○2% さん
- 04 母のあゆみ (採点:8)
- 素敵なおはなしでした。ひとつひとつのエピソードがあったかくて良かった。ただ、晴子の泥臭さに比して地の文にポエティックな言い回しがちょっと多すぎるかなぁ、という微妙な違和感も。
- 09 WINTER (採点:9)
- 楽しめました(というか、安倍某が某物語の真の作者! のくだりで吹きました)。それなりにAIRの本筋に絡んでいって、それでいてコメディ調のおはなしというのは実際かなり貴重なんじゃないでしょうか。タイトルもシンプルながらSUMMERとの対比が端的に示されていて好印象。満点じゃないのは、ひとえに「これに満点を付けるのは人としてちょっとどうか」という疑問が浮かんできたからです。
- 10 夢の汀 (採点:6)
- 上手くいえないんですが、AIRっぽい雰囲気が良く出ているように感じました。ところどころ曖昧で詳細のぼやけた描写で、読んでいてなんだか地に足が付いていないような感覚。美凪、佳乃、と来てラストの少年少女に繋がる構成はとても腑に落ちるというか、読後感が良かった。難点を挙げると、文章にちょっと手抜き感を覚えました。個人的な感覚かもしれませんが、特に序盤。
- 14 マジカルを考えよう (採点:7)
- AIRそっちのけでベタなギャグに走る、その真っ直ぐな心意気に惚れました。これ往人じゃなくて作者だろ、とは思いましたが。
○Foolis さん
- 01 1000と、2年目の夏 (採点:7)
- なんとも不思議な雰囲気がした作品でした。
この空気はなかなかいいですね。
夢に聖が迷い込んでいる(やや御幣があるか)、その様子がほんとによく描けていたかと思います。
ただ場面転換の描写がややわたしにはわかりにくかったです。
それが残念でした。
- 02 無菌室で煙草 (採点:4)
- (すみません、辛口です)
話のアイディアとしてはいいですが、全体的にみると、なんだかなぁ、って感じでした。
最後の結論にいたるための物語として違和感があるというか。
「こんな世界いやだよ」とはいわないでしょう、別にこの2人はほかの世界を知覚できるわけではないですから。「あんなこといわなければよかった」だと思います。
Airっぽいのはわかるんですけどね…>ほかの世界。
細かい部分ですが、そこが気になりました。
それが残念でした。
- 03 1000番目の夏が来る前に (採点:3)
- >「往人、今度こそ あなたが救ってほしい」
あーーー、こっからこの話がきたわけか。
アイディアは非常に面白かったです。
ただ途中抱くのは…、こういう展開は嫌いではないんですが、もうすこしそのシーンをよく書いてほしかったです。
台詞回しが難しいことは百も承知ですが…でもやっぱりみたかったですね。それが残念でした。
- 04 母のあゆみ (採点:5)
- 話の筋としては、好きですが、始めの晴子さんの心情描写にやや違和感を覚えました。授業参観に呼ばれなくてもしゃーないって反応をするかと思います。
それが残念でした。
- 05 刻の果ての白 (採点:5)
- あーあの二人の話ですか。海の話でするのはいいですね。
ただ、もうちょっと絡め方を上手くしてほしかったかなあ、と思います。
それがちょっと残念でした。
- 06 新約 (採点:6)
- 羽をつかったストーリーがよかったです。こういう解釈でいくか、と思いました。
また、西野とのやりとりもやかったです。
- 07 遠き日の夢はゆりかごのように優しく揺れて彼女を (採点:8)
- 面白かったです。
観鈴と友達になって、別れて、の流れがキレイに書かれていると思いました。
非常によかったです。
苦言を呈するなら、主人公の能力の説明を別の形であらわしてほしかったかなぁ…。ちょっと唐突な印象をうけましたし。
それ以外はよかったです。
- 08 華厳 (採点:5)
- ネタとしては面白いですが、現代部分をもう少し深くほりさげられなかったでしょうか。やりたいことはわかるのですが、どうも蛇足的に思えてしまいます。
それが残念だったかと。
- 09 WINTER (採点:5)
- ネタとしては今回一番いいのではないでしょうか。
じいさんの使い方がステキです。
いい感じでやってくれた、とおもいます。ただもう少し上手く調理してほしかったかなぁ、と。それが残念でした。
- 10 夢の汀 (採点:5)
- 美凪シナリオと、佳乃シナリオ、違う次元の話をまとめたSSってことでよろしいのでしょうか?
試みとしては面白いですが、もうちょっとネタを練ってほしかったです。
微妙にわかりにくいですし。
- 11 Rainy Rainy Day (採点:6)
- 雨を使ったネタ。
非常に丁寧にかかれていてよかったです。
また、雨のネタは多いですが、虹を使ったネタは、私的に初だったのでそれもよかったかと。
面白かったです。
- 12 巡夏抄 (採点:7)
- 叙述トリックですね…。
始めのシーンを叙述トリックが明らかになると、まったく違う意味になるのはうまいなぁ、と思いました。
往人(…ですよね?)とのシーンもみていて非常に楽しかったです。
よかったです。
- 13 風のうた - verse of wind - (採点:6)
- ネタとしては好きですが、もうすこし練ってほしかったかなぁ、と思います。
あと最初のギャグの部分が微妙に失敗しているかなぁ、と。
なんか構成的にすっきりしていないというか。
それらが残念でした。
- 14 マジカルを考えよう (採点:4)
- 魔法少女らしいネタだとはおもいましたが、もう少し練ってほしかったかなぁ、と思います。
>「住人くん……版権の事は気にしなくてもOKだよ。マジカルが頭についていれば大丈夫だから」
>「そんなわけあるか! お前らのマジカルに対する絶対的な信頼感は何? どっから来る?」
ここが個人的にもっともツボでした。
○Manuke さん
- 01 1000と、2年目の夏 (採点:8)
- 締めが出だしと好対照になっていますね。
前半のどこか夢めいた描写も納得がいきました。佳乃が異様に子供っぽい感じなのも。
聖の持つ闇との対峙は良いテーマだと思いました。少し往人君が便利に使われちゃってる気もしますけど(^^;)
気になった点がいくつか。
佳乃の髪を「くすんだ藍色」と表現する部分がありましたけど、ゲームキャラの髪の色は表現上のお約束で実際は黒なのだと考えている私には、少々違和感があります。この部分、言及しない方が得策かと。
あと、「檀家」は使い方を間違えてらっしゃるように思います。
- 02 無菌室で煙草 (採点:3)
- あー、えっと。お話の主旨が分かりませんでした。
『AIR』の世界が現実とはかけ離れた無菌室で、このSSがそこに投げ込まれた煙草ということなのかな?
(でも、お話も到底現実的とは言えないし)
観鈴が自分で言っているように各キャラクタが原作とは少々隔たりがあるものの、途中までは世界の崩れていく異様さを面白く感じたのですが……。
正直、どう受け止めたらいいのか困惑しています。
- 03 1000番目の夏が来る前に (採点:2)
- うむむ……。感覚的に合わない部分が多く、楽しめませんでした。
序盤は、往人を単に女性へ置き換えただけのように見え、今一つ代わり映えがしないかな、と。
ベッドシーンは、個人的にはちょっと引いてしまいました(^^;)
(その後の晴子があまりに気の毒ですし)
それから、そもそも往人君は誰の子供なんでしょう? 国崎一族とは無関係?
