?)
- ノリがよく、読みやすい仕上がりだったかと思います。お後もよろしいようで。
- 02 黒船 (採点:7)
- 笑わせていただきました。ちょっとオチが弱いと感じられたのが物足りなかったですけど、面白かったです。
- 03 遵守 (採点:10)
- 引き込まれる上手い文章、二転三転して綺麗に終わる物語。
どれも素晴らしかったです。面白かった。
- 04 海神の矛 (採点:8)
- 読み終えたあと、色々考えてみたくなりました。
良かったです。
- 05 理屈じゃないこと (採点:6)
- 雰囲気は良かったですけど、二人が別れを選んだ理由も語ってほしかったです。
男女の仲が終わる理由なんて下手したら当人たちも分からないものだと思いますが、小説だったら「理屈じゃない」で片付けてはもらいたくなかったです。
- 06 For tune the rainbow (採点:6)
- 読み終えたあと、紹介文の意味が分かりました。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:10)
- RPGをプレイした人なら一度は感じる疑問だと思います。
アイディアとしては珍しくないかもしれませんが、完成度がすごい
- 08 パースペクティブ過剰 (採点:5)
- ページを開いた瞬間、「うわっ」と思いました。
一文が長く、しかも改行が少ないのは作者さんの意図でしょうか。
残念ながらぼくには合いませんでした。
- 09 テロリスト長沢 (採点:5)
- 文章が好きでした
- 09 テロリスト長沢 (採点:?)
- これテロリスト違う。
典型的な毒男系電波を描いた話。不毛を視点として描いた話は中々嫌いじゃありませんでした。
- 09 テロリスト長沢 (採点:1)
- 鬱屈を抱えただけで思想すら持ってないテロリストは醜悪なだけだと思います。
ぼくは長沢ではないので、そんな奴を笑うことはできませんでした。
- 10 いろはの森 (採点:7)
- 驚きは無かったですが、まとまった良い短編でした。
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:3)
- なんか読みづらかったです
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:6)
- 和やかなのが半分、まどろっこしいのが半分な二人でした
- 12 フォーカス・レンジ (採点:5)
- 奇蹟が起きるのはいいんですけれど、起きるには理由があるはずだと思うんですが、どうでしょう
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:4)
- 結局「だれか」だれだったんでしょう。
尻切れで終わった感があります
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:4)
- 岩井俊二の作品とタイトルが似ていますね
- 18 生命 (採点:2)
- 申し訳ないです、全く分かりませんでした。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:6)
- 主人公が天使に影響を受けていく過程は、とても丁寧に書かれていると思います。
ただ、読み終わって序盤だけ少し浮いているような印象を受けました。描写がそこだけ妙に細かいと言うか何と言うか。後はもう少し何か新鮮味が欲しかったですね。
文章力はあると思うだけに、惜しかったと思います。
- 20 今日見る明日 (採点:6)
- 雰囲気は好きです。
- 21 雪国 (採点:?)
- 残念ながら訴えたいものが何ひとつ伝わってきません。どんな話だったのか説明を求めます。ゆえにこの配点となります。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:4)
- これ何てエロg(ry
お約束どおりにまとまってますけど、これ短編というより連載物の第1話ですよね
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:5)
- 後味悪いの好きなんですが、嫌いなタイプの後味の悪さでした。
私のコメント、意味分かりませんね。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:7)
- そこで終わってしまうのですか……
うーん……明日になったら呪文の効果が薄れているような気がします。というか、そうであってほしい。
- 24 結婚適文句 (採点:7)
- バカだなぁwww
面白かったですけど、ギャグをつめ込みすぎてお腹一杯になりそうでした。
特に冒頭のがインパクトありすぎたんで。
- 25 マージアここに在り (採点:6)
- すらすらと読めましたが、すらすらと読め過ぎる気もします。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:5)
- あまりに難解でした。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:5)
- 3人の中で一番まともな人間は石郷岡さんだと思いました。
というか、本当にハッピーエンドなのか、これw
- 28 Forest Note (採点:6)
- 彼女は、主人公のためだけに生まれてきたんですかね。
まぁ……それで二人とも幸せだったならいいのかな
- 29 Blind (採点:?)
- 切ない話ですね。ぶっちゃけ好意と性の相性が合わないという理屈ですが。
書き方が上手いので引き込まれた感じでした。
- 29 Blind (採点:4)
- 「10代でもカップル間のHは当然」という考えについて、真正面から疑問をぶつけた作品――――と思ったら、4章以降に唖然。
ぼくはこんな経験は無いので想像するしかありませんが、レイプされてこんな風に考える女の子っていますかね?
- 31 正義の味方の悩み (採点:6)
- えらくヘンテコな青春物だと思いました。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:8)
- 笑いました。あの紹介文からどうしたらこんな話に変わってしまうんだ。
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:3)
- これ何てギャルg(ry
まぁギャルゲなのは構わないんですが、お約束すぎるかと。アホで荒唐無稽な主人公とか、素直じゃない幼なじみとか。
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:5)
- オチが台無しにしてる気がします。
心は心でも「心臓」が無い少年というオチは、なんかすごく間が抜けてるような
- 35 西と東、白と黒 (採点:3)
- 寓話っぽいですけど、結論が読めてしまいました。
「区別はできますか?」と紹介文にありましたが、区別することができないという前提で話が作られていては読者にはどうしようもありません。
- 36 ソラアイ (採点:5)
- 良い話だと思います。
もっと山場があれば盛り上がったかと
- 37 零光年先の、彼女 (採点:7)
- 好き嫌いのわかれそうな話ですね。
ぼくは面白かったです。「よりによって手○キじゃなくてもいいだろ!!」とは思いましたが。
作中のような時代になったら、本当にやろうとするカップルも多いのかもしれませんね。
- 38 山田仁の行き先 (採点:8)
- 生き方に迷う青年が、迷いや悩み、決意を幽霊に語るというシチュエーションが面白かったです。
青年と同じ立場の、青年の悩みを体験する前の子供も登場しているのも上手いと思います。
読み終えたあとにもう一度紹介文を読むと、「なるほど」と思いますね。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:7)
- オチがw
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:2)
- BLなのは構わないんですが、ギャグなのにもう一つ笑えませんでした。
あのオチも意味がわかりません。
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:3)
- 身もふたもないことをいうと、学園モノのギャルゲみたいだと思いました。
後半の視点が飛びまくる展開は、驚かされるというより読みづらかったです
- 41 No River to Cross (採点:5)
- 設定が面白いです。文章も村上氏のような乾いたリリシズムがあると思います。
が、作中に「物語」が無いように思えました。何かしら表現しようとしているとは思いますが、「それを読者に伝えようとは考えているのかな?」と。
- 42 焚火 (採点:8)
- 救われない話だ……
兄にとっては始まりのつもりだったけれど、妹にとっては終りだった……のかなぁ。
自分たちが目の前の悲劇だけから逃げ出したというのは征司自身も理解していたけれど、でも逃げ出さずにはいられなかった。お兄ちゃんだって子供なのだから。
それを分かっていたから征司は罪を背負い込もうとしているけど、彼に罰を与える大人は多分いないんだろうな。そして由佳は……
――なんてことを思いました。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:3)
- ンギィギシがツボにはいりました。
…弟は?
