○B.F.M さん
- 01 道標は出会いの中に (採点:2)
- 「うわっ!」「しまっ」「ぐえっ」
- 02 旅人と人形師 (採点:採点なし)
- 誤字脱字が多かったり、変な所で改行が入ってたり、後、&ß21085;って何?
推敲されたのかしらん?
- 03 君に届け→ (採点:7)
- やっぱりイメージ流出のシーンがあまりに唐突すぎるというか…うーん残念。
でも、ENDは余韻が残る形でよかったです。
○Foolis さん
- 01 道標は出会いの中に (採点:5)
- 惜しいなぁ…。設定も面白いですし、キャラの造詣もいい感じでした。
(ありがちといえばありがちですが)
ただ…地の文が圧倒的に足りていない。
描写をもっともっと丁寧にやってほしかったです。
それが非常に残念で仕方ありません…。
時間なかったのでしょうか(汗
- 02 旅人と人形師 (採点:4)
- ネタは悪くないんですが…、ちょっと構成がまずいでしょうか。
人形作りのシーンに容量を割きすぎです。そのせいで全体的にアンバランスに思えてしまいます。もうすこし別のところにまわすべきだったかと。
あと、周りの状況がかわっていくところをもう少し丁寧に書いてほしかったです。
- 03 君に届け→ (採点:8)
- きれいにまとまっていますね。
死んでからあとの天使のおじさん、そして母親、おじさんの娘とのちょっとしたやりとりが面白かったです。
母親とのやりとりが個人的に最高でした。
よかったです。
あとどうでもいいですが。森博嗣さんのファンですね、作者さん。
- 04 動物園 (採点:1)
- なんなのこの展開…。いくらなんでも唐突でしょう。
伏線あって見逃したのかもしれませんが(汗
とりあえずなんだかなあ、って感じでした(汗
- 05 それがすべて (採点:6)
- 二人がはじめてやっちゃうこのシチュエーションがいい感じですね。
ほんとにこの二人には最初から最後までやられました。
描写とかは正直今ひとつなのでしたが見事でした、よかったです。
- 06 USO・800(ウソ・メイドオーオー) (採点:7)
- 予想通りの展開とはいえ、作者さんは非常に頭が悪いと思います(ほめ言葉
いや、ルリさんいいキャラしてますねー、ほんとw
読んでて楽しかったです♪
- 07 中世におけるある犯罪者の変遷 (採点:9)
- 面白かったです。
この言葉しかでてこないくらい面白かった。
なんともいえないよさがありました。よかったです。
- 08 遠い日 (採点:7)
- 爺さんと主人公、娘との関係がいいですね、文章の洒落た雰囲気ともあいまって面白かったです。
個人的に一番すきなのは
>「僕と一緒でいいの?」
>「今更他の誰と一緒になればいいの?」
このシーンでした。
ただちょっと個人的には読み仮名がほしかったかな、と思います。
塒とか(汗
- 09 眠れない夜に見る夢 (採点:5)
- ネタはすごくいいと思います。
ちょっとした過ちから狂わされた二人の人生って感じがして。
ただもう少し見せ方をなんとかしてほしかったです。
小学6年のときの思い出を語るシーン、完全に時間軸を過去に戻したほうがよかったと思います。昔を思い出すにしてはちょっと内容がながすぎるせいかなんか違和感を覚えました。
…いやほんとなんか個人的にしっくりきませんでした。
- 10 青い鳥はもういない (採点:5)
- ネタは好きです。
構成はもう一工夫したほうがいいかもしれません、改良の余地があるように思えました。
またもうちょっと文章をがんばってほしかったです。
でも内容はほんとに好みでした、よかったです。
- 11 流れ星はきっと、恋のはじまりで (採点:5)
- うーーん、なんだろうなぁ、悪くはないんです、悪くはないんですが。
容量の問題に相当苦しんだのでしょう、シーンがいまいちぶつぎれ気味なせいで微妙なものとなっています。
もう少しためとかほしかったですね。
それが残念でした。
あ、あと
>違和感を感じた。
これは間違っている表現ですので気をつけてくださいねー。
(正しくは違和感を覚えた)
- 12 植物の部屋 (採点:7)
- なんとも不思議なSSで解釈がわかれそうなSSですが。
主人公は昔レイプされて、それが原因で頭がおかしくなって、施設にはいったということでOKでしょうか?
私は最終的にそうおもったのですが。
とにかく雰囲気が秀逸でした。はじめの夢から現実にもどるところとかいい感じでしたし、面白かったです。
- 13 夏・ものがたり (採点:8)
- 非常にきれいにまとまっていてステキでした。
ほんとにキレイな物語でよかったです。
- 14 天窓の空 (採点:5)
- ややこしかったですが、なかなか見事でした。
でもちょっと説明というか魅せ方が微妙かな、と。
それが残念でした。
- 15 虹輪 (採点:5)
- キレイに、なかなかキレイにまとまっていますが、もう少し何かがほしいですね。こういう物語はセカチュー(私は途中で読むの投げたけど)等色々な物語がありますからやはりインパクトにかけます。
それが残念でした。
- 16 迷い家 (採点:4)
- 本多孝好さんを多分意識しているのでしょうが、ちょっと文章が散漫すぎるかなぁ、と。物語に素直に入り込めなかったです。
それが残念でした。
- 17 青い小箱 (採点:5)
- 青い小箱の設定は面白いですが、せっかく出した割にはあまり上手くいっていないのではないかという印象を受けました。
もうすこし素直に物語を作ったほうがいい感じだったかと思います。
それが残念でした。
- 18 君は小説に名前をつけると命名する (採点:5)
- フィクションと現実の話とか面白い部分はあるのですが、全体をみわたすと、うーーん?となってしまいます。
ちょっと散漫的すぎるかなぁ、と。
私の読解力不足のせいもあるかと思いますが。
- 19 永く遠い旅の終わりに (採点:2)
- なんか設定だけで終わった感じがします。
それが残念でした。
- 20 十字路でっせ (採点:3)
- うーーーん、なんていうかただだらだらと続けられた感じがします。
もう少し文章の見せ方とか考えてほしかったです。
- 21 貴女に素敵な食事を (採点:4)
- うーーーん(汗
病院での主人公と上司のやりとりがやはり違和感があります。
ちょっといくらなんでも子ども過ぎるというか…。
こういう設定の二人でこのやりとりはやっぱり個人的にはダメでした。
実際はあるのかもしれないですが、個人的にはどうも(汗
- 22 銀の騎士と緋の魔物 (採点:6)
- 上手くまとまっているでしょうか。
ユバタとレイリュース、二人ともいい感じでよかったです。
- 23 達人M (採点:4)
- オチが、なんだかなぁ、です(汗
いや、もうちょっとなんかやりようがありません?
一気にバカっぽくなったというか拍子抜けしたというか。
どうもそれが残念でした。
- 24 見続けた背中と、その先にあるもの (採点:6)
- 話の流れがよかったです。一つの経験をして、夢を継ぐっていうのはありがちですが、こういうの私大好きなので。
あとどうでもいいですが。タップたて、って一般的名称じゃないのでしょうか。
私もタップたてっていっていますが。
…いやまぁほんとどうでもいいんですが。
- 25 光あふれ降りそそぎ (採点:7)
- アイドルの恋っていうのはややありがちですが、こう丁寧にかかれてくれるといいですね。
いい感じのバカップルでよかったです。
二人の幸せそうな雰囲気がよかったです。
- 26 ぽいんと・おぶ・のー・りたーん。 (採点:6)
- なのはストライカーズに影響されたのかな、と邪推しつつ。
魔法少女モノとしていい感じだったと思います。
ただ短編だったからでしょうか、設定とかしっかりしている、と思えなかったのが残念ですね。なんていうかかきなぐったというか。そんな感じがしました。
- 27 Out of Eden (採点:6)
- 第一話完、第二話まだ?って感じですね(汗
どうも筆の置き所を間違った気がします。
途中の神様の話は興味深くよませてもらいましたが明らかに構成的にミスでしょう。もうちょっとかくべきところがあったように思います。
それが好きな話だけに残念でした。
- 28 。兄弟への道 (採点:6)
- あーー、もうある意味リアルというかなんというかっ。
下ネタがあまりすきではないから正直微妙な部分はあるんですが、面白かったです。
どうしてこんなアホな会話がかけるのかw(ほめてます
面白かったです。
- 29 いつも心に弾丸を (採点:3)
- せっかくの短編なんですからもう少し落ち着いて書いてほしかったですね。
ちょっと展開が急でした。
タメとかそういうのがほしかったです。
- 30 August, in the box (採点:6)
- 作品に流れる独特の雰囲気が好きです。
ただ最後の段落はもうすこし違うほうがいいかと。
もうちょっといい〆にしてほしかったです。
あと女性がどうも…もうすこし心が変わる過程とか書いてほしかったです。
残念でした。
- 31 巫女が征く! (採点:6)
- 幸江さんがいいキャラしていますね。
最後のオチのところでほんとに好きになりました。
二人のコンビが本と見面白かったです。よかったです。
- 32 ツニ・ロック・フェスティバル (採点:6)
- 話の筋としてはわるくないですが、最後のほうはもうちょっと落ち着いてオチに持っていってほしかったかも。
ちょっと急になっているせいで余韻みたいなものを感じられませんでした。
それが残念だったです。
ほのぼのとしたこういうオチ好きなんですけどね…。それだけに。
- 33 星の話 (採点:9)
- 見事。
正直まだ作者さん自信この手の文体になれていないように思いますが、雰囲気が非常によかったですし、星の設定が面白いですし、C嬢の死に方も非常に興味深く、また狂気じみていて好きです。
ほんとう、よかったです。
- 34 クリスタライズ / ドロップ (採点:7)
- ちょっと不思議な、バカップルの話を堪能させていただきました。
面白かったです。
- 35 前を向くと見えるもの (採点:7)
- 設定が非常に面白いです。ありがちかもしれませんがこういうのは好きなので。
ただその魅力を伝えるのは容量が足りなかったのだろうと思います。
それがちょっと残念だったかなぁ、と。
この話自体は上手くまとまっていてすきなのですが。
- 36 GENJI☆物語 〜YOUたちみんな僕とセックスしちゃいなYO!〜 (採点:8)
- バカすぎるw
下ネタは正直苦手なのですが面白かったです。
小ネタがいい感じで聞いていましたし。
これ上位にいったらみんな泣くだろうなぁ♪
ところで
>わたし汚されちゃったぁ……。わたし汚されちゃったよぅ……
これなんでしたっけ?
思い出せない(汗
○JING さん
- 36 GENJI☆物語 〜YOUたちみんな僕とセックスしちゃいなYO!〜 (採点:7)
- ホントにもうアホすぎて言葉が出ないです。
作者の頭のオカシサに乾杯です。
というか、これギリギリアウトじゃないのか……?
○Manuke さん
- 01 道標は出会いの中に (採点:5)
- 全体的には悪くない流れですけど、ちょっと細部に煮詰め足りないと感じる部分がいくつかありました。
そもそも、超常的な『悪魔』が存在する世界で、雨乞いのために生け贄を捧げるのは本当に理不尽だと言えるんでしょうか? そこは単に身勝手と断じるのではなく、もう少し踏み込んで欲しかったな、と。
- 02 旅人と人形師 (採点:4)
- 人形作成の部分は力が入っていて良かったのですけど、ストーリーの方は飲み込めませんでした。
『僕』に人形が違って見えたのも、旅人氏の目的も曖昧なままで、少々煮え切らない印象です。
旅人氏の人を食ったようなキャラクタには味がありました。
あと、余計なお世話かもしれませんが、U+21085はWeb公開する文章で使わない方がよろしいかと。
これは「剥」の字形違いの文字で、Shift_JISでは表現できません。(『Web小説コンテスト4』ではShift_JISで文章が格納されると、企画要項にありますので)
Windowsならば『メモ帳』、Mac OS Xなら『テキストエディット』等であらかじめShift_JIS形式で文章を保存できるかどうか試しておくことをお勧めします。
- 03 君に届け→ (採点:8)
- 香奈子嬢、えらく気っぷのいい女の子ですね。
死んでしまって、しかも自分が間もなく消滅すると知っていて、それでも敢えて他人のために行動するわけですか。その心意気に惚れます(^^;)
ただ、彼女が助けた相手に関する言及がなかったのは残念。「まっとうな人間じゃあない」と思わせぶりな台詞があるにも関わらず、結局触れずじまいだったのが消化不良ぎみでした。
- 04 動物園 (採点:7)
- 物語としては良くできていると思います。思わせぶりな部分の意味が後で分かりますし、淡々とした文章も味があります。
ただ、全体としてはかなり不快に感じました。もちろん意図されてのことだとは思うのですが、自分としてはそれを楽しむことはできないようです。
主観的な採点になってしまってごめんなさい。
- 05 それがすべて (採点:5)
- うーん、特別に何かがあるということもなく、印象に残りそうにないお話でした。
お話として纏まっている点や、プロローグとエピローグの形はなかなか良いと思います。
主人公の台詞をカギ括弧でくくらず地の文章と混ぜてしまうのは谷川流氏の影響のように思われますが、二次創作でなければ真似しない方がよろしいかと。分かり辛くなるだけですから。
#余談になりますけど、「液体ヘリウムみたいな目」という表現のオリジナルはおそらくアイザック・アシモフ氏ですー。
- 06 USO・800(ウソ・メイドオーオー) (採点:4)
- コミカルで楽しそうではあるのですが、個人的な感想としては少々媚びが鼻についてしまいました。(嫌な感想でごめんなさい)
ストーリーをとやかく言う内容ではないのでしょうけど、「無表情のメイドさんが実は若様好き好きっ子でした」というエピソードだけでは物足りないです。
- 07 中世におけるある犯罪者の変遷 (採点:7)
- う、うーん……。
とても良く纏まっていますし、ストーリーにぶれがないのも好印象です。
ただ、こうした形の救済に対しては反感を覚えてしまうので……。ごめんなさいです。
- 08 遠い日 (採点:9)
- 落ち着いたタッチでありながら、なかなか読み応えのあるお話でした。
ただ、あんまり面白くはなかったな、と。ストーリー自体はわりあい見かける種類のものですし、冒頭はともかくそれ以後はほぼ屋内でのみ話が進行し、戦後の日本らしさはあまり感じられませんでした。
あと、闇市で生理用品を買うというのはどうなんでしょう? 時代や状況を考えると、「手に取るのが躊躇われるような」ものをわざわざ高いお金を出して買うかどうかは疑問です。
- 09 眠れない夜に見る夢 (採点:8)
- ささいな復讐が産んだ結末と、その後味の悪さが良いですね。
ただ中盤、復讐の場面手前で「僕が思い出すことができるのは、遠い昔の面影を自分に都合よく作り変えたものに過ぎない」としているのは、どうも予防線のように感じてしまいました。実際、小学生が当時そう考えて行動したようには思えないほど分析的ですし。
当時の心境や情景と、それを振り返っている今の『僕』をもう少し分離して欲しかったと思います。
- 10 青い鳥はもういない (採点:9)
- うん、いいですね。現代の童話といった感じでしょうか。
「情けは人のためならず」って言葉自体はちょっと打算的な印象がありますけど(^^;)、でも頑張っている人間は報われて欲しいと思っちゃいますからね。
キモカッコいい良夫君が好感度高いです。
- 11 流れ星はきっと、恋のはじまりで (採点:3)
- テンポは悪くないのですが、ちょっとご都合主義が過ぎるように感じられました。
ストーリーに真新しさが感じられず、先が読めてしまうのも残念です。
最後の締めくくりはなかなか可愛らしい印象でした。
- 12 植物の部屋 (採点:2)
- う、うーん……。
ごめんなさい。何がやりたかったのかが分かりませんでした。
何か叙述トリックを狙ってらっしゃるのかなぁ?
植物の島の描写辺りは良かったと思います。
- 13 夏・ものがたり (採点:6)
- うむむ……。
お話自体は面白かったんですが、収まりの悪さが気になります。「ほたると三月の件」と「水晶と人形の件」が結びついていない感じがするんです。
「水晶を探していたときに失くした人形が、実は水晶を探してくれていた」というお話は、それ単体で成り立つエピソードですよね。それに対して、ほたるの件は特に何かが起きた訳でもないですから、今のところはあまり役に立っていない印象です。
これが「ほたると三月の件」を繋がりとしていくつかのエピソードを連ねる短編集の一エピソードだったら納得がいくのですけど。
キャラクタはそれぞれに魅力があり、生き生きと動いていたのが良い印象です。
あと、「三弥、そこに生物は?」の台詞を『せいぶつ』と読んでしまって一瞬混乱しました(^^;)
- 14 天窓の空 (採点:5)
- 仕掛けは面白いですね。冷凍睡眠を行ったことによる悲劇と、その先のドラマというのは良い題材でした。
ただ、少々ミスリードの仕掛けが多すぎるんじゃないかな、と。そのせいで、種明かし後は納得よりも理不尽さの方を強く感じてしまいます。
また、幽霊の件に関しても、菜穂や美代の推理がかなり強引です。どうしてそう推測できたのかをもう少し丁寧に説明して欲しいですね。「鋭い」で済ませてしまっては不満が残るのです。
あと、細かいことですが「そんなひとりごち」の使い方が気になりました。動詞の連用形止めとしては少々文法的に違和感があります(終止形「そんなひとりごちる」にすると、分かっていただけるでしょうか)。
上一段動詞「ひとりごち−る」は元々「ひとりごと」を動詞化したものですから、体言止めの「独り言」でいいのではないかと。
あるいは、「そんな」を受ける形で「そんな風にひとりごち」とするとか。
(重箱の隅つつきでごめんなさい)
- 15 虹輪 (採点:10)
- うう。かなり悔しいのですが、完全敗北です。
病気ネタで来るのはずるいなーと感じつつも、こうも見事な形で締めくくられると単なる負け惜しみでしかありませんね(^^;)
一日飛んでしまった日記から始まる日常の崩壊、ヒナとリョウの思いが胸に迫り、非常に印象深い作品でした。
一点、揚げ足取りで申し訳ないのですが、「すべからく」は使い方を間違えてらっしゃるのではないかな、と。
- 16 迷い家 (採点:2)
- ごめんなさい、良く分かりませんでした。
シーンがあまりに断片過ぎて、状況が掴めません。男が和俊を指しているかどうかも分かりませんし、主人公との関係も不明です。
沙貴に会いに来るという表現がある以上、男は同居していないようですが、「あたしと和俊の家」という台詞とそぐわないように思えます。しかし、団子の件では父親であるとしか思えず……。
また、冒頭の「当然、俺の親父の姿はそこにない」という文章も意味が分かりません。恋人の父親に会いに行った帰りの場面で、どうして自分の父親のことが出てくるのでしょう?
迷い家の部分は面白かったので、もう少し話の筋道をはっきりさせて欲しいと感じました。
- 17 青い小箱 (採点:9)
- ちょっぴり切ない、不思議なお話でした。
ただ、魔法の宝石箱が本当に魔法である必然性が、今一つないような気もします(^^;)
おばあちゃんに言われたことで自己暗示をかけてしまった、という話でも通りそうな……。
でも、シチュエーションとしては好きです。
- 18 君は小説に名前をつけると命名する (採点:6)
- 一つ一つの単語は分かるのに、それが組み合わさってできるはずの情景や心情がなかなか見えてこない。無理に理解しようと読み返しても、その向こうにある意味が捉えられない。
そんなもどかしさを感じてしまいます。
水準以上の力量を感じますし、こうした作品が好きな人には高く評価されるのではないかと想像します。
けれども、私の心には何も響いてきませんでした。
悪意を込めたつもりはありませんが、そう受け止められても仕方のないコメントですね。本当にごめんなさい。
- 20 十字路でっせ (採点:1)
- うーん、感想に困るなあ……。
ストーリー自体は面白いと思います。伝説のギター漫談師の影を追って修行とか、最後のシーンも清々しいです。
でもこれ、パロディなんですよね? 元ネタが分かりませんので、私が面白いと感じたのは実は本作ではなくパロディ元のストーリーなのかな、という疑念が晴れませんでした。
あと、肝心のギター漫談が、一体どこが笑えるのか文章からは全く伝わってこないのが残念なところです。
もちろん、文章だけで面白いのなら漫談師はいらないわけで、当然と言えば当然です。でも、クスリとも笑えないのはどうなんでしょう?
と、ここまで書いて、「『十字路』なら英語で"crossroads"かな?」と思ってWeb検索してみたら――ありました。ラルフ・マッチオ氏主演の映画『クロスロード』ですね。
うむむ。原作では「ギター漫談師」ではなく「ギタリスト」なわけですか。なんだか、ストーリーはそのまんまのようですが……。
申し訳ないですが、私としては本作をオリジナル小説とは認めがたいです。二次創作と言うべきじゃないかな、と。
- 21 貴女に素敵な食事を (採点:6)
- 飛行機の墜落事故は相当に悲惨だと聞きますね。
また、死亡事故を目撃してしまったために、しばらくの間お味噌汁が飲めなくなった人を知っています。血に見えてしまうのだとか。
実際、こういった状況は起こっているのでしょうね。
ただ、最後の段落はちょっといただけないなぁ、と。直前の場面までの悲壮感が台無しです(^^;)
- 22 銀の騎士と緋の魔物 (採点:2)
- えっと。
「『ユパタは実は女の子』というネタじゃないよね」とか、「『実はハーベストが魔物』というオチじゃないといいな」と願いつつ読み進めていたのですが、残念ながらそのまんまだったようで……。
きつい言葉になってしまって申し訳ないのですけど、もう少し他者にストーリーを読ませるということを意識していただきたいと思うのです。これでは「王道」ではなく「陳腐」に感じてしまいます。
また、「銀髪に紫の瞳を持つ、剣も魔術も一流の美形青年」という存在は、よほど上手く扱わない限りお話をスポイルしてしまうだけです。彼が労せずして敵を倒してしまうことが分かっているのですから、緊張感など生まれるはずもありません。
(せめて強さに条件を付けるべき)
お話自体は良く纏まっていて好印象です。
- 23 達人M (採点:8)
- お話としては悪くないと言うか、面白いんですけど、これはむしろ掌編向けではないのかなーと。
話を引っ張ってしまったが故に、オチが見え見えになってしまっているのが残念です。中途半端にリアリティを織り交ぜたりせず一気に畳みかけてくれたほうが良かったように思いました。
とは言うものの、ラストのあっけらかんとした幕引きがおかしくて好きです。
結局は軍需産業的にも美味しかったということでしょうか。
- 24 見続けた背中と、その先にあるもの (採点:8)
- ストーリーはとても良いと感じます。町工場の職人と医師の接点や、事故現場での体験を通じて学んだもの等、流れがすっきりとしていて気持ちのいいお話でした。
一方、シチュエーションには少々首を傾げるような箇所が散見されます。
一例を挙げると、冬一少年が工作機械の操作に習熟している辺りですね。ああした機械は大人の背丈に合わせて作られているわけですから、小学五年生以下の子供が操作するのは簡単なことではありません。しかも、危険なものですから操作を教えるには付きっきりで当たる必要があるはずです。
そもそも、父親は工場に勤めていただけですから、その子供に仕事を手伝わせるということは少々あり得ないのではないかと感じました。
これが、「冬一君の自宅が町工場だった」ということだったらまだ納得がいくのですが。加えて、冬一君の年齢を高校生ぐらいに設定すれば違和感はもう少し抑えられると思うのです。
あと、ボール盤とかフライス盤をよく知らない読者にとっては、加工作業の辺りが把握しづらいんじゃないかと、要らぬ心配をしてしまいます(^^;)
もう少し工作機械自体の説明があってしかるべきかなーと。
- 25 光あふれ降りそそぎ (採点:5)
- うむむ、てっきり母親の手術関連がメインのお話だと思ってたら、違うんですね(^^;)
佳奈名嬢は可愛らしいですが、状況もキャラクタも少々作り物っぽい印象が否めませんでした。
どちらかと言うと、小説よりも少女マンガ向きのように思います。
- 26 ぽいんと・おぶ・のー・りたーん。 (採点:1)
- やっぱりフェイトちゃんときたらザンバーフォームですよねー。
体よりも大きな刃身を振り回すその姿に痺れます。
- 27 Out of Eden (採点:3)
- ……あれ?