時間の交差は面白い発想だと思うので、そちらに分量を割いて欲しかったと感じます。
- 04 母のあゆみ (採点:10)
- うわ、最後の一文が辛い……。
良いお話でした。年の勘違いは想像がつきましたが、晴子のテンパり具合や観鈴の雰囲気が実にそれらしく、彼女達の過去にこんなエピソードがあったのかもしれないと思わせてくれます。
- 05 刻の果ての白 (採点:5)
- うーむ、保育園児をナンパする大学生……(^^;)
海水浴場に来ている保育園児に「一人かい?」と尋ねる彼は、侠気溢れる好男児ですねっ☆
友里奈家のお話は明るく楽しい雰囲気で、挿入される観鈴のエピソードと良い対比になっていたと思います。
ただ、少々オリジナル要素の割合が高いため、『AIR』らしさという点では今一つでした。
- 06 新約 (採点:9)
- うう、感想付けにくい……。
方向性が若干似ているせいなのか、逆に読んでいて抵抗を感じてしまいました。
個人的には「彼らには、過酷な日々を」が『AIR』で最もインパクトのある文章だったので、そこをスポイルして欲しくはないなー、と。
(これはあくまで感情的なものですので、ご容赦くださいませ)
前半、翼人を現代科学的(とゆーかSF的)な位置づけで捉える試みが大変面白かったのですが、それが後まで続かなかったのはとても残念です。
登場人物とかストーリーとかほったらかしでも構わないから、そっちに突き進んで欲しかったなどと思うのは私だけでしょうか(^^;)
また、西野嬢が封術を振り払う以後の展開は少々ありきたりのように感じます。
後半で空白行がかなり多いのもどうかな、と。できれば間は文章で表現して欲しいです。
と、細かい難癖を付けてしまってごめんなさい。
総合的には、面白い趣向を持った力作だと思います。
- 07 遠き日の夢はゆりかごのように優しく揺れて彼女を (採点:6)
- 描写もしっかりしているし、お話の纏まりも良いんですが、由紀嬢の「死の瞬間が見えてしまう」という能力は不要だったんじゃないかな、と。
このせいで展開がやや陳腐に見えてしまいました。むしろ、ない方がすっきりするように思うのですが。
あと、細かいですけど「振り返り、必要最低限の応答」が『慇懃無礼』に当たるというのは、少々違うように感じます。これが単なる『無礼』ならば分かるのですけど、『慇懃無礼』はもっと嫌みなほど丁寧な状態でないと似つかわしくないのではないかと。
- 08 華厳 (採点:7)
- 雰囲気は確かに出ているのですが、円空の言葉が『AIR』とは関わりのない信仰心の話としか感じられず、精吉がそれで満足することに違和感を覚えます。
精吉自体「先祖代々の宿願を果たす」ことにあまり熱心ではないようにも思え、しかも円空の言はその執着をたしなめているように感じられてなりません。
『AIR』のSSでなければ、それらはマイナス点ではないのですが……。
- 10 夢の汀 (採点:8)
- 暖かいお話でした。
中でも、かのりんのエピソードが良いですね。佳乃ルートのバンダナのくだりは「縛り付けられた」という印象が強かったので、こうして佳乃が自らバンダナを解く形での補完が好ましく感じます。
佳乃のキャラクタも生き生きとしていますし、ふいに旅立ってしまう往人も「らしい」です。
また、ラストエピソードも、異なる結末を予感させてくれるのが良い印象でした。
- 11 Rainy Rainy Day (採点:7)
- う、なんか幕引き方が微妙に被ってるような……(^^;)
雨で繋いだ三つのエピソードですか。穏やかな雰囲気が悪くないですね。
中でも美凪の語りが彼女らしいイメージでした。
- 12 巡夏抄 (採点:6)
- なるほど、娘でしたか。名前がずっと出てこないので、何か仕掛けがあるんだろうとは思ってましたが。
結末の一つとしては面白いと感じます。
ただ、ほとんど説明もなくいきなり願いが「成就した」とされてしまったのは少々残念でした。
個人的には、人物の髪の色はあまり触れない方がいいと思います。少なくとも、原作ではそんな髪の色であるという描写はありませんし。
- 13 風のうた - verse of wind - (採点:1)
- >そのねがひから砕けまたは疲れ
>じぶんとそれからたつたもひとつのたましひと
>完全そして永久にどこまでもいつしよに行かうとする
>この変態を恋愛といふ
を連想してしまうわけでして……。
率直に言わせていただくなら、宮沢賢治を引用するのは得策とは思えません。あの感性の鋭さと比較されてしまいますから。
コミカルな部分はテンポがよく、楽しめました。
ただ、全体的にあまり物語の体をなしていないように思います。冗長な説明が多く、人物同士の会話も今一つ成り立っていないように感じました。
もうすこし解説を絞るべきかと。
あと、評価とは直接関係ないのですが、往人と母親の血縁がないというのはどうなんだろうと思ってしまいます。
(原作には母親が往人をお寺に預けたという記述がありますけど、血縁がない子供を預けるとは考えにくいわけで)
作中で活かされているようにも見えないので、わざわざ言及する必要があったようには感じられませんでした。
- 14 マジカルを考えよう (採点:9)
- 笑わせていただきました。「なんかもうある意味マジカル」とか(^^;)
今回のこんくーるは真面目なお話が多いので、こういう純粋なコメディは癒されます。
あと、さゆりんの境遇には涙を禁じ得ませんでした。舞は魔物退治より先に怪人退治を手伝ってあげるべきだと思いますっ。
○ebi さん
- 01 1000と、2年目の夏 (採点:6)
- 文章のテンポ、言葉回し等や、ちょっとぴったりとくる言葉が見つからないんですが、独特な会話。しかし、決して読みにくい文章ではありませんでした。
構造が若干特殊で、聖の話と考えれば内容はそこまで複雑ではないんですが……うーん、私的ではありますが、もう少しわかりやすくても良かったのではないかなとも思いました。おそらく、作者さんはそういったわかりやすさを嫌って(あるいは聖の心情表現も含めて)、独特な文体や会話を用いたのだとは思いますが。
- 02 無菌室で煙草 (採点:5)
- うーん、私が晴子に対して良い印象ばかり持っているせいなのか、ちょっとこのお話の晴子がしっくりきませんでした。もちろん行動はわからないことはないんですが、でもここまで往人の話を何も聞かないで、一方的に責め続けるだろうかなあ、と。
観鈴が嫌だと言ったこの世界と、ゲーム本編で展開されたAIRの世界、果たしてどちらが――というのは、なるほどとは思いました。しかし、その強調でキャラクタに違和感も多く感じられてしまったのは、ちょっと痛かったかなあと思います。
- 03 1000番目の夏が来る前に (採点:4)
- 話の筋自体は通っているように思うんですが、往子が訪れる前に来ていた旅人が往人だとするなら、構造上何かおかしくはないかなという感じです。彼は往子に出会っていない往人のはずですから、法術、人形劇を知っている・いない以前の問題として、何で旅をしているのだろう。往子と会わなければ旅をする理由もないし、人形劇とかは無理ですよね……? 私が構造を読み違えているだけとかだとかなり怖いんですが。あ、でも、あれは往人でないのなら、何の問題も(たぶん)ありません(笑)
それで、私が一番考えてしまったのが、往子母の『ここからまっすぐ行くとお寺があるわ。そこに孤児を預けておきました。引き取りに行きなさい』という発言なんですが。「孤児」っていうことは、それが別に誰でもかまわなかった、っていうことのような気がしてしまって。仮にこの孤児が往人じゃなく他の誰かだったのなら、AIRの主人公は変わるわけで……うーん、それはちょっと往人を軽く扱いすぎ何ではないかなあという感じでした。
あと、これはもう好みの問題だと思うのですが、ラストの『今度こそ』を斜字体にして強調していたのは、どうにもすべってしまいました。斜字体にするくらいなら、演出で「今度こそ」をもっと強調すれば良かったのではと思います。
- 04 母のあゆみ (採点:7)
- とても正当派な雰囲気を感じられました。粗も見当たらなく、上手くまとまっていたように思います。
このときの晴子は、まだAIR本編に比べて観鈴に対して、些細ではありますが心を開いているようで。ラストの一文が混ざった上で、AIR本編に辿り着くまでのことを考えることもできたりで、面白く読み進めることが出来ました。