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:4)
- ごちゃごちゃした思考の渦。鬱陶しい主人公だな(笑
さてこの少年は本当に仮面の外し方が分かったのでしょうか。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:10)
- とても良かったです。
芳乃さんの薫さんへの憧れを、とても美しいと思いました。
- 45 おかえり (採点:8)
- 身もふたもないことをいうと、「Keyっぽい話だなぁ」と思いました。だから悪いって話ではないんですけど。
むしろ丁寧に作られてて安心して楽しむことができました。王道とはこういう物ですね。
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:3)
- 1人称なのに語り手の紹介が無いせいか、読みにくい文章だと感じました。
内容も説明不足だと思います。意図的にそうしておられるのだと思いますが、これで必要最小限なのでしょうかね……?
- 47 ポテト (採点:4)
- 作者さんの都合の良いように話が進んでいったように感じました。
- 49 バレンタイン事変 (採点:4)
- 「チョコレート中毒」という設定に笑うことができませんでした、申し訳ない。
話の筋も予定調和すぎて残念でした。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:6)
- 静謐で綺麗な話だと思います。
- 51 夏の風 (採点:3)
- 「あれ?終り?」って感じでした。
シチュエーションを描くにしてもあんまり短すぎたんじゃないかと思います。
せめて「うだるような夏の暑さ」をもっと描写していれば、アイスを食べるシーンに清涼感が出るのではないかと思います。
……揚げ足取るみたいで申し訳ないですけど、「気温40度のうだるように暑さ」の扇風機の風って、ヌルくてヌルくてとても涼しくないんじゃないですかね。経験談なんですが。
- 51 夏の風 (採点:3)
- オチ無しでしたか
ええ、いも○とが羨ましく感じる年頃です
- 52 豚 (採点:5)
- ひたすら不快でしたが、読んでよかったです。
主人公が「自分以外の人間は全て豚だ!」と信じたがったのと同じように、ぼくは「豚だったのはおまえ(主人公)だけだ」といってやりたい。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:7)
- 海外ハードボイルド好きなのが伝わってきました。ラストにある「大いなる眠り」というセンテンスにはニヤリとさせられました。チャンドラー、大好きです。
情景の描写をより客観的なものにすれば、もっと雰囲気が出るんじゃないでしょうか?主人公の主観・心情が入りすぎてる気がしました。
オチはもう一ひねり欲しかったですね。「ハードボイルドとしては王道」なオチなんですが、予想の1歩先までいってほしかったです。惜しいと思います。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:9)
- 雰囲気に惚れました。
あるいは、主人公とヒロインに惚れたのかも。
ぶっちゃけ、ヒロインがどうなったのか、ぼくの読解力ではよくわかりませんでしたが。
- 55 饗宴 (採点:5)
- ……紹介文に挙げられている文献って、実は作者さんの創作だったりして。
本文は艱難辛苦に満ちているというか、読者に理解してもらう気が感じられませんでした。良くも悪くも、読者に叩きつけるような作品だと思いました。
- 56 Show must go on. (採点:5)
- 友情がテーマだと思ったんですが、背景を知らない人物たちの同窓会を見せられても、なんだかピンときませんでした。
また「実は主人公は幽霊だった」という真相は、必要だったんでしょうか?
オチになってるだけだと思えました。
- 57 エース (採点:9)
- 青春ですねぇ。まぶしい(笑
彼らの高揚感がこっちにまで伝わってきて、読み終えたあとは胸の奥がスーッとしました。
ちょっと夢の無いことを言うと、こんな出会いは現実には無いと思うんですよ。夏彦と「彼女」にしても、夏彦と高品にしても。
けれどこの作品は、「だけど、こんな1瞬があったら素敵じゃないか!!」って叫んでるような気がして、それが爽快でした。
- 58 飽くなき赤色 (採点:4)
- 意味が分からない話なのか、意味が無い話なのか。帯を読むだに、後者の可能性も感じられて不安なんですが……
- 59 Day after tomorrow (採点:6)
- とても感傷的だと思います。
しかし彼女がなぜ自殺しようとしていたか、そしてどうしていなくなってしまったのか。ここをはっきりさせてほしかったです。
幸せだったときの思い出だけでは、主人公の現在が理解できないのではないかと。
- 61 山小屋語り (採点:8)
- 陰惨な良いホラーだと思います。語り口にものすごい雰囲気があり、女に追い詰められていくような心持ちで読んでいきました。
それだけにオチが肩すかしだった気がしました。ベタでもいいから、女にばっさり殺られたほうが怖かった気がします。
- 62 格闘少女 (採点:5)
- 「人が生きる意味」を「人の生きかた」によって表現するのなら、死んでしまった少女の思い出語りではなくて、少女の生きていた様を描いて欲しかったです。
ときに、作者さんは奈須きのこが好きだったりするのでしょうか?
文体がきのこ氏っぽかったです。
- 63 未来視の見る夢 (採点:7)
- 無駄が無くて完成されたSFだと思います。
専門用語が多用されて読みづらかったのが難点ですが
- 64 ブランコ (採点:5)
- もっと描写を増やしてもいいんじゃないかと思います。
あまりにあっさりしすぎて、「――ちょっぴり世界が変わる」という彼女の実感がもう一つ伝わってきませんでした。
- 65 金曜日のつめきり (採点:4)
- …真意がわかりません
- 65 金曜日のつめきり (採点:3)
- すごくどうでもいいことですが、タバコって「フィルターが焦げる」ことってありますかね?
両切りのタバコだったら全部灰になりますけど、フィルター付は葉っぱが全部燃えてしまえばフィルターを残して消えてしまうと思うんですが。
燃え尽きたタバコよろしく、主人公が傍観しているだけの話だと思いました。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:3)
- 作者さんはどのような思いでヒロインを死なせたのでしょうか?
どのような思いで、主人公から初恋の女の子を奪ったのでしょうか?
それは失わなければならないものだったのでしょうか?主人公に残された思い出は、主人公を幸せにしているのでしょうか?