出だしはいかにも何か起こりそうな状況にありながら、その後はケーキ屋さんでダベってるだけなんですか(^^;)
独自の魔法設定解説と失楽園の解釈は、正直に言ってしまうと双方ともどこかで聞いたような内容でオリジナリティに欠けます。「土台の綻び」を恐れるあまり、小さく纏まってしまったような印象を受けました。
せっかく魅力的で意味深な名前の伊部さんというキャラクタがいるのですから、もう少しお話を動かして欲しいと思うのです。
- 28 。兄弟への道 (採点:4)
- うーん。
詰まらないわけでは決してないんですけど、さりとて面白かったとも言い難い、微妙な印象です。
下ネタがちょっと幼稚に感じてしまいます。
タイトル及び紹介文での句点の使い方はなかなかウィットが効いていました。
- 29 いつも心に弾丸を (採点:2)
- う、うーん?
いや、アクション自体は悪くないのですが、色々と理不尽な点が……。
まず、マリア「人の心が読める」という設定がまるで活かされていないように感じます。ジョージがライフル弾を使う場面で一応は使われていますが、心が読める必然性はありませんし。
また、父親が何をしたかったのか全く分からないです(^^;) その後の「お母さんがあなたに私を預けた」や「本当の母親」も同じく。
重要な部分をおもいっきり書き漏らしてませんか?
マリアとジョージのコンビは微笑ましくて良かったと思います。
- 30 August, in the box (採点:4)
- うむむ、ちょっと都合が良すぎるんじゃないかなぁと感じてしまいました。
「英里子は僕の決心を結局理解してはくれなかった」という文章があまりに情けなさ過ぎて、むしろこの終わりはエレベータの彼女にとって良い結末ではないように思えてしまうのです。主人公、ヘタレっぽいですから(^^;)
シチュエーション自体は悪くないのですが、それを肯定するにはキャラクタに魅力がなくて辛いですねー。
- 31 巫女が征く! (採点:4)
- う、うーん。トラックを蹴り倒す時点でもはや「ツッコミ無用」と言われているような気もしますが……。
正直なところ、巫女装束でバトルをしなければいけない必要性が分かりませんでした。ジャージ着ていけばいいじゃないですか、ジャージ。あるいは体操服。
いや、始めに巫女服ありきなのは分かってますけど、それならせめて描写の中でその有様を活かして欲しかったと思うのです。
武道袴云々のような真面目設定よりも、白衣をひらめかせて戦う幸江の姿を文章で表現することこそが重要なんじゃないかな、と(^^;)
幸江やアレクシアのような魅力のあるキャラがいるだけに、そこは残念に感じたところでした。
あ、あと『モナ・リザ』の眉毛、元々はあったみたいです。先日、ニュースになってました。
- 32 ツニ・ロック・フェスティバル (採点:5)
- RPGを多少脚色したようなファンタジー世界ですね。
きっちりお話が纏まっているのは好印象でした。オーク達も音楽を聞きたかっただけというのはちょっと可愛らしいです。
ただ、中途半端に考証が行われていると、それが仇となって世界設定の理不尽さが強調されてしまいます。
例えばRPGにありがちな冒険者の存在。ルダン達はあちこちを放浪して警護の職を得たりしているようですけど、何のためにそんなことをしてるんでしょうね?
警備なら警備員、都市の防護なら軍隊と、専門の職業に任せた方が効率がいいでしょうし、信頼も置けます。どこの馬の骨ともしれない冒険者を雇う需要がどのくらいあるのか疑問を覚えてしまうのです。
冒険者と言うからには、やはり植村さんみたく冒険が生き甲斐なのかな?(^^;)
あと、オーク達がどうやって会場の近くまで見つからずに侵入したのかも気になりました。退却は歩いて去っていくようですが、登場時は魔法でも使ったのでしょうか?
しかし、それだったら会場内を直接襲わせた方が良いような……。
- 33 星の話 (採点:10)
- 描写が非常に丁寧で、上質の雰囲気を堪能させていただきました。登場人物名がアルファベットなのも好みです(^^;) Aの屈折した感情も良いですね。
(1カ所、「最も」の誤字がありました)
ただ、物語の中心になっているはずの『星』に関しては、設定が突飛なために今一つ受け入れ辛い部分がありました。主人公やAの『星』に対する思いもピンと来ない印象です。もう少しそちらに分量を割いて欲しかったと感じます。
- 34 クリスタライズ / ドロップ (採点:7)
- お話も主人公も、なかなか可愛らしい印象です。
台詞の軽快さと地の文章の情景描写が少しミスマッチな感じがしますけど、それは必ずしもマイナスではありませんでした。アンバランスさが逆に良い味付けになっているように思います。
- 35 前を向くと見えるもの (採点:3)
- うーん……。
その『禁戒』というものは、この国の誰もが持っているんですよね? だとしたら、それを保護する何らかの社会的システムが作られるのが筋では? 人がそうそう死んでしまっては社会が成り立ちませんし。
『禁戒』という異常なシチュエーションがあるにも拘わらず、作中の人達の行動に配慮が足りないと感じてしまいました。誠一君と美月、姉はおろか、両親や教師、ヤンキー達、果ては道行く人々までが全員『禁戒』を抱えて生きているのだとしたら、こうまで軽々しい行動を取るでしょうか。
設定が先行しすぎて、練り込みが不足しているように思います。
状況自体はなかなか面白いです。
- 36 GENJI☆物語 〜YOUたちみんな僕とセックスしちゃいなYO!〜 (採点:1)
- ここまで突っ走ってしまいますか。とても悔しいですけど、1点を献上する他はなさそうですね(^^;)
ただ、感心はしたものの、あまり面白く思えなかったのは残念でした。パロディという手法自体を否定するつもりはないのですが、パロディネタだけで安易に笑いを取ろうとしているように感じられる箇所が多く、楽しめません。
むしろ源氏物語以外のネタは使う必要もなかったのでは? カシワギが去り際に呟くいろは歌への冒涜がとても秀逸なため、特にそう感じました。
○PFR さん
- 01 道標は出会いの中に (採点:5)
- 文章にこれといって問題はなく、物語の結構も過不足なく整っていて、好感を持てるキャラクターがいて、素直によい話だと思える結末で幕を閉じる。目に見える欠点は背景の弱さくらいで、全体的によく出来ていると言っていいと思います。ただ、だからこその物足りなさは確実にあります。悪く言えば小さくまとまってしまっているわけで、何処かでもっと突き抜けてほしいという思いが残りました。
- 02 旅人と人形師 (採点:5)
- 硬めの幻想小説によくありそうな道具仕立てで、それは既視感を覚えるということでもあるのですけれど、好みです。しかし推敲が足りていないのか、あまり完成度は高くない印象があり、とりわけ人形の纏う雰囲気とか存在感とかを十全に表現できていないことは致命的だと思います。軽さを狙う筋立てでもない気がするのでもう少し重厚な感じで仕上げてもよかったのではないでしょうか。
- 03 君に届け→ (採点:2)
- 真摯な姿勢が裏目に出て、小説が面白さを欠いた退屈で凡庸なものになってしまっていると思います。「タフで優しく」て、「いつも杉本ファミリィの一員として恥ずかしくないようやっていく」や「だから、きっとこれからも大丈夫に決まってる」と言えてしまう人物を語り手に据えたフィクションは、語り手が実在の人物として倫理的にどうかという、フィクションを読む上ではさほど本質的でない問いに正しく答えられるものにはなりえるかもしれませんが、たとえば葛藤や懊悩や分裂や衝突や紆余曲折といった要素から導き出しうるであろうダイナミズムを抹消しているため、非常に平板な語りとその語りを通した非常に平板な世界像をしか持ちえないのだ、ということです。
- 04 動物園 (採点:6)
- どう感想を書いていいものかとても困っています。とりあえず、なんとも言えない独特の雰囲気を結実させているという一点だけでも価値のある作品だと思います。とこんなことしか言えない自分がもどかしい。場面の転換点を空行で区切っていますがここはむしろ混交させてしまったほうが凝縮された感じになってよかったのではないかとふと考えました。
- 05 それがすべて (採点:4)
- 普通の学園ものだなあという感想が真っ先に出てきてしまいます。
語り手の声が声として書かれない、つまり鉤括弧に囲まれないことによって突き放すような冷たさが全体に漂っているのは上手いと思いました。そのせいで序盤から中盤の会話にあったたくさんの面白い箇所で笑えなかったのですがこれは狙い通りでしょうか。歌いながら帰路について最後には泣き出すという展開は個人的には感動するのではなくて引いてしまいます。最後、主人公を涙目で睨む千佳は正直可愛かったです(笑)。
- 06 USO・800(ウソ・メイドオーオー) (採点:4)
- 語り手の語りに勢いと可笑しさがあってとても面白いのですが、それ単体で小説全体を支えられるほど威力のあるものではさすがにないので、物語の弱さがそのまま小説の脆弱さにつながっていると感ぜられました。「動け! あたしの脳細胞! 活性せよヘモグロビン的な要素!」の勢いを持続させていればなかなかの怪作になって面白かったのではないかと個人的には思います。
- 07 中世におけるある犯罪者の変遷 (採点:4)
- ヴーツとバルバラがいいひとすぎて説得力がないのとハンスの改心が早すぎるのが致命的な欠点だと思いますが、猿や亡霊を描き出す筆致、特に序盤のそれは見事でした。「火が吐き出す心地よい暖かさに包まれて眠りかけていると、不意に自分の隣に誰かが座り込んだのが見えて目が覚めた。背中にナイフが刺さっているから、多分彼が今日後ろから突き殺した相手だろうと考えた。」というところなんかは、異様なものが少しも異様でない自然なものとして登場しているが故に逆に読者にはそれが限りなく異様に感じられる、という離れ業を演じていて素晴らしいと思います。
- 09 眠れない夜に見る夢 (採点:5)
- ささやかな悪意が世界を不気味なものへと一変させる瞬間を描き出す手付きが素晴らしいです。普通に書けば感傷的にすぎたであろう最後の夢想も、その不気味さを経由して書いているのでちゃんと機能しています。ただ回想という形式を不用意に使いすぎかなと思います。現在過去現在過去、と続くのはそれこそ単に形式にすぎなくて、それに無理をして則っているので言葉から瑞々しさが失われているのではないか、と。最後の夢想が上手いのは、現在過去現在過去の形式を守っているのではなしに流れに乗って自然と言葉が出てきているからで、こうした自然さが全体的には欠けていた感じがしました。
- 10 青い鳥はもういない (採点:3)
- 青い鳥が奇蹟的な偶然でもって関係者の手に次々と渡るという展開はどう頑張ってもご都合主義であることから逃れられないわけですが、それをご都合主義のままで終わらせるかそれともカタルシスに転化させるかで、小説はまったくの別物になるはずです。この作品は残念ながら前者だったと思います。素性の明かされた悩める登場人物が先にいて、そこに青い鳥が到来する、という構図ならばパトスからカタルシスへと至る流れができていていいのですが、青い鳥が到来する段になって始めて、登場人物が登場し、実はその人が青い鳥を必要としている悩める人間である、と明かされるのでは、それは後付設定のご都合主義でしかありません。
- 11 流れ星はきっと、恋のはじまりで (採点:1)
- ラノベだ、という言葉を悪い意味で使わせていただきたいと思います。ライトノベル的な類型化と画一化に対する抵抗の痕跡が些かも見られないからです。
- 12 植物の部屋 (採点:7)
- 植物の色と香りを濃密に描いていく文章が、混交していく記憶と夢も相俟って好みです。尤もここまで書ける作者様ならばもっと精度を上げることが可能だったかなと感じますし、何より幾つか脳裏をよぎる似たような描写をおこなっている先行作品の存在を考えると、そうしなければ太刀打ちできないでしょう。
解釈は幾つか試みてみましたが正解らしきものには辿り着きませんでした。正解が存在するのかも怪しいですが。
- 13 夏・ものがたり (採点:4)
- 物語を構築する上でも描写をおこなう上でも必要のない、無駄なキャラクターが多すぎて、小説が大変散漫なものになっている気がします。文章力はあるし「探していた人形が、探し物を探してた」という着想も優れているので、いろいろ惜しいなあと思います。
- 14 天窓の空 (採点:5)
- 「空はどこまでも青く、澄み切っている。」という吃驚するほど紋切り型な冒頭でいきなり躓きましたが、全体としてはなかなか優れたミステリ的構成を持つ作品だったと思います。この手の構成のミステリにしばしば要求される一撃必殺の切れ味はありませんが、代わりにパズルのピースを一つずつ嵌め込んでいく手付きが丁寧で、そのたびごとに世界観が更新されていくのが鮮やかでした。
尤も、過去に無数に書かれたミステリたちと比較して、それでもなお絶賛に値する精度があるかと訊かれると、そうでもないと答えざるをえないのですが。
- 15 虹輪 (採点:3)
- どんな人間なのかほとんどわからないキャラクターがまったく厚みを欠いた世界において裏表のない言葉を直裁に語る、という筋立ては、貧困さを感じさせる一方で、個別性と具体性を捨象しているが故に、近代以前の物語が持つような力強い永遠性を獲得していると思います。とりわけ幸せでしたと語り手が繰り返す場面では語り手自身がほぼ完璧に消失しており、そこで提示されるのは誰が喋っているのでもない普遍的な言葉に等しい。
とはいえこうした論理で褒め切れるかというとそうでもなくて、やはり普通に薄いなあと感じられる部分が多く、なんだか突き抜け切れていない印象です。
- 16 迷い家 (採点:6)
- 凝縮された筆致で夢と現実の狭間を描き出していく手付きが見事なんですが、その試みが突き抜けすぎていて、普通の小説としての枠組みが残っていることが足枷と感じられてしまいました。尤もこれは私の趣味と言えばそれまでの話で、作者の方には大変申し訳なく思います。
- 17 青い小箱 (採点:3)
- 決して悪い小説ではなくて、大切なものを封じ込めた小箱というモチーフは魅力的だと思いますが、全体としては、なんの抵抗もなしにそのまま流れていってしまう平凡な話であるように思われました。何処か一点で突き抜けることが出来ればまた違った印象になったのではないでしょうか。
- 18 君は小説に名前をつけると命名する (採点:9)
- 流麗に横溢する上質な言葉たちが、ある意味空虚さにしかつながっていない点をもって、書くことの困難さの表現と見るべきでしょうか。とはいえ作品全体を覆う、これ以上ないほどに研磨された言葉と比喩とイメージを前にしては、それらそのものが既に「この世界に溢れるフィクションの力」の源なのではないかと言いたくはなります。些か安易にすぎる気はしないでもありませんが、敢えて安易な姿勢を取ることはフィクションを読む上では実は大切だと最近思っていたりもします。
ところで「違うんだよ。この世には本当に取り返しのつかないことがあって、それが今なんだよ。」以下数行についてですが、こうしてクライマックスで内言を全面化させるのは毎度おなじみの手法で、これ自体が悪いわけではないですけど、別の書き方も見てみたいというのが本音です。
- 19 永く遠い旅の終わりに (採点:9)
- SFに関する知識や素養を決定的に欠いている私ですが、それでも、パイオニア10の金属板が実際に異星人の手に渡って解読されたら、という仮定には心躍らされるものがあります。「さすがにそれは擬人化が過ぎるというものだろう。異星人の心理を探るのは時期尚早だよ。」にはにやにやさせられました。また私たちとはあらゆる点で根本的に違った存在であるらしい異星人の特徴が、あからさまに説明されるのではなくて細部の記述に反映される形で提示されるのも上手いです。尤も、この点についてはもう少し工夫の余地があったのではないかとも思います。具体的にどうすべきかとかは正直思い浮かばないので愚痴に近くなってしまうのですが、未来永劫日本語によっては記述されえないし私たちが私たちの認識の枠組みで捉えることもありえない世界を描いている割には、言語および認識と描かれる世界との間の齟齬が存在せず、小説全体が滑らかに書かれてしまっている感じがするのです。
- 20 十字路でっせ (採点:4)
- 巧妙に組み立てられた話だと思います。読者を飽きさせないようかなり計算されて緩急が付けられていますし、何より幻の芸を追い求めて旅をするという筋立てに、表現するということに対する作者の自覚的な姿勢が見て取れます。で問題は文章なんですが、私は左から右まで一杯に文字が詰まった画面を見慣れているので、この改行の仕方は慣れていないぶん印象が悪いのですが、その点を差し引いても力が足りていないと思います。この物語が持つ可能性のほとんどを文章が汲み取れていない、という印象です。
- 21 貴女に素敵な食事を (採点:3)
- 物凄いバランスの悪さを感じまして、原因はたぶん、飛行機事故という五十枚すべてを費やしても語りきれるか定かでない壮大なモチーフが、その壮大さに反して、最終的には夫妻の馴れ初めの切欠以上の物語的役割を与えられていないことだと思います。また文体に力が足りなさすぎて、事故現場の凄惨さも、主人公の心の傷の深さも、いまいち表現し切れていません。
- 22 銀の騎士と緋の魔物 (採点:2)
- ライトノベルの文法に則り切った作品はとても苦手で点数も低くなってしまうのですが、何処かで見たことがある気がするとはいえ意外な展開と、真名がどうとか変なところでリアルな設定を用意することによって、緊密さを維持しえていた気はします。
- 23 達人M (採点:4)
- この結論は他者の許容される余地がなさそうでちょっと怖いです。「めでたしめでたし。」という気の抜けた言葉で〆ているのはそのことに対する皮肉、なのかどうかはわかりませんがそう読めなくもありません。
- 24 見続けた背中と、その先にあるもの (採点:6)
- 「俺の名は立花冬一。」という誰に向かって言っているのかもどうしてここだけ一人称なのかもわからない自己紹介から始まる冒頭、伏線なしに交通事故が発生してしまう物語の結構の弱さ、クライマックスにおける改行連発と内言の過度の前景化、それを含めた文章の洗練されてなさ、といった技術的不足は割と指摘できるわけですが、それでもこの小説を読後感の良い真っ当な成長譚として評価したいのは、一見都合の良さが目立つ主人公の成長ぶりを、いかにもありそうな理由で離婚した両親などに漂う厳しい現実感や、工作機械を取り扱う場面などに表れているリアルさを経由して描くことによって、ぎりぎりのところで地に足のついたものにしているバランス感覚が素晴らしいと思うからです。
- 25 光あふれ降りそそぎ (採点:10)
- 「他人に、無条件に何かを譲らせる魅力を持つことを、自覚している」とか「決して自分と佳奈名の一対一の関係だと錯覚してはいなかった」とか「だから、それを取り上げるのは溶の役目だった」とか、登場人物の行動原理や立ち位置が裏側に至るまで事細かに表現されており、一見一本筋な話に豊かな奥行きを与えていると思います。またともすれば停滞の原因になりかねないそういった説明的な文章を、密度と勢いのある会話文に上手く乗せることによって、冒頭から結末まで流れるような滑らかさを実現しえていると感じました。閉塞的な序盤と中盤から、海に象徴される明るい終盤へと物語を一気に落とし込むことによるカタルシスは並大抵のものではありません。というわけでとても面白かったです。
- 26 ぽいんと・おぶ・のー・りたーん。 (採点:4)
- 凄く既視感があるんですけど(笑)。
文章力は基本的には高いものの、ところどころに不快な生硬さというか不必要に凝ったがための不自然さが感じられます。魔法少女ものとしては過剰なほどに組織や装備にこだわるある種のペダンティズムと合わせて、ファンタジーをファンタジーらしからぬリアリティで武装する効果を上げている、とは言えないでもないですが、やはり普通に直すべき点だと思います。
例の既視感が感じられるおかしな魔法少女的空間に対して、外部の視座を持っているためにそのおかしさを指摘しうる独立偵察隊隊長の独白が、実はこの小説の中で最も面白い箇所なのではないかと思いました。
- 27 Out of Eden (採点:3)
- 文章は完成されていますし主題も明晰です。が、それを上手いことフィクションに仕立て上げることが出来ているかと言われると微妙です。月並みな批判であることを承知で言えば起承転結の起で物語が終わっていますし、物語以外に何かこの小説を支える論理が存在しているようにも見えません。カンパンマンの挿話がかろうじて支えているのみ、という印象です。
- 28 。兄弟への道 (採点:7)
- ネタが好みとは言いがたいので点数を大幅に引き上げることはできないのですが、これは無意味に上手いと言わざるをえません。全編で繰り広げられる馬鹿馬鹿しい言い回しが素晴らしい。欠点は二重に回想を挟み込む形式になっているのがややこしいということくらいでしょうか。
- 29 いつも心に弾丸を (採点:1)
- 読んでみたら本当にC級だった(笑)。というわけであらゆる点でどうしようもありません。頑張ってください。
- 30 August, in the box (採点:3)
- 表側だけ見てもなんてことない話で、しかし何か仕掛けがありそうな予感がするので裏を読んでみようと考えましたが、読み切れませんでした。点数は、特に裏表のない、書かれたままの話だと仮定して付けています。それにしてもどう読んでいいのかひたすら困る話で、私の読み手としての未熟さこそがむしろ露呈している感じで、なんか負けた気分です。
- 31 巫女が征く! (採点:4)
- 俗に言う「人間が書けていない」作品ですが、古典的小説観に則ってそれを素朴に欠点とするよりは、それが可能にしている、軽快で勢いのある文体と、常識的に見ればありえないストーリーと、人命の軽さの描写のほうをこそ評価したいと思います。とはいえ残念ながら、積極的に点数を引き上げるには些か完成度が低いと言いますか平凡な感じです。
- 32 ツニ・ロック・フェスティバル (採点:1)
- 申し訳ないのですが凡庸なファンタジーだとしか感じられません。音楽祭という設定には多分に可能性を感じるので、オークやらゴブリンやらと戦ったりせずにそちらを綿密に描き出してみれば良かったのに、と正直思います。まったく別の小説になってしまいかねませんがご一考ください。
- 33 星の話 (採点:9)
- 煌びやかなイメージと強靭な文体が揃った良質な幻想小説だと思いました。ある種の幻想小説にありがちな陰湿さから距離をとっており、文章に良い意味での軽さが漂っているのも良いと思います。
- 34 クリスタライズ / ドロップ (採点:10)
- 独特のリズムを持った口語の語りを、夢、語り手のキャラクター化、ボケとツッコミ、自己言及、紋切り型の解体、失われた記憶、などという形で執拗に重層化していくことによって、豊饒な記述を可能としている手付きが見事です。蒼穹に草の海に大樹、というのは多少類型化されたイメージで、これは欠点として指摘すべきところだと思いますが、類型からはみ出る細部の描写が鮮烈な印象を残すので看過はできます。最後、落とし方が一寸素直すぎるかなあと感じました。
- 35 前を向くと見えるもの (採点:3)
- 些か粗雑であるように思われます。こんな影響力の強そうな設定が用意されておきながら、登場人物が設定以外の部分では普通の社会を作り上げて普通に生活していることが極めて不可解ですし、一緒に喫茶店に行ったりしておきながら半年間名前を知らないなんてありえないだろうとか物語にも無理を感じます。全体的にもっと丁寧に仕上げて欲しかったです。
- 36 GENJI☆物語 〜YOUたちみんな僕とセックスしちゃいなYO!〜 (採点:3)
- これでは源氏物語それ自体との対峙を避けてネタ化に走っているだけだろうとは強く思いますが、というかそもそも人間関係が源氏物語と違いすぎてあまり源氏物語という感じを受けないのですが、そんな真面目になって読むべきものでもないかもしれません。不覚にもそれなりに面白く読めてしまったのは事実です。
○come さん
- 01 道標は出会いの中に (採点:5)
- 面白かったのですが、出来具合にムラが有って凸凹しているような感じでした。
例えば、中盤領主の屋敷を尋ね、少女が生贄にされることが判明する件ですが、やや駆け足でありましたし、なにより領主に全然特徴らしい特徴もないのでストーリーから引き離された気になりました。
その逆に、領主が恨み事を言ったところはその苦渋の決断だったんだというのがぐっと伝わってきましたけど。
問題は、容量なんですかねぇ・・・
- 03 君に届け→ (採点:8)
- 素晴らしい読後感。
登場人物一人一人の個性を全面にだしつつも感情をないがしろにしていないのでとても素直に感情移入できました。
ただ、タイトルに→を付けた意味が・・・なんか安っぽく見えてもったいないです。
しかしそれでもいい作品でした。
- 04 動物園 (採点:5)
- エロい・・・だけど最後が・・・
勝手な憶測を立てますが、この作品のテーマは日常に「浸透していく悪意や嫌悪」ではないでしょうか?
少なくとも、自分はそう受け取りました。
しかし、それでも作者さんの意図を確かめたい作品です。
- 08 遠い日 (採点:10)
- これは凄い。なんだかうまく表せないけど凄い。
どうやったらこう人の人生を小説で表わせるのだろうというのがずっと課題でしたが、こうも華麗にやられるては脱帽しかないじゃないですか。
人生の門出となる東京行の列車に乗る件まで、よく書ききったなぁというのが正直な感想。ほんと、どうやったらこういう小説が書けるんですか?