- 05 刻の果ての白 (採点:4)
- 全体的に書き込みの不足を感じました。間に挟まれる観鈴と晴子の会話は浮いてしまっている印象。『大学生風』の彼らがステレオタイプで、おまけに保育園児相手にその気になるとんでもない人物というのも……うーん。
話が散らばってしまっているように思うので、もう少し少年と少女に絞った作りにしても良かったのではないでしょうか。
- 06 新約 (採点:7)
- 果たして、あの『始まり』は本当に幸せだったのか。というのが、このお話の主題として帰結するところだと思うんですが、違っていたらごめんなさい。あと主人公の『彼』が誰なのかがちょっと掴みにくくて、彼はあの少年でいいんでしょうか。敬介のようにも思える節があるのですが、私は少年として読ませていただきました。間違えていたらごめんなさい。
あの少年が「過酷な日々」を往人たちにもたらしたことを後悔し、何とか因果を変えようと試みたのだけれど、途中でそれは間違いではないかと気づく。でも、最終的にその気づいたことは、(羽を介して?)あの日の少年にも届き、少年があの日に言った「さようなら」は「ありがとう」という言葉に組み変わる。これが私がとった粗筋なんですが、大丈夫でしょうか。
科学的な見解が入ったのはすごく良かったんです。ただそれにともなった西野と少年の結びつきは、少々書き込み足らずというか、何というか。言ってしまえば、西野とのやり取り全般、浮いてしまっているように思えました。科学的な物語があったり、西野との物語があったり、AIR本編に絡む物語があったりで、これらが微妙に関連し切れておらず、結果的に全体のどこが眼目となるのかがわかりにくかったです。
文章も、雰囲気を作り上げるために狙われてやったのかもしれませんが、それでもちょっと改行が目立ちすぎだなあという気がします。特に後半は、やや陶酔しすぎな印象も受けました。
- 07 遠き日の夢はゆりかごのように優しく揺れて彼女を (採点:6)
- テンポがすごくよかったです。たぶん、このコンペ内の作品で、最も好みの文体の内にはいります。由紀に設けられた能力なんかも、なるほどと思えました。ちょっと谷渕先生が女性ではなく、男性に思えてしまったりもしましたが(笑)
ただこの作品、オリジナル設定が非常に強いので、舞台なんかはAIRなんですが、全体的に見ればオリジナル作品色は最も強いのかもしれないと思いました。由紀に備えられた能力っていうのは、AIR本編では欠片も出てこない能力ですので、文字通り完全にオリジナル。AIRの話というよりは、由紀のお話。と考える方が自然な気がします。
最後に晴子と会話があったりでAIRとも絡むんですが、うーん、少し弱い気がしないでもないです。お話のほぼ中心にあるのが由紀の描写、由紀から見た描写ですので、由紀については深く掘り下げられているんですが、その深さに比べてAIRが浅すぎるんでしょう。AIRとの繋がりが取って付けたものような……うーん、もうちょっと違うような気もしますが、でも、そんな印象を受けました。
- 08 華厳 (採点:5)
- ほぼオリジナル。そこまで言ってもあながち冗談にはならないのではないでしょうか。AIRへの繋がりを強める意味で、ラストあたりにあの町にたどり着く前の往人とかが流れ込み、人形劇の一つや二つをすれば――とか思ってしまったのですが、きっと作者さんはそういうありきたりに陥るのを嫌ったのでしょう。
しかしながら、AIRキャラクタへの繋がりを人形でうっすらと示しているこの落とし方は好きで、面白く読ませていただきました。
- 09 WINTER (採点:6)
- 軽さが出すぎていた気もしないでもないですが、オリジナルの裏葉祖父は良い味が出ていたように思います。神奈もすごくよかった。
全編通してギャグが混じるのはいいと思うのですが、反面、少々落ち着かなかった印象も。最後の章を考えると、もう少しギャグでない文章や展開があっても良かったのではないかと思います。
- 11 Rainy Rainy Day (採点:5)
- 良くも悪くも普通な作品という印象です。雨の日の往人と出来事をひたすら追って、追って、終了。プロットが弱く、物語に見せ場、起伏がなかったように思います。
文章なんかは、たぶん話に起伏がないこと等を考えて、何度も改行したりしたのではと思いますが……うーん。人の好みではあると思うんですが、文自体はともかく、頻繁な改行ですとか、冒頭の『(反語)』というようなのは私にはイマイチでした。
- 12 巡夏抄 (採点:10)
- もう点数の通り、本当に面白かったです。トリックが見事で、これは往人が何とか旅の果てに辿り着いて、でも時間的なものなど何らかの異なりが観鈴や世界には起きてしまって、その上にこの話は出来てるのかなあ、とか真剣に思ってました。
『幸せな夏はもう、終わらない』。これが本当にもう、ああ、彼らはこんな幸せな夏にたどり着けたのかと思うとそれだけでお腹いっぱいで、私もこんなお話が書けたら良かったです。嫉妬も軽く入っていますが、気にしないでいただけると幸いです(笑)
本当に、面白かったです。唯一の満点を。
- 13 風のうた - verse of wind - (採点:6)
- 文章はしっかりとしているし、キャラの掛け合いにも面白さはあるんですが、どこか乗り切れなかったというか。辛辣に述べると、最後の最後の一番重要な部分であるはずの神奈の語りが、最も退屈に過ぎてしまいました。神奈が喋り過ぎで話がくどく、しらけてしまったのもあると思うんですが、それ以前に、そこにたどり着くまでの過程に問題があったのかもしれません。
プロットを簡潔に取り出してみれば、そこにあるのは『雲の上で往人と観鈴と神奈が会話をする』ということだけしかありません。会話や地の文、晴子の描写が挟まったり等、面白さで牽引する要素はあるんですが、それでも物語自体に大きな展開はなく、そうなると話が長すぎるように思いました。
- 14 マジカルを考えよう (採点:5)
- 普通に面白かったです。笑いっぱなしというわけではないですが、全く笑えなかったわけでもなく。ネタはほとんどわかりませんでしたが、ノリで笑いました(笑)
落ちに強烈さがあれば、というのが少し残念な点でした。
○no name さん
- 14 マジカルを考えよう (採点:4)
- バカだ(笑)
○GYA さん
- 04 母のあゆみ (採点:7)
- 綺麗に上手く纏まった話でしたが、最後の一文がちょっと余計だったかな、と思いました。
ツツジの蜜を吸うという絵は、作品の雰囲気に上手く合っていて良かったです。
○じゅげむ さん
- 04 母のあゆみ (採点:10)
- バランスが完璧だと思った。硬すぎず、柔らかすぎず、重すぎず、軽すぎず。中庸と呼ぶにふさわしい文章。突き刺すような太陽の輝きはなかったが、静かに瞬く月のような輝きがあった。ひどく好みでこの感想を書くためにIDを取ってしまった。良いものをみせてくれてありがとう。
- 08 華厳 (採点:7)
- 正直なところ、AIRの二次創作じゃないなと思った。が、原作キャラを出して物語を展開するという食傷気味な作品とは、一線を介している。法術師の歴史も1000年もあるのだから、中にはこういったエピソードもありえただろうと納得できる。起承転結は乏しい気がするが、斬新な手法だと思う。
○ぽた さん
- 01 1000と、2年目の夏 (採点:5)
- 面白かったですが、途中の国崎氏に関していったいどこの京極堂かと思い(笑)
- 02 無菌室で煙草 (採点:4)
- 途中のシュールな世界は好きだったんだけど、オチが落ちてないからなあ〜。
- 04 母のあゆみ (採点:10)
- ええ話ですなぁ〜〜〜〜(号泣)
晴子さんのスピード感のある語り口が好き。
- 05 刻の果ての白 (採点:4)
- らぶらぶ夫婦は地球の宝です(謎)ゆりなちんが死んじゃうのかと思ってどきどきしましたが、死ななくてよかったです。
- 06 新約 (採点:8)
- 面白かった。ところで26才はまだ少女なのですね(笑)
- 07 遠き日の夢はゆりかごのように優しく揺れて彼女を (採点:7)
- ええ子やなぁ〜由紀ちゃん。せつねぇ。ところで設定がちょっとだけおりこん3の「夜の夜」と似てますが仕様?