あと、短いセンテンスの連続で情景描写をするのは、あまりやりすぎると読みづらいと思います。
- 67 世界一の小説 (採点:3)
- 肝心のオチで滑ってるように思います。
笑えるオチでもなかったし、「なるほど」と感じ入るオチでもありませんでした。
オチにいたるまでは良かったので残念です。
- 68 両手いっぱいの花を (採点:2)
- これは「約束の成就」といっていいんですかね……
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:6)
- 読んでる間中、ずっと目が点になっていました。
面白かったかといわれると「……」ですが、徹頭徹尾おバカだったことに敬意を表してこの点数にさせていただきます。
- 70 アリス (採点:7)
- 主人公の語り口が面白く、親しみを感じさせてくれました。
ただ、それと引き換えにトモ(アリス)の内面が描かれなかったのが残念でした。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:2)
- 物語の冒頭で唐突に幕切れになったという印象でした。
舞台設定を丁寧に説明してほしかったですね。
- 72 月時雨 (採点:5)
- 装飾過多な文章は読みづらくも雰囲気がありました。
- 73 14文字の涙 (採点:5)
- 叙情的でじんわりした読後感がありました。
ただ、安易に「死」を持ちだしたように思えました。
- 74 魔女の岬 (採点:5)
- 老アルフレドの願いが「昔の自分に絵を書かせること」だけではなく、「もう一度マリアに会うこと」も含まれていたように読めました。
というか、魔女がやったことがよくわからないなぁ……作者さんがあまり重視されなかったのかもしれませんが。
- 75 夜の夜 (採点:7)
- 読み始めたら「安易な設定だなぁ」と思ったんですが、使い方が大変上手いと思いました。
「死の運命」にとらわれていない幸がいじめで苦しんでいたり、「死」が迫っているおばあちゃんが美味しそうにタバコを吹かしていたり……
生きるって、なんなんでしょうね。
- 76 Another (採点:4)
- そういうオチでしたか(笑
誤字が多少あったのが気になりました
- 76 Another (採点:3)
- 兄妹オチ?
終わり方のわりにはインパクトが薄いです。
何が言いたかったのかも、勝手に深読みするしかないですし。
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:4)
- 長編の一部分、といいう感じでした
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:4)
- 全編通して二人の独白ですかね。
その独白が言ってるだけに感じました。自分の気持ちも相手の気持ちも「言葉だけ」で確認したみたいな。
もっと裏づけというか、深みがあればよかったと思います。
- 78 君が星を手にするとき (採点:5)
- 物語というよりシチュエーションを描いた、いかにもSSといったものだと思いました。
しかし親父さんの自己完結だけで終わったのが残念です。
題材も、宇宙飛行士じゃなきゃいけないのかなぁ?と思いました。
- 79 奥の細道 (採点:9)
- かなり嫌いじゃないです、理解できませんけど。
○匿名希望(24、リーマン) さん
- 01 にじのむこうのおはなし (採点:2)
- こういうのを全く楽しめなくなってしまったのはすっかり年を食って気持ちも何も爛れてしまっているからなのかもしれないのですが、絵本から絵を引いたものが本として成立するかというと、多分しないわけです。
文章がたださらさらと流れていくだけで、引っかかりがない。百年とか五百年とか三千年という時間が経過しているようですが、そういうところに意味が感じられないわけです。「ああ、そう」と軽く読み流してしまいますし、それが最後まで続いている。
どこを楽しめばいいのかわかりかねる一篇でした。
- 02 黒船 (採点:1)
- 私はこういったものは板の上にあげて初めて一人前になれるものだと思っておりますので、今更こう書かれて提示されたところで特にどうとも思わないわけです。どんなに素晴らしい落語の台本でも、噺家の口演が吹き込まれたカセットテープ一本にはかなわないと思いますし、わざわざこのような形で書かれたことに何の意味があるのかなと戸惑ってしまいました。
エッセンスを抽出して、別物に書き換える、というのならもっと評価できますし、おもしろくなるのだと思います。「タイガー&ドラゴン」みたいに。
- 03 遵守 (採点:3)
- 会話文が、物語を説明するための会話でしかなく、会話そのもののうまみが損なわれてしまっているように感じられました。特に後半なんですが、わざわざ会話で書く必要があるのかなと思ってしまって。
あと徴兵とか戦争に関する記述にも何となく違和感が。や、そんなに詳しいわけではないのですが。
- 04 海神の矛 (採点:3)
- 原潜がらみの専門用語みたいなのが軒並みわからなくて、最初は気になったからひとつひとつ調べてみたりもしたのですが、だんだんと面倒くさくなってしまって、完全につまずいてしまったな、と。これは読み手の問題なのですが。
というか、上記のようなことはこの物語に必要だったのかというところも気になっていたり。リアリズムを出すための描写なのだろうとは思いますが、最小限にして、主題の部分を書き込んだ方がよかったんじゃないかと思いました。
あとカンポの台詞が洋画の吹き替えみたいだった。(笑) いますよね、こういう喋り方する人、洋画の中で。
- 05 理屈じゃないこと (採点:3)
- >「まあ、付き合い始めてからがまた大変だったがな」
とか、
>「確かにあれのおかげでその後なんとか恋人らしい日常になっていった。
とか、
第三者に語っているような、ナレーション的とでもいうのか、ここら辺の視点というのが一体何を表しているのか、あるいは狙いとかはなくて天然なのか、そういう判断ができかねて、非常に困りました。りくつじゃないのかもしれないのですけど。(笑)
結末はいいですね。うまく表現できないけど、結末はよかった。それまでがいまひとつでした。
- 06 For tune the rainbow (採点:6)
- 個人的な嗜好の問題になってしまうんですけど、こういうのはすこぶる苦手です。(笑)
台詞が真っ先にそうなんですが、全体の空気がもう何か少女漫画的というか。綺麗なんですけどね。情景というか、そういうのは。なんだか絵画的な気がする。
ただ、個人的にさらに苦手なですます調で書かれているにもかかわらず、わりとすんなり読めたのは文章がよかったからだと思います。
でも苦手。すいません。
- 07 事実上悪真実上正義 (採点:5)
- どっかで触れたことのある、というのが真っ先に抱いてしまった感想です。新鮮味に欠けるともいえるのかもしれません。ストレートに進むから、オチが読めてしまうんですよね。しかもかなり簡単に。題名もわかりやすい。
もちろんベタだからこそ、安心して楽しめるという面も無視してはいけないのかもしれません。ただ、ちょっとベタすぎかな、という。(笑)