- 09 眠れない夜に見る夢 (採点:6)
- 全体的なストーリーやその都度の描写は良かったと思います。
ただ、こういう話なだけに細かい所の粗さが目についてしまい、そこが惜しいと思います。
特に「仮に名前をたかし」にする必要はなかったのではないでしょうか?途中の元クラスメイトも普通にたかしと言ってますし、黒板に書いていたのもたかし。「仮に」としたいんら「T君」とかあからさまに記号化してしまえばよかったのではないか、と提案してみます。
- 12 植物の部屋 (採点:8)
- 単刀直入に言って、惚れました(笑 伏線の匂わせ方とかに。
すごく自分の小説ってものを持っているように思えて、羨ましい限りです。
理屈では難癖を付け難い小説ですね(笑
評価が分かれるとしたら、好みの問題になりそうです。
というか、みんな好みで点数つけてんのかなぁ。
- 15 虹輪 (採点:4)
- 読者を感動させるには全編を通して今一つの説得力が足りないと思いました。
最後も「あら御都合主義ですか」ということで一気に興醒めさせられた感です。
それと、もう少し両親にも感謝してあげなさいって事ですかね。
- 18 君は小説に名前をつけると命名する (採点:7)
- 書いてあることは創作活動を行わない一般の人にとってただつまらないのだと思います。そういう意味で、この小説に共感できる読者は絞られるでしょう。
ただ、私自身はまさに創作活動を行う端くれであり、実際ここで書かれていたことは共感でき、尚且つ面白いと感じられました。
こういう試みは偉大な先人たちが多くの名作を遺しているいるせいで、私はここまでストレートに挑戦できませんので、それをやった作者さんの力量と度量に感服しました。どうもありがとうございました。
- 19 永く遠い旅の終わりに (採点:9)
- まず作者さんのSFに関する造詣の深さに感服しました。自分は全然詳しくないのでいちいちが正しいのかどうかなんて判断できませんが、とにかくここまで書くことができるということはかなりの知識を持ち合わせていらっしゃるのでしょう。うらやましいです。
内容の感想ですが、こういう話は設定とリアリティーが命だと私は思うのですが、それを及第点でクリアしていると感じました。登場人物は全て知的地球外生物で<来訪者>を送り出したのが人類、この構図が新鮮で面白かったです。<来訪者>へ向かう学者達のやり取りはリアリティーを演出するのにちゃんと機能していましたから作品に没頭する助力となっていました。
そしてラスト、私、大好きです。
宇宙の向こうへの可能性に想像が掻き立てられましたし、なによりこの広大な宇宙で人類は一人ぼっちではないという救済が明示されていて、感情を起こされました。
きっちりSF小説の役目を果たしたあたり、最大限に評価したいと思います。
で、ここからは気なったところですが、このオーティス人は不定形生物ということですが、どこかひとつ姿を想像し難かったです。一時はアメーバみたいなものかなと思いましたが、義足とかある時点でどうやら人間でいう四肢があるみたいだ、と思いなおし、結局人間の形をした水人形のようなものを想像したんですが、どうでしょう?ここで読者が無用の負担を強いられると、作品の魅力が半減すると思うのですが。
あと、これは質問ですが最後の<十番目の開拓者>というのは出典があるのでしょうか?なんかありそうだけど知らないのでもやもやしているんですけど。
- 22 銀の騎士と緋の魔物 (採点:2)
- 自分にとってライトノベルと言えば「空の境界」ですが、これはまた別の意味でライトノベルだと感じました。
「空の境界」は(もちろん文章の一つ一つのセンスも良かったのですが)作中の世界観に異常なほどの拘りを感じ取れ、それが読者を惹きつける要因になっていました。
それに対し、この作品はどこか聞いたことのあるような設定(個人的にはFFシリーズ)で、いわばファンタジーというジャンルの最も一般的な概念を踏襲しているに過ぎないように思えました。
仮にこの題材で読者を満足させるなら、相応の描写力が要求されますが、それもクリアしていたとは言い難いのが事実です。
結果、「ライトノベルの悪い部分」が諸に出てしまっていたという意味で、これはライトノベルだな、と感じました。
- 24 見続けた背中と、その先にあるもの (採点:7)
- 図工のシーンは有りか無しかで話題になっていましたが、二回目読んでみて自分は有りだなと思いました。
- 25 光あふれ降りそそぎ (採点:4)
- 会話のテンポは良かったんですが、地の文の視点がコロコロ変わって読みづらかったです。
一番多い時で溶、佳奈名、母親、第三者、と四つの視点がありましたよね?
これは自分の好みの問題でもありますが、こういう話は登場人物の一人称で読みたかったです。
- 33 星の話 (採点:5)
- 後半のは思いっきり物語に惹きこまれました。
しかし、冒頭に締まりがなくて、なかなか入り込みにくかったです。
そこを修正すれば、読み手が最後までついてきてくれると思います。
- 34 クリスタライズ / ドロップ (採点:2)
- なんだかシチュエーションだけの小説ですね。
何もかもが読んでいて不快なぐらい嘘くさくて、例えるなら「私」という名前のビデオカメラで延々と撮影しただけのように思えました。
途中、「どこか嘘めいた場所だってことを。」って部分が、ぎりぎり手遅れになる前に登場したので最後まで読んでみようという気になりましたが、これがなければ読み切る気力を失っていたかもしれません。
短編で恋愛小説を書くのならもっと人物の背景を繊細に。主人公と恋人しか出てこない恋愛はやっぱり嘘くさいし、何より自己満足に陥っているように見えてしまいます。
あと、余計かもしれませんが、これは短編というより掌編向けの内容でしたね。圧縮して掌編の容量に抑え込めば、なかなか面白かったんじゃないかと思います。
- 36 GENJI☆物語 〜YOUたちみんな僕とセックスしちゃいなYO!〜 (採点:8)
- ・・・ここまで感想をつけるのに迷う作品は稀有としかいいようがないです・・・
どっから突っ込めというの?
タイトル見た瞬間から予感めいたものはあったのですが、読んでてもう爆殺されましたよ!
なんですかい、これは!
これが突っ込み切れないという奴か、と今納得しました。
まさに才能の無駄遣い!バカもここまでやれば言葉が無いわ!!
とりあえず、一つ一つに突っ込むのもアホらしく思えるので、自分が理解した元ネタを挙げようかな、と
「乳酸菌」「エヴァ」「勃ちあがれ(曲のみ)」「ラーゼフォンOP」「DGOP」「北斗OP」
みんな同じ穴のムジナってことですね、ほんと(笑
点数、もうむしろ十点つけちゃおうかなと思ったのですが、なんかいろいろと負けた気がしてしかたないので一円玉を十回投げて表になった回数を点数にしました(笑
苦情は受け付けません。
○ebi-bi さん
- 01 道標は出会いの中に (採点:5)
- キャラクタの具合がよく、これは面白いのではないかと期待して読みましたが、最終的には面白いとも、面白くないともいえない読後感しか残っていません。台詞回しと地の文のテンポがあまり一致しておらず、ちぐはぐな印象でした。
それと、何となくではありますが、リベードと、週間少年ジャンプで連載されている魔人探偵脳噛ネウロが重なって思えました(笑)ネウロに善の部分をプラスするとこんな感じかなあ、と。
- 02 旅人と人形師 (採点:4)
- 台詞がいちいち上滑りしていて、キャラクタと余り馴染んでいないように思えました。結果、感情移入もままならず、文体も、読み易い部分と読み難い部分の差が大きかったように思います。
物語全体も、繋がりが薄いようにしか感じませんでした。前半部分はともかくとしても、中盤からラストまでは性急であったと思います。最後まで読みたいと思う魅力はあったので凄く残念でした。
- 03 君に届け→ (採点:7)
- 凄く好みの、素敵なお話でした。
作者様は意識されていなかったかもしれませんが、前半部分でどうしても幽遊白書が頭に思い浮かび(笑)、うーん、と微妙な評価だったんですが、お母さんとの屋上での会話が凄く魅力的で、そこからはもう気にならなくなりました。
正直なことを言うと、完成度はそこまで高くないと思っています。自分の家の話もあれば、羽なしバーコード天使の話もあり、両方十分に書き切れているかと言えば、おそらくどちらも7、8割ぐらいのように思います。それでも、そんなこと気にしないでいいくらいに、柔らかなで素敵な雰囲気も、この物語にはあったと思います。
本当に、素敵なお話でした。面白かったです。
- 04 動物園 (採点:5)
- 感想付けにくいなあ、というのが正直なところです。文章力があるのは確か、キャラクタの台詞の言い方も考えられていて、雰囲気作りは上手く為されているように思うのですが、果たしてストーリーはどこにあったかと思うと、何も思い浮かんできません。作中にも出てきていましたが、パッチワークのような作品。そんな印象を受けました。
- 05 それがすべて (採点:6)
- 楽しんで読ませていただきました。曲は『COSMOS』ですよね。自分は歌ったことないのですが、中学の時、他クラスが歌っていたのを思い出しました。ひーかりのこーえが、って(笑)
千佳が登場するよりも前に、オチが読めてしまったのはしょうがないと思います。作者様もきっとそこら辺を考えて、冒頭にラストを持ってきたのだと思いますし。あと、主人公の台詞に鉤括弧を使わずに書くことが多かったのは、くどいと思う人もいるんじゃないかと思います。私の場合は、最後までその文体でしたので、むしろリズムよく読むことが出来て好感触でしたが。ただ、それに反するように、やたらとセンテンスが長く、リズムの悪い部分があったりしたのは残念でした。
- 06 USO・800(ウソ・メイドオーオー) (採点:5)
- ひたすら楽しく読めました。楽しく読めましたが、それだけでもありました。
ちょっと三点リーダが多すぎて、くどい気がしました。文章はかなり書き慣れている印象を受けましたので、この作者様ならもっと練ればもっと面白くなっていたんじゃないかと思います。
作者様の、カレンさんよろしくの胸への多大な愛情は十分でありましたが(笑)正直なところ、それ以外は物足りなかったです。
- 07 中世におけるある犯罪者の変遷 (採点:6)
- 重い印象を受ける話でしたが、存外にすらすらと読み進めることが出来ました。書き込みがしっかりされているからだとは思うんですが、場面場面の映像が想像しやすかったです。ただ、人物の心情の動きはちょっと急な気がします。あんなに達観していたハンスの檻が簡単に決壊しすぎるように思いましたし、なにより理由はどうあれ、娘を殺されておきながら、ヴーツがどうして最後の最後までハンスを自分の子であると言い切れたのか。面白かっただけに気になってしまい……うーん、どうにも納得できないです。
- 08 遠い日 (採点:8)
- 面白かったです。いや、面白かったんですが、私の語彙&表現力足らずで、これとはっきり文章に出来そうにありません。作者さんに少しくらい分けていただけたら嬉しいです(笑)
読み難い漢字も雰囲気のパーツの一つになっていましたし、なにより朝子がすごく良いです。主人公も好きです。そこにある意を絶対にくみ取れていないだろう自分がマジで嫌になりますが、主人公の名前が明らかになっていなかったりしますよね。あと、大爆笑してる爺さんも好きです。そして日々を遠くに失った彼らはこれから何を得るのか……はー、この小説、堪能させていただきましたっ。
ただ……少しだけ文句を付けさせていただくなら、必殺の一撃といいますか、読後に残るものや強い押しがもう少しほしかったです。何か、これだけ読んでまだ「物足りんっ!」とか言っているようで気が引けるのですが(笑)
外れてたら恥ずかしいんですが、作者は大谷さんな気がしてます。
- 09 眠れない夜に見る夢 (採点:6)
- 語りが上手く、かなりきついお話でした。実際、たかしのようなお調子者的な人物は、中学生になった途端どうしてか浮いてしまうことが多いですよね……。これは中学から、高校へ行ったときももまた然りな事だと思いますが。
読み終わってタイトルを読んで、さらに重みがきつくなりました。
- 10 青い鳥はもういない (採点:3)
- 話の内容が散漫で、これでは作者様が何を伝えたいのか、正直なところわからないと思います。主人公の心情の変更を描くところ等、改行での空間を開けを多用されていましたが、ほとんど意味がなく、むしろ冷めてしまいました。空間を作ってしまうくらいなら、そこに主人公や他の登場人物の機微など、少しでも多くを書き込んでいた方が良かったのではないでしょうか。
青い鳥のキーホルダーが、人々の間を巡ることでうまれた繋がり等、面白いと感じる点はあっただけに非常に残念です。
- 11 流れ星はきっと、恋のはじまりで (採点:2)
- 作者様が楽しんで作品を書かれたのだろうなあということは伝わりましたが、作品自体は読者完全に置いてけぼりで、面白いと感じることはありませんでした。学生らしい主人公が現金で13万円持っていたり、もう、そこら中に無茶がありすぎます。
辛辣になりますが、展開は急すぎますし、心情描写は全く足りていません。設定にしても、意図的に説明を省いているのならともかく、現状では単に情報が足りていないだけのように思います。
- 12 植物の部屋 (採点:4)
- 何度も読み返したり、ラジオで大勢の方の見解を聞いたりで、何とか読み解こうと思ったんですが、ごめんなさい、よくわからなかったです……。
ただ、読み解けてない私が言うのもあれなのですが、こういう隠された意を汲み取らなければならない作品の場合、まず、何度も読み返したいと思う魅力が作品にあふれていること、これが前提になると思います。私個人としては、そこまで何度も読み返す気にはなりませんでした。
- 14 天窓の空 (採点:4)
- 面白そう――と、最初から最後まで抱き続けていたのですが、読み終わった後もまだ「そう」のままだったりします……。設定というか構成がちょっと不明瞭だったのではないかなあと思います。好みのお話だっただけに、かなり残念です。
それと、文章の改行はもっと少なくていいんじゃないかなあと思いました。私的な観点からではありますが、文体的にも改行が今より少ない方が読みやすくなるような気がしました。
- 15 虹輪 (採点:3)
- 大袈裟な演技と演出を繰り出し続ける映像を、ただひたすらに見ているような気分でした。その、それは悪いことだけではないと思うんですけれど、ただそれが邪魔になって共感や感情移入をすることが出来ないのであれば、大きくしてみせた演出や演技には何の意味もなくなるように思います。
あと、ページを変えて続きを書くのは、ほんの僅かであろうとやはり読み手の意識を作品から切り離すことになるので、頻用は避けた方がいいのではないかと思いました。
- 16 迷い家 (採点:7)
- 面白かったです。締めの文章が素敵でありました。うん、阿呆な太陽。
文章に凄まじく凝られたことはわかるんですが、それにしてもちょっと理解しにくいんじゃないかと思います。文章も構成もよく練られていて、おもしろかったのも確か何ですが。
- 17 青い小箱 (採点:4)
- 想いを閉じこめる、っていうのは凄く良い設定だったと思います。正直好みです。けれど、この小説では残念ながらその設定をうまく生かし切れていなかったように思います。
何より、今回のこの話を表現するのに、『何でも閉じこめる青い箱』の必要性を感じることが出来ませんでした。舞台設定を学生から大人まで動かさずに何処かの年代に絞って、その上で青い箱に焦点を合わせても面白かったんじゃないかなあと思います。
- 18 君は小説に名前をつけると命名する (採点:8)
- うひゃぁ……とんでもなく好みな文体でした。もう読み進めることそれ自体が楽しかったと言いますか、本当にごちそうさまです。
内容を理解というか、作者さんの感性といいますか、それを少しでも知りたくて、近づきたくて、今もかなり読み返してるんですが、それでもまだかなり遠いです。考える内容は確かにあって追いつきかけてるような気もするんですが……ここまでくると「感じてるだけでも良いかな」っていう気さえしてきました(笑)
- 19 永く遠い旅の終わりに (採点:9)
- 最初読んだときは今より3点点数が低かったです。そして今読み直して、あれ、何でこの作品にこんな点数付けているんだ? となって9点であります。めちゃめちゃ面白かったです。一回目の時はたぶん作品読み過ぎて気力が萎えていたんだと思います……ごめんなさい。
様々な専門的な用語とかについてはくどいとも思いますが、現実味を帯びさせるにはかなり効果的な役割を果たしていますし、なにより、不定形生物らしい彼らへの描写がたまらなく素晴らしいです。<天の渦>が私たちの住む銀河なのかとか、〈十番目の開拓者〉がいったい何を示しているのであるとか、無学すぎて理解できない自分が悔しいです。しかしながら、知るよしもない広大な宇宙の果てに、私たちがいつかメッセージを送って(もしくは送られて)、それが届くようなことがあれば、それはこの上なく素敵なことですね。
- 20 十字路でっせ (採点:3)
- 改行はおそらくテキストをそのまま投稿されたからだと思われるんですが、三点リーダの使用や段落の文頭の一文字下げをされた方が読みやすいですし、こういった競作の場で評価を受ける場合にも無難であるような気がします。
ストーリーは出来ていましたので、基礎的な文章レヴェルが上がればもっと面白くなるように思います。
- 21 貴女に素敵な食事を (採点:3)
- 締めの方法もっと他になかったんでしょうか……。現状では、主人公がどうして肉などを食べられなくなったのかという原因しか描かれておらず、それ以外のことはほぼなかったように思います。読者としては、その状況説明から先の事が、読みたいと思うものでありました。
- 22 銀の騎士と緋の魔物 (採点:4)
- 王道を通った、わかりやすい面白さはあったように思います。ただ、その王道に何かしらの付加や、いっそ一本道を変えるぐらいのことがないと、今以上の面白さを望むのは難しいように思います。
- 23 達人M (採点:4)
- めでたしめでたし、というには、世界が平和になるまでの展開が早すぎます……。一は全、全は一。そんなことを言っていた漫画があったなあと思いだしたりはしましたが、この小説では、肝心のそれを悟る場面での書き込みが不足しすぎているように思います。
- 24 見続けた背中と、その先にあるもの (採点:4)
- 読みにくいわけではないんですが、どうにもちぐはぐな印象を地の文から受けました。作者様の書きたいことはしっかりと表現されていたように思いますが、ちょっと直球過ぎるかなあという感じもします。プロットを工夫されていれば、もっと良かったように思います。
あと、三点リーダを使って書かれた方が、コンペなどの競作の場合無難かな、と。
- 25 光あふれ降りそそぎ (採点:7)
- 佳奈名のキャラのたち具合が素晴らしいです。可愛いったらありゃしない(笑)
会話を追いかけてるだけでも面白いんですが、それでも中盤からの展開はあまりに急すぎるように思います。無理に佳奈名と溶の事を放り込むのではなく、彩に関することだけでも十分だったのではないでしょうか。キャラクタ造形は佳奈名しかりでかなりよかったので、その点が凄く残念でした。
- 26 ぽいんと・おぶ・のー・りたーん。 (採点:5)
- なのはなのは、の一言で終わらせてはいけないですよね(笑)いや、純粋に楽しめましたです、はい。いつ関連キャラクタが出てくるかとはらはらだった反面、そんな展開に期待もしていたぐらいに(笑)
でもただそれは、設定などがある意味ほぼ借り物とも言えますので、オリジナリティをもっと組み込んだ上で練り上げて書き上げられたならば、もっとよかったように思います。
- 27 Out of Eden (採点:4)
- さて、いよいよこれから――というところで、物語が断絶されてしまった感じです。現状では、ただ設定などの説明に従事しただけで、物語本編の幕も上がっていなければ、もちろん下りてもいないように思います。容量はまだ全然余裕がありますので、タイムリミットの方が問題だったのかなあ。
- 28 。兄弟への道 (採点:5)
- 面白かったですが、最後までパワーが持続しているかと言われたら微妙で、ちょっと引っ張りすぎだったんではないでしょうか。構成がごちゃごちゃしてる感じもしましたので、もうちょいそれがすっきりしていたら、今よりも笑えていたんだろうなあと思いました。
それと、いくらなんでも簡単に脱糞しすぎです(笑)
- 29 いつも心に弾丸を (採点:3)
- C級であるかどうかはともかくとしても、今のままでは、書かれた作者様は楽しいくても、読み手の読者にとっては楽しめないものでありました。設定とプロットをもっと練れば、面白みは段違いになるように思います。
それと、段落の文頭の一文字下げをされた方が読みやすいかな、と。
- 30 August, in the box (採点:5)
- 嫌いではなく、むしろ好きな方の部類に入る話なんですが……どうにも会話がしっくりきません。物語もある程度完成されたものではあると思うんですが、物足りないという感じもしました。
- 31 巫女が征く! (採点:4)
- 文章などは読みやすかったように思います。ただ、今ひとつ楽しみきれないというか、物足りない、というのが一番しっくりくるような気がします。設定や展開を煮詰めればもっと面白くなるんだろうなあと思いました。
- 32 ツニ・ロック・フェスティバル (採点:4)
- 定型そのままというわけではないんですが、何処かに目立った斬新さがあるわけでもありません。物語も標準的な面白さはあるように思いますが、突き抜けた部分が見あたらないのもまた事実かなあ、と。
せっかく音楽祭ということなのですから、音楽をもっとネタとして扱ってもよかったのではないでしょうか。
- 33 星の話 (採点:9)
- 文体、物語、雰囲気、ともにほぼ文句はないので、まず一つだけ。どうしてこれだけの文章力を持ち合わせていらっしゃるのに、文章間へ多くの空白を用いられたのでしょうか。作者様が読み手のことを考えて、少しでも読みやすいようにそうされたのかなあとは思うんですが、洗練された文章であればあるほど、それではかえって文章の流れが滞ってしまっていたように思います。
薄々と、でも確かに最初からホラー(そうではなくてもっと他の表現を用いたいんですが……語彙足らずで申し訳ないです)といいますか、そういったものを感じさせる雰囲気があったように思います。独特な設定である星も凄くよかったです。読めてよかったと思える作品でしたっ。
- 34 クリスタライズ / ドロップ (採点:6)
- うーん……なんというか、もう一つ掴みきれないというか、私が掴めていないだけなのか……。物足りない、とはまた感覚は違うんですけれど、似たような読後感が残っています。容量めいっぱい、限界ぎりぎり。それでももう一つわかりやすい形で押しが欲しかったように思います。設定は凄く面白かったです。
- 35 前を向くと見えるもの (採点:6)
- 独自な設定も含め、面白かったです。面白かったんですが、ちょっと設定の煮詰めが足りていないかな、とも思います。
たぶん、誠一は生きていると思うんですが(違っていたらごめんなさい)、それなら禁戒は何のさ、と思ってしまいます。グレーゾーンがあるとか、いろいろとぼかしへの要素をふまえられていたように思いますが、彼の禁戒から考えても、あれだけのことをやって生きている、というのはどうにも納得できません。
- 36 GENJI☆物語 〜YOUたちみんな僕とセックスしちゃいなYO!〜 (採点:1)
- ごめんなさい。笑えませんでした。最初から最後まで、全く。
○mightywings さん
- 07 中世におけるある犯罪者の変遷 (採点:8)
- ナイスbad end.だが、持ち上げて落とす予定調和ではある。罪には罰を。
後半の疑心暗鬼っぷりは雛見沢症候群?バルバラも死に様がアレだし。
時代考証が整った文章なのでとても読み易い。たぶん、様々なジャンルをこなせる
腕前があるはず。猿とか亡霊とか、今度はスピリチュアル要素抜きで是非。
- 08 遠い日 (採点:7)
- 血みどろの幼年時代は、その後の彼に悪夢を与えはしないのだろうか。
都合良く忘れる程、人も世間もそこまで適当ではないかと。未来の儚さを堪能
する前に、退役軍人の様に精神疲弊に悩む日々がまず来ると思う。
焦土の中、ぽつねんと聳える洋館に、日々の糧を得ようと群がる被災者は
いないのだろうか。
子どもが塀を登って侵入出来る程度なら、どさまぎの略奪くらいありそう。
藤村や安吾や西鶴や秋成は、あの年齢で延々と読み続けられるのだろうか。
幼き頃から読んでいた、とあるが、ならば森で獣の生き様を選ぶ前に、古典から
人としての生きる術を学べなかったのだろうか。
親族が主人公に対してスルーに近い対応。どこぞの馬の骨とも解らぬ輩なのに。
途中に朝子と浮いた話の一つも無い。何年一つ屋根の下で暮らしているの貴方達?