- 08 華厳 (採点:4)
- いや、いったいいつAIRと絡むのかと思ったが(笑)こーゆーのもいいなあと思いました。新鮮。でもまあ、なんていうか、オリジですよね。今ひとつ、萌えないし燃えない。。。
- 09 WINTER (採点:6)
- 面白かった。爺さまがなんだかラヴい。こーやっていろいろなヒトが暗躍してあの本編は作られたのだと妄想したい。
- 10 夢の汀 (採点:6)
- 面白かった。おじさんになった往人とおばさんになった霧島姉妹と美凪ってのもそれはそれで萌える(そんなのギャルゲじゃない)
- 11 Rainy Rainy Day (採点:9)
- ええ話やぁ〜〜〜〜(号泣)三人のヒロインのエピソードがうまく絡むのが好き。
3ヒロインのエピソードが上手い感じにまとまってて、一編で一冊のアンソロ読んだような気持ちいい気分になった。
- 12 巡夏抄 (採点:8)
- 面白かった。仕掛けがちゃんと成功してると思う。
- 13 風のうた - verse of wind - (採点:3)
- 一読しただけでは頭の中で話がまとまらない。。。ギャグはおもしろかった。
- 14 マジカルを考えよう (採点:6)
- 笑ったから私の負けだと思った。「撲殺天使ドクロちゃんです!」の某プロデューサーが書いたSSを思い出した。
○まか さん
- 05 刻の果ての白 (採点:4)
- 涼介達のパートの展開とやりとりがテンプレート過ぎて、軽く引きました。他作品との差別化を図り、自作品だけのオリジナリティを出せるようにした方がいいと思います。どうして独創性が欠如してしまっているか、は、これはもう自分で気付く以外にないと思います。
また涼介達のパートと観鈴達のパートを結びつけるのも強引過ぎる気がしました。夢と、家族愛によるしあわせとで結びつけるのは、涼介パートの内容に関わり無くどんな家族を相手にしても可能な万能道具のように思えたのです。この家族とでなければ結び付けられないという、唯一無二のつながりを読者たる私に見せて欲しかったです。もし作者さんが唯一無二ではなく、ありふれたしあわせこそをゴールとして表したかったのだとすると、やはりそれも失敗しているとしか言えません。
- 06 新約 (採点:7)
- 作者さんの物語の設定を行う力は大したものだと思います。構想力というべきか。しかし50KBでもまだ尺が足りなかったようです。つまりは構成力のほうがまだ一歩という気がしました。(この構想力とか構成力など、私が用いている単語が適切かどうかはひとまず置いときますが……)
キャラクター達の心情吐露や内面描写、さらに先に感心させられた設定・構想にしても、その内容に比して過程の描写が不足しているのです。定石に対しての読み手の好意的な解釈にお任せしてしまっている。それを考えると少し硬めの文体もマイナスに働いている気がします。設定描写の密度と定石描写の密度がアンバランス。文体の硬さと内容の柔らかさがアンバランス。作者が「狙った」読者層以外には、狙い以外の効果がもたらされることが当然あると思うのです。それを避けるためには、やはり描写が必要でしょう。
設定や展開の披露に偏ってしまい全体の「構成」がおろそかになってしまっているSSに感じた、ということでこの点数です。はい。
ただ50KBという制限がないのならば、この作者さんならばそういった問題も難なくクリアされるのではないかと思えるんですけれど。
もし「定石」の中身を書く気が当初からなかったり、読者層を狙ってもいないと言うのならば、個人的にはちょっとがっかりきてしまいますけれど。
- 08 華厳 (採点:7)
- 文章力も考証力も相当のものだと思うのですけれど、物語の面白さとしては物足りない印象でした。
せっかく現在と過去と二つのパートに分けているのですから、それをもう少し活かして欲しかった。ただ繋げるだけではなく、その繋げ方にこそ驚きや感嘆を伴う仕掛けを貰いたかったところです。
○まてつや さん
- 02 無菌室で煙草 (採点:4)
- 残念です。
ううーん、晴子があんな行動に出る理由が私の期待を全く裏切る方向性だったので非常に残念です。
死んだ男の正体とか別のを想像していました。(ニアピンくらいでしたが)
そのトリック(?)にキャラがちょっと不自然に動かされているのが面白さに対して見合った犠牲だと私には感じませんでした。
最後の結論が書きたいにしても、もっと上手なやり方があるような気がします。
- 04 母のあゆみ (採点:6)
- 開始早々のお知らせプリントはなかなかインパクトのある出だしだったように感じます、ナイス。これを書いたのが社会人未満の人だったら、なおびっくりです。
なんか、いい話っぽく読めてよかったです。ナイス晴子さん。
- 06 新約 (採点:8)
- 序盤の説明を面白く読ませていただきました。
観鈴ちんが恐竜好きなことも踏まえて、そういう結びつきで話は進むのかなと思っていたら……予想よりもスケールの大きな話に……。
タイトル的なところでは何とも思いませんでしたが、全体的な面白さや1ページ目の設定の着眼点など興味深く楽しめました。よって高得点を差し上げます。
今回のこんくーるは設定や着眼点に興味深いのはたくさんあったのだけど、ノリきれなかったりする作品が多かったのですが、この作品は序盤の設定とか他と違って魅力的でした。(ランダム読みでこの作品を15番目に読みましたし)
あまり気にはなりませんでしたが、途中から書き方が変わっているのは容量的な問題なんでしょうか。
- 07 遠き日の夢はゆりかごのように優しく揺れて彼女を (採点:5)
- 面白そうだなという気持ちとAIRらしくないというかそんな気持ちが交互にくるような作品でした。
お話に入り込める具合が非常に中途半端で、興味深い設定と興ざめな設定が順番にあるような感じでした。
特に最後まで読んで、由紀の「死」が視えるお話は活かされていると思えなかったので、後に非常に浮いていると感じました。
こういう感じが好きな人には好きなのかもしれませんが、結局あまり動きもなく収まってしまったのが不満です。
観鈴が国崎に話しかけたきっかけを作ったかもしれない人の話、という点は評価できると思います。
作者はえりくらさんかもしれないと、ちょっとだけ思いました。
- 10 夢の汀 (採点:7)
- うーーん。なんと言いましょうか。ものすごく面白いというわけでもないけど、つまらないというわけでもないです。
文句はないけど不満はあるというか。不満はあるけど特に希望があるわけでもないというか。
雰囲気はいい感じだと思うんです。最後もちゃんと脳内であのBGM流れましたし……でも、すごく面白いかって言われるとそうでもないような、そんな感じでした。
あと、タイトル読めなかったので振り仮名希望(笑)
作者予想……海老さんで。
- 11 Rainy Rainy Day (採点:5)
- みちるを含めたキャラがみんな出てきて好印象のほのぼの話。
しかし、AIRだとあまりこういう話があっていないように感じてしまいました。
悪くはないんですけどね。
- 12 巡夏抄 (採点:10)
- 良い言い方をすれば予想をしていない方だったので、素直に「ああ、なるほど」と思えたことであり。悪い言い方をすればそこに至るまではイマイチ楽しみきれない感じだった。
つまりは50キロあるのに2度読みせよ、と言われているみたいで作者の方の思惑に乗るのはシャクではあるが読みました。
2度読みは正直、楽しかったと言わざるをえない。まんまと100キロバイト近く読ませた作者さんに嫉妬だ。おのれ。
1周目の疑問だらけで「国崎カッコイイ!」くらいが一番良かったのだが、2周目は全てが意味を持つ言葉として書かれているように感じた。一度読みの不満点が読み直すだけで全て消え去るだから全くもって恐ろしいことだ。
素直に褒めてなくて申し訳ないが、点数からして評価しているのを判断して欲しい。
非常に傑作でした。2度読みして良かったです。唯一の満点を受け取ってください。
- 13 風のうた - verse of wind - (採点:9)
- 50キロバイト万歳!
これだけの話を書くにはやはり容量が要りますねと思いました。
神無たちの時代のお話もゲームをやっていればわかることですが、その流れをさっと書かれるのでも、50キロバイトあったからこそできたのかな、と思いましたし。
序盤がキャッチーなのも良いですね。二人の会話や雰囲気がとても親しみやすく明るい感じが良いです。
そのままスラスラと最後まで重すぎずに読めたのがいいですね。
ぐっじょぶ、でした。
- 14 マジカルを考えよう (採点:7)
- AIR関係ないしっ(笑)
それでも、個人的には好きですね。ニヤリとかクスリとかさせられましたから。
残念ながらオチがあまりおもしろくないのでこれ以上の点数はあげられません。
「いらねぇぇぇ!」辺りからマジカル土踏まずくらいまでは結構おもしろかっただけに。
○雨音 さん
- 01 1000と、2年目の夏 (採点:7)
- 実際、聖の成長過程を考えると、多少は歪んでいて当然なんでしょうね。
劇的と言われるほどではないかもですけど、それなりにハードだったわけで。
そういう意味で、この作品は面白かったです。
う〜ん、けど……説明役が往人だったのは微妙かなぁと。
聖の中で彼の存在がそういう立場だったのかと少し気になりました。
むしろ父親なり母親なりの方が綺麗だったのではないかと。
あと……尼さんの存在ってそんなに必要だったのかなぁ?
もしかして、作者さんは尼さん萌えですか???(ぉ
- 02 無菌室で煙草 (採点:2)
- なんかいきなりスゴイ事に……(汗
ん〜、根本的な問題として、実の娘に刃物を押し付けて脅す父親の非現実さ(現実に存在しないわけじゃないけど、説得力がない)が最大の問題なのではないかと。
クスリを使った記憶喪失とかも疑問ですが、やっぱり真相がこれじゃあ、どうしようもないです。他にも人形の所在やキャラの人格やら……かなり残念でした。
観鈴の「往人さん。わたし、こんな世界、嫌だよ」という台詞も、もっと別の形で出してくれていたらなぁ。せめて最期は幸福な記憶である事を望む観鈴にとって本心だっただけに、見せ方の残念さには頭を抱えてしまいました。
- 03 1000番目の夏が来る前に (採点:6)
- 百合と聞いて黙っていられる私ではない!!