- 09 テロリスト長沢 (採点:5)
- ニヤニヤしながら読んでしまった。(笑)
それはともかく、文章からリズムが感じられなかったというか、妙な読み辛さがありました。読み辛いといっても、すっと入ってこなかったときが何度かあったってだけなんですけど。
小物っぽさがいいんですよね。(笑) 松屋とか。味噌汁ついてくるからっていう理由が生々しくていい。この器の小ささが造形としてよかったです。いるよねこういう人、っていう。
妄想の中で人を殺していたつもりなのに、本当に殺しちゃってたっていう漫画がありましたが、それを矮小化したような掌編で、その情けなさが現代的だと思いました。
ただ最後の四行で、というかもう、
>「ブバッゥ」
ここで一気に墜落した気がします。これはダメだ。(笑)
- 10 いろはの森 (採点:7)
- もっとじっくり読みたかったなっていうのが読み終えてすぐに思ったことでした。作られた設定から生み出されるドラマが豊富なんだろうと思います。ショートショートで終わらすにはもったいないのかもしれない。(笑)
- 11 「やっぱりさ、天使っていると思うんだけど」 (採点:2)
- これは会話劇なんだと思います。にもかかわらず、語られている会話の内容以上のものは何もなくて、この教室と二人の若者で閉じてしまっていて、膨らまない。
「話している」状況をそのまま抜き出して提示することに意味を見出せず、物語的にも楽しめませんでした。
- 12 フォーカス・レンジ (採点:7)
- すごくさわやかな幻想小説で、さらに青春小説でもある。おもしろかったです。ただ、中にあるいくつかのテーマがわりとあっさりと解決してしまっているように見受けられました。上限を考えると、しょうがないのかなと思いますけど。
そう、あっさりっていうのが印象ですね。今回くどいのが多いので、いい清涼剤になりました。
- 13 僕の後ろに誰かいる (採点:4)
- >その度に俺は、口にする言葉と考えていることの矛盾を感じて、僕がとても嫌な奴になっていくと感じていた。
この文章はよかったなあ、と。まどろっこしい文章で、スマートとはいえないのだけれど、そのときの感情が露骨な言葉になっていると思いました。
後半の展開が急すぎるのはどうなんでしょう。
- 14 ずっとずっと言えなかった言葉なんだけど、この世界で僕は幸せだった。もうこの世界は消えてなくなってしまうけど君は一人でも大丈夫だから、一人でも歩いていけるから、いつでも僕はここにいるから。でも最後にこれだけは言っておきたかった (採点:2)
- 書き出しはいいと思いました。ところが、どんどんだめになっていってしまう。夢の支配はできない云々というところまではよかったんですけど。阿部和重なのかと思った(笑)
全文を読み終えると、結局冒頭の部分含めて説明だったのだなあと思えてしまって、もうなんか本当に退屈だなあと感じてしまう。読点の位置が雑な箇所もありましたし。ハッピーエンドもよくない。1ページ目で終わっていた方がいい余韻だったに違いない。
語り部が変わるところで長い改行に頼るのも、これはどうだろうとも思いました。ハッピーエンドも含めて、安直だな、と。
- 15 打ち上げ花火、下から見た日 (採点:3)
- 話がぽんぽん進んでいくので、テンポがいいといえば聞こえはいいんですけど、軽く置いてけぼり感を持ってしまいました。
気になったところを挙げると、長台詞で心情を全部説明してしまうというのはどうなのかなと思いました。「楽しくなかった? 学園祭」のあとの台詞なんですけど。ちょっとどうかな、と。
あと、「櫓の炎」というのは何なんだろう(笑)、櫓ってかなり高さのあるものですよね? そんな高いところに火をつけるものなのだろうか、と気になって気になってしょうがなかったです。
- 16 さくら (採点:6)
- 最後の数行がよかった。「理解」してから、その理解の過程をつらつらと書かないところが本当によかったです。
全体を見ると、非常に淡々としていますね。そこが逆に不気味でもあるのですが、個人的は匂うくらいに暑苦しいくらいのものが好きなので、ちょっと残念だったかも。
結末を知って、改めて読み直してみると、「僕」が桜の場所にたどりつけたこと自体が異様なんですよね。怖いな。(笑)
- 17 19140901 (採点:5)
- どういう意図があったのかはわかりませんが、結末でかなり落ちたかなあ、と。アナグラムかあ、て。
胡涼の舞の場面に肉体性が伴っていないから、いまひとつ滅び行くものの美しさが伝わってこなかったんですね。まあ、相当難しいんだと思いますけど。
そういえば、
>彼女の舞は独特のものであった。和洋どちらのものでもない。
という一節で、この語り部はどこで「舞」を見たのかな、ということがひっかかりました。作中で自分を「ブルジョア」とみなしているから、金持ちで、どっかで見たのだろうなとは思いましたが。
この時代に、日舞はともかく、外国の舞踊をどこで見たのかなっていうのが気になっちゃいました。そして描写から、作者さんは舞踊にはあまり明るくないのだろうなと勝手に想像してしまいました。(笑)
- 18 生命 (採点:5)
- >「まあ、個人で見て楽しみます」
>「花が――」
>「は?」
>「花が咲いているのはご存知?」
>「はあ?」
> 私の赤ちゃん。
↑の数行の精度っていうのは相当高いと思うんですよ。強烈なものがある。何だかもう、削ぎ落とした感があって。その割に後半になるとやたら過剰な文章がドンと提示される。これは何なんだと(笑)
序盤の抑えた感じにぐっと来た私としては、後半はあまり楽しめなかったです。あ、そういえば、最初の一行もよかったですね。不穏な事態の予感を抱かされました。
- 19 エンジェル・サイズ (採点:3)
- ものすごく読みづらくて、これは何なんだろうと考えていたんですが、テンポが変わらないんですね、これ。エンタメだろうが純文学だろうがラノベだろうが、グッと力が入る場所があると思うのですが、この一編にはなかったように思えました。
いや、もちろん、始めから終わりまで淡々としているのもありなんですけど、内容を考えるに、この小説にはそれは不釣合いかな、と。
人物の造形も何だかありがちでした。
- 20 今日見る明日 (採点:2)
- なんだかよくわかんないけどがんばれと思った。
まあ、冗談はさておき、いいことしか書いていないんですよね。言葉のひとつひとつが輝いている青春時代を構成するようなものばかりで、一面的。そういうものを書こうとしているのだという気持ちはわかりますが、こういう文章を楽しむには、私は年を食い過ぎているようです。(笑)
- 21 雪国 (採点:4)
- 最初の方読んでて「あ、トルーマン・カポーティか」と思っていたのですが、女との問答が始まるあたりから妙なことになっていって、最終的にギュンター・アイヒのラジオドラマみたいになって、もう何だかよくわかりません。(笑) いい意味でですけど。
題名と書き出し、そこが川端康成の「雪国」を想起させるものの、つながっているようには思えず、実際は何らかの批判なり換骨奪胎なりがあったのかもしれませんが、そこらへんは全く読み取れませんでした。すいません。