とまあツッコミは色々あるが、一番は主人公の見事なまでの達観っぷり。
何者にでもなれるだろう、の科白はちょっと都合良過ぎでは。
若さが免罪符にならないと分かっているなら、も少しドロドロしてほしい。
プロットは良いし、表現力も高いし、キャラも立っていて、間違いなく優勝候補作なのに、
館編からリアリティーが削がれだし、感情移入できなかったのがとても惜しまれる。
- 09 眠れない夜に見る夢 (採点:10)
- 最近、後味の悪さを求める傾向のある自身だが、
このモヤモヤ感、満たされなさ、薄暗さ、それがまったくありふれた
日常に展開しているのがタマラナイ。座布団全部。
- 18 君は小説に名前をつけると命名する (採点:7)
- 実は私小説なのだろうか。飛び交う想いと心象風景は、とかく心を掻き乱す。
主人公自体が千々に乱れる性質らしいので、この人が先々の人生にどう折り合いを
つけて生きていくのかが、他人事ながら心配になってしまったりして。
最後の一文がどうにも読み取れなく歯がゆい。名前をつける行為が、主人公の中で
どんな意味を持つのかが明言されてなく、ここだけ唐突に投げ込まれた感じを受けた。
- 19 永く遠い旅の終わりに (採点:7)
- パラボラの段階でPioneer10が閃きましたが早過ぎ?案外いそうな気がする。
筆力高いが、ネタバレしたら魅力半減ではまだまだ甘いかと。今回は辛く7点。
文体はとても丁寧で読み易い。またエピローグの柔らかい空気は大変心地よい
読後感を出している。スペースロマンも良いが、日常等身大の作品もきっと
上手なのだろう。沢山書いて下さい。
- 20 十字路でっせ (採点:7)
- 展開はお約束全開なのだが、主人公のストレートさがなんともいいスピード感を
出していて、気がつくと完読していた。
それでも、もっと詰められる話なのでは。ノリ一発な感じもある。
短編の一番手に本作を読んだのだが、このスピード感と泥臭さ、なにやら件の
プロレス話に通じるものがあるような無いような。上位ランクインを応援します。
○stein さん
- 01 道標は出会いの中に (採点:7)
- リベードCV:子安武人。
いや、ネウロっぽいなあと感じたので……。
すげえ萌えながら読みました。
「悠久の時を生きられる人外の者が戯れに人間と交流する」
というような話は好きです。
- 02 旅人と人形師 (採点:4)
- 漢字が間違ってたり文字が重複しているところがかなり目に付く。要推敲。
ていうか、機種依存文字?文字化けしてるっス!!
一本一本慎重にナニしたんだろう……。
すいません、あんまり面白くなかったです。
- 03 君に届け→ (採点:4)
- いい話。
だけど「死者が生きてる人にメッセージを送れる」
というシチュエーションは超ありがち。
- 04 動物園 (採点:4)
- びび、びっくりーーー。セクシー人妻外伝すごいよまみ子さん。
匂いってそういうことだったんですか。
淡々と進んで盛り上がりに欠けるけどこの話はこれでいい気もする。
- 05 それがすべて (採点:6)
- >どうしようもないことだった。俺たちは子供で、自分でなんとかできることは、本当に手の届く範囲にあるものだけだった。いや、本当はそれさえもどうにもできなかったのだろう。自分の気持ちくらいしか、触れるものはなかった。形を確かめるようにそれに触れて、でも触れない場所があったんだって気付く。それだけだ。
この文章が大変素晴らしいです。
ピンクロードの説明とか、微妙な田舎の閉塞感が漂っていて良い。
余談ですが吉田秋生のラヴァーズ・キスって漫画読んだことないですか?
- 06 USO・800(ウソ・メイドオーオー) (採点:3)
- メイドが書きたかっただけのように感じます。私だったらこれを読むなら花右京メイド隊を読むなあ。
個々のキャラクターは割と魅力的に書けていると思いますが話があんまり面白くない。残念です。
あと主人公は胸にコンプレックスありすぎ。描写がしつこい。
- 07 中世におけるある犯罪者の変遷 (採点:7)
- 突っ込みどころは多いと思うのだけれどすごい面白かった。
脳内で藤田和日郎の絵に変換して読みました。
- 08 遠い日 (採点:8)
- すげえ面白い。上手い。
ただ、全体的に無味無臭なところが少し気になる。
人の温かみはあるのですが。
具体的に言うと朝子と主人公が握手するところで
朝子が主人公の臭いに顔をしかめるくらいの描写は欲しかった。
(あのような生活をしていたら主人公は絶対臭いはず)
(二人に挨拶する前にお風呂まで勝手に拝借していたとは考えづらい。お手洗いは勝手に借りてたんでしょうけど)
絵に対する視覚的描写は充分なのですが……。
常軌を逸した変人の朝子だから臭いも全然気にならず握手もした、
という解釈も出来ますが。
爺さんは鼻が鈍っていそうなのでしかめっ面しなくてもいい。
爺さんが亡くなるところは予想通りちょっと泣いてしまいました。
こういうのには弱いです。
あと、読めない漢字がかなり多かったのですが
これはもう「書籍だったら仮名が振られるけどWebだから仕方ない」
と割り切って読みました。それで点数下げたりしてません。
この作品に関しては、植物名とかは難読漢字のままの方が雰囲気が出ていて良い。
朝子がクーデレの同人誌が読みたい。
- 09 眠れない夜に見る夢 (採点:5)
- 告解室で告白を聞いているような気分になりました。
作られた物語にしては起伏が少なく、
作者さん自身の体験、今も後悔している出来事なのではないかなあと邪推。
作品=作者の経験、という単純な読み方は三流もいいとこなんですが。
チョークに関する描写がやけにリアルな辺りも邪推に拍車をかける。
ともあれ、ありますよねー、こういうこと。
- 10 青い鳥はもういない (採点:6)
- 人と人の繋がり方がちょっと都合よすぎるように感じるけど
「青い鳥は人から人へ渡り歩き(渡り飛び?)幸せを伝え続ける」
ということが描写できていて納得。
実は暗い内容ではないタイトルは上手い。
- 11 流れ星はきっと、恋のはじまりで (採点:3)
- To LOVEる!
いや、とらぶるだけじゃなくても
空から女の子が降ってきてラブになるという展開はいくらでもどこらでも。
しずくさんも実は宇宙人だったという展開だけ意外かな。
- 12 植物の部屋 (採点:5)
- 父親に犯されて子どもが出来ちゃって精神崩壊、
統合失調症になっちゃった女性の話かな……と
私は解釈しましたが……分からない……。
そもそも「私」という一人称だけで女性と思い込んでいいのか……。
ラジオで一斉に解釈合戦をした時は非常に楽しめました。
ありがとうございます。
そういう読み方を楽しめる人だけが楽しめて、
かつそういう読み方に耐えうるお話。
だがそれ故に著しく一般性に欠ける。
前述の通り私はそれなりに楽しめたんですけどね。
- 13 夏・ものがたり (採点:6)
- 「イトコ」って言葉、便利ですね(笑)
三月までツクモガミなのはびっくりしたけどそこまでやられると
もうありがたみが……(笑)いや、いいんですけどね。
すごくきれいでかわいらしいお話でした。でもインパクトに欠ける。
- 14 天窓の空 (採点:4)
- ちょっと分かりづらい。
- 15 虹輪 (採点:8)
- ベタだと思うんですがかなり泣いてしまいました。
「死ぬのが分かってる話」に弱いので。
それに加えて「格好よく生きる」と「死んでごめん」が
自分の思考とモロカブりなので感情移入度マックスハート。
4ページ目から泣いてしまって「次ページ」が出てくると
「まだか……いっそのこともう早く決着つけてくれ」と思ってしまって
次のページにいくのが辛かったです。
この焦らし方も上手い。
でもオタクじゃない女子は「フラグ」なんて言葉使わない。
- 16 迷い家 (採点:6)
- 大人っぽい作品。面白い。
- 17 青い小箱 (採点:4)
- すずちゃん?夏海ちゃん?菜々子ちゃん?
人名が錯綜してます……。
人の予定は ×開いてる⇒○空いてる
いい話なんだけどタイトルにもなってる割には小箱の働きが地味。
あと、恋心が消えたにしても8年後の康一くんがどうなってるのかくらいは
気にして欲しかった。個人的に。
- 18 君は小説に名前をつけると命名する (採点:7)
- 最初に読んだ時は意味分からん全然つまんねえと思ったんですが
もう一回じっくり読み返してみたらすごくよかったです。
人によって好みは分かれると思いますが私は嫌いじゃない。
多分書いてる人は男の人だと思うんですが、
泣いちゃうシーンの辺りとか
思春期の少女の、わけの分からない切迫感が出ているなあと思います。
自分が女子高に通っていた時をほんのり思い出しました。
シュヴァンクマイエル、いいですよね(笑)
- 19 永く遠い旅の終わりに (採点:9)
- 会議の時ちょっとダレるけどすーーーーーーーーッッごい面白い!!!!
ただ、専門用語の多さにヒいちゃう人もいるんでしょうね……。
「見る」じゃなくて「聴く」とか「泡をこぼす」とか描写して
水中の生き物なんだなあ、と後から分からせる辺りが上手い。
恐らく軟体動物が多いんだと思いますが、
タコだのイカだの、あるいはアメーバみたいな生物がアメリカのコメディみたいに
>「……そうね。お誘いは嬉しいけど、あまり騒がしいのは好きじゃないから――」
> それを聞いて、イーロはあからさまに気落ちした形状を取った。その様子に、リケは慌ててフォローを入れる。
>「別に、あなたと話すのが嫌だと言ってるわけじゃないの。やらなきゃいけない仕事も残っているし。
> イーロ、あなたが私の部屋へ来てくれるというなら、そこでお話をするのはどうかしら? ただし、紳士的に振る舞ってもらうという条件付きで」
> それを聞いて、イーロは途端に元気を取り戻して宙返りした。
>「もちろんさ! 何しろ僕は、半径一天文単位以内で二十二番目に紳士的な男と呼ばれているんだからね」
とかやってるとこ滅茶苦茶笑える。すげえ面白い。
「気落ちした形状」とかいう描写も面白い。一体どんなんなんだ(笑)
しかもこの二人がくっついて、娘がイーリケちゃんなんですよね?
(これを明記せず、名前だけでほのめかしてる辺りも上手い)
その子が年老いたマーと出会うとか素晴らし過ぎる。神!!!
ただ、異種生命体だという描写が過不足ない余りに
「海」とか私たちと同じ言葉使うのかなあ……とさえ思ってしまいましたが
全ての言葉にその手の解説をいちいち付けているとキリがないので、
もうほんやくコンニャクでも食べて読んでることにしました(笑)
特殊な用語の使用量をもうちょっと減らして、間口を広げてれば10点だった。
(そうするとこの雰囲気は出せないかもしれませんが……難しいですね)
今回の36作品の中で1番面白かったです。
あとタイトルも「幼年期の終わり」とかを髣髴とさせて良い。
オマージュなんですかね。考えすぎかな。
- 20 十字路でっせ (採点:3)
- 俺と悪魔のブルース?(映画じゃない)
元ネタの映画が判らなかったので大変ションボリしてしまいました。
パロディ、しかも「判る人にしか判らない」と予め書いてしまうことは
判らない読者に疎外感を与えます。狙ってやってるならKYですいません。
- 21 貴女に素敵な食事を (採点:4)
- がっかり。
愛する人と結ばれれば全てのトラウマは無くなってしまうんでしょうか?
途中の描写が結構リアルな分、
「食べられるようになった瞬間」が書かれていないところが非常に残念。
そこら辺と二人が親密になっていく過程が丹念に描かれていたらよかったのに。
時間無かったんでしょうか。
- 22 銀の騎士と緋の魔物 (採点:4)
- 時々文章が変。
>これだけは艶やかに磨きこまれたデスクの向こう、目元だけを僅かに和ませている黒髪の男性を見た途端、その他のことはユパタの意識から弾きとばされた。
とかよく分からなかった。
「これだけ」と「その他のこと」どっちが主語なんでしょうか。
ユパタかわいらしいけど髪の毛の色が何色なのか気になる。
いや、他のキャラの髪の毛の色は描いてあるのにユパタだけ描いてないので……。
- 23 達人M (採点:5)
- 私も戦争って軍産複合体が儲けるために圧力かけてやるものだとなんとなく思ってました。すいません……。
ホネンクルスとかメルヴィル社とか固有名詞のミスが気になる。要推敲。時間無かったんスかね。
世界平和は絶対無理だけどこのオチは面白いなあと思いました。
あとすごいロリエロ同人描き易そうな設定(すいません……)。
- 24 見続けた背中と、その先にあるもの (採点:9)
- すげえ上手い。感動した。
ただ、中盤の工作シーンはもうちょっと短くてもよかったんじゃないかと思いました。
確かにここの描写が足りなさ過ぎても拍子抜けしてしまうのですが……さじ加減が難しいですね。
「やりたい仕事が無い」とか言ってる全ての人間に
こういうイベントが起きるといいなあと思いました。
いや、そんなドカドカ交通事故が起きても困るんですが。
- 25 光あふれ降りそそぎ (採点:5)
- THE IDOLM@STER!
>「――自分の大切なものは決して他人に触らせなかったものね」
>会話が途切れた。理由はそれぞれだった。
この文すごく上手い。「それぞれの理由」を読み手に想像させる。
>「無理しなきゃこの業界、やっていけないんだ」
>涙を拭いながら佳奈名。
でもこういうト書き文が出てくると設定が設定だけに演技なのかよ、と
余計なことを考えてしまう。
二人がくっつく前後でお母さんの描写の濃度に差がありすぎる。
単なるアイドルとプロデューサー同士の恋愛ものにしたくなかったから
病気のお母さんを出しただけ、というように感じる。
- 26 ぽいんと・おぶ・のー・りたーん。 (採点:4)
- TYPE-MOONとリリカルなのは好きそう。設定マニア。
戦闘少女は嫌いじゃないけど全ての設定に既視感。
赤やら青やらの光が夜空を駆け巡るという描写は美しい。
文章は普通に読めるけど戦闘シーンの細かすぎる描写は読むのが正直面倒くさい。
- 27 Out of Eden (採点:4)
- 短いです!!
もっと伊部さんを見せて下さい!!!
語り方は割と好みなのでこの調子でかっこいい魔法バトルとかあったら
8点以上は行ったかも。
あと会話の前後空行が気になる。
- 28 。兄弟への道 (採点:7)
- 下品だが上手いし面白い。
- 29 いつも心に弾丸を (採点:4)
- お父さんがどういう風にマリアを利用していたのかよく分からない……。
青年と少女は激しく萌えます。
- 30 August, in the box (採点:5)
- いきなりこんな話始める男はキモい。
なんだか精神的に追い詰められて……という気持ちは分かるのですが。
あんまり面白くなかったです。
でも閉じ込められてる時の暑苦しさは伝わってくる。
- 31 巫女が征く! (採点:4)
- 確か絵画は劣化を防ぐために空調の整った空輸が行われるのではないかと……。
でも盗む時は雑に盗むものか。
こういう設定は嫌いじゃないけど漫画で読みたいなー。
広江礼威の絵とかで。
- 33 星の話 (採点:8)
- 面白い!!!
硬質な語り方も好み。
でもほっぺに接吻しないで……萌えちゃうから。
余談ですが「弟切草」で人魂に愛撫されるシーン思い出しました。
地の文が割と詰まってるのに会話の前後空行ルール適用につき
空白が目立つ箇所があるのが若干気になる。
- 34 クリスタライズ / ドロップ (採点:3)
- かわいらしいお話だけどあんまり面白くなかったです。
- 35 前を向くと見えるもの (採点:5)
- 面白い設定だけど突っ込みどころが多すぎる。
「この国に生きる人間は決して犯してはならない一つのルールを持っている」
じゃなくて民族とか遺伝子でそうなってるとかにして欲しかった。
国外脱出してもどうにもならなさそうなので。
改ページの使い方とか設定を利用した盛り上げ方とかは上手いと思います。
- 36 GENJI☆物語 〜YOUたちみんな僕とセックスしちゃいなYO!〜 (採点:1)
- すごいバカパク。
でもバカらしい下ネタをやれば必ずしも笑いがとれるとは限りません。
パロディなところも減点。
「チンコフェンシング」じゃなくて
「フェンチング」にしてたら1点プラスだった。
○86 さん
- 21 貴女に素敵な食事を (採点:5)
- お肉がダメなら大豆を食べればいいのに
- 36 GENJI☆物語 〜YOUたちみんな僕とセックスしちゃいなYO!〜 (採点:8)
- オナニーなんだよ・・・オナニーなんだよテメェの作品は・・・!
・・・これが貶しの言葉にならないあたりw
作者は病気シリーズ。オーケー認めよう作者さんの作風はオナニーだ。女の子が書いてたら許さないっつーか認めない。
○お湯 さん
- 01 道標は出会いの中に (採点:3)
- 「悪魔」という名称を使う理由が不明である。別の名称ではいけなかったのか。
> 「リベード!? なんでここに?!」
> 「なんだ貴様?! どこから入ってきた!」
のシーンは申し訳ないが笑ってしまった。ギャグでしかない。
タイミング的に都合がいい展開は、極力避けるべきである。安手のテレビドラマじゃあるまいし。
- 02 旅人と人形師 (採点:4)
- ひまだったので、ちょっと細かいつっこみをいれると(こう直してはどうだろうか案)
> そういって彼は初対面の僕に話しかけてきた。
→ そういって彼は僕に話しかけてきた。
(初対面かどうかはその後読み進めればわかることで、このような説明は見苦しい)
> テーブルの上にはビールのジョッキに結露した水滴がしたたっていた。
→ テーブルは、ジョッキからしたたった水滴で濡れていた。
(主語と述語の問題。もしくは、ジョッキに結露した水滴がしたたって、テーブルを濡らしていた。だとかね。「ビールのジョッキ」は過剰。単に「ジョッキ」のほうがいい。)
> 彼はボーイに追加のビールを注文した。
→ 彼は追加のビールを注文した。
(これも過剰。わかりきったことは書かない。)
と、まぁ、とにかく地の文が説明的でうんざりする。
ただし読み進めていくと、テンポがあがってくる。書きはじめの方は、うまくのれなかったのかな、と思う。要推敲。
回想シーンが随時はさみこまれ、小気味よく進むのは好感が持てる。さらに発泡スチロールを彫るところからの人形をつくるシーンは見事という他ない。こういうテンションの使い方は良いです。
読み終えて、旅人、人形、鏡といった道具立ては安易だと思った。
力がある人だとは思う。もっと頭をひねって話を練るとともに、推敲に時間をかけると良くなるのでは。
- 03 君に届け→ (採点:2)
- 人称の視点を統一するように。飛んだのは香奈子? 語り手たる違う人物? 文章が無茶苦茶すぎて、頭に入ってこない。香奈子と加奈子の誤変換も気になる。
死ぬことによって、意識が体が離れるモチーフは、あまりに一般的すぎる。すぐに幽遊白書が思い浮かんだ。結局、幽遊白書を超えるような、新しい要素もない。
宗教上の問題もある。ファンタジーにしたいのなら、世界観を固めるべき。
筋としては、いわゆる最後のお別れ。
まず母親だが、回想シーンの挿入がない。どうもつるつる滑る。
展開も、セピア色の光景が突然思い浮かぶというのは、都合が良すぎる。もう少し丁寧に処理すべき。
唯一、機能していたは、少女という謎とそれの解決による、ミステリ風のカタルシスであり、これがその作品のキモともいえる。
あとヤギ先生のくだりは、とっても良いね。
- 05 それがすべて (採点:1)
> 俺が視線を声のした方に向けると、別のクラスの、ショートボブにした髪型の
> 女の子が腰に手を当てて立っていた。高森夏美。名前の通り、夏のような女
> だ。
だとか
> 俺の話を聞き終わった担任の平田は、ただそれだけを言って頷いた。俺が所
> 属しているバスケ部の顧問でもあり、ちょっと頼りないけどなかなか話のわか
> る、教師の中では割とマシな方だと俺は思っている。
だとか、こういう人物紹介もやめてほしい。
ほとんど、エロゲーのシナリオ。だが、小説には背景と立ち絵がない。
筋としては、転校にともなう別れに関するエピソードだが、もっと丹念に場面を積み重ねていかなければ、読者はついてこない。合唱コンクールの回想もまったく機能していない。
- 06 USO・800(ウソ・メイドオーオー) (採点:3)
- 最初のテンションは凄くいいのだが、ハヤテのパロをはさんでからは失速して、説明がだらだら続いて読むに耐えない。なぜ維持しない。
その後は少し持ち直し、ルリ様の謎とそれの解決を書き、そしてまた日常へ。
悪くない。
- 07 中世におけるある犯罪者の変遷 (採点:2)
- 意味がよくわからない言葉が散見される。
・端境期
・木漏れ日の隙間から漏れる太陽の光 → 木々の隙間から漏れる太陽の光、すなわち、木漏れ日
・空閑地が開けた → 開けたのは視界では。
ずらずら出来事を並べられても、読んでる方は苦痛でしかない。話を考えたはいいものの、それを書く能力が不足している。さらに、この時代を選んだ理由も特に見えてこない。時代ものなら、時代考証をすべき。森の中に住んでるってどんだけ〜?
- 08 遠い日 (採点:3)
- とってもがんばって書いているが、ほとんど表層をなでたような記述が延々と続き、苦痛である。原因は、文章の量に対して物語内時間の経過がはやすぎることである。つまり、良くできた箇条書きといったところか。
- 09 眠れない夜に見る夢 (採点:3)
- 構成において、現在、同窓会、復習の日、と時間が移動するのが、この作品のキモである。
話の内容自体は、単純すぎて話にならぬ。紋切り型の嵐。
- 10 青い鳥はもういない (採点:1)
- プロローグをはさんでタイトル後は、いきなり説明から入るが、これはいささかキツいものがある。最初のテンションのまま、なぜ突っ走らないのか。
なんとか読み進めるものの、
> 翌日。
> 朝起きると夕方だった。
> 16時33分。
これはひどい。簡単に書きすぎである。こういうのをいかように書くか、頭をうんうんひねる、それが小説なんじゃあないか。
- 11 流れ星はきっと、恋のはじまりで (採点:1)
- 語り手が状況・人物を一言で説明しちゃう、エロゲースタイル。これは安易な書き方である。
宇宙人、地球よりも優れた技術、ウェットスーツみたいな服などといった具合で、道具が古すぎる。
> 「あたしも地球人の友達が欲しかったし。よし決まり。今日からしばらくよろしくね」
> 僕の返事も聞かず、強引に決められてしまった。
ストーリー進行が、無茶苦茶である。もうちょっと丁寧に話をつくるように。
- 12 植物の部屋 (採点:7)
- 夢、記憶の混乱。
めちゃくちゃ上手で、まるで美味しい料理を舌で味わうかのよう。読み進めることが単純に気持ちよかった。
- 13 夏・ものがたり (採点:3)
- 人間の行動というのは、何かしらの理由があったり、そうしなければにっちもさっちもいかなかったり、宗教・思想信条に寄ったり、あるいは決断したりして、成り立っている。
人間の行動を主体とした小説をやるなら、そういったリアリズムが必要とされるのだがそれがしっかり書かれていない。中途半端なファンタジーはまさに絵空事、僕は好きではない。
この作品においては、三弥と三月の謎が最大のポイントになっているが、一体なぜ三弥は三月のことを主人公に伏せていたのか、わからなかった。作者の都合ではないか。
ところで、
> 三弥から連絡があったのは、それから数日後のことだった。メールに書かれ
> ていた通りに晃一を連れて、早朝の道を歩いていく。
こういうのも簡単に書きすぎている。メールに書かれていた通りとは、どういう道順なのか、どういう道を歩いていくのか、きちんと書かないのは、適当というそしりを免れまい。
- 14 天窓の空 (採点:1)
- > いつも宿泊するホテルの一室で、妹の菜穂はベッドに寝転びながら言う。
妹であることを、地の文で説明しちゃう。もしくは、
> 菜穂は、高校三年生。受験生だ。
だとか、一言で説明しすぎる。もっと丁寧にー。
一文一文で改行するスタイルは自然、ポエムになりがちで読んでいて頭になかなか入ってこない。
こういう部分が特にひどい。
> 駆け出す。夏の風を切り、中庭の風と菊原先生を置き去りにして、西館の二階へ。
> 娘の待つ部屋へ。
> 「……まだよ、まだっ」
> 祈りながら、駆けた。
> 遅すぎた。
> なにが?
> なにもかもが?
> そう感じることすら遅すぎたのだろう、きっと。
> 六十年。
> 娘はどんな思いで、このときを過したのだろう。
> 自分を恨んで過したのだろうか。ずっと、ずっと。
> 六十年ぶりの笑顔は、年老いたが故の許しだったのだろうか。
> 許せるまでに、六十年。……許してもらえているのだろうか、そもそも?