と、お馬鹿な発言はともかくとして。
母親の名前が往子…………失礼ながら作者さんのネーミングセンスは絶望的だと思います(汗
まぁ、お話自体は割りと面白いというか、『今度こそ』の部分になるほどと思ったのですけどね。
それなのに何だかピンと来ないのは、やっぱり繰り返しを肯定する情報が少ないからでしょうか。
もっと素直に観鈴の前の女の子を救えなかったお話にした方がよかったのではないかなぁと思いました。
- 04 母のあゆみ (採点:8)
- てっきり答えが解らないのに手を上げてげんこつを食らったという参観日の話かと思ったら、そうではなかったのですね。
ちょっと意外でしたが、全体的にはこれはこれで面白かったです。
晴子の近づきたいのに近づき過ぎたら駄目だっていう感情が文章に溢れていて素敵でした♪
- 05 刻の果ての白 (採点:4)
- 途中の超展開に吹いた(笑
ロリコン二人組みについてもそうですが、思い切り突き飛ばしたからって5メートルも飛ばないですよ、普通。どんな格ゲーですか(笑
まぁそれはそれで良いとしても。
夢に見るのはあくまで神奈の記憶であって、観鈴たちのものではないはず……?
この辺りの説明がなかったように思うのですが、どうなんでしょう?
彼らが特別、観鈴達の最期を見る事ができたのには、何かしら意味があるのでしょうか?
- 06 新約 (採点:4)
- う〜ん、正直、序盤で投げ出しそうでした。
作者さんがしっかり書いてくれている事は伝わってきて、それはそれでとても好感触だったのですけど……Airという作品のSSを読みに来た身としては、かなり厳しかったです(涙
更に後半の展開については……語る言葉も無し。
非常に残念な作品でした。
- 07 遠き日の夢はゆりかごのように優しく揺れて彼女を (採点:8)
- 往人や晴子以外にも観鈴の事を思ってる人が居たというのは、凄く嬉しいです。
由紀というキャラも、友達が一人も居なかった観鈴が最期の夏に往人に積極的に声を掛けられた理由に繋がっていて、とても良かったです。
描写が若干足りないように感じたり、由紀の設定が生きているようで死んでいる(その場限り)ように思えたりしましたが、それでも綺麗な作品だったと感じました♪
- 08 華厳 (採点:3)
- よく出来てるとは思うのだけど……正直、AirSSとしてどうなんだろう?
キャラの絡みやその「内側」の物語りを読みたかった私としては、この「外側」のお話は全く楽しめませんでした。
- 09 WINTER (採点:7)
- 千年の未来予測……爺ちゃんスゲェよ!!
というわけで、難しい神奈編を面白おかしくも綺麗に描いてくれたのが凄く良かったです。
ただ、物語の〆である3ページはともかくとしても、2ページ目がちょっと浮いてたかなぁと。
その辺りの構成の拙さがちょっと気になりました。
- 10 夢の汀 (採点:7)
- 番号に何か秘密があるのかと思ったら、実は何も無くてガッカリでした。
う〜ん、何か仕掛けて欲しかったなぁ(汗
まぁそれはともかくとして、全体的に悪くはないのにパッとしないお話でした。
焦点が分かり辛いというか何というか。
フリの長さにオチがついていけてないように感じてしまいました。
もうちょっとコンパクトに纏めると良かったのではないかなぁ。
あるいはラストをもっと強化するか。
どちらにしても、オチの問題だろうと感じました。
- 11 Rainy Rainy Day (採点:6)
- >体育館、か……。
>武道館みたいなものか。
この超絶思考に迂闊にも大爆笑してしまいました♪
体育館から武道館に持っていけるその発想……国崎君は素敵です(笑
他にもキャラの掛け合いなんか凄く面白かったです。
ただ、散文詩的(淡々とした描写)な部分が微妙だったかなぁと感じました。
- 12 巡夏抄 (採点:9)
- 中盤まではまたオリキャラ作品かとウンザリしていたのですが、
終盤になって、「あぁそういう目的の作品なのか」と納得がいきました。
こういうの、凄く良いなぁ♪
っていうかラストの爽やかさは抜群ですね!
9点の内、6点はこの素敵なラストに捧げたものです♪
ただ、やっぱり中盤までのダラダラとした展開と、更にネタバラし部分の盛り上がりの悪さで、マイナス一点。
もうちょっと構成に拘って欲しかったです。
- 13 風のうた - verse of wind - (採点:5)
- ノリが悪いと言うかテンポが悪いと言うか……。
物凄い勢いで損しているような気がしてならないです(汗
というわけで、全体的にダラダラ感がありました。
言わんとしている事は悪いもんじゃないのにな〜。
ホント、損してますよ(涙
しかし……事の原因である神奈が偉そうに言うなとツッコミを入れたくなったのはきっと私だけではないはず(苦笑
- 14 マジカルを考えよう (採点:3)
- 「鉛で出来ていて、重さが32キロもあるんだよぉ!」
これに素で吹いてしまった(笑
マジでただの鈍器じゃないか!!(笑
しかし、なんと言いましょうか。
ギャグ作品としてはそれで十分な気もしますが、もう一つ全体的な安定感というか、ノリの良さがほしかったのも事実です。
なぁんか物足りない作品でした。
○衿元馬桜 さん
- 08 華厳 (採点:7)
- 以前円空が彫った仏像を見る機会があったのですが、確かに神通力みたいなものは感じられませんでした(当たり前だ)。しかし、例え特別な力が無かったとしても、旅を人生と決め、旅すがら仏像を彫り続けた円空はやはり特別な人。そんな円空が語る一つの信念。
Airは言うなれば救済の物語。特別な力を持つ往人は確かに一度観鈴を救ったのですが、最終的に彼女を救ったのは、特別な力も何も持たない晴子であり、また彼女自身でした。人を救うのはけして特別な力などではないのだと、円空は知っていたのでしょうね。
これはAirSSだったのか? というような疑問は野暮なのは間違いないですが……まぁ、いいんじゃないかと思います。
- 11 Rainy Rainy Day (採点:5)
- ほのぼのと。良い雰囲気の作品でした。本編中のある雨の日、という感じ。話の筋とかストーリーはほとんど無いのですが、美凪や観鈴の言葉にはきちんと魂が篭められていて、おお、と思いました。こういうことって、ただ語らせればいいというものでもありません。これ大事。
苦言を呈するなら、3つのエピソード(明確に分けられていたわけではありませんが)について、何らかの主題的な関連性があればなお良かった。一つのSSとしての完成度として見ると若干厳しい評価になってしまうのは、その辺りに原因があると思います。
○公 さん
- 02 無菌室で煙草 (採点:10)
- こりゃおもしろい。文体も、展開も、最後の観鈴の語りも僕好みです。
これくらいがっちりした文章でミステリ書けりゃなー・・・。一つの理想ですよ。羨ましい。
- 03 1000番目の夏が来る前に (採点:6)
- ついにSSこんぺにもトランス物がでたか・・・国崎女化×観鈴百合とはどこをどうやったらこんなカップリングになるのか!(違う)
シナリオの考察も台詞の考証もきっちりやっていて、満を持して出された力作という感じがしますが。それが仇となっている気がします。それより、やっぱ百合ですね。
真剣な感じなのですが、真面目(真剣)すぎて面白みに欠けていると思うのです。やっぱ百合ですね。
そしてなによりも、百合のシーンが淡白に過ぎるのです。これはかなり致命的だと思います。こう・・・ミスズちんの指に触れただけで「あっ・・・」とか言って頬を赤らせドキドキするような初々しいシーンがほしいですね。なんで国崎女がいきなり百合に走るかもよく分からなかったですし・・・。
やっぱ百合ですね。百合! 同性愛もまた愛の一つ! 真実の愛はいつだって同じモノを共有してイルノダーーーーーッッッ!