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:2)
- 漫画のノベライズみたいだ。いや、ノベライズが悪いってわけじゃないんですが。
やはり全体的に文章がよろしくないというのが読んでいるときの印象でした。文章っていうよりも構成でしょうか。急ぎすぎなんですよね。全体というよりも、書きたい場面をぶつ切りでつなげているような感じで。
私のテンションのせいかもしれないのですが、のれませんでした。
- 23 現状改善系恋愛呪文 (採点:3)
- 隣のクラスの委員長に吹いた。(笑) 唐突過ぎ。ちょっと空気読めよ、ていうか、言い逃げかよ。(笑)
最後はどうなんでしょうね。一番逃げているのは作者様なのではないのかと思ってしまったのですが。
- 24 結婚適文句 (採点:6)
- 最後笑った。
>お月様と、滑り台と、そこに縛りつけられた巨体だけが彼らを見ていた。
何だこの叙情は。(笑)
終盤どんどん退屈になっていったんですが、最後でひっくり返った。(笑)
ほんとしょうもないギャグもいくつかあったんですけど、笑いへの意識を感じました。ていうか、自分の得意パターンに持ち込もうとする流れがちらちらと見えてきたんですが、まあ、いいや。笑えたし。
前半にあった地の文のおかしみが後半皆無だったので、そこが残念でした。
- 25 マージアここに在り (採点:6)
- 筒井康隆の短編でこういうのを読んだことをある気がするんですが、さっぱり思い出せないので置いておきます。
最後の感情の部分を台詞でなく文章で表現していたら、少しは余韻も違っていたのかもしれません。安っぽく思えてしまいました。
- 26 僕らは分かたれたアンドロギュヌス。 (採点:4)
- 作者さんは近所に住んでいるのだろうか。(笑) 小岩か。(笑)
それはともかく、文章的には後半になればなるほどだめになっていったかなと。序盤はよかったんですけど。
>兎角逝き場所を探そうと総武線に乗り込んだ。
例えば上の文章なんですけど、これはいいフレーズですね。気に入りました。総武線っていうのが中途半端にリアリティがあってよかったです。
後半、終盤になるとラノベの匂いというか、素直すぎるというか、どうにも読んでいて楽しめなくなりました。序盤の落ち着きがすごい好みだったんですが。
- 27 ヤンキー女と美少年 (採点:5)
- ところどころ笑った。
>だって名字が石郷岡ですよ? いしごうおか! 名前的にも絶対薄いキャラクターじゃないわ。
こことか。ちょっと落ち着けよと思った。(笑)
- 28 Forest Note (採点:5)
- 名前云々以降の展開が速すぎて、後半に関してはこれは小説以前だよな、と思ってしまいました。映画の予告編みたいな感じで。
これは順々に書いているから尺が足りなくなるのかな、ていうか、序盤と後半で書き込みの量に差が見受けられます。「やべー容量足りねー」的な葛藤があったんじゃないかと勝手に想像してます。(笑)
- 29 Blind (採点:3)
- もう少し踏み込んで書いていたらな、という残念さ。話の落としどころも安直というか何というか、不完全燃焼でした。何で別れなきゃならないのか全くわかりません。(笑)
むしろここで別れないで、自分と自分´みたいに己を二分化してしまうのが現代なんじゃないかと思うんですけど。そこまで器用じゃなかったのか。
- 30 限りなき夏 〜A Frozen Summer〜 (採点:4)
- 身体に「切り傷、打ち傷、火傷の跡」がつく水商売って何だ。(笑)
それとも虐待もされていたのかな。あ、でも、それだと働けないですよね、風俗で。
これは結局同性愛であっても、慰めあっていただけで精神的には完全に繋がっていなかったということですよね。そこが悲惨といえば悲惨だし、最後の台詞に関わってくるんでしょうけど、もっと露骨に書いてもいいんじゃないかと思いました。
- 31 正義の味方の悩み (採点:4)
- >あの意味不明な発言が、そんな意味を持っていたとは。
冷静なツッコミに笑った。(笑)
他にもあったんですが、後半部分で、台詞でほとんどを説明してしまう、というパターンがあまり好きではないので、どうしても厳しく見てしまいます。すいません。
地の文の淡々とした語り口はいいと思いました。
- 32 俺たちいつも仏恥義理だぜ、夜露死苦! (採点:5)
- 光景がぱっと浮かぶのは何でなんだろう。や、映像というよりも、ものすごくマンガ的に浮かんできたんですが。
それなりに笑える部分もあるのですよね。でも、展開にしろオチにしろ、振り切れる要素が皆無なので、ちょっと厳しくなってしまいます。逆にいえば、安定しているんですね。作劇の流れが完全に固定されている。いいんだか悪いんだかわかりませんが。
先生はよかった。ベタですし、かわいそうだけど、笑ってしまった。
- 33 射的と祭りと悪党と (採点:2)
- >ギャルゲーにありがちな
これは自虐ギャグなのか。(笑)
- 34 心の無い少年と、美しい夜。 (採点:5)
- ロボットかあ、と脱力してしまいました。ていうか、クウとカイ→空海→即身成仏→正体は仏、と一瞬考えてしまった。
途中まではけっこう楽しんで読んでいたんですが、ロボットでがくっとなりました。心がない、正体は何だ、という謎を安直に解決してしまっているなと思った。
- 35 西と東、白と黒 (採点:4)
- 平行線のまま終わるのは、現実にある可能性の認識のためにはいいのかもしれませんが、フィクションとしては全くおもしろくありませんでした。いや、別に活劇的なものを求めているわけではないんですけど。
両者がきっちりわかれすぎているんですよね。把握は簡単になりますけど、読むおもしろさがスポイルされてしまっているかな、と。一瞬でもいいから、両者の意識が交わってもいいんじゃないかと思いました。
- 36 ソラアイ (採点:3)
- いやいやハートフルじゃねえだろって思ってしまいました。(笑) だいたい十五でどうやって責任とろうって言うんだよ、どこの鶴見辰吾だお前は、みたいな。
全編通じてリアリティと説得力に欠けているんじゃないかな、と。リアルであればいいのかといわれれば、必ずしもそうとはいえないのだけれど、現代劇として書かれている以上、最低限これくらいは、というラインがあるのだと思います。そしてこの一編はそこに達していなかったな、と。
- 37 零光年先の、彼女 (採点:7)
- こちら側はともかく、ほとんど一方的にイカされた彼がどういう状態だったのかが気になります。(笑) たぶん、「何やってんだ……」的な自己嫌悪状態だったんじゃないか、と。
SF的ガジェットが物語の邪魔をしていないので、そこら辺に疎い私でも楽しめました。冒頭で展開が読めてしまったんですけど、それでも楽しめたのはきっと文章が達者だったからでしょう。ハッピーエンドもむしろ心地いいくらいで。
- 38 山田仁の行き先 (採点:5)
- 続編を期待してもいいですか。(笑)