疑問系で改行、体言止めで改行はやめて欲しい。脳内自己完結も鬱陶しい。
- 15 虹輪 (採点:1)
- ポエムか。
- 16 迷い家 (採点:5)
- 書き出しから、スピードがはやい。会話を含めて、テンポに難あり。
文章も雑な印象で、これが魅力となるには、まだもう少し磨く必要がある。
父親コンプレックス。
- 17 青い小箱 (採点:3)
- 会話文が自然なところは評価できる。独特の魅力があるが、地の文は省略が多すぎる。物語のスピードがはやすぎ、出来事が表面的すぎる。もっと言葉をついやさなければ。
- 18 君は小説に名前をつけると命名する (採点:2)
- 安易な比喩表現を使いすぎる。冒頭の焼却炉、あるいはマグカップとスプーンであるとか。どうしても目につく。シリアスなのにギャグだよこれじゃあ。
> 夏の尻尾が揺れている
とかさー。表現に問題がありすぎる。文章で萎えてしまった。病み系がうんざりというのもある。
- 19 永く遠い旅の終わりに (採点:2)
- 手人形劇のようなかわいらしさがある。つまり小説にする必要が無い。
- 20 十字路でっせ (採点:1)
- 細かく改行するのが読みづらい。
七五調で、それを狙ってるのかと思ったらそれが途中で崩れる。統一感の無さがある。
- 21 貴女に素敵な食事を (採点:1)
- > 時間はちょうど1200、昼休みの時間帯だ。昼食はまだだったが、時間帯からして仕事の話という事はないだろうと考え素直にそこへ向かう。
> ビニールで仕切られていかにも、煙をここから出さないでくださいね的な空間に入ると、嫌にでもタバコの煙が眼にしみてきた。吸わない人間にとっては迷惑以外の何物でもないが、上司の前でそんな顔は出来ないので我慢する。
思ったことを、地の文書くスタイル。言い換えれば自分の行動に理由をつけすぎ。
〜だろうと考え、だとか、上司の前で〜我慢する、だとか、いちいち行動に理由つけて、わざわざそれをこれ見よがしに書くのは、見苦しいし野暮ったい。
- 22 銀の騎士と緋の魔物 (採点:2)
- いわゆる、ネット上で書かれているファンタジー小説のたぐいか。こういうものは、こういうもんなのだろう。ただし、ものすごい古さを感じる。
- 23 達人M (採点:1)
- 場所の書き込みがない。最初のシーン、道場は一体どういうところなのか、書いてもいいんじゃないか。すべて読者の想像におまかせできるわけがない。地に足がついていない小説である。
- 24 見続けた背中と、その先にあるもの (採点:4)
- > 俺の名は立花冬一。
これって誰に向かって自己紹介してるの? 不自然きわまりない。エロゲ脳である。
> 父が勤めていた会社は倒産したのだった。冬一が父の死を知ったのはこの倒産劇があったからなのだ。冬一は生まれたときからこの町工場を遊び場として育った。そのため工作機械を扱う腕も生半可な大人に負けることは無い。
…と思ったら、「俺」人称じゃなく、「冬一が」などと三人称になる。小説は考えなしに書く物ではない。
場面を書くという意識や、豪快さは持っているようだが(特に事故のシーンにおけるページの費やし方はほれぼれする)、雑な印象でもある。もうちっとコントロールされたものを読みたい。
また、話が素直すぎる。主人公一人がんばって輝いて、僕には眩しすぎた。
- 25 光あふれ降りそそぎ (採点:1)
- こういう発想ができるのオタだけ。
- 26 ぽいんと・おぶ・のー・りたーん。 (採点:4)
- これだけ書ければ立派じゃないだろうか。10代前半くらいだったら楽しく読めそう。
- 27 Out of Eden (採点:2)
- 驚くべき事に、何も起きない。といって交わされている会話が面白いものでもない。
- 28 。兄弟への道 (採点:2)
- 00年代のファウスト系の作家たちのような雰囲気がなきにしもあらず。ふざけたノリの最近の文体である。それが面白く読めるか読めないかは、心の若さ・年齢に依存するのだろうか。僕には無理だった。
- 29 いつも心に弾丸を (採点:1)
- もう少し舞台背景に力を注ぐように。ドタバタやるだけで、何も書けていない。
- 30 August, in the box (採点:6)
- 丹念に書いている。構成、話の混ぜ方がうまい。
が恋愛感情まで、単調に処理された。ある意味機械的に。
ひとつの事件だけでは書ききれなかったのだ。物語が単純すぎた。
- 31 巫女が征く! (採点:3)
- > ――深夜。
こういう書き方はまずい。ぶっちゃけすぎだろう。
マンガのようなテンポだったが、それほど不愉快は感じなかった。
- 32 ツニ・ロック・フェスティバル (採点:1)
- これなんてRPG?
リニーク、ルダンなど、名前のセンスについていけない。
ファンタジーというが、まるっきり一昔前の雰囲気。
- 33 星の話 (採点:8)
- きちんと、読めた。上出来である。
文体は旧仮名遣いのような雰囲気、特に会話。
そしてこの文体こそが、この物語に対して、大きな影響力を与えているのが、好ましくもあり、残念でもある。幻想じみているのはわかるが、恐怖の手触りがないのは美しく書きすぎてあるからである。
文章はうまくコントロールされていたが、唯一、二段落目の重さが気になった。念入りに書くのは良いことだが、そこは小出しにすれば良い。
主人公に強烈な思想がないせいで、するりと通り抜けていくような小説だった。全体に素直すぎてひっかかってゆかない。語り手が傍観者なのである。それを自覚して書いているのならいいのだが、傍観させるためにしびれ薬までもちだしているのは、いただけない。
- 34 クリスタライズ / ドロップ (採点:1)
- > 彼は感じないのだろうか。
> この世界が、ひどく曖昧だってことを。留め得ぬものとしてしか生まれることのありえない、どこか嘘めいた場所だってことを。
> でも、そんなはずはない。
> 私がそう思うのなら、彼はもっとそれを深く理解しているはずなのだ。ここは確かに夢のなかだけれども、この世界が作り上げられたのは、きっと二人が願ったからなのだ。
勝手に想像して、勝手に結論だしちゃう系か。脳内自己完結型。読んでる方はこういうの、かなりキツい。
- 35 前を向くと見えるもの (採点:1)
- タイトル後、説明が入っちゃうのが超かっこ悪い。
そしてなぜ、語り手の視点が変わるのか。「彼は〜」が「自分は〜」になっちゃう。超かっこ悪い。
> 自動販売機に小銭を入れてホットの缶コーヒーのボタンを押す。
みたいな自分の行動を細かく書くのもかっこ悪い。
だが最大の問題は、禁戒という設定が宙に浮いていること。
最初から話を飛ばさないで、徐々に情報を小出しにして、内容をあきらかにしていけばリアリティがでるのではないか。
- 36 GENJI☆物語 〜YOUたちみんな僕とセックスしちゃいなYO!〜 (採点:3)
- 素晴らしきかな90年代。
面白かったが、会話に頼りすぎ。まるでアニメのよう。小説には不適切だった。
○かささぎ さん
- 01 道標は出会いの中に (採点:?)
- 母親と少女で決着をつける形の話だったら、面白くなってたかもしれません。というか少年、ほとんど出番なかったですね。
- 02 旅人と人形師 (採点:9)
- 静かな話ですね。じわじわとやって来ていた熱に気づいたのは、人形師の彼が旅人に預けた人形を見て激昂する瞬間でした。面白かったです。
- 03 君に届け→ (採点:?)
- 前半で、良い作品でした、と感想を締めくくることになるんだろうなという予感があったんですが、中村さんが出てきた辺りから失速し、決定的な転換を迎えたのがベランダでの場面。あつらえ向きの舞台が人物造型の薄さを浮き彫りにしてるように見えてしまいました。そこからは棒読みの脚本に思えて仕方なかったです。表情や声の調子ばかりが人を人足らしめるものではないと思います。
- 04 動物園 (採点:?)
- 臭いにこだわったかと思えば、動物園としての性質にこだわって。つまり、最後は主人公が観賞する立場に初めて立ったということなんでしょうか。パッチワークのエピソードは現実への覆い? 臭いものには蓋を、のような。とにかく、いまいちよくわかりませんでした。メキシコ人の男は何なんでしょう。
- 05 それがすべて (採点:?)
- すごい素直に書かれている作品のような気がする。足りないのは自分を疑うこと、なんですけども、これはこれで良い作品だと思います。
- 06 USO・800(ウソ・メイドオーオー) (採点:?)
- メイドとはつまり愛。それを素でいってるメイド長に乾杯。ところで主人公はどこにいるんですか?
- 07 中世におけるある犯罪者の変遷 (採点:?)
- 信じるものは救われる? どういう意図でここまで人形的に書いてあるのかわかりませんが(展開ありきで心情が決められているように見えたので)、話として支離滅裂です。寓意が込められているようでもありませんし。もっと人を書くということを意識した方が良いような気がします。
- 08 遠い日 (採点:10)
- 自伝的な、もしくは回想の書き方が噛み合ってますね。読み終えたとき、本当に遠い日というイメージが浮かんできました。面白かったです。
- 09 眠れない夜に見る夢 (採点:?)
- なんとなくわかる話でした。自分に向けられる悪意に気づいたとき、初めて人は自分というものを意識するのかもしれませんね。狙いどころは面白いんですが……、すこし縮こまりすぎた印象。もっと広がっていたら面白くなっていたと思います。
- 10 青い鳥はもういない (採点:?)
- それぞれのエピソードが上手く溶けていないように見えます。素材を活かしきれていないというべきか。後半、岩崎のおじいさんが出て来るまでに土台を整えられなかったのがその要因ではないでしょうか。群像劇を意識したわけではないかもしれませんが、この手の話なら個々の繋がりの設定が命であることは説明するまでもないと思います。そこがどうにも薄かったです。
- 11 流れ星はきっと、恋のはじまりで (採点:?)
- 話の展開だけでなく、それに伴う心情の変遷というものをもう少しじっくり考えてみた方が良いような。読んでいると目が回る気分になりました。
- 12 植物の部屋 (採点:9)
- さっぱり意味が理解できてないことが頭ではわかってるのに、とんでもなく面白く感じました。女の子への見方、接し方でなにかを読み取れたような気もするんですが……。というか、わかっていたのだとしても、おそらくそれを言葉で表現する術を私は持っていません。いやいや、本当に面白かったです。
- 13 夏・ものがたり (採点:?)
- 素直で良い話だとは思います。しかし、少々面白みに欠けた作りだったような。キャラクター作り、人格の作りに失敗している印象です。話の筋から考えるに、こういう落ち着いた(ように見える)人達を集めたところでそう大きく展開するものではないでしょうから。
- 14 天窓の空 (採点:7)
- 序盤の雰囲気に思わず身構えてしまいました。そしていざ読み終えてみるとトリックだけの話に思えてしまいました。薄味というか……人物像が確立されてないような。焦点がさだまっていないというか。致命的なのが年齢と人物が噛み合っていないこと。
と思っていたんですが、修正段階で読み直したところ、世界観にはこれが適しているかもしれないと思い直しました。すごく丁寧で、読んでいて安心できます。焦点が――とは少し矛盾しますが、安定している感じ。そういえば、タイトルは、自分とは繋がっていないけれど確かにそこにある空、というような意味なんでしょうか。いえ、評価には関係ないんですがなんとなく。
- 15 虹輪 (採点:?)
- 『黝』という漢字を初めて見ました。こんな字があったんですね。内容については、言葉選びで作品の雰囲気が大きく左右されることを意識した方がいいと思います。一人称の場合は特に。
- 17 青い小箱 (採点:6)
- 婆ちゃん婆ちゃん、どこの奈々子ちゃんとお話してるんですか。いや、申し訳ないです。でも名前は気をつけた方が良いと思います。
薄い、とは思いましたが、話としてはかなり綺麗にまとまっているような印象でした。それこそ、この話そのものが青い小箱からでてきた結晶だったかのような。話を汲み取るなら、色合いや光沢はともかく、となるんでしょうけれど。しかし、彼女にとってはそういうものだったとしても、それを喜んで手にとる子供がいるかもしれませんね。
- 18 君は小説に名前をつけると命名する (採点:10)
- 身篭ったものをどう産めばいいか、と。これは面白い。身篭った子は、香乃子そのものでありながら、完成したときに香乃子ではなくなるわけですね。押しが弱いようには見えますが、作品としては完璧だと思います。人形劇を穏やかな結末に導こうとする彼女を応援したいです。
- 19 永く遠い旅の終わりに (採点:8)
- これは凄い。無知な私には言ってることがさっぱりわからないんですが、それでもこの世界の中に引きずりこまれました。これ以上なく完成されたエンターテインメントとしての短編。面白かったです。
- 20 十字路でっせ (採点:7)
- 笑いに賭ける情熱が伝わってきました。スッコーンと飛んでいくシャンパンのコルクを眺めたような気分にもなりましたが、なんとも味のある飛び方で、コルクの造型や模様は気になりませんでした。すみません、意味わかりませんね。面白かった、というよりは楽しく読めました。祭りの熱気に中てられる感覚といえばいいでしょうか。もちろん、良い意味で。
- 21 貴女に素敵な食事を (採点:?)
- なにが起きたのか、さっぱりわかりませんでした。これからトラウマを何とかするんだぜ、となったところまでは覚えているんですが……。
- 22 銀の騎士と緋の魔物 (採点:?)
- 少女漫画のファンタジーにありそうな、一般的には強いレベルの女の子とそれを遥かに超越する圧倒的な強さを持った美男子の二人組みが様々な苦難の中でその距離を縮めていく話ですね。久々にこういうものを読むとなんだか新鮮ですねーと、そんなわけはないです。この手の話なら、キャラでなくストーリーにこだわれば、十把一絡げから抜け出せると思います。
- 23 達人M (採点:?)
- 最初の設定説明の意義をほとんど投げてますよね。経理にして一番弟子の彼女も空気と化してますし。説明や人物に応じた話の広がりが欲しいところです。
- 24 見続けた背中と、その先にあるもの (採点:9)
- 時間の流れの扱い方がすばらしいですね。しかもこれだけ中身を詰めていながら感傷に傾かなかったところが凄い。面白かったです。
- 25 光あふれ降りそそぎ (採点:?)
- さっぱり意味がわからないのは私の読解力と想像力が足りないからですね。すみません、今までアイドルとプライベートな交流を持ったことが一度もないんですよ。とりあえず、美しいものを美しいと連呼するのはやめた方が良いと思います。作品内での美しさがインフレを起こします。残念なことに、もうこの作品内で美しいと言われてもほとんど信用ならないです。
- 26 ぽいんと・おぶ・のー・りたーん。 (採点:?)
- 四期、あるんでしょうか。過去に戻ってくれたら良いんですけど。
こうなんていうんでしょう、パッションに欠けているように読めたのは私がなにかを見落としてしまったからでしょうか。文章として整えられた姿ではなくて生の声が欲しかったです。あと、三人称でしか出来ないことと、一人称でしか出来ないこと、それぞれを自己流の解釈で見出してみると新しい境地が開けるかもですよ。具体的でなくて申し訳ないですが。
- 27 Out of Eden (採点:?)
- えっと、魔術師の設定はなにか意味があったんですか? どこに焦点を絞っているのかはわからないでもないですが、なにやら視界が広すぎるような。端っこに映ったものがやたらと気になりました。
- 28 。兄弟への道 (採点:6)
- タイトルを理解したのは序盤だったんですが、いざそこまで来るとやっぱりニヤニヤしてしまったという。そういう意味で面白かったです。ただ、友人二人の人格というか、進退についてがよくわからず。こういうの何て言ったらいいんでしょう。所々で薄味という感じ、だと思います。
だったんですが修正。友人はあれですね、友情出演。なんて暑苦しい。だがそれが良い。薄味どころか濃い味でもなく立派な渋味。やりたいことはやり尽くせてるように見えます。それこそ男としても。面白いというよりむわっとする作品でした。
- 29 いつも心に弾丸を (採点:?)
- タイトルとの連動はいいんですけど、話の筋がさっぱりです。なにが起きたのかわかりませんでした。いや、事件に巻き込まれるというのは往々としてそういうものなのかもしれませんが。なんにせよ、十歳ぐらいの少女を連れるのはいろいろと危険ですよね。
- 30 August, in the box (採点:?)
- 困ったときは110番。この手の事故なら119番で良いと思いますけど。フィクションだからという範疇を超えた都合の良すぎる展開に見えます。視点を変えた意図もわかりません。
- 31 巫女が征く! (採点:?)
- むしろデビュー戦が気になる。あとは巫女さんなんだから、やっぱり巫女さんらしい戦闘手段が欲しかったです。お払い用の棒で殴るとか、石堤燈で殴るとか。鳥居を振り回すとか。石段を飛び降りることで鍛えた、遥か上空からの飛び蹴りだとか。
- 32 ツニ・ロック・フェスティバル (採点:?)
- 本編が別にあった上でのサイドストーリーに思えてしまいました。話そのものも薄い印象。
- 33 星の話 (採点:?)
- 持って回るような話し方がどうにも浮いてます。意図されてあるのだとしても、このせいで心情を追うことに意識が回りません。それに、読み終えてみても作中での星の魅力がわかりませんでした。
- 34 クリスタライズ / ドロップ (採点:?)
- 途中ループ展開が多すぎて息切れしましたが、終盤ですっきりできました。ストーリーは純粋で面白いと思います。ただ、思考の流れが掴めず、終始首を傾げてました。むしろ、そもそも流れていませんよね。そう意図された作品であるような気もしますが……。
- 35 前を向くと見えるもの (採点:?)
- ストーリーに追われて心情が疎かになっているような気がします。しかも、そこまでして追っているように見えるストーリーもかなり投げられてしまっている印象。容量と話そのものの筋を考えれば、どちらか片方は書ききれていたと思います。
- 36 GENJI☆物語 〜YOUたちみんな僕とセックスしちゃいなYO!〜 (採点:?)
- 諧謔の効いた話ですね。途中までは下ネタ連発に辟易しましたが、パロネタがわかりやすくて面白かったですし、読み終えてみれば素直に楽しめてました。
○しろがね さん
- 01 道標は出会いの中に (採点:6)
- シンプルな面白さはあったと思いました。
ただ振り返って見ると、中身の濃さという意味で中盤からの展開に少し物足りなさを感じたような気がします。
- 02 旅人と人形師 (採点:7)
- 人形を作る過程がとてもよかったと思います。
それ以外の部分もおおむね安定して楽しめたのですが、最後はよく分からなかったです。
自分は変わっていないつもりでも変わってしまった、というお話だったのでしょうか?
- 03 君に届け→ (採点:10)
- すごく良かったです。
- 06 USO・800(ウソ・メイドオーオー) (採点:4)
- 読み物のはじまりとしては、普通に楽しめたのではないでしょうか。
でもこれだけで終わってしまったのでは、さすがに物足りないです。
- 07 中世におけるある犯罪者の変遷 (採点:5)
- 全体的にとても分かりやすい構造で、特にその点を評価したいと思いました。
ラストで父親がハンスを簡単に許してしまう部分にはさすがに納得が出来ませんでした。
- 12 植物の部屋 (採点:6)
- なんだか読んでいて怖かったです。
それを狙ったのなら作品として成功しているのではないでしょうか。
ただ、文章表現になんとなくまわりくどいものを感じました。
- 21 貴女に素敵な食事を (採点:7)
- ストレートにいいなと思いました。
とても真っ直ぐなお話だと思います。
- 22 銀の騎士と緋の魔物 (採点:5)
- ユパタって名前はちょっとどうなんでしょうか。
個人的に、ライトノベル式というからにはメインキャラを好きになれないと話が始まらないと思うのですが、そういうきっかけが見つけられなかったです。
話の展開自体は悪くないのではと思います。
- 26 ぽいんと・おぶ・のー・りたーん。 (採点:4)
- これだけ多くの世界設定とキャラ説明をこの文章量でこなそうというのは単純に難しいのではないかと思います。
自分の場合、話についていくだけで精一杯でした。
- 30 August, in the box (採点:7)
- ささやかな物語としてはかなり完成されているのではないかと思いました。
特別なことがあるわけでもないのに、物語として普通に楽しめるのはいいなあと思います。
- 31 巫女が征く! (採点:3)
- 空手と柔術の心得があるだけではすぐに死んでしまうとしか思えないのですが。
その辺でもう読者として引いてしまったように思えます。
例えばもっと無茶苦茶なギャグ的にしてしまえばそれもありなのかもしれませんが。
- 32 ツニ・ロック・フェスティバル (採点:4)
- オーク達も音楽が好き、というのはちょっといい話かなと思いました。
逆に司祭の息子については感じることが少なかったです。
それ以外にも物語が盛り上げる部分が目立たなかったように思います。
- 35 前を向くと見えるもの (採点:8)
- かなり面白かったです。
『禁戒』の説明のあたりからどんどん物語に引き込まれてゆけました。
- 36 GENJI☆物語 〜YOUたちみんな僕とセックスしちゃいなYO!〜 (採点:8)
- ああ、ここまで下品なのに笑えるっていうのも初めてだなあ。
貴重なものを読ませて頂きました。
多分一般向けのボーダーラインは軽く突破してると思うんですが、個人的には全く気にならなかったです。
○じゅう さん
- 05 それがすべて (採点:4)
- ぶつ切りの文のやりとりになっている会話が多いのがちょっと気になったです。
実際の会話を録音してみたらこういうものなのかもしれませんが……。
書き言葉と話し言葉とはちょっと違うな、と、違和感をおぼえた次第です。
- 08 遠い日 (採点:6)
- カッコつけていて腹を割って話してくれない語りは苦手なのですが、それでもなお、彼の貪欲ともいえるようなエネルギーが伝わってきて、それを好ましく思いました。
>僕は今度こそ祈りたい。どうか彼らに幸の多からんことを。
と言える程に、余裕のある立場にいるということは、
この一文は「その後の語り手」がほどなくして小説家として成功したことを示していると解釈してよろしいでしょうか。
- 09 眠れない夜に見る夢 (採点:7)
- 読者の心にまとわりついてくるようなリアル感のある話でした。
たかしのキャラクター造形のリアルさに驚嘆!