- 11 Rainy Rainy Day (採点:8)
- ちっ、晴子の邪魔がなければよ・・・(何
- 14 マジカルを考えよう (採点:10)
- 制作スタッフの中の人は親友の舞ちゃんも魔法少女にするべきだと思うんだ。
年齢制限なら大丈夫だよ・・・。今のご時世、28歳の子持ちの人妻だって美少女セレブとか言って杉並区の平和を守るために戦ってるし。
でもボク、裏番組のみらくるミミカちゃんも捨てがたいんだけどな・・ (´∀`*)
○広瀬凌 さん
- 01 1000と、2年目の夏 (採点:4)
- 文章が若干くどくて読み辛かったです。内容自体も聖を扱う、という事柄事態がAIRという物語の中で内に向いていて、それが記憶の改竄とかループにあってない気がしました。物語の中の重要な切り返しの部分で何故か往人が語り出す、というのも大きなマイナスポイントだった気がします。
- 02 無菌室で煙草 (採点:1)
- つまり言ってしまえば物語的な流れの中になんの面白みも見出せませんでした。記憶を扱う話にしてはあまりに精度が低いのでは? それに対してのアンチテーゼとしても不十分なように思いました。
- 03 1000番目の夏が来る前に (採点:2)
- お話の最後で一応AIRへ繋がるようにはなってて、そういう意味ではタイトルの筋も通ってるんですけど、肝心の話の内容自体はどうなのかなぁ、という気もします。
基本的には往人の性別変換でシナリオをなぞっていった形だと思うんですが、その往子の身勝手さっていうか、彼女の理念みたいなものが見えてこなかったのがとにかく痛かったです。それに観鈴がなびく、というのもかなり納得がいかず、結果、往子が好き放題に場を荒らしただけにみえてしまって、うーん、と……。
- 04 母のあゆみ (採点:6)
- よく出来てる……とは思うのですけど、ちょっとヒューマンドラマ過ぎるかなぁ、という気がします。というのもAIR本編で二人の交流が描かれていましたけど、それに切迫するような煌きはこのアプローチでは出しようがないんですよね。あの最後の交流は二人が初めて繋がる事が出来た、という部分が大きく、これだと前提条件が前すぎてしまう。このような些細な交流があったのかなかったのか、それは人それぞれの解釈になると思いますが、これ自体をみせてもらっても想像があまり働かない、という感じです。なので読んでる間はもっと良い気分だったのかもしれませんが、内容について考えた時あんまり発展しなかった、というのが正直な感想です。
- 06 新約 (採点:6)
- 文章が時々凄いアレになったりしてるんですけど、アプローチ自体は好きです。容量ぱっつぱっつなので仕方ないのかなーとは思いますけど、もうちょっとどうにかなったのかな、という気もします。
敬介方面のガジェットがいまいち活きていなかった感触があったので、いっそ翼人=未来の創造種ネタだけを完全な柱にする潔さがあってもよかったかもしれません。
- 07 遠き日の夢はゆりかごのように優しく揺れて彼女を (採点:5)
- うーん。オリジでやってください、というのもちょっと芸がないと思うのですが、まずその部分は大きく感じた、という点はやっぱ書いとかないと、と思います。オリキャラが立っているか否か、設定がいいか悪いか、の前にそこがやはり一番気になってしまいましたし。
大筋のストーリィラインは小技やガジェットの選び方も上手いと思います。文章も丁寧で、良い感じに読めました。……けども、最後の観鈴からの手紙云々、観鈴がそこから変わっていった、などのAIR本編へ触れていく部分への説得力は圧倒的に欠けていたんじゃないかなぁ、と思います。
というのも、ほとんどがオリキャラからの視点で、変わる前の観鈴の人物像がみえてこない。それを読み手個人が持っている観鈴像を使ってカヴァーするのは自由だし有効だとは思いますけど、その本編に新たな解釈を加えるには流石にオリキャラが前に出すぎていて、その結果説得力がでてきてないなーという感触でした。
- 08 華厳 (採点:6)
- 普通に面白かったんですけど、AIRへ触れていく要素があまりなかったのはやはりどうなのかなぁ、と思います。
- 09 WINTER (採点:7)
- 神奈達の掛け合いの妙さや、タッチで読ませる文章は素直に良かったです。お話の筋としても概ねは納得。
ただ、陰陽師の彼を最後にああして出すなら、もっとAIR本編へ積極的にアプローチする展開があっても良かったのではないかなぁ、と思います。
- 10 夢の汀 (採点:6)
- 全体的にとにかく文章がよく出来ているなぁ、といった印象でした。
ただ構造が若干不明瞭というか、狙いがよくつかめなかったのが正直な感想です。5は彼が往人なのは判るのですが、時間背景がよくつかめませんでした。観鈴を模した人形やスカーフがあそこにくくりつけられている、ということは即ち1、2、3を経た往人……あの町を出発して、戻ってきた往人になると思うんですけど、そうなると男の子と女の子、という組み合わせは少しどうなのかな、と。エンディングの二人を思い浮かべてしまうと、1、2、3とほとんど時間軸が変わっていない事になってしまう。二人はエンディングの二人とは全く関係なく、台詞にある「おじさん」というフレーズの通り往人が普通に年取ってたらお手上げなんですけども(笑)
それと4の部分が果たしてどういう意味を持つのか、というのがいまだにわからないです。
最終的には、読んでいる間は楽しく読めていたんですけど、それらが帰結したのが一体どこなのか判らなかったので点数が伸びずにこれくらい、ということで一つ。
- 13 風のうた - verse of wind - (採点:4)
- 文章で伝えたい事が散逸しているような気がして、集中できませんでした。どうも説明っぽい気がします。この内容で50kb必要だったのかなぁ……という気が最後までつきまとってしまいました。
○黒い箱 さん
- 02 無菌室で煙草 (採点:6)
- 不思議系かつドライ。そんな印象です。展開が唐突でわかりにくく、構成力に難がある、とも感じました。住人の一人称だからなのでしょうが、妄想の部分は正直読みにくく、くどい。肝心の事件とそのオチに関しても(リアルかどうか、という部分を除いてドラマとして俯瞰しても)正直あまり楽しめませんでしたが、文章力が高く安定しているので、読み進ませる力がある作品だったと思います。
- 04 母のあゆみ (採点:9)
- 構成が上手く、尺に合わせてぴたりと的を絞ってきた良作。観鈴の健気な痛さと、晴子の不器用な愛という軸を、全くぶらさずに最初から最後まで書き抜いた辺り、作者様の創作慣れを感じます。小道具の使い方にも愛嬌があってとても良かったと思います。楽しませていただきました。
- 06 新約 (採点:7)
- まさに「新約」のタイトルに相応しい、異色作としての魅力に満ち溢れている作品でした。正直な所、有名SFを切り貼りしたような内容であり、作中の講釈や作者の主張に対する解釈は分かれるところかとは思いますが、個人的には実験的な試みを作品として昇華させた意欲作だと思っています。味読させていただきました。
- 07 遠き日の夢はゆりかごのように優しく揺れて彼女を (採点:8)
- オリジナルキャラクターを使って、まったく原作の色味を損なうことなく、見事に作品と融合した良作。主人公の超能力に関しては、ちょっと掘り下げが薄く、また話にそれほど絡んでこなかった為に不要だったのでは、という気もしますが、そういった文句が引っ込むほどに、構成が上手く、読ませる作品だったと思います。安定した文章力も見所。ベテランさんだったんでしょうかね。ご馳走様でした。
○匿名感想 さん
- 01 1000と、2年目の夏 (採点:?)