20枚では厳しいのかな、と思いました。10といっしょで、いろいろなパターンの話を作れるおいしい設定なんじゃないかと思いましたが。青臭さは嫌いじゃないです。
>なかなか結論は出ないな。
この一文が題名への返答なんですよね。だから、まだまだ続くと。(笑)
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:5)
- >もうクラリスは俺しか見てない。もはやはるかなんて関係ない。
ひでー。(笑)
でも笑った。 「Na(中原)」が普通に加わっているところに吹いた。(笑)
- 40 不思議な君とのシンパシー (採点:3)
- オチは確かにすごいことに。完全に置いていかれました。
青春小説として、何か変な口調の人もいたけれど(笑)、それなりにまとまっているような気がしたんですけど。
最後が飛びすぎな気がします。(笑) もう少し書き込んだ上でのものであったら、違和感なく入っていけたのかな、と。
- 41 No River to Cross (採点:8)
- どうしてiPodなんだろう、という疑問はあるものの、いい掌編でした。おもしろかった。文章が好きだ。
私は村上春樹は苦手で、「ノルウェイの森」も当然のように読んでいないので、この掌編と関係している部分っていうのは全然わかりませんでした。だからわからない上で書いているわけですが、文章がさらっとしていて、洒落ていて、好きです。
正直iPodも持ってないから、ところどころわかっていないんですけど。(笑)
- 42 焚火 (採点:2)
- お兄ちゃんの後悔っぷりは生々しいかなあ、でも、直後の段階だと、もう少し混乱しているんじゃないかなあ、と。
もっと踏み込んだ心理描写が必要なんじゃないかと思います。
そういえば、この二人はこのあと心中するのかな。
>兄がこれからどこに向かおうとしているのか、どこに向かうつもりなのか、由佳にはどうしても分からなかった。
この文章がそれを匂わせているように感じられてしょうがなかったです。
- 43 仮面を忘れた不登校児 (採点:2)
- 書いてあることがダイレクトすぎてなんとも。しかも、無理して書いているっぽさがちらほらと。
兄弟がそれぞれで完結していて、それを打開するのがゆいかの存在なんじゃないかと思うんですが、絡まないのか、うーん。
- 44 おかめと天狗とアインスタイン (採点:7)
- まとまっているなあ、と。唸ってしまいました。好き嫌いは別として。
しかもところどころエロい。この艶っぽさはいいなあ。何だろう、こういう文章だから匂ってくるのかもしれない。
問題はルビですね。個人的にはちょっと煩わしかったです。あった方がいいのかなとも思いますけど。これも好き嫌いだ。
余談ですけど、三島由紀夫の短編でこんな絵の小説があった気がするんですが、何だっかは覚えてません。すっごいもやもやしてる。(笑)
- 45 おかえり (採点:3)
- ある意味No.16と対になる一篇なのかもしれないと思いつつ(笑)、こういうのは何となく苦手だなあと思ってしまいました。
一時的な断裂こそあれ、波乱はなく、これからもきっと続くのだろうな、と。それはとても優しいことですね。そういう作者さんの目線はあまり嫌いじゃないんですが。ドラマ性が希薄なので、描写で魅せるほかないと思うんですが、そこが甘かったかなあ、と。
例えば、小学生だったら、小中高一貫の私立校だったら、あるいは続くことによるドラマが生まれたのかもしれませんが、三年間というスパンはどうなんだろう思いました。
>「通い妻だね、あたしゃ」
ここだけ口調がまる子っぽくてなんとも。(笑)
- 46 ザ・ロケットフィンガーNO.5 (採点:3)
- 全体像がぼやけているような印象を受けました。いや、ぼやけていてもいいんですけど、結果的にぼやけてしまっているだけのような気がして。
小指について書きたいのか、彼について書きたいのか、彼の書いた小説について書きたいのか、それらが少しずつ混ざって、どっちつかずになってしまっているんじゃないか、と。
>「部で年に一度、文学賞に出す作品を決めるじゃないですか。それに選ばれたんですよ。ロケフィン」
この意味がわかりませんでした。文芸部ってこういうシステムがあるんでしょうか。出すも出さないも個人の勝手じゃねえかって思っちゃうんですけど。
- 47 ポテト (採点:6)
- わからないという結論を最後に持ってきたのはいいな。こういうのは好きだ。エイズ云々はともかく、この男の子の思考は読んでいて面白かった。おそらくふられたときの感情とほとんど同じものなのだろうと想像します。
わからないというのが今の感覚なんでしょうね。最後の二行でぐっと締まった印象です。
- 48 タクシー (採点:4)
- 手塚治虫の「バイパスの夜」を思わせる掌編でした。会話の乾いた雰囲気がステキ。ショートショートとしては、今回で一番だったと思います。少なかったですけど。
オチに関しては、はっきりと書きすぎているかな、と。後味の悪い余韻が分散してしまっている気がします。
- 49 バレンタイン事変 (採点:5)
- 語り口が淡々としていて、くすりと笑える部分がいくつかありました。後半よりも前半に多かったかなあ。前半にある、いちいち大袈裟な書き方もおもしろかった。
- 50 2月30日にいたチャコ (採点:7)
- 雰囲気はすごいいいな。好きです。
ある程度終わったところから見下ろしているからなんでしょうが、落ち着いた書き方が好印象だし、あっていると思いました。猛烈な幻想性を持っているわけではなく、むしろどこか現実とつながっている雰囲気がいいなあ。これも今から昔を見ているからなんでしょうけど。
ただ、2月30日、にぱっ、魔法、絵本、っていうモチーフが点のままで線にならないのはどうなんだろうって思いました。
- 51 夏の風 (採点:1)
- こういう些細な一瞬を小説として成立させるために必要なのは何なんだろうと考えていたんですけど、やはり人間の生理の部分だと思うんですよ。執拗さが必要なんだと思います。
この掌編にはそこらへんの描写がほとんどなくて、小説として不十分だったなかあ、と。
- 52 豚 (採点:5)
- 手記である、という点を最初に宣言しているので、ところどころに見られる文章の甘さみたいなものには目をつむるとして、上限との戦いになってしまうためにしょうがないことなのかもしれないのだけれど、狂気の表現というのをもう少し踏み込んで描いて欲しかったところです。
「私は狂っているからだ」という直接的なものではなく、日常的な細かい描写の中に狂気がにじみ出ているとよかったのではないかなと思います。安直に思えてしまいました。
しかしながら、この主人公は最初っから最後まできちがいなんですよね。(笑)
その潔さはいいと思う。
- 53 瓦礫の森を哀れむように (採点:6)
- ハードボイルドですね。前半の倦怠感がいい感じでした。
後半に入ると、尺が足りなくなったのか、急ぎ足な印象がありました。最後までアイロニカルな主人公は徹底していて良かった。
巨木が新しい橋になるっていうのは実際どうなんでしょうね。最初違和感なく読んじゃったんですけど(笑)、いいんでしょうか。
- 54 メルヘン非常口は暖色のライティング (採点:9)