ジャイアンのような解りやすい憎まれっ子とは違う、微妙な嫌さがツボに入りました。
そしてラストの、語り手の後悔から生まれた妄想もまたリアル。どうしようもないけど、タラレバを妄想せずにはいられない語り手にはとてもよく共感できます。
- 11 流れ星はきっと、恋のはじまりで (採点:1)
- 少年と異世界(宇宙人)の少女との遭遇と事件、というテンプレートに何を付加するのかと読み進めていたら、何もないまま終了してしまいました。
ここまで作者さんの臭いの感じられない作品というのもまた希少であります。
- 13 夏・ものがたり (採点:4)
- 物語の長さに比して、登場人物が多すぎると思います。
このせいで三月とほたるのキャラクターが浅くなってしまっています。
役割とキャラクター設定を整頓すれば、より深みのある作品になったと思います。
- 14 天窓の空 (採点:採点なし)
- ※このコメントが公開されているということは、私の読解が間に合わなかったということです。
- 15 虹輪 (採点:10)
- 何か人と文章ととには相性というものがあるのでしょう。
私はこの作品と非常に相性がよかったです。感動しました。
>私と彼は恋人同士になれたばかり。
ここで泣きそうになりました。
- 19 永く遠い旅の終わりに (採点:10)
- 昔、子供向けの宇宙の本でパイオニア10号の例の図版を見て、
「こんなので宇宙人に伝わるのかなあ」とか冷めた感想を持ったものでした(ついでに裸でいいのかと思いました)。
だからこの作品は夢物語なのですが、こんなことが本当にあったらいいな、と思わせる気持ちのいい夢物語でした。
- 21 貴女に素敵な食事を (採点:3)
- ちょっと構成ミスをおかしているのではないでしょうか。
作品を日常→崩壊→再生というパートに分けて作品を眺めてみます。
穏やかな日常パートを丁寧に書くことによって、その崩壊時の衝撃は強くなりますが、タイトル前で崩壊を決定づけてしまっているので、その効果が薄れ、日常描写が冗長に見えてしまいます。
また、再生の部分のおざなりさが酷いと思うのです。再生部分を書くならしっかりかいて欲しかったですし、或いは結婚云々は書かずに「いつか傷の癒える日もくるだろう」的なほのめかし程度にしてくれたほうがよかったと思います。
- 22 銀の騎士と緋の魔物 (採点:5)
- 定番のキャラクターづけながらも、二人の主役は善く動いてましたし、彼女等を活かすための魔物の使い方も巧みであったと思います。
真音魔法で魔物をジェル状にした時に、ユパタがそれを怒るシーンだけが、どうにも不自然に見えます。彼女は高慢ツンデレキャラというわけでもないのに、九死に一生を得て初仕事を成功させたばかりなのに、身を汚されたというだけで、こんな余裕のある態度を取れるものなのかと。
- 23 達人M (採点:4)
- 究極を求め、結果としてゼロになってしまう、という、こちらのコンテストでもおなじみのパターンを描いた作品ですが、設定の積み重ねに関しては無駄もなく、よく出来ていたと思います。
やや点数が低くなっているのは「達人とは?」というものに対する解答が少年漫画等ではよくあるものだったからです。
- 24 見続けた背中と、その先にあるもの (採点:8)
- 作者さんの、自作への誠実さを感じられた作品でした。
- 25 光あふれ降りそそぎ (採点:1)
- ……困った。
個々の文はちゃんと書かれているのに、全体的な流れを見ようとすると、はて、何を言いたいのかとわからなくなる文章でした。3度読み通しましたが、この作品を通じて何を読者に伝えたかったのかという以前に、どういう内容であったかということすら把握できないのです。
文の全ての文字に傍点を付けると、結局何を言いたいのかわからなくなるようなものでしょうか。最初からクライマックスだぜ!な文体が徹底的に合わなかったです。
フライング感想を巡ってみても、この作品に対して普通に感想がつけられているので、この作品と私との相性が徹底的に悪かったとしか言えません。
- 31 巫女が征く! (採点:3)
- ううん、作者さんと私の感性には相当の相違があるようです。
主人公が金の亡者みたいなキャラだったらオチにも少しは耐えられたかもしれませんが……。
人の命をなんとも思わない詐欺師が得をして、命がけでミッションをこなした主人公がバカをみる。そりゃないでしょう、というのが素直な感想です。
○アリー さん
- 02 旅人と人形師 (採点:4)
- 何を言いたいんだろう、と読み終わった後、しばらく考え込んだ。
漠然と感じられるものはあるのだけれど、結局形にならずに終わった。残念。
中盤の人形作りの描写は、個人的には読んでいてダレました。フィギュアとか作ったことが無いんですが、どうも実感として伝わってこなかった。申し訳ない。
- 03 君に届け→ (採点:7)
- いい話だ。ジーンと来ました。
主人公の「だぞう」の口癖はちょっとくどく感じますね。でも、母親とのやりとりと言い、独特な個性が良く伝わります。
全体的にキャラ造形が上手いな、人が良く描かれてるなと。
一方で、最後の訪れ先について、もちろんお話的にこれが重要なのは分かりますが主人公いい人過ぎだろうとw いい話なんですが少し無理を感じたのも事実。
- 04 動物園 (採点:3)
- ビックリした。色々と、大変に。
前半で終盤の展開をもう少し匂わせることは出来なかったのか。
驚かせることが目的だったのならこれでいいのか?
それから、とにかく登場人物の個性が、その個々人の中で噛み合ってないように感じるのは、なんででしょう?
比較的まっとうな感覚を兼ね備えているように見える主人公が、パッチワークだとエキセントリックになる理由とか、あるならもう少し分かりやすく提示して貰えると良かった。
非常にすらすら読めたので、文章力は全く問題ない。全体的なばらけ方が惜しい。
- 10 青い鳥はもういない (採点:8)
- 出来事が巡り巡ってうまく回る構成に感服しました。
何より、話の展開がすごく好きです。上手く行きすぎて現実的じゃないという向きもあるかもしれませんが、そんなの関係ねぇ!
ただ、それでも坂本が最終面接まで残ってしまう辺りは流石にご都合主義かな?とも思うので、そこだけ少し減点で。でもめちゃくちゃ好きです。
- 19 永く遠い旅の終わりに (採点:5)
- 壮大な物語。ここで出てくる人々と、来訪者の正体のあたりには、種明かしされた時には驚いた。気づく人はもっと早く気づけるのでしょうけれど。ちゃんと端々にヒントもありますし。
話が壮大すぎるせいか、こちらが二十億年前の人間のせいか、浮かぶ感情が希薄になってしまった気もするけれど、この話はこれでいいのかもしれない。
- 25 光あふれ降りそそぎ (採点:5)
- キャラ萌え。その一言に尽きます。悔しいが萌えた。
- 27 Out of Eden (採点:4)
- 投げっぱなしジャーマン!?
非常に楽しく読めました。けれど、長編の始めの方みたいな感じ。
続き読みたいです(笑)
○ミミオ さん
- 20 十字路でっせ (採点:10)
- 頭の文章から笑わせて頂きました。
大阪弁が凄く自然で、馴染みやすかったです。
最初から最後まで、一息で読んでしまいました。
コメディーで、かつロードムービーのテイストがあって面白かったです。
何かのパロディだそうですが、知らなくても楽しめました。
○ヲチ さん
- 12 植物の部屋 (採点:2)
- 訳がわかりませんでした。
○雨音 さん
- 01 道標は出会いの中に (採点:5)
- これは……主人公をハッキリさせた方が良かったんじゃないかなぁと。
少年がメインだと思っていたら最後はリベードで、焦点の位置がぼやけてる気がしました。
まぁそれでも、何でも有りな悪魔とツッコミ担当の少年との掛け合いは面白かったです。
いっそ少女が邪魔に思えてくるくらいに(苦笑
- 02 旅人と人形師 (採点:5)
- これは……これで良いのか?
いや、お話としてはきっと正しいのでしょう。
なんだか良いお話だったんだと思います。
が……凄い違和感が(汗
たぶん旅人の存在が弱いからなんじゃないかなぁと考えます。
もうちょっと台詞を増やしてオチへの伏線を張って欲しかったかも。
あと、死ぬシーンはもうちょっと考えてください。場面を想像したら軽くギャグになってました(苦笑
あと人形の製作工程。
しっかりしていて(詳しくないのですが、ちゃんと正しいのですよね?)、それは凄く良いのですが、もうちょっと表現に拘らないとただの解説になっちゃいそうです。
もうちょっと感情が欲しかったなぁ。
作中にある
>この想いの熱が伝導しない人形は単に粘土を切り貼った代物にすぎない。
という一文の通り、想いの熱がこっちまで届かない文章は……。
- 03 君に届け→ (採点:8)
- 香奈子なのか加奈子なのか……?
とりあえず、主人公と母親のシーンは凄くよかったです。
凄く悲しいのに優しくって。
ずっと空を見て、顔を見ないようにしているのがカッコよくて……素敵でした♪
う〜ん、だけどそっからの展開がちと蛇足に感じてしまいました。
もっと母親とのシーンを増やして、女の子をサッと助けてあげたほうが良かったんじゃないかなって感じます。
- 04 動物園 (採点:4)
- エロいなぁ♪
しかも思いっきり直截的な表現ですし。
これでちゃんとした百合カップルだったら大喜びだったのになぁ(馬鹿
疑問が一つ。
最後の事故の意味が分かりませんでした。
遠くで雷が鳴っているので、外国にいる旦那の怒り、つまり浮気した罰みたいなものを想像したのですが……どうなんでしょ?
ってか、知り合いが近くで事故ったのに紅茶の事を考える主人公っていったい……(汗
- 05 それがすべて (採点:4)
- なんか物足りないなぁと思ったのは、たぶん主人公が落ち着きすぎてるからだと思う……。
いや、そういうキャラでそういうお話なんでしょうが。
- 06 USO・800(ウソ・メイドオーオー) (採点:4)
- 色々面白くはあるのですが無難すぎるというか、平凡すぎるというか……普通でした(ぉ
もうちょっと凝って欲しかったですね。
っていうか、短編なんですからちゃんとお話を作りましょうよ〜。
- 07 中世におけるある犯罪者の変遷 (採点:6)
- 普通に上手いのになぁ。
というのが最初の感想です。
これって、とある犯罪者の生涯をただ綴っただけですよね?
短編サイズでやる内容じゃないですよ。
本当に良く出来ているんですけど……。
- 08 遠い日 (採点:7)
- 普通に上手い。良く出来てる。文章に隙がない。
けど……う〜ん(汗
どうにも中身が薄っぺらく感じました。
悲惨な生活を送っていた子供が爺さんと出会って〜という良素材ながら、その後はただ綴られているだけで。
普通のハッピーエンドではない結末も好感触なんですが、そこへ至る流れが主人公の一人称にしかないのが辛いです。
つまり、もっと台詞を多くして欲しかったです。
他者との対話がないもんだから、ぶっちゃけ不遇→厭世→諦観の黄金パターンじみちゃって……。
一度そういう印象を受けちゃうと、もう駄目でした。
- 09 眠れない夜に見る夢 (採点:8)
- >僕らはまだ十二歳の少年だったのだ。
この一文が重いなぁ。
ホント、その頃の自分を思い出して色々思ったりしますよ。
主人公に見事に感情移入しちゃいました。
……が、終わり方が好きじゃないです。
これはこれで綺麗なのかもですが、個人的にはやっぱり希望が欲しいなぁと。
なんだかこれだと投げっぱなしにも見えちゃうのですよねぇ。
- 10 青い鳥はもういない (採点:7)
- もっと広い範囲で「青い鳥」を動かして欲しかったかもです。
基本、身内だけですしね。もっと色んな人が幸せになる方が綺麗なのではないかと。
……ま、尺の問題で無理ですか(笑
現状でさえ、視点の移りが急で戸惑うほどですから。
というわけで、そういう不満点はあったものの凄く良かったです。
最後の青い鳥の解釈は素敵でした。
- 11 流れ星はきっと、恋のはじまりで (採点:5)
- あ〜……うん、ベタですね。
ここまでテンプレートを外れない作品を見たのは久しぶりな気がします。
普通に本屋さんで同じような小説を何冊かみつけられそうなほどでした。
いや、逆にそれだけ出来ているというか、これをもう少しエロくすれば普通にラノベとして成立してしまえるとは思うのですが……残念ながら良い意味ではありません(汗
この作品だからこそ読める、得られるものが欲しかったです。
- 12 植物の部屋 (採点:2)
- ごめんなさい、良く分かりませんでした。
- 13 夏・ものがたり (採点:7)
- う〜ん、連続した短編シリーズか、長編があった上での短編っぽいです。
良く出来てるんだけど単体では中途半端、みたいな。
ってか、キャラが活き活きしていて面白いのですが、ちと多いです。
ほたるか三月、どちらかに絞った方が良かったかも。
- 14 天窓の空 (採点:6)
- 何度も読み直してみて理解すれば、良く出来たお話だったと思います。
……が、この分かり辛さは致命的だなぁ(汗
この手の作品の場合は、ネタばらし部分はもっと意識的に分かりやすさを徹底する必要があるのだと思いますよ。
勿体無い作品でした。
- 15 虹輪 (採点:9)
- だからこういう話は弱いんだってば!!
ラブラブでニヤニヤで、でも悲しくってラストが凄く綺麗で……お見事です。
CGはともかくBGMつきで読みたい作品でした。
- 16 迷い家 (採点:7)
- 一回読んでも意味が分からず、何度か読み直しました。
いや、私の読解力が足りないからなのですが……文章が分かり辛いってのもあります。
>その為の出立を見送るとでもいうように太陽がそろそろ回ろうかと立ちあがり始めていた。
これとか……もうちょっと表現を考えてくださいませ。
お話自体がよく出来ていて面白かっただけに、残念でした。
- 17 青い小箱 (採点:5)
- う〜ん、思いを閉じ込める箱の設定は面白かったです。
が、微妙に料理に失敗している気がしてならないです。
十六年前の鮮明な初恋の記憶ってもっと力強いものなのではないかと。
それなのに、描写の上ではあっさりしていて……。
折角良いお話なのに味付けが薄すぎて楽しみきれませんでした。
- 18 君は小説に名前をつけると命名する (採点:4)
- >わたし、おちんちん生えた。
で、思いっきり笑いました♪
う〜ん、素敵過ぎる!!
と、たぶんどうでも良い部分なんでしょうが、私にとっては最強の導入だったかもしれません(導入としてはちと遅いですが)。
しかし読んでいけば予想したのとは違う雰囲気で残念でした。
ってかこの手の作品は共感しないと厳しいですよね〜。
……微妙でした(汗
- 19 永く遠い旅の終わりに (採点:7)
- パイオニア……で良いのかな?
うろ覚えだったのでググってみたらそれっぽいのが出てきたのであってると信じたいです。
というわけで宇宙人から見たお話なんでしょうが……解説長いなぁ(汗
中盤のダラダラ感はちょっと厳しかったです。
お話自体は面白いんですけどね〜。
- 20 十字路でっせ (採点:6)
- うん、凄いです。面白かったですよ。
正直、出だしはかなり微妙だな〜と思っていたのですが、最後まで読んでいけばちゃんとお話になっていてビックリしましたよ。
なんだかんだでスポコン(バトル)っぽい熱い展開が素敵でした。
「とある映画」についてはさっぱり分かりませんでしたが。
……が、それでもやっぱり文章が(汗
地の文がちょっとばかり適当過ぎます。
それに半端に関西弁を使ってるから凄まじく読み辛いです。
あと、バトルの主人公のネタが激しく詰まらないです(笑
もうちょっと考えて欲しかったかもです。
- 21 貴女に素敵な食事を (採点:7)
- おお〜、なるほど。
これは見事に騙されましたよ。
確かにこれは、とっても素敵ですね♪
オチに至るまでの流れも無駄がないですし、面白かったです。
- 22 銀の騎士と緋の魔物 (採点:3)
- 魔物を倒すだけじゃ色々と駄目な気がする今日この頃。
いや、しっかり書いてくれていて凄く読みやすかったんですけどね。
ただ、短編部門でこれはちと厳しいかと思います。
こんな感じで書くなら、もっともっとキャラを立たせないと。
長編ありきの短編(番外編)ならともかく、単体としては微妙です。
- 23 達人M (採点:6)
- めでたしめでたし……じゃねーだろ!!(笑
いや、確かに世界が平和になったんだからめでたいわけなのですけど、なんじゃこの馬鹿なオチは。
凄く真面目なフリからこのオチに持って行きますか。
なかなかに素敵です♪
でもどうせならもっとふり幅を大きくして欲しかったですね。
序盤はもっと真面目に、オチはもっとお馬鹿に。
徹底して欲しかったです。
- 24 見続けた背中と、その先にあるもの (採点:4)
- なんだか凄く嘘くささを感じちゃいました(汗
たぶんきっと意識していないんでしょうし、どうでも良い部分なんでしょうが、あちこちにそれを感じてしまいます。
思いっきり重箱の隅なので、気にしないようにはしたのですが……一度感じちゃう駄目でした(汗
展開としてはこれが正しい、というか凄く読んでいて気持ちの良い流れだったのですが、どうしても説得力に欠ける気がしました。
- 25 光あふれ降りそそぎ (採点:6)
- 母親の存在が空気……(汗
設定が死んじゃってますよ〜。もっと上手く使いましょうよ〜(涙
いやまぁ、それでも面白かったです。
佳奈名が可愛いですね♪
主人公との関係も素敵で、楽しく読めました。
- 26 ぽいんと・おぶ・のー・りたーん。 (採点:6)
- >その日が来るまで、日向あすはは極標準的な小学生だった。
「あすはは」…………読み辛いなぁ(汗
頻出していたので、ちょっと書き方を工夫して欲しかったです。
あと、ついでに。
>その日が来るまで、日向あすはは極標準的な小学生だった。
>あの日まで、日向あすはは何処にでも居るような平凡な少女だった。
繰り返す意味が分かりません(涙
と、細かい突っ込みはともかく。
非常に良い魔法少女ものでした♪
思いっきり「リリカルなのは」だったわけなのですが、その点は気にしないようにしましょう(笑
設定を整えてちゃんとお話を作って戦闘シーンをしっかり書いていけば、きっと良いラノベになると思います。
ってか、絶対私が好きな作品になります。これは間違いない♪
- 27 Out of Eden (採点:5)
- え? 終わった……?
色々語ってくれて「さぁこれから!」なところであっさりと終わりましたね。
これじゃあ設定をただ語っただけのような気が……(汗
いや、って言うより主題に対して無駄な部分が多すぎるのかも。
もうちょっとシンプルな構造に出来たんじゃないかなぁ〜って思いました。
- 28 。兄弟への道 (採点:6)
- 面白いし上手い……んだけど、疲れるなぁ。
各章タイトル含め、全体的に狙ってるのに微妙に外してる感じが苦しいです。
ってか、この手の作品は掌編サイズでサクッと決めてくれる方が綺麗なのかも。
ダラダラしてしまうと駄目なんじゃないかと感じました。
>体ごと空を飛ぶ大人と、頭の中でだけ空を飛ぶ青少年が増え、それが社会問題と呼ばれる流行の最先端だった。
みたいな素敵な皮肉が利く鋭さが欲しかったです。
- 29 いつも心に弾丸を (採点:4)
- C級アクション……かなぁ?
B級C級の基準なんて分からないですが、もっとお馬鹿でノリが良いってイメージがあります。
むしろこれはハードボイルド崩れなんじゃないでしょうか?
そういう意味で、もっとノリを良くするか、ハードボイルドな雰囲気を強化するか、どちらかの方向に強い力が欲しかったです。
- 30 August, in the box (採点:4)
- >錯覚は悪い事なの?吊り橋効果には真実が無いの?
吊り橋効果には真実がないのかと聞きながら錯覚だと暗に認めている……。
これって狙って書いてるんでしょうか?
ま、何にしても伝えたいテーマを伝えきれていない作品だったと思います。
説得力が欲しかったですね。
- 31 巫女が征く! (採点:5)
- 貧乏巫女さんが頑張って怪しいお仕事に挑戦する……楽しいなぁ♪(ぉ
色々とトンデモな設定で面白かったです。
こういう何でも有り感って素敵ですよね〜♪
惜しむらくは主人公が完全無欠に好みから外れていた事。
……ごめんなさい。ホントそれだけで思いっきり減点してます(涙
- 32 ツニ・ロック・フェスティバル (採点:5)
- ファンタジーと音楽って珍しい組み合わせかも。
音楽祭の警備というお話は面白かったです。
が、結局ゴブリンとの戦いに無駄な尺が取られちゃってて残念でした。
折角の設定なのに、展開が平凡なファンタジーじゃ勿体無いですよ。
あと、オチが……厳しいです(汗
- 33 星の話 (採点:9)
- あぁ……これは上手いわぁ。
正直、レベルが違うなぁ(汗
問答無用で10点つけても良かったのですけど、微妙に濃すぎるのと改行多用でマイナス1点。
改行はたぶん読者への厚意なのでしょうが、このレベルだと逆にウザかったです。
- 34 クリスタライズ / ドロップ (採点:6)
- どっちか死んでれば良かったのに。
……と、サラリと酷い事を考えてしまった私です。
いやだって、これじゃちょっとパンチが弱いなぁと。
夢の世界の意味がちょっと微妙でした。
この展開で行くんなら、もっともっと主人公を可愛く、バカップルな描写を入れて、ニヤニヤさせてくれる流れにした方が良かったんじゃないかなぁと。
現状でも十分ニヤニヤな部分があるので、それを強化して欲しかったです。
- 35 前を向くと見えるもの (採点:8)
- 面白い設定なんですけど、微妙に料理しきれてない気が。
ってか、最初の彼は(わざとであっても)死んだのに、主人公は凄く軽いなぁと。
もうちょっと拘って書いて欲しかったです。
うん、けど設定はもちろんお話も面白かったです。
素敵でした〜♪
- 36 GENJI☆物語 〜YOUたちみんな僕とセックスしちゃいなYO!〜 (採点:6)
- 下ネタ万歳。
真面目に馬鹿をやってくれる人は大好きです。
○宏方 智樹 さん
- 08 遠い日 (採点:6)
- 幼い頃横溝正史大好きだった者としては、昭和文学の黄昏に重ね合わせて読んでいました。
安吾の「デカダン文学論」をちょっと読み直してみたり。ただ、いまいちその辺が
異化されていない印象です。登場人物が動かなさすぎで、行動や描写として作品の動き
が描かれてこない。あるいは、もっと仕掛けを入れてよかったのでは。三人の生活を
耽美趣味ちっくにしたりして、"遠い日"にもっと引力を持たせるとか。あるいは、
主人公の書いた小説は「虚無への供物」などの鬼子のような作品を連想させるけど、
そのへんの昭和が終わっていく感覚が異化されて浮かび上がってこない。
作品に引力とか偏愛とかをあまり感じなかったです。ぐっとこない。
- 30 August, in the box (採点:10)
- 最後の彼女は、エレベータの彼女ですよね? すみません、ちょっとわからなくなりました。
3節で視点が変わって、なぜ彼女が彼にまた会おうと思ったかその理由が語られるけど、
「きっと、こんな風に話しかければ良かったんだよ」のラストに至る伏線もあるとすっきりしてたかも。
でも、この構成というか、流れが面白かったです。わざわざ会って「吊り橋効果」を
否定されて、また話しかけるところが、ちょっとひねりがあって。
確かに、今やネットによってコンテクストが過剰に生成されることがあって、出会いそのものの意味
というかセンスオブワンダーが失われていってる。そこに光を当てなおすところが面白かった。うん、好きです。
作品の表現もよかったです。僕と彼女の性格付けがちゃんと伝わってくるような内容になっている。
あとエレベータ内の時間経過もすごく難しそうなところですが自然に読めました。
エレベータ内の時間の流れの停滞と、外に出てからの軽やかさも、自然だった。
非の打ち所はゼロではないけど、それを上回るテーマ設定と表現力で10点です。
すばらしい作品どうもありがとうございました。
○広咲瞑 さん
- 22 銀の騎士と緋の魔物 (採点:4)
- 設定の説明不足はまあ雰囲気とノリでカバーするにしても、作品を支えている文章が酷すぎてあんまり楽しめませんでした。
ラノベにとって戦闘シーンは一番美味しいところなので、その辺にもう少し能力と容量を割いてほしかったと思います。
あと主人公のはずのユパタきゅんが余りにも影薄いので少し悲しくなりました。
強いキャラがかっこよく活躍するのもそりゃアリですが、弱いキャラクタに対していかに見せ場を作るか、というのもそれと同じくらいに重要なことだと思うのです。
- 27 Out of Eden (採点:6)
- 作品全体に遍く漂う、知識に対する拘りは、知恵の実への憧憬でしょうか。件の実は一体どういう味がするのか、どういう芳香を散らせているのか、宛がった前歯の沈み込む感じがどれ程の官能を僕の五体に齎すのか……。その子房の一切れでも、滴る果汁のひとしずくでも構わないから、味わってみたいものです。
ボクっ娘と主人公がダベってるだけの話ですが、なんか好きです。
最初にカンパンマンとかいう素晴らしいセンスのアレが持ち出されたということも、僕のガードを下げるのに一役買っている気がしました。
- 32 ツニ・ロック・フェスティバル (採点:3)
- 事の真相がこう来るんだったら、このまま終わらせるのは幾らなんでもテーマを投げ過ぎではないでしょうか。
結局副司祭が現在の問題にどういうケリをつけるのか――、彼が街の人々に合わせて自分の意志を曲げるのか、一切曲げずに人々に対してもっと深い信仰を解き続けるのか、あるいは自分に嘘をつきながら現状維持を続けていくのだろうか、というところを見たかったです。
ファンタジー好きなんでこの雰囲気に関して非常に楽しみながら読みました。
不躾ですが、血生臭いはずの世界観で誰も死なないのは、作者の方の倫理観がそうあるからでしょうか?