- いろいろがんばって描写してくれてるのはわかるのですが、説明的でおもしろくない。一人称と説明文は致命的に相性が悪いと思います。ときどき文章が不恰好に長くなるのも気になりました。
- 02 無菌室で煙草 (採点:9)
- アニメに親しんでいるせいか私にとっては映像と声を惹起させることに特化した文章に思われましたが、同時にそのことに疑問を覚えました。あ、小説じゃなくていーな、と。とりわけ国崎の一人称によっかかりすぎです。
とは言えウェルメイドな意味では面白い小説でした。スムーズで。クロチャン的ループの臭いが導入されていることのAIR的必然性は無いに等しいですがSSとしての正当性はあったと思います。完成度高いと思いますが、AIRの物語の内的必然性を重要に思う人々からすればこういう小説は唾棄の対象でしょうーね。
でもまあもっと悪意が欲しかったような気もしますけど。温いでしょう。
相対評価で点数アップします。ちょっと他の小説は話者の語りが無意味な滞留を起こしていてイライラしました。
- 03 1000番目の夏が来る前に (採点:3)
- 冒頭から厳しかったです。少し酔った感じの文章だったので。で究極の法術などと言う言葉が出てきますともう恥ずかしくてしょうがないです。往人のパロディで往子というのは悪くないと思います。SSならではの仕事だとも思います。謎の超能力はやりすぎ感があります。AIRじゃねーって怒り出す人が出てくるでしょう。私としては往子の能力が役立ち過ぎるので気に食いません。
ところで文章が酔っているのと関係ありますが、この往子一人称による観鈴の着眼点がどれもこれも悪い意味で艶かしいのが気になります。SS的な脱線が専らならまあいいんですが最後にループを予感させるコメントをしているだけにそぐいません。親子愛じゃなくて性的対象の感じが齟齬の原因です。あと終盤の山場と言うか谷間の描写に不満が。ぬいぐるみ遊びにもう少しアクセントがあっても。
文章的には後半、観鈴が壊れている最中のダイアログと地の文にキレを感じたので、全編そんな感じだったら私的には好印象でした。
- 04 母のあゆみ (採点:6)
- 「ウチは■■やない!」
それは嘘だ。○○が××なのは、△△なのだから。
すぐに地の文で答えがでてきちゃうのは、どうもワクワクしないのだ・・・。今、このキャラはこう考えているんだろうなという読者の想像の余地がなくなると思うのですよ。客観的な視点から詳しくそしてはっきりと描写しすぎなのですね。僕はどちらかというと含ませたような描写が好みでして。
僕がこの文体に馴染まないのもあるのですが、主語と述語をきっちり使っている文体は崩れず固いのですが、なんだか英語の文章みたいでちょっと苦手だな・・・。全体的に固い作風は、題材とあっていないと思います。母から連想されるのはやっぱり優しくて柔らかいイメージだと思うからです。
- 04 母のあゆみ (採点:6)
- ところどころ面白いんですが地の文で無意味に躓かされるのでなんとかして欲しい。まず三人称と一人称を混雑してるところがあって意味は考えたけれどもなかった。それから独り言のインサートが定期的過ぎて何だこの機械的な感じはと思った。一心不乱に剪定してるところなんか凄く面白いのに。ていうか"――"多すぎなんすよ。ぶっちゃけあまりにも多すぎてこれだけで凄くマイナスです。見た目どおりに。独り言のペースが一定で不自然だし地の文とのコラボは小説ならではの技法でしょうが晴子の性格はもう少し直線的な感じもします。書かなくていい「」と――が多すぎた。
その意味からもこちらは一人称で書かれたほうがよかったんでないでしょうか。描写で上手いと思ったところ全部一人称で行けるんですよ。一方三人称に特徴的な例えば最後の描写とか全部陳腐なのでいらなかったです。押し付けられた母役をやりたくないけどやり通したいという晴子のナルシスな欲望を紛らわすために導入されてるから描写が一人称的なそれこそ剪定の部分とかが面白いのに対し、非人称話者が「義務と言う甲冑」だとか「光のただしい見つけかた」だとか言いなさったら恥ずかしいだけじゃないですか。
みなさん褒めてるでしょうからそういうとこは抜かしました。でも「おかあさん」のとことか「勘違い」とかよかったです。
- 05 刻の果ての白 (採点:?)
- 「ある意味哲学的でさえあるが」、どんな意味で哲学的なのか説明することができますか。私には想像できませんでした。それに作品読むかぎり、「意地っ張り」はともかく、空也が「不器用、無口」であるとはとうてい思えません。ふつうに会話のできる、必要最低限の社交ができる少年という印象です。無口で不器用って、作中の空也のようなことではないと私は思います。作者はそう思わなかったのでしょうが。
本編の長々とした再録はいらないと思います。観鈴と晴子の部分をまるまる削っても、この作品は問題なく成立してしまうのではないですか。そしてタイトルの由来となっているラストシーンと、それまでに積み重ねてきたおはなしに、いったいどんな関係があったのでしょうか。どうにも私は、この作品に一貫性を見出すことができませんでした。
- 05 刻の果ての白 (採点:?)
- ……ほぼオリジナル作品、ですよね?(汗
- 05 刻の果ての白 (採点:1)
- 別に私などはAIRの二次だからAIRのキャラ出さにゃなどと言うのは単なる固定観念であって出さんでもいいと思いますがしかしそうなると如何様にしてSSと言う体裁を維持するかが問題であってその意味でハードルが高くなることは否めないと思うわけで御座います。然るにこの小説の場合遺憾ながらハードルを飛べているとは言えない。一つは枠組みが実は本編と一緒で本編では神奈→観鈴だったのが観鈴→友里奈になってるだけで、だったら本編枠組みでそれを脱臼なり跳躍なりするものを書くべきだったんですよ。オリキャラがわいわいとしてるのはいいですがわいわいに特段の必然性がなかった。だったら観鈴とか本編キャラがわいわいしてるのを見てた方がコンペの目的的に楽しいわけです。その意味ではまあストレートに言って捻りが無かったかと。
- 06 新約 (採点:?)
- 本編にない設定や人物についてたくさんの情報を把握することを強いるにもかかわらず、改行が多く行間空けを無闇に多用していて、一画面あたりの情報が少ない。必然性を感じられない煩雑な改ページが追い討ちをかけてくる。結果、四六時中クリックをしていなければならず、集中力を維持することが困難でした。なにもかもうわすべりしてゆく印象のなか、私はこの作品を読み終えたのでした。
- 06 新約 (採点:3)
- ヨクジノシスとか大笑いしました。ギャグとしてはまあまあ。
さて全体としてはダメダメすぎる。何がダメかというと前半の恐竜などの現実的地球史に絡めたロマンチシズム(かつて人間には翼があった)と後半のひぐらし的オカルティズム(俺が惨劇を止めてやる!)のアンバランスさがダメダメすぎます。どっちか一つだったらマシでした。私としては後半の展開のショボさ(特に彼女が「旅」の邪魔をしに入るところ」と一行空けの多用による行間読ませ過ぎの惨状を見るに絶対前半の枠組みの方がよかったです。最初、1ページ目で終わりかなとも思ったんですが、正直そこでやめてた方が評価は高かった。
と言うのももしそうであれば、ああ個人的にはこういう現実に史学にアプローチしてAIRを語ることに興味はないんだけれども、SSとしてはありだしありうるし実際個性的でまあこれはこれで一定の位置を占めるものだよなあ、と思ったところで評価を定めたからです。ロマンがあるしね。本当惜しいっちゃ惜しい。
- 07 遠き日の夢はゆりかごのように優しく揺れて彼女を (採点:4)
- 私の読み方が特殊なのかもしれないが非常に非人称話者の言葉遣いが気に掛かる方であります。実際、全ての小説に際してそうですが一体この文章はどの立場の人間によるものなのかをまず考えながら読みます。その上でぶん回しのクサさとか素朴さとかを勘案するわけですが、とりあえず「残酷なリプレイ」と言う言葉遣いに立ち止まらざるを得ない。直前に「際限のない再現」とか面白いこと言ってるのにこれは日和過ぎじゃないですか。これだけで話者が胡散臭く見えてきます。いや分かんない。他の人は違うかもしれない。けれど私は、砂上楼閣だの傷つくことを知らない幼子だのと言った漢語的で形式ばった叙情の流れで残酷なリプレイとか言われるとどうにもダメです。大体リプレイが繰り返されるとかRRに近くないですか。や勿論ビデオの再生ボタンを繰り返し押しているような話だと説明されれば首肯しますが無理して押す言葉とは思えない。カタカナ多いのはいいんですが微妙に時代がかった漢字を使っているんだから(咄嗟とか)相性を考えて欲しい。いやもちろんそう思っているのは私だけかm(ry デコレーションしてじゃなくてデコレートしてじゃないかとか思いますもん。名詞と他動詞の区別がつかないキャラならセンチメンタリズムをセンチメントと言うくらいの踏み込みが欲しい。
すげー瑣末なところに噛み付きましたがあとちょっとだけ。超能力いらねーと思いました。そのほうがセンチメントの為の余計なバリヤーを失くすのに役立ちましたよ。ラジカセとか超いいアイテム出してるんだから能力じゃなくてアイテムで攻めましょうぜ。カタカナ語と漢字の齟齬に相同する一人称話者のつまり由紀の時折過剰にナルシスな言葉遣いを除けば概ね落ち着いていて好みの文体でしたが、接着力にしているものが能力だのなんだりしたのがミスマッチでした。もう少しアイテムを出して展開を書いてよかったっすね。
- 08 華厳 (採点:4)
- SUMMERと絡ませているのなら私的な許容範疇内でしたがこうなるとAIR SSとは認められないので、とてもよく出来た小説だとは思いますが遺憾ながら1点とさしてもらいます。本当に遺憾ですが、好き勝手に書いていいなら他の人ももっと好き勝手やれたのではないかと思うゆえ。
それにも絡んで少々設定に触れますがまず富山の薬売りとか言い出した時点で終了に近かった。やあ考証的にはあってますよ。富山の薬―アイヌ―松前で1700年付近でしょうね。まあ最初に人形師の歴史が300年以上と言っているので誤読の余地もないと思うんですけど、あー、これで、だからなんなんすか!あと江戸時代における仏教徒って中にはいたかもしれないけれどどう考えても権力と結びついている印象しかないしそれを反駁するくらいならキリシタン使った方がアクチュアルなの書けたんじゃないんですかねとも思う。僧にアクチュアリティがあるのなら院政期使わなきゃダメじゃないですかね。1000年前の方がよほどよかったと思うんですけど。神奈出さなくても皮膚感覚的に近い領域で話が進められるし。
「僕」の時代の距離関係上それが必要だったのだとすれば納得だし実際最初と最後のページも結構面白かったりするんだけれどもその面白さって趣旨からズレた面白さなんですよね。そしてそれが死ぬほど面白かったら点数普通に行ったでしょうけれどそこまでではござらなかった。残念です。と思ったんですけど文章的に気に食わない他作品よりマシかと思ったので加点します。今度はぜひ完全なオリジナルで。
- 09 WINTER (採点:?)