- >『料理? ありえない』
このフレーズが作中で引用されている時点で高得点は約束されているようなものだ。(笑)
今回の投稿作の中でずば抜けておもしろく読めました。ぶっちゃけすごいうざい文章もいくつかあったものの、そんなのは些細なことです。
すごいミニマルなんですよね。サンガツの音楽を聴いているときみたいな、酩酊感がありました。間違いなく現代の小説であると思った。
>俺はまだ、ゆらゆら帝国で考え中だって。
ゆらゆら帝国がこんな風に使われるとは思わなかった。(笑)
固有名詞の使い方が洒落てますね。
- 55 饗宴 (採点:5)
- 何度か読んでいたら、おもしろく思えてきちゃったから不思議だ。(笑)
どういう意図でお書きになったのかっていうのは想像でしかないんですけど、かなりドラマティックなものであるように思えましたし、はっきりとしたストーリーが展開されているように読めました。
それなりにおもしろく思えてしまったのは、負けなんでしょうか。
- 56 Show must go on. (採点:3)
- 終盤の表現が安っぽいなあと思ってしまいました。主人公が死人であるのはいいとして、思い出し方とか、文章そのものとか。
語り部が死人である、という小説を私も書いたことがありますが、死んでいることを最後にばらす場合はよほど劇的にしないとうまくいかないですね。これはさほど驚かなかったし、だからあまりおもしろくなかった。
どうでもいいことなんですけど、この題名で、劇中で演劇への言及があると、三谷幸喜の傑作である「ショウ・マスト・ゴー・オン」が思い浮かんでしまいます。関係ないとは思いますけど。
- 57 エース (採点:5)
- リズムよく書かれているので、ああ、スポーツっぽいなって感じだったんですけど、この若者たちの息づかいみたいなものが聞こえてこなかったのが残念でした。
ただ、プレーのことばかりで、試合中の汗とか呼吸の乱れとか、そういう生理的な部分の描写が皆無で、試合後はありましたけど、これでは足りないんじゃないかと思ってしまいました。
あと恋愛の部分ですが、ここは目が合うとか、はっとするような描写くらいで抑えておいた方がよかったかな、と。
- 58 飽くなき赤色 (採点:2)
- > それから、五日が経ちました……。
> 今、俺は警察が用意したホテルの一室に居ます……。
> 犯人の顔を見ている俺が狙われないためにです……。
この説明は何なんだろう。(笑) ヒロシです……って聞こえてきそう。
人殺しの方も主人公の方も、空虚なんですよね。からっぽ。ファッション。台詞もかっこつけみたいで、うわついている。そしてそこに作者さんの批判的な目線があるかというと、たぶんないんだろうな。(笑)
だから、こういう厳しい点数になってしまいます。すいません。
- 59 Day after tomorrow (採点:3)
- 語り口がまずよくわからなかったんですね。大部分を今はいない「君」へ語りかけているような書き方をされていますが、それが効果的であったかというとそうでもない。二人称で書かれている部分は特にそうで、ただ「君」へ語りかけているだけで、二人称で書かれた文章の味みたいなものがなかったです。
ただ、
>「恐くないの?」
>「恐いに決まってるでしょう!」
このやりとりはよかった。いいですね、この理不尽さ。
- 60 「1万2000円は高すぎる」 (採点:4)
- > そして日曜に戸城と椎名がどうしたのか――それはおれも南向井も知らない。知りたくもない。
投げやりで笑った。(笑)
話がすいすい進んでいって、いいエンターテインメントでした。まあ全体的に若干説明的過ぎるし、地の文も「誰が何をした」という描写が多いなあ、と。もっと簡潔に書いた方がこの筋立てにはあっていたような気がします。
あるいは「おれ」のいい加減な自己主張をもっと増やせば、もっと笑えたのかもしれません。
- 61 山小屋語り (採点:3)
- 「ドロレス・クレイボーン」かと思った。(笑)
まず最初に気になったのは遊郭がどういうところかを知った上であえて書いているのかという点だったんですが、それは置いておきまして、「私」-「お前さん」の構造が後半で崩れてしまうというところがやはりよろしくないかな、と。
ほとんど読者と同じ立ち位置にいる者がいきなり物語的な流れを断ち切って行動に出るというのは、メタシアター的なおもしろさはあるといえばありますけど、この小説の中ではあまり機能していないように思えます。
- 62 格闘少女 (採点:2)
- すでに終わってしまっている事柄に関してのほとんど完結してしまった考えであるから、思考や物語の飛躍というのが全く見られず、どうにも楽しめませんでした。
また、恋人を百人作ると決めたときの彼女の悲壮感というか深刻さというか、そういうものが全くなかった。瞬間の心理の動きがなかったかなあ、と。そこが楽しめませんでした。
- 63 未来視の見る夢 (採点:6)
- 物語内の現実を考えると、まだ何も始まっていないわけですよね。現在と未来がしっかり別れているので読みやすかったです。それがいいか悪いかはともかく。
未来を視るとき、この書き方ですとおそらく第三者的な目線で視ることになるんでしょうけど、そこはあまりおもしろくなかった。自分の目でぐらぐらと視る方が表現としておもしろいんじゃないかと思いました。ちょっと機械的というか説明的というか、そんな気がしました。
- 64 ブランコ (採点:1)
- 最後の一文が他の文章から浮きすぎていますね。何だろう。変だな。
この二人がどれくらいの年代のカップルなのかはわかりませんが、一瞬を切り抜くことによる劇的効果はなかったかな、と。
>厚手のコートが隠しきれていないわたしの顔は、それを受けて頬を赤くさせる。
いきなりこの文章で思いっきりつまずきました。すいません。
- 65 金曜日のつめきり (採点:4)
- 残念だなと思ったのは「5」以降で、これだけ書けているのに、どうしてわざわざ説明的にしてしまうのかなあと疑問に思ってしまいました。
たぶん序盤みたいに描写を続けているだけで、虚無感みたいなのは浮かび上がってくると思うんですよ。それなのに、どうして説明しちゃうのかなあ、と本当に疑問でした。「7」なんてなくてもいいくらいなのに。
- 66 残照の夏、伸ばしたてのひら (採点:5)
- >残照の夏。空は天井でなく、世界は透明で、僕らが無敵だった頃の話だ。
この文章がどうしてこう絶望的に響くのかを考えていたんですが、たぶんわざわざ説明的に書いているからなんでしょう。
そういえば、文章の全体的な印象がとにかく変で、
>涼しいね、と彼女は笑った。僕は目を逸らして、うん、とだけ口にした。
こういうのは巧妙だと思うんですけど、
>全ては主観性を失い、風化の戒めを受け歴史へと変貌していく。その中で、唯一僕だけが古典上に取り残されていた。
これはどうなんだろう。一瞬わかんなかったです。(笑)
女の子を知らない→女の子を意識した→初恋だった、っていう意識の流れは、いかにもな感じがして悪くはなかった。
- 67 世界一の小説 (採点:3)