○高梨呂舟 さん
- 02 旅人と人形師 (採点:6)
- (内容点:技術点)6:6
独特の雰囲気をもったお話であったと思います。あるいは掌編部門に出品を予定されていた作品に肉付けし、短編用にアレンジしたものなのではあるまいか――という印象を受けるほど、全体的な構成やストーリーの運び方からは余裕が見られました。
序盤の滑り出しもそうですが、特筆すべきは中盤における人形工作の精細な描写でしょう。非常に深いところまで掘り下げられており、一種の迫力とリアリティをかもし出すことに成功しているように感じられました。
しかしながら、こうしたスタイルは物語のテンポを著しく崩してしまうことに繋がりやすいため、著者には卓越したバランス感覚が求められるところです。本作の著者がその感覚を充分に備えた書き手であったかは、読者によって判断が分かれてくるかもしれません。恐らくは、結果発表の順位にも直接的にかかわってくる問題となりそうです。
- 08 遠い日 (採点:6)
- (内容点:技術点)4:8
舞台設定が非常にユニークなお話でした。あるいは著者自身が(たとえば文学を通して)日ごろからこの時代に親しみを持たれている方なのかもしれませんが、なんにせよこのお話を書こうと思われた動機のようなものに私の個人的な興味は向いています。
(個人的にはヨーロッパを舞台にした方がより設定に説得力が出ると思いました。私には老人と少女の住まいがお菓子の家に見え、これは戦後日本の焼け野原からは少し想像しにくい部分があったためです)
肝心の内容ですが、これは一種のファンタジーのように感じられました。
前半の殺伐とした「幼年期」と後半の満たされた「少年期」が、同じ人物の口から、同じ温度、同じ演出で語られていたため、どこか浮世離れした雰囲気を感じてしまったのではないか――というのが自己分析であります。
あとは数奇な道を歩んできた少年と風代わりした老人との交流、奇妙な師弟関係。老人の死に端を発する束の間の日常の崩壊。性的な要素がまるで感じられない年頃の男女のふれ合いなど、内容そのものはこのジャンルの作品としてかなり王道的なものになっていたと思います。
個人的に残念なのは、私の読解力が本作の主題のようなものをついぞ発見できなかったことです。最後に主人公が見せる回顧のスタンスをみれば、いわゆる「ライフ・イズ・ビーティフル」なのかもしれない、と思えるのが精々でありました。
こんぺでは――とりわけ読むのに時間とある程度の気力が求められる中短編部門においては、読みやすく、分かりやすく、楽しみ方がはっきりしている作品の方が、より多くの読者と高評価を獲得できる傾向にあります。
本作は幸いにも事前に掲示板などで話題となっていたため、読者数についてはそうしたハンデを例外的に背負わずに済んだかもしれませんが、作品にエンターテイメント性を求める読者にどのような受け止め方をされるかが、結果に大きく関わってきそうです。
- 10 青い鳥はもういない (採点:7)
- (内容点:技術点)8:6
心温まるたいへんにすばらしい作品でした。かつての挫折や妥協などによって、自分の生き方にどこか疑問を抱き、場合によっては蔑視しなければならなくなった人間たちの、これは復権の物語でもあったのでしょう。
ところどころで語られる「青い鳥」をキィワードやキィアイテムとして本筋に絡めていく手法も見事であったと思います。
もし、この作品に長編としてより多くの原稿枚数が与えられていたなら、あるいは登場人物すべてに主役級の待遇と、それぞれ独立した語りの場が設けられ、非常に読み応えのある作品にしあがっていたかもしれません。
しかし短編という制約の中では、終盤まで貫かれていた主人公の一人称形式をやぶり、方々に視線が飛ぶ目まぐるしい展開にならざるを得なかったようです。 この点が評者にどう評価されるか。そして、登場人物全員が事件に対してあまりにクリティカルに関係しすぎている、言うなれば「構成や配置における遊びの無さ」が「ご都合主義」といった言葉と結び付けられる恐れは無いか。この辺りが――老婆心ながら――気がかりではあります。
- 22 銀の騎士と緋の魔物 (採点:6)
- (内容点:技術点)5:6
「ファンタジー風ライトノベル」の雰囲気を、意図して取り入れた作品なのではないかと思います。その点においては、一定以上の成功を収めていると考えて良いのではないでしょうか。
もちろん、この作品は単独でも物語として成立し得る構成を持ってはいるのですが、一読者として私は、これから始まる長編の序章にあたる物語――といった印象を同時に得ました。
言いかえれば「続きが楽しみだ」ということにもなる一方、これは「ここで終わってしまうのは残念」という気持ちにもつながりがちです。
また、本こんぺにおいては、「オリジナリティ」をキーワードに評価が分かれる可能性がありそうです。確かに、王道的ファンタジー・ライトノベルの空気は良く再現されていますが、読者はそれに加え、本作ならではの個性や新しさという贅沢な要素を求めてくるでしょう。
本作が彼らの要望に応えることができる作品であったならば、相応の順位を期待できると思います。
○最中 さん
- 16 迷い家 (採点:9)
- 今回の最高点は、この作品につけることにします。好き。
読めてよかったです。作者さんに感謝。
○鹿神 嬰 さん
- 02 旅人と人形師 (採点:採点なし)
- 無粋な点数が付けられませんね。
でも、あえて言うなら7点。
全体的に文句はないですけど、心が揺さぶられるナニカもないように見えます。
書きたいことは書けていると思いますので、この作品の場合はより精密に表現することが独特の雰囲気を作れるのではないでしょうか。
- 03 君に届け→ (採点:採点なし)
- 話がふらふらしている気がします。
ある一点に絞り込んだほうがいいかも。
キャラクターには好感が持てました。
- 36 GENJI☆物語 〜YOUたちみんな僕とセックスしちゃいなYO!〜 (採点:採点なし)
- 後夜祭なので点数つけない。
俺は嫌いってほどじゃないですけど、パロディは使いすぎないのが面白いかも。なんでもかんでも有名台詞引っ張ってくればいいわけじゃあないと思います。
キラリ輝く使い方がいくつかあったので、じぶんなりにいらないところを削ってみるといいのではないでしょうか。
下品なのは下品なので味があって悪くないと思います。
○多 那都比古 さん
- 14 天窓の空 (採点:6)
- 少しムダがあるような気もしますが(設定に)
漫画に出来そうな不思議な感覚はよいです。
言葉選びのセンスがいい部分が幾つかあり、印象的でした。
- 17 青い小箱 (採点:7)
- 根っこの部分はすごくいいと思う。
なんか童話というか、ファンタジーではない
不思議さが印象的です。もっと主人公の語り口調で
書ききったら個人的にもっと入り込めたのかも。
- 21 貴女に素敵な食事を (採点:7)
- 戦時ネタは過去に自分が書いたので興味深く読みました。
最後がちょっと「あらら?」というオチでしたが、これは
個人の嗜好なんで・・・文体は好きです。読みやすい。
- 30 August, in the box (採点:4)
- うーん・・・ちょっとつらいかも。
描写が機械的で、正確なんですが空気が無い感じ。
好みの問題なのかもしれないですが・・・
- 33 星の話 (採点:7)
- 乱歩の「鏡地獄」を少し匂わせる感じですね。
描写も丁寧で楽しく読めましたが、欲を言えば最後が
少し淡白すぎたかな?
- 35 前を向くと見えるもの (採点:6)
- 起承転結もあり、シンプルな文章は好みです。
ただ、少し最後が急ぎすぎている感がありました。
設定ももう少し改良の余地ありかなーと。えらそーですが・・
○竹仙人 さん
- 01 道標は出会いの中に (採点:3)
- 一番最後に読みましたが、なんというかもう、多いな、と。
- 02 旅人と人形師 (採点:2)
- 冒頭で期待感が膨らみましたが、読み進めるうちに萎んでいき、人形制作シーンに至り、なくなりました。人形の造り方に興味はないし、ストーリーがそこで一時停止するのがかなりのストレスです。かけた手間は、別の表現を用いればすむ話で、一から十まで書き出す必要はないように見受けられます。
話については、牽引力に乏しく、旅人についても謎が多すぎ、消化不良な読後感だけが残りました。
- 03 君に届け→ (採点:5)
- 話自体は嫌悪を覚える類なのですが、ここまで冷静に徹されると、小言を挟む気も萎むというものです。
- 04 動物園 (採点:3)
- まみ子さん露骨すぎて噴いた。
トイレに立たせてくれないところで確信に至りましたが、しかし、二人の関係とは別のところでまみ子さんの部屋のようなきな臭さが作品に漂っていて、それはなんだろうと考えてますが、わかりませんでした。妙に淡々としているところかな。何事もないようにまんこって言ってたり、当たり前のように事故ってたり、そういう際どい部分は多いのに、作品自体は無味無臭、読んでいるのに存在感がまるでなくて、それも不思議でした。
- 05 それがすべて (採点:9)
- やべえ、超好き。読んだのが投票最終日の締め切り三十分前じゃなけりゃプッシュして回ったかもしれない。学生/恋愛を描いた小説はこれくらい鋭い切り込み方をしてほしいと学園もの読むたびに思ってます。鋭いのに馬鹿さもしっかり出せてて、いつの間にこんな芸風が!と驚いてしまいました。
- 06 USO・800(ウソ・メイドオーオー) (採点:4)
- 充実した人生ですね。
- 07 中世におけるある犯罪者の変遷 (採点:5)
- この感情になんと名付けたらいいものか。
- 08 遠い日 (採点:5)
- 良い意味で、地味でありました。
- 09 眠れない夜に見る夢 (採点:5)
- ああ、まごうことなき小学生だ……
ちょっと昔を思い出してしまってやきもき。
- 10 青い鳥はもういない (採点:6)
- 現代活劇。絡み合うキャラクターの相関関係が面白かったです。ありそうで、そんなにないので。人一人の生き様、とりわけ挫折以降を扱った話はそれだけで好みなのですが、演出でさらに加点。いい話でした。
- 11 流れ星はきっと、恋のはじまりで (採点:3)
- 地球人の精神構造をうんぬんしている本人の精神構造も地球人まんまなのは宇宙人ものとしてどうなんでしょう。
- 12 植物の部屋 (採点:5)
- きが くるっとる
- 13 夏・ものがたり (採点:4)
- 逆に言えば安定している証左なんでしょうが、作品全体を覆うまったり感はどちらかというとマイナスに働きました。スローペース過ぎてついていけないのです。少年少女。夏休み。日常。ちょっとした不思議体験。これといった欠点は見当たりませんが、それらの要素で構成された作品の設計図そのものに、魅力を感じられなくなっています。
- 14 天窓の空 (採点:5)
- 久しぶりに、開始三行でゾクッときた。
謎が多い構成もあって、すぐに文章は気にならなくなりました。二重三重に引っ掛けてあって、情報の小出しぶりがまた上手い。引き込まれました。今わの際のシーンが現在なのかと思った。
ただそれゆえに、一番グッとくるような場面を最後に持ってくるのかと思い込んでしまったので、爽やか路線に落ち着いたのがやや肩透かしでした。悪くはないんですが。
- 15 虹輪 (採点:1)
- アレルギー炸裂。
……だけではあれなので羅列します。端々に見られる気取りすぎな単語、表現、ティーンらしからぬ思考を次々と展開するヒロイン、都合のいい時に都合のいい言葉をかける都合のいい男キャラ、どこを取っても読者を操作しよう操作しようという意識が迸るエピソード群。
003とある点で共通した作品ですが、その実対極とも言えます。作者の意図はそれと気づかせぬほど徹底してこそだと思う次第です。
- 16 迷い家 (採点:10)
- この容量でこの攻撃力は素人の仕事じゃない。親父を筆頭にキャラクターが一人残らず魅力的なのは言うまでもなく、彼の葛藤とやけっぱちがダイレクトに流れ込んできて脳がチクチクしっぱなしでした。快感。
ひれ伏します。
- 17 青い小箱 (採点:4)
- あまりにも各要素がむき出しすぎて無骨な仕上がりに感じられます。小箱の使い方にも疑問が残り、失敗した過去を悔い改めるという用途ならば、実際的に記憶を封印してしまう超常アイテムにせずとも、忘れかけていた初恋を思い出すキーアイテム、程度の用い方で十分に、というより、その方がより効果を発揮できたのではと思います。ひどく現代的な話の中にある現状では、文字通り浮いてしまっているので。
- 18 君は小説に名前をつけると命名する (採点:6)
- 文章の魅力は溢れんばかりなのですが、今一歩、切り込んでくるところがありませんでした。他よりも明らかに、こちらの気分、集中力によって評価が逆転する話ではあるのですが、香乃子との関係性の曖昧さが、悪い意味でそうなってしまっている気がして、なぜそうなのか考えてみると、内に内に向きすぎているのが原因かもしれません。全体を見渡した時に、ぼやけてしまうんです。
- 19 永く遠い旅の終わりに (採点:3)
- タイトルのような果てしなさを感じることができれば良かったのですが。
- 20 十字路でっせ (採点:8)
- こいつはアツい。ソウルをびしばし感じましたよ。ええですね、生き様っちゅうんですか、なんですか、芸人道にはとんと疎く真贋もわかりゃしませんが楽しめたんで問題なし。
- 21 貴女に素敵な食事を (採点:2)
- タイトルの薄ら寒さは一体。
最後の惚気のために飛行機落とすのには正直、胸糞が悪くなりました。男女関係を主眼に置いたストーリーにしては肝心なところばかりが抜け落ちていて、楽しむところがありませんでした。最後のやり取りだけで補完するには大きすぎるし、それまでのいきさつを省みても、最後の彼らが軽すぎて、どうにも。
- 22 銀の騎士と緋の魔物 (採点:4)
- 冒険中盤のエピソードが読んでみたくなりました。
- 23 達人M (採点:4)
- 肉弾戦とくどい口論がシャッフルされると絵的にギャグにしか見えなくなってしまうんですが、そこでは笑えず。ただ、戦闘後の急展開には笑いました。うーん、なんと奥が深い。
- 24 見続けた背中と、その先にあるもの (採点:3)
- 紹介文に偽りなく良い話だったのですが、ほんの数キロバイトの大工シーンで一気に作品との距離が開いてしまったのが残念です。ほとんどが三人称で進むこの物語で、あれほど薀蓄を垂れる必要はあったのでしょうか。重要なのはあくまで彼のとった行動とそれに伴う変化であって製作工程そのものを外側から語る必要性は薄いように思うのですが。あってもなくてもかまわない、ではなく、はっきりと逆効果にはたらいてしまいました。工程ごとに幼少の頃を振り返らせるにしても、内側から、つまり彼の視点から書けば、作品(というか、彼そのもの)により深みを持たせるなどの効果が発揮された思うのですが、この書き方だと、作者による知識のひけらかしにしか思えないのでした。
- 25 光あふれ降りそそぎ (採点:4)
- フフフ……女が好みじゃない……ちくしょう……
- 26 ぽいんと・おぶ・のー・りたーん。 (採点:2)
- 広告通りではあるのですが、どこかで見たことのある要素の羅列で、楽しめないのでした。
- 27 Out of Eden (採点:2)
- 困った、目を引く要素がない。
最初と最後の帰結に筋が通っていて、普通の恋愛話にした方が面白くなりそうだっただけに、残念です。
- 29 いつも心に弾丸を (採点:4)
- まさに\(^o^)/
いや、きっちり書き込めばより面白くなりそうなだけに惜しい。今のままでも十分、牽引力はあったので。
- 30 August, in the box (採点:3)
- フラグの叩き折りっぷりにGJと言った直後、ラストで墜落。くそっ、これじゃきっかけを書いただけに過ぎないじゃないか……!
- 31 巫女が征く! (採点:3)
- 迂闊な人たちによる迂闊な活劇。ガチなのか笑わせにきているのか判断に迷いましたが、前者にしては緊張感と危機感と筆力が足りず、後者なら滑ってました。
- 32 ツニ・ロック・フェスティバル (採点:2)
- 目を引く要素に欠け、2ページ以降は流し読みでした。
- 33 星の話 (採点:7)
- この妙な魅力はなんだ。冒頭で文章が硬いだけの話かなぁと予見してかかったのですが、次の瞬間には読み終えていました。欧米人のコメントを翻訳したような台詞の応酬も、読み終えてみれば作品にマッチしていて味がありました。
- 34 クリスタライズ / ドロップ (採点:4)
- ツンデレカップルも悪くないではないか。
ただ、アリスのような心地のよい不思議さではなく、単に状況が飲み込めない、展開がわからない、ストーリー性が見えない、というマイナス印象を全体に抱いたのは事実です。
ポップな文章そのものは嫌いではないんですが、退屈を拭い去れませんでした。外部からの刺激がない閉塞した空間で延々と絡まれると、どれほどキャラが立っていようと、次第に頭が冷えて距離を置いて見てしまいます。立っているかどうかと魅力的かどうかはまた別問題で、会話だけで満足できるほどの魅力は、残念ながら汲み取ることができませんでした。
- 35 前を向くと見えるもの (採点:3)
- アイデアレベルで止まっている設定が、すべてを台無しにしている気がします。どんな心あたたまる物語を積み重ねても、土台が脆弱では、足元ばかりが気になってしまいます。詳しいことはわからない、なんてぶん投げた説明を入れるなら、何も説明しない方がまだ良かったように思います。その世界の住人である主人公が、読者と同じ立場に立っているかのように俯瞰した語り方をするのも、この特殊な世界観では逆効果でした。(『柏木誠一』と『俺』が一度ずつ表記されているだけで、一人称なのか三人称なのか判断しかね、物語に入り込めない要因の一つとなりました。誰の視点かで読み方を変えているので)
- 36 GENJI☆物語 〜YOUたちみんな僕とセックスしちゃいなYO!〜 (採点:5)
- カシワギとヒカルのカラミがアツい。
○匿名 さん
- 01 道標は出会いの中に (採点:3)
- リベードがネウロにしか見えなくて、そうすると少年がヤコだなあなんてそんなことを考えていました。惨殺殺人事件がなくてさみしかったです。
- 03 君に届け→ (採点:8)
- すっきりまとまっていて、リーダビリティが高い。
主人公がおにゃのこなのにかっちょいくて、ものすげく好感が持てた。あんましおにゃのこらしくはないけど。
- 10 青い鳥はもういない (採点:10)
- なんだか導入部からいちいちリアルでもうなんか辛くて読んでられない……(泣)
で、頑張って読みました。いやもうなんかもう、いいよね、半分以上ファンタジーだけどいいよね、もうゴールしてもいいよね、って感じに半泣きになってました。やー、うん、好きです。
- 13 夏・ものがたり (採点:5)
- 長さの割にキャラが多くてごたついている。その割に導入部は魅力・インパクトに欠け、読んでいてまだるっこしさを感じさせてしまう。文体もそうで、冗長な比喩が多く、もう少しシンプルにしたほうが読んでいて心地よいように思う。ことにこの小説はライトノベル的なモチーフを主体にしているため、上のような特徴は甚だ損だと思う。
- 18 君は小説に名前をつけると命名する (採点:5)
- 空気感はいいと思います。散文詩のような。次は、小説をお願いします。
- 24 見続けた背中と、その先にあるもの (採点:8)
- これはいいプロジェクトXですね。
リーダビリティが高くて、すらすらと読めました。工作のところの描写にリアリティがあって好感。
- 36 GENJI☆物語 〜YOUたちみんな僕とセックスしちゃいなYO!〜 (採点:3)
- 途中まで面白かったんだけどなんか、だんだんだれてきた気がする。
○匿名さん さん
- 01 道標は出会いの中に (採点:1)
- 二度読みかえしましたが、作品の世界に入れなかった。申し訳ない。
- 01 道標は出会いの中に (採点:?)
- ひょうきんな悪魔だ。
こう、ふっきらぼうだけど不思議な力を持ってる青年の男って王道だけどやっぱカッコイイっすよね。よく見かけるタイプの男ではありますが、ただふっきらぼうなだけじゃなくて、人情味もあるところが良かったです。スマートな終わり方で、これはいいですね。
- 02 旅人と人形師 (採点:9)
- 読み終わってからも謎が沢山残りましたが、むしろそこが良かったと思います。
ネタばらしをしないことによって、どういう解釈も可能になりますし、色々なことを考えさせられました。いい話だなーで終わってしまう小説より僕はこっちの方が好みですし、価値のあるものだと思います。
- 03 君に届け→ (採点:3)
- 大変言いたくないのですが、「しこたま」「パープリン」
などで正直読む気力が失せました。嗜好の問題ですが。また、
設定が余りに陳腐すぎます。せめて設定に至るまでをもうちょっと
凝って欲しかったのが正直なところです。
- 03 君に届け→ (採点:?)
- お世辞抜きで感動しました。
やっぱり登場人物が救われると「ああよかった」と思えますね。
- 05 それがすべて (採点:4)
- うーん、みんなと別れるところで終わってほしかったなあ。
2ページ目はいらなかったんじゃないかなと思います。
- 06 USO・800(ウソ・メイドオーオー) (採点:?)
- ど、どうしようもねぇ・・・ダメすぎる。
やっぱメイドさんは「ご主人様」じゃなきゃヤダヤダ!
- 08 遠い日 (採点:10)
- 文句の付けようがないです。本当にすばらしい。
読みながら色々なことを考えさせられましたし、描写の一つ取っても作者さんの息使いが伝わってくるかのようでした。この作品を書き上げるのにどれ位苦労したか、どれ位の時間がかかったのかということが気になりますね。
- 08 遠い日 (採点:5)
- お見事な文章です。勉強させてもらいました。
- 10 青い鳥はもういない (採点:6)
- 1つの童話をもとにした良い連作小説ですね。
ただ、最初の1人称から3人称に変わる所でちょっと違和感を感じました。ずっと3人称だった方がバランスが良いのではないかと思います。
あと、個人的には話が上手く出来すぎているなと思います。ここまで綺麗にまとめなくても良い気がします。
なんだか文句ばかり書いてしまいましたが、全体的には完成度も高いと思いますし、面白かったです。
- 10 青い鳥はもういない (採点:4)
- フリが後にきいていないところが多々あるような・・・
- 12 植物の部屋 (採点:4)
- 独白調の文体も雰囲気も好きなんですが、展開にメリハリが・・・
- 12 植物の部屋 (採点:4)
- 正直よくわからなかったのですが、何回か読み直して、あーでもないこーでもないと色々考えました。読者にそうさせた時点でもうこの作品の勝ちかなあと思います。
ただし、ここまで手がかりがないのはいかがなものかと。作者さん自身がいったい何を考えてこの作品を書いたのか非常に気になります。作者掲示板楽しみにしています!!
- 15 虹輪 (採点:2)
- うーん、僕が内容を理解できていないだけかもしれませんが、そもそも一人称小説としては無理があるのではないかあと思います。この文章って主人公がいつ書いたものなんですか?あと、こういう不治の病みたいなものを扱っているにしてはあまりにも内容が綺麗過ぎると思います。綺麗過ぎるが故に、リアリティーが無いし、綺麗さそのものも伝わってこないです。汚かったり、後ろ向きだったりする感情もきちんと表現する必要があるのでは。
- 16 迷い家 (採点:6)
- アプローチの仕方がいいですね。家族とか旅立ちとかをテーマに扱うと、どうしても甘ったるいものになってしまいがちですが、こういうのも良いなあ。
けれど文体が、小説の内容と比べると熱苦しすぎる気がします
- 18 君は小説に名前をつけると命名する (採点:3)
- 作者の切実な思いが伝わってくるお話でした。それはとても大切なことだと思うので評価したいと思います。ただ、文章中に比喩みたいなものが多すぎて、それに振り回されてしまい、なんとなくお話自体がしっくりきませんでした。もちろん良い表現や面白い表現も沢山ありました。そういうものを使う頻度を少し落として、もっとストレートに書いた方が良いのではないかなあと思います。
- 20 十字路でっせ (採点:7)
- いやー、いいですね。面白いけれど、どこかしんみりしていて良かったです。読み進めて行くうちにどんどん話に引き込まれて行って、評価もどんどん上がっていきました。漫才対決シーンも興奮しました。こういう漫才っていいですねえ。
- 21 貴女に素敵な食事を (採点:4)
- 文章が上手く、テンポも良いので読みやすかったです。
ただ、最後の部分はいらないと思います。この部分のせいでこの小説の方向性が最後でおかしくなってしまっていると思います。
欲を言えば、「そしてついに食事がきた」以降の所をカットして別の終わり方をしてほしかったです。終わり方によってはかなり良い作品になっていたような気がするので。
- 28 。兄弟への道 (採点:5)
- やばい、これ好きかも。
小ネタがいいですねえ。
カープファンとしては
>>広島東洋カープの優勝とも無縁だった。特に最後の現象には三十歳になった今でも縁がないままだ
で泣いた。
全体的にすがすがしくて良かったです。
- 29 いつも心に弾丸を (採点:3)
- 内容自体は至って普通なのですが、テンポが良いですね。もうちょっとひねりがあれば良かったなあ。
- 31 巫女が征く! (採点:?)