- 過去が定まっていないことと、過去が偽ものであることは、まったく関係ないのではないですか。歴史が真実でなく物語であることなんて何十年も前の出発点で、いまさら終着点にするような問題ではないのではないですか。私は作中の老人の言動に説得力を感じず、それは作品そのものへの不信につながりました。なぜ老人は、よりにもよって国崎に、うまうまと出会うことができたのでしょう。「僥倖」? ご都合の言い換えですよね。そこに説得力がなければ。
もしこの作品が小ネタの列挙に徹していたなら、作品あるいは/および作者へのこんな不信とは無縁に、ニヤニヤ笑いながら楽しんで読了することができたでしょう。
- 09 WINTER (採点:?)
- アイディアは面白いが、少々強引にすぎる傾向もあり、かつ意味不明瞭。
- 09 WINTER (採点:7)
- SSに何を期待するかによって評価は変わってくるがそれを前提に現状のコンテクストで見るのならこれは相当出来がいいのではないのかと感じた。ありえたかも知れぬ一断章の姿を描き出すのは正統でしょな。私は現代の語り手が古めかしい語りなのに軽薄な語彙で文を構成するのに凄く否定的なんだけれどもこれはギリギリのバランス。時代が平安である上に麻枝的なギャグの雰囲気に上手く乗っかっていると思う。
なので最後時制が現代に戻ったときは絶望しそうになりましたが思ったよりあっさりと終わったのであまり大勢には影響しなかった(笑)陰陽道的超能力の話とかイライラしたけれども結局ほのめかすに留まったところでギリギリセーフ。
まああっさりしているところが弱点とも。大笑いさせてくれたら点数もっと上がったかと思います。
- 10 夢の汀 (採点:7)
- 終わらない地平線だとかループ気味だったりとか人形が2体だとか依存している語彙や枠組みに胡散臭いのが多すぎなんですけど。意味が分からない場合は結構ですが。まあそれ以外はかなりいい小説をしていただけに本当に残念です。
でもいいところが本当によかったからやはり賞賛しとこうかな。美凪のシーンとか本当によく出来ていた。時間がゆっくり流れてた。佳乃のところもそれなり。私はアニメを見ているせいで、適切な言葉遣いをしている場合はまさしくキャラが喋り出すような感覚を得ますが、この小説は大体全編がそんな感じでした。その一方で地の文はどうか。かなりいい感じなんだけどいささか「声」に負けちゃってた感がある。対立させるのも変な話だけど、「何もないところを、押す。繰り返し、繰り返し。」みたいにめちゃくちゃ出来がいいフレーズが混じっていたりするのを見て逆説的に他の部位の攻撃力の低さが浮き彫りになり物足りなさを覚えた次第。
ぶっちゃけこの作者氏のSSじゃないのを読みたいですね。「声」を上げるキャラは読んでいて楽しいですけど「二次」ものならではの下駄であって実はそんなに凄いことではない。ぶっちゃけウェルメイドだって言う罵倒でもあるわけです。他の何もなくそれすらも無い小説より遥かにマシですが。その点、小説として本質的なのは後者だと私的には思っているので。
- 11 Rainy Rainy Day (採点:?)
- はじめ私は、最後の一文の意味を理解しかねました。緩叙法の一種かとも思いました。怒っているときこそ怒っていないと言い、悲しいときこそ悲しくないと言うのとおなじ修辞によって、雨がやまないとことさらに言うことで、やがて雨がやむことを暗示している可能性を考えました。しかしそれは、私が作品全体から漠然とうけた印象と、どうも一致しなく感ぜられてなりませんでした。
しかしあることに気づいたとき、私なりの解釈ができるようになったのでした。ひとつの世界のなかに、みっつの独立した、自己完結した小世界があって、そのどれもがたがいに交わることがない。自分の身の回りしか見ずに、見えないところに世界がある可能性を黙殺する。それらをつなぐ唯一の要素である国崎は傍観者に徹してなんの努力もしない。きっと最後の一文のとおり、この世界では雨はずっとやまないのでしょう。
- 11 Rainy Rainy Day (採点:2)
- 遺憾ながらこのポエムは何ですかとか叫びたくなります。虫の墓作ってるところとか面白くなりそうな材料があるのにそこに至るまでの階梯で感情のコントロールが放棄されててぐだぐだっす。私の性に合いませんでした。
- 12 巡夏抄 (採点:4)
- 硬質な感があるので細かく見ました。で、分かってることをぐだぐだと語り手がうるせーなと思いました。冒頭とか半分いらない。始まりだの終わりだの物語だの。
で、そこからも伺える通りずいぶん頭のいい観鈴ちんのようで。なんつーか、最初はこれでもいいかとも思ったんですが、やはりダメですわ。声と地の文が乖離しすぎてる。特に少し漢字の取捨を考えた方がいいんじゃないすかね。煩いだの、縄跳びだの。いやホント。せっかく面白"そうな"話なのに最後の一点までそういうところばかり気になりました。
なんでそういう風に思ったかをしばらく考えたんですが、多分思うにこの作者はそういうの無くてもこの小説を構成できただろうという直感が働いたからですね。
「世界は美しく、どこまでも広がっている。くるくると回転して落ちてくる人形を、わたしはジャンプして捕まえた。」
これ最後の文章ですが、まず前半は頭いい観鈴のナルシスな美意識が前景化していて僕の批判の対象です。美しく、じゃなくて、きれいだったら問題なかった。一方、後半のくるくる以降は素晴らしいと思う。動作の描写が地に根を張ってる感じ。
ここで象徴させるのもどうかと思うけどこのような対立の齟齬が思ったより大きいと思う。内容に言及しろって言われるかもしれないすけど、まあ私に限ってはそこを厳しいと感じました、と言うことで。
- 13 風のうた - verse of wind - (採点:5)
- 春と修羅の引用から風よ、風よ……のコンボは私的にかなり期待感を持たせる冒頭だったので期待して読みましたが結論からいって半分満たされ半分ダメでした。よかったのは神奈が現世に落ちてくる超展開。これはSSならではだと思った。ていうか私は全くそんな想像が出来なかった。翼人の呪いで想像力が束縛されていたのかもしれない(笑)なのでとてもこの掛け合いとかが面白かった。
悪かったのは文章。賢治の詩を引いているからには詩的想像力に関して厳しく見られるのは当然と思って頂くとして、別にそういう詩的体裁が詩的強度を与えるわけではないと言うことですな。短文にしたり改行沢山したりとか、どうでもよくはないけれども、それが本質そのものではない。
でも正直この小説には一番可能性を感じた。それはやはり神奈と現代と言う組み合わせが優れていたからだと思います。例えば地の文が酔った幹事でしかも結構難しい漢字を使ってるんですけど、三人称であることにその正当性を持たせるにはちょっと擬似一人称が多いのでちゃらんぽらんよのと思ってましたが、これとか全部神奈の語りで処理できたかもしれないとか夢が広がります。もちろん出来ていないんだからある意味減点なんだけど今回はそれをアリバイに出来る可能性があるということで加点したい。
- 14 マジカルを考えよう (採点:?)
- エロゲの二次創作の競作企画で、子供向けアニメの必殺技募集に応募する人の正気を疑うという構成は、なにかの皮肉だろうか。メンタリティたいして変わりゃしないと思うのですが。
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