- いろいろと腑に落ちないところがありました。文芸誌には素人投稿コーナーはないだろとか名作ばっかり読んでいてもダメだろとか、まあ、いろいろと。
でもこれは不条理劇として読みましたので、そんなのはどうでもいいことです。馬と鹿ですし。(笑)
- 68 両手いっぱいの花を (採点:4)
- 最後はよかった。文体と描写が最後でやっとぴったり重なった感じがしました。それまではとにかく読み辛くて、ていうか今回の投稿作のなかで読み辛さでは一番だったんですけど、頭がくらくらしました。
読点の打ち方なのかもしれないんですけど、リズムというものがまるでないように感じられました。
あ、あと、作者さんには大変申し訳ないんですが、「アルフ」という名前だったからか、声が脳内で勝手に所ジョージに変換されてしまいました。だから上に書いた感想はあまりお気になさらないでください。
- 69 Humph, please throw away person who has done ppp or lost xxx! (採点:3)
- これがNo.69になったのは奇跡だとして(笑)、これは最初から笑いを書こうとしているものであるという前提の元ですが、あまりおもしろくなかった。不条理劇なのかなあ。どうなんでしょ。
というのも、テンションが高いわりに全体的にダラダラとしていて、とにかくテンポというものがない。台詞をもう少し整理した方がいいと思った。
途中のデジャブな感じは、楳図かずおの「漂流教室」っぽかったからかもしれない。「これは神様が我々を選んだと考えられるのではないか!」とか。
- 70 アリス (採点:6)
- >「えーっとね、キモイとこ」
この一行を読んだだけでも価値があるんじゃないかと思った。これはいい。(笑)
河原で再会してからが、ちょっと停滞したかなあ。でも殴られる場面になると、いきなりタイトになる。(笑)
もう少し笑いの分量を増やした方がよかったかもしれません。
- 71 ……動物園に行きたかった (採点:3)
- >「成るようになるよ」
という言葉が何だか絶望的に響いてしまうのは、「成るようにな」った結果を今見ているからなのかもしれないなあと思ってしまいました。
あと、行けばいいじゃない、動物園くらい。(笑)
- 72 月時雨 (採点:4)
- 最大の問題っていうのは文章、というか言葉の連ね方なんだろうと思います。綺麗っぽい言葉を並べれば美文になるかといえば、必ずしもなるとはいえないわけです。
No.68が相当読み辛かったんですけど、これも読み辛かったんですね。言葉を飾ることにウェイトを置いてしまって、リズムがなかったかな、と。
語り部が片輪であるという点すらも綺麗に書いてしまっているような印象があって、そこらへんの現実味の薄さもあまりいいとは思えませんでした。
最後の一文はじつによかった。やっと、という感じがしました。
- 73 14文字の涙 (採点:5)
- 見ず知らずの人から送られた『友達になってもらえませんか?』っていう発端はロマンティックに思えたんですけど、話が進むにつれて、わりと普通な筋に落ち着いてしまったかなあ、と。
それにしてもショートメールですか。懐かしい。(笑)
- 74 魔女の岬 (採点:7)
- >「それもいいけど、とりあえず用件を済ませましょう。アルフレド。あなたはこの後の人生、ひょんなことから私と知り合うの。それはこの世の常識とは外れたところの物語」
> 途方もない話。しかし私はその半分も聞いていなかった。まだ呆然としている。
ここが最大の問題だと思いました。
> もう老人はどこにもいない。魔女もいない。だがいつか必ず会えるに違いない。
> ルシールの最後の言葉が心に残っている。またいつか未来の物語で。
これくらいの描写しかないから、時間のうねりみたいなものがちっとも感じられなかった。「途方もない話」を少しは描いてほしかったですね。ここで時間の処理が行われるか否かで、劇的に変化すると思うんですけど。
ただこの物語の中では必要ないんですよね。あくまで主人公がマリアの死と向かい合えるようになる、という筋立てだし。難しいところです。
- 75 夜の夜 (採点:6)
- 黒い影云々を取っ払うと、重松清が書きそうなお話だなあ、と。影の存在を意識し始める幼い頃の場面は楳図かずおっぽいかな、とも。
悪くはないのですが、新鮮味がないというか何というか。いや、もちろん、話としてまとまっているし、文章もしっかりとしている。実際、なかなかに読ませる文章、展開なのですが、いまひとつパンチに欠けるかなと思いました。
- 76 Another (採点:1)
- こういうのは食傷気味というか、よほど文章の技巧なり全体の構造なりに凝らないと、おもしろさを感じられないです。
というか、何気ない兄妹の会話であるのに、そこにミスリードを誘うような表現を入れられているために、違和感といいますか、不自然さ
みたいなものが見えてきてしまいました。
- 77 曇りのち晴れ。 (採点:2)
- 女の子が男の子を待つっていうのは他にもあった気がするんですけど、こっちの方が軽くウザいな。(笑)
ていうか、女の子も女の子なら男の子も男の子だ。(笑) もう二人で幸せになっちゃえばいいじゃない。
何かもう最後のほうの会話とかちょっとひいた。(笑)
- 78 君が星を手にするとき (採点:5)
- 親父がちょっとかっこよかった。(笑)
というものの、全体的を見ると、親子の問題というよりも、一方通行の感情が爆発しているだけなんですよね。うーん、暑苦しい。(笑)
映画のワンシーンを切り抜いたような印象です。
親子の関係を描いているようには受け取れなかったので、やはり薄いなと思ってしまいます。もちろん愛憎が渦巻いている必要はありませんが(笑)、サムとチャーリーの親子の、男同士のドラマがあれば、親父の絶叫も響いたのかな、と思いました。
- 79 奥の細道 (採点:4)
- いい意味でひどい話だなあと思っていたんですが、最後の一文に再生の予感を感じてしまいました。いいんだか悪いんだか。
妹の長い長い問い詰め、そしてその前後、ここら辺で物語の流れが断絶してしまっていて、それまでの不穏さが消し飛んでいるように思えました。どうしてここまで書いちゃうんだろうというのが単純に抱いた疑問です。舞城王太郎なんかはこういうのの処理がうまくて、さらっと流しちゃうんですけど。
全体の構成も大雑把で、決して最良の選択とはいえないんじゃないかな、と。
ただ、最後の部分は本当によかった。ここを軸にすべきなんじゃないかと思いました。
○復路鵜 さん
- 24 結婚適文句 (採点:9)
- どうしてか分かりませんがツボでした。
これでもかというほどにツボでした。
してやられた感がたっぷりです。
- 39 イケナイ☆化学実験! (採点:5)
- 最後のシーンで迂闊にも噴きました。
噴いてしまったので負けたと思います。
○霧島 さん
- 22 俺の押しかけサキュバス (採点:4)
- アンソロなどでよく見かけるタイプのラノベですね。設定に関して細かなツッコミは割愛で、勢いで書ききった印象。悪くはありませんでした。
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