- 巫女さんが世界各国に出向いていく・・・国家神道を世界に広めんとする右傾化の兆し、ここに!(違
- 33 星の話 (採点:8)
- 描写がめちゃめちゃ上手いですね。小説の中の情景が頭の中にありありと浮かんできます。淡々としたリズムの中で時折垣間見える静かな絶望感や渇望などがとてもリアルでした。
- 34 クリスタライズ / ドロップ (採点:8)
- なんて綺麗な話なんだろう。基本的には綺麗系恋愛小説は嫌いな人間なのですが、これはほんとに良かったです。作品全体に漂っている、「失ってしまったものに対するさびしさ」のようなものがいい味出してました。情景描写もすごく良かったです、良い感性持ってるなあと感心してしまいました。
- 35 前を向くと見えるもの (採点:7)
- こういうお話、好きです。
○復路鵜 さん
- 01 道標は出会いの中に (採点:4)
- リベードさんを中心としたキャラは立っていたと思うのですが、うーん、物語の進め方や描写がなんともイマイチでした。
根本的なところは悪くないと思いましたので、もう少し文章の中身を弄くれば良かったのではないか、と思います。
今後に期待。
- 02 旅人と人形師 (採点:4)
- オチがなんとも……うーむ、起承転結の起承のあたりまでは良かったのですが、どうも納得しにくい結果に終わってしまって残念。
とはいえ雰囲気はよく出ていたと思いますし、構成も悪くは無いとは思いました。
- 04 動物園 (採点:5)
- そうか、これが純文学か!(違う
シーンとシーンをぶつ切りにして組み合わせたような作品に思えましたが、なかなか楽しめました。
ただ、まみ子さんがレズビアンだということはどこかで匂わせていた方が良かったかもしれません。彼女の挙動は不思議でしたが、いざ行動に出るとなんだか唐突で戸惑いました。
それとオチも、他に書きようがなかったからこう書いてみた、という感じがするので、できればもう少ししっくりくるのにしてほしかったかもしれません。
- 05 それがすべて (採点:6)
- 最初のあれはこういう伏線だったのか! と納得。面白く読めました。
ただ伏線なのは分かっていたのですが、どうして最初のシーンがちょっとだけ改変されてラストで使われていたのか、ちょっと分かりませんでした。おそらくこれは読解力の問題でしょうが。
それと、幼馴染は二人より一人に絞った方が良かったのではないか、と思ったり。
- 11 流れ星はきっと、恋のはじまりで (採点:5)
- ここまで人間に似通った存在が宇宙人であるなら、そこらへん説明というか描写を加えて欲しかったような気がなんとなくしました。いや、もしかしたら催眠術で主人公らの視界を曇らせている可能性もありますし。
あと個人的に、もう少し管理局の描写もしてほしかったなあと思ったり。
- 12 植物の部屋 (採点:7)
- な、なんかすごい解釈の仕方が分かれそうだ……!
とりあえず私は、このSSを狂人の妄想であるように捉えました。違ってたらごめんなさい。
主人公=精神分裂病の人間。
島や施設=精神世界、完全に妄想や空想で成り立っているために、主人公が知らない事柄は殆ど無い。
黄色い服や女の子や長い髪=主人公の中で分裂した人格の一部。最初に別れた人間が理性、もしくは女の子は滅びかけた理性を担当している。また、主人公が現実世界で遣り残した妄執を担当する役柄も十分あり得る。
と言った感じでざっくばらんに読み進めていきました。完全に当て推量なのでおそらく間違いは多数でしょうが、まあそう考えてみると結構当てはまるような所もあったり。
色々と考えはしましたが、結果的に面白い小説でした。
○穂波 さん
- 01 道標は出会いの中に (採点:5)
- 好きなタイプのお話なのですが、時間不足か時々文章にわかりにくい箇所や、やや書き慣れていない感があります。(少女の事情説明とか…)
少年少女の名前を出さないのは意図的だと思われますが、少年の視点で話が進むため、個人的には少女の名前だけでも出したほうが自然ではないかなと思いました。
リベードの飄々とした雰囲気は面白かったです。
- 02 旅人と人形師 (採点:5)
- うーん、このお話の暗喩が結局理解できないままなのですが(汗)、
> 次に出来上がった顔は、彼女というよりカエルに似ていた。
この一文に噴きました(笑)。
- 03 君に届け→ (採点:7)
- 優しくて綺麗でいい話だなぁと思います。
上手いのですが、いささかそつがなさ過ぎるのが玉に瑕でしょうか。
- 04 動物園 (採点:4)
- うーん……最後がやや唐突に感じました。
性描写が悪いとは思いませんが、話の雰囲気からするともっとぼかした方が良かったのではないかと。
- 05 それがすべて (採点:7)
- 上手いと思うのですが、長さに対して登場人物が多すぎる印象です。
幼馴染は四人でなくてもよかったのでは…。
あと、一箇所だけ「俺」が「僕」になっているのが気になりました。
- 06 USO・800(ウソ・メイドオーオー) (採点:5)
- 気になった点…仕事を教える際に駄目な部分を指摘しないでフォローしちゃうと向上しないと思うのですが(汗)。メイドさんの定義も違和感ありますが、まぁ、主人公の主観なので置いておきます。
雰囲気は、コメディぽかったと思います。
- 07 中世におけるある犯罪者の変遷 (採点:5)
- うーん、所々違和感が…。細かな点ですが、例えば
>父親――名前はヴーツと言った
という表現の前に
>ヴーツと一緒に笑っているうちに
という文章があります…。
もう一度見直してみると、良いかも知れません。
話自体は素直で悪くないと思います。
- 11 流れ星はきっと、恋のはじまりで (採点:6)
- 面白かったんですが、長さが不足している感じです。
宇宙人という設定にインパクトはあると思うのですが、正体が割れて捕まるあたりから色々唐突に感じました。
宇宙人が堂々と捕まえられる(近所も普通に受け入れる)のであれば、もう少し普通に宇宙人のいる世界(どんなだ?)という設定にするか、ほのかの設定を現実味にあるものに変えたほうがいいのでは、と思ったりしました。
- 25 光あふれ降りそそぎ (採点:8)
- 上手だなーと思います。後半、お母さんとのからみが最後にちょこっとだけなのがすこし気になりました。
○無名の人 さん
- 07 中世におけるある犯罪者の変遷 (採点:採点なし)
- まるで聖人伝のような素晴らしいお話でした。
- 28 。兄弟への道 (採点:採点なし)
- こう来たか…という感じですね。うまくまとまっているのでいいと思いました。
- 31 巫女が征く! (採点:採点なし)
- 悲惨ですね。今回の事件自体、アンジェリカが仕組んだものではないでしょうか。天使と神道の巫女では折り合いが悪くて当然ですかね。
○霧島アルト さん
- 03 君に届け→ (採点:5)
- マクロス7のFIRE BOMBERの曲のオマージュってことでいいんですかね。しかし綺麗な文体で楽しませていただきました。
- 04 動物園 (採点:4)
- 話は普通にいいですが、実際西尾維新のようなパズルの要素が含まれてるのかなどうだろ。深読みしすぎなのかな自分。
と、明らかな放送禁止用語が含まれていますね。ここでは問題ないと思いますが念のため。
- 05 それがすべて (採点:3)
- くどいな。くどすぎる印象。
- 06 USO・800(ウソ・メイドオーオー) (採点:5)
- 話は素直に面白い。ただ文章の語彙に少し違和感があった部分がマイナス。
- 08 遠い日 (採点:1)
- 文章はうまい……。しかしなんだろう、何も心に残らないんです。
- 10 青い鳥はもういない (採点:7)
- 綺麗な群像ですね。ニートから立ち直る青年の苦悩と想いが文面から伝わってくるようです。ただ綺麗の埒外でない部分だけが心残りですが。
- 12 植物の部屋 (採点:5)
- 文章レイアウト、考えましたね。うちもこういう感じにすればよかったかも。
しかし謎なストーリーだ……。
- 15 虹輪 (採点:4)
- こういう書式には目次なり索引があると読みやすいですな。
綺麗な筆致ですが、記号を鏤めただけという印象が拭えません。ラストページの演出はよかったです。
- 17 青い小箱 (採点:5)
- 確かに青い小箱な話ですね。タイトルから件のMMOを彷彿させたのは私だけではないはず(何
ヒロインのこれからに幸せが訪れると良いですね。
- 19 永く遠い旅の終わりに (採点:3)
- 正直ペースに置いてけぼり感はありました。
- 22 銀の騎士と緋の魔物 (採点:5)
- グリフィスという名前の時点でベルセルクを連想した私はヘタレなのかそうなのかorz
90年代の古き良きファンタジー小説を髣髴させて楽しめました。こんなに面白いジャンルなのだから、衰退してほしくないなあ。
- 23 達人M (採点:6)
- バトル物かと思いきや、こう収束させましたか。
楽しませていただきました。眼福眼福。
- 24 見続けた背中と、その先にあるもの (採点:7)
- 少年が父の跡を継いで目標に向かうまで過程におおっと思いました。
- 27 Out of Eden (採点:3)
- ラストがえらい唐突だ。
聖書の話を出したのは魔術師と男女の関連性に結びつけるためだと思いますが、しかし唐突だ。
- 28 。兄弟への道 (採点:2)
- 説明部分が無駄に長く多く、読みづらい。
あと主人公の名前やガジェットの持つ意味性は終盤で確認できましたが、序盤で抱いた不愉快感が結局最後まで払拭される事はありませんでしたね。
- 29 いつも心に弾丸を (採点:1)
- 自分で自分の作品をC級と呼んでたら世話ないです。
申し訳ないですが論外ということで。
- 31 巫女が征く! (採点:6)
- 素直に面白かったです。文章も読みやすいし。キャラ描写は二の次として。
同じくラノベ風味で出していた者として、少しジェラシーを覚えながら6点を。
- 33 星の話 (採点:3)
- 描写に振り回されてる印象だ……。話以前にひどく読みにくい。
- 36 GENJI☆物語 〜YOUたちみんな僕とセックスしちゃいなYO!〜 (採点:2)
- これはどういう意図で書かれたものなのだろう。
作中の殺陣で求められる要素は耐久力ですが、読者に求められる要素もまた耐久力な作品かもしれない。もちろん性的な意味で。
あと「イマラ〜」は誤りで、正しくは「イラマ〜」ですね。
○梔子 さん
- 01 道標は出会いの中に (採点:採点なし)
- 立てたプロット通りにキャラクターを動かしているような初々しい文章という印象を受けました。それだけにキャラの一人歩きというか話の中で生きているような存在感は若干乏しく、RPGのイベントをテキストにしたような固さが見えました。少年を主軸にしつつも、悪魔の人間観察という形で話を括っているのでsから、それぞれの感情吐露や言動に至るまでにどういう出来事があったのかなど、少女の複雑な家族事情や街の渇水状況の悲惨さなどをもっとどこででも大風呂敷を広げたりして、我侭な感情同士をぶつけあうような展開を見せると話に奥行きが広がるように思いました。
- 02 旅人と人形師 (採点:採点なし)
- 話の仕立て方に味がありました。ちょっとした不思議話としての構成のまま、テーマを拵えて比喩と共に埋め込んであったのは、短編としての完成度の高さを感じました。後半に彼が人形のことを思い出してから激高するまでの心の動きが描写不足なのは、改行がヘンだったり変換ミスっぽい部分があるのと同様に清書時間が短かったのかと気になりました。
- 03 君に届け→ (採点:採点なし)
- 書き出しから上手い具合に話を運ばせていき、人間の感情を上手く抑えながら描ききっていた作品でした。難を言えば少女の元へ行く流れが唐突だっただけに、その辺の経緯に繋がる部分が補足されていれば良かったと思います。あと個人的にはLienというゲームを思い出しました。
- 04 動物園 (採点:採点なし)
- 子供の頃自分も車の芳香剤が駄目で、描写の下りであの嘔吐感しか沸かせない空気を思い出しましたが、そのぐらいの嫌悪感を感じさせる為の書き方であったのなら私には非常に有効でした。行為しかり、人間関係しかり、臭いしかり。
- 05 それがすべて (採点:採点なし)
- 青春直球ど真ん中と言わんばかりの堂々として気持ちのよい作品でした。強くこの年代特有さを描こうとするでもなく、まるで肩の力が抜けているようですんなりと話と世界に入り込むことが出来ました。最後に皆で歌うシーンはとてもよい演出でした。
- 06 USO・800(ウソ・メイドオーオー) (採点:採点なし)
- 良くも悪くも商業四コマ雑誌初連載の話っぽい印象でした。とっつきやすかったですし、話もわかりやすかったです。キャラも役割がはっきりしていますし、あれこれ考えることなく読みきれるのはとてもよかったです。ただ話そのものが、この話の紹介部分以上のものがなく、ここからキャラクター達の日常が今後描かれそうだなと思うだけで、この話そのものへの満足感には欠けるものがありました。
- 07 中世におけるある犯罪者の変遷 (採点:採点なし)
- 最後の父親のシーンを描く為に作られた話のように思いました。ハンスの生い立ちから成り行き、そして破滅に至るまでの経緯を彼視点から描いて、その行き着く先がそうなるべくしてなってしまったという話の作り方は巧かったです。余談ですが、昔読んだ中井紀夫氏の呂布の小説を思い出しました。
- 08 遠い日 (採点:採点なし)
- 深淵の底を覗き続けたと言いますか、読み始めてから読み終わるまで熟読致しました。意図とかテーマとか、書き方とか構成とか一切意識が向かずにただ、この作品の世界と登場人物たちを追い続けまして、非常に満足のゆく、読んで気分のいい話でした。
- 09 眠れない夜に見る夢 (採点:採点なし)
- 序盤から中盤まではとてもよかったです。作中序盤に出てくる『復讐』という言葉からはじまって、その復讐について少しづつ小出しにどうしてそういうことになったのかということを出し続けて最後に、そしてどういうことをやったのかと明かすまでの流れは読んでいてワクワクしました。ただその復讐が齎した結果を書いた後が、誰に対してもすっきりしないままで〆られていて、読了後の実感が弱く感じました。彼は今どうなっているかわからない、僕も決まりの悪いままの気持ちを抱えている、彼女も最後まで何も示さない、というのは実話としては腑に落ちますが、読み物としてここで〆るのであれば妄想の話以外に現実部分で何か欲しかった気がします。出来れば彼女と絡めて。
- 10 青い鳥はもういない (採点:採点なし)
- 話の流れそのものは発想からその流し方までよく出来ていたと思います。テーマに対する書き手から読み手へ向けたものは感じ取ることが出来ました。ただ文章的にはこれといった不備は感じないものの話の動かし方がその流れに対して澱んでいるような、読み辛さも覚えました。あと最後の終わらせ方もどんな形であれ個人的には序盤の面子と絡む形だと予想していたので少し拍子抜けでした。
- 11 流れ星はきっと、恋のはじまりで (採点:採点なし)
- 新鮮味がない題材で勝負したその心意気は感じました。ただ正直、文章そのものの出来が悪ければそこでかなり苦しくなりますし、出来が良くても滅多なことでは高評価し辛いだけに、何か話の中で目新しいものがないと感想ですら書き辛いという事実だけが残る気がします。
- 12 植物の部屋 (採点:採点なし)
- 悔しいのですが漠然としたところぐらいしか意味が掴めませんでした。
- 13 夏・ものがたり (採点:採点なし)
- 書き手が話の絵図をどこまで描いてから文章におこしたのかわからないのですが、読みながら拾い集めてみると借り物競争的な話というイメージが強かった気がします。話の中のひとつひとつがこの話の世界にはめ込まれてはいるものの溶け込めておらず、読書で起きる話の世界が脳裏に浮かび辛いものになっていたように思います。ただひとつひとつの文章をちゃんと書こうとするようなものも感じられましたし、あと良く言えば活字的世界になっていました。
- 14 天窓の空 (採点:採点なし)
- 非常に最後まで楽しませてもらいました。作品中のトリックも良かったですが、それを話の中に練りこませた構成自体も非常に興味深く読み耽るように出来ていました。動機については若干疑問もありますが、総じれば良かったです。
- 15 虹輪 (採点:採点なし)
- 死にものは話があざとくなりがちなので評価が難しいのですが、上手く編みあがっていたように感じます。視点を一切変えず主人公の口語調だけで拡がりのある光景を作り出していた文章には力があり、読んでいて気持ちがつられるような間隔に陥りました。生に対する意地汚さやひたむきさなどの部分を廃したままな点で評価が変わるのかもしれませんが、私はこの世界はとても良かったと思います。
- 16 迷い家 (採点:採点なし)
- 掴み所がないわけではないのですが、どことなくとっつき方が難しいような文章でした。とっつきにくいではなく、テキストへの付き合い方がわからないような…意味不明なコメントですみません。話自体の感想ではないのですが、短編を得意としている人の短編集の中程にありそうな感じの話でした。
- 17 青い小箱 (採点:採点なし)
- 多分他の人も書いている気がしますが、登場人物の名前が全員一定していないのは非常にマイナスでした。一箇所二箇所なら差し替えの際の見落としとも思えるのですが…てっきり一人に見せて数人の一人称の文章かと勘ぐったりしました。話としてはそこそこに纏まりを持っていていい感じに仕上げてある印象もありますが、箱使用の部分は本文中だけの描写だと結果まで即一直線なので、嫌な記憶や出来事の記憶を一つ一つ徐々に封じていったとか、ずっと使わないで我慢していたけど決定的な状況に直面してしまい一気に封じてしまったとかでないと、祖母の言葉とは裏腹に最初から全て忘れさせる為に箱を用意したように読めてしまいました。
- 18 君は小説に名前をつけると命名する (採点:採点なし)
- 非常に興味深く、面白い文章でした。文章のひとつひとつからその光景と、そこに存在するキャラクターが浮かび上がってきて、作り出す世界観に躊躇いなく浸ることが出来ました。心地よさと若干のむず痒さに似た感傷がとても快かったです。こういう話の書き方だと締め括り方そのものに興味がわき、その期待に違わぬ終わり方は満足いくものでした。努めて難を挙げるとそこにいく最後の前からの最後への流れは序盤から中盤までのものより上手く繋げていない印象も受けました。
- 19 永く遠い旅の終わりに (採点:採点なし)
- 適切な言葉が出てこないのですが、宇宙の何処かから伸ばされた手を掴もうとせんとする人達の話が、実際の人同士が手を繋ぐよりもファンタジーでなくなっている昨今という現状を鑑みさせていました。
- 20 十字路でっせ (採点:採点なし)
- 元作品はわからなかったのですが、ストーリーの仕立て方が映画風でしたので、終盤の逆転への切り返し方などは役者が声と身振りで動いていることでわかるようなイメージがありまして、よく言えばテキストから沸き上がっていく流れの音が聞えてくるようでした。ただ文章を目で追うと、話への興味が弱くなり、面白さを感じ取りにくいと言う印象もありました。
- 21 貴女に素敵な食事を (採点:採点なし)
- 物語自体の出来はよく出来ていたと思います。ただ構成があまりに判り易過ぎて、話が進むたびに先が簡単に予想できてしまい、その予想に違わない展開が続いたまま終わってしまったのが読み物としては若干寂しさも残りました。タイトルからして食事そのものと話をもっと結びつけても良かったかもという感もあります。
- 22 銀の騎士と緋の魔物 (採点:採点なし)
- 纏まりが良く、目立った難点もありません。話自体も書き方も良く出来ていたと思います。書くことに手馴れているのか、とても読み易かったです。
ただ、キャラクターと話そのものの両方が在りきたりな上、文章にも特徴がないので作者らしさみたいなものを感じ取れませんでした。
既に名を挙げている人が書いたならちょっとパンチが弱い程度で済む話ですが、無名もしくはこのような匿名の場での発表だと魅力がないという判断になる気がします。文章力がある方だと思いますので、創作に対してもう一歩作者だけが考えた何か一捻り、キャラか話に練りこむようにした方がいいと思いました。
- 23 達人M (採点:採点なし)
- 書きたいものを書ききったという達成感は伝わってきましたし、思い切りの良さに似た気風の良い書き方は悪くなかったです。ですが、推敲が甘いのか時間がなかったのか誤字や文章のミスらしきものが少なからずあり、かなり気になりました。
- 24 見続けた背中と、その先にあるもの (採点:採点なし)
- いいお話でした。父から子への繋がりと、命の重さという、テーマとしては道徳臭が漂うものでありながら、登場人物それぞれが一人の個としての存在と意思を持ちながら、それを殊更強く訴えかけることなく読み手に沁み込ませるような、力強い文章とその意思は快いものでありました。正直教科書であってもいい感じの話でした。
- 25 光あふれ降りそそぎ (採点:採点なし)
- 構成自体に難があるわけではないのですが、その構成に対しての話そのものの説明不足というか、漠然と話の意味や理由は掴めるけれども、作者がキチンを読み手に対して書いておかないといけないのではないかと思えるような不足分を全体的に感じます。厳しく言えば人に読ませる文章にしてはばたばたしたまま始まってばたばたしたまま終わっている感が。全体的に話はキレイでした。
- 26 ぽいんと・おぶ・のー・りたーん。 (採点:採点なし)
- 某アニメシリーズを私は観てないので知らないのですが、そんな人間からでも連想される時点で何かしらの意図を感じました。ただその意図が観てない以上判らないので感想のしようがありませんでした。もし純粋にこういう設定でこういうジャンルものを書いただけなら本当に申し訳ありませんが、時期的に偶然とは考えにくかったです。
- 27 Out of Eden (採点:採点なし)
- ちょっとアレな子と自分で思うほど捻くれてない俺との一時のやり取りだけを書き抜いた作品という印象があるのですが、話そのものが主人公の自己完結で終わってしまっているので、読み手としては若干消化不良を起こしました。結局ケムに巻かれるのはいいのですが、もう少しやり取り部分を充実させるか、二人の関係付近の前後の説明を入れて小説に仕立てるとか欲しかったです。掌編向きだった気もします。
- 28 。兄弟への道 (採点:採点なし)
- 全てを読み終わってからタイトルの意味がわかって笑えました。キャラクター達の三流ぶりというか、冴えなさもコミカルで楽しい感じに仕上がっていましたし、話の流れも読み終わってみれば納得がいくものでして、なかなか味のある話でした。
- 29 いつも心に弾丸を (採点:採点なし)
- 場面転換の仕方が上手だったように思います。キャラクターと物語を考え考えしてから書いたようにも思えますが、慌ただしい箇所もあるので勢いで書ききった作品でもあるようにも思えました。憶測ですが、〆切に追われて清書もままならないまま書ききったように感じまして、地の文、メイン二人の会話の流れの両方ともテキストとして若干微妙というか、具体的に言えば朗読するとヘンなものになっていたように思います。二人の設定から煮詰めて修正したらもっとぐっと惹いた話になるような気がしました。
- 30 August, in the box (採点:採点なし)
- 複数視点を生かすシチュエーションを拵えていたように感じました。大きなお世話なのですが、本当に書きたいものが書ききれていたのかわかりかねました。話をキレ良く作られている割には、伝わってくるものが弱く感じましたもので…。
- 31 巫女が征く! (採点:採点なし)
- 判りやすく、読みやすく、色々と手頃な話でした。話そのものは「十分で判るライトノベル」とばかりにその手のノリを単に短く凝縮されたものでしたが。第二話かなんかでアレクシアがひょっこり仲間化したりしそうな類の読みきりシリーズの第一話という感があり、こういう企画の場だと若干不向きに感じるのがどうかなと思います。
- 32 ツニ・ロック・フェスティバル (採点:採点なし)
- 舞台への下地を作り、事件を挟みつつ、キャラクターを少しづつ動かしながら、疑惑を発生させて、幕引きへと結んだ話の構成はとても良くできていて、読み手がどう読んでどう感じさせるかといったものに沿ったかのような出来でした。極めて読んで良かったと思える作品でした。
- 33 星の話 (採点:採点なし)
- 星という存在を造り出しての話は、なかなか趣深かったです。空気作りが巧みで、作品から感じる雰囲気が読みながら作中の会話に引き込まれそうになる気にさせてもらいました。
- 34 クリスタライズ / ドロップ (採点:採点なし)
- 文章の書き方そのものがなかなか変わっていました。もしかしたらわざと作った癖なのか、ひょっとしたら誰か既存の独自性の模倣なのかわかりませんが、私はこの書き方はとても面白く感じました。話にあわせたのか、この話そのものも突拍子もない話になっていて興味を惹くようになっていました。
- 35 前を向くと見えるもの (採点:採点なし)
- 序盤がエロゲっぽい立ち上がりだったので、若干気持ちを割り引いてしまいました。全体も継ぎ接ぎというイメージが強く、尺の長いものを短くしたのかタメも纏まりもなく、キャラクター達のやりとりもどことなく既存のを見繕ってかっさらったかのようなデジャヴを感じました。作中の主人公の稚拙さを話そのものの言い訳にしているようなイメージに思えてしまったのも残念です。全体的に小器用というか、細工を施している文章の書き方は上手かったと思います。
- 36 GENJI☆物語 〜YOUたちみんな僕とセックスしちゃいなYO!〜 (採点:採点なし)
- 非常に豪快で笑えました。安易にパロディ一直線のなあなあで済ませることなくネタの使い方からキャラの動かし方まで変幻自在に描ききっていて楽しかったです。ただこういうキャラ暴走投げっ放し系に陥り易い点としてどうしても話が落ちないという難所は克服できなかったのと、テンションが上がりっぱなしだったせいか途中で文章に対して飽きが混ざってしまったのは私自身の我侭かも知れませんが、残念だったところです。こういう話は大好きなので、読めたことが嬉しかったです。